2007
1/12

 だいじょうぶなのか大相撲!?
 
 何事にもおいても好事家と一般世間とのあいだには温度差がある。最近の相撲はおもしろくない、むかしは好きだったんだけど今は、としたり顔で言う人がいる。相撲大好きの私は可笑しさを通り越してむしろうれしなるほどである。その人が理解できないことを心から楽しんでいる自分に満足する。

 が、先場所今場所とそういう私の中でもだいぶ大相撲への熱意が落ちてしまった。深刻である。だって、いくらなんでもおもしろくない。
 先場所は豊真将が、今場所は豊ノ島が活躍して朝青龍の早期優勝決定を防いだが、所詮平幕力士が星を稼いで13日目、14日目の優勝決定を防いだだけに過ぎない。なんとも低調な場所であった。

 責任は誰にあるか。断じて朝青龍ではない。彼を悪者にして大相撲がおもしろくないと言う人がいる。優勝回数にしてもライヴァルがいないから他の偉大な横綱とは価値が違うと言ったりする。ライヴァルがいないのは事実だがそれは朝青龍の責任ではない。むしろそれは彼の悲劇であろう。彼が欲しくてたまらない世間的人気も、よいライヴァルに恵まれたなら得ることも出来たのだ。私としては、ライヴァルがいないことによる独走も、その人の持つ運の強さと解釈しているが。

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 把瑠都がいず、白鵬は不調。琴欧州は迷いの森に踏み込んだ。千代大海は突っ張って引く伝統藝(笑)。栃東負け越し、魁皇、千秋楽で勝ち越し。雅山、露鵬大きく負け越して三役陥落。稀勢の里7勝8敗だがこれはいい相撲が多かった。あとは高見盛もがんばった。豊真将負け越しは順当か。

 把瑠都の怪我に失望した。怪我そのものより、その怪我の仕方である。あんな内側に足が折れ込むような形で倒れ込む力士の怪我を見たことがない。見ていて寒気がした。あれは「親方の指導がなってない」である。相撲を知らない外国の青年に基礎を教え込んでいないことによって生じた事件だ。誰もが驚嘆した超大物素材があの怪我によって未来に赤信号が灯ったのかと思うと憤懣やるかたない。

 相撲部屋を見学して目に附くのは受け身の練習を重視していることだ。ぶつかって、投げられ、何度もごろんごろんと転がって怪我をしない負け方を学ぶ。把瑠都の場合、あまりに体力があるから、それを教え込む兄弟子もいず、覚えないうちに出世してしまったのだろう。

 三場所前、初めてやったときも同じ負け方、転び方をした。思わずあぶないと叫んでしまった。アナも解説の北の富士も心配していた。そこから休場。翌場所、ほとんど稽古の出来ない状態のまま出てきて、目を覆うような雑な相撲を取る。それでも10勝してしまう実力。そして今場所、また同じ転び方をして休場となった。

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 新十両で12勝3敗を二場所、琴欧州の記録を更新する最短記録で入幕かと言われたとき、把瑠都は盲腸炎で休場した。幕下に落ちてすぐに十両にもどる。そこで北の富士以来の全勝優勝を成し遂げた。横綱候補である。新入幕の時、アナや舞の海は優勝候補として名を挙げた。いきなり新入幕、初優勝も夢ではなかった。把瑠都を倒せるのは盲腸炎だけのはずだった。
 把瑠都の未熟な部分を子供の時から相撲を取ってきた日本人力士がついて勝ち、相撲はそんなに甘くないと教えたのはいいことだ。

 冷静に考えれば、私の今の不満「白鵬、琴欧州、把瑠都の停滞」は、相撲の奥深さに繋がり、相撲のあり方としても、彼ら力士にとってもいいことなのだろう。

 とは思うが、わかっているのだけれど、もっとわくわくする取り組みを見たいとここ二場所痛切に感じている。

 
1/20
 朝青龍、20回目の優勝!

サンスポより

■データBox

 ◆…朝青龍の初土俵から49場所目での幕内V20は、大鵬の57場所目を上回る史上最速。26歳3カ月でのV20達成は、大鵬の26歳0カ月、貴乃花の26歳1カ月に次ぐ
 ◆…モンゴル勢、米国勢を合わせた外国出身力士の優勝は48回目。出身地別の優勝回数で東京都に並んで2位となった。1位は大鵬、北の湖、千代の富士という大横綱を生んだ北海道の120回

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 朝青龍が20回目の優勝を遂げた。歴史的大横綱の記録である。
 スポーツ紙に載っていた数字から感じたこと。
 
 大鵬32回、千代の富士31回、北の湖24回、貴乃花21回が先人の記録。
 あらゆる記録を塗り替え政治力を駆使して天下を取っていた千代の富士は優勝回数も大鵬を超えることは容易だったが、周囲からの妬みもあり遠慮したと伝えられている。当然だ。
 大鵬の32回目の優勝も玉乃島に頼んで負けてもらった話(因果を含められた玉乃島は風呂場で悔し泣き)として有名である。

 
 今回数字を見てしみじみ思ったのは千代の富士の遅咲きのこと。大鵬、貴乃花、朝青龍が20回目の優勝を成し遂げたのはみな26歳の時。なのに千代の富士は26歳で横綱になっているのである。そこからが始まりなのである。いかに他の天才力士とは違ったタイプであったことか。その遅咲きと肩の脱臼に悩んだ苦労こそが彼の長期政権の要だったのだろう。
 千代の富士が横綱になって長期安定政権を始める26歳の時、すでに貴乃花は20回の優勝を成し遂げていた。だがそれから引退までにあと1回しか優勝していない。千代の富士の始まりの齢が貴乃花にはもう終わりの齢だったのだ。
 大鵬は26歳からあと12回優勝しているのだから文句なしとして、今のままなら朝青龍は大鵬型として邁進できるだろう。貴乃花になることはあるまい。千代の富士型になって今から安定政権になったらたいへんなことになる。この人はどんな終り方をするのだろう。興味津々である。

 朝青龍の安定要因のひとつに早婚がある。同国人の幼なじみ(とは言わないか、タミル夫人との仲は。高校からの知り合いだったか?)と早くに結婚しふたりの子をもうけた。くつろげる家庭があること、それが政治的な押しつけ結婚でなかったことは精神的安定に役だった。
 若くして世に出た人は未完成の精神に名と金を得て暴走の可能性があることから、落ち着かせ、より大成させるために、周囲が結婚を急がせる。アスリートに限らず棋士等も同じである。有頂天の本人はあまりしたがらない。もてまくる時代になんで結婚せねばと思う。どうしても周囲が見つけてきた押しつけ結婚になる。

 大鵬や北の湖は押しつけ婚だったし貴乃花の恋愛騒動は記憶に新しい。あれから彼は人格が変ってしまった。二代目若乃花など部屋を継ぐための親方の娘押しつけ婚で人生までおかしくしてしまった。離婚して元々つきあっていた銀座ママと再婚して今は大活躍している。琴ノ若のように押しつけ婚でも順風満帆の人もいるが。
 朝青龍が23歳で同郷の娘と恋愛結婚をしたことは稀有な例であり、彼の盤石の態勢の礎はこれがおおきいと私は思っている。ウチダテマキコあたりにいじめられても耐えられたのは家庭があったからだろう。でなきゃ短気で飛び出し今頃『PRIDE』の挌闘家だった。


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 『週刊現代』朝青龍八百長特集!

 1/22発売の『週刊現代』が朝青龍の八百長告発を始めた。来週も続くらしい。
 九州場所の全勝優勝にはガチンコは四番しかないそうだ(笑)。

 今後どのように動いても私の結論は出ている。それは「おもしろいから、いい」である。大関互助組合と言われた当時の琴桜や三重の海の無気力相撲はひどかった。相撲自体が「客をばかにするのもいいかげんにしろ!」と言いたくなるような内容だった。やる気のない無気力な相撲である。あれはなんだったのだろう。いまもって不思議でならない。勝者の確定している一番ならもっとおもしろくできるだろうに。

 それと比すと千代の富士や朝青龍の相撲は速くて豪快で見ていておもしろい。「注射」の有無などどうでもいい。それが木戸賃を取る見せ物の基本である。おもしろいかどうかが全てだ。そういう考えの私が千代の富士を嫌うのは伝え聞く彼のセコい人間性故である。それが事実であるのは顔を見れば判る。あれは人格者の顔ではない。

 朝青龍の八百長相撲に関して問われた高砂親方(朝潮)は、「そんな必要がないだろう」と応えたとのこと。あれだけ強い朝青龍が大金を払ってまで星を買うとは思えない。だが同じく盤石の強さを誇った千代の富士が万全を期すためにあえて格下から星を買っていた事実がある。本場所では何が起きるかわからない。『週刊現代』がどこまで真相に迫れるか興味深い。

 だがごく単純に考えれば答はすぐに出る。千代の富士が長年幕内にいることによる(それが遅い26歳昇進の最大の強みだ)年配の力士として政治力で君臨したことを考えれば、早い時期に横綱になった外国人力士であり、横審からも嫌われ、国民的人気もない彼が、そんなことを出来るはずがないのである。いやそれ以前にする必要もない。

 もしもそういう形の八百長があるとしたら、それは不自然に日本人力士を優勝させる方向に作用するだろう。日本に帰化していず、故国モンゴルにこだわっている朝青龍なら、人気力士の栃東や魁皇に高額で優勝を売る相談に乗るかもしれない。八百長論議はその視点から出てくる話だ。

 文中、唯一私の興味を引いたのは、「中盆(八百長相撲の仲介者)」とされる旭天山(ヴェテラン幕下力士。モンゴル人)に取材者がこの件を問いかけたら、彼が「オレのことをそう言う人もいるけどオレは違うよ」と応えたという点。
 かつて中盆をしていた板井や逆鉾が引退したが、「今も中盆とささやかれる存在」はいるわけだ。となると激減したとはいえ星の売り買いは今もあるのか。まああるのがプロの世界だが。
 今後の展開が楽しみだ。ただすでに私の結論は「相撲内容がおもしろいからどうでもいい」「どんな結果であろうと相撲が嫌いにはならない」と出ている。

 心配なのは、こういう形であれ世間的話題になると、また横審がでしゃばってきて、ウチダテマキコのようなバケベソが、「そもそもこういう記事が出てくること自体、横綱に問題がある」などと喚き始める可能性があることだ。それは確実に朝青龍の精神的負担となる。彼は彼で悩む性質である。気は強いが臆病でもある。追いつめられ不調に陥るだろう。そうなったらそれはそれで『週刊現代』もウチダテ等も大喜びだろう。しかしそんなことで日本人力士が優勝したとしてもなんの意味もあるまい。朝青龍絶不調でも代わりに優勝するのもまた外国人力士だろうが。

 日本人のセコさ、という点から興味深い記事である。『週刊現代』か(笑)。


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 さてさてどうなるか

 1/29発売の第2弾を読んだ。まあこの種のものには『週刊ポスト』の長期キャンペーン?を読んでいたので今更2週連続程度の中身におどろくものはない。
 興味深いのは1/30に朝青龍が友綱親方(この問題の担当者)と面談、事情聴取されたのでテレビカメラが群がり、1/31の朝のワイドショーがみなこの問題を取り上げていたこと。

 朝青龍と親しいみのもんたはあるはずがないと味方。優勝翌日に朝青龍はこの番組に生出演している。
 いちゃもん好きのテレ朝ですら「ないと信じたい」「国技を護ろう」と比較的穏和。二宮清純ひとり錯乱(笑)。
 フジの小倉は「朝青龍が星を売るんならともかく買わないだろう。必要がないもの」と相撲に詳しいので苦笑モード。

 角番になると持ちこたえて勝ち越す栃東や魁皇が星を買っているならまた話は違ってこようが、強すぎる朝青龍の話だからどうにも信憑性がない。「強すぎる」はただしくは「他が弱すぎる」であるが。

 質問にいくつか答えた後、「これでいい?」とサッサと報道陣をあとにする朝青龍の態度にテレ朝の評論家が「横綱の品格として」とまた発言。どうにも話がそっちにいきがちだ。
 もうすぐ醜いウチダテオババが出てきそうだ。

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 裁判という言葉が出ていたが相撲協会にとってこんなものにはなんの意味もない。
 やるだけやって相撲側が勝ったとしても100万、200万程度の罰金だから『週刊現代』はそんなものへでもない。それまでにいかに盛り上げて部数を伸ばすかだ。
 そもそも答は闇の中だから結論が出るはずがない。『週刊現代』の狙いは話題性だけだ。あまりの強気に何か隠し球があるのではと勘ぐる評論家もいたが、強気の源は「裁判になるはずがない」という自信だ。力士にとって裁判沙汰になり法廷で証言、なんてのは最も苦手なことである。思うだけで憂鬱だ。なんとしても避けたい。だからなあなあの手打ち路線かなしくずしに消えることを願うだろう。今までの経緯から『週刊現代』はそれがわかっている。だから強気なのだ。隠し球などあるはずがない。だって現実の中盆である板井があれだけ実名告白しても闇の中に葬られたテーマなのだから。

 相撲ファンとしてはこういうスキャンダルはありがたくもある。というのはこういう形で騒がれると必ず次の場所は熱戦が増えるからだ。ただ熱戦ということで言えば、かつての無気力相撲時代と比べると今の相撲は充分におもしろい。それがさらに充実するなら『週刊現代』の記事はありがたいことになる。

 どういう形で収束するのやら。

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相撲協会、講談社を提訴へ=損害賠償など求める-八百長報道

2007年2月8日(木) 18時0分 時事通信

「週刊現代」の八百長報道について日本相撲協会は8日、理事会を開き、記事によって名誉を傷つけられたとして、発行元の講談社と筆者のライターらを相手取り、損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて民事訴訟に踏み切る方針を決めた。賠償請求額は今後検討し、2月中にも東京地裁に提訴する。
 同誌は今週まで3週にわたり、昨年九州場所と今年初場所の横綱朝青龍の相撲計30番のうち23番が八百長だったなどとする記事を掲載。相撲協会は朝青龍らの事情聴取を行い、全員が潔白を主張した。
 この日、相撲協会はコメントしなかったが、伊佐次啓二顧問弁護士によると、理事会は「こうした報道は放置するとエスカレートしかねない」「毅然(きぜん)として対応すべきだ」との意見でまとまったという。
 同協会は八百長問題で過去に2度刑事告訴しているが、相手の謝罪による告訴取り下げと嫌疑不十分による不起訴で決着している。今回も当初は刑事告訴の方向だったが、「刑事では検察が動くのを待つしかない」(同弁護士)などとして民事訴訟を選んだ。
 訴状は相撲協会と関係力士17人の連名となる見通しで、展開次第では力士が本人尋問などで出廷する場面もありそうだ。


7/26
 骨折でもサッカー(笑)──名親方考


大相撲の横綱朝青龍(26)=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ、モンゴル出身、高砂部屋=が、腰の疲労骨折で夏巡業を休場することを決めながら、モンゴルでサッカーの試合に出場していた問題で、日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱北の湖)は26日、「診断書が出ているのに、サッカーをしているのはおかしい」と苦言を呈した。

関係者によると、朝青龍は日本の外務省やモンゴル政府筋などからの要請でイベントに参加。元サッカー日本代表の中田英寿氏らとともにプレーし「全治6週間」とされるけがにもかかわらず元気にシュートを放つ場面などが25日に日本のテレビで放映された。

師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「本人には本当に疲労骨折なら入院しなさい、巡業に出られるのなら出なさいと伝えた」と相撲協会広報部を通じてコメントした。朝青龍は今週末か週明けにも日本に戻る予定。

朝青龍は名古屋場所で14勝1敗で3場所ぶり21度目の優勝を果たしたが、場所中から訴えていた腰痛などを理由に、相撲協会巡業部に8月3日から始まる夏巡業の休場届を提出していた。(スポニチより)


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 またウチダテおばばが騒ぎそうだ(笑)。

 悪霊が憑いているとしか思えない(恐)。朝青龍にガチンコで勝てるのはウチダテおばばの顔だけだ。土俵上で睨み合ったら気の弱い高見盛は泣き出すだろう。いや腰が抜けるか。
 おばばのブスぶりをスポーツ紙の記者もはしゃいで掲載している気もする。他の委員の写真は載せなくても必ずおばばだけは載せるもんな(笑)。ぜったい意図的だと思う。

★内館牧子委員「高砂親方の指導力のなさも一層あからさまに」

 朝青龍の“仮病疑惑”に横綱審議委員会も怒った。内館牧子委員(脚本家、写真)は「早急に事実確認することが必要」とした上で、「サッカーで全力疾走してゴールを決められるなら、土俵入りは100回できる」と不快感をあらわにした。

 さらに、夏巡業の休場が決まっていた中での母国でのイベント参加に「外国(日本)の文化をなめている。日本で稼いでいる以上、敬意を表しなさい、と言いたい。高砂親方の指導力のなさも一層あからさまになった」と批判した。(サンスポより)



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 こういう問題を目にするたびにいつも思うのは弟子を制御できない朝潮のだらしなさだ。だいたいが「帰国していたのを知らなかった」って、そんな馬鹿な話があるか。どんな大横綱だろうと親方の弟子だ。パスポートを使って国際空港から旅立つのに、その予定すら知らない親方はもう親方ではない。朝青龍の粗暴な振る舞いには、異国に出稼ぎに来ていて、あまりに早く出世してしまった青年なのだから仕方がない、のような想いがあり、私は擁護派だが、毎度毎度朝潮のだらしなさには呆れるばかりだ。

 師匠は弟子が自分以上に出世するとなにも言えなくなる。弟子も師匠の現役時代の番付を超えると存在を軽んじて言うことを聞かなくなるという。日本人でもそうらしいからモンゴル人なら尚更だろう。まして朝青龍は出世が早かった。朝潮に一から教えてもらったという気持ちも薄かろう。(成績が)一流横綱になったら、二流大関どまりの師匠の言うことは聞かないか。なんともなさけない師弟関係である。
 朝青龍がたびたび問題を起こしている頃に、いやそれよりも前に、朝潮が鉄拳制裁をすべきだった。それこそ命がけでやるべきだった。そうしたら後の問題は起きていない。
 気の強い朝青龍のことだから殴り返したかもしれない。だったら破門だ。結果、北尾のように角界追放になり、優勝21回のモンゴル人横綱は存在しなかったかもしれない。それはそれで仕方がない。たとえそうなろうとも親方にはそれをせねばならないときがある。朝潮にはその責任があった。あの男はそこから逃げた。すべての因はそこにある。


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 実父であるのに初代貴ノ花ですら自分の地位を超えた息子二人を制御できなくなった。あの一家の悲劇もすべてはそこに起因する。相撲界の宿命なのだろう。

 しかしそれを言うなら竹葉山なんて入幕したことがかろうじてある、という程度の力士だ。白鵬もこれから同じ道を歩むのか。金親は形だけの親方だから論外。
 先場所、白鵬が朝稽古に顔を出さずに寝ていると竹葉山の嘆きが伝えられた。横綱がいるだけで雰囲気が違うから、四股を踏むだけでいいから出て欲しいと語っていた。すでに白鵬もコントロール不可能なのだろうか。

