人馬往来的中抄



■有終
-有馬記念99


 有馬記念の結果が出ないと年度代表馬が判らないというのは、よくあることだった。だがそれは、候補となるのがGT一勝馬ばかりで、どんぐりの背比べ状態、有馬を勝って二勝したものが当確になるというレヴェルの低い年の場合がほとんどだった。今年は違う。高すぎるのである。

 秋口まで「今年は年度代表馬がもう決まっているから、他の馬はあまり頑張る気がしないだろうな」なんて論調が目立った。何がどうあろうとエルコンドルパサーで決まりだったのである。
 ところがスペシャルウィークが驚異のGT連覇を果たしたものだから判らなくなってきた。なにしろ春秋の天皇賞連覇とジャパンカップ制覇はあのルドルフでさえ出来なかったことなのである。

 宝塚記念でグラスワンダーに完敗し、京都大賞典で惨敗したときには、もう燃え尽きたのではないかと言われたスペシャルウィークの復活、そして大活躍は、我が事のように嬉しいことだった。天皇賞とジャパンカップで◎を打ったことは、馬券は単勝しか取れなかったけれど、私のささやかな誇りである。

 年度代表馬投票権のある記者に訊いてみると、「凱旋門賞で日本馬があれだけの活躍をすることは何十年に一度のこと。エルコンドルパサーで決まり」という人と、「春秋の天皇賞連覇にJC勝ち。しかも凱旋門賞馬のモンジューを現実に破っている。文句なしにスペシャルウィーク」という人に分かれるようだ。

 これを競馬ファンとしてのタイプで分けると、理論派、国際派はエルコン、心情派、浪花節派はスペシャルとなるようである。
 難しい問題だ。でも贅沢な悩みでもある。マイル二冠のエアジハードや、有馬を勝ったらグランプリ二冠になるグラスワンダーでさえ届かないほど今年の年度代表馬争いはレヴェルが高いのだ。果たしてどうなるのだろう。

 さて有馬記念であるが。
 私はまずスペシャルウィークの単勝を買う。〃噂の大物〃だった3歳時から、この引退レースとなる5歳暮れまで大きな怪我も休養もなく、ずっと楽しませてもらったことへの感謝の気持ちである。近年、彼ほど古馬となってからも活躍したダービー馬はいない。私の大好きな武豊騎手に初めてのダービーとジャパンカップ制覇をプレゼントした馬でもある。
 が今回に限り、馬券的にはどうなのだろう。「JC好走馬は有馬では消し」は近年の鉄則である。パドックの様子次第では、軸をナリタに替えることも考えている。
 

 
◎スペシャルウィーク
○ナリタトップロード
▲グラスワンダー
△テイエムオペラオー
△メジロブライト


■結果
1着 グラスワンダー
2着 スペシャルウィーク
3着 テイエムオペラオー


■感想
 ゴール真ん前で観ていた。武スペシャルが一気に差し切った。秋のグランドスラム達成だ。武のガッツポーズ。馬連はあまりつかないし万が一もあるので単勝勝負だった。こちらもまたガッツポーズである。場内にはどっちだどっちだという声があったが、どうみてもスペシャルが差し切っている。グラスは2着のほうに入ろうとしている。ところがアッサリと着順が上がり、グラスが1着である。わずか4センチの差だったというが……。

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