平成二十三年初場所

2011/1/9~


初日
 白鵬の「父──おとうさんから父へ

 以前から白鵬の「おとうさん」が気になっていた。日本語もたどたどしい十代の平幕のころはそれでよかったが、大関となり、やがて年間最多勝を塗りかえる大横綱の道を歩むようになってもまだ「おとうさん」だったから、周囲にそれを教えてやる指導者はいないのかと案じていた。

 芸能人ならいい。それはそれでそのヒトのレヴェルがわかって愉しい。先日「さんま御殿」に具志堅が娘と一緒に出ていたが、娘はしっかりと「父は」と呼んで話していた。太田プロに所属し、すっかりおバカキャラになってしまった具志堅だが、躾のただしさがかいまみえた。
 
 大相撲の横綱がインタビュウで「おとうさん」はまずい。
 白鵬に罪はない。日本語で父親をおとうさんと言うと覚えた。こどものときはそれでいいが、地位のある社会人になったら「父」と呼ぶようにする礼儀など知るはずもない。指導できない周囲が悪い。

 昨年九州場所の優勝インタビュウで、「モンゴル相撲で五連覇した父に並んでうれしい」と語っていた。やっと直したかとほっとした。

 白鵬の父はモンゴル相撲で五連覇した大横綱だった。年に一度の開催だから五連覇とは五年連続優勝ということであり、またトーナメント戦だから、一度負けたら終りだ。いかに強かったことか。通算で6度優勝。
 さらにはメキシコオリンピックのレスリングで銀メダルを取っている。北京オリンピックの柔道で金メダルを取るまで、これがモンゴルでは最高だったから、まさに国家的英雄だった。英雄から生まれた英雄である。
 末っ子の白鵬は日本に来る15歳まで両親と一緒に寝ていた甘えっ子だった。父母もこの末っ子を溺愛したらしい。彼にとって「おとうさん」は敬愛する父を呼ぶのに甘えた響きをもったいいことばだったのだろう。

 モンゴル相撲は組みあうところから始まり、土俵がないから、強者が実力をそのまま発揮できる。あまり番狂わせはないようだ。変化技や土俵のある日本の方が連勝は難しいかも知れない。



 日本の相撲関係者がこの父の栄光を知っていたなら、帰国前日まで所属部屋が決まらず相撲界入りを断念するしかないというところまで追いこまれた白鵬の苦労もなかった。競馬で言うなら億の値がつく最高級の血統である。本来なら親方連中が札束を積みあげて勧誘する逸材だ。学生相撲の活躍者にはそうする。「我が部屋へ来てくださるなら、これだけの仕度金と、引退後の親方株を用意させて頂きます」ってなもんだ。出羽の海や武蔵川はこれで逸材を揃えた。

 白鵬がこんな目にあったのは、親方衆がモンゴル相撲のことなどなにも考えていなかったからだ。そこにはモンゴル人を見下す感覚がある。悪く言えばひとさらいだ。米櫃として「当たれば儲けもの、ハズレだったら帰国させればいい」という、その程度の考えだったろう。



 一所懸命努力して、周囲の日本人が感心するほど過去の相撲のことも勉強している白鵬はずいぶんと語彙が増えた。でもまだ発音はたどたどしい。モンゴル人力士はみな日本語がうまいが、朝青龍や鶴竜は特別な天才なのだろう。

 千代の富士や貴乃花が、自分と同じ苦労はさせたくないと我が子を相撲界に入れなかったのとは違い、白鵬は大好きなおとうさんと同じく自分も横綱になったことから、息子も横綱にしたいと願っている。三代の横綱が夢だとまだ息子が誕生していない頃から発言していた。琴ノ若(現佐渡ケ嶽親方)の息子と同じように角界入りすることはもう確定だ。まだよちよち歩きのこどもだが、先日の映像ではパパの真似をしてしこを踏んでいた。3歳になる娘は抱きついてほっぺにチューしながら「パパ、大好き」と言っていた。なるほど、こういう面でも一姫二太郎は正しいなとおもう。

 力士は早めに結婚すべきだ。世の中の晩婚の流れが相撲界にまで押しよせている。
 稀勢の里が一皮剥けるには結婚が一番だ。おそらく横綱大関になるまでは、としているのだろうが、それになるには結婚した方がいい。このままだとチヨスの二の舞いになる。

 ともあれ長年の懸案だった白鵬の「おとうさん」が無事「父」になって安心した年末だった。

 
 二日目  goo相撲中継の魅力
 gooがインターネットで大相撲中継をしていることは前々から知っていた。見る気はなかった。必要もなかった。部屋で生中継を見られるし、外出するときは録画にして行く。それでもリアルタイムで見たいときはケータイのワンセグで見ればよかった。

 そういえば、電車に乗っている時、相撲が気になってならず、録画はしてきたが、どうしてもリアルタイムで見たくなったことがあった。電車の中でケータイのワンセグを開いたが映りが悪くて視聴できない。東京都下。途中の駅で降りて、比較的受信できそうだと思われる空の開けたホームの端っこまで走って行って見た。あまり自覚はしていないが、こういうのを思い出すと私は相撲好きなんだと感じる。そしてまたそういう趣味があることはしあわせだと思う。ワンセグでテレビを見られる当時最新鋭のケータイを入手したのは2006年12月だから、2007年の初場所だったか。



 去年の九州場所、パソコン作業をしつつ何の気なしにgooに繋いだ。HDDは録画中だ。あとでゆっくり見るつもりだった。
 そのときgooの中継はアナウンスも解説もなく、場内にいるのと同じなのだと知った。それは父の死後、国技館に行っていない──九十二で亡くなった父は八十五歳以降生観戦していないから、国技館とは父と一緒に行くものだった私は、もう十数年国技館に行っていないことになる──私には、とんでもなく懐かしく心に染み入る「音」だった。そうだそうだ、相撲の生観戦てこんな感じなんだと、鮮明ではないちいさな画面を見つつ、私は大相撲の「音」に酔いしれた。

 私はgooのインターネット大相撲中継を、「ラジオテレビと同じ」と思い込んでいた。そうではなかった。gooの中継には実況も解説もなかった。ただ単純に場内の映像を中継しているだけだった。それはあっさり味だからこそ新鮮だった。

 これは南関東の競馬中継映像も同じだ。なかなかにいい。もっとも競馬中継は実況は入るし、さすがに入らないと困る。goo大相撲には実況もない。

 フジテレビのくだらない競馬中継もレース実況以外は無音になったらいいな。まあレース実況以外見ないけど。



 今回あらためてgooに繋いでみた。昨年の思いつき。今回はじっくり味わってみようとの「思い込み」である。
 前回goo相撲中継を見て新鮮に感じたのは「NHKではほとんど消されている懸賞金スポンサーの読みあげ」だった。NHKではかすかに聞こえるそれがgooでは明確に聞こえる。注意して聴くと、よりおもしろかった。永谷園が毎日複数の懸賞金を出しているのは有名だが、ああいうのは1本ずつ異なっていると知る。

 私が父と一緒に毎年のように観戦していたころもスポンサーの名は紹介されたが、当時は永谷園のように毎日複数の懸賞を出すような会社はなかった。だから私は当時の智識として、いくつもの勝負に複数出していても「株式会社永谷園から」のようなシンプルな読みあげだと思っていた。
 そうではなかった。永谷園も相撲ファンなら誰でも知っているお馴染みの谷町となり、それなりの出費をしているのだから、その辺にはこだわったのだろう、5本の懸賞金はみな1本ずつ「さけ茶漬けの永谷園」「梅干し茶漬けの永谷園」と商品名が個別に読みあげられるのだった。

 となると50本60本も懸かる千秋楽結びの一番なんてかなりうるさそうだ。延々とそれが5分以上も続き、もういいかげんにしてくれと言いたくなるだろう。私がそれを知らないのは、縁故のない自力での入場券購入なので、そういう大勝負の千秋楽は買えなかったからだ。買えるのは素人でも窓口で購入できる平日が多かった。一度でも体験していたなら、今更ここにこんなことを大発見のように書きこむこともなかった。初場所がガラガラなのを見て、時の移りを思う。

 毎度書くが、当時は二階の椅子席というひどい席でも6000円もした。まあ値段はいいけれど、なんとそれが「徹夜で並ばないと買えなかった」のである。昭和50年代だ。私は父のために徹夜で並んで買ったが、ラーメンを食うために並ぶようなことが好きなひとならともかく、それが大嫌いな私には、体力のありあまっていた二十代とはいえ、なんとも屈辱的な出来事だった。

 とまたここで考える。むかしのアナウンスは基本的に「株式会社××」だったのではないか。今のように「おいしさとろける旬の味、××」のようなキャッチコピーまでアナウンスするのは近年始まったことのように思う。



 画面は写真のようにちいさい。さらには鮮明でない。フルスクリーンには出来るのだろうが、南関東の競馬中継等と同じく、ぼやけてしまって見るに耐えない画像になる。このままの大きさで視聴するしかない。光ケーブルであり、それなりの能力をもっている私のデスクトップでこの程度だから、よりよい通信環境の最高級パソコンなら、もっときれいに、ということもないだろう。この程度のものなのだ。

 懇切丁寧なアナと北の富士や舞の海の解説、これまでの対戦成績、先場所の対戦ビデオなど、いたれりつくせりのテレビ桟敷と比べると、goo大相撲はな~んにもない。場内のざわざわした雰囲気の中にいるだけ。力士の名は呼びだしのときと行司が名乗るだけ。制限時間一杯も誰も教えてくれない。きわどい勝負になってもビデオ再生はない。スローの足もとアップもない。なにより実況がない。だからパソコン作業をしながらの「ながら観戦」なのだが、実際は「ながら」にはならない。よく見ないとわからないからだ。NHKのテレビ中継よりこちらのほうが真剣に見ねばならない。ラジオともちがう。ラジオはことばによる中継があるから「ながら」が出来る。goo大相撲は出来ない。真剣に見ないと判らなくなる。淡々と取組は進んで行く。ぼけっとして酒を飲んでいたりしたら、なにもわからんままに終ってしまうだろう。実際、何十回も国技館で観戦したが、父のお供、というか親孝行でチケットを購入し、雰囲気を楽しんだだけで、相撲は国技館で見ないとわからないとなどとリッパなことを言う気は毛頭ない。逆だ。相撲観戦はテレビが最高なのだ。でもそれとはまたちがう相撲が国技館にはある。まあこのへんは何事も同じだからむきになる必要もない。