 名伯楽の先代佐渡ケ嶽も武蔵川もたいしたことはなかったけど一応は横綱である。私はこの「たいしたことはなかった横綱」が重要だと思っている。大鵬、北の湖、千代の富士という大横綱は名伯楽にはなれなかった。千代の富士にはまだ時間があるがあの性格ではなれまい。千代大海が出たことですら奇跡的だ。貴乃花部屋の窮状は言うまでもない。
 あまりに能力が秀でた大横綱でも困る。名選手が名監督になれないのと同じだ。かといって力士時代の最高位が簡単に弟子に追い抜かれてしまう経歴でもまずい。その点、互助組合を活用した、人の情けがわかる「たいしたことない横綱」は最も名伯楽の資質を有している。そして現実に琴櫻も三重の海も名伯楽だ。若い頃の私はそれが理解できず、大鵬柏戸の所から力士が育たないのになんで琴櫻や三重の海のようなろくでもない横綱の所から……と疑問に思った。ろくでもないのに、ではなく「ろくでもないからこそ」だと気づくまでには時間がかかった。

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 現佐渡ケ嶽親方は関脇止まり。琴欧洲、琴光喜の大関を経験していないが、これは岳父の権威と彼自身の人徳から問題はないだろう。琴光喜の大関昇進を祝う場では琴欧洲、琴奨菊を始め全力士に心からの笑顔が見え、毎度のことだがいい部屋だと思った。

 濱ノ嶋は把瑠都を制御できるだろうか。心配である。現在の怪我の多さからして、すでに制御できていないのか。
 先日、弟子が不可解な死に方をして問題になった時津風部屋の現親方は双津龍である。双葉山から豊山で、双津龍……。不細工な力士だった。どう考えても彼が名親方になれるとは思えない。

 中立親方から境川と名を変えた両国は、岩木山、寶智山、豪栄道、豊響と育てている。もう名伯楽いりか。たいしたもんだ。出羽の海部屋からの由緒正しい流れだが、彼にはすぐれた弟子を勧誘し育てる能力があったのだろう。

 次の穴馬?として、田子の浦はどうだろう。久島海だ。先日相撲雑誌で部屋が特集されていた。彼のような学生時代史上最高の成績を残しながら大相撲では大成できなかった人は、意外に親方としていいのではないか。

 傍目から見て無理なんじゃないかと思うような元力士が、かなりの無理をして部屋をかまえたりする。親戚縁者から後援会まで借金だらけの出発だ。それなりの弟子数を揃えれば協会からの手当で運営できるし、ひとりでも関取が育てばもう万々歳の世界だが先の見えない厳しい船出でもある。それでも独立したいと願う。力士の夢はもちろん横綱だが、自分の限界を知ったとき、親方として大関横綱を育ててみたいと夢見るのだろう。それは自分が横綱になるより遙かに現実味がある。ように思える。

 白鵬や把瑠都の体を見てうらやむ力士がいる。小さな体でがんばり、でもどんなにがんばっても自分は前頭どまりだろうと思うとき、天賦の才に恵まれた人をうらやむ気持ちがわかる。

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 安治川親方は横綱(旭富士)だったから安心だ。安馬を始め弟子がどんなに出世しても抑え込める。ユーモアも知性もあり、最高級の肉体的資質を有しながら膵臓炎に苦しんでの「たいしたことない横綱」だったから、彼が今名伯楽の地位にいちばん近いか。
「たいしたことのない横綱だったが人徳は抜群」ということで芝田山(大乃國)部屋から活躍力士が出て欲しいのだが大不振。うまくゆかんものだ。
 人徳ではなく人格なら、「すべてがガチンコ」と言われる貴乃花は力士の品格としては満点だ。だが部屋の状況は目を覆いたくなる惨状である。なんとかならんか。最近は夫婦でヴァラエティ番組に出たりして、陽気な男をアピールしているが……。でも、「私が力士志望の子の父親だったなら」と考えると、やはり貴乃花よりも琴ノ若に預けたくなる。世の中そういうものだろう。

 八百長問題が騒がれると、必ず平行して大乃國や貴乃花のようなガチンコ力士再評価の流れも浮上する。それはそれでとてもよいことだ。



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 肝腎のこと──悪意のマスコミ

 肝腎の怪我とサッカーの是非に触れていないのではないかとメールをもらった。急いで附記する。
 そのかたの意見は、「サッカーをしたのは親善のためであり、中田に頼まれたこともハッキリしている。問題はむしろ悪意をもって伝える日本のマスコミにあるのでは?」というもの。

 私もそう思う。以下の「キムチ野郎」さんの文に代表されるようにマスコミは朝青龍に対する悪意で文を構成している。こんなもの、切り口を変えたら、「体の痛みをおさえて国際親善」と美談になってもおかしくない。巡業部の怒りも面子をつぶされたのだから当然だが、同時に、稽古で相手を怪我させることや、今までの朝青龍に対する怒りが積もり積もっている。旭国が怒り心頭だったが彼は今までにも朝青龍の横綱としての自覚のなさをたびたび批判していた。

 それらを総合して判断すると、やはりどう考えても「高砂親方のだらしなさ」が結論になる。優勝21回の大横綱だがまだ26歳のモンゴル人青年でもある。来日してまだ十年でしかない。彼に日本人が理想とする心技体を求めるのは酷だろう。いや前記したように朝潮が全身全霊をなげうって指導していたら可能だった。だけど彼は自分よりも出世した弟子に腫れ物に触るように接した。考えれば考えるほど彼の責任を思う。
 また、決して体力的にすぐれているわけでもない彼がここまでの成績を残せたのは、激しい闘争心の賜である。あれでウチダテおばばに愛想笑いをするような青年だったらとてもこんな成績は無理だった。だからこそ、彼をかばい、護る立場にならねばならないのが親方なのに、あのていたらくである。家庭内暴力児におろおろするだけの父親を思い出す。朝潮は無能な子育て能力のない父親の典型である。

 旭鷲山との事件のとき、世間は被害者である旭鷲山に同情し、憎々しげな朝青龍を責めた。しかしあのとき風呂場で魁皇が朝青龍に、「シュー(旭鷲山)は仕掛けてくるから気をつけろ」とアドバイスしている。老獪で、世間を欺き、自分を被害者に見せるのがうまい旭鷲山、単細胞で感情のまま直情径行の朝青龍。魁皇の言葉が事態を証明している。
 それを護ってやるとしたら親方しかいない。なのにあの親方は……。

 モンゴル巡業を実現しようと署名活動をして朝青龍は理事長から厳重注意を受けた。これだって異国で頂点まで上り詰めた青年が母国に錦を飾りたいとの想いからすれば当然だ。彼の地位と成績を考えたら、それこそいまだにモンゴル巡業が実現していないことのほうがよぼと問題である。白鵬も横綱になった。いますぐモンゴル巡業を実現すべきである。それが出来ないならそもそもモンゴル人を入門させるな、横綱にするな。矛盾しているのは協会の方である。

 そういう思春期の少年のような揺れ動く心を包んでやるのが父親の責任だ。ところがこの父親(親方)はただおろおろするばかりである。それでいてひょんなことから高砂一門の総帥となったものだから、平然とテレビに出てきて、もっともらしいことをしゃべったりする。

 とまあ、私の場合、朝潮に対する不満がすべてである。

 今回初めて高砂部屋掲示板というものがあるのを知った。出かけてみた。みんな言いたい放題をしているけど、とにかく私は「親方の責任」を思う。そしてもう朝潮では朝青龍を制御できないのだから、今後最悪の事態が起きてもしかたないとすら覚悟している。

 ただ二、三年前までは相撲なんていつでもやめて格闘家に転向する、帰国すると言っていた朝青龍だが、相撲への愛が芽生えたのか、ここで稼ぐのがいちばんと悟ったのか、最近はすっかりそれを口にしなくなった。
 今までに朝青龍が稼ぎ、本国に送金した額は五億円と言われている。今の彼には相撲で稼げるだけ稼いでやれという気持ちがある。大統領の座を狙っている旭鷲山とは違う。
 そういうことから最悪の事態は起きないのかもしれない。
 三十日の帰国前後はてんやわんやだろう。今後の推移を見守りたい。


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 高砂部屋掲示板から

【7869】高砂親方も猛省を!
 SANA  
今回の横綱の思慮の足りない軽率で不可解な行動は、横綱本人はもちろんですが、高砂親方も同等、いえそれ以上に責められるべきだと思います。

私は大阪場所の朝稽古に何度か行きましたが、高砂親方は力士達が稽古をしているそばで、堂々と新聞を読んでいました。非常に驚きました。

20年位前は大企業でも管理職は窓側に座り、自分のデスクで堂々とふんぞり返って新聞を読んでいる姿が見られました。でも現代でそんなことが許される企業がどこにあるでしょうか?(中小企業は知りませんが)
高砂親方の態度は相撲雑誌等でも非難されていましたが、その後、改めたのでしょうか?新聞なんか家で読んで下さい!!そんな親方がどこにいますか!?

朝青龍関はこれまで数々の失敗をしたり非難の対象になったりしていますが、あなたはその壁になって守ってやり、本人にわかるように日本の風習や日本人の感覚等を説明しているのですか?どこまで真の愛情と厳しさを持って指導しているのか。親方のテレビ解説の時の話しぶりなどを聞いていても、肝心の愛情と厳しさは全く伝わってきません。朝青龍関のことを話す時も全く第三者のような感覚で話されていますが、あなたは角界の親なんですよ。だから親方なんですよ!!

朝青龍関は天性の資質と根性とで、自分だけの力で横綱まで登り詰めたように私には思えます。優勝回数も郡を抜いて多く、その恩恵に十分すぎる程あやかってきたのは高砂親方でしょう!

もっと親身に自分の子供に対するように朝青龍関と向き合って下さい。朝青龍関は、親にきちんと愛情をもって教育をしてもらえなかった子供みたいです。26歳の大人だと言っても16歳で日本に来て相撲一筋、常識はずれなところもあるんですよ。日本人と根本的に感覚の違うところもあるでしょうし。それを導くのが親方の一番の仕事です。稽古場で二度と新聞なんか読まないで!!!その姿にあなたの姿勢が表れていると私は思います。

今回のことも、これまでのことも全部あなたの指導力不足が起因しているのではないでしょうか。腹が立って仕方ありません!しっかり反省してください、心の底から。

 私と全く同意見である。下線部分などは比喩まで同じだ。こういう相撲ファンがいることを嬉しく心強く思うと同時に、今更ながら朝潮を「だめだ、こりゃ」と思った。問題解決のための一所懸命がまったく見えないのだが、最初からそんなものはないとのだと知った。
 朝青龍が気の毒である。



 「キムチ野郎」大はしゃぎ(笑)

相撲協会が朝青龍に「巡業出なくて結構」

朝青龍の診断書(外部提供)
朝青龍の診断書(外部提供)

 「仮病疑惑」の横綱朝青龍(26=高砂)が、日本相撲協会の巡業部に見放された。同巡業部は27日、両国国技館で臨時会議を開き、25日に腰の疲労骨折などで全治6週間の診断書を提出した横綱に対し、夏巡業に参加させない方針を固めた。大島巡業部長(元大関旭国)は「巡業部としては横綱から全治6週間の診断書が出ているので、巡業に出席しなくて結構、という結論に達した」と発表した。

 朝青龍の負傷を気遣っての結論ではない。診断書が出された日に、モンゴルでサッカーを興じる映像が流れたことで、ほとんどの協会員が激怒。巡業部ではこの日、異例の診断書公表にまで踏み切った。不知火副部長(元関脇青葉城)は「テレビに映像が出たからまずいということで巡業に出ると言い出すのはおかしい」。高田川副部長(元大関前の山)は「相撲には伝統がある。朝青龍の今の考え方では、地位に関係なく半永久的に出場させない」と続けた。

 夏巡業は8月3日から17カ所を回るが、朝青龍の「仮病疑惑」が浮上してから、チケットの払戻し要求や「朝青龍が出ない分、チケット代を安くしろ」などの苦情が殺到している。

 朝青龍は30日にモンゴルから戻る予定で、高砂親方(元大関朝潮)は「帰ってきたら巡業に出るように話します」と、あらためて強制出場させることを明言した。しかし巡業部が受け入れを拒否しており、朝青龍の存在が宙に浮くことも。来週早々には、巡業部の判断などを踏まえ、北の湖理事長(元横綱)が処分を含めて最終結論を出す。診断書の事実確認も含め、朝青龍はますます窮地に追い込まれた【盧載鎭】


名古屋場所初日で朝青龍が負けたとき「かつての輝きは消えた」と大騒ぎをしたが、その後14連勝で優勝を決めた際はまったく知らんふりをしたニッカンスボーツの「キムチ野郎」が、朝青龍の失態にまたまた大はしゃぎ(笑)。みっともない男である。見ていて恥ずかしい。男として一貫性をもて。それでも新聞記者か。朝鮮人魂が泣くぞ!
 朝青龍は優勝という結果を出した。それにはしらんふり。こんな失態が起きると待ってましたと顔を出す。恥を知れ!

 今回私は、「朝青龍が優勝したのでずっとペンを執っていないが、もしかしたら今回の失態について書いているのでは? 大はしゃぎだったりして」と、まさかと思いつつ大嫌いなニッカンスボーツのサイトに行ってみた。するとまさにそのとおりで、上の文だったのである。予想は当たったが白けた。いくらなんでもなさけない。この人には公平な視点はないのか。「キムチ野郎」と人前で罵られてケンカになったのにはそれだけの理由があったのだろう。そう思わざるを得ない。いやはやなんとも呆れた。

 ここまで来るともう朝青龍とウチダテおばばと「キムチ野郎」は巴戦で完全決着をつけたほうがいい。
 でもまあそうなったら勝つのはおばばだろう。朝青龍と「キムチ野郎」は人間だがおばばはこの世のものではないもんなあ。

8/1


 朝青龍を処分、

2場所出場停止・11月まで謹慎

 腰と左ひじの故障などで大相撲夏巡業の休場を申し入れながら、モンゴルでサッカーに興じていた横綱朝青龍(26)(モンゴル出身、高砂部屋)について、日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、9月の秋場所と11月の九州場所の2場所出場停止と減俸30パーセント4か月の処分を決めた。

 さらに11月まで謹慎処分とし、部屋と病院、自宅以外は特別な事情がない限り外出を控えるよう求めた。また、師匠の高砂親方(元大関朝潮)は監督不行き届きで減俸30パーセント4か月とした。横綱が不祥事で本場所を出場停止となるのは初めて。

 理事会は午後1時から始まり、約30分で終了。各理事からは厳しい意見が相次いだという。

 朝青龍は名古屋場所で21度目の優勝を決めた後、左ひじや腰の故障を訴え、巡業部に全治6週間とする診断書を添えて休場を届け出た。休場届は受理、承認されたが、朝青龍は承認前にモンゴルに帰国し、元日本代表の中田英寿さんらとサッカーをしていたことが発覚。元気に走ったり、シュートする姿が日本のテレビでも放映された。

 30日に日本に戻った朝青龍は北の湖理事長に事情を説明して謝罪したが、巡業部などから厳しい処分を求める声が上がっていた。

 横綱を巡るトラブルでは1949年、本場所を休場中の前田山がプロ野球の試合を観戦、引退に追い込まれたことがある。(2007年8月1日13時52分 読売新聞)

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私は相撲見ませんが、朝青龍の態度は正直、お調子乗りの態度ですよ。どのスポーツでも紳士的なトップでないと駄目ですよね。社会的地位はそれ相応の態度が必要で、それはその人に与えられた責務であると思います。

相撲に興味はないんですが、日本人として日本の伝統スポーツとして恥にならないようにしてくださいよ、朝青龍さん。お願いしますよ。


 この赤字は高砂部屋の掲示板に書き込まれたものである。相撲を見ない、相撲に興味はない人が、なんで相撲部屋の掲示板を探し出してこんなことを書き込むのか。正気とは思えない。ネット世界はいろんな気違いを生み出す。

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 私の批判の基本である高砂親方(朝潮)の態度にあらためて腹が立った。
 朝青龍は30日に帰国した。今朝のテレビ、その後どう発言しているか、どういう態度かとテレビクルーに問われた親方は、「(朝青龍から)連絡がないのでわからないです」と応えたのだ。いかにも「いやあ、わたしも困っているんです」とでも言うがごとく。
 この人は横綱がモンゴルに帰国していることすら知らなかった。これがまずとんでもないのだが、それよりもひどいのは、「そのことを親方としてみっともない、恥ずかしいと思う気持ちがない」ことである。だから他人事風にテレビクルーにそんなことを言う。連絡はあるのに隠しているのではない。そんな奥深い腹芸の世界ではない。「連絡がないんですよ、困りました。私も皆さんと同じ被害者ですよ。たまんないですよ、もう」という態度なのだ。これほど呆れて腹が立ったこともそうはない。

 たしかに朝青龍は今までにも激しい気性からいくつかの問題を起こしている。でもほとんどのそれは礼儀や常識を知らない悪ガキレベルのものだ。どう考えても悪ガキそのものより、それを指導できない親の方に責任がある。ところがこの親、いまだにまったく責任を感じていない。ぶん殴ってでもてめーのガキを躾ねばならないのに、迷惑を受けた近所の人と一緒に、「いやあ、わたしもこまってるんです」と話している。どうしようもない。一応責任を感じているとの発言はするが、形式的に仕方なく言っているのが丸見えだ。

 今回の厳しい処分は、巡業部、審判部、理事会、横審、誰もが横綱に反感をもっているから生まれた結果である。そのほとんどすべてが、指導力のない自分の責任だとこの人は気づいていない。最悪である。それどころか、なんでおれだけこんなに苦労するんだ、とすら思っている。
 朝潮を主人公にしたいしいひさいちのマンガがある。あれを読んで当人が笑い転げていたという。どこか常人とは違う感覚なのだろう。ここまで来るとあまりの不愉快に出自にまで触れたくなってくる。そういうリクツをほじくらないとこの人の鉄面皮は理解できない。

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 まあ朝潮のことはどうでもいいや。考えるだけで不愉快になる。朝青龍のことだ。
 出場停止は彼にとって最もつらい懲罰だろう。極端な話、大関に降格になった方がまだいい。すると彼のことだ、連続優勝してまた横綱に戻ってくるだろう。どんなもんだという顔をして。

 出場停止はきつい。たとえるなら、クラス全体が来月の修学旅行、あるいは期末テストに向けてそれ一色のときに、たったひとりだけ、修学旅行に行けない、期末テストを受けられない、とすでに決まっているようなものだ。これはむなしい。残酷な懲罰である。しかも貧乏で修学旅行に行けないのではない。勉強があまりに出来ず期末テストを受けられないのではない。修学旅行に行くお金もあり、テストも大の得意なのに、行かせてもらえない、試験を受けられないという状況なのだ。みんなの会話に入れない。誰とも話せない。どうしたらいいのだ。稽古になど身が入るはずがない。だってどんなに稽古をしたってその強さを発揮する場がないのだから。

 横綱には何人もの付き人がついている。朝青龍が時間一杯最後の仕切りのときに花道に目をやり「見ていろよ!」とばかりに睨み付けるのは付き人たちだ。これは貴乃花も言っていた。それだけ付き人というのは一体感があるらしい。
 だがその付き人たちもみな修学旅行に行く。期末テストを受ける。それと無縁なのは朝青龍だけだ。付き人たちとの会話すら弾まない。角界でひとりぽっちである。
 行動場所も制限された。本場所に出られない部屋で稽古をしてもつまらない。家にいても相撲中継など見る気にならないだろう。怪我で休場した力士ですら見ないというのに彼は健康なのだ。「白鵬が全勝で」「新大関琴光喜が」。聞きたくない話題だ。

