景洪クーラー事情




ここが私の景洪(ジンフォン)での定宿です。
 ホテルの外観はこんな感じ。なかなかのものでしょう。七階建てだったかな。エレヴェイターもついとります。
 
 これがロビーです。豪華でしょ。大理石を使ってます。本革製のソファセットがあります。売店もあります。ただし係員は愛想悪いです(笑)。英語、話せません。英語で話しかけると奥の部屋に逃げ込んで出てこなくなります。

  室内はこんなふうになります。ベッドカヴァーがおしゃれです。
 もちろん大きなバスタブがあります。私はシャワーじゃダメなんでね。これで日本円にして二千円程度なのだから安いですよね。十日間泊まって二万円てことですよ。ついつい私が長逗留するのがおわかりでしょ

 私はこんな感じで仕事場を作り、毎日原稿書きをします。
 まず部屋に入ったら真ん中に置いてあるテレビを右側に降ろし、パソコンを置く場所を作ります。

 椅子は白木にニス塗りの木製です。見た目はさわやかそうですが、これはペケですね。1時間も仕事をしていると尻が痛くなり、困ります。このホテルで最大の不満です。

 パソコンの右側に小型のスピーカーがあるのがわかりますか。この写真だとひとつしか見えませんが、ステレオじゃなきゃいやなんで二つあります。一個はパソコンの裏になっているのかな。
 私のパソコンはヘッドフォンステレオでありラジカセでもあります。このことについては「究極のウォークマン」という章で書きたいと思っています。


 究極のウォークマン


 手前に水色のリストレストが見えます。スピーカーもリストレストもバンコクのパソコンショップで買ったものです。

 旅先にノートパソコンを持ってゆく人は多いだろうけど、まともな人なら雲南の外れまでこんなパソコン小物はもって行きませんわね。なくてもたいした問題じゃないし。
 こういうものにこだわるのが私の性分なんです。こういう小物がいつものように充実しているかどうかで、気持ちよく仕事できるかどうかが決まります。

 ThinkPadの隣にある水色のものは、パソコンのホコリを払うプラシです。日本からもっていっています。プラスチックの柄にビニールのヒラヒラががくっついたあれですね。不要なもののようですが私には持参するだけの価値があります。

 こういう場所で仕事をしていてディスプレイにホコリが着いているのに気づいたとします。この専用ブラシでサッサッと払います。快適です。これがないと、こういうホテルのごわごわしたタオルをもってきて拭いたり、それで液晶が傷つかなかったかと気になったりと、なによりもまず仕事が中断してしまうのが辛いです。興味のない人には笑われるかも知れませんが、私には必需品なのです。


 ふと思い出したので書いておきます。羽箒ってありますよね、鳥の羽で出来たふかふかのブラシです。カタカナでなんていうんですか、フェザーなんとかですか。黒塗り高級車のホコリをおつきの運転手が白手袋姿で払っていたりするあれです。高級品のイメージです。高いでしょうね。縁がないので知りませんが。

 初めてチェンマイに行ったとき、それを街中の雑貨屋で見かけました。安いです。本物の鳥の羽を使った製品です。興味はありましたが、その時はまだ使うこともないのでさすがに買いませんでした。

 その数年後、ノートパソコンを持ってチェンマイに行き、通年でアパートを借り、上の写真に似たような仕事環境を作った私は、いそいそと憧れの羽箒を買いに行きました。うれしかったです。前々から意識していた商品ですからね。そして使ってみたら……。

 羽が散るんです。安物で薬品処理がいいかげんなのでしょう。見た目はきれいなんですけどね。鶏肉を作るときに抜いたものを、染めて、適当にくっつけただけなんでしょうね。ただのハタキとして使っても、かえって抜け落ちる毛で迷惑するような粗品でした。

 これじゃノートパソコンのホコリを払うどころか、パソコンの中に小さな羽毛が入って故障の原因になると、早速おしゃかにしました。プラスチックの柄にビニールのひらひらという人工的なホウキのほうが、帯電してホコリを集めてもくれます。私の旅の愛用品です。



 小型スピーカーもリストレストもバンコクで買った安物ですけど、それなりに吟味して選んだお気に入りでもあります。旅の最後には、捨ててしまったり誰かにあげたりしてしまうにせよ、この時点では貴重品です。

 スピーカーがなぜタイで買ったものかというと、日本からもってゆくとかさばるとか、毎回捨ててしまうものだからあちらで買ったほうが安く上がるとか、いくつも理由はありますが、いちばんのそれは電圧になります。タイも中国も同じ220Vだから変電機の必要がないわけです。

