----
一月三十日、午後十時二十分。
なにげなくつけたテレビのニュースにいきなり眞紀子さんが映った。な、なにごとでい!
「更迭」らしい。音声に時折日本語が入る。あの父親譲りのだみ声で「小泉首相から直接言われました」と言っている。なんらかの問題が生じ、彼女が自発的な辞意ではなく、周囲からの圧力でいやいやながら退任したらしい。
どうしたどうした、なにがあったんだ。なりたくてなりたくてたまらず、やっとなって、誰に何を言われようと絶対にやめないはずのこの人を辞めさすような、いったいどんな事件が起きたんだ。
続いて苦渋の表情の純ちゃん登場。さんざん眞紀子さんには振り回されてきたもんなあ。たいへんだったよなあ。なにしろ勝てるはずがないと思っていたからあんなのと組んだりしたのに、あれよあれよと風が吹き始め、いつの間にかこんなことになってしまった。なってしまったら約束だから外相の座を与えねばならない。むこうも強気で責めてくるし。
最初から眞紀子さんに外相の適性はなく問題児になることはわかっていたんだけどねえ。まあ伏魔殿の外務省に一太刀浴びせた実績は認めるけど。いやほんとは一太刀なんて浴びせてない。な〜にもしていない。でも外務省が伏魔殿であることを国民に知らせたという功労はある。
私としては、それよりも「女の浅はかさ」を満天下に晒した罪のほうが大きいと思う。眞紀子さんを見て「あんな女の上司がいたらたまったもんじゃないな」と思った男は多いだろう。女好きじゃない私には、それを痛快と思う気持ちもあったけれど。
純ちゃん、苦渋の表情ではあるけれど、前々から切りたかったから、なにが起きたのか知らないけど、すっきりしたのも確かじゃないのか。そう、なにが起きたのかオレは知りたいのだよ、雲南の片隅で。日本じゃいったいなにがあったんだ! 知りたい知りたい、でもそれは不可能。ああ、もどかしい。
もしかしたらと思う。小泉さんや福田さんからするともううんざりで、なんとか辞めさせる方法はないもんかと思いつつも、岩場に根を生やした松のように落ちそうで落ちない眞紀子さんは絶対に自発的には辞めないし、さらには辞めさせたら小泉政権の裏話をバラすなんて恫喝する始末だ。
親田中の中国でも、ニュースにこんな字幕が入っているぐらいだから、眞紀子さんが小泉政権のお荷物であることはわかっていたのか。なにしろ
「小泉懊火田中走人」である。眞紀子さんが小泉さんの悩みの種であったことぐらいは中国も知っているらしい。
このがんこオババを辞めさせるには鉄砲玉しかない。我が身を省みず突っ込んでゆく鉄砲玉が必要だ。それが出来るのはあの人しかいない。もしかしたらもしかしたらと思う雲南の午後十時、バーボンも回ってへろへろになった私の脳みそにはそれでもあの人への期待が膨らんでゆく。そしてそのとき。
やったあ! 出たよ、宗男ちゃん。やっぱりそうか。宗男ちゃんしかいないはずなんだ。あの女を追い落とすのは。あれが岩場に根を生やした頑固松なら、その根っこをきりきりと食いちぎって断崖に落とす小ネズミは宗男ちゃんしかいない。放送終了間際、がまんにがまんを重ねた力道、怒りの空手チョップみたいな感じで出てきてくれたね宗男ちゃん。うれしいよ、うれしいよお。ニュースが始まったときからこの事件の主役は宗男ちゃんじゃないかとおじさんは思っていたんだ。やっぱりそうだったんだね、宗男ちゃん。信じていて良かった。
眞紀子に宗男と揃ったら、もうひとりほしいなあの人が、と思う間もなく出てくるんだからたまんない、千両役者そろい踏み。野方政務次官。しっかりと登場してくれました。
だいたいがこの問題は外務省での宗男ちゃんの人事を眞紀子さんがいじったことから始まっているんだから三人が揃わないと筋が通らない。ロシアに強い宗男ちゃんと中国べったりの眞紀子さんの確執だ。わたしゃ両方ともだいっきらいな国だね。見るのもいやだってかんじだ。
てなことを私は今、その大嫌いな中国の片隅から書いてます。思わず今ここに中国官憲が踏み込んできて、このパソコンを取り上げ、ここには何が書いてあったかなんてやられたら私は逮捕されるんでしょうか。ひとり思いこみスリリング。