 朝青龍から引退を言い出す最悪の結果も想定せねばならない。

 彼はモンゴルでなんらかのビジネスに手を染めている。今まで送金した金の総額は五億だというからファンドに絡んでいるという噂も一概に否定は出来ない。まだまだ相撲で稼ぎたい、は本音だろう。だが出場できない二場所に耐えられるか。力を維持できるか。次に出られるのは来年一月の初場所。本場所と巡業、丸々五ヶ月表舞台から消えることになる。(十二月の巡業からは出られるので実質117日の謹慎と後に知る。)

 それにしても、相撲になどまったく興味がなく、力士の名前すら知らない連中が、情報に乗っかって朝青龍を悪し様に罵るのは気持ち悪い光景である。クラスにいじめられっこが出ると、ふだんはおとなしい生徒まで、流れに乗っていじめっこになる。あの集団心理と同じだ。
 こういうときこそ心ある政治家、それこそ首相クラスの人が、「たしかに横綱の行動には反省すべき点があったと思いますが、だからといってふだんは相撲に興味のない人までがヒステリックに横綱を非難することは、いじめ問題と同様の異常な心理を感じます」とでも発言してくれるといいのだが、そんな人がいるわけもなく。


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 気味の悪い光景(8/2)

 きょうは朝から昼、夕方までどこのワイドショーでもこのことを取り上げ、みなしかつめらしい顔で、「国技」「心技体」「品格」などと発言していた。しかしそれら評論家がふだんどこまで相撲を見ているのか。ヅラオグラの番組で知ったぶりをしたマエダチュウメイというのが何も知らず笑いものになったのはついこのあいだのことだ。「私はね、日本人として、侮辱された気がしました」と言ったバカがいた。そう発言するだけおまえは相撲を見ているのかと問いつめたくなった。

 今回の朝青龍の問題を取り上げ大騒ぎしているワイドショーのいったいいくつが、彼が横綱になったとき取り上げたか。「モンゴル人初の横綱」という話題には興味を示さず、その他優勝を始め彼のなした快挙には一切しらんふりをし、このような問題が起きたときだけ、まるで毎場所固唾をのんで見守っている大の相撲ファンのような顔をして、国技が、品格がと口を出し始める。そしてまたふだんは相撲などまったく興味のない連中までが、「ゆるせない」と言い出したりする。なんと醜いことだ。

 朝青龍の現在の気持ちは朝潮の口を通じて、「事態を真摯に受け止め、今後はうんぬん」と発表された。だがきょうのワイドショーの一部で、「二場所謹慎」と決定したとき、「二時間泣きっぱなしだった」と伝えられた。噂であるが十分に信憑性はある。いまだに日本の常識、相撲界の常識を理解していない精神年齢十歳程度の悪ガキにとって、驚天動地の出来事だったろう。楽しくサッカーをしただけなのになんでこんなことになったのだと混乱していることだろう。

 高砂親方のみならず、彼を横綱に推挙した審判部から理事長、横審まで、すべてが責任を感じるべき問題である。だが誰もが悪ガキひとりの責任にして自分たちをむしろ被害者のように振る舞っている。現実の悪ガキに対して被害者面する教師や親とよく似ている。
 テレビや新聞の報道姿勢、協会幹部や親方の態度、すべてが今の日本を象徴する気味の悪い事件になってきた。
 むしろいまだに事件の深刻さがわからず仏頂面をしている悪ガキの表情は、私にはさわやかですらある。


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 天敵朝潮

 相撲好きの後輩IJが数ヶ月ぶりにメールをくれた。朝青龍問題である。それだけ世間の注目を浴びていることになる。

 そのIJのメールの一部。

「調子の波が激しくて、波に乗ると強いことから
“波乗り大ちゃん”などと云われておりますが…」などと
NHKのアナウンサーが言っていたのを聞きながら、
「誰も言ってねえよ」とひとり突っ込んでいたのを思い出します。
“波乗り大ちゃん”って、そんな可愛い話じゃなくて、
相撲がなってないだろ、って話ですわ。
千代大海に通じるものがありますが、まだ千代大海のほうがましです。


「波乗り大ちゃん」か(笑)。
 それで私も思い出した。三流大関の朝潮だが、なぜか一流横綱の北の湖にだけは強かった。最強横綱北の湖は、朝潮に何度も連勝をとめられたり、優勝を阻まれたりしている。優勝を阻まれるといっても、北の湖を負かした朝潮が優勝するのではない。勝ち越しすらあやういような状況なのに北の湖にだけは勝つのである。「大相撲記録の玉手箱」で調べると、対戦成績は朝潮の13対7。北の湖にここまで勝ち越している力士はいないだろう。

 現役時代がこれで、理事長になってもこの問題である。いったいどこまでおれの足を引っ張るんだと、北の湖は朝潮の顔も見たくないことだろう(笑)。
 今いしいひさいちの「ワイはアサシオや」が連載されていたらどんな切り口になるだろう。北の湖理事長はゲッソリやつれ、目のしたに隈を作っているのに、あいかわらずアサシオは能天気、そんな図柄か。


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 読売新聞の北の富士賛歌???

 8月3日。読売新聞の一面、編集手帳が朝青龍問題を取り上げていた。

《横綱玉の海が秋田市で虫垂炎を患い、巡業の途中で帰京したのは1971年(昭和46年)の8月である。横綱北の富士率いる別の班は北海道巡業を終えていた◆知らせを聞くや、北の富士は代役を務めるべく東北に旅立っている。あわてて綱を忘れた。現地には不知火型の玉の海が用いた綱しかない。本来は雲竜型の人が不知火型で土俵入りをした逸話が残る◆「横綱のいない巡業は主役不在の芝居だ」。いまは相撲解説者、北の富士勝昭さんは自伝で回想している。だから自分が務めた、と。横綱が背負った荷の重さが伝わってくる
 
 として、北の富士の心意気を讃えた後、以下、朝青龍批判になる。
 だがこういう形で北の富士を持ち上げるなら、同時に彼が休場中にハワイに遊びに行き厳重警告を受けたことも記すべきだろう。とてもとても品行方正な横綱ではなかった。これじゃあきらかな片手落ちだし、偏向した切り口だ。モンゴル人差別とすら言える。
「そんな横綱北の富士にも、休場中にハワイに遊びに行って厳重戒告を受けた過去もある。誰もが満点ではない。だから朝青龍も」とでも続けて、初めて公平な視点になろう。
 そういや横綱大鵬がハワイからピストルをもちかえり(珍しいおみやげのつもりだったのだろう)、警察から事情聴取なんて事件もあった。みんなみんな品行方正だったわけではない。若くして怖いものなしの地位に就いてしまうのだ。狂ってゆくのはしかたない。そういうときこそ周囲のおとなの価値が試される。いつも陽気で笑顔と笑い声の絶えなかった貴乃花があんな陰気な男になってしまったのも若くしてあの地位に就き、マスコミに振り回された結果(=それを両親をはじめとする周囲が守ってやれなかった)である。
 とはいえ朝青龍の悪ガキぶりは多くの横綱と比べても図抜けている。他項でも書いているが、とにかくあの倒れた相手へのニードロップ等はいかな私でも容認しがたい。しかしそれはまた親方の指導力の闕如も図抜けていたからである。

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 伊吹文部大臣が記者会見をして、この件に触れ、「相撲の地方巡業は公益性のあることであり」としゃべっていた。おいおい正気かよ。相撲の巡業なんて芝居やプロレスのどさ回りとなにひとつ変らん。もともと本場所の収益だけじゃ食えないから始めたものだ。地方の後援者のあいだを回って金稼ぎをしたのが始まりである。それは大相撲関係者も認めている。食えなかった時代、本場所のあいだの小銭稼ぎだ。私も茨城に来たときに父を連れて何度か行っている。本場所じゃないときに怪我をしたらたまらんと、そりゃあもうひどい手抜きである。いわゆる土俵際の粘りなんてのはいっさいない。怪我をしないようにすぐに押し出される。プロレスの本場所が東京ドームや武道館だとするなら、田舎町特設青果市場でやる手抜き試合と同じレベルだ。とはいえ相撲取りを身近に見られるからそれなりの楽しみはある。子供たちにとってはテレビでしか見られない本物の堅太りデブが見られて楽しいだろう。だから巡業は巡業でいい。価値がある。
 だけど「公益性」はないんじゃないの(笑)。だいたい今までなんの発言もしていないのに、今更このイブキなんてのが出てくる必要はない。世間的話題になっているから顔を売ろうとしたのか。

 この伊吹って文科省大臣もダメ。農水相も松岡の次は赤城だって(笑)。これもダメ。問題起こすぞと思ったら見事にやってくれた。貧相な男である。あんなのが大臣じゃ内閣そのものが貧相に映る。閣僚任命センスの悪さと人前で女房と手を繋ぐ幼稚さで私は安倍首相を嫌いだと言い切る。

 ってなことはともかく、読売のこの編集手帳はちと偏向している。

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 私は毎日読売の編集手帳を読むほど熱心な読者ではない。というかほとんど読んだことがない。産經の『産經抄』は割合こまめにチェックしているが。
 きょう外出先に読売新聞があり、偶然目にした。こんなこともある。いいタイミングだった。


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 朝青龍問題、ワダアキコの見解
 
 朝青龍問題に関してワダアキコが朝青龍をボロクソに言う見解を出していた。
 鬱病一歩手前だから一日も早くモンゴルに帰国させた方がいいと発言した「主治医」に対し、「わたし、あの人よく知ってるけど、精神科医でもなんでもないよ」を始め、朝青龍を手厳しく批判した。

 そのことと「キムチ野郎」事件は無関係ではあるまい。彼らはこの種のことにひじょうに敏感である。その事件からワダは朝青龍の自分たちへの姿勢を知った。それが怒りの原点である。「キムチ野郎」とはワダに向けられた罵声でもあった。相撲のことなどどうでもいい。今回の彼女(と思われる)の朝青龍批判の根柢にあるのはソレだ。

 ところで2ちゃんねる等では彼女の本名を日本名・和田現子から金現子とする半可通が多いが、正しくは金福子である。

8/7
朝青龍の医者、親方面接

仮病疑惑で自宅引きこもり状態が続く朝青龍を「神経衰弱」と診断した本田昌毅医師(37)が包茎手術などの形成外科を専門として形成クリニックを経営していることが6日、分かったただ、医師免許があれば、専門領域は限定されない。

本田医師は夕刊フジの取材に「精神科が専門」と答えているが、学会内では「彼は形成外科が専門のはずで、診断には疑問が残る」と指摘する専門家もいる。

沖縄医院に出勤前の本田医師を直撃すると、「私の中では(包茎治療も精神治療も)一緒。コンプレックスを治療する意味においては、その元を絶たねばならないので、矛盾はしない。精神保健指定医にも認定されている」と話した。 

本田医師は97年に、昭和大学医学部を卒業。99年まで東北大学医学部付属病院勤務で勤務の後、01年まで包茎手術を専門とする大手美容外科クリニックに勤務。技術指導医を経て、03年に本田ヒルズタワークリニック院長に就任。現在、東京、沖縄で『本田ヒルズタワークリニック』など3院を経営する包茎界のカリスマ医師だ

本田医師の診断に疑問を唱えるのは精神医学の権威、医学博士の小田晋氏小田氏はまず、「彼は形成外科が専門であり、今回の診断には疑問が残ります」と指摘する。

「精神科医として、神経衰弱はそもそも使う言葉ではない。客観的なデータもなく、患者の言うことが絶対となる分野。専門はともかくとして、患者の"弁護士"としては、鬱病を発症して自殺してしまうリスクを考え、要帰国治療と診断せざるをえなかったのだろう」と理解は示したものの、「私人ではなく、相手は確信犯の横綱。国民の理解は得られないでしょうな」と分析。

形成外科を専門とする「本田ヒルズタワークリニック」は、イメージキャラクターにはAV男優の加藤鷹を起用し、沖縄でもCMが頻繁に流される有名病院。(ZAKZAKより)


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最初に白髪の年配の「主治医」なる人が記者会見し、モンゴルに帰らせた方がいいと所見を発表した。するとすぐに彼は精神医ではないと反感の声が伝えられた。あ、これもワダアキコだ。彼女(と思われる)が、「あの医者はわたしもよく知ってるけど、精神科医なんかじゃないよ!」とテレビで発言したのだ。それはその通りであったらしい。朝青龍と極めて近い人が朝青龍寄りのコメントを出したようだ。
 だったらきちんとした精神科医を、となり、今度はこの人が朝青龍のマンションを出てきたところを記者に囲まれた。私はそのときからこの茶髪のぽっちゃり型男をアヤシイと思っていた。どうにも信頼できる精神科医とは思えなかった。すると上記のようだったのである。

私の中では(包茎治療も精神治療も)一緒。コンプレックスを治療する意味においては、その元を絶たねばならないので、矛盾はしない。精神保健指定医にも認定されている
 は、なかなかの迷セリフである(笑)。なるほど、「コンプレックスを治療する意味においては矛盾はない」ですか。
「イメージキャラクターにはAV男優の加藤鷹を起用し、沖縄でもCMが頻繁に流される有名病院も笑える(笑)。

 ふたりの医師が立て続けにテレビに映り、「鬱病一歩手前、すぐにでもモンゴルに帰国させた方がいい」と発表した。これは朝青龍に近い人が、彼の気持ちを代弁したと解釈してよかろう。

 対して高砂親方、北の湖理事長は、それに待ったを掛けた。おお、相撲用語の「待った」をこんなところでうまく使えたぞ。
 それはもうあれだけの厳しい処置をして、「安倍首相のだらしなさと比して相撲協会はやるではないか」とほめられたところなのに、 その数日後にモンゴルに帰られたのでは赤っ恥になる。

 しかしここでもうそんなこと以上に高砂親方には大問題が生じている。
その精神科医ふたりを始め、朝青龍と近しい何人もが彼の住まいに出入りして横綱と会話し、ふたりの医者は記者会見までしているのに、高砂親方はこの時点で、携帯電話で話しただけ、だったのである。
 どう考えても異常だ。事ここにいたって、私の前々からの主張である「高砂親方の管理能力」に関して、ワイドショー等でも厳しく追及されるようになった。

 そして昨日、遅まきながら面談してきた高砂親方がテレビカメラの前で話した。

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【大相撲】“客観的な診察”を!高砂親方、朝青龍とようやく面会

 日本相撲協会から厳しい処分を受け、精神的に不安定な状態になっているとされる横綱朝青龍(26)の師匠、高砂親方(51)=元大関朝潮=は6日、都内の横綱の自宅マンションを訪ね、協会が指定する専門の医師の診察を受けさせる意向を示した。朝青龍は前日、知人の精神科医、本田昌毅医師(37)の診察を受けたが、“客観的な見解”にこだわりをみせた。

 長すぎた。ようやく師弟が直接、顔を合わせた。師匠が弟子の自宅へ足を運ぶかたちで、高砂親方と朝青龍が約20分間、直接言葉をかわした。訪問から日本相撲協会に戻った高砂親方は会見を行い、ときおり笑顔を浮かべてその目で確認した状況を説明した。

 「普通を装っているが、かなり憔悴(しょうすい)している。普段はよくしゃべるが、あまり語らない。あんな朝青龍は見たことがない。私もちょっとビックリした」

 夏巡業の休場届を出しながら、モンゴルでサッカーに興じていたことが発覚し、7月30日に帰国。その足で同親方とともに東京・両国国技館の北の湖理事長(元横綱)へ謝罪に出向いて以来の接触。1日に協会の厳罰が下されて以降、初の直接対話だった。

 2人はソファに座り、今後について話し合った。同親方によると、そこには朝青龍のマネジャーもおり、介在して会話が続く変則的なものだったという。席上、高砂親方は夫人のタミルさんら家族を、母国モンゴルから日本へ呼び寄せるプランを提示したが、横綱は首を縦に振らず、「それは難しい」と答えた。

 協会からの厳罰を受けて、精神状態が不安定に陥ったとされる朝青龍は前日、知人の精神科医、本田医師の往診を受けた。「うつ病の一歩手前の抑うつ状態と、神経衰弱状態」と診断され、モンゴルへの早期帰国を勧められたばかり。同親方が家族を呼ぶ案をあっさり引っ込めたのも、帰国を強く希望する朝青龍との気持ちのかい離を感じ取ったからのようだ。

 だが、横綱の思いどおりにことは進みそうにない。協会内には中堅、若手の親方衆を中心に“自らまいた種”と、帰国に反対する強硬な意見も多い。本田医師同様、モンゴルへの帰国を勧める朝青龍の主治医、平石貴久医師も、横綱と面識のある人物。客観性の乏しさを指摘する声もあがっている。

 そこで、高砂親方は第三者的な立場の医師による検査を受けさせ、帰国について検討するという。近く、協会の「医務委員会」から推薦を受けた専門医による再診察を要望した。現在の医療では、複数の医師の診断を受ける“セカンド・オピニオン”(もう一方の意見)が定着しており、同親方も「1人より2人の方が、正確な診断ができる」と、より客観的な診断を求める。「その結果が同じなら(北の湖)理事長に相談する」とした。


★精神科医の診断は

 朝青龍は前日、自宅で1時間40分、知人の精神科医、本田昌毅医師(37)写真=の診察を受け、「うつ病の一歩手前の抑うつ状態と、神経衰弱状態」と診断された。診断書は、関係者を通じて師匠の高砂親方に提出された。

 同医師は以前から朝青龍と面識があり、包茎手術などの形成外科のクリニックを経営しており、知人から依頼を受け往診した。「横綱は神経的に参っている。受け答えもまともに発言できない。このままだと、あと2、3日でうつ病になる」と説明し、母国モンゴルへの早期帰国を勧めた。高砂親方が求める会見を行うのは、「全身骨折の人に、歩けというようなもの」と否定した。(サンスポより)


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やっと会えた親方は20分、その前の「朝青龍の知人から依頼を受け往診した」包茎の医者、いや包茎治療の権威の本田医師は1時間40分。数字が状況をよく語っている。知人がそれだけ会っているのに親方ときたら……。親方とはその名の通り親である。その親が子供に会うのにおっかなびっくり、やっとなのである。それだけでもう狂っている。
 朝青龍のマネージャがあいだに介在し、半端な会話になっていることも奇妙だ。すでにもうかつての相撲界の「親方と弟子」とは乖離している。でも錣山(寺尾)と豊真将なんていい関係だもんなあ。やっぱりここだけ特別に異常なんだ。

 ただそういう流れってのはむかしからあった。輪島は、力士はみな部屋に住まねばならないのにひとりだけ部屋近くのマンションに住んで問題になった。腰が軽くなると相撲取りには厳禁とされたランニングもやめようとはしなかった。でも彼も出世が早く親方はそれを止められなかった。親方の娘と結婚して花籠部屋を襲名したが、年寄株を質に入れての借金から角界を追われることになる。そういう問題を起こして当然のことを現役時代からやっていた。この場合も、学士力士(といっても彼はほとんど字も書けなかったようだが)として幕下付け出しで入門し、あっという間に出世していったので、親方と弟子という絆がなかったことが原因だろう。
 その輪島が今回の件でコメントを求められ、横綱の心構えなどをしかつめらしい顔でしゃべっているのが笑える。