 テレビで見る5時から6時の1時間は、情報が凝縮され中身が濃いが、現場でほろ酔い機嫌で観戦していたらあっと言う間だ。まあだからこそ昼から行ってのんびり楽しむのがいい。私も遅くても2時には行っていた。この辺の時間感覚もお江戸の時代が残っていて好ましい。
 テレビで3時から6時まで見るとあまりの情報量の多さにお腹いっぱいという感じになるが、現場で見ているとあっさりしたものだ。そのことをgoo大相撲を見て思いだした。



 goo大相撲をインターネット観戦してから録画しておいたNHKの中継を見ると、あまりの情報量のちがいに目が覚める思いがする。いや、くらくらする。ひなびた田舎からいきなり渋谷の真ん中に抛りこまれた気分だ。
 ここで「これからはgoo大相撲だけを見て観戦記を書く」なんて言うとかっこいいのだが、そうもなれない。あまりに相撲観戦のNHKスタイルに慣れすぎている。あれでないと物足りない。日本中の好角家のほとんどがそうだろう。本物の大相撲とは別に「NHK大相撲中継」というもうひとつの相撲が存在している。
 
 いいものを知った。もっとネット社会が充実して、画像が大きく鮮明になると、もっともっと臨場感が増す。今はまだ「取り敢えず見られる程度」でしかない。でもこれをやってくれているgooはえらい。gooは相撲サイトが充実しているように大相撲に好意的だ。大嫌いなYahooにも、こういうなにかがあると印象が変るのだが……。
 三日目  琴光喜復権はなるか!?

元琴光喜関:仮処分申請却下 東京地裁「解雇不当」認めず

 野球賭博に関与して日本相撲協会から解雇処分を受けた元大関・琴光喜関の田宮啓司さん(34)が、解雇は不当として地位保全などを求めて申請した仮処分を東京地裁が却下していたことが9日、相撲協会関係者への取材で分かった。既に、10年12月の協会理事会で報告されている。

 田宮さんは野球賭博に関与したことを協会に対して認め「当初虚偽の申告をし、大関としての責任も重い」として、10年7月に解雇処分を受けた。野球賭博に関与した関取(十両以上)は同月の名古屋場所時点の番付で12人いたが、解雇されたのは田宮さんのみ。他の関取は謹慎などの処分になり、本場所休場による番付降下にとどまった。
毎日新聞 2011年1月10日

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相撲協会:琴光喜関の「解雇処分見直しせず」

 野球賭博に関与して日本相撲協会を解雇された元大関・琴光喜関を支援する「琴光喜関を救う会」が処分見直しを求めた嘆願に対し、協会が特段の対応を取らないと回答したことが分かった。救う会側が12日、今月6日付で回答を受けたことを明らかにした。
毎日新聞 2011年1月12日

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 この件に関して注目すべきは白鵬を始め力士達が琴光喜の復帰を願っていることだ。
 現体制は文字通りのスケープゴートとして大嶽(貴闘力)と琴光喜を追いだし、それで終りにしようとしている。
 それが二所ノ関一門の掟を破って理事に立候補した貴乃花を当選させるために奔走した大嶽と、実質的に当選させる貴重な1票となった琴光喜に対する、二所ノ関(金剛)と放駒(魁傑)の意趣返しであることは明白だ。同じく票を投じて一門から追いだされた光法(前安治川)はいま、貴乃花から株を借りて二子山となっている。

 大嶽は追放となり退職金等もなし。琴光喜はクビではあるが退職金の2600万円は出ると報じられた。
 この件に関する多くの記事を読んだが、二宮清純が琴光喜にロングインタビューを敢行した文藝春秋2010年12月号が詳しい。ここで琴光喜は今も退職金を受け取らずに戦う姿勢をみせていると知った。受け取ってしまったら一件落着となる。
 意外だったのは、琴光喜が賭け事に狂ったのはプロになってからであり、学生時代はやらなかったということだった。学生時代からバクチ好きだと思っていた。また野球賭博も、自身は1万から5万程度の少額の賭け金だったと述べている。一回につき何百万という賭け金は真性の博奕狂である大嶽だったらしい。その大嶽が琴光喜を窓口にしていたのだ。大嶽がテレビインタビュウで「自分のことはどうでもいいが、琴光喜だけは許してやって欲しい」と泣いていたのを思い出す。

 仲介をやっていたたちの悪いのが、大関が闇博奕をやっていたことを封じるために350万ほど必要だと言ってきた。もちろんブラフだ。この時点で警察に相談すれば大事にはならなかった。それをすんなり払ってしまい、調子に乗ったそいつらは一億を要求してくる。自分たちも2千万を用意するから大関の方でなんとか8千万を作って欲しいと。
 大事になってしまったために琴光喜は協会からの問いにもひたすら知らぬ存ぜぬで通した。このことが協会幹部の心証を悪くした。というのが表向きの理由。こんなのも謹慎で十分だった。所詮個人の博奕話なのである。そのために金を盗んだりはしていない。根底には理事たちの貴乃花憎しがある。



 そもそも「正直に申告すればお咎めなし」と幹部連は言った。彼らもみな花札やチンチロリン賭博の中で育ってきている。入門した時からそれを見ている力士たちは、まさか同じ穴のムジナに責められることはあるまいと正直に申告した。だがそいつらは聖人君子の顔をして責めてきた。

 白鵬は花札など好きではない。あんなもの慣れ親しんできたものでなきゃちっともおもしろくない。でもそれが上のものから下のものへお金を回す相撲界慣習と思って参加した。正直に花札博奕に参加して5万10万のやりとりをしたことがあると申告した。まさか責められるとは思っていない。だってそれはすべての相撲部屋において日常的な風景だったのだから。なのに幹部はそれをマスコミに公開した。納得できないと彼が憤慨したのは当然だ。
 琴光喜問題が話題になったとき、相撲に興味もなく好きでもない連中が、「花札博奕をやっていた白鵬には横綱の資格はない」などと書きまくっていた。相撲界における花札博奕の日常性など、一度でも取材したひとなら誰でも知っていることだろうに。

 ひとり横綱として内心とは別のキレイゴトを言わねばならない白鵬なのに、先頭切って琴光喜の復職を願う発言をしている。完璧な成績を収め、いい子になる気ならいくらでもなれる白鵬が、あえてタブーのこの件に関して自ら口を開いている。それがいかにこの事件が矛盾に満ちたものであるかを物語っている。



 野球賭博は公営化すればいい。それだけの話だ。そうすれば政府の税収は増え、暴力団の資金源も断てる。
 欧米を礼賛するつもりはないが、こういうことに関してあちらはおとなだ。イギリスなんてなんでも賭けの対象にしている。そのことで問題も起きていない。假に起きたとしてもそれは個人の資質の問題でしかない。

 馬券は馬1頭1頭の順位を予測して買うのが自然なのに、それでは好配当が連続し「射幸心を煽る」と「枠連」などという奇妙なものを作ってきたのが日本の官僚だ。いかに国民を馬鹿にしていることか。それでいて懐が苦しくなると税収を伸ばすためならと一転して高配当馬券が連続する3三連単まで売りだす。しかし国民は誰も破綻していない。今までの見解がいかに上から目線の失礼なものであったことか。

 むしろギャンブルとしての野球がないことのほうが不自然だ。1試合の賭けはもちろんだが、リーグ優勝、全順位の予想なら一年を通じて楽しめるし、多くの参加者、売り上げが望めるだろう。いますぐやるべきだ。消化試合の最下位決定戦も、それによって全順位予想の配当が大きく変るとなれば注目を浴びる。



 初場所のゲストにデーモン小暮が出ていた。そこで相撲界の未来予想図をやった。デーモンはその番付に「琴田宮」を載せた。田宮は琴光喜の本名であり、これは最初の四股名だった。彼なりに琴光喜の復職をこういう形で応援したのだ。NHKからはやめてくれと言われたらしいが、頼んで無理に実現させたらしい。侠気である。
(ただし私はデーモン小暮の豊富な相撲知識には敬意を表するものの、彼が出ると相撲中継がバラエティになってしまうので、彼のゲスト出演は好きではない。)



 琴光喜が十両付出しとか、そんな形で復帰することはあるだろうか。私はそれを願う。
 だけど今の理事たちにそれをする気は毛頭ない。
 貴乃花理事長になれば実現する。しかしそのとき琴光喜はもう相撲は取れない。やはり無理か……。

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デーモン閣下発言が物議…NHK大相撲中継で夢番付に元大関琴光喜の入門時のしこ名「琴田宮」


 10日に放送されたNHKの大相撲中継で、とんだハプニングが起こった。
ゲスト出演した相撲通で知られるアーティストのデーモン閣下が衝撃発言。
来年初場所の夢番付という企画で、東前頭筆頭に「琴田宮」を挙げたのだ。

 琴田宮は昨年7月、野球賭博に関与したとして解雇された元大関琴光喜
(34)=本名・田宮啓司=の入門時のしこ名だ。日本相撲協会にとっては
心機一転を期す初場所だけに、触れてほしくない話題。加えて協会は10日、
田宮氏が力士としての地位保全を求めた仮処分申請が東京地裁に却下
されたことを発表したばかりだっただけに何とも間が悪かった。

 NHKは事前の打ち合わせでは「琴田宮」の名を出すことに反対したものの、
デーモン閣下が「それではデーモンを出す意味がない」と突っぱねたという。
デーモン閣下は「琴光喜に関しては処分に疑問を持っている。反省したうえで
十両下位からやり直してもいいのではという私見だった」と説明した。NHKの
演出に対し、一部の若手親方からは「ふざけている」という声もあがるなど
物議を醸している。
(2010/1/11 zakzak)

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 そういえば

 大の相撲ファンの愛子内親王は、その中でも琴光喜が贔屓だった。かなしんでおられるだろう。



 四日目
 本場所、初場所なのにガラガラ!

