2009
1/10
 リッキー・リー・ジョーンズ、そしてトム・ウェイツ

 なにがどうなって今リッキーなのか忘れてしまった(笑)。
 ネットで何かを検索していたら、どこかのサイトに行きついた。そこでリッキーの名が出て来た。そのサイトの主は比較的あたらしいリッキーのファンらしく、トム・ウェイツも聞いているのだが、むかしふたりが恋人だったことを知らず、おどろいていた。私なんか当時恋人というよりももう同棲していた事実婚のトムとリッキーは「ふたりでひとつ」ぐらいの感じなので、そのひとの驚きが新鮮だった。考えてみれば、当時を知らないひとにはそんなものかも知れない。
 上の写真がリッキーのデビュウアルバム。「恋するチャック」が入っているヤツ。よく聴いたっけ。1979年の作品。

 このジャケット写真は、まあジャケット写真なんてみんなそんなものなのだけれど、最高にきれいに撮れている。この写真からリッキーにあこがれた私はあとで他の写真を見てがっかりした(笑)。



 そのサイトのひとは下の写真、このアルバムでリッキーを知ったらしい。
 これは1998年の作品、とか。聴いていない。今から聴くところ。



1. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
2. スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モースト
3. ハイリリ・ハイロ
4. アップ・フロム・ザ・スカイズ
5. セカンド・タイム・アラウンド
6. ダット・デア
7. アイル・ビー・シーイング・ユー
8. バイ・バイ・ブラックバード
9. ザ・バラード・オブ・ザ・サッド・ヤング・メン
10. アイ・ウォント・グロウ・アップ
11. ラヴ・ジャンクヤード
12. カミン・バック・トゥ・ミー

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 私はトム・ウェイツのファンではない。あのだみ声はきつい。あれを好きなひとも多いのだろうが、いまのところだめである。女のハスキーヴォイスは大好きで、桂銀淑なんてぞくぞくするのだけど、なぜか男はダメだ。
 でも一面においてトムはボブ・ディランと並んで最も尊敬できるミュージシャンだ。他のひとがカヴァーすると楽曲のよさが際立つからだ。すばらしいアーティストである。要するに、シンガーとしてはあまり好きではない、ということになる。

 ところが上のアルバム、2001年の作を聴いたら、思っていたよりトムの声がきれい。私は何か勘違いしていたのか。ヤニ中毒だったのに三十前に禁煙して節制したらしい。トム・ウェイツ=だみ声って私の勘違いだった。これだからなあ。人前で恥を掻かなくてよかった。



 いま「歌」はまったく聴かない。器楽曲ばかり。だから何かの検索でそのひとのサイトに行きあたらず、そこでリッキーとトムの話を目にしなかったら、(HDDの中にはもっていても)このふたりの歌を聴くことなんて、それこそ今後一生なかったかも知れない。それぐらい今、歌とは縁遠い。たとえばNorman Brownのジャズギターを聴いていても、歌が出て来ると(彼もGeorge Bensonと同じで歌いたがるギタリストなのである)そこで一時停止し、その曲を削除してしまうほどである。

 ひさしぶりにリッキーとトムを聴いての感想は、もちろんそれはそれでよかった。あれこれ思い出し、想うことがあった。犬も歩けばのように、縁のなさそうなサイトにも飛びこんでみれば、それなりにあたらしい出来事があるのだと知った。いまどこにも出かけない引き篭もり生活なのだが、せめてネット世界ぐらい、すこしは歩きまわってみようと思った次第。
2/2
 冬はトロンボーン──JJの{Vivian}


 寒い冬はトロンボーンとオルガンがいい。長年の習慣。
 なのに今年はぜんぜん聴いてなかった。
 暖冬だからだ。

 厳寒にそなえて新たにガスファンヒーターを購入し、凍えるような寒さを期待しているのにいっこうに来ない。それどころか炬燵でうとうとし、汗を掻いて目覚め、暑くてスイッチを切るほど。このまま春が来るのか。というか今日など春の陽気だ。





