人馬往来的中抄



■贔屓
-朝日杯3歳ステークス99

 来年からは天皇賞が、数年後にはダービーまでもが外国産馬に解放されることが決定している。もはや競馬の国際化は、反対すること自体滑稽なことになってしまった。
 こちらから向こうに行くのは自由なのに、向こうからこちらに来るのを制限するのはおかしいというのは正論だ。全ての馬が三大種牡馬に遡られる世界共通の財産である競馬は、国際的に競ってこそ華というのも本質論だ。文句のつけようがない。
 が、私は国際化に反対だった。それどころか「競馬鎖国せよ」とまで書いたことがある。高邁な理論は何もない。日高の生産者がどうのこうのなんてことも関係ない。要はただひとつ、「オレにとって競馬がおもしろいかどうか」である。
 競馬の楽しみとはなんだろう。私は「知っている馬の子供が走ること」だと思う。レース前に「この本命馬の××ってののオヤジはよ、すげえ速いんだけど、二千を越えたらピタっと止まっちゃうんだよ。おれ、何度も痛い目に遭ったんだ。あいつの仔だもんな、こいつにダービーは無理だよ」とか、「でもこの母親の△△ってのが、女馬のくせにやたらスタミナがあっただろう。ステイヤーズステークスで穴開けたじゃねえか。だいじょぶだよ、距離もつよ」とかやりあうのが、競馬の醍醐味だと思っている。それのない競馬は、たとえどんなに世界的名血馬なんてのが走っても、全然つまらないのだ。
 競馬の出発点が、強い馬が競うことなのだとしても、競馬ファン、馬券ファンの原点は「なじみのある馬が走ること」である。だから私は、知らない両親の仔ばかりが走るようになる国際化には反対だった。
 5歳四強(一頭は引退してしまったから三強か、いやエアジハードを加えて新四強だ)の中でスペシャルウィークが贔屓だったのは、母を知っており、その父がマルゼンスキーだったからである。彼は日本の誇るシラオキの血が母系に流れている日本的名血馬だった。一方、タイキシャトルやエルコンドルパサーの活躍に、昂奮しつつもどこか醒めていたのは、彼らの両親が知らない馬だったからだ。
 というわけで、朝日杯3歳ステークス。迷うことなく本命は笠松のレジェンドハンター。父のサクラダイオーはマルゼンスキーとサニースワップスの仔だから、サクラサニーオーの弟になる。母の父はサクラショウリだ。これだけ馴染みのある血統に肩入れしないわけには行かない。外国産馬に負けるなよ。アンカツ、中央GT初勝利だ。


◎レジェンドハンター
○トップコマンダー
▲カーネギーダイアン
△ノボジャック
△マイネルホクシン
△ラガーレグルス



■結果
 1着エイシン2着、レジェンドハンター、15.8倍。
 本線で取る。15万の浮き。最終のゾロ目を外したのが悔しい。誌上では外したが、それはこのエイシンの一勝馬が想定出走にいなかったからである。1勝馬ながら強気の挑戦、『日刊競馬』の飯田さんが本命にしたように、注目馬だった。レジェンドを軸にすると決めていたのだから簡単な馬券だった。この日はゾロメの日だった。これも5−5のゾロメだった。最終の2−2のゾロメ万馬券を馬体からチェックしていながらゾロメ嫌いで買わなかったことが悔やまれる。

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