この野方ってのもふてぶてしい男で、ほんとにイヤミ。こういう悪役がいるから眞紀子さんが正義の味方になってしまったりする。女の細腕で伏魔殿に切り込むその勇気を支持しなきゃって感じでね。たしかにこの男の応答を見て外務省に好意的になる国民はいないだろう。横柄な役人根性丸出しだ。いや、現実に会社で、女性上司にうんざりしている人には、この人の不快が我が事のようにわかるという人もいたのかな。
この田中眞紀子外務大臣辞任の、いや更迭のニュースを中国がトップニュースとして流すのは、父親の代からの中国べったりの眞紀子さんだからだろうか。特別扱いか。だろうな。客観的に見て、これは他国の外相が辞めさせられたという、唯我獨尊の覇権国家中国にとって、どうでもいい国である日本(江沢民は「50年後には消えてなくなっている」と演説で言っとりますな)の話である。いやほんとはどうでもよくはないんですよ、わしらの金で支えてやってるんだからね。どれほど日本を振り回していることか。だからこそ自分らの思いどおりに動いてくれる河野洋平とか田中眞紀子のことは気になるのだろう。ずいぶんと扱いは大きい。
そりゃそうだろな、日本の首相が靖國神社に参拝するのを、意見でも希望でもなく、「やめろ」と命令口調で中国が言えば、それを「そのように伝えます」って受ける日本の外相だもの、中国からするとかわいいんだろう。私なんかからすると国賊だけどね、こんな女は。
田中眞紀子の基本にあるのは、父を裏切った竹下一派への怨念だ。宗男ちゃんもその流れになる。その反対側として、父が復交の道を開き、父が没落した後でも、「中国人は井戸を掘った人の恩は忘れない」と目白の田中邸を訪問した中国政府への親近感がある。良くも悪くもそこに「理」はない。「情」の行動である。
まあ私の場合、この人の初恋が河野洋平だったというあたりで、なんちゅう趣味の悪い女やと結論は出ている。二人揃って覇権国家中国にべったりで、おもしろいように振り回されている。みっともないったらありゃしない。
ほんとになあ、去年一年、小泉さんの「前倒し13日参拝」っていうわけのわからんものほど失望したことはなかった。ちゃんと15日に行かなくちゃダメだろよ、純ちゃん。行くってきちんと言明していたじゃないか。あのときおれはチェンマイにいた。讀賣新聞で読んでしみじみがっかりしたっけ。小泉さんはそんな姑息なことはしない人だと信じていたから失望もおおきかった。
ちょうどいま読んでいる「文春」でも福田和也が書いているが、田中角栄の日中国交恢復によって、日本はその後、政治的にも経済的にも、いいように中国にふりまわされるようになる。外交における切り札〃トランプ〃を中国に渡してしまったのだ。あのときの選択として、台湾との国交を断絶しなかったら、両方をてんびんにかける政策を採っていたらという假定は、あらためていま大きな意味を持ってくる。親台湾の私はそのことが悔しくてならない。
その夜、私は日本の将来、日中関係のことをあれこれと考え、悶々としたまま一睡も出来ずに過ごしたのだった。というのは大嘘。ほんとは丸一日のバス移動の疲れでおおいびきをかいて熟睡した。
そして翌朝、起き出すやいなやつけた朝のニュース。テレビをこんなに気にしてつけるなんて滅多にない。すると後任に緒方貞子さんが就任したと伝えている。
「えっ、そういうことなの!?」と思わず声が出てしまう。
この人、純ちゃんの意中の人である。小泉政権は目新しさをだすため、当初から女性閣僚の複数起用を考慮していた。女嫌いの私からするとそんなのは無意味としか思えないのだが、世間の人気を得るにはそんなことも必要なのだろう。純ちゃん政権は派閥の支えがないのだから。ま、私の好みはともかく、その中でもこの人は小泉さんの恋焦がれる人だった。当初からこの人が外相候補だった。それを眞紀子さんがなんとしても外務大臣にしろとだだをこね、一緒に選挙戦を歩んだ弱みもあって純ちゃんは妥協したのだった。その時からもう眞紀子さんは問題あったんだよね。そうかあ、眞紀子さんを切って緒方さんか。いわば大嫌いな押し掛け女房をうまく追い出し、本来の恋女房と再婚できたようなものである。よかったねえ、純ちゃん。となるとあの苦渋の表情はちょっとあやしいな。お腹の中は「むふふ」だったんじゃないの。