 ひさしぶりにトロンボーンが聴きたくなった。私にとって「トロンボーン=JJ」である。なにを聴くか迷ったが、あまり聞きこんでいない{Vivian}にした。「晩年の作」である。1992年録音。JJは2001年に亡くなる。これより後の作品もあるのかな。私の持っているのではこれが最新作。

 JJといったらモダンジャズの巨匠だから

 メンバーはBob Schneider (p), Ted dunbar (g), Rufus Reid (b),Akira Tana(Drs)。
 これはいいメンバーだ。バランスがいい。誰も出しゃばらず、それでいてきちんと自分の持ち場を守って主張している。いい演奏である。

1. Alone Together
2. Frankie and Johnny
3. I Thought About You
4. I Love You
5. What's New?
6. How Deep Is the Ocean?
7. But Not for Me
8. There Will Never Be Another You
9. Azure-Te
10. You Don't Know What Love Is

 JJの死は「前立腺癌の苦痛により自殺」となっている。どういう死に方だったのだろう。癌との闘病は辛いから自殺は否定しない。

 というところで{Youtube}で、JJとカイ・ウィンディングの映像を見つけた。J&Kである。すごいなあ、{Youtube}って何でもあるんだな。鳥肌立った。

http://www.youtube.com/watch?v=QxUj2fKFX7A&NR=1

 JJが58歳と紹介され日本語のテロップが流れている。なんなの、これ? 日本のテレビ番組? まさかなあ。BSだろうか。ぜんぜんわからない。わかるのは、見ることが出来てうれしく大感激していることだけ。58歳というと1982年ぐらいか。いいなあ、J&Kは。黒と白の融合。

09/2  バーニー・ケッセルを聴く

ジャズ・ギタリスト、バーニー・ケッセル死去

 [サンフランシスコ 8日 ロイター]
 米ジャズ・ギタリストのバーニー・ケッセルが6日、脳腫瘍(しゅよう)のため、サンディエゴの自宅で死去していたことがわかった。80歳だった。
12年前に脳卒中を患って以来、体調が思わしくなかったという。
 友人らが明らかにした。

 ケッセルはオクラホマ生まれ。10代の頃からジャス・ギタリストとして活動を始め、1940年代にはさまざまな有名バンドと組んで活躍した。スタジオ・ミュージシャンとしても多彩な才能を発揮し、音楽誌のジャズ・ギタリスト人気投票でトップの常連だった。(ロイター)


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 2004年5月9日の記事である。もう五年近く前のことだ。この報道は覚えている。さほどかなしみがなかったのは、記事にあるように、だいぶ前に倒れたのを知っていたこと、ドラッグで短命なジャズミュージシャンとしては長寿だったことがある。というか、あまり藝術家の死はかなしくない。後々まで遺る作品を残せてしあわせだったと思う。死のかなしみは藝術家よりも子育て途中の凡人の死に感じたりする。それが彼にとっての藝であり生きがいだったのだから志半ばの死は無念だったろうと思ったりする。

 このころ私も父の死を目前にして混乱していた。父の病室に通う道すがら、クルマの中で長年聴いたことのないタクローを聴いたりしている。切羽つまったときいとしくなる音楽がその人にとっての本物だとするなら、私にはジャズでもクラシックでもなかったことになる。

 長年バーニー・ケッセルを聴いてきたが、彼の死を知ってからも、もう何年も聴いてなかった。
 今回なぜかふいに彼の名を思い出し、猛烈に聴きたくなり、いま10枚以上のCDをまとめ聞きしている。



 冒頭のジャケットは名盤の誉れ高い「Live at Sometime」。1977年の作。
 私がいちばん好きなのは上の写真。オスカー・ピーターソントリオとのもの。自分がギター弾きでありあり、ギターは好きだけれど、ギタートリオの演奏よりも、やはりピアノトリオがいい。それにギターがプラスされるとさらにいい。オスカーは他者を引き立てるのもうまいから抜群の仕上がりになっている。

