08/9/
 たった一度のインターネット

 今回の滞在で一度だけインターネットカフェに行った。
 滞在中、べつに日本のことを知りたいとは思わなかったが、ひとつだけ気になることがあった。将棋の竜王戦である。羽生が挑戦者決定戦三番勝負に進出したところまでは知っていた。その結果がそろそろ出ているはずである。

 相手は相性のいい木村一基だから大丈夫だと思う。木村は新四段になったときから大好きな棋士だ。四段昇進が23歳という遅咲きなのにA級まで昇り、最高の成績残している。昨年まで通算勝率7割以上だった。これは500局以上対局している棋士では羽生と木村だけの記録である。だが大勝負に弱い。未だに無冠だ。木村も好きな棋士だから木村勝ちでもいいのだが、今回だけは困る。木村では渡辺に勝てない。2005年に挑戦し4対0で敗れている。今回防衛すると渡辺は「五期連続防衛」で初代永世竜王になる。

 私の願うのは、誰でもいいから渡辺に勝ち、初代永世竜王になるのを止めて欲しいのだ。初代永世竜王という名誉ある地位に、竜王戦以外には実績のない渡辺について欲しくない。渡辺が嫌いなのではない。NHK杯などで観戦するに、獨自の感性がすばらしく、しみじみいい棋士だと思う。さすがに加藤、谷川、羽生に続いて史上四人目の中学生棋士になっただけの逸材だ。だけどなぜかその他の棋戦では活躍していない。棋界最高位の初代永世竜王にB1クラスの渡辺は似合わない。

 じゃあ誰が似合うかと言えば羽生しかいない。羽生が挑戦者になれば現在まで通算6期保持だから、これまた勝てば「通算7期保持」で永世竜王である。
 ここは是が非でも羽生に挑戦者になってもらい、渡辺と「勝った方が初代永世竜王」という戦いを繰りひろげて欲しい。主催者の讀賣も多くの将棋ファンもそう望んでいるだろう。木村には気の毒だけれど。
 春に羽生が名人位を奪取したときから、私の興味はただ一点「竜王戦の挑戦者になれるか!?」だけだった。

 普洱市に出て、インターネットカフェに行ったら、真っ先にそれを調べたかった。



 ところで中国語ではインターネットをなんというのだろうと調べたら、下記のサイトが丁寧に教えてくれた。勉強になりました。感謝。

http://www.knox.co.jp/product/outline/bakamon/9805/index.html




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 コンピュータウイルスは電脳病毒か(笑)。ハングアップは「死机」だって。この場合の「机」は中国語だと「機」のことだから、「死機」である。PCが死んだのだ。そう思えば納得行く。でも日本語の机でもいいようにも思える。デスクトップのデスクだものね。

 以下は、中国でつけていた日記からの抜粋。思い出しつつ書こうと思って始めたのだが、この方が手っとり早いと気づいた。

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 普洱市。旅社でひとやすみした後、外出する。私の行きたいのはインターネット屋とパソコン店。インターネットはもちろん繋いで日本の現状を知りたいから。パソコン店は、こちらでの普及機の現状や値段を知りたい。

 歩いている内に妻がゲーム屋を見つける。ゲーム屋は孟連にもあるのだがインターネットではない。孟連のはゲームセンターのゲーム機。ここのはネット対戦のゲームのようだ。ならインターネットが出来るか。妻が係の女に尋くと出来るという。まだ半信半疑。

 手書きの番号を書いたカードをくれる。これが10元で、それでしばらく遊べるらしい。が、どうやるのだ。とまどう。するとその女が親切にも接続をしてくれた。親切そうな顔には見えなかったので感謝する。とにかく中国の女は無愛想だ。InternetExplorerが立ち上がった。これでひと安心。

 が、ここからまたひと苦労。中国語のみで言語切換が出来ないのだ。他言語をDownloadすれば出来るのだが、そのDownloadの操作ができない。アルファベットの打ちこみすら出来ない。

 係の女が手助けしてくれてアルファベットは打ちこめるようになった。しかし変換は出来ない。「ピンイン」である。アルファベットで中国語を打ちこむ形だ。そんなのできん。
 さてどうやったらいいか。

 中国語の検索エンジンが出て来るがもちろん役には立たない。「Google」と打ちこんでみる。すると中国語のGoogleが出て来た。ピンインで中国語を打ちこみ検索する形だ。何も出来ない。どうしようもない。日本に譬えるなら、日本語の出来ない異国人が、ローマ字入力の日本語キイボードを前に戸惑っているようなもの。となると、解決策はどうなるのだろう。

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●まさかアサヒシンブンに助けてもらうとは(笑)

 ためしにaを打ちこんでみる。すると、なんという僥倖か「asahi.com」と出て来たのである。たぶんアサヒシンブンだ。中国人でも読むのか。まあアサヒシンブンは中国と朝鮮向けの新聞であるから当然だ(笑)。yと打っても讀賣は出て来まい。見わたすかぎり周囲はネット対戦型のゲームに夢中の若者ばかり。どんなやつがここでアサヒシンブンのサイトを見たのか。

 なんとかアサヒシンブンのasahi.comであってくれと祈りつつ行ってみると見事にアサヒシンブンだった。よかった。まさか云南の片隅でアサヒシンブンに助けてもらうとは。これで民間の中国人もアサヒシンブンを好きなことが判明した。そりゃ好きだよねえ、ぜんぶ自分達寄りなんだもの。