【相撲】初場所3日目、チケット5000枚売れ残る…国技館の半分が空席、ファン離れ深刻


 東京・両国国技館で11日に行われた大相撲初場所3日目は空席が目立ち、
チケットの売れ残り数が5118枚に上った。日本相撲協会広報部によると、
1985年1月の初場所で現在の国技館に会場が移って以降、年3度の
東京場所の1日の残券数としては過去最多。

 野球賭博問題など相次いだ不祥事からの再生を図る大相撲だが、横綱
白鵬関が獨走していることもあり、あらためてファン離れが浮き彫りとなった。

 これまでのワースト記録は昨年5月の夏場所2日目の4973枚だった。
現在、国技館では約10500席が用意されているが、3日目は半分が
空席だったことになる。
(共同通信)

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 枚数以前に、まるで九州場所かと思うほど空席が目立ち、愕然とする。
 懐に餘裕があれば、こんなときこそと駆けつけるのだが……。

 五日目
 立川親方、初日!

 解説は立川。先場所引退した土佐ノ海だ。読みは「たてかわ」。
 先場所、十両下位で負け越し幕下落ちが決定した時点で引退が決定した。なんともさびしく感じた。でもよくがんばった。なにしろ「東の尾曽、西の山本」で、武双山のライバルだったのだから。
 まだ髷を附けている。
 土佐ノ海は声が明るく語りも上手ですばらしい。出島が期待外れだっただけに土佐ノ海が当たりなのはうれしい。

○若の里 ●白馬
 若の里が初日から5連勝。なんと初めてとか。いちばん強かった時期、関脇で連続して二桁勝利を挙げていた。10勝、11勝と連続するのだが、どうしても決め手となる13勝の優勝争いが出来ず、大関になれなかった強豪だ。なのに初日から5連勝は今までなかったのか。意外。アナも尾車(琴風)もそれを連発。ひとしきり若の里讃歌。いい話だ。

○北太樹 ●高見盛
 まともにぶつかってのいい相撲だった。北太樹は頭を下げて突っこんで行く。このふたりだからいい相撲になるに決まっている。今日は気持ちのいい相撲が続く。最初にしらけさせるのは誰か(笑)。

○阿覧 ●徳瀬川
 しらけさせる相撲有力候補の阿覧だが、四つになり、力の入ったいい相撲を取った。最後は徳瀬川をひねって投げすてた。決まり手は下手ひねり。

○鶴竜 ●琴奨菊
 全勝の琴奨菊と全敗の鶴竜。琴奨菊は絶好調。先場所の復調から今場所も最高の出足が続いている。鶴竜は星は悪いが内容はいい。
 今日は鶴竜。双差しになっての完勝だった。解説では尾車が、琴奨菊が前みつを取りに行ったことが失敗と指摘。昨日までのようにまわしを狙わずぶつかればいいのだと。しかしそれは琴奨菊の熱心な鶴竜研究と、なんでも出来る器用さから来ているのだとか。
 何もないgooを見ていてテレビに来たので、あまりの至れり尽くせりに戸惑う(笑)。

○稀勢の里 ●安美錦
 連日稀勢の里がいい相撲だ。いよいよ開花か。先日読んだスポニチでは、大の稀勢の里贔屓の貴乃花(スポニチに解説連載)は、阿覧に負けた二日目を悔しがっていた。つまり全勝でいけたのに、という意見だから、いかに期待しているかがわかる。なにしろどこかの元柔道選手の国会議員みたいに「最高でも横綱、最低でも横綱」と口にしている。私には稀勢の里が、貴乃花がそこまで惚れこむ大物とも思えないのだが。
 負けた後、安美錦が立ち上がるとき、膝が痛そう。かなり悪いのだろう。痛々しい。

○栃煌山 ●日馬富士
 今日はもう土佐ノ海特集。思い出話が愉しい。高知県の話に花が咲く。栃煌山には中学生のときに胸を貸したことがあり、そのあとに栃煌山は中学生横綱になったとか。相撲界は狭いからみな接触がある。

 昨年は充実一途で、こども時代からのライバル豪栄道はもちろん、日本人大関期待度一番手の稀勢の里すらも抜いて日本人力士ナンバーワンに躍りでた栃煌山だが、いきなり先場所で急ブレーキ。わからんものだ。今場所も黒星先行。
 角番の日馬富士は体調が上昇したのか今場所はいい内容。全勝。
 ということで栃煌山好き日馬富士嫌いの私はテンションが下がっていたのだが、今日は栃煌山がおっつけ、それも左右両方からの強烈なもので日馬富士は何も出来ず。どっちが大関かわからないような一方的な相撲になった。なんだかもうよくわからん。でも対戦成績も栃煌山がリードだから、栃煌山は日馬富士に対して自信をもっているのだろう。

○琴欧洲 ●玉鷲
 首を押さえてのかなり強引な下手出し投げだった。誉めるほどの内容ではないがカロヤンが勝ったからよし。

○把瑠都 ●栃ノ心
 しらけ候補最有力の把瑠都だが、これまたすばらしい内容の相撲で満点。白人大男二人の力の入ったがっぷり四つは迫力充分。
 栃ノ心はまだ初日が出ない。でもこのひとの相撲は好きだから不満はない。尾車は攻めが遅いと指摘していた。玄人から見ると細かな缺陥がまだまだあるのだろう。私の「次の大関候補一番手」は今も変らず栃ノ心だ。

○魁皇 ●豊ノ島
 魁皇が全盛期のような強さ。豊ノ島を相手にしなかった。すごいな。先場所今場所と。尾車が「溌剌としている」と言った。私は元気いっぱいの魁皇に「溌剌」ということばが思いうかばなかった。恥ずかしい。魁皇1030勝。インチキチヨを抜くまであと15勝。がんばれ。

 豊ノ島は、教師をしている土佐ノ海の弟の教え子なのだとか。教え子というより弟も相撲を取っているから弟子になる。土佐ノ海はそのころから「強い子がいる」と知っていたそうだ。土佐ノ海の弟は角界入りするほど強くはなかったのか。

○白鵬 嘉風
 今日の解説尾車は、結びで嘉風が白鵬とぶつかるから解説に選ばれたのか。しかしスケジュールはもっと前に決まるから単なる偶然か。それとも「この日あたりに嘉風が横綱とぶつかる」との読みがあってのものなのだろうか。取組気が決まるのは二日前だ。でも番付からだいたいは読める。NHKスタッフの読み通り、と解釈すればいいのか。

 白鵬、すばらしい立ち合いから、残念なはたき込み。引き技はつまらない。
 それで決まったと思った白鵬は力を抜いた。もどろうとしている。だが地を這いそうになりながらも嘉風はまだ倒れていなかった。足にしがみつくような形になる。まあもう足が流れていてここからの逆転はなかったのだけれど、白鵬がもう力を抜いていて、向きを変えていたからひやっとする。

 しかし見事だったのはここからの白鵬の反応。まだ倒れていないと気づくと、くるりと振り返り、嘉風がしがみつくようにして取りに来た足をすっと引いてとどめを刺した。この運動神経、反射神経のよさは特筆もの。アナも同じ事を言っていた。相撲ファンにはなんとも印象的なシーンだった。あまりいい相撲ではなかったが、これはこれで見せ場だった。

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 土佐ノ海の引退相撲は5月28日とか。この話を振られたとき土佐ノ海は、「5月28日土曜日です」と、ここだけは番宣に出て来たタレントのようだった(笑)。それこそ「皆様、ぜひ御来場ください」と言いたかったことだろう。
 今日の解説デビュウ戦は合格。さて、これから人気解説陣のひとりとなれるか。



 六日目
 客が入ってない!

○翔天狼●高見盛
 待ったの連続の後、高見盛の立ち遅れがあり、というか翔天狼のフライング的な突進であっけない結果。アナも北の富士も苦言を呈する。相撲の魅力と基本が立ち合いにあることがよくわかる。外国人力士はお互いに気を合わせて立ち合う相撲を不思議でありおもしろいと言うとか。

○北太樹●若の里
 若の里が攻めこんだが、速い動きの連続から土俵際で北太樹が躰を入れ替えて勝ち。若の里、初日からの全勝が途絶える。でも今場所は元気。同部屋で一緒に時代を作った隆の若はいまタレントになっている。なかなかの美男で、力士時代も話題になっていたが、いい男なんだなとあらためて思う。大成できなかった隆の若の分も若の里には土俵にあがっていて欲しい。

 これで全勝は白鵬と栃乃洋になった。これまたベテランの活躍。うれしい。まあ二桁までは無理かも知れないが気分良く一気に勝ち越して欲しい。

○豪風●土佐豊
 首投げの打ちあい。豪風の十八番。ふたりで打ちあって土俵下に落ちる。場内、大いに沸く。北の富士がこれぐらいの相撲が見たいですよねと言う。相撲内容にファンは敏感に反応する。しかしこれ、gooだとあまりそうでもない。音を拾うマイクの場所の問題なのか。

 今場所も客の入りが悪い。カメラを引くと空席が目立つ。それでも今日はまだましなほうか。ずっとひどかった。

 向正面解説は境川。両国だ。印象の薄い力士だったが王道路線を歩んでいる。そもそも両国というのは最高級の四股名だから、それだけ期待の力士だったことになる。親方になるのは圧倒的に大卒が多い。これはスカウトされる入門時にそういう約束をすることが最も大きな理由だが、部屋経営に関しては彼らの方がまともということもあるのだろうか。輪島に代表されるように大学相撲部は名前さえ書ければ入学できるので力士の大卒肩書には意味はない。それでも中学を出てすぐに角界入りする連中よりはいくからましなのだろうか。知りたい事実である。