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 テレビで高砂親方が会見していた。晴れ晴れとしている。表情は一見沈痛だが、彼はいまいい気分だ。
 それは、「自分の今までの苦労を、世間もやっとわかってくれた」という感覚だろう。あの朝青龍というモンゴル人青年の傍若無人によって自分は今までとんでもない苦痛を強いられてきた。でも誰もわかってくれなかった。今回のことで相撲協会も世間の相撲ファンも、やっと自分の苦労を理解してくれた。親方と弟子なのに、まともに面談すら出来ない屈辱的な現状をわかってくれた。おれには味方が出来た。協会も世間もおれの味方だ。もう朝青龍なんか怖くない。あいつをモンゴルになんか帰らせない。理事長だってきっとおれに味方してくれる。世間も同調してくれる。やるぞ、こうなったらおれもやるぞ、おれにはいま味方がいっぱいいるんだ。
 というような心境らしい。

 朝青龍が旭鷲山との確執から彼の車のドアミラーを壊した。その損害金を朝潮が払った。これが彼にとって「親の務め」なのだろう。親として、そういうことをした子を叱り、弁償させ、謝らせる。それが正しい親だ。だがこの親は、子の代わりに弁償金を払い、「たまらんねえ」とため息をつき、それで親の務めをまっとうしていると勘違いしている。今時のだらしない親そのものである。

 今朝の映像では、マスコミの代表質問に朝潮がきれる場面があった。
「だからそんなのおれにもわからないって。なにもしゃべらないんだから。何度言えばわかるんですか」と、自分を「おれ」と言って、語気を荒げる。質問者が「あ、すみません」と謝る。朝潮が苦笑する。みんなして「困ったもんだよ朝青龍」の話をしている和気藹々?の雰囲気だ。

 だけどこれ、ぜったいにおかしいだろう。弟子が親方に対してまともに会話をしない。多くの人間が横綱の住居に出入りしていたのに親方は一週間も経ってからやっと面会が出来た。それらは恥ずべき事だ。「おれに対してなにも話さない。だからそんなこと(=今の朝青龍の心境)尋かれても、おれにはわからないよ」とは立場上、事実であっても口が裂けても言えないことのはずだ。朝青龍の側にいて、マスコミからの攻撃を防御してやるべき立場なのに、マスコミに、被害者としての自分をアピールしている。第三者と一緒になって弟子の不行跡をなじっている。狂っているとしか思えない。少なくともこの人には、人を指導する資格はない。

 横綱は最後に親方を見送ってくれたかという質問にも、ソファに座ったままで立ちさえしなかったと語っていた。マスコミは「なんとひどいことを」と親方に同情する。しかしそれは親方としての恥である。親方と弟子の形態として、親方は恥ずかしくて口に出来ないほどの屈辱である。現実に立ちさえしなかったとしても、ドアまで送ってきて叮嚀に頭を下げていたと嘘をつかねばならない。それが弟子をかばうことであり、親方としての矜持だ。それだけの器量があれば、そもそもこれらの問題は起きていなかった。しみじみ最低の人間だと思う。この人は平然とそれを口にし、マスコミが朝青龍の態度に呆れることを喜びとしている。自分の正しさが証明されたと思っている。うつけ者としか言いようがない。

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 なんだかどうでもよくなってきた。あまりに愚かなこの朝潮こと、高砂親方こと、長岡末広五十一歳を見ていたら、もう相撲のことなど考えたくなくなってきた。

 ワイドショーのキャスターとしては相撲通であるヅラオグラが、一連のこの流れを見て、朝潮の態度に呆れるようなコメントをしていた。上記した、朝青龍が親方を見送ったかという質問に対し、朝潮が、ソファから立ちもしなかったと他人事風に応えたときだ。相撲に興味のないキャスターは、そういう朝青龍の無礼を非難する姿勢だが、比較的相撲に詳しいオグラには、それを平然と口にしている朝潮に対する怒りがあったのだろう。心あるひとはみな朝潮の態度に呆れている。だけどこの人はいまだに気づいていない。

 それでも、「ここで早期にモンゴルに帰らせたら、なんのための懲罰かわからない」とは思う。それじゃ単なる長期休暇だ。だけど協会ももうこれ以上好奇の目に晒されるのはイヤだ、という雰囲気になってきた。いちばん楽な解決法はモンゴルに「隔離」してしまうことだ。そうなれば熱しやすく冷めやすいマスコミは次の身近な話題に走る。

 どうなることやら。
 みょうにスッキリと居直った朝潮の顔が不快な朝。

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 朝青龍のマネージャとは「先代高砂親方の息子」なのだそう。とすると富士錦の息子か。その人はぴったり横綱と生活をともにして、今回も朝青龍のマンションにいて、悩みを聞いている。朝潮と朝青龍の面会の際には両者のあいだに入っている。朝青龍が日本人と合わないわけではなく、とくに朝潮と不仲、との図式も浮かんでくる。
 ここまで問題がこじれると、その辺の内部告発も出てきそうだ。
8/8
 朝青龍の症状


謹慎意味ない、汗かけば治る…理事から疑問の声も

 朝青龍の治療帰国に関して、理事の間からは疑問の声が続出している。秀ノ山理事(元関脇・長谷川)は「なぜ日本で治療できないのか? 何かモンゴルにこだわっているような感じがする」と、まずは国内治療を優先させるべきとの見解を示した。
その上で理事会が開かれた場合は「私は(帰国には)反対します。謹慎処分が出ているのに、ここで認めては他の力士に示しがつきません」と断言した。

 一貫して帰国に反対している大島巡業部長(元大関・旭国)はこの日、夏巡業の北海道・福島町で「帰ったら謹慎の意味がない」と改めて反対を明言。急性ストレス障害など心の病の診断書が公になっているが「ストレスなら汗をかけば治る」とピシャリ
5月に交通事故を起こした弟子の旭天鵬が、朝青龍の4か月よりも短いとはいえ1か月の謹慎を受け入れただけに、処分が出てからわずか1週間での心の病に疑問の目を向けた。

 一部の理事からは「診断書が出るなら、それに従わざるを得ない」との声も上がっているが、多数は帰国反対。理事会が開かれても朝青龍には厳しい現実が突きつけられることになりそうだ。(スポーツ報知)


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そもそもの「朝青龍仮病疑惑」に意見を言ってないことを指摘されたので書く。
 仮病とまでは思わないがその程度のものだろう、というのが私の意見になる。
 とにかくこの人のやることはすべて「中学生悪ガキレベル」で片が付く。

 ひさしぶりに運動会で1位になった悪ガキは喜色満面。うれしくてたまらない。親しいみんなに報告し自慢したい。でもそのあとの全員参加と決まっている「夏休み海辺のゴミ拾いボランティア」はやりたくない。サボりたい。だから怪我をしたと診断書を出してサボることにした。あちこち痛いと言えば知り合いの医者がすぐに診断書を書いてくれた。サボって故郷に帰った。
 あちこち痛いのは事実。ボランティア活動をサボって故郷でのんびりしたかったのもまた事実。
 あちこち痛いが、親しいみんなの前で楽しくサッカーをやる程度はなんてことなかった。ところが病気でボランティア活動が出来ないはずなのに、故郷で遊びほうけているところを報道されてしまった。

 と、この程度の話である。この悪ガキ、運動神経の良さだけで支持され、一応生徒会長である。
 しかしあまりに意識が低い。悪ガキひとりだけではなく、大相撲中学というところもひどい。小畑校長先生もひどいし、特に悪ガキの担任の高砂先生がどうしようもない(笑)。

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 で、現在の症状だが、これまた嘘っぱちだ。親しい医者を呼んで、なんとかモンゴルに逃げようと画策しているが、無能で弱気な高砂先生が今回に限り妙に強気で、それは許さないと気負っている。

 あえて正規の精神科医がどうのこうのと言わなくても、そんなの誰にだってわかる。思っていたより問題が大きくなっていたので、とまどっている、焦っている、苛立っている、その程度だ。一気に鬱病だのなんだのとそっちにもって行く方が不自然である。

 旭国の言った「ストレスなら汗をかけば治る」が、無知蒙昧の暴言として朝青龍贔屓の連中から攻撃を受けているが、私は現在の朝青龍の症状?なんて、そんな程度だと思う。悪ガキが思いがけない重い罰にしょんぼりしているだけだ。それにいきなり小難しい病名をつけられてモンゴル帰国となったら協会の面目丸潰れである。「食慾がない」「肌に艶がない」なんて取り巻き医者が言っていたが、そんなのたいしたことない。いらいらして食が進まなければすこしはやつれよう。そんなの当然だ。

 たったあの程度のことで知り合いの医者がすぐに駆けつけ、「出来るだけ早くモンゴル帰国を」と始めたことにうんざりした。朝青龍をここまでおかしくしたのは高砂ひとりではなく、やはりこの辺の取り巻きにも問題がある。おそらく朝青龍とマネージャが相談し、「ここは医者の診断書を出して帰国するのがいちばん」となり、知り合いの医者にそれを頼み、あの「主治医」や「包茎手術の権威」の登場となったのだろう。包茎医者など横綱直々に電話をもらい沖縄から飛んできたのだろう。これはこれで現代の「谷町」である。この辺の知恵の浅さも「悪ガキレベル」だ。問題に正面から挑まず、ただ逃げようとしている。ケンカの強い怖い物知らずの悪ガキが、本気で少年院に入らねばならないとなったら、いきなり「おかーさーん」になったようなものだ。みっともない。

 あの取り巻き医者の、「モンゴルに帰国させて、母親の手料理を」等は寝ぼけている。私の朝青龍に対する態度は一貫して「日本に来てまだ十年の異国の青年じゃないか」と庇うものだったが、この程度のことで「母親の手料理」なんて言い出す取り巻きが出てくるとどっちらけだ。日本に来てまだ十年の、脳みそは中学生レベルのモンゴル人青年だが、二十六歳の一人前の男でもある。「海辺のゴミ拾いボランティア」を、嘘をついてサボろうとしたのは事実なのだ。だったらそれは自分で責任をとれ。悪ガキらしい潔さを見せろ。記者会見して詫び、来年初場所にすべてをかけますと言えば済むことだ。
 周囲が自分を虐めると日本人に反感を持つ前に、大統領の月給五十万円の国から来てどれほどの大金を稼いだ。送金だけで五億、稼いだのはその倍以上だろう。モンゴルの企業を買い占めるほどの大金を稼げたのは誰のお蔭なのだ。そう、自分の実力だ。だがその力を発揮できる場を与えてくれたのは誰だ。日本という国だろう。反省がなくすぐに恨み辛みに走るのも幼稚な悪ガキの特徴である。それを指導せずそれに従う取り巻き。
 これまた周りがおかしくしている。

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 テレ朝のワイドショーに「横綱若の花、貴乃花を育てた藤田憲子さん」が厚化粧して出ていた。もっともらしいことを言っていた。そんなりっぱな立場でもあるまい。浮気騒動で離婚して財産分与でもめて、悲惨な親方の死、兄弟仲は険悪となり、とてもこういう場に出てくる資格があるとも思えない。理想的な家族と賞賛した人たちをどれほど失望させたことか。

 輪島を始め出てこなくてもいい人が次々と出てきて苦笑させてくれるのも今回の問題のおもしろさになる。
 そういや輪湖時代と呼ばれたのだから、輪島もあんなことにならなければ北の湖に近い立場にいたのか。

 私は一貫して朝青龍を擁護してきたが、今回帰国させることには反対である。
 これが私の意見になります。よろしいですか、××さん。

8/10
 朝青龍問題──知ったかぶりの意見

 早朝のワイドショーから深夜のニュース番組まで、テレビをつければ朝青龍問題をやっている。相撲ファンとしてはとてもうれしい(苦笑)。年間完全制覇をしようと新横綱大関が誕生しようと芸能人のくっついた離れたにかき消されてしまう時代だ。スキャンダルのときだけ「国技」「品格」「心・技・体」と、ふだん相撲のことなどひとこともしゃべったことのない人たちがかまびすしく騒ぎ立てる。こんなこともめったにあるまいと、せっかくのお祭りだからなるべく見るようにしている。「時代の証人」として(笑)。

 地方巡業が大入り満員だとか。「朝青龍がいなくても関係ない」と大島(旭国)が破顔する。
「朝青龍がいなくても満員の地方巡業、横綱の価値はもうないのでしょうか」と深刻げに語るレポーター。
 あほかいな。朝青龍がいないという旬の話題だから満員なんでしょうが。普段は見向きもされない手抜き興行の地方巡業なのに、テレビカメラが多数押しかけている。連日報道されている。自分たちのところの地方巡業がテレビで紹介され、朝青龍問題をどう思うかとインタビュウまでされる。そりゃ誰でも行きたくなる。日本中だれもがいま相撲評論家だ。

 どういう決着になるか知らないが、假に丸く収まり、十二月の巡業から朝青龍が参加したとする。テレビ局はほとんど取材に行かない。映像がテレビで流れることもない。つまらない地方巡業はたいした人出ではないだろう。「朝青龍が心を入れ替えて一所懸命に稽古をしている→初場所はおもしろくなりそうだ」は、相撲ファンだけが興味を持つ。ワイドショーを見ている人は、そんなことには興味がない。視聴率がとれない話題にはテレビは触れない。そうなることは今からわかっている。
 この騒ぎのむなしさはそこにある。極めて相撲的な話題が相撲を抜きにして語られている。

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 いろんな人が出てきて言いたい放題しているがウチダテオババは出てこない。本人がその辺の有象無象と一緒にされてたまるかと誇り高く拒否しているのか、テレビ局が朝からのあの顔を流すと視聴率が落ちると自粛しているのか。

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 こういうとき、相撲に関する知識がなく(だけど人一倍目立った発言はしたい)、サヨクがかったバカ(学歴は超一流)が言うのはいつも一緒。
「外国人力士を入門させるという、そもそもの協会の態度が問われるときに来ている」とか(笑)。

 高見山から始まった一連の流れはどうなるのだ。かつて存在した、そしても今もいる大勢の「まともな」外国人力士の立場はどうなるのだ。
 単に朝青龍という悪ガキひとりを制御できない親方、その親方を指導できない協会、それだけのことである。

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 昨日、朝潮が朝青龍と一時間半話せたと記者会見していた。
 その様子から、いやそんなものがなくても前々からわかっていたことだが、朝青龍が鬱病やストレス性神経障害とはなんの関係もなく、単にふてくされているだけだとよくわかる(笑)。そういう診立てをしてモンゴル帰国をさせようとした取り巻き連中のいいかげんさに腹が立つ。

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 北の湖理事長も協会のトップとして非常にだらしない。きちんと記者会見して協会の方針を前面に出すべきだ。
 しかしまた思う。元々引退力士たちが集って運営している相撲協会なんてそんなものだったろう。よくぞここまでやっていると褒められるべきだ。プロレスラーがみな相撲協会をうらやんでいた。かつてのSWSが目指した「部屋別」も相撲を手本にしている。

 北の湖理事長をすぐれているとは思わないが、かつての理事長も似たり寄ったりと思う。(と書くと、角界通から××理事長は××という問題に対し、すぐにこういう処分をした、と抗議が来そうだが。)
 要は朝青龍という強くてわがままな悪ガキと、それを制御できない親方が出現したことにある。だから北の湖もまたきっと思っているに違いない。「おれって、ついてない」と。

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 せっかくここまで大きく連日相撲が報道されているのだから、めったにない機会とウォッチしてゆくつもりだが、なんだかぜんぜん相撲を知らない精神医が出てきて言いたい放題をしているのを目にすると、しらけることおびただしい。
(註・「夥しい」は数量に関するだけの表現だっけ?と気になり調べてみた。問題ないようだ。)

8/11
 小錦の意見──アドマイヤが(笑)

 朝、ヅラオグラの番組にコニシキ登場。由緒ある小錦の名を返上し、今の芸名は正しくはアルファベットだが面倒なのでカタカナ。小錦を名乗った力士はみな横綱を締めている。コニシキもなれた。だが人種差別でなれなかった。
 と、いきなり人種差別を出すと反論する人もいるかもしれないが、あれは明らかにそれである。それは在日朝鮮人が入門するとき、たとえば横綱玉の海が、いかにも在日的な名字なので出自を問われるからと、後援者の佐藤さんに養子入りし、「佐藤」と名を替えてから入門していることでもわかる。ひじょうにくだららん「日本人的なこと」にこだわる世界である。まあそんな社会があってもいいと思うのでこの件に関して反対するものではない。やがて在日であることをカミングアウトする力士が現れ話題になる。いまではもうそんなことを気にする必要はなくなった。春日王のように在日ではなく、韓国からやってきた外国人力士として活躍している人もいる。

「たいしたことない横綱」で名伯楽の三重の海は在日朝鮮人だった。石山という名字は在日に多い。そこまで気を遣わなかったということは、それを騒がれるほどの地位にまで昇るとは思われなかったのだろう。
 コニシキは横綱になれるだけの成績を記録しながらなれなかった。狭隘な「島国根性」がそれを阻んだ。そのことがあったからこそ曙、武蔵丸が誕生した。何事も産みの苦しみはある。朝青龍が横綱になれたのもコニシキからの流れがあったからだ。が、曙、武蔵丸あたりにはまだ先人としてコニシキ関が苦労してくれたからとの意識もあったろうが、朝青龍になるともう「戦後っ子」だから戦中も戦後も関係ない。この悪ガキが誕生するまでにはそういういくつもの要素が絡んでいる。


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 オグラが開口一番、「こんなに日本人て相撲が好きだったかと思うほど連日報道されていますが」と皮肉を言った。相撲好きの彼からすると過熱報道に呆れている部分があるのだろう。いまの朝青龍報道は2ちゃんねる的ヒステリィと変らない。力士の名前など知らず大相撲中継も見たことのない連中が、「品格に闕ける、モンゴルに帰れ!」とわめきはしゃいでいる。時あたかも敗戦の日間近。戦争の時もこういう集団興奮状態はあったろう。やっと勝てた=もうすこしやっていたら負けていた日露戦争の講和時も、その裏側を知らず、なんで補償金を取らないんだと興奮し暴挙に及んだ無知の民がいたように。
 なんとも気味の悪い報道加熱である。ただ場所と場所のあいだの相撲的話題は専門誌で触れるしかないファンとしては、苦笑しつつも、せっかくの機会だからと極力見ることにしている。


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 連日夕方、朝青龍の部屋から帰ってきた高砂親方が記者会見をし、汗を拭きつつ、「一所懸命奮闘中」をアピールしている。昨日は「おれももうテンパってるから」と発言していた。意味不明だが「自分ももう限界に来ている」との意か。なにを言ってるんだ、このバカは。こういう彼の態度から、記者やテレビを通じた視聴者のあいだに一種の連帯感?が生まれつつある。「いちばんたいへんなのは親方」という誤解だ。そうではない、そもそもこの人のだらしなさがこの悪ガキを作ったのだ。

 コニシキは高砂部屋出身である。朝潮は兄弟子になる。彼は「今回の騒動に関してまず何を思うか」と問われ、言った。「親方が弟子の部屋を訪ねるということが信じられない。いつでも弟子は親方に呼ばれたらすぐにかけつけるものだ」と。「自分はそういうタテマエも、相撲界のシキタリもわかっていたし、尊重していた」と。
 朝潮と朝青龍の関係から、自分をはじめとする外国人力士全般を語られてはたまらないと(直接的なことばはなかったけれど)強く主張していた。

 親方が弟子に会いたいけど会ってもらえない。帰国して一週間経ったのにその間の連絡は携帯電話のみ。やっと会うことが出来る。マンションに駆けつける。ドアロックの前で3分近く待たされる。その様子が全国に中継される。屈辱である。しかしこの人にはそれを屈辱と感じる神経さえないのであろう。
 初日は20分、喜色満面、あるいは苦渋?の記者会見。翌日は1時間半、その翌日は1時間15分、毎日記者会見する記者連中は、いつしか朝青龍という難敵を攻略する高砂親方にシンパシーを感じている。
 違う。コニシキが言っているように、そもそもがまちがっている。親方が弟子のところに駆けつける時点からリセットしないとなにも始まらない。「おれもがんばるからおまえもがんばれと言った」のような勘違い一体感。「するしかないですよ……。します!」との、これからもがんばる宣言。基本がずれていることにいまだに気づいていない。

 コニシキはパスボートを取り上げられていたことを語っていた。一方こちらは「帰国したことを知らなかった」を何度もやっている。朝青龍だってちょっと近くのコンビニへ、と欺いてこっそりモンゴルへ帰っているわけではない。あれこれ用意して国際空港から帰国しているのだ。荷物持ちの付き人も同行していることだろう。それをまったく知らない親方。しかも複数回。まったくコミュニケーションのない親方と弟子。いまになっての「おれもがんばるからおまえもがんばれ」が白々しい。


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コニシキ、{品格}を斬る!