 とにかく私はここでほぼ20日ぶりに日本の事情を知ったのだった。
 福田が辞めたことまでは知っていた。その後を知らない。麻生だろう。それはわかる。するとまだ決まっていなかった。
 小池、与謝野、石波、石原、麻生が立候補を表明していて麻生圧勝の流れのようだ。その他大勢は次や次の次を見ての立候補か。



 そのあとにターザン山本のサイトに行く。

【後日記】
 アサヒシンブンのサイトからいかにしてターザン山本のサイトに行ったのか。行けたのか。今も不思議である。どうやったのだろう。



 そこではこの五人の立候補を出来レースとボロクソに言っていた。私はそうは思わない。与謝野は70だが意慾がある。小池も初の女性総理候補と言われているが言うのも言われるのも容易い。しかし現実に自民党総裁選に女が立候補したとなると話は違ってくる。快挙である。いやいや私は女総理など臨んでいないので快挙ではない。でも歴史的には壮挙であろう。石原も父の叶えられなかった望みに挑む気があるのだ。まあこのひとは小物だけれど。石波もである。このひとも総理の器とは思わないが。
 私にはいい顔触れに思えた。まあ麻生勝ちと結果はわかっているにせよ。



 そのあとGoogleの使用言語がうまく日本語に出来た。あいかわらず日本語変換は出来ない。それでも「2ch」と入れるだけで2ちゃんねるが見つかった。
 そこからJane StyleをDownloadする。このDownload出来たのがありがたい。日本の漫画喫茶などではソフトウェアのDownloadは出来ない。まあそれはPCを守るために正しい。そんなことを許したらたいへんなことになる。
 使用者が好みのソフトをDownload出来てしまうここがいかにインターネット使用者がいないかだ。やがて増えてきたらPCを守るために出来なくなるだろう。

 無事JANE STYLEを開いて、あとは楽だった。興味のあるニュースからスポーツ新聞などもすべてたどれる。



【後日記】
 2チャンネルの存在、便利な2チャンネル専用ブラウザの存在に心から感謝した瞬間だった。もしも2チャンネルがなかったら、私は知りたい情報をアサヒシンブンのサイトからひとつひとつ頼って行かねばならなかった。それと比べたら2ちゃんねるから調べることがいかに簡単で便利なことか。こういう形で2ちゃんねるに感謝するのも不便な海外からアクセスするゆえである。



 イチローが8年連続200本安打を達成したと知る。大リーグでも105年ぶりの記録。おめでとう。今年は出だしがわるかったので無理かとひやひやした。将棋に次いで気になっていたことだった。



 秋場所が始まっており、白鵬が5日目に稀勢の里に敗れたとある。朝青龍も1敗。この辺まではふつうに見ていたが、2ちゃんねるの「相撲」で露鵬、白露山の項を読んでいてスポーツ紙のサイトに飛び、彼ら二人も解雇になったと知ったときは「えっ!」と声が出た。大麻の陽性反応だという。無実を主張し裁判沙汰にするようだ。若ノ鵬ひとりということはないからその他の吸飲者がいたのは当然と思う。しかし露鵬兄弟が解雇になる騒動までは思ってもいなかった。
 ショックではあるがそれほどでもないのは、この三人のロシア人力士が好きではないからだ。これが琴欧洲や把瑠都だったらたいへんだった。



 竜王戦の挑戦者に羽生がなったと知る。挑戦者決定戦で木村を2勝1敗で破った。
 今年の竜王戦はおもしろい。どっちが勝っても初代永世竜王だ。どう考えても羽生がなるべきなのだが、果たしてどうか。
 深浦との王位戦は負けて終っていると思っていた。負けてもいい、とにかく竜王戦の挑戦者が最大の問題だった。すると王位戦もなんと1勝3敗から3勝3敗までもっていったのだった。9月25日が7番勝負らしい。どうなることやら。もしも奪ったら五冠である。六冠をかけて竜王戦を戦い、もし勝ったなら来季の佐藤との棋王戦が二度目の七冠王戦になる。

【後日記】このあと深浦に負けて王位復帰は出来なかった。

 ま、それはともかく、なんとしても渡辺に勝って初代永世竜王になってほしい。それが渡辺のためでもある。



 私を待っているあいだに妻は隣で麻雀を始めた。これはよいことだ。ただ待っていてもつまらないだろうし、かといってどこかで不用品の買い物をされても困る。一緒にいて欲しい。麻雀サイトがあるのを知ってよかった。これでもしも日本語が使えるなら妻が隣でやっている「ふたり麻雀」ではなく日本風の四人麻雀にも繋げられるのだが。妻もそっちが好きだ。残念ながらそれはなかった。
 外国人観光客が来る店ならIMEを多言語にするだろう。中国人若者しか来ないから中国語オンリーになっている。

 あいかわらず煙草を喫うのが多い。中国の喫煙率は異常だ。
 向かいに来た若い女二人がけたたましい。うんざりする。その軽薄さとうるささは日本とまったく同じ。

 緑茶のペットボトルが目立った。これは他項で書こう。

 再びターザン山本のサイトを覗き、山本さんの馬券のハズレ振りを読んでいる内に私は時間が来たのか切れた。2時間半はいた。3時間かなあ。とにかくそれで10元。日本円で160円。
 妻はまだ時間を残していたが帰ることにする。このふたりで20元の遊びは大きかった。価値があった。それは妻も口にしていた。


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 やはり情報に餓えていたのだろう。いろいろと知って喜んでいる自分が見える。
 それにしても、日本では常時接続なのに、よくぞその癖を断ちきり餓えなかったものである。自分を誉めてやりたい(笑)。

 云南の緑茶ブーム

 将棋竜王戦

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