というようなことが今頃日本の新聞や週刊誌にはあれこれと載っているんだろうなあ。読みたいなあ。ううう、読みたいよお。後十日ほどで帰国するからがまんできるけど、これがずっとこっちに住んでいる身だったらたまったもんじゃない。とても無理です。がまんできましぇん。やはり私は外国に住める人間じゃないようだ。って、たかが一ヶ月の旅行に餅や海苔や醤油までもってきている人間がなにをいまさら。
やはり今回の政変の主役はこの人だね。がんばったね。野中の叔父貴に、よくやったと頭を撫でてもらったかな。なんとしても小泉政権を倒したい叔父貴からすると、眞紀子若頭のタマを取ったのは小泉組をゆさぶるのに効果的だったはずだ。また橋本派が政権を執ったら宗男ちゃん大臣間違いなしだね。
だけどこれから緒方さんがきちんとした仕事をして、女性代表の地位を上げたら、むしろ揺れていた小泉組を安定させたってことになってしまうんだけどね。すくなくとも緒方さんは眞紀子さんのような素人ではない。どっちの目に出るかな。
眞紀子さんは世間的には小泉政権の目玉だったかもしれないけど、政治的にはアキレス腱だった。純ちゃんファンの私からするとよくぞ辞めてくれたって感じだ。ありがとう宗男ちゃん。宗男ちゃんのおかげだ。なんだか宗男ちゃんも責任取ってなんかの役職を辞めるとか言っていたね。なにがあったんだろ、ああ知りたいよお!
中国のテレビニュースで、時たま入る日本語音声からしか判断できないから、よくわからない。なにしろここは雲南の山奥だ。前後が読めないんだよ、宗男ちゃん。
思い出すなあ、こっちに来る前、テレビで見た宗男ちゃんの大立ち回り。石原行革大臣が「ある代議士が作った北海道の道路では人間よりも熊が通るほうが多い」って発言したんだよね。「だからこんな無駄な道路は造っちゃいけない」と。
それに宗男ちゃんは噛みついた。「その北海道の代議士ってのは誰なんだ。人間よりも熊のほうが多いってのはきちんとした資料なのか。どんな方法で調べたんだ!」ってね。かっこよかったなあ、わらえたよ、宗男ちゃん。今は数少なくなった「恫喝型代議士」の面目躍如だね。テレビカメラの前で石原さんのところに抗議に乗り込み、怒鳴り散らしている姿は、椅子を振り回すハマコーを越えてたよ。石原さんのほうもね、アルバイトにカウンター持たせて、「熊が一匹、人間が二人、キツネが一匹、熊が三匹、人間一人」ってカウントしたわけじゃないものね、そういうふうに噛みつかれたら謝るしかない。まあ「北海道の代議士」が宗男ちゃんであることは見え見えだったけど。
思えば宗男ちゃんはあの〃ひぐま〃と呼ばれた中川一郎の秘書だったんだよね。中川さんは未だに謎ののこる自殺をして、あれで道民の北海道出身の首相という夢はついえたけど、宗男ちゃんていう価値ある脇役を残してくれたんだね。今回の宗男ちゃんの仕事をプロレス的にたとえるなら「5対5のイルミネーションマッチで、最も強い敵方のエースを両者リングアウトで葬ってくれた上田馬之助」ってとこかな。
たまたまとんでもない山奥からもどってきた日に、運良くカラーテレビを見られたから知ったニュースであって、そうでなかったら帰国するまでなにも知らなかった。帰国してから遅ればせに知っても、それは過ぎた政治的な断片でしかない。それがどんなに衝撃的ではあっても、過ぎてしまい、すでに落ち着いていることを、こうして書くこともなかった。だからこそタイミングを逃さず、いま雲南の地で書いてみた。
雲南でこの情報に接したときのことだ。
ニュースが始まり、眞紀子さんが映る。おどろく。なにごとが起きたのかと思う。