○徳瀬川●旭天鵬
 今場所の旭天鵬は黒星先行。ほんとにエレベーター力士(笑)。そんなに番付によってちがうものなのか。

○安美錦●嘉風
 安美錦と嘉風の対戦。二年ぶりとか。毎度毎度こういうのが不思議でしょうがない。毎場所やっているように思うのだが。
 がんとぶつかった安美錦がすぐに引く。一気に嘉風が押しだした。軍配は安美錦。もの言い。でもヴィデオで見ると安美錦の足が残っていた。だけど相撲は嘉風のもの。気の毒になる。好きな安美錦だけど悪い相撲だ。
 これまた毎日の感想だが、土俵下に落ちた安美錦は立ち上がるのさえつらそう。膝はとんでもない状態なのだろう。逆に言えば、このひとの膝が万全だったら、それだけで大相撲全体のおもしろさがちがっていた。それぐらいのキイマンだ。

○鶴竜●豊ノ島
 激しい応酬の末、鶴竜の勝ち。豊ノ島は初日に把瑠都に勝って以来黒星街道。相撲内容はいいし相手も上位ばかりなので私は気にしないが、北の富士が「研究されている」と意味深発言。ここのところの大活躍で相手がみな豊ノ島の相撲を研究しているとか。なるほど、そういうこともあるのか。豊ノ島はちいさいのに王者の相撲を取る人だから研究されやすいのだろう。これから勝ちこせるか、見ものだ。二場所連続で活躍してきてもここで止まったら意味がない。



 琴奨菊と稀勢の里が入場。関脇同士の対戦。アナも北の富士も「もったいない」と言う。好調なふたりの対戦がこんなに早く実現するのはもったいないというわけだ。私と父が観戦に行くのはこういう早い時期の平日が多かったから、こんな対戦が目玉だった。「もったいない」という感想はあろうが、そんなことを言っていたら終盤にならないと客は入らないことになる。
 というところでふたりが登場。今場所はどんな相撲になるか。

○琴奨菊●稀勢の里
 一気に琴奨菊が突進してがぶった。そのままかと思ったが、そこで受けとめて粘るから稀勢の里もたいしたもの。しかしそこからもういちどがぶって琴奨菊の勝ち。完勝。会心の一番だろう。1敗同士の対決は琴奨菊が征した。

○豊真将●魁皇
 攻めの遅い豊真将が今日は休むことなく攻めて攻めて攻めぬいた。しかしそれを受けきるのだから魁皇も元気だ。まだまだ動ける。受けとめて腕を極めに行ったから逆転かと思う。そのあとのすくい投げで魁皇の膝が崩れた。これは豊真将のすばらしい相撲。でも北の富士が魁皇を誉めていたように魁皇も強かった。判官贔屓で異常な声援を受ける魁皇が敗れたのに場内に好意的な拍手が沸いたのは内容が良かったからだろう。

 豊真将の勝利インタビュウ。人柄のよさが伝わってくる。豊真将も早くいいお嫁さんをもらったほうがいい。

○玉鷲●日馬富士
 激しく頭からぶつかる。玉鷲が押しこみ、日馬富士は苦しまぎれのとったりに行くが、そのまま空を飛んだ。玉鷲の馬力が目立ったが日馬富士の負けかたがあまりに無惨。北の富士は頭がぶつかったときに脳震盪状態になったのではと推測。

 初めて大関に勝った勝利インタビュウの玉鷲がういういしい。ほんとうにうれしそう。こちらまでうれしくなる(笑)。

○琴欧洲●栃ノ心
 大好きなふたりなので応援に困る。わたし的には毎場所楽しみな夢の対戦。外人嫌いにはなんの興味もない一戦か(笑)。がっぷり四つから琴欧洲が投げすてる。上手出し投げ。地力のちがいとはいえ栃ノ心がもろすぎる。足が悪いらしい。心配だ。

 琴欧洲の大関在位が31場所とか。師匠の先代佐渡ケ嶽・遅咲き琴櫻が32場所と聞いて驚く。琴櫻なんて琴欧洲の何倍も大関をやっていたような気がする。こういうことを教えてくれるからNHKは親切だ。
 琴欧洲は万年大関で終ってしまうのか。それだけ琴櫻とはちがい出世が速かったことではあるのだが。

○把瑠都●栃煌山
 今場所は大嫌いな張り差しがすくなく気分がいいが、唯一連発しているバカが把瑠都。毎日最悪の相撲を取っている。見たくない。不愉快だ。
 今日も右からの張り差しで棒立ち。栃煌山にもぐられ攻められっぱなし。いいとこなしだが、土俵際力任せにふりまわして勝ってしまう。アナも北の富士も「めちゃくちゃ」とか「いいとこなし」とかボロクソ。ほんとにくだらない。体力だけで毎場所10勝ぐらいは出来るだろうが、こんなのを応援してきたのかと思うとバカらしくて筆が進まない。ほんとに最悪だ。

○白鵬●阿覧
 稀勢の里に負けてから白鵬は18連勝。これは立派。連勝が途切れた後はみな崩れる。双葉山も大鵬も。まあ大鵬は誤審だったからよけいに落ちこんだろう。白鵬は立派。そこから崩れなかった。
 昨日の嘉風戦の白鵬の話。あの反射神経はすごかった。「勝ったので引きあげようと思ったら、残った残ったの声が聞こえたので、また動いた。躰が動いている」とのこと。

 阿覧は去年二桁勝利が3場所もあったとか。なにひとつ記憶に残っていないのは内容が悪いから。このひとは嫌いだ。いわゆる白星至上主義。勝つためなら大きな体で変化でもなんでもやる。

 今日は正面からぶつかるいい立ち合い。だけど白鵬がすぐに引いた。これはよくない。阿覧に押しこまれてから体勢を立てなおすと巧さが桁違い。双差しになり、腰を低く落として万全の態勢で寄りきった。しかしあの引いたとき、策のある力士ならもっと危なくなったろう。力のちがいで勝ったが誉められた内容ではない。

 場所前の稽古の感想として、北の富士が白鵬の摺り足のすばらしさを讃えていた。これはほんとうにすばらしい。地に吸いついているよう。バカ把瑠都はこれから覚えないとダメだ。


七日目

 高見盛と若の里。
 中学時代からのライバル対戦。同い年。同級生。対戦成績は若の里の20-4。こどものころから高見盛は勝てなかったとか。若の里は中学を出てすぐ角界入り。高見盛は日大を経由しての角界入り。力士として格は遥に若の里の方が上だった。

 今日の解説は正面が九重。向正面が琴錦の秀ノ山。傲岸と軽薄のふたり。嫌いだ。つまらない。今日の私は燃えないな(笑)。

 すごいぶちあたり。好もしい。若の里、圧勝! これで対高見盛戦13連勝。
○若の里●高見盛



 豊真将と栃ノ心。大好きなふたり。どっちを応援するか。
 がっぷり四つになっての激しい攻防に大きな拍手が沸く。栃ノ心が吊りつつ寄る。それの二度目が功を奏して寄り切り。敗れた豊真将の叮嚀なお辞儀。いい相撲だったなあと感激しているところに軽薄な琴錦のヘラヘラしたしゃべり。じゃまだ(笑)。
「足が悪い」と言われる栃ノ心は左腿の上の方にバンドのようにテーピングしている。どこがどう悪いのか。今日のがんばりを見ると重症とも思えないが。
○栃ノ心●豊真将  



 琴奨菊と安美錦。いい取組が続く。安美錦の右膝のサポーターはもうサポーターというより補助器具のようなぶ厚いのが何重にもなっている。テリー・ファンクがふだんはほとんど歩けないぐらい悪い状態でも、リングにあがったらそれなりに動いたように、土俵の上だから動けるのだろう。なんとも痛々しい。
勝負は琴奨菊のがぶり寄り。一方的。一敗堅持。
○琴奨菊●安美錦



 稀勢の里と豊ノ島。今日はいい取組ばっかりだ。豊ノ島ひとりがもどってきただけで一気に番組が充実する。
稀勢の里圧勝。今日の相撲を見ると豊ノ島のちいささが目立つ。稀勢の里の左のおっつけがうまかった。
○稀勢の里●豊ノ島



○把瑠都●玉鷲
 たがいに戸惑ったようなひどい立ち合い。把瑠都が押しこんで、引く。くだらん相撲。ほんとにどうしようもない。九重も苦笑。あまりにくだらないので触れる気になれない。



 魁皇と鶴竜。鶴竜は星は悪いがさすがと思わせる相撲を見せている。勝つためなら変化でもなんでもするが、ここのところ変化していないのはいい。
 と書いたらバカ鶴竜が変化。勝ったが場内には失望のためいき。
 通算勝利1045勝にあと15勝と迫られている九重は、早く抜いて欲しいと話していたが、魁皇が負けてうれしそう(笑)。アナが鶴竜の変化に落胆したと伝えるがよく見ない魁皇が悪いと鶴竜を庇う。
 変化はつまらない。
○鶴竜●魁皇



○日馬富士●阿覧
 ここのところ阿覧に気迫がない。気抜けした相撲を取っている。これでまた後半は星稼ぎに変化を連発するのか。
 連敗していた日馬富士はこれで5勝2敗。今場所負け越して大関陥落し、四股名を安馬にもどしての出直しを期待していたのだが、これだと勝ち越してしまうか。残念。



○琴欧洲●嘉風
 嘉風がもぐった。上から琴欧洲が押さえる形。思わず「ダブルアームスープレックスだあ!」と思う。双差しではないのでそれはないけれど。
 前にもこんな形の時があった。首が極まっているのであぶない形。なんとか投げすてた。これで6勝1敗。なんとか前半をまともな成績で乗りきりそう。ほんとにカロヤン、もっとがんばってくれよ。