 変圧器というのもまた私の旅の必需品です。重いからなるべくもって行きたくありません。「旅と変圧器」というだけで一章が書けますね。それぐらい苦労しています。この中国へもプリンターのために小型のものを持参しています。もちろんこれは220Vを100Vに変えるものですから日本製を日本で買って持ってゆかねばなりません。この話は別項として。


チェンマイ雑記帳-旅の必需品


 私はそれまで日本製の電池式スピーカーを使っていました。SONYやPanasonic製のおしゃれなデザインのものです。これまた今までに何個買ったでしょうか(笑)。丸いもの、四角いもの、角が出るようになるもの、こういう買い物が好きなんですよね。
 5千円ぐらいするそれらを日本から持参し、中国やタイではまだまだ高いアルカリ乾電池を何度も入れ替えて使っていました。あちらの電池はダメなのでSONYのスタミナ乾電池を何十本も持参していました。
 それよりもこういう交流電源のスピーカーを使い捨てした方が安上がりだと学びます。極力使い捨てということはしたくないのですが、便利さにはあらがえませんでした。このスピーカーはバンコクのパンティッププラザ(バンコクの秋葉原)で200バーツ(600円)でした。

 と書くと、それじゃオモチャじゃないか、とても実用には耐えないだろうとお思いになるかも知れませんが、そんなことはありません。それは物の値段を日本的に考えているからです。手にしたら誰もが「これが600円!」と驚くでしょう。パソコン内に収めたCDから音楽を聴くのに、十分すぎる出力があり、目盛りは3ぐらいで十分です。これらのことは「究極のウォークマン」で書きます。

 使用の終ったそのお気に入りスピーカーを旅先で捨てるといっても、ゴミ箱に捨てるのではなく、ホテルとか世話になった家に置いてくるということです。手にした人がどうするのかはわかりません。使って欲しいと思いますが、接続はステレオミニジャックですし、こういう品物にタイや中国の一般家庭に用途があるのかどうか。

 必要なパソコン機器で手一杯になり、その他はギリギリ最小限の荷物で動いている私は、帰国時にこのスピーカーを手放すことにより、荷物にほんのすこしだけ隙間が出来ます。毎度そこに収まるのは、日本から送金してもらったりしてお世話になった方々へのお土産である雲南名物のお茶というのが定番になっています。



 室内にはクーラーがあります。これが南国の西双版納(シーサンパンナー)の特徴です。昆明(クンミン)のこのクラスのホテルにはクーラーはありません。

 高級ホテルにはエアコンがありますが、昆明でクーラーのスイッチをいれることはまずないでしょう。私はまだ経験がありません。一年中春のような気候から、〃春城〃と呼ばれる昆明は、ヒーター要らずクーラー要らずがいいところです。
 でも寒いことはたまにあります。一月、二月です。私の定宿である茶花賓館には、押し入れ(?)に電気毛布が用意されています。寒い日に何度か利用したことがあります。これはありがたかったです。

 クーラーを嫌いな人って多いですよね。どんなに暑くても使わない人がいます。
 西双版納の首都・景洪は、空気がカラっとしています。外の陽射しは強く、日傘を差している人も多い地域ですが、室内ではクーラーがなくても平気でしょう。

 私もくつろいでいるときはクーラーをつけません。宿泊する部屋は五、六階のことが多いので、窓の外にはキラキラした光があふれ、室内には爽やかな風が吹き込んできます。
 クーラーなどいらないのですが、仕事をするときは、あのキンと冷えた空気が好きなのでスイッチを入れることにしています。

 精神集中して仕事をするために、クーラーという機械で外界と遮断した空間を作ることが必要なわけです。これはタイでも同じです。とろんとした南国の空気の中にいると、昼寝でもしたくなってしまいます。
 ですから、仕事をせねばならない日程のときは、必ずクーラーのあるホテルに泊まります。

 室内のクーラーはこんな感じです。
 日本のものと似ているでしょう? それもそのはずこれは三菱製でした。

 部屋に入り、早速クーラーのスイッチを入れます。ブーンという振動音と共に動き出します。空気が動き始めたのがわかります。でもなかなか冷えません。吹き出し口に手をかざしてみると冷たい風が出ていません。これじゃ扇風機と同じです。

 最初の頃はこれが不思議でした。壊れていると思い、フロントに抗議して、部屋を替えてもらったこともあります。

 でも今じゃもう慣れてます。これ、故障じゃありません。


 椅子に乗ってクーラーのカバーを外し、中からフィルターを取り出します。それが下の写真です。
 一目見てわかりますね。この汚さ。尋常じゃありません。フィルターは使っていれば汚れるものですが、いったいどれぐらい使って掃除しないとここまで汚れるのか。完全に目詰まり状態です。


