平成二十二年春場所
2010/3/14〜
 初日  朝青龍問題

 朝青龍がモンゴルで記者会見し、問題発言をした。
 それは別項にまとめた。落胆したのが正直な気持ちである。もうすこし賢いと思っていた。引退興行が終るまではがまんしなきゃだめだ。
 二日目  白鵬の張り差し

 初日二日と連続して白鵬が張り差し。うんざりする。それしか出来ない朝青龍がいなくなったと思ったら今度は白鵬が襲名である。見る気がしない。でも数少ない今場所のテーマになるか?

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 最大注目は把瑠都

 朝青龍引退により前売り券の売れない相撲協会の今場所の目玉商品は「把瑠都の大関取り」だ。「優勝に絡んでの13勝以上」という厳しい条件も出されている。
 アナも解説も把瑠都の話に熱が入る。というか、あまり話題がないのでむりにもっていっているようで、ずっと把瑠都ファンの私にはむしろ白ける(笑)。でも北の富士は自分と同じ十両全勝優勝をした把瑠都が好きだから一緒に楽しめてうれしい。
 熱心な把瑠都ファンである私がいれこんでいるかというと不思議にそれはない。私は識者のあいだでは否定的な把瑠都の規格外の相撲が大好きなので、あまり彼に安定は求めていない。
 安定は求めていないけど、ごくふつうに彼が相撲を取ったら、ほとんどの力士は勝てないだろうという気持ちだから、負けると落胆することが多い。


 三日目  白鵬の張り差し解説

 初日二日と張り差し立ち合いの白鵬にアナが触れると、北の富士が「しばらくやらなくなっていたんですけどねえ……。」と溜息を吐いた。
 そのあとアナが「一人横綱の重責」のようなことに触れ、経験のある北の富士が「とにかく心細いんですよ」と心境を吐露していた。たとえ不仲の相手であれ、東西で綱を張っていることは支えあう心に通じるのだろう。まして白鵬の場合は、憧れてきた同国の先輩だった。朝青龍引退の方を受けての、なんども涙を拭った姿が印象的だった。

 一人横綱の心細さが封印していた連日の張り差しに現れているとするなら、毎場所連日それをしていた朝青龍は、自身の力の衰えを知り、心細かったのだという解釈が成りたつ。相手の顔を張って行く立ち合いが「臆病者の気勢」であるのはまちがいない。白鵬に対するそういう失望が大きく、相撲を見る気がしない。

 今日は張り差しではなく経ち、6連敗のあと7連勝している若の里を軽く料理。若の里はもともと正統派だから白鵬が勝てないことの方が不思議だった。6連敗時代がなつかしい。やはり「いちばん白鵬が好きだった時期」はあのあたりになる。とんでもない大器であり、横綱間違いなしの逸材が、まだ相撲が解らずトンチンカンなことをしていたあの時期はおもしろかった。

 三日目で張り差し封印とは、張り差しなしでもやってゆける自信がもどってきたか。

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 話題のない場所──無理矢理の把瑠都話

 相撲中継の楽しみは午後3時から4時という早い時間に「今日の一番」の話題に触れることだ。その日の目玉取組の過去の映像を見せてくれたりする。これが楽しい。
 朝青龍引退と客が入らないというマイナス要素の多い場所なので盛りあげる話題がすくない。今日のそれは「把瑠都対稀勢の里」。先場所稀勢の里がうまい相撲で把瑠都に勝っているので、それを流して煽る。
 でも優勝候補の一人横綱、不甲斐ない大関陣、そのうちふたりはロートル、琴欧洲は早くも土、ということから、むりやり盛りあげているようでなんか気の毒。私からすると把瑠都が稀勢の里に勝つのは見えているので、そんなに盛りあげるほどの話題には思えない。結果は一方的に把瑠都が突きだした。先場所は稀勢の里が勝ったが、あれは最高にうまくいった形であり、いまのふたりは、10回やったら8対2ぐらいの差はついている。先場所のようにはうまく行かない。力通りの結果だった。