 白鵬と栃煌山。
 先程白鵬の6日間の相撲を流していた。今場所は白鵬は一度も張り差しをしていない。見事なきれいな立ち合いばかり。連勝が途切れたことで心に餘裕が生まれたのだろう。
 連発していた昨年は、突如ひとり横綱になってしまった不安、連勝が始まるとそれに関する不安が芽ばえ、それを象徴するかのようにやたら張っていた。
 朝青龍もそうだった。稽古不足の休場明けでは連発した。実戦が稽古になり、なんとか全勝で勝ち越すと、そのあたりから出さなくなった。実戦の勘と自信がもどり、出す必要がなくなったのだろう。

○白鵬●栃煌山
 今日もきれいな立ち合い。立ち合いが遅れ一気に追いこまれた栃煌山が引いたので一瞬落ちるかとヒヤっとしたが、地に足が吸いついているかのような白鵬は落ちない。見事。
 きれいな立ち合いの白鵬を見ているとたのしい。それにしてもあの足の送りはすばらしい。



 栃乃洋が7戦全勝。どこまで行けるか。楽しみだ。
 

 中日
 中日で全勝は白鵬だけ

○翔天狼 ●栃乃洋
 翔天狼のすばらしい突進に押された栃乃洋は苦しまぎれに引いてしまう。そのまま土俵を割った。中日勝ち越しはならなかったが翔天狼の相撲がいいので納得できる。場内も好意的に沸いた。37歳のヴェテラン、ここで気落ちせず勝ち越しと二桁勝利をめざして欲しい。



 解説が千代大海と栃東(笑)。見苦しいツーショット。ヤクザ顔。
 ふたりの対戦成績は18対16で栃東がリードとか。どうでもいいや。え~と、一応書いとくか佐ノ山と玉ノ井か。ほんと、どうでもいいや。
 同い年で、中卒の千代大海が先に入門とか。栃東は明大中野を中退だったか。

 ふたりの特集。ふたりの掛けあいのしゃべり。つまんねーな、消そうかな。ファンはたまらんだろうが嫌いな俺は気分悪くて見ていられない。パソコンのgooにしようかな。



○若の里 ●木村山
 若の里が強い相撲で7勝目。解説のふたりと同い年とか。千代大海が若の里は相性がよかったと語る。そうだったか。



 高見盛登場で大声援。
 今日は満員なので歓声の凄さががらがらのときとはぜんぜん違う。満員はすばらしい。今場所3回目とか。いつといつだ。ガラガラだけは印象的だが。

○臥牙丸●高見盛
 高見盛が悪い立ち合い。今日の負けは自分の責任だ。
 高見盛も若の里と同い年だから当然解説席のふたりとも同い年。その辺の話。高見盛はアマ横綱になって日大を出てからの入門だから一番遅いことになる。


 思えば私はチヨスが前頭から大関に上がるころの日の出の勢いのころは大好きなのだった。しかしそのあとのろくでもない大関時代があまりに長く、いい想い出はみんな消えてしまった。覚えていない。

 しかし「ダブル解説」だとかで正面にふたり並んでの解説はきついなあ。栃東の優勝時のビデオ。平成14年。本割でチヨスが勝てば優勝。なのに突っ張っても突っ張っても勝てない。このときもう「新大関の栃東か、復活の千代大海か」と言っているように、この時点でもうチヨスは全盛期を過ぎていた。しかしこれからまた7,8年取るんだからすごい。いや、ひどい。栃東が本割で勝って決勝戦。栃東の変化(笑)。優勝決定戦で変化する新大関。クソである。こんなバカなふたりの相撲は見たくない。

 NHKのアナは、九重の時にいつも思うのだが、この種の元人気力士が解説に来ると、ファン気質を表に出す。今日もそれが全開だ。それはいいことだろう。どんなスポーツでもアナや解説、ゲストに愛情が感じられないと白ける。
 しかしまた逆に九重、栃東、チヨスが好きでない身には、はしゃぎまくるアナとの語りを聞くのは辛い(笑)。

 おっ、長島だ。今日は長嶋が観戦している。国技館での観戦は初めてだとか。アナも「あ、あれは……。長嶋監督が見えていますね」と偶然発見したようなことを言いつつ、国技館観戦は初めてと解説するのだからミエミエだ(笑)。



○豪栄道 ●嘉風
 豪栄道の激しい突っ張りに会場が沸く。ほんとに満員だとテレビから伝わってくる歓声がぜんぜんちがう。ここのところテレビの音が悪いので外附けスピーカーを繋いで聞いている。するとその辺のちがいが明確に解る。
 嘉風8連敗。豪風、嘉風の尾車勢が大活躍したのっていつだっけ、先場所? 先々場所? なんでこんなに波があるのだろう。



 まあ今日の相撲は「栃東、チヨスのダブル正面解説」がすべて。好きな人は最高の日になったろうし、嫌いな私は最悪の日になった。



 栃煌山と鶴竜。対戦成績は8-8。しかしここのところ栃煌山が4連勝。さて今場所はどうなるか。
○鶴竜○栃煌山
 鶴竜が左からの張るような双手突きのような立ち合い。栃煌山は怯まずに突っこんだが、そこをはたき込み。つまらない相撲。アナも「熱戦になるかと思われましたが……」という言いかた。失望。鶴竜にはこれがある。栃東に似ている。巧い力士で嫌いではないのだが、もう一歩好きになれないのはこのへんが理由。



 チヨスと栃東がえらそうなことを言っている。引退するとみんなリッパなことを言いだす。おまえらにその資格はあるのかと私はどうしても楽しめない。



 琴奨菊と豊ノ島。楽しみな一番。中学時代からのライバル。対戦成績は琴奨菊が圧倒。豊ノ島が引いてしまう。ダメな相撲。琴奨菊1敗堅持。
○琴奨菊●豊ノ島



 琴欧洲と稀勢の里。かつてのライバル。今日も地元から応援団が来ているのか稀勢の里、大声援。カロヤンがんばれ。勝った。よかった。こういう取組になると感情が出る。白鵬に勝ってからの稀勢の里の充実は評価しているし、追いぬかれたかと思われた栃煌山の停滞で、ふたたびいま期待される日本人力士のナンバーワンだろうが、対決となると私は琴欧洲好きを確認する。
 カロヤンこれで7勝1敗。がんばれよ、13勝ぐらいしてくれ。

 トチとチヨスが稀勢の里に言いたい放題。なんだか腹立ってくる。なにをえらそうに!



○把瑠都●豊真将
 仕切りをずっと下がっての豊真将の仕切り。先場所はこれで勝った。ぶつかりあいから把瑠都の勝ち。毎日ろくでもない相撲の把瑠都だが今日はまあましなほうか。



 魁皇登場でまた会場熱狂(笑)。テレビから熱狂が伝わってくるのは気持ちいい。やはり満員でないとね。

○魁皇●阿覧
 四つになり、しばらく取れなかった右上手を魁皇が取った瞬間、ウォーっと沸く。さすが国技館に行くだけあって解っているファンだ。強引に引きつけて寄り切る。この形になると怪力阿覧も形なしだ。
 ここのところまともな相撲を取っている阿覧はいいとこなし。けっきょくこのひと、外連に走るしかないのか。



○日馬富士●徳瀬川
 日馬富士完勝。6勝目。どうやら私の望んだ「大関陥落で四股名を安馬にもどす」は無理のよう。残念。



○白鵬●玉鷲
 白鵬完勝。今日もいい立ち合い。今場所の張り差しなしが連続する。うれしい。
 ここのところ負けた相手への気遣いも常に心懸けている。大横綱への道、邁進だ。しかしここまでいい立ち合いが連続すると、連勝のころのあの醜い立ち合いはなんだったのだろうと不思議にすら思う。
 

九日目

 鶴竜と安美錦。鶴竜の昨日のつまらない相撲は、考えすぎだったと自己分析しているとのレポート。
 安美錦が素早く立って右からおっつける。立ち合い負けした鶴竜が力を入れる瞬間にはたき込み。つまらない相撲。当たり負けしたのが敗因と北の富士。熱戦を期待した方が悪いのか。
○安美錦●鶴竜



○豊ノ島●栃煌山
 ぶつかって、すぐはたく。決まり手は引きおとし。解説陣は簡単に落ちる栃煌山を批判。ヴィデオで見ると足を置いたまま状態だけが出ている。飛びこむようなポーズ。これで落ちる。こういう負けがなくなって関脇で二桁勝ったのだが、また悪い相撲になってしまった。ふたりともこれで2勝7敗。



○稀勢の里●栃ノ心
 栃ノ心が左に変化して上手を狙う立ち合い。こんなことをしていてはだめだ。これで負け越し。1勝8敗はひどい。



○琴欧洲●徳瀬川
 先場所の琴欧洲が投げすてられたビデオが流れていた。あらためてひどい相撲。腰高のまま無理に寄っている。あれなら誰でも投げに行く。投げられる。素人だ。今場所も同じ形になったが今回は腰を落としつつ寄って勝ち越し。よかった。



 把瑠都と日馬富士という大関同士の対戦。今場所ももう大関同士の対戦になった。早いものだ。
 ともに双手突きのような立ち合い。すると体力差で把瑠都が前に出る。押された日馬富士がたぐりつつ交わし、もぐるように突っ張って行く。把瑠都の方が手数がすくないが威力がちがうので日馬富士は劣勢になる。それでもまた攻撃をかわしつつの反撃で土俵際に追い詰める。これで終りかと思ったら把瑠都が俵に足を置くような状態でもなんとか残し、そこから反撃。その一、二発で日馬富士が飛んだ。パワーの違い。

 バタバタしたひどい相撲。把瑠都のバタ足の缺点が目立つ。とても誉められたものではない。
 なのにアナは「把瑠都らしさが出た相撲」と誉める。向正面の千賀ノ浦に話を振ると、千賀ノ浦も誉める。そうかあ? ひどい相撲だぞ、これは。
 アナが北の富士に降ると北の富士は「ドタバタした、ねぇ」と誉めない。当然だ。北の富士がただしい。
○把瑠都●日馬富士