 オグラの番組で相撲ファン百人に尋きましたをやったらしい。すると横綱で一番大切なのは「品格」が72%、「強さが28%」
 それを見てコニシキが断言。「品格ばかり気にしていたら誰も横綱になんかなれないよ。大切なのは強さ。大関横綱になってから徐々に品格を身につけていけばいい。今までの横綱だってそうだった」
 見事である。その通りだ。相撲なんて興味ないくせにあざとく「品格」なんて応えた連中を一刀両断だ。
 地位が人を作る。有名になれば、金持ちになれば、社会的地位を得れば、それなりにまともになる。中にはタシロマサシやシミズケンタローみたいな人もいるが。

 横綱という地位も朝青龍という人は作れなかった(笑)。
 ちょうど曙、貴乃花、武蔵丸という時代を作った力士が落日の時期、朝青龍はその隙間を縫うように早い出世を遂げていった。
 もしもまともな親方がついていたらどうなったろう。そんなことを考えてもらちはあかないが。
 もしかしたらあまりにまともな親方だったら、その厳しい躾に耐えきれず帰国してしまい、今の大横綱朝青龍はいなかったかもしれない。てことはないか(笑)。


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なつかしのVTR

 連日報道するとなるとネタ切れになってくる。各局、秘蔵VTRを探し出してくる。ない局はあのモンゴルでのサッカーの映像ばかりを繰り返す。こんな局はみない。何事にも努力は大切である。探してこい。
 ここのところ高校生時代の朝青龍の様子や、入門時に朝潮(当時は房錦から受け継いだ若松親方)が、「自分の出来なかったこと(=横綱)を叶えて欲しい」と記者会見しているビデオを見られたりして、相撲ファンとしてはありがたい。

 明徳義塾高校時代、朝青龍がよく買い食いに来ていたという店のおばちゃんが、「どうして自分だけいじめられるのだろう」が朝青龍の口癖だったと語っていた。新人時代の白鵬も「なんで?」が口癖で、厳しくさせられるたびに口をとがらせ、「なんで」を連発していたという。異国に来た少年たちが、自分だけいじめられていると思いこみ、「どうして、なんで、自分だけ」と思う気持ちは共通なのだろう。もっとも相撲界というのは「無理編にげんこつ」というぐらい、もともとそういう世界であるが。


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? 朝青龍は鬱なのか ?

 朝青龍が頻繁に出入りし、「日本の母」として親しくしているというモンゴル料理店の主人が『夕刊フジ』に語っていた。
「モンゴルには鬱病なんてものはない。それで自殺する人もいない。それがチンギス・ハンのDNAだ。この程度のことで鬱病だと報じられることの方がモンゴル人にとっては恥だ。彼は必ず立ち直る。なんの心配もない」と。

 その通りだと思う。朝青龍は今、たいしてわるいことをしたわけじゃないのに、なんでこんなに大騒ぎになるんだ、と混乱しているだけである。いまだ自覚はない(笑)。この辺、親方とよく似ている。たちの悪いのは、それをすぐに鬱病一歩手前、ストレス性なんとかで、帰国だ入院だと大騒ぎする日本人取り巻きだ。好きなんだなあ、日本人てのは。こんなふうに騒ぐことが。


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アドマイヤが(笑)

 朝青龍は、親方とは会わないが自分の支持者とは連絡を取り住まいに呼び寄せている。これだけでもいかに朝潮が軽く見られているかがわかる。なのにそれに気づかず喜々として通い詰めては報告の記者会見をしているバカ。いや喜々としては言い過ぎか。かといって苦渋とも思わない。すくなくとも「難問に立ち向かい、日々解決のために努力している自分に酔っている」のは確かだ。本質が見えていないヒロイズムだ。

 マツナミケンシローという怪しい政治家もその呼び寄せ連中のひとりだった。これも「長州力系」である。嫌いだ。
 横綱という立場のある人間として釈明の記者会見をせねばならないのにふてくされて引きこもっている。私はそれを悪ガキの居直りとしていいと思う。悪ガキらしい。ただ、このそれなりの有名人を部屋に呼び寄せる方式は否定する。小ずるい。引きこもったなら、誰とも会わず、を貫け。

 昨日朝青龍と連絡を取り部屋を訪れた人として、コンドウリイチが映ったのでたまげた。競走馬アドマイヤのオーナーである。あのマントヒヒみたいな顔が大写しになり、横綱はどんな状態だったかと問われ、「部屋からものを投げ捨てようとしていた」と語っていた(笑)。
 ダービーの日、ボクシングの亀田親子を連れてきていたのはフサイチだった。朝青龍もパドック通路にいて、最後のころパドックに出ていたが、あの便宜を図っていたのはコンドウだったのか。朝青龍がプレゼンターとして来場したことがあったからそのとき親しくなったのか。それとも彼は相撲好きなのか? 相撲のタニマチは豪気でなければやってゆけない。アドマイヤのあの人ならいかにも百万円束をご祝儀としてポンと出しそうだから適役である。私の推測としては、競馬場で親しくなってそれからの関係だと思う。競馬が先。あの人が前々からの熱心な相撲ファンとは感じられない。彼と親しい人がいるので今度尋いてみよう。

 とにかく、人前に顔を出さず引きこもっているのに、そこそこの有名人を部屋に呼び寄せるという手段はやめるべきだ。ウチダテオババになにを言われようと一貫して支持してきた私のようなものをこれ以上落胆させないでくれ。


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モンゴルサッカー協会の詫び状?

 昨日、モンゴルサッカー協会から大相撲協会への手紙が公開された。詫び状と紹介された。しかしその文章は、
「横綱朝青龍がモンゴルの少年とサッカーをすることが相撲協会の規定に違反するのであれば、謹んでお詫びします」
 というものだった。末尾に少年全員のサインがある。

 この切り口は問題であろう。これはモンゴル人が今回の問題をどうとらえているかをよく顕している。
 全部とは思わないが確実に一部では、「モンゴル人の横綱朝青龍が帰国してモンゴル人少年たちと親善サッカーをした。そのことが日本の相撲協会の規定に違反しているとして、朝青龍は出場停止になった」と思われている。いわば無実の人、悲劇の英雄だ。

 大けがをしているとの診断書を提出し、地方巡業を休むと申請した、それでいて故国でサッカーに興じていた。その肝腎の問題が抜け落ちてしまい、単に「帰国してサッカーをしていたから罰せられた」になっている。それは皮肉っぽい、「故国の少年とサッカーをすることが相撲協会の規定に違反するのであれば」からもわかる。お詫びというより少年の署名を添えた抗議文だ。

 これは明らかにモンゴルサッカー協会がおかしい。自分たちの国の英雄を守ろうとする気持ちはわかるがこういう浅薄さはみっともない。

8/14
 マツナミの意見

 テレ朝にマツナミケンシローが出演して朝青龍を擁護していた。
 これは重大な「いじめ」なのだという。「日本人的な品格を押しつけるなら外国人を入門させるな」と無茶苦茶な極論。そんなことを言ったら今までがんばってきて、なんの問題も起こしていない外国人力士、面倒を見てきた親方はどうなる。この極論は贔屓の引き倒しだ。このままだと「日本とモンゴルの国際的な問題になる」のだそうな。あほ!

 隣にいた黒田ナントカという女(朝鮮贔屓で有名な人)は、「そもそも相撲とは何なのかということが問われているのでは」と、相撲のことなどわからないので話を大きくしてごまかす発言。よくある手法(笑)。知らないんだからコメンテータとして出てくるなって(笑)。

 こういう問題でもテレビ局の色というのは出るものだ。TBSやテレ朝にはやたら「いじめ」や「国際問題」を連発する連中が出演する。そしてもちろんそういう連中は相撲には興味はない。そういう大上段から語る手法が好きなだけだ。日曜のTBSに出たサキカバラという早稲田の教授は「重大ないじめ」であり、「国際的問題になる」と言っていた。世にアホの種はつきまじ。

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 マツナミが数少ない朝青龍擁護派として出てきたことは評価する。ふだん相撲など見もしない連中がここぞとばかりに「国技」「品格」「心技体」を連発しているよりはよほどましだ。だが根拠とする論点がおかしい。
「朝青龍は日本人にとってはひとりの横綱に過ぎないけど、モンゴル人にとっては国民的英雄なんです。そのことに対する配慮が欠けている」って意味わからん(笑)。モンゴル人にとって国民的英雄であろうが少年のあこがれのひとであろうが、日本という国に来て組織に属しているのだから、そこでのルールを守ること、嘘をついてはいけないこと、は重要だ。むしろそういう立場だからこそより大事であろう。それを「配慮が欠けている」とは噴飯ものである。モンゴルの国民的英雄だから今回のような不祥事にもしらんふりをしろと言うのか。たしかに彼が日本とは関係なくモンゴルの国民的英雄だったなら、多少の配慮はすべきかもれしない。タナカマキコ外務大臣が違法入国していたキムジョンイルの息子をおとがめなく帰国させたように(笑)。しかし朝青龍は最初からモンゴルの国民的英雄だったのではない。日本の相撲という世界で名をなし、結果として英雄になったのである。だったら「配慮すべき」は、結果的なモンゴルの英雄ではなく、英雄になった「相撲界」のほうだ。それを言っているのが国会議員であるのがたまらない。
 引きこもっている部屋にまで訪ねテレビカメラの前に姿を出している。親しいからこそ一日も早く記者会見をして責任を果たして欲しいぐらいいえんのか。

 反対意見として龍虎が出演していた。龍虎やコニシキ等相撲界OBの意見がまともであることに救われる。

 マツナミは、マスコミもわるいと言った。まあいいもわるいもマスコミはハゲタカだから、こういう機会に批判するのは当然だ。ところがその根拠がまた狂っている。マスコミがサッカーに興じる映像を無前提に流したのがいけないのだとか。つまり、あれはモンゴルから頼まれてしかたなく出たものであることをまず報道すべきなのだと言う。でもそれはマスコミに善意を求めすぎている(笑)。マスミはそんなものじゃない。現にこの日もゲストコメンテーターのマツナミケンシローを紹介するとき流れていたのは、かの有名な国会での水ぶっかけ事件の映像だった(笑)。それがマスコミってもんである。なにキレイゴトいってんだか。

 まず、朝青龍が遙か彼方のモンゴルに帰国していることを知らなかった高砂親方の管理能力が問題なわけだが、バカ朝潮は無視することにして、もしも朝青龍やマネージャーがもっと賢かったなら、「怪我をしていて、脇腹も肘も痛みます。地方巡業を休んでいるのに申し訳ないのですが、特別な日本とモンゴルの親善サッカーということで要請を受けましたので参加することにしました」とでも連絡しておけば、一転して美談になっていた。それだけの話なのだ。サッカーの映像を流したマスコミがわるい、とは脱線しすぎる。

 疲れてきたのでもうやめる。今回のことで「朝青龍の取り巻きにはろくなのがいない」と知ったのは情報だった。

8/19  地方巡業大成功

 東北から北海道を回った毎年恒例の八月巡業が大成功に終った。それは大島(旭国)巡業部長が「かつてないほど」と言ったほどの成功だった。
 その理由を、「横綱朝青龍のいない穴を埋めようと、力士全員が力を合わせて」、「大島巡業部長を筆頭に、関係者が全力を尽くして」と伝えられていたけど、違うよね(笑)。

 こんなことにまじめにつっこむのも不粋だけれど、それは「朝青龍騒動があったから」だ。假に元気に朝青龍が参加していたら、大相撲人気低落化の流れもあり、いいとこ客の入りは半分だったろう。それがあの事件で毎日朝から晩まで相撲の話題がテレビで取り上げられ、地方巡業もきょうは何県何場所で、横綱不在の分まで白鵬が、高見盛が、北桜が、と報道されるのだから大入りに決まっている。オフシーズンなのにハイシーズンの何倍も報道されたのだから、ふだん地方巡業に行かない人まで出かけて大入りになった。大相撲地方巡業は、最高級の「旬の話題」だった。

 朝青龍問題は社会的な話題となり、大相撲協会に波風を立ててしまったが、こと地方巡業を金稼ぎのどさ回り興行の視点で見るなら、大きく儲けさせてくれ、立派な貢献をしたと言える。
 また金銭以外でも、「地方巡業って知らなかったんですけど、今回来てみてすごく楽しかったです。来年もまた来ます」と応える入場者のコメントが数多く流れたことは、地方巡業活性化に大きく役だった。市政破綻の夕張市では相撲協会は持ち出しで興行をした。市民は入場無料である。この善意の興行も今回の騒動がなかったらどこまで報道されたことか。
 相撲に興味のない人の耳目を引きつけるという意味では、これは何億何十億に匹敵する宣伝効果があったと言える。
 初場所に朝青龍が戻ってくるなら、秋場所も九州場所も、朝青龍がらみで報道されるし、初場所前はそのことでまた盛り上がることだろう。
 経営的視点で見たら、この稀代の悪ガキ横綱のおかげで、相撲協会は大きな益を受けたことも自覚すべきである。誰がなにをしようと、ここまで大きな話題になることはなかった。

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 話題も種が尽きてくると思いつきでしゃべるヤツが出てくる。大相撲出身者で構成されている相撲協会に対して、野球やサッカーがそうであるように、相撲協会も外部の人間を入れるべきだと発言する馬鹿が出てきた。横審ですらくだらないのにこれ以上素人はいらない。相撲協会は力士あがりだけで構成されている特殊性がいいのだ。

 でもそれとは関係なく、理事長はきちんと会見すべきだろう。北の湖はこのまま逃げ切るつもりなのだろうか。
 たしかに朝青龍は相撲協会に迷惑を掛けた。相撲協会を針で刺した。だが膿を孕んでいたのは協会の責任であり朝青龍には関係ない。朝青龍の矛盾した行動と、親方や協会のだらしなさは別問題である。
9/7  朝青龍問題その後の展開

 前回書いてから二十日近く経ってしまった。その間も毎日朝から晩まで朝青龍問題は見ていた。おそらく日本でも有数というぐらい熱心に見ていた(笑)。それで思った。朝のワイドショー、昼のワイドショー、夜のニュースショー、各局を頻繁にチャンネルを替えつつぜんぶ見ていたのだが、それで人より先に行けるものでもない、と。つまりみな同じ事の繰り返しなのである。だから知識として得るもの?は、日曜のまとめ番組(「アッコにおまかせ」のような)を、ひとつ見るだけのサラリーマンとたいしてかわらないと知った。これってワイドショーに関する絶対定義だろう。もちろん大相撲に関する基礎知識の問題は別だ。それが五分だとするなら、毎日見ていても同レベルの人に先んじるほどの知識は得られないということである。

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 どうでもいいオタク的な知識は身につく。なぜならネタに困ったワイドショーがそちらに走っているからだ。たとえば初期の記者会見で朝潮が連日来ていたパイロットシャツが話題になった。朝潮があれを来ていたのは子供のころパイロットになりたかったからなのだそうな。国技館近くにある大型サイズ専門店サカゼンは、朝潮のためにそれを取り寄せていたのだが、テレビで話題になったので常時置くことにしたとか、である。パイロットシャツを着たデブが増えることであろう。

 私がこの問題に関して一貫して主張していたのは朝潮のだらしなさだった。世間もやっとそこに来た、というか朝青龍の発言がないのだからそっちに行かざるを得ないのだろうし、さらには彼の「虹がきれいだった」「お肌ツルツルツルツル」と的を外した天然発言が連発したこともあり、高砂親方特集が目立つようになった。朝潮が大関時代に出したレコードを紹介したり、その歌詞を今の心境に当てはめたりしていた(笑)。9月6日発売の『週刊文春』では、誰かがはっきり高砂が一番悪いと書いていた。遅すぎる。
 八月一日の記者会見時点から一番の責任者は朝潮だとわかっていたはずなのだが、あの当時のマスコミは、モンゴル人の悪ガキに振り回される気の毒な親方という視点で彼を見ていた。相撲界のしきたりを知らないから、朝潮を気の毒がってしまったのである。そうじゃない。世間にクソガキが生まれる責任はみな親にある。ほんとにこの問題、たったそれだけなのだ。親になるのには責任がいる。自分の子供が世間様に顔向けできないような悪いことをしたら、子供を殺して自分も死ぬという親の覚悟があれば、ほとんどの悪ガキ問題は発生していない。朝青龍は日本に来てまだ十年にもならない。十歳の悪ガキだと考えれば誰が悪いかは明白だ。

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 ちょうどこのころテレビでドキュメンタリィを見た。元暴走族の総長が始めた更正施設の話だった。そこに十六歳の少年が入所する。悪ガキだ。そこに入れる男親が話している。「なんでオレの子供にこんなのが出来たのか理解できない」と。ひどい話だ。自分が父親としてだらしないからそういう息子になったことにまったく責任を感じていない。
 その少年は最初のころやる気がなかったが肉体労働に関わって働く喜びを知る。そのことから、「オヤジがこんなキツいことをして稼いでいた金をおれは盗んでいたのか」と学び、無事退所の運びとなる。それに対してオヤジは言う。「おまえもやっとわかったか」と。

 これっておかしくないか。確かに父親は勤勉な肉体労働者だっかもしれない。子供の衣食住の面倒は見ていたろう。でも子供に人の道を教えることが出来なかった。父親としての責務を果たしていない。それをしていれば子供はぐれていない。子供がぐれたらすぐに他人を頼った。「なんでこんな息子が出来たのか信じられない」と自分の非は認めずに。息子が更正したのは自力だ。なのにこの父親はまだ自分の責任に気づいていない。
「自分は真面目に働いている→なのにろくでもない息子に育ってしまった→なんでこんなことになったのか、と更正施設に預ける→息子が更正した→やっとおまえもまともになったかと安心する」
 親の責任がどこにもない。息子の悪行は息子の責任にし、その解決は他人に頼っている。こんな親だったら息子がおかしくなるのは当然だ。さいわい彼は自分で働く喜びを見つけて更正したからいいが……。