 アナが尾上部屋のことに触れ、あの汚いデブの山本山が把瑠都の突っ張りを受けて、「躰が痺れるような衝撃を受ける」と言っていたとのレポ。北の富士は山本山の話なのでのらない(笑)。のってくれると思ったアナが焦っていて、「つまり、それだけあの突っ張りは強烈なんですね」と自分でフォローしていて笑えた。
 私も山本山の話なのでどうでもいいが、把瑠都の突っ張りが強烈なのは確かだろう。さて今場所は何勝いくのか。
 
 四日目  把瑠都対安美錦、すばらしい熱戦

 いい相撲だった。二転三転する大熱戦だった。把瑠都が勝つ場合、体力差を活かしての一気の寄り、安美錦が勝つ場合、相撲巧者ぶりを発揮しての瞬間的な技、と思っていたが、そうではなく、土俵上を激しく動きまわり、場内が沸く、すばらしい熱戦となった。思わず私も握りこぶしで応援する。
 二転三転を越え、三転四転、五転六転の大相撲。結果は把瑠都が下手投げで仕留めた。安美錦はスタミナが切れ、立てない状態。勝ち名乗りを受ける把瑠都も後ろに倒れそうになった。こういうのが銭の取れる相撲。こんな相撲がある限り大相撲は安泰だ。

 ラジオを聴きながらテレビを見るという変則的な視聴をしていた。ラジオの解説者(名前失念)が、把瑠都が「以前ならまわしを取りにいって負けていたのに、最後まで脇を締め、こだわらずに取った内容」を絶讃していた。それをしていたなら安美錦に「してやられていた」はずである。「大関と関脇の相撲」と絶讃を浴びる。今日一番の最高の相撲だった。

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 琴欧洲の進歩

 若の里に攻めこまれる。対戦成績は3対8とわるい。ただしこれは出世前でもある。若の里がケガで下がってしまったから、この対戦成績だけから論じるのはあやまり。
 若の里が全盛期を思わせる攻めを見せ、琴欧洲は防戦一方となったが、耐えて耐えて耐えて、最後に逆転した。このしぶとさはかつてはなかったものだ。彼なりに粘りを身に着けつつある。

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 琴光喜、張り差し自滅(笑)



 場内に地元大阪出身の豪栄道コール。解説が「名古屋なら逆ですね」と言う。なるほど、名古屋なら琴光喜コールだ。こんな地域性は好きだ。

 成績不振の角番大関琴光喜が、左の張り差し。予想していたのかまったくひるまない豪栄道がもぐりこみ、下手投げで抛り捨てた。どっちが大関かわからない内容。なさけない。
 これでまた張り差しが、精神に不安のある力士のやる技が証明された。もう負け越して引退しろ。

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 日馬富士、落ちず!

 どうにもヨーロッパ系の力士は引き技が好きで困る。レスリングからの悪癖と言われている。実際プロレスラーでも、引く力が重要と、みな一様に口にする。レスリングはそうなのだろう。だが相撲は押しだ。前に出るのか基本だ。

 阿覧は一度だけ日馬富士とやっていて勝っている。変化の引き技だった。さて今日はどうなるかと注目の一番だ。阿覧はもういちど同じ事をしたいだろうが、さすがに通用しないとも思っているだろう(笑)。

 まともに立ったが、すぐに引き技、だが日馬富士は落ちない。突っ張りあって、また引き技。でも落ちない。3度目の引き技のときはもうアラン自身が土俵際まで追い詰められていて、激しく突きおとされた。
 日馬富士の険しい表情からも、阿覧の相撲に対して批判的なのは明らかだ。でも日馬富士や栃東は、大関でも変化する。あまり信じていない。
 それでも今日に限り、引き技に落ちずに、突きおとしたのは、よいこと、よい相撲と言っておこう。

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 今日四日目は、「把瑠都と安美錦の大相撲」に尽きる。
 五日目
 六日目
 七日目
 中日
 九日目
 十日目
 十一日目
 十二日目
 十三日目
 十四日目
 千秋楽
 総論




壁紙とGIFはhttp://sports.kantaweb.com/より拝借しました。
感謝して記します。

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