2012

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ホッピーを飲む──ほぼ初体験

ここのところホッピーに凝っている。「むかしなつかしい味」というわけではない。むしろ初体験になる。Wikipediaで読むと、ホッピーにもいろいろあったようだ。「下町の労働者の安酒」というイメージから、上手に転換して、今では「ちょいとオシャレな酒」になっているらしい。両方ともわかる。

 私が初めてホッピーなるものを見たころの印象は、「ビールもどき」の安酒であり、土方が飲んで暴れるようなひどい酒だった。いや単なる当時のイメージですけど。

 私は上京してからずっと目黒品川で暮らした。電車は東急線だった。ホッピーは「京成線のイメージ」である。葛飾とかあっちのほうだ。好きではない。

 つまみとしては「煮込み」のイメージだ。土方、京成線、煮込み、である。私自身は土方が大好きであり自分もよくやっていたから、そのことはマイナスではないのだが、なによりも「もどき」が嫌いだった。うまいビールがあるのだから、そんなものを飲む必要はない。それと当時私は焼酎を飲まなかった。焼酎にもまた悪いイメージがあった。その焼酎を「らしきもの」で割って、「ビールもどき」にする。そんなものを私が飲むはずがなかった。

 時が流れ、府中の帰りにみんなで飲んだりするとき、いわゆる「最初はビール」で乾杯するのだが、そのあとに若い連中がホッピーを頼んだりする。これにはけっこうおどろいた。思わず「えっ!? いまは若いこがホッピーを飲んだりするの?」と問うてしまった。おじさんの時代遅れである。Wikipediaにあるように、ホッピーはイメージ転換に成功し、今ではおしゃれな飲物になっているようだった。



 というような流れがあり、パソコンとか楽器とかごくごく限られたアイテム以外には世の中にまったく興味のなくなった私だが、数少ないそれらと同じく興味のあるものに酒がある。焼酎を飲まなかった私なのに、いつしか酒のメインは焼酎になっていた。
 焼酎が良いのは、生のままで飲んでも25度で程良いことと、割物でなんにでも変身することだ。これがビールや日本酒とは異なる特性になる。

 私の主は「グレープフルーツジュース割」だ。いろんなもので割ったが私にはこれがいちばん合った。「MASTERキートン」の一章に「グレープフルーツジュースを飲め。筋肉がやわらかくなる」という名台詞があったが、それがほんとなら私の筋肉はそうとうにやわらかい。焼酎を果汁100%のグレープフルーツジュース割で毎日のように飲んでいる。酔うためには2リットル以上飲むことがある。と書いてしみじみ思うが、よくもまあそんなに飲むものである。でもたしかに<ローソンストア100>で買ってきた百円グレープフルーツジュースで焼酎を割り、一晩にそれが2パック空くというのはざらだ。平均したらそれこそグレープフルーツジュースを毎日1リットルは飲んでいることになるだろう。相当に筋肉はやわらかい。はず。

 最初からグレープフルーツジュースだったわけではない。オレンジもリンゴもグレープも野菜もミックスも、験せるものはぜんぶやった。やってみて落ちついたのがグレープフルーツジュースだった。






















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