 魁皇と琴奨菊。ぶつかってはたき込み。一瞬。つまらない相撲。晩年の魁皇の十八番だからしょうがないか。アナも解説も魁皇の出足がいいから決まったのだと誉めるが、肝腎の魁皇は苦い表情。またやってしまった、のような。
 それを思えば、琴奨菊と五分にぶつかって、琴奨菊がまわしに手を伸ばしつつ、さあ攻めるぞという瞬間に引き技だから、これはこれで名人芸か。
○魁皇●琴奨菊



 白鵬と豊真将。
 出ましたバカ白鵬9日目に無意味な右の張り差し。負けろ、バカと思ったら見事に負け相撲。
 いなされて躰が泳ぎ、最後は片脚立ちで残った。決まり手は突きおとし。写真のときに手を突いていれば豊真将の勝ちだった。

 北の富士が「ひさしぶりの張り差し」と指摘し、「失敗でしたね」と断言。北の富士も前々からなんで張り差しなんかするんだろうと言っている。
 まあ今場所初めてだし、ひやりとしたことで反省し、しばらくまた封印するだろう。
 今場所は白鵬に無意味で下品な張り差しがなく気分良く見られていたがとうとう今日出てしまった。
 今日はつまらない相撲ばかりだった。低調な一日。つまらない九重と琴錦の解説や、くだらないチヨスとトチの掛けあい漫才風の解説で最悪の日が続き、解説陣がまともになれば相撲内容がひどい。つまらない日が続く。

○白鵬●豊真将

 上の写真があぶなかった瞬間。下は一本足で粘り、豊真将がふっとんだところ。しかしこれだと白鵬が豪快な投げを決めたようだが、豊真将はいきおいで吹っ飛んだだけ。白鵬は身をかわしただけだ。



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【附記】風邪? 意識朦朧?

風邪の影響もあり、前日9日目の豊真将戦は辛勝だった。宮城野親方(元前頭竹葉山)は「本人は(立ち合いの)張り差しを覚えていない」と、意識もうろうとしていたと明言。だが胸や背中にハチミツを塗ってたたく異色の治療法の効果もあり、この日はかなり回復した。 (19日のニッカンスポーツより)

 本当に意識朦朧としていて張り差しを覚えていないかどうかは不明だが、張り差しが、そういう不安のあるときに出るチンピラ技だと、このことでもまた確認できる。体調万全で精神的にも餘裕のある白鵬なら決して出す技ではない。

 

十日目
 八角、最高!

 徹夜だったので、テレビ桟敷にすわった中入り後のちょうどいい時間あたりに眠くなってきた。
 適確ないい解説をしている声が聞こえる。今日の解説は誰なんだろうとうとうとしつつ思う。
 傲岸な九重に続いて、チヨスとトチのバカふたりの掛けあい解説とかくだらんものが続いていた。
 今日の解説はいいなあ。誰なんだろう。正統派だ。しかも痒いところに手が届いている。それをフォローする向正面の舞の海もいい。

 三役クラスになるので眠い目を擦ってテレビに向かう。
 八角だった。北勝海の解説がいかにすばらしいかは何度も書いているのだから声でわからねばならないのだが、まだそこまで私は彼の声を覚えていないようだ。

 ろくでもないものが思ったよりもよくなったと見直すのも愉しいが、いいものがやっぱりいいと確認するのも最高だ。八角の解説のお蔭で愉しくテレビ観戦できた。
 しかし肝心の相撲内容の方はお粗末。


 
 その最たるものが把瑠都。とにかくバタバタした立ち合いで隙だらけ。なんでこんなひどいことになったのか。
 最後は阿覧に吊り上げられた。これで2敗目だが、ここまで2敗で来られたほうが不思議なほど連日ひどい内容。





 豊真将が琴欧洲を破った。琴欧洲も2敗目。早くもトップの白鵬との差は星ふたつとなった。
 豊真将のいい相撲、完勝だった。昨日の白鵬戦が惜しかっただけに気落ちするかと思ったら逆に張り詰めてきた。たいしたものだ。勝利インタビュウ。昨夜は師匠の寺尾と一緒に食事をしたらしい。ああいう立ち合いをする限り、白鵬が絶対でないことを確認して、悔しいけれど明日のある食事だったことだろう。
 とにかく受け相撲の豊真将がここ数場所攻めるようになっている。これは大きな変化だ。

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 これはニッカンスポーツの星取表。一番売れているスポーツ紙だけあって相撲欄も充実している。



 5枚目ずつ区切ってあるのでわかりやすい。この前頭5枚目内に定着するのが自力のあるヴェテラン力士、先のある若手力士だ。だいたい常連で埋まっている。
 私の好きな栃ノ心は来場所ひさびさに下位まで落ちる。復活して欲しい。いつもこの中にいる豊ノ島が今場所不振で来場所はまた落ちてしまう。でもこれまでの対戦相手が上位ばかりだから、ここから粘ってなんとかこの中に止まるか。

 旭天鵬や時天空はこの中を上下するエレベーター力士。
 ケガをしてからの高見盛はすっかり5枚目以下が定位置になってしまった。
 若の里は勝ち越してまた上にもどれるか。
 豊真将も上がっては落ちてくるひとだったが、今場所はなんとか勝ち越して定着してほしい。

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 白鵬は昨日の反省があって、さすがに張り差しはしないだろうと思っていた。今日の相手は好調の琴奨菊。
 白鵬のほうから琴奨菊のお株を奪うがぶり寄りをやったらおもしろいのになと思っていたら、見事にやってくれた。満点の相撲。
 十一日目  大相撲の危機

9日目も館内は空席が目立ち、5364枚の残券が出た。

 東京場所の1日の残券としては3日目の5118枚を超え、最多となった。ただし、昨年秋場所から相撲案内所が扱っていたチケットの売れ残り分を相撲協会が買い取るシステムに変更。そのチケットが売れ残った場合も残券として加算されている。相撲協会広報部も「空席が多いことも事実ですが、実態は数字ほど悪化していない」と説明した。
(スポニチ)

 実態ウンヌンより、見ていてさびしい。空席ばかりだ。本場所の初場所がこれでは、いよいよ深刻な危機である。NHKの放送の契約金があれからなんとかなっているが……。
 と思っていたら。

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NHK:BSの大相撲中継、春場所で終了

 NHKは19日、BS2の大相撲中継を3月の春場所で終了し、5月の夏場所以降は総合テレビだけで放送すると発表した。

 NHKのBSが4月1日から、現行の3波から2波(BS1、BSプレミアム)に再編されるのに伴う編成。現在BS2では、午後1時から同6時まで生中継。決定により、幕下以下の取組は生中継されなくなる。


 これまた残念な結果。私はBSとかCSとかには無縁なので直接は関係ない。
 以前住んでいたところでほんの2年ほどBSが見られたことがあった。相撲と将棋が楽しみだった。将棋は竜王戦と名人戦がほんのすこしだけ。年に数回。相撲は前相撲からやってくれる。

 午後1時から閑散とした場内の、まだ躰の出来ていない若者の相撲を見つつ一杯やっていると、満員になる中入り後のころはもう出来上がってしまったりするのだが、たまにやる平日のこれは、なんとも愉しいものだった。
 
 じつにもう、さびしい話だ。
 私はテレビをもう見なくなっているし、デジタル切換を機に完全に縁を切ろうと思っているのだが、唯一あたらしいテレビを買い、BSなるものに繋ぎ、この相撲中継を昼から楽しみたいという未練があった。これでそれも消えた。大相撲の危機である。

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 今日は相撲中継を見られなかった。深夜のダイジェストを楽しみにしていた。
 なのにデスクトップで文章を書きつつインターネットに繋いでいたら、見たくもないのに「白鵬、またも稀勢の里に敗れる」を見てしまった。これでダイジェストを見る楽しみが半減した。見るまでネットに繋がなければよかった。失敗である。

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 というわけでひさしぶりにダイジェストを見る。

○光龍●黒海
 15枚目の黒海が負け越した。右肘を傷めているので力が入らない。このあとも苦しいだろう。十両落ちの可能性は高い。このひと、十両に落ちたことはあったか。記憶にない。調べてみる。
 なかった。2004年、6年前の初場所で新入幕してから、最高位は小結で、その後も前頭中位でがんばってきた。下位では16枚目、14枚目があるが、ここまで落ちると力が違うのか常に勝ち越している。今場所の15枚目での負け越しが初の経験だ。

 十両はまだ高級取りだし、幕下に落ちるまで相撲は取るだろうが、興味があるのは引退後だ。黒海はどうするのだろう。帰国か。
 黒海は史上初のヨーロッパ人の幕内力士だった。ヨーロッパ人の力士が相撲界に残って親方になる、ということはあるだろうか。
 それが実現するのは琴欧洲だろう。奥さんも日本人だし、琴欧洲は日本に残る。獨立して部屋を立ちあげることはあるだろうか。もしも外国人力士に制限がないのなら意義がある。ヨーロッパから力のある力士をスカウトしてきての「青い眼の部屋」だ。でも一部屋一人という制限がある今では獨立にあまり意味はない。佐渡ケ嶽部屋の部屋附き親方か。
 把瑠都は? これも帰国するような気がする。奥さんはロシア人だし。むしろ残るとしたら栃ノ心だろう。

 黒海は今年30歳。まだ地力があるし十両に落ちたら力の違いを見せつけることだろう。引退はまだまだ先だ。でも「ヨーロッパ出身の幕内力士が引退したらどうなるか」には興味がある。その先例になるはずだ。

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○栃乃洋●時天空
 栃乃洋9勝目。ひさびさの二桁まであとひとつ。がんばれ。

○豊真将●臥牙丸
 大きな臥牙丸相手に豊真将が突っ張って攻めまくる。ほんとこのひとは相撲が変った。いいことだ。
 最後は引き技だったが、あれだけ前に出てこられたら臥牙丸が落ちてしまうのもしかたない。

○嘉風●栃煌山
 嘉風のだらしない引き技。躰が流れたが栃煌山の勝ち。一方的な相撲。
 だったのだが栃煌山が手を着いていたと物言い。取り直しになる。こういうのはくだらない。たしかに嘉風が宙を飛んでいるときに栃煌山の左手が着いていて、ビデオで見ると同時である。だが嘉風の躰は土俵外だ。審判部長の貴乃花が同体で取り直しとしたが、貴乃花だからこそ、同時であるが相撲は栃煌山のものなので栃煌山の勝ちとして欲しかった。