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 朝青龍問題がどういう決着になるのかわからない。朝青龍大嫌いのウチダテオババは「引退勧告を出す」と息巻いている。元横審委員長は「初場所で13勝以下だったら引退」と発言していた。
 どういう結末であれ、朝潮を被害者扱いしてはならない。被害者は朝青龍の方だ。彼は親方としてのつとめを果たせなかった加害者である。親方になってはならない人だった。
 「外国人力士の問題」とひとくくりにしてしまったら、まともに過ごしているその他の外国人力士がかわいそうだ。


9/12 杉山さんの取材章剥奪

 今朝一番のニュース。スポーツ紙の一面を飾っていた。「北の湖、逆ギレ」と。
 やるべきことをいやになるぐらい何もやらない相撲協会がやっと動いたと思ったらこれである。しみじみがっかりする。
 杉山さんはNHKで相撲中継を45年間もやっていた「ミスター相撲アナ」である。その人がテレビで相撲協会を批判するような発言をしたからと取材章を剥奪した。スポーツ紙は「北の湖 逆ギレ」と大騒ぎである。全紙が「相撲協会を批判するタレントの発言にうなづいただけ」と杉山さんを庇い、協会を批判している。

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 この文章は朝のニュースで知り、すぐに書いた。後にテレビやスポーツ紙で確認して、相撲協会が杉山さんが「協会批判にうなづいていたから」と剥奪の根拠にしたと知る。上記で私は相撲協会がいきなり剥奪し、それに対して記者クラブが杉山さんはうなづいただけではないか、と反論したと解釈したのだが、そうではなく、相撲協会が最初から「うなづいたから」と理由にしていたのだった。
 とはいえそれを知らず書いた以下の文はべつに見当違いでもないのでそのままにする。

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 ただこれに関してはすこし違うように思う。以下、私的な意見。
 なんの自慢にもならないしむしろ恥ずかしいから大きな声では言えないのだが、私の朝青龍問題ウォッチャー度合いは我ながらあきれるほどだった。完全なテレビオタク、ナンシー関状態である。大雑把にまとめると、午前二時に起きてPCに向かう。五時半からみのもんたが始まるのでテレビをつける。これが最初のギブアブレイクだ。毎日この人と五時半に会っているのでもう他人のような気がしなくなってきた(笑)。みのもんたを見ているあいだも日テレ、フジ、テレ朝に頻繁にチャンネルを替える。「目覚ましテレビ」や「ズームイン朝」でも取り上げるが本格的テーマとしてやるのは八時から始まる各局のワイドショーだ。芸能人のくっついた離れたやサッカーやゴルフ、母親が子供を殺した、中年の息子が老母を殺したなんてニュースに興味がないのでそれらが始まるとチャンネルを替える。いきおい私の見るのは政治と朝青龍だけになる。同じような映像に同じようなことを異なる何人もがコメントしているのだが、自然に誰が何を言ったかには詳しくなる。それが九時ぐらいまで。机に戻る。

 昼はテレ朝のワイドショー。ここが熱心にやっている。午後二時からは日テレとTBS。五時過ぎからは民放各局のイブニングニュース。見ていないのは午後十時すぎのニュースショーぐらいである。しかしこれも朝昼の番組の繰り返しであることは確認している。今回の問題に関して最も充実?していたのは朝のワイドショーだった。
 これだけこまめに見ていると、各局ネタに困り、古い相撲ビデオを引っ張り出してきたり、あるいはまったく関係ない路線(朝潮のパイロットシャツの製造元、朝潮のかつて出したレコードの歌詞、モンゴルのテレビ事情、温泉事情等)に走ったりするのが見えて笑える。それでも局毎、番組ごとにほんのすこしだけ色合いが違い、発見があって楽しい。当初は朝青龍の入門時の映像を見られて喜んでいたのだが、やがて朝潮の入門時、学生時代の映像まで見ることが出来た。相撲ファンにはいいバブルだったといえる。とはいえお年寄りでもない限り私のように隅から隅まで見られた人はいなかったろうし、これらを楽しめたのは相撲大好きの私だからであって、お茶の間の主婦はこんなもの見て楽しいのだろうかと心配になった。もしかしたら全国的ににわか相撲通が増えたかもしれない。あるいはお茶の間の主婦は朝青龍問題より母親が我が子を殺したような事件の方が興味があるだろうから、私と逆の形でチャンネルを回していたかもしれない。
 とはいえテレビ局は異常に数字にこだわる。もしも朝青龍問題を流した時間が視聴率が落ち他局にチャンネルを替えられているとわかったら(そんなのすぐにわかる)あんなに流すはずがない。ということはそれなりのひとが見ていたのだろう。

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 最初のころコメンテータはレギュラのタレントがしていた。しかしそれでは深みがない。ニノミヤセイジュンが出る。相撲評論家の中沢潔さんが出る。この辺、戦争が起きるとエバタさんがあのヘアスタイルで毎日毎晩出てくるのと同じだ(先日見かけたらだいぶ髪が薄くなっていた)。相撲評論家バブルである。
 龍虎が出る。琴富士が出る。この辺、相撲協会にいる連中は出ない。みなわけあって追い出され、ちゃんこ屋をやっているような連中だ。高砂部屋時代、朝潮の先輩だったという元力士、今はちゃんこ屋も出ていた。誰だっけ。失念。
 KONISHIKIが出る。正論を語っていた。
 輪島が出たのには笑った。元横綱でも立派なことを言う資格はないだろう。藤田憲子もずいぶんと偉そうなことを言っていた。若貴の母であることは偉大なのだけれど、家庭崩壊兄弟絶縁で失望させた罪の方が大きい。すくなくとも初代貴ノ花が立派だったと医者との浮気や離婚で世間を騒がせた彼女にテレビで語る資格はあるまい。

 杉山さんもそんなひとりとして八月半ばから見ない日はないというぐらい出演するようになった。それはもう当然なのだ。ゲストコメンテータの芸能人が彼らなりに勉強してきて懸命にしゃべっても、元々相撲など興味がないのだから薄っぺらさは見えてしまう。新鮮な発言もない。その点この道何十年の人は発言の重みが違う。杉山さんは早朝のみのもんたの番組によく出ていたので、その発言もよく覚えている。

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 前記「それは少し違うと思う」に関して。
 スポーツ紙は自分たちも記者クラブの一員であり、今回の相撲協会の横暴は許せないと一致団結して杉山さんを擁護し北の湖理事長を批判する立場を取った。この人たちはこういうときの結束は強い(笑)。記者クラブが佐藤栄作にさからったあの事件を思い出す。
 そしてそれはときに正確さを闕く。

 今回の場合、相撲協会が記者証剥奪の原因とした場面のみを取り上げ、杉山さんは他の発言にうなづいただけ、なにも協会批判はしていないとスポーツ紙は書き、今朝のワイドショーでも司会からタレントまでみなそれに同調していた。それはすこし違う。
 なんの自慢にもならずお恥ずかしいが、私はおそらく杉山さんが出演した朝青龍問題に関するテレビ出演の九割方は見ている。こういうひとは選挙の当落速報のときがいい例だが、七時台にTBSに出ていて、八時台にはテレ朝、午後からは日テレだったりする。普通の人は一日一度だが同じニュースを追いかけてチャンネルを替えている私は一日に何度も会うことになる。

 杉山さんはずいぶんと過激な意見を言っていた。もちろんみな正論である。正論であり過激であるから出演も増えていったのだ。そんな中、私がこれはちょっとと思ったのは、みのもんたの番組に出たとき、それは横審が臨時会議を開いた翌日だったが、みのが杉山さんの正鵠を射た意見を讃えると、杉山さんは顔面を紅潮させ、「横審の皆さんにも言われましたよ、よくぞ言ってくれた、あそこまで言ったのはあんたが初めてだって」と。
 私は杉山さんの意見と考えを支持する。でもそれを耳にしたとき、これでは相撲協会と不仲になるのではと案じた。横審の連中に「よくぞ言ってくれたと言われた」はまずいんじゃないか、たとえそれが事実でもへそを曲げる連中が出てくるぞ、と。内部の人間は相撲など取ったこともないくせに高所見地からわかったような意見を言う横審が大嫌いである。そりゃ大嫌いで当然だ。なんでウチダテオババやNHKのエビサワや読売のナベツネなんぞに偉そうに言われねばならないのだ。まして連中はタニマチではない。相撲協会が大好きなのは相撲を好み大金を投じて応援してくれるタニマチだ。むかしからずっとそういう大名にかわいがられて存在してきた。いちばん嫌いなのが金は出さないくせにわかったようなことを言う連中である。それが横審だ。その連中から支持されたと言った杉山さんのひとことにカチンとくる協会関係者は多いだろうと思った。

 杉山さんが正しい。自分たちの気に入らないことを言ったからと取材章を取り上げるという相撲協会は愚かである。
 だが杉山さんは穏当な意見しか言っていないという意見は真実ではない。杉山さんは相撲協会がカチンとくる意見を言っていた。中にはもっと過激なことを言ったタレントがいたかもしれないが、それは相撲協会にとってはどうでもいい存在だ。杉山さんのように長年相撲協会と昵懇だったひと、いわば「こっち側のひと」と信頼していた人、が耳に痛いことを言ったから協会は憤激したのだ。協会側からすると「裏切られた」と感じているのだろう。
 もしも私が北の湖であり、テレビで気に入らない発言をしたヤツをひとりだけ出入り禁止にするとしたら、間違いなく杉山さんを選ぶ。そこのところはしっかり確認しておきたい。この種の問題は「相撲協会が悪い。杉山さんかわいそう」から、どんどん都合のいいねじ曲がりかたをして行くからこそ。

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 私がこの問題でしみじみまずいなあと思うのは、これでまた相撲協会の生い立ちから批判されることである。
 私は何度も書いているが「力士あがりだけですべてを運営する相撲協会を是とする考え」である。それはアスリートの夢の組織だ。どんな競技であれ我の強いアスリート(いや秀でたアスリートはみな我が強いに決まっているが)は、門外漢の指示を嫌う。自分に意見できるのは自分よりすぐれた実蹟を持つひとだけと思っている。私はその感覚を正しいと思う。私もギターを弾けないひとに私の演奏能力に関して意見を言われたくない。文章を書けないひとに私の文章を批判されたくない。だけども世の中そんなことでは成り立たない。門外漢が三顧の礼で迎えられエラそーなことを言ったりするのが現実だ。大相撲協会は相撲という特殊な競技であるが故に唯一それを成し遂げ、今まで護ってきた世界的にも稀有な例である。最後の聖域と言っても過言ではない。それが出来たのは相撲が純粋なスポーツではなく伝統芸能としての一面を持っていたからだろう。

 今回こんなことをしたら、また「組織の中に外部の人間を入れるべき」という意見が出る。そのことによって良きにつけ悪しきにつけ独自のどんぶり勘定的体質、ごっちゃんです体質の相撲組織にメスが入れられてしまう。ひいては「なぜ土俵に女はあげないのか」まで行くだろう。そもそもウチダテオババが横審委員でいること自体崩壊の序曲なのだ。

 だまっていれば沈静化するものを自分のほうから油を注いでしまった。なんとも愚かである。「北の湖逆ギレ」と見出しにあったが誰の決断なのだろう。北の湖の懐刀の高田山あたりじゃないのか。どこかに情報はないものか。


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 北の湖個人の思い!

 深夜、週刊誌を立ち読みしていたら重要な情報を見つけた。『週刊文春』のきょう発売のものを深夜のコンビニで読んだ。並べられたばかり。
 すると、どうしようもない相撲協会の体質に触れた小文に、「北の湖は、ある人のIDカードを取り上げられないかと言い出す始末」とあった。きょうの杉本さんの問題が起きる以前に書かれた記事である。そんなことが実現するはずもないと軽いタッチで書かれている。どうやら北の湖が杉本さんを個人的に嫌い、あいつの出入りを出来ないようにしてやれと思っていたのは間違いないようだ。だから「北の湖逆ギレ」は正しいことになる。

 功成り名を遂げたひとは過去の自分を知っているひとを嫌う。理事長となった北の湖は悪童の小畑敏満少年時代を知っている杉本さんには思うところがあったのだろう。それこそトラウマのような過去が。
 また一般に杉本さんのような立場のひとは出世したひとに対して当時の思い出で接したがるものである。例えば「お金がなくていつもピーピーしていた」「うんこ漏らして泣いていた」「××が○○であるという常識すら知らなかった」のようなことだ。それは出世して地位を築いた側にとって気分の良いものではない。忘れたいことだ。だが年配者側はそれに気づかない。杉本さんがそんなことをしたとは思わないが、北の湖側にとってはあれこれ思うところがあり、目にしたくない存在だったのだろう。長州力がターザン山本を嫌ったのと基本は同じだ。

 それにしてもこれは愚行である。相撲に興味もなく相撲界のことも知らないから口を出したくても出せないタレントコメンテーターがこれで一気に息を吹き返す。こういう圧力なら誰にでもしゃべれるネタ、智識、体験があるからである。しみじみ北の湖は愚かなことをしたと思う。


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 一日で返却(笑)

 安倍総理辞任で大騒ぎになった翌日、9月13日の朝、杉山さんが「無事返してもらいました」と写真入り取材章を手にテレビに映っていた。「北の湖理事長直々に」ということらしい。取り上げられたのが11日、それがニュースになったのが12日、その12日午後にすぐ返してもらったらしい。おそらく北の湖のところにも「あれはマズい」という後援者からの意見が届いたのだろう。

 だがその後、杉山さんはテレビに出ていない。この映像も国技館出口で取材章を手にした10秒程度のものだった。杉山さんは「お騒がせしました」と添えていた。本来なら協会の横暴を激しく批判するところである。それがないのがこの世界に長年関わってきた杉山さんの慎みなのだろう。
 どうやら返却時に北の湖とのやりとりがあり、杉山さんの方もテレビに出てこの問題を語ることはしないようだ。そういう約束なのだろう。今後一切朝青龍問題に口を噤んでしまうのか、それはいまのところわからない。
 ともあれこれは掛け値なしの「愚挙」だったから、無事解決して良かった。杉山さんご本人のこと、おひとりの問題ではなく、こういうことをしたら、やることのないマスコミをぜんぶ敵に回す。決してしてはならないことだ。

 安倍総理関連のニュースが大半を占める中、きょうも定番として朝青龍問題は取り上げられていた。モンゴルでの治療が始まった、タミル夫人と離婚秒読み、と本筋とは関係ないものが多い。

 テレ朝に、あのタケダという『週刊現代』の告発記事を書いている記者が出ていた。あの人はなんであんなに薄汚い格好をしているのだろう。ヒゲも汚く、清潔感がまったくない。よくアサハラショウコウに似ていると言われるが、清潔な身なりにしてひとに好感を与えようという気持ちはないのだろうか。見るたびに不快になる。
 もっとも相撲好きの私としては相撲を非難するのがお茶の間の主婦に人気が出るような美男記者でも困る。誰にも不快感を与える小汚いのが出ているのは救いなのだが、それにしてもこのタケダという記者は汚らしい。見るのが辛い。昼時にゴミタメに顔をつっこむような不快感である。見た目は大事だ。なんとかしろ。バカ面でももうすこしきちんとすれば違ってくる。


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 世界柔道の判定──朝青龍対琴ノ若

9/16

 白露山のマゲ……

 何度も書いているけれど、私は長いあいだ相撲を観てきて、白露山ほどのアブナイ髷を見たことがない。これは今後どうなるのだろう。今場所その悲惨な状況を見て何とも言えない気分になった。

 白露山の頭頂部にはもう毛がない。まったくない。見事なデンスケ禿げである。あのチョンマゲはニセモノだ。
 後頭部、盆の窪の上の毛を無理矢理引っ張り上げて髷のふりをしている。あの毛は垂らしたらおそらく80センチぐらいあるだろう。尻まで届く長い毛だ。それを三重折り四重折りにしてまとめ、頭頂部にペタンと貼り付けている。銀杏の葉っぱぐらいだ。接着剤を使っているのだろう。そうでなければあり得ない形だ。

 大相撲は髷が結えなくなったらやめねばならない内規だった。だけどそれに匹敵する力士はいなかった。だいぶ薄くてつらそうな人は見てきたが、なにしろ大相撲は三十をすぎたらもう引退秒読みの世界である。いくら遺伝で禿げる人でも二十代ではまだいなかった。
 それがいた。出現した。ロシア人に。なんとも珍しいものを見せてもらっている。

 もしもこの白露山の「盆の窪付近の毛を長く伸ばし、それを何重折りにもして頭頂部に接着剤で貼り付け、マゲの代わりとする」ということが許されるなら、いや現に白露山はそれをしているのだから許されているのだから、「禿げてマゲが結えなくなったら引退」という内規は事実上消滅したことになる。

9/29  時津風問題

 この問題が起きたとき、たいへんなことが起きたと思った。相撲界の「かわいがり」というシゴキは有名である。「兄弟子はムリ編にゲンコツと書く」なんて言いかたもある。そんな中でも時津風問題の荒稽古はむかしから有名だった。とにかく理窟など通らない世界なのだ。そのかわり勝てばいい。勝って上の番付に行けばすべてを逆転できる。昨日まで自分を殴っていたヤツを殴ることが出来る。自分に対して敬語を使わせ、荷物運びをさせることが出来る。年上の先輩をあごで使い、背中を流せと命令できる。強さだけが正義の世界。すべての理不尽は悔しさをバネに出世してみろとの仕組みから来ている。その分、歪んでいる。今までにもこういう問題は起きていたはずだ。だがそういう世界を選んだそういう人の運命として表には出なかったのだろう。今回は出てしまった。死亡理由の不自然さ。遺体の傷。大きくマスコミに取り上げられてしまった。相撲界を震撼させる大事件になると思った。
 ところがなぜか遺族も疑問を掲示しつつも訴えないといい、沈静化する動きになった。よくいえば、そういう世界に息子を送り込んだ父親は、それだけの覚悟をしていた、となる。訴えはしないけれど、二度とこういうことは起きないで欲しいと泣くことなく語る父親を立派と思った。

 記事を読むと、「かわいがり」があったのは事実のようだ。その行き過ぎで死亡事故となったのだろう。同時にまたこの死んだ少年が日頃の素行が悪く、稽古をサボったり、何度も脱走したりする問題児だったことも事実のようだ。時津風親方は「飲酒、タバコで高校を退学になっている」と暴力をふるった自分の非を棚に上げ、この新弟子の素行を非難していた。それが数ヶ月前。

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 それから数ヶ月経ち、なぜか今になって朝青龍問題などふっとぶような大問題になっている。当時なぜもっと大きく取り上げないのかと思った私からすると今の騒ぎは当然なのだが、またも大相撲の経営体質の問題になり、力士以外の人間を協会幹部に入れろとなってきているのにはこまった。角界とは元々そんなところなのである。強くさえあればサモア人でもモンゴル人でも最高位になれ、大金を稼ぎ、我が世の春を謳歌できるのだ。そのかわり弱かったら、一回りも年下のかつての後輩の荷物担ぎをやり、敬語で接し、小遣いをもらって生き延びねばならない。そういう世界なのだ。そこに今の世間の常識を持ち込んだら世界そのものが崩壊してしまう。