しばらく画面に熱中し、だいたいのことを把握してから、「そうだ、カメラカメラ」と思い出し、デジカメを取り出す。デシカメというのは電源を入れてからシャッターを切れるようになるまでしばらく時間が掛かる。それでもこれだけの写真を撮れたということは(あと5枚ぐらいある)、このことをどれほど大きなニュースとして中国が伝えていたか、何分間放映していたかのの証明になるだろう。
(02/1/31 景洪にて)
そのご数日間、可能な限りテレビニュースを見るようにしていた。日本の政変が気になってならなかったからだ。が、ぜ〜んぜん日本のことをやらん。30分のニュース番組を食い入るように見ていても日本のニの字も出てこない。それなりに日本でも事件は起きていたと思う。政治でも経済でもね。なのにやらないということ。この時は延々とやったということから、やはり田中眞紀子が中国にとって特別な大臣だったということは間違いないだろう。
今の正直な気持ちとしては、一月三十日の午後十時、よくぞ普段は見もしないテレビをつけたと、その偶然を喜んでいる。
(2/5 景洪にて)
チェンマイにて
チェンマイにもどり仕事を済ませ、いそいそとインターネットカフェに飛び込む。手には日本から持参した「お気に入り」をフロッピーディスクで持っている。これがあれば讀賣、産經からスポーツ紙までなんでも呼び出せる。こういう場合、調べものなのだから大嫌いな「朝日」も読むべきなんだろうけど不愉快になることが解っているので読まない。何を書いているか読まなくても解る。
まずは緒方さんは外相の要請を受けなかったことを知る。あの人ももう75歳ぐらいのはずだから当然か。川口さんが環境大臣から移動したようだ。眞紀子さんよりはずっとずっとましだわな。(←竹下調)
田中眞紀子更迭で内閣支持率が一気に30%も落ちたとか、街の声で「小泉さんに失望した」とかの記事を読み、なんじゃこりゃという気になる。私としては「小泉政権つぶしの鉄砲玉として、野中の命を受けた鈴木宗男が田中眞紀子と差し違えたが、むしろ政権基盤はこれで安定する」と思ったのだが、世間はそうじゃなかったようだ。
しかし困ったもんだなあ、ほんとに日本人の中には田中眞紀子という人を政治家として評価する人が大勢いるのか? 信じられん。ありゃただのヒステリー性パフォーマンスおばさんだで。父親にはのしあがった人特有の気配りがあったけど、あの人には、それらしきことを形だけ真似る頭の良さしかない。「電波少年」のアポなし取材には愛想良く対応できても、自分の使用人に対しては未だに我が儘お嬢様でしかない。それはテレビというものが、人を責めるときのみ調子が良く、自分の不備を衝かれると、とたんに「ドタキャン」がどうの「疲れてパニックだった」だのと、責任転嫁を始める素人でしかないことを何度も映し出している。あんなもの会社組織の中だったら、新入社員としても通用しない。わからんなあ、あの人を評価する感覚が。
宗男ちゃんは大悪役となっているようだ。元々臑に傷持つ悪玉だから、これでロシアとの癒着や抜群にうまい金集めの出所や、中川一郎の死の真実まで突っ込まれたらたいへんなんじゃないのか。でも今回の功績で、反動勢力が政権を獲ったら大臣の椅子はかたいわな。
スポーツ紙に、社民党の辻本清美が大阪の講演会で、あのあと宗男ちゃんのところにはよくぞ眞紀子のクビをとったと、おほめの蘭の花があちこちから届いていたと暴露したと書いてある。そりゃまあそうだろう。辻本なんかもあれだけ眞紀子さんを攻撃してたが、今度は擁護して利用するんだろうな。あの女を見ると吐き気がする。しかしまあ、世間てのはそんなに田中眞紀子が見えてなかったのか、これは意外だった。民主党もあれほど眞紀子さんを攻撃していたのに、今度は擁護のほうに回っているらしい。なにやってんだか。
というところで隅っこのほうでめっけた記事。