 バスルームにもってゆき、湯船に置き、シャワーをかけてきれいにしたのが下の写真です。いかに汚れていたかわかるでしょう。真っ黒な水が出ました。

 自分の過ごす部屋で快適に過ごしたいなら、これぐらいのことはします。たいしたことじゃありません。が、チェック・インした部屋で毎度これをやるというのも、しんどいものです。


 私の場合、このホテルから移動して違う街へ出かけ、またここにもどって来るということが多いのです。私の旅の流儀でいう〃ベースキャンプ〃ですね。荷物を預かってもらうこともたびたびです。

 ところがもどってくると部屋が替わってしまうのです。もちろん意地悪じゃありません。ここのスタッフとは仲良くなっています。私も前回と同じ部屋にしてくれとはいいます。でも北京や上海からの団体客があったりして仕方がないのです。南国の西双版納は寒い地域の中国人にとっては憧れの地ですからね。
 部屋が替わるということは、新たに入った部屋でまたフィルター掃除をせねばならないということです。
 一ヶ月の雲南滞在でこのホテルに三回泊まるとすると(三泊じゃないですよ、一回三泊が三回ってかんじです)、三室に泊まることになり、三回フィルター掃除をすることになります。年に三回は行くので、計九回、九室ですか(笑)。ずいぶんとこのホテルのクーラーを掃除してきました。さすがにうんざりしてきます。


 
 ということで本音をいうと、こういう中国のホテルってのは、見かけ倒しでひどいホテルなんです。

 まずはフロントに人がいなかったりします。客が来ないと休んでいるんですね。まあ合理的ではありますが、すぐに出てきてくれないと困ります。
 英語で話しかけるとパニックになります。英語の話せるスタッフを捜し始めてどこかに行ってしまいます。やっと休日だった英語を話せる女性に繋がり、電話で料金等を交渉するのですが、これがまたプロークンで通じなかったりします。

 でもこの「パニックになる」というのは雲南省の外れという地理的特性なのか、珍しいことです。私は異国語に右往左往してしまうその日本人的な性格に親しみを感じ、今ではそれが気に入って、このホテルに泊まっているのですが。
 中国人というのは実に自信満々の人種で(これ、素直に褒めています)、英語を話す異国人にびびったりはしません。むしろ、こちらが中国語が話せないとわかっても、まったく意に介せず中国語で早口にわめきたてる人の方が多いです。これはうらやましいですね。「外国に行くなら、最低限のその国のことばぐらい覚えて行け」というのが持論である私にとって、中国人のこの姿勢は尊敬に値します。話せないころはほとほと困りましたが……。

 一見こぎれいな室内も、パソコンで仕事をするために、テレビを動かしたり、椅子をずらしたりすると、もう汚いのなんのって、見えないところはホコリだらけゴミだらけです。表面的、形だけの掃除しかしていないんです。
 その他にもサーヴィスという概念はありません。あれこれと気にしたら苛立つことばかりです。その理由は支那人気質とも言えるし、政治体制のせいでもあるでしょう。

 ルーム係の女性の給料がいかに安いか知っていますし、気を利かせてサーヴィスしたり、一所懸命部屋の掃除をしたとしても、給料は同じだし、出世するわけでもありません。ふてくされた顔で最低限給料分の仕事をするという感覚になるのは当然ですよね。


 それから、なぜクーラーがこんなに汚いか、なぜ日本製かということですが、私はこれは、日本製の中古品なのではないかと思っています。日本でお払い箱になったバイクや中古自動車が発展途上国でもてはやされるように、これは日本から船で運ばれてきた中古品なのではないでしょうか。
 となると私の洗い流したホコリの中には、日本のホコリもあったかもしれません。中古品の可能性はかなり高いでしょう。だって同じホテルに備えられたクーラーなのに、メーカーが、三菱、日立、三洋とバラバラですしね。ということで旅の結論。


「その国のシステムはその国のものであり、文句があるなら行くな」というのが旅に対する私の考えです。日本と外国は違います。文句があるなら行かねばいいのです。他国に日本的なものを求める方に間違いがあります。かってに出かけていって、その国を批判する人は間違っていると思います。

 私はいまのところ、中国へ行かねばならない用事があります。このクラスのホテルに泊まる必要があります。入国させてもらいます、泊めていただきます、ということですね。
 ですから、これからもまたホテルで、冷えないクーラーのフィルター掃除をし続けます。テレビや椅子をずらしたら時のゴミを掃除します。そのことに文句はありません。私の選択した道です。自分でやり始めたことだから自分に責任を持つ。それが〃旅〃の基本でしょう。
(01/11/10)



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