世相あれこれ

1/13    ●昆明交通事情──新空港開港のとんでもない不便

 2年ほど前、長距離バスターミナルが引っ越した。空港も2012年夏にあらたに開港した。昆明はすごい勢いで変っている。
 それまで市中心部まで5キロだったこじんまりした空港は、一気に30キロ以上離れた国際空港に変身した。そのことにより私の利用していた箇所のすべての配置条件が変った。常宿の位置やそこからの移動感覚が長年固まっていた異邦人の私には、とんでもなく不便になった。というか未だにちんぷんかんぷんである。

 東京にたとえるなら、空港が羽田から成田に変り、長距離バス発着所が、東京駅前から八王子駅前に変ったようなものである。距離的に、ちょうどそんな感じになる。
 この例えで、誰もが「羽田から成田に変った不便」はわかってくれるだろうが、「東京駅前から八王子駅前」のあたりは、さほど不便さを感じないだろう。しかしそうではないのだ。「交通事情」というものがある。日本のように便利ではない。



 日本的に例えて話を進めると、もう十数年、私の習性は、羽田に着いて、そこからタクシーで東京駅前に行き、なじみのホテルに泊まるということから始まる。
 まずはホテル。私が常宿にしていた茶花賓館というのは、白人もよく泊まっているが、中身は典型的な支那人のホテルで、れいのフロントが鍵をこちらに投げてくるようなホテルである。最初はおどろいたがそれが支那人の常態なのだから腹立っていても始まらない。そういうことに腹立たないようにすれば、深夜や早朝のチェックインも出来るし、便利なホテルだった。



 翌日、ホテルから歩いてすぐの中国銀行昆明本店に行く。中国で外貨を両替できるのは中国銀行のみである。ここで日本円を中国元に両替する。これも重要な行為だ。中国元がなければなにもできないが、為替レートが場所によってちがう。いちばんひどいのが日本の銀行。今回千元だけ成田空港の三菱で両替したが、1万円が570元だった。

 これが昆明空港の中国銀行だと600元とずっとよくなる。しかしここで大事なことは、この空港の両替屋は「チャージ」というものを取る。それがなんと60元。千円以上。一応良心はあるらしく、というか揉め事回避のためだろうが、両替を頼むと「チャージが必要になるが、それでもいいか」と問うてくる。当初、私はその意味が解らず戸惑ったことがあった。すると支那人に珍しく、隣から「チャージが必要だがいいかと問うてます」と教えてくれた青年がいた。あとで礼を言って話すと、日本に留学しているのだとか。岐阜県の聞いたこともない名の大学だった。日本に留学していると、日本人の親切さがわかり、自分も親切を返さねばと思うようになるらしい。真の国際交流である。

 どこでなにがあるかわからないので、中国元を持たずに行動するのはこわい。一番率の悪い成田空港でとりあえず1万円両替してきたのは、昆明のここですると、1万円が600元と成田空港よりは30元いいが、手数料60元で、結果は540元と、よりひどくなるからである。

 いちばんよいのが闇の両替屋になる。この銀行の前には闇両替をする連中が勢揃いしている。正規に銀行でしてもいいが、この連中としたほうが1万円につき20元ぐらいはレートがいい。30万円なら600元ちがう。すなわち1万円ちがう。



 長年かかって気に入った常宿を作り、銀行での両替、寝台バス発着所までの移動、帰りは、そこから空港までのタクシーの乗り方、料金交渉なども習熟して、私の昆明生活は安定していた。
 それがこの新空港の登場でなにもかも元の木阿弥となった。恥ずかしい話、以降妻に昆明まで迎えに来てもらっている。妻頼りでないと移動が出来なくなってしまった。それほど一新したのだ。いい迷惑である。でも嘆いてばかりもいられない。慣れないと。
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