 とはいえ相撲界も、新弟子が入ってこなければ衰退してしまう。元々がこういう世界であり、自分も相撲を取っていて息子を力士にしたいと願った父親はそれを知っていようが、そうでない場合、そんな世界に息子を入れたいと思う親はいないだろう。

 今回すこし救われた気持ちになったのは、時津風部屋を一年ほどでやめた青年がテレビインタヴュウに出てきたのだが、眉を剃り落とした今でもいかにもそれっぽい彼は、稽古の厳しさと兄弟子のいじめを証言しつつも、「親方はやさしい人で、とてもビール瓶で殴ったとは信じられない」と語っていたことだった。「兄弟子のの厳しさ、親方のやさしさ、という飴と鞭」である。
 酒席で、酔った時津風親方(双津龍)が少年をビール瓶で殴り、弟子たちに「かわいがってやれ」と命令したのは事実のようだ。それらのことをこういう証言から考慮すると、この亡くなった少年がかなりの問題児だったのだろうとの感を深くする。
 少年に心臓疾患があったのかどうかはわからない。ただ、この少年と同じような目にあって死ななかった連中はいっぱいいるだろう。たまたまこの少年は死んでしまった。

 私は体育会系ではないから、こういうシゴキが大嫌いである。これは相撲に限らず日本中の体育会系には蔓延している事実だろう。今はどうか知らないが、むかしの甲子園を目指す球児たちの練習にも同じようなものはあったはずだ。水を飲んでは行けない時代の猛ノックとか。

 今やもう「いったい文科相はどういう指導をしていたのだ」まで騒ぎは拡がっている。日本中の学校からそういうものが消えることには賛成である。とはいえ今の時代だ。どれぐらいあるのだろう。それでも体育大学や右翼系の応援団あたりには、今でもかなりこれに近いものがあると思う。
 あってはならないことだけれど、そのことで成り立っているのが相撲界である。

 でも琴欧洲が「竹刀で殴るのはやりすぎだと思った」と語っているように、あの種のシゴキが真に強い力士を作るという思いこみ(初代若の花あたりの幻想)からはもう脱却していいと思う。貴乃花親方が竹刀を持っているのを見て、彼ほどの人でもその幻想を引きずっているのかと思ったことだった。

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 時津海が継承

 その後、時津風親方の双津龍は解雇となった。マスコミが予想し、北の湖も「枝川でいいだろう」と名をあげていた枝川親方(蒼樹山)は、なぜか追いつめられた双津龍が「枝川には継がせん」と断言して、彼の意中の人である時津海が急いで現役を引退して継承した。先々代の親方(大関豊山)と同じ東京農業大学出身だし順当ではあるのだが、双津龍の「枝川には継がせん」が気になる。双津龍と蒼樹山は不仲なのか。

 テレ朝のワイドショーには双津龍のふたりの娘が顔を隠して出ていた。父を庇うためか? と思う。なぜならそのときの彼女二人(太っている。33歳と27歳)は、父双津龍がむかしいかに優しかったかを話していたからだ。真冬に風邪を引き、「西瓜が食べたい」と言ったら街中走り回って手に入れてくれたとか。
 が、そこから話が違って行く。今は電話をしても着信拒否で出ないのだという。双津龍はタニマチ夫人とダブル不倫をしていた。やがて互いに離婚が成立し結婚している。若い頃に作った娘二人は古女房と一緒に追い出されたわけだ。テレビに出た彼女らの主張は、むかしの父親はやさしかった、それが再婚してから変ってしまった、その原因はいまの奥さん、ということらしい。なんだかテレ朝のこの問題への姿勢は女性週刊誌的である。

 時津海は誠実な人だから今後のことは大丈夫だろう。枝川との仲がすこし心配だが。
 

10/10  武蔵川部屋問題

山分親方を傷害容疑で書類送検 

元力士殴る 武蔵川部屋

2007年10月04日23時19分 

 大相撲の武蔵川部屋(東京都荒川区東日暮里)で6月、元力士のちゃんこ番の男性(30)を殴ってけがを負わせたとして、警視庁荒川署が部屋付きの山分(やまわけ)親方(35)(本名・西崎洋、元小結和歌乃山)を傷害容疑で書類送検していたことがわかった。武蔵川親方(元横綱三重ノ海)は「男性は新弟子に暴力を振るっていた」として男性を訴える意向を示しているが、時津風部屋の力士がけいこ中に急死した問題に続いて、角界の体質が問われそうだ。

 調べでは、山分親方は6月18日午前10時半~11時ごろ、部屋のけいこ場で、包帯を巻いたほうきの柄の部分で、男性の両腕を繰り返し殴るなどし、約2週間のけがを負わせた疑い。

 男性はこの数日前、後輩の力士(19)をビール瓶ケースの上に座らせたり、すりこぎで頭を殴るなどしたとされる。それを知った山分親方が男性を注意したが、「反省の色が見られない」と感じ、「同じような思いをさせる」と、男性をケースの上でそんきょの姿勢をさせてダンベルを持たせた。さらに、力士とぶつかりげいこをさせ、「あたりが弱い」などと言い、殴ったという。

 男性は直後に部屋を辞めて、7月に同署に相談。事情聴取に対し、山分親方が男性を殴った事実を認めたため、同署は9月下旬に書類送検していた。

 山分親方は4日夜、武蔵川部屋で記者会見し、「このたびはご迷惑をおかけした。男性へのしつけの一環だったが、行き過ぎという自覚はある」と語った。

 師匠の武蔵川親方は同日、報道陣に対し、男性が新弟子に度々暴力を伴う「いじめ」を行い、恐怖を感じて部屋を辞めた弟子もいたことを明らかにした。そのうえで、「山分の行為はやりすぎた面があって残念。しかし基本的に弟子を守るための行為だった。悪いのは男性の方で、男性を訴えるよう、いじめられた者に準備させる」と話した。

 武蔵川親方は日本相撲協会理事。時津風親方の問題で伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)とともに、時津風部屋の力士らから事情を聴く役目を担った。(asahi.comより)


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 この問題は被害届を出したこの「元ちゃんこ番」というのがどうしようもないヤツだということで結論が出ている。
 昼、テレ朝のワイドショーがこの事件を特集していた。被害者だと告訴した元ちゃんこ番が顔を隠してヴィデオで出演している。山分親方にいかにひどく暴力を振るわれたかと力説していた。竹箒で殴られ肩や太股が紫色に腫れ上がった写真が何枚も映し出された。
 山分の釈明と謝罪の映像。武蔵川の発言が流れる。すでにこの時点で武蔵川のほうも、弟子に暴力を振るわれたと彼を訴えることを表明している。

 テレ朝にしては公平だと思ったのは、そのあとの部屋の若手の発言もきちんと流していたことだった。時津風問題の時に顕著だったが、若手には箝口令が敷かれ何を問われてもだんまりが通常だ。だが今回は発言が許可されていたのだろう、みな平然とマイクに向かい、彼のことを問われると、「最低でしたね、なにもかもが」「いなくなってうれしいです」と、いかにそいつが下のものに理不尽な暴力を振るう厭なヤツだったかを証言していた。

 もういちど被害者だと名乗る元ちゃんこ番の独白シーンになり、そのあとスタジオ風景になる。司会のオオワダバクよりも早く、ゲストコメンテータの龍虎が「こりゃ、こいつがわるいんですよ。それだけ」と言い切る。そのときのスタジオに流れた何とも言いようのない空気には笑った。

 番組が意図していたのは、「相撲部屋にまたも暴力事件発覚。協会理事の武蔵川部屋。被害者は語る。許してはならないこの体質」のようなものだった。それを龍虎がたったひとことでぶちこわしにしてしまったのだ。私からすると痛快である。
 これではまずいとそのために用意されていた人権派の女弁護士が、「暴力を振るわれたからと言って暴力で返していいとは法律で認められていない」「相撲協会も他のスポーツのように、親方の下に相撲界とは関係のない専門家の心理カウンセラーを置くようにして」とか力説していた。龍虎は白けた顔で聞いている。そこにまた白髪鬼のような髪型をしたオチアイケイコ(笑)がわかったような口を出したりするのでテレビを消した。

 相撲では目のでないどうしようもないクズがいる。年は二十九になる。もう先行きはない。楽しみは陰湿な若手いじめだ。あまりに若手から悲鳴が聞こえてくるので親方も怒り、相撲界を辞めろと言う。するとちゃんこ番でもいいから置いてくれと頼んできた。そしてまた若手いじめが続く。それを確認した山分親方(和歌乃山)が、いじめられることがどれほどつらいか、自分の体で知ってみろと制裁に乗り出した。そういう事件である。
 世は相撲界を叩く風潮にあるが、それに負けず、しっかりとこれも決着をつけてもらいたい。むしろ相撲界の癌は、むかしの軍隊にもいたであろう新兵虐めを楽しみにするような、こういう存在なのだ。

10/19 「朝生」で相撲

 テレ朝の「朝まで生テレビ」で相撲を取り上げるという。チャンネルをあわせた。どうせ人権派の弁護士なんぞが登場して相撲界のふるい体質を批判するのだろうと思った。だったらすぐに消そうと。
 しかしそうではなかった。相撲界から、いやもう相撲界とは縁を切っているのだから、元力士と言うべきか、龍虎、琴乃富士、維新力、あとモンゴル出身の力士、十両までいっている。名前に記憶なし。これらが相撲界を弁護する立場。
 批判派はガッツ石松、元『日刊ゲンダイ』の二木。中立に中澤潔、あと女の相撲ライター。どすこいなんとかという名前(笑)。どうでもいいや。たどたどしい日本語のモンゴル人のジャーナリストってのもいた。
 あ、忘れてならない戸塚さん。ヨットスクールの。

 田原のつっこみに、龍虎、琴乃富士が応え、ガッツが批判し、戸塚さんが意見を言う。最初が「時津風問題」。次が「朝青龍問題」。
 両方とも相撲贔屓の私が立腹することなく見られたぐらいだから、この番組にしては珍しく極めて穏当だった。いやみな口調が特徴の二木も今回はさほどではなかった。中澤さんはいつものように穏当な意見を言う。
「時津風問題」で論じられたのは、「かわいがり」に関して。土俵上のしごきである「かわいがり」と、リンチは違うのだと龍虎や琴乃富士が力説。
 長州力が好きでそこから四股名をつけた維新力は、美男力士として人気があったころから私は好きではなかった。目に知性がないからである(笑)。マイク・タイソンと同じ。いやそれは言い過ぎか。ハガケンジと同じ。今回も龍虎、琴乃富士大活躍の陰で気の利いたことはひとつも言えなかった。
 ガッツは今回はあれは殺人事件だと批判する立場だが、元々はスポーツと猛練習には肯定的な人なので、「斉藤君事件」には批判的でも、おおむね相撲の存在を認めている。これも問題なし。

 私がよい人選だと思い、最も興味を持っていたのは戸塚さんの発言。「斉藤君事件」はヨットスクールの事件によく似ている。
 我が子を制御できなくなった親が他人に頼る。うちのこを躾てくれと。それが戸塚ヨットスクールである。その訓練のあいだに事故が起きて子供が死んだ。親は一転して我が子を殺されたと訴える。
 斉藤君のご両親は息子が殺されても大騒ぎはしなかった。穏和そうなお父さんは、今時の親ならテレビカメラの前で泣きじゃくり憤慨して訴えるだろうに、訥々と話していた。時津海が新時津風親方となって挨拶に行ったときは、「ご迷惑を掛けてすみません」とまで言っている。勘違いのないように念のために言うと、時津海が言ったのではない、ご両親が時津海にそう言っているのである。
 悪さをして高校を中退している斉藤君は、親の手に余る子供だったのだろう。大柄だったから、更正させるために入門させた。戸塚ヨットスクールと同じ理由だ。
 しかし相撲界のしきたりについて行けない斉藤君は何度も脱走を試みる。彼が新弟子として不良であったこともまちがいあるまい。新弟子としてたイドのなっていない斉藤君に兄弟子たちが制裁を加える。これは相撲部屋ならどこにであることだろう。しかし見かけほど斉藤君に体力がなかったか、制裁が激しすぎたか(どっちも正解だろう)死にいたってしまった。
 戸塚さんが言っていたのは、その入門の動機だった。正論だと思う。
 斉藤君が子供のころから相撲が大好きで、横綱大関を目指すのだと入門した少年だったなら、そもそもこの事件は起きていない。それが同じワルでも千代大海とのちがいだ。

「朝青龍問題」に関しては、モンゴル人ジャーナリストが、「北の富士問題」を例に出して朝青龍を弁護していた。北の富士だってかつては休場してサーフィンしていたではないかと。北の富士は休場し、場所が終ってからハワイに行ってサーフィンをしていた。横綱として褒められたものではないが、そのことと朝青龍問題はまた違う。北の富士に「うそ」はないからである。地方巡業にも出ている。それは親友である龍虎が強調していた。
 朝青龍は疲労骨折をしていて六週間の治療が必要と地方巡業を休んだ。なのに母国に帰り、元気にサッカーをしていた。その矛盾が問題なのである。
 別項でも喩えたが、運動会で優勝した悪ガキ中学生が、翌日のヴォランティアゴミ拾いを体調が悪いと嘘をいって休み、ディズニーランドに行っていたことがバレたようなものである。モンゴル人ジャーナリストというのは、そこがどうしても理解できないらしく、論議は空回りしていた。

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 と、たぶん途中で憤激して消すだろうと思った番組だったが、案に相違して私にも最後まで見られたのだった。
 もしもいつもの朝生のように水と油が激しくぶつかることを売り物にするなら、朝のテレ朝のワイドショーに出ていた、私が不快になって消した「人権派女弁護士」でも出して、龍虎、琴乃富士と相撲界の体質に関して闘わせた方が盛り上がったろう。そうなると私は不愉快だから見なかったけれど、視聴率的にはそのほうがよかったように思う。
 
 ところで、スタジオの客席には若者が多かった。金髪にサングラスのようなのがいる。女も若い。彼らが相撲界の問題に興味を持ち、真摯な意見をもっているとは思いがたい。実際、あくびをしているのが何人も目についた。なんなのだろう、ああいう人は。


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 モンゴル人の日本語能力──あらたな答が見えた

 旭鷲山、旭天鵬、朝青龍、時天空、モンゴル人力士はどうしてあんなに日本語がうまいのだろう、は前々からの疑問だった。白鵬、安馬はそれほどでもないが、来日してからの年数を考えると驚異的である。
 
 私はその理由として「英語が話せないからではないか」と考えていた。それはこのホームページの中でも何度か書いている。つまり、小錦や曙、武蔵丸がいつまでたってもうまくならないのは、彼らが英語圏の人であり、日本人も英語を話してしまうことにより、日本語の上達を阻んでいる、という推理である。モンゴルから来た少年たちは英語を知らないだろう。母国語のモンゴル語は通じない。相撲部屋という限られた世界で日本語しか使えない、覚えざるを得ない。それが上達の秘密なのではないかと。

 ある写真家のかたが言っていた。アフリカの未開の部落に行ったりすると、まず地面に意味のないへんな絵を描くのだそうだ。すると集まってきた子供たちが「×××?」と問いかけてくる。すなわちそれは「これはなに?」「What?」である。その「×××」ということばひとつを武器に、今度は彼がそこいら中のモノに「×××?」を連発し、そこの言語を覚えて行くのである。

 明徳義塾高校時代の朝青龍も、新弟子時代の白鵬も、口癖は「なんで」だったそうだ。理不尽に思える厳しい稽古や理解できない世界に、「Why?」を連発して、耐えていったのだろう。

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 モンゴル人はなんであんなに日本語がうまいのか、とは誰もが思う。それに対して、モンゴル語は語順等が日本語に似ていて覚えやすいのだ、と応えていたモンゴル人もいた。それもきっとあるのだろう。だが私は「モンゴル人」がみな日本語の上達が早いとは思っていない。「モンゴル人力士」がうまく、早いのだ。その理由を、英語も知らない少年が、無理矢理日本語しか通じない相撲部屋という閉鎖社会に放り込まれるから、と理解していた。いわばよけいな智識のない子供が異国語を覚えるのが早いのと同じりくつである。

 きょうひょんなことからそれが証明された。
 「朝まで生テレビ」が相撲特集を組み、そこにモンゴル人ジャーナリストという青年が出ていたのである。彼は来日して九年、東京外語大を卒業している。モンゴルのエリートであり金持ちの子弟だろう。日本で一旗揚げようとやってきた力士志望の少年とは生い立ちが違う。もちろん英語も学んでいよう。
 この人の日本語がヘタクソだったのである(笑)。外語大を出ていてジャーナリストをやっているぐらいだから、日本語の語彙は多いと思う。だけど彼の話すのは典型的な「ガイジンの話す日本語」だった。
 モンゴル人力士の日本語のすばらしさは、その自然さにある。音声だけ聞いていたら日本人とまちがうほどの能力だ。
 そのモンゴル人ジャーナリストの日本語は、あの白人の話す独特のイントネーションの日本語とまったく同じだった。誰が聞いてもガイジンの日本語と思うし、小難しい表現を使ったとしても、日本語がうまいとは誰も思わないだろう。またこれから何年彼が日本にいようと、彼の日本語はあのままであろう。フランソワ・モレシャン等と同じだ。

「モンゴル人は日本語がうまい。上達が早い」のではなく、「特殊世界で育てられるモンゴル人力士は日本語の上達が早い」のである。
 その中でもいちばんうまい朝青龍は特別な天才のように思う。出世も日本語もあまりに早すぎた。外国語を覚える場合、その地の女とつきあうのがいい、は定番だが、彼の場合、奥さんがモンゴル人なのだからよりすごいことになる。
 白鵬は来日して六年という年月からは驚異的だが、横綱として責任あるコメントをせねばならなくなった昨今は、ちょっと語彙不足で苦しい。こちらは女房が日本人だからこれからますますうまくなるだろう。
 こういう外語大卒業のエリートと比すと、彼らの語学力がいかにすぐれているかを実感する。

 閉鎖社会である相撲界は、「兄弟子はむりへんにげんこつ」であり、「番付一枚違うと天国と地獄」の世界だ。多くの時代錯誤的な問題を内包している。だがこういう語学能力の伸びというような面では見直すべきすぐれた点もあるように思う。

11/30
 今日の朝潮はかっこよかったゾ!

