人馬往来的中抄



■主役-天皇賞・春00

 皐月賞が終ったところである。何とも見事な武豊騎手の騎乗であった。
 ランニングゲイルの三角まくり戦法で弥生賞を勝った時、彼は「中山2000の勝ち方」を完全マスターしたのであろう。それは豪快な気分のいい戦法だったが、同時に、それに応えられるのはかなり限られた馬なのではないかと思えるものでもあった。

 弥生賞で武は、エアシャカールにその戦法を試している。まるで「これが出来ればおまえは皐月賞を勝てるんだよ。出来るかい?」とでも問うように。

 その時のエアシャカールにはまだ完全にこなすことが出来なかった。だが二度目となった今回は、きっちりと応えて見せた。人と馬の絡みに脱帽である。皐月賞馬の栄冠に輝いたエアシャカールのしあわせは、ひとえに武豊に愛されたことに尽きる。

 競馬を語る視点がある。私の場合は断然〃馬派〃だ。競馬を始めた昔から、思い出の馬、レースは数え切れないほどあるが、思い出の騎手はいない。それどころか、心に刻まれたレースなのに誰が乗っていたのか覚えていなかったりする。さすがにこの業界に関わってからは後つけの勉強をして、今では一通り記憶しているが、素人のままだったら、私はおそろしく騎手に疎い競馬ファンであったろう。

 基本的な気持ちは今も同じだ。馬派である。だがそんな視点はもう無理なのかも知れない。今年のダービーを考えるとき、どう考えても「主役は武豊」である。それだけ彼の技量が傑出しているということであり、彼と同時代にいることを競馬ファンとして素直に喜んでいるのだが、主役に挑む脇役の存在が薄いことは残念でならない。

 さて天皇賞。ここでもテーマはひとつであろう。和田テイエムオペラオーを武豊ラスカルスズカが負かせるかどうかだ。渡辺ナリタトップロードも大好きで、菊花賞では本命にしたのだが、あくまでもあれが人と馬の意地の限界であり、長距離を伸び伸びと楽しそうに走っているオペラオーとの距離適性の差はどうしようもないと思える。

 馬の力だけでいうなら、阪神大賞典で、オペラオーはラスカル以下を相手にしていなかった。図抜けている。どう考えてもオペラオーの2着探しという読みが正しい。

 が、ここに武豊という騎手がいる。彼になら、能力でまだ劣るラスカルスズカを何らかの方法でオペラオーに先着させる秘策があるかも知れない。そう思うと、やはり武豊という騎手がいてくれることに感謝したくなる。





◎テイエムオペラオー
○ラスカルスズカ
▲ナリタトップロード


■結果 1着 テイエムオペラオー
      2着 ラスカルスズカ
      3着 ナリタトップロード

 完璧的中。配当が安くてもこれは気分がいい。馬連は290円。トップロードのほうが人気があったので2番人気である。3連単があったら一点的中になる。どれぐらいだろう。10倍以上であるのは間違いない。だれでも出来る予想ではあるが、十日前の週刊誌予想なので、こんなことをやる人はいない。

============================================


inserted by FC2 system