雲南日記2014夏



●汚れていたバイク

蜘蛛の巣だらけのヘルメット……
  出発前、日本から電話するたびに妻に言ったのは、「バイクは壊れていないか!?」「パソコン(妻にはタイ語でコンピューターと語尾を伸ばして言う)は壊れていないか!?」だった。後は何も言っていない、しつこいほど、実際しつこかったと自覚もしているが、そればかりを繰り返した。それほど私にとって「バイクで好きなときに移動できる」「自作機でストレスなくPC作業が出来る」は大きな事だった。生活の要だった。バイクが壊れていたら好きなように移動できないし、ストレス発散のドライブも出来ない。自作機が壊れていたら、ThinkPadはあるものの、デスクトップ機が好きであえて組み立てに走ったほどなのに、これまたストレスが溜まることになる。妻には、我ながら失礼だと思うほど毎日のように確認して、ふたつとも壊れていないというそれを励みに旅だった。

 現実問題として、私は、私が来るのだからと、バイクはピカピカに磨かれ、ヘルメットも手入れされていることを期待した。しかし現実はバイクは泥だらけ、埃まみれであり、ヘルメットは物置に投げだされて蜘蛛の巣が張っていた。さらには当然のごとくバッテリーはあがり、エンジンはかからない。

●読書─「天空の蜂」


 原発に問題を投げ掛ける書。
 ここ数日掛けて、東野圭吾「天空の蜂」を読んだ。読み始めたのは数日前。それで半分ほど、残り半分を8月12日深夜から13日明け方にかけて読了した。出発前に<BOOK OFF>で揃えた来たものの一冊。発刊は1995年だから彼がまだ30代後半の時の作品になる。なぜその感想を敢えてここに書くかというとあまりにタイムリーだったから。きっとこれ2011年3.11以降は話題になったのだろう、私はまったく知らなかった。

 ストーリィは、「新型ヘリコプターがお披露目前にリモートコントロールで奪取される。犯人はそれを高速増殖型原発機の上にホバリングさせる。全国の原発を停止し破壊しないと、ヘリコプターを落とす。爆薬も積んである。果たして政府の対応は!? 犯人は!?」というもの。早朝の5時ぐらいから始まり午後3時までの10時間ほどの物語。その間に刑事は犯人像を絞って行き、犯人の背景も描かれ、同時進行でぐんぐん話が進んで行く。よく出来た物語だ。

 私好みなのは、まず誰も死なないこと。解説で真保裕一が触れているが、これはいわゆる「本格」とか「新本格」とかいろいろ分類される推理小説とは異なる別の分野の作品である。もともと犯人当て、トリック解明的な推理小説に興味のない私としては、東野圭吾のお蔭で楽しみが増えたと

●読書──浅田次郎嫌い


 そのことに政治思想的な関連はあるのか
 

●雲南の養豚の実態


 意外に清潔な雲南の豚

 ハエがいる。近所で豚や水牛を飼っている家は多い。いて当然だ。

 ところでこの豚や水牛に関してだが、未開の地の少数民族の生活である。いかほどのものかは想像できる。きっと不潔な飼いかたをしているのではないか、まして日本人と比したなら……と。ところが意外なほど清潔である。ほとんど臭くない。これにはおどろいた。こどものころ、茨城の田舎で豚を飼っている農家がけっこうあった。今の雲南もそうだが、米以外の貴重な現金収入なのだろう。それが汚かった。遠くからも臭ったし、その近辺に行くだけでもイヤだった。それよりも雲南の少数民族の飼っている豚のほうがずっと清潔である。ほとんど臭わない。

 これは傣族がきれいずきであることも関係あろうし、残飯処理のちがいもあるように思う。傣族は英国の百科辞典にも載っているぐらい清潔な民族である。一日に複数回の水浴びをすることで知られている。これはタイ王国のタイ族も雲南の元祖傣族も同じ。みなきれい好きだ。豚舎が不潔でないことはそれが関係あろう。
 
 もうひとつは残飯処理だ。知っている茨城の例で言うと、豚は不潔なもの、何でも喰うものと決めつけて、あらゆる残飯を餌箱にぶちこみ、糞尿も垂れながしだった。だから汚くて臭かった。日本民族もタイ族と並んで清潔な民族として有名だが、どうにもこの自分の見聞した例から言うと、これは日本人の最もよくない点、割り切りと徹底が出た例のような気がする。つまり「豚だって清潔なほうが気持ちがよい」には目が向かず、「豚は不潔なもの、だから不潔な環境でよい」という割り切りだ。

 朝鮮併合の際の「創氏改名」には、ふたつの問題点がある。ひとつは「植民地化している民族に自分達と同じ姓名を名乗らせようとした愚」である。これはスペインの南米支配やオランダのインドネシア支配で有名だが、白人は自分達が支配した民族に自分達のような名は名乗らせない。そのことで支配者、被支配者の差を明確にし、後々まで区別がつくようにする。傲岸な発想だが殖民地というものを考えるなら、これのほうが筋が通っている。島国根性の日本人は
 

●ハエのいる時間
 

●蟻と遊ぶ
 
●ファスナー修理屋
   
   
   


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