「大橋巨泉議員辞任」。ぐはははは、あぁそうだったの、やっぱりね。あんなただの勘違いわがままタレントが議員なんて激務をまっとう出来るはずがない。しかしまた最後にわけのわからんことを言っている。「先日も社民党の土井さんと食事をしたが、党規のない社民党から出馬していたら辞職することはなかった」だって(笑)。記者会見する巨泉に「やめないで!」とすがったのは社民党の辻元清美らだったと書いてある。しかもパフォーマンス丸見えのテレビ目線だったらしい。大笑い。あれだけ「週刊現代」で菅幹事長に直々に口説かれた経緯を自慢げに書いて置いて、菅にひとこともなく辞めたらしい。菅も赤っ恥だ。まあ票欲しさに巨泉なんか口説くからこんなことになる。民主党ってのは解体すべきだわな。
巨泉の世代ってのは大江とか、井上ひさしとか、「絶対の天皇を絶対の民主主義に置き換えて祭っている」かわいそうな人が多い。その意味では、たしかに「戦争の傷跡」ではある。気の毒に。でも「41万票にもうしわけない」ってのは気にしなくても大丈夫だ。巨泉に入れた41万人にまともな政治感覚のヤツはいない。最後の最後まで「きょう田中大臣が更迭になったのはオレの辞任を目立たなくするためか」って勘違い大物ぶってるのが笑えるなあ。笑い転げましたわ。
(02/2/6@チェンマイ)
帰国して
帰国して早速週刊誌等を買い集め勉強を始める。チェンマイではインターネットを駆使して情報を集めた。昨年(01)のアメリカ同時多発テロ、今回の問題等、こういうときのインターネットというのは本当にありがたい。たまたま短期外国に出ているぼくでさえこうなのだから、長期赴任などしている人には、もっともっとありがたいものであるだろう。
おおむね「週刊文春」「週刊新潮」「SAPIO」あたりには、ぼくと同じ感覚の記事も載っている。これから出る月刊誌にも同じ傾向はあるだろう。「週刊文春」2/14日号「上杉隆 あえて言う『この女性を二度と要職につけてはならない』」は ぼくとまったく同じ考えだった。眞紀子さんは人の上に立つ人ではない。この号にある「大橋巨泉よ『大恥虚言』と改名せよ」には笑った。
「週刊新潮」が加藤昭さんで「鈴木宗男研究」を始めた。これは見逃せない。待望の連載になる。いきなり第一回のタイトルが「師中川一郎を裏切り死に追いやった男」である。宗男ちゃんのロシアコネクションが白日のもとにさらされるか。興味津々だ。
その他、「小泉総理はいちばん高い値段で眞紀子を切ってやった」と書いている識者がいて安心する。あんなのは〃指輪問題〃の時にでも更迭していたら誰にも惜しまれなかった。公私混同、口先だけの期待外れと嗤いものになるだけだった。それを小泉さんは外務省との衝突、悪代官宗男ちゃんとの確執から、〃悲劇のヒロイン〃になれるように切ってやった。自分が傷を受けるのを覚悟で、商品価値のある切り方をしてやった。眞紀子さんには通じまいが。
石原新党と眞紀子さんが組むという噂があるが、それはありえないだろう。石原さんは覇権国家中国が大嫌いだし、だいたい眞紀子さんが自民党を出たってついて行くのはほんの数人だ。それは本人が解っているから出ないだろう。ワイドショー的人気、女性週刊誌的人気と、指導者としての信頼感は別物だ。彼女は人を率いる力のある人じゃない。
しかしそれにしても、売り上げ至上主義の週刊誌だからしかたないとはいえ、なんとかならんのか女性週刊誌は。一斉に「自分に尽くしてくれた女房役の田中眞紀子を捨てた小泉。元々そういう冷たい男だった。離婚もしているし」という論調一色である。ぼくはこういうのこそ〃女性差別〃だと思う。これらの週刊誌を作っているのは男である。男の週刊誌には眞紀子さんを正当に批判非難する文章もきちんと掲載しておきながら、女性週刊誌では、「どうせそんなことを載せてもオンナには理解できないだろう。ヘタにそんなことを書いて売り上げが落ちたらたいへんだ」とでも考えるのか、全部「悪い男に捨てられたかわいそうな女」という切り口である。書いている男性記者がみなそんな考えのはずはない。オンナ向けの文章だからこんなことを書いているのである。「バカにするな!」と女が真に怒るべきなのはこんなところだとわたしゃ思うんだけどね。
(02/2/14@日本)