 そしてまたくだらないのが取り直しの内容。まったく同じ嘉風の引き技。それに今度は栃煌山がついて行けず負け。能のない相撲。ともにだらしない。まことにくだらん。

 負けて下がる栃煌山のなさけない顔はインパルスの堤下に似ている。

○琴奨菊●把瑠都
 把瑠都は日馬富士との一戦で、古傷の左膝ではなく右膝を傷めたという。あんなバタ足で動いているからだ。同情する気にもなれない。
 琴奨菊の突進を受けとめる。この辺の体力はさすが。あの琴奨菊ががぶれない。こうなったらもう把瑠都のものだ。
 と思ったのも束の間、不用意に右まわしを取りに言った瞬間双差しになられ、琴奨菊のがぶりよりが炸裂する。必死に耐えるがツボにはまった琴奨菊の寄りは抜群だ。こらえきれず土俵を割った。まあ毎日毎日がっかりさせてくれる。バタ足で走りまわって勝った相撲もひどいが、今日のように誰もがもう把瑠都のものと思った一番を落とすのもなさけない。ひどい相撲だ。
 
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○稀勢の里●把瑠都
 ということで知っていなければ驚いたであろう白鵬の敗れた一番。いいとこなしの完敗だった。不要に引いている。完敗。力が入っていないように見えた。風邪で力が抜けているのか。負けるのはしょうがないにしても、あまりに無策。明日から休場なんてやめてくれ。体調を整えて明日からまだがんばってほしい。心配になる負けかただった。



 

十二日目

貴乃花の稀勢の里讃歌

 スポニチに連載されている貴乃花のコラムを読んだ。稀勢の里を讃えている。先場所に続いて横綱を破ったのだから当然なのだが、貴乃花はいつも稀勢の里を誉めすぎのように感じる。以前も「最高でも横綱、最低でも横綱」と柔道の谷亮子のことばをもじって言っていた。

 こういうコラムは担当記者が語りを代筆しているわけだが、それでもニュアンスは伝わってくる。今回もその他の親方の稀勢の里を讃える言葉とはまたちがう熱さを感じた。どうやら貴乃花は稀勢の里の身体能力を特別に高く買っているようだ。だとすると歯痒いことだろう。

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●豊桜○高見盛

 激しい相撲になった。右肩にテーピングしている高見盛の姿が痛々しい。攻められ、のけぞって必死に耐える。後ろに回られた。もうダメだ。場内が沸く。その瞬間、くるりと躰を回したら豊桜がしりもちをついていた。カトちゃん、うまく白星を拾った。決まり手は「うしろもたれ」。珍技である。

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○若荒雄●時天空
 醜い一番だった。
 最初に時天空がつっかけ、待ったになる。そのときに顔を張った。
 若荒雄が睨みつけ、一触即発のケンカになりそうな雰囲気。場内がざわめく。
 次は若荒雄が明らかにわざと速くつっかけ、まだ立っていない時天空の両肩をつきとばす。時天空は土俵下に転げ落ちた。さらに場内がざわつく。愉しいざわつきではない。不穏な空気だ。
 次は時天空が速くつっかけて、またしても待った。ひどい。
 審判からきちんとしろと叱声が飛ぶ。
 その次、なんとか立ったが、力の入らないひどい相撲。時天空があっさり土俵を割った。

 アナも舞の海も苦言を呈す。アナの「後味の悪い一番でした」がすべてを表している。
 じつはこの醜い立ち合いのやりとりを、パソコン作業をしつつインターネットのgooで見ていた。あまりにひどいのでテレビではなんと言っているのだろうと知りたくなり急いで点けた。なんとか間に合った。

 ふたりともむっとして下がってきたとレポーター。そりゃそうだろう。ちょっと記憶にないほどひどいやりとりだった。レポーターによると、若荒雄は質問されると、すこし考えつつ、反省のことばも口にしたらしい。時天空は激しく立腹していて、とても話を聞ける雰囲気ではなかったとか。舞の海が「自分に腹を立てるべきですね」ときつい意見。いやはやひどい一番だった。

 そのあとの土佐豊と光龍の一番が激しく攻める光龍と、躰を反らせて懸命に粘る土佐豊(これがこのひとの特性)、反撃に出て引いた土佐豊に落ちない光龍という熱戦で盛りあがった。いくらか口直しが出来た。

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 今日は正面が舞の海。向正面が中立の小城錦。いい解説陣だ。
 先日のくだらんチヨスとトチの組合せがまだ尾を引いている。
 あれはいい企劃として視聴者にも好評だったのだろうか。NHKはぜひまたやろうと思っているのだろうか。私は見たくない。もうけっこうだ。

 しかしまた今日もアナが小城錦の現役時代を絶讃し、舞の海も追従するものだから、最初は遠慮がちにしゃべっていた小城錦も調子に乗ってきて、話だけを聞いていたら名人力士のようになってきた。たいした力士ではあるまい。毎度ながら引退して親方になるとみなリッパなことを言う。いつも「そこまでの力士だったか?」と思う。その点、高田川(安芸乃島)や錣山(寺尾)は、自分にあった意見を言うので、きついことを言っても納得できる。

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○豊ノ島●栃ノ心

 はたき込んで勝つ。いい相撲でないが、これで1勝7敗から5勝までもってきたのはさすが。たとえ負け越しても7つぐらい勝てば前頭上位をキープできる。そういえば先場所平幕で14勝して優勝決定戦までゆきながら三役に上がれなかったのは史上初なのだとか。三役陣が活躍し、より上位の連中ががんばったのだからしょうがない。

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○稀勢の里●玉鷲

 稀勢の里勝ち越して関脇キープ。
 琴奨菊も嘉風を破って9勝目。関脇二人は地位を守った。
 対して栃煌山は阿覧に小手投げで敗れて9敗目。小結陥落。これでまた一から出直しになった。なんだかこのひとの好調不調がもう理解できない。

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○鶴竜 ●琴欧洲

 対戦成績は8-8。鶴竜はもう琴欧洲の料理法を掴んでいる。四つになり、また腰高で寄ったから、ああ危ないぞと思ったら投げられていた。なんで焦るのか、なんで急ぐのか。せっかくここまで2敗で来て、昨日辺りは優勝のことも訊かれていたのに、これでまたぶち壊し。なんとももったいない。

○魁皇●把瑠都
 把瑠都はダメだ。内容がひどすぎる。書く気になれない。
 魁皇勝ち越し。おめでとう。1034勝目。チヨの記録まであと11。

○白鵬●日馬富士
 敗れた昨日の後に曲者日馬富士。心配した。連敗かと。
 相手をよく見て、慎重な相撲。負けない相撲。日馬富士が膝が入ったようになって自滅。勝った。よかった。

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■日本人横綱待望論??

 栃乃洋が敗れて3敗。平幕では隠岐の海が唯一2敗を守っている。ひどい情況だ。
 日本人横綱がとか以前に、この時点で琴欧洲や把瑠都が1敗で並んでいなければならない。大関は、横綱との対決までそういう成績を収めることが基本だ。そうでないことが最重要課題になる。

 私はたとえば稀勢の里が横綱になったとしても今場所のようながらがらの国技館風景は変らないと思う。そんな単純なものではない。もっと深刻だ。そしてまたそれは娯楽の多様化だからしかたない。日本人の大関横綱が出て来れば今の情況は一転すると考えている方が滑稽だ。

 関係者は「若貴ブームよもう一度」と思っているらしいが、あれは横綱若乃花の弟として、稀代の人気力士だった貴ノ花の息子ふたりが、若くして日の出の勢いで延びてきて、しかもそこに兄弟愛があって、とあまりに満点の出来事だった。あんな奇蹟は二度と起きない。起きようはずがない。

 十八ぐらいの美男の力士がかつての貴花田のように驚異的に出世してくるならともかく、今更手垢の着いた日本人力士が大関になったとしても、相撲に興味のない世間一般を巻きこむような人気復活があるはずもない。白鵬の偉大な記録ですら沸かなかった世間の無関心を冷静に解釈すれば「日本人力士さえ出て来れば」という楽観論など言えるはずもない。

 私は外人力士大好きだから今のままで不満はない。むしろ「日本人力士待望論」にすがっている現状こそビョーキだと思う。また「ショースポーツ」として、スターを作りたいのに作れず、
 しかしそれとはべつに、琴欧洲や把瑠都の成績は不満だ。まあ把瑠都はあのバタバタした取り口で、完全に限界を露呈してしまっている。琴欧洲も腰高が治らない限り今後も小兵力士にぶん投げられる不様を連発するのだろう。その辺の絶望の方がよほど深刻である。
 

 

十三日目

 今日の解説は正面が出羽海(鷲羽山)、向正面が片男波(玉乃島)。正統派でいい解説陣だ。gooのなにもないのを見たりしているので、NHK中継がいかに解説の良し悪しで変るものかと痛感している。

 

十四日目

 豊ノ島、7勝目!

