あとがき
この作品のタイトルに、なぜ「小説」と名つけてあるかについて説明します。
これはいわゆるノンフィクションとかドキュメンタリーと呼ばれる手法で書かれた作品なのですが、手法はそうでも内容に創作した部分が多いのです。結果として、ノンフィクション仕立てのフィクションのようなもの、という、とても半端なものになってしまいました。でも、敢えて「事実」なのか「嘘」なのかとこだわったなら、事実を軸にしていても、嘘の部分があるのだから、「小説」と書いておかないと誤解を生むだろうと判断し、「小説」とお断りのつもりで入れた次第です。
あの頃、まだ一行も書かない内から、丸テーブルで、書く、ぜったいに書くと言ったりしたため、話だけが先行していました。
ナベちゃん達とビールを飲んで盛り上がっている内に、「よおし、小説が大ヒットしたら、次はテレビドラマだな」などとナベちゃんが言い出し、キャスティングごっこにまで話は進みました。
ナベちゃんの決めた主役級の配役は、
パパ 船越英二
シーちゃん 十勝花子
ナベちゃん 竹中直人
ナンシー あき竹城
というもので、ワハハギャハハと、涙を流して笑い転げたことを、つい昨日のことのように思い出します。
「じゃあ、おれはね、えーと、××がいいや」なんて準レギュラーが自分を演じる役者を自己申請して、「なんであんなハンサムがおまえなんだよ。おまえは△△でいい」
「やだ、△△じゃやだ」なんてやりあったり、楽しかったなあ、あの頃……。
そのすぐ後に書き上げたのですが、ナベちゃんに見せてよと言われても、あまり満足した出来でもありませんでしたし、「うん、そのうちね」と口を濁していました。これをたたき台にして、五百枚の本格的なものを書こうとか、それを書き上げてから見せようとか、そうこうしている内に時は流れて行きました。
パパもナベちゃんも、この作品が存在することは知っていますが、まだ読んでいません。後藤さんのホームペイジでの公開が、正真正銘本邦初公開になります。次回、チェンマイに行くとき、お二人にはお渡ししたいと思っています。機会のある方は、どうかプリントアウトしてお二人に届けてあげてください。
きちんとノベライズすることも、テレビドラマ化も(笑)、まだ諦めていません。
2000年春吉日
【油来亀造 YUKI KAMEZO】
チェンマイの業者制作による現在の『サクラ』の看板。チェンマイでもこんな日本語の看板が作れる時代になった。以前のものはなんともひどかったものだ。日本語フォントがないのに見よう見まねで作ったから仕方がないのだが。
有山パパの手作り看板との値段の違いに、過ぎた年月を感じる。
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