 バーニーの70年代の作品には、私の嫌いなドラムソロが頻繁にあり、HDDに入れた作品からは、それのある曲はみな削除してしまった。この辺の構成は旧さを感じる。でもまあトリオの場合、ライブっぽい録音ではみなそうなっていた。

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 同じく大好きな作品にステファン・グラッペリとの共作がある。ステファンのヴァイオリンにソロを任せてのバッキングは惚れ惚れする。電気の力により音量とサスティンを得てソロ楽器になったギターだけれど、こういう秀逸なバッキングを聴くと、ビッグバンド時代のバッキング楽器の姿が浮かんでくる。

 Soloもいいけど、私にはオスカーやステファンとの共演がいい。このごろギター音楽を聴く機会が減った。断然ピアノやヴァイオリンの方が多い。まあこの辺も猫型だからいつまた変るかもしれないけれど。

 09/6  7年ぶりの倉木麻衣


 倉木麻衣と元ちとせ

 明け方4時、白み始めた空を見つつ<ローソンストア100>へ行く。朝方の散歩。しっとりとした空気が気分がいい。健康的なようだがここのところ昼夜逆転。適当な食材でツマミを作り一杯飲んで寝る予定。同じ行動をしていても起き出してすぐの早朝型とは意味が違う。

 買い物をしている内、店内に流れているアルトサックスのインストがどこかで聴いたことのある曲だと思いつく。かなりアップテンポで気分の良い曲だ。なんだろうとしばし考える。このごろこういうことで思いつくことがすくなく、後々まで悶々と悩むことが多いのだが、今回の場合はすんなりとわかった。だがそれは「あの歌手のあの曲だな」というものであり、歌手名も曲名も出て来ないのだからわかったことにはならないのか(笑)。いやここは「(笑)」じゃなくて「(泣)」だな。



 曲名はともかく倉木麻衣の名が出ないのは参った。なぜか宇多田ヒカルの名はすぐに出て来て、まことに失礼ながら「宇多田と同時期に出て来た、宇多田的な音楽をやっていたあのかわいい娘」ということで必死に思い出そうとするのだが出て来ない。倉木麻衣方面には失礼な連想だが「宇多田よりもかわいい娘」と思っていたので許していただきたい。

 頼りにしたのは自分のホームページだった。何年前だかわすれたが、私はたしかにこの娘のこの曲が気に入りホームページに書いている。

 帰宅してすぐ食材などほっぽりだしてホームページを開く。音楽の項に飛ぶ。この一番上、ホームページを始めてまもない頃に書いているはずだ。あった。開く。ああ、倉木麻衣だ、Feel Fineだと理解する。日附は2002年5月31日。おお、ちょうど7年前か。ん? というと麻衣ちゃんも7つ齢を取ったのか。いくつ? 



 もともと倉木麻衣というより「この曲のメロディとアレンジのファン」だった。今回サックスがメロディを取るインストであらためて曲のよさを感じた。あのインストはどこで手に入れられるのだろう。

 安心したので、それから食材でつまみを作り、ひさしぶりにFeel Fineを聞きつつグレープフルーツジュースで割った焼酎を飲む。

 夜が明けて町が動きだした。

 彼女のあたらしいアルバムを聞いて、お好みの曲があるかどうか探してみよう。
 いまは{Youtube}があるから、そこでビデオクリップを見て、それから気に入った曲を入手でいいのか。彼女の歌詞を作曲するスタッフには優秀な連中が多い。きっとまた気に入る曲が見つかるはずだ。

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 最初はシーブリーズ

 {Youtube}にあるいくつものVersionを見ていて、私がこの歌を最初に耳にして好きになったのは「資生堂のシーブリーズのCM」であることを知った。長年シーブリーズを使っているけど、あのころはもう資生堂のブランドになっていたのか。
 このCMで耳にして気に入ったのだろう。すっかり失念していた。勉強になるものである。
  
  
 


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