 1勝7敗から6勝7敗までもどしてきた豊ノ島。さすがだ。
 だが今日は徳瀬川に追いこまれ完全な負けの形になった。思わず、「ああ、負け越しだ」と呟く。7敗からのがんばりもさすがにここまでだった。
 が、土俵際で弓なりになって粘ると徳瀬川が落ちてしまった。決まり手は突きおとし。実力であり、解説も当たりがいいからと、立ち合いを誉めていたが、ここまでくると運もついている。私は1勝7敗になったとき、すこしでも上位に留まるため5勝でも6勝でも、すこしでも多く勝てればいいがと思っていた。でも7勝まで来た。明日勝てば勝ち越しだ。栃煌山の小結陥落が決まっているから席は空いている。すぐ下に二桁勝っているのが居るとあぶないが、みな負け越している。明日勝てば小結だ。1勝7敗からここまでくると誰が考えたろう。いやはやたいしたものだ。明日の玉鷲戦は注目である。

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 稀勢の里、貫録勝ち

 今日白鵬の優勝が決まらないように2敗の隠岐の海の勝利が望まれていたが、稀勢の里が力のちがいを見せつけて勝った。
 11勝をあげている隠岐の海は、明日の勝ち負けに関わらず敢闘賞でももらうのだろう。でも私は評価しない。刮目するような相撲がなかった。隠岐の島出身、島根県出身の力士として注目を浴びた力士だが、もっと輝きが欲しい。

 このひとも野球賭博事件で番付をさげられたひとりだ。そんなことは私にはどうでもいいのだが、それよりも顔付きが、島根県出身の関取は何十年ぶりと話題になったころよりも、悪くなっている。それが気になる。この時期の若者は成長と共にぐんぐんよくなるはずなのに、これはどういうことなのだろう。あまりいい人生を歩んでいないのか。今日も稀勢の里に負けた後アップになったが、とても爽やかとはいいがたい表情だった。もちろん負けたからとかそういうことではない。親方は八角だからそんなはずはないのだが。

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 琴奨菊、圧勝!

 琴奨菊はもともと日馬富士をカモにしている。馬力で圧倒してしまうので日馬富士の技が通じない。まして今場所は絶好調だ。激しくぶつかり、右で抱えつつ左をおっつけると日馬富士の躰が浮いてしまった。圧勝である。見事。
 これで関脇で11勝。稀勢の里も9勝をあげている。東西の関脇が安泰。こうでないとおもしろくない。
 豪栄道も10勝目をあげた。その辺の「期待される日本人力士若手」で不調だったのは栃煌山のみ。がんばらねば。

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 白鵬、六連覇!

 この把瑠都戦に勝つと白鵬は横綱になって300勝。アナが歴代の大横綱のそれを紹介していた。最速が横綱で一番勝ち星をあげている北の湖で24場所。大鵬と朝青龍が25場所、千代の富士が27場所だとか。なのに白鵬はそれらを軽々と凌いで22場所で達成。なんともすごい。300勝は20場所全勝の数字だから、22場所は今後も破られることのない記録だろう。あらためて横綱になってからの白鵬の安定を感じる。

白鵬は最速横綱300勝 優勝の半分が千秋楽待たず
2011.1.22 21:46

 14日目で優勝を決めた白鵬は横綱として通算300勝目を挙げた。在位22場所目での到達は北の湖の24場所目を上回り、史上最速。2度の6連覇を達成した大鵬は25場所目で3位、朝青龍は大鵬より4日遅れで4位。

 ただ大鵬は最初に6連覇を果たしたのが22歳で、白鵬よりも3歳若い。史上最多の7連覇を誇る朝青龍の6連覇到達時は24歳だった。

 14日目までの優勝決定回数で白鵬は今回が9度目となる。最多は千代の富士の15度。朝青龍が14度で続き、大鵬と北の湖が10度で並んでいる。(MSN産經)


 どうしようもない把瑠都だが毎場所白鵬との一番は熱戦になる。今場所もがっぷり四つになり、白鵬すら容易に動けない形になった。同時にシルバーのまわしが緩くて延びているのがしらけたが。
 一瞬のすくい投げ。見事だった。こういうのはモンゴル相撲という文化がなければ出来ない。もっとも白鵬は偉大な父に、そんなに早くやる必要はないとむしろ禁止されていて、モンゴル相撲はほとんどやっていないが。

 これで来場所は朝青龍の七連覇に挑む。
 白鵬の朝青龍との最後の闘いは、ちょうど一年前の初場所。勝ちはしたが優勝は朝青龍が前日に決めていた。本割では7連勝だが優勝決定戦というここ一番では2度も朝青龍に負けていたから、完全に越えたとは言い切れない。あの引退は未だに残念に思う。なにしろ一般人を殴ったというが、あれは一般人ではなかった。問題児をやめさせるための方便だった。なにより、その「被害者」がいちばん辞められたら寝覚めが悪いと引退しないことを願っていた。まあそういうことを迫られるぐらいの問題児ではあった。
 朝青龍がいなくなると、不愉快になる無礼はなくなったから、やっぱり彼は図抜けた悪童だった。残念ではあるがいなくなってよかったのか。

 今場所の白鵬は九日目の張り差しと、稀勢の里に負けた気の抜けた一番以外はいい内容だった。来場所は全勝優勝して欲しい。

 

千秋楽

 栃乃洋と若の里

 横綱と並んで前半7連勝だった栃乃洋は、その後星が伸びず、終盤は4連敗で結果は9勝6敗。二桁は行かなかった。
 栃乃洋の相撲の時、アナや解説者が必ず口にしたのがその誠実な姿勢。年齢からあまり番数はこなさないようだが、取材に言ったとき、必ず土俵に降りているとだれもが絶讃していた。
 前半7勝1敗でヴェテラン復活を思わせた若の里はその後が絶不調。千秋楽を7勝7敗で迎える。なんとか勝ち越した。

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 黒海、初の十両落ち

 15枚目で3勝12敗の黒海は十両に落ちる。2004年初場所で新入幕して以来7年間守った幕内の座から降りる。肘のケガを治して復活して欲しい。

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 隠岐の海に敢闘賞

 隠岐の海は今日も敗れて11勝止まり。でも敢闘賞。勝負はこれからだ。でも私はあまり期待していない。うれしい読みちがいになることを願う。

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 栃ノ心、出直し

 栃ノ心が大相撲の末に阿覧を破って4勝11敗。太腿のテーピングが取れることを願う。
 春日野部屋は栃乃洋を筆頭にがんばっている。栃ノ心がまた上位にもどり大關候補と呼ばれることを期待している。

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 豊ノ島、勝ち越し!

 前頭筆頭で1勝7敗からとうとう7連勝で勝ち越してしまった。来場所は小結だ。今場所最も劇的な星取だった。このひとと安美錦には横綱大関とあたる地位にいてほしいからうれしいことだ。安美錦は6勝9敗なので来場所はだいぶさがってしまう。

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 豊真将、勝ち越し

 千秋楽でやっと勝ち越しだからたいしたことではないが、4枚目での勝ち越しは、このへんに定着する実力の証とも言える。攻めの相撲が板についてきたから楽しみだ。白鵬をあわやまで追い詰めたのは自信になるだろう。

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 琴奨菊、技能賞

 今場所最も充実していた力士と言えば琴奨菊。ここまで11勝3敗。関脇の地位でだからたいしたもの。本人も関脇で二桁勝利は初。なんといっても内容がいい。北の富士も同じ意見で絶讃。
 が、豪栄道の肩透かしでバッタリ。みっともない相撲。北の富士が「誉めすぎたかな」と言っていたが、せっかくのここまでの大活躍を裏切るひどい負けかただった。

 勝った豪栄道もこれで11勝。星はいいが誉めるほどの内容もない。それでもこれで来場所は前頭筆頭。豊ノ島と豪栄道という野球賭博事件で十両まで落とされたふたりは順当に復活したことになる。

 一方雅山は10枚目で6勝9敗と負け越し。十両からの復活は三人とも力が違うという感じで順当だったが、ここにきて明暗が分かれた。

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 稀勢の里、殊勲賞

 日馬富士を相手にせず東関脇で10勝目。白鵬を破っているので文句なしの殊勲賞。先場所も10勝だがこれは前頭筆頭。それでも来場所12勝ぐらいあげたら大関の声も上がろう。期待の力士の正念場だ。

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 琴欧洲と把瑠都は琴欧洲の勝ち。10勝。把瑠都は9勝。このふたりの失速は問題だ。それでも琴欧洲は前半はいい星で引っぱった。後半肝腎なところで崩れるのはいつものことだったが。
 把瑠都は中身が悪い。ひどい相撲ばかり。日馬富士戦で右膝も傷めたから、古傷の左膝と並んで、このあとが心配。とにかく摺り足が出来ていないのだからしょうがない。親方が悪い。

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 白鵬、順当

 魁皇を破って14勝。今場所も全勝であらためて連勝記録に挑んで欲しかったが頓挫してしまった。双葉山の記録と言うより自身の63連勝を越えられるかどうか。連勝というのはあれやこれやあって30前後で止まってしまうものだ。63連勝を見られただけで奇蹟だったような、そんな気がしてきた。

 この日、白鵬に娘が生まれた。まだ息子はひとりだけ。もうひとり息子が欲しいところだ。

 年間最多勝の記録は白鵬が2回記録した「86勝4敗」だが、いわゆる「年度にこだわらない6場所での記録」だと、去年の春場所から今年の初場所までで「88勝2敗」の新記録を作った。いやはやすごい。
 横綱になってからの勝率で9割以上を維持しているのは白鵬だけだ。みな引退が迫るころにはボロボロになり、一気に下がってしまうのだが、白鵬は9割を維持したまま引退できるだろうか。
 それにしても今場所稀勢の里に完敗したのは痛い。あれがなかったら来場所へと連勝への楽しみが続いたのに。しかもどうしようもない内容のひどい相撲だった。来場所の稀勢の里戦はもりあがることだろう。平幕のころも稀勢の里に連敗したことがあったが、あれは勝ち相撲を焦っての負けだった。そういう意味では今場所の敗戦が今まででいちばんひどい。それでも白鵬が負けるかもと期待される力士が出て来たことはいいことだろう。ライバルがいないのは不幸だ。
 総論  今場所いちばん印象に残ったのは、チヨスとトチの気味悪い掛けあい漫才風の解説。チヨスの眉毛処理はあいかわらずのバカップリ。そして傲岸チヨと軽薄コトニシキの解説。前々から思ってはいたが、解説の好き嫌いで見る気が失せる。かといってなにもないgoo中継では物足りないから面倒。でも来場所、上記のような解説だったら迷うことなくgooで見る。あることの不愉快よりは、ないことのもの足りなさの方がまだまし。




壁紙とGIFはhttp://sports.kantaweb.com/より拝借しました。
感謝して記します。

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