 今日は朝青龍と亀田次男の二大会見(笑)の日である。朝のワイドショーからその予告が入っていた。
 私は徹夜だった。午前十時に寝て午後二時に起きる。朝青龍の会見は午後五時からだが、午後のワイドショーは「飛行機が早く着いたので、成田に二時半に着いた」ともう騒いでいた。基本として私は、どんな形であれ話題になるのは相撲の認知に繋がるからよいことだと思っている。(認知ってのはこのごろヘンな意味になってしまった。)
 朝青龍問題、時津風騒動、ワイドショーでそれらに触れることによっていつの間にか相撲に詳しくなった人は多いだろう。といってそれが大相撲の視聴率に繋がり人気回復とまでは行かないのがむずかしいところ。でもほんのすこしでも、これがきっかけになって今までまったく見なかった相撲中継を見るようになり、見ているうちに力士の名前や決まり手も覚えてきて、相撲が好きになった、という人もいると信じる。

 午後四時過ぎ、図書館に本を返しに行き、あらたに借りてくる。五時からの会見があるので急ぎ足になる。夜のニュースでも見られるがテレビ局の意図で編輯されるから自分の目で生で見ておかねばならない。それは夜に限らず、すでに午後六時からのニュースでももうそうなのだと確認した。午後五時の会見の中から、会見はまだ続いているのに、中継ではなくもう自分たちの好み?のシーンを抜き出して放送している。どの局を見るかは重要な問題だ。好きなように加工して出してくる。どんな味付けにでも出来る。
 今回目立ったのは、朝潮が声を荒げた場面があったので、そこが押されていることだった。たしかにスキャンダラスな視点からは画にしやすい。その安易さを怖いと思う。でもその朝潮は、私には珍しく「よくやった」と褒めてやりたい激昂だった。

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 私が今日の会見で願っていたのは、私のような彼のことを案じている日本中のファンには心配を掛けたとすなおに言って欲しいということ、それとウチダテオババやエビサワのの横審に謝罪する必要はないということだった。帰国が決まってから、見たくもないのにオババの「私の中ではもう引退した人ですから」が何度も流れてていた。
 朝のワイドショーでは相撲評論家(今は相撲倶楽部の"会友"と言わねばならないようだ)の中澤潔さんの、「元々は明るくてすなおな青年だからファンにはきちんと謝罪するのではないか。横審には謝罪の必要なし」というコメントが出ていた。同意である。

 最初の代表質問はまともだった。その代表質問の最後、ファンのみなさまにひとこと、と言われると、冒頭の立ったままの謝罪のときには亀田父のような態度だった朝青龍が、きちんとカメラ目線で、ファンに心配を掛けたと謝罪した。わたし的にはこれで満足である。

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 そのあとの各社の自由質問になったらつるし上げ状態。朝青龍の眉がピクつく。顔面が引きつる。相撲など好きでもなくテレビを見ることすらしないような記者連中が、ここぞとばかりに正義の味方のつもりで罪人をつるし上げている。質問の声が小さく聞き取りにくい上、日本人の私ですらどういう趣旨の質問なのかわからないようなのが連続する。それは要するに朝青龍に涙ながらの懺悔をさせたいのだが、直接的に言えないものだから、回りくどい言いかたになり、結果として何が聞きたいのかわかりにくい日本語になっているのである。いくつかの質問に朝青龍がもう一回言ってくれ、どういう意味ですかと聞き返した。当然だ。私にも何を訊きたいのか解らない。それが反抗的にとられたのか記者の質問はますます意地悪になり、さらに意味不明になって行く。

 私は「朝青龍、切れるなよ」と祈る。今にでも朝青龍が机をひっくり返して大魔神に変身しそうだ。それを願っているウチダテオババのようなのもいる。我慢しろ我慢しろと願う。だが度重なる意図不明瞭の質問に先に朝潮が切れた。朝青龍への質問を横取りするような形で口を挟む。「それはまだわかりませんよ!」と。

 どういう形でサッカーに関わったのか、サッカーをしたときなにを考えていたのか、という過去の問題の時は良かった。朝青龍も懸命に応えていた。応えざるを得ない。だが先の質問には答えようがない。
「先の質問」とは、これから毎日稽古をどこでどんなふうにし、そして「初場所で結果が出なかったらどうするか!?」のようなものだ。底意地の悪い記者は、「初場所で優勝できなかったら(13勝以下だったら)引退します」のようなスキャンダラスな言質が欲しい。「朝青龍、初場所優勝できなかったら引退!」と見出しにしたくてしょうがない。しかし自分なりにトレーニングはしてきたが相手がいなかったし、マットの上と砂の上では感触が違うのでまず土俵で稽古をしたい、と述べている朝青龍から、そんな都合のいいことばを引き出せるはずがない。言わせようとするもの、言おうとしないもののせめぎ合い。かといって朝青龍はどんなに不愉快になっても切れるわけには行かない。ひたすら耐えるだけだ。
 
 そこで朝潮が切れた。声を荒げ、「これからひとつずつやって行くということです」と応じる。「これからの青写真がないじゃないですか」と記者も気色ばむ。朝潮が「ですから、まずは部屋で稽古を始め、それから出稽古に行って、と、それが青写真です!」と声を荒げ、そのあと、鼻息荒く「ご理解ください」と結んだ。実際にはこの何倍もしゃべっていた。理不尽な物言いをする記者連に我慢がならないという感じで、記者から見ても、いつものんべんだらりんとしていた朝潮のこの迫力ある発言は驚愕だったろう。
 
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 私は今日初めて身をもって弟子を庇う朝潮を見た。不仲の師弟だが、朝青龍も今日親方が自分を庇って闘ってくれた、自分のためにマスコミとやりあってくれた、という認識はもったろう。

 その前、引きこもっていたときに何を考えていたのかという質問にも(もちろん引きこもっていたときとは言わない。カイリセイショウガイだかなんだか、そのときに、である)、口ごもる朝青龍より早く、朝潮は「ですから、なにを考えていたとか、そんな状態じゃなかったんです」と横から口を出した。それにしても馬鹿な質問である。錯乱して引きこもっていたとき何を考えていたかと問われても、「なにも考えられなかった」と応えるに決まっている。なんとも根性玉のねじれた記者である。
「横綱の部屋に行った親方が、記者会見をしろと言ったのを拒否したそうですが」にも、即座に「拒否はしていません。そんな状態じゃなかったということです」と朝潮は返答した。もしもイヤミな記者がいたなら、「親方じゃなくて横綱の口から聞きたいのですが」と言われても仕方ないほど、朝青龍に対して飛んでくる礫を朝潮が自分の体で受けていた。
 朝潮のそういう態度を我が身かわいさととる皮肉屋もいるかもしれない。そうではない。私は今日、朝青龍を護らねば、という朝潮の気持ちをすなおに感じた。

 前述したように会見は五時からの予定がすこし遅れ五時十分過ぎから始まり六時直前まで続いた。だがすでにまだ会見が続いている五時四十分ぐらいにはもう各局が生中継をやめ、ダイジェスト版の発言要旨シーンを放送していた。何が要旨かは局の自由だ。朝青龍の謝罪シーンと同じぐらい民放では声を荒げる朝潮が流れていた。
 その要約シーンで最も公平だと感じたのは六時からのNHKニュースだった。NHKは民放と違い会見を生中継はしていない。まあNHKは大相撲中継のこともあり相撲側に贔屓していると解釈されているから褒めるのは控えるが、それにしても視聴者の耳目を集めるためとはいえ、朝潮が声を荒げるシーンを中心に流していた民放の感覚はいただけない。でもまあそれがいちばん受けるだろうけど。

 もちろんこの件に限らず限らず、テレビとはいつもこんなものである。そう思うと、小泉さんはこの手の連中をうまくあしらい、上手に活用する天才だったんだなと、あらためて感心する。

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 夜のニュースでは、横審でのシーンと、そのあとのインタヴュウを流していた。。横審で「なにを話したか」には、朝青龍は謝罪しましたとだけで口を濁し、そのあと妖怪が出てきて「横審委員の誰とも目を合わせなかった。彼にはあれで精一杯なのでしょう」と勝ち誇ったようなことを言う。思わず「おまえと目を合わせられる豪傑はこの世にはおらん」と口に出していた。テレビに向かって毒づくようになったらアブナイ(笑)。まずそんなことはないのだが、今日はほんとに知らず知らずのうちにバケモノに向かってひとりごちていた。
 もっとも相撲ファンの中にも「朝青龍は嫌いだが、ウチダテはもっと嫌いだ」との意見が多いから、ヒールの味を緩和する意味で、オババには存在価値があるのかもしれない。

 とりあえずミソギは済んだ。これ以後も巡業地や部屋で、「何十日ぶりかで土俵にたった朝青龍」のような形でニュースは続くだろう。それは普段は見られないものをワイドショーで見られるということだから相撲ファンとしてわるくはない。

 ともあれ、ほんのすこし朝潮を見直した会見だった。

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朝青龍問題── 『産經抄』の的はずれ視点

(前略──故事「出藍の誉れ」の説明)

 ▼現横綱の朝青龍の場合はどうだろう。師匠である元朝潮の高砂親方も大関止まりだったから、地位だけなら師匠を超えている。だが、そのことで公然と師匠を見下すようになったという。数々の暴走に親方が歯止めをかけられなくなったのも、そのせいのようだ。

 ▼一昨日再来日した後、横綱は「謝罪」に駆け回った。再起を誓い「優等生謝罪」という新聞の見出しもあった。しかしあまり信じる気になれなかったのは、肝心の師匠への「謝罪」の念がほとんど感じられなかったからだ。隣に座っていたのにかかわらずである。

 ▼親方の指導にも問題はあったのだろう。「師弟のきずな」など、とうに死語になっているのかもしれない。だが師匠に頭を下げられない横綱がその名に値するのだろうか。育ててもらった師に対する感謝があって初めて「出藍の誉れ」なのだ。『産經抄』12/2

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 たしかに朝青龍から「師匠への謝罪の念」は感じられなかった。相変わらずしれっとしていた。
 しかし「肝心の師匠への謝罪の念」というが、なにが「肝心の」なのだろう。そもそも朝潮に師匠としての指導能力がなかったからこんなことになったのだ。それは入門時ウンヌンまで遡らなくてもほんの三ヶ月前ですら、とんでもないことをやっている。報道陣の前で「連絡は一切ない」と自分たちの冷えた関係を披露し、パイロットシャツを着てため息をつき、「みなさん、わかってくださいよ、わたしもみなさんと同じ被害者なんですよ」との態度でいたのはその師匠ではないか。『産經抄』はそれを知らないのか。忘れたのか。おそろしく勘違いした視点である。

 ろくでもない親がいた。親としての務めを果たさなかった。それでも子は育つ。出世した子が罪を犯した。子供は世間に対して、親同伴で謝罪した。その謝罪会見を見て、「世間はともかく、肝心の親に対しての謝罪の念が見えないので信じる気になれない。育ててくれたのは親だろう」と言っている。
 子供はあんな親だからおれは犯罪者になったと思っている。そう思われても仕方のない親だった。それでここまでこじれてきた。なのにいきなりの記者会見で「親に対する謝罪の念」などあるはずがない。あったらおかしい。恨み辛みならまだしも(笑)。
 もしも口にしたなら不自然だし、言うような仲ならそもそもこんな問題は起きていない。『産經抄』は何を言っているのだろう。たしかに親がいなければ子は生まれてこない。こられない。だからといってどんなろくでもない親でも「生んでもらったのだから感謝しろ」と言われても、感謝できないこどもは大勢いる。それでも時が過ぎればまた違ってくる。しかしいまはすくなくともそんな段階ではないのだ。

 この師弟の一連の流れなど知らず、世間的な話題だからとズレた感覚で手を出したお粗末である。それとも、ああなっても父を庇った亀田問題ととりちがえているのか(笑)。
 まさに「朝青龍問題の本質などなにも知らないコラムニスト」が、「タイミングとして朝青龍問題をテーマに書く」ということにこだわり、そこに「出藍の誉れ」の故事を絡めて仕上げた、「コラムのためのコラム」である。しかも的はずれの。

 どうしようもない親だった。だがことここにいたって、自分の責任をやっと感じたのか、子供に対して飛んでくる言葉の礫を初めて我が身で受けて庇おうとした。私はそれを評価した。問題は今やっと、まだこの時点なのである。朝青龍問題を上っ面で捉えている『産經抄』にはそれが見えていない。わかっていない。
 こういうことが子供のころから続いていれば子は親に感謝する。それが親子だ。今までそれがなかった。それがやっと始まった。子の親に対する感謝の念が生まれるとしたらこれからだ。それすらまだ生まれていないのに、この場で「肝心の師匠に対する謝罪の念」などあるはずがない。

 暖かい部屋でご馳走を食べている人が寒さに震えるホームレスの窮状に触れたような、典型的的はずれコラムである。この文を書いた人が、ワイドショーやニュースショーで、ふたりの冷えた関係、朝潮の迷走ぶりを知っていたなら、とても書けたことではない。朝青龍と朝潮の関係を的確に把握している相撲ファンは、この視点にみなしらけたことだろう。

・このコラムは今日12月2日のもの。ネットに公開されたのが午前3時、家庭に配達されて購読している人が読むのは朝の7時ぐらいか。この文章のUPは6時だから、これは世界一早い今日の『産經抄』批判かもしれない。


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 もうひとつの亀田次男会見にはなにも言うことはない。「強気復活」なのだろうが、あのしょぼくれてしまい歩くのにさえふらふらする会見のシーンを見てしまったから──今日が強気であればあるほどテレビはあのときの映像をこれでもかと繰り返して流す──がんばって悪役路線を行きなさいと思うだけである。
 しかしまあ三十代、四十代のリッパな学歴経歴なのであろう記者の方々が、あの野良犬のような十代の坊やに、「(ひきこもっているあいだ)どんなゲームをしていたんですか」と敬語で尋き、「ほっといてくれや」と言われるのを見ていると、辛いものを感じる。そんな仕事でなくてよかった。

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◎内藤の防衛戦決定

 それよりも内藤の防衛戦が来年一月タイでやると決まった。相手はもちろん最強の前王者ポンサクレックである。地元タイでの開催だ。最大のピンチである。ここを超えねば内藤に明日はない。内藤の人柄から多くの企業がCMに起用したいと思っているが、この試合を勝ち抜くまではと見守っているとか。

 思えば金平が金の力で開催権をもぎとらねば内藤は亀田ではなくポンサクレックとやっていた。そこで負けていたなら、内藤は今も、私を含め日本中のほとんどが街ですれ違っても気づかない存在だった。それが今じゃ子供時代のいじめられ体験から、奥さんとのなれそめまで知っている。思えばみな金平と亀田父が「(ポンサクレックではなく)内藤なら勝てる」と強引に仕組んだことが始まりだった。内藤に勝ってチャンピオンになってしまえば、あとはポンサクレックとの防衛戦もすべて金の力とホームタウンデシジョンでなんとか出来る。そこから始まった。そして亀田一派は地に堕ち内藤はスターになった。
 支度金として金平から一億円もらった内藤陣営だが、防衛相手を亀田にする違約金を六千万円以上ポンサクレック側に払ったのでほとんど手元には残らなかった。亀田次男のファイトマネー一億、チャンピオン内藤一千万。この時点では、王者になれる亀田側、なにもせず大金を手にしたポンサクレック側が勝者のはずだった。しかし今、誰が勝者になったかは言うまでもない。

 日中のワイドショーを見ることの多い私は(その分、夜のドラマは見ない)ずいぶんと内藤に詳しくなってしまった(笑)。恋人のいた年上の奥さんにストーカーまがいにつきまとった話。本人が「おれってストーカーでしたよ」と苦笑しつつ言っている。三回もふられたが、やっと願いが叶ったこと。この辺のふたりの話は本当におもしろい。まだ好きだとも言っていないのに、奥さんから「わたしはあなたとはつきあえませんから」と断られるくだり。奥さんからすると自分に好意をもっているらしい年下の嫌いなタイプに釘を刺しておいたのだろう。それがこうなるのだからわからない。四回戦ボーイなのに奥さんの両親が結婚にまったく反対しなかったこと。「あれは不思議だったよねえ」と内藤が今も感激したように言う。奥さんの両親に今回のファイトマネーで何かをプレゼントするといったが固辞されたこと。それで、取っ手のとれたしまった冷蔵庫を使っているので、冷蔵庫をプレゼントしたこと等、なにもかもいい話だった。これはテレ東で、一家三人が紅葉路を旅する番組だった。こんななれそめもへたな再現ドラマででもやられたらどっちらけだが、内藤が訥々と語るものだから、みょうに感激してしまった。

 そういう成功もポンサクレックに負けたらすべて消える。今度の内藤の防衛戦、私は久しぶりに固唾をのんで画面を見ることになりそうだ。海老原とか原田以来である(笑)。

12/4  「今日の朝青龍」(笑)

 え~、タイトルの「(笑)」についてですが、これはまるで「今日の朝青龍」という観察日記のように、ワイドショーが朝青龍の動向を毎日伝えていることに対する「(笑)」です。

 12月1日からの九州巡業の様子が毎日昼夕のワイドショーで「今日の朝青龍」として報道されている。大相撲ファンとしては今まで見ることの出来なかった地方巡業の様子を毎日見せてもらえるのでまことにありがたい(笑)。
 視聴者の大半である主婦層はこんなに毎日朝青龍を見せられて楽しいのだろうかと心配になるのだが、見ているうちに覚え、興味を持つ場合もあるから、この「朝青龍問題」の広告宣伝費はたいへんな額になるだろう。
 もとより相撲の現況にも未来にもなんの興味もないテレビ局は、もうここまでくると惰性のシリーズものとして流しているように思う(笑)。まあとにかくどんな形であれ見られることは相撲ファンとしてありがたい。

 惰性で流していても司会やコメンテータはそれらしい意見を言わねばならないわけで、それが地方巡業での星取にふれてくると、これはもうあちらもわかってやっているのだと思うが、その嘘っぽい真面目さには我慢していても笑ってしまう。
「同じ横綱白鵬との対戦ですが、初日はなんとか勝ったのですが、二日目には負けてしまいました。体調はほんとにもどっているのか心配されるところです」って、相撲なんかとっとらん(笑)。お互いケガしないよう、投げもせず、四つになっての花相撲。吊り出して、順番に勝ちを譲っているだけ。こういうものに対する真剣そうなコメントというのは笑える。

 マスコミは敵だと思った朝青龍も相撲ファンのあたたかさには感激したろう。自分の味方を確認したはずである。そういうものだ。愛好家というのは世間の風とは無関係なのである。
 しかし調子に乗っての吊り落としはやりすぎ。あれをくらっていたのは誰だ、鶴龍か? 怪我をしたらどうするのだ。どうもこのへん、悪ガキのままである。

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いじめ撲滅、朝青から!やくみつる氏が荒技に苦言

2007.12.6 14:42──MSNサンケイ


時津風部屋の序ノ口力士死亡問題を受けて発足した日本相撲協会の「再発防止検討委員会」が5日、東京・両国国技館で3回目の会合を開いた。外部有識者委員として初出席した漫画家やくみつる氏(48)は、4日の冬巡業での横綱朝青龍(27)の荒げいこに苦言を呈した。相撲界の“いじめ”撲滅はまず朝青龍から-というわけだ。


 力士死亡事件の再発防止のために立ち上げられた委員会で、やり玉に挙がったのは、朝青龍の荒げいこだった。断罪したのは、やくみつる氏。ハンチング帽とジャケットというスタイルで出席したスポーツ界のご意見番は、仮病疑惑の謹慎から明けたばかりの朝青龍に切り込んだ。

 「横綱のけいこはけがにつながりかねない。ハッスルプレーのようなものがあった。ああいうことでは下の力士に示しがつかない」

 ボクシング「亀田3兄弟」の父・史郎氏ともテレビ番組内でやり合ったやく氏は、今度は朝青龍に苦言を呈した。問題としたのは、前日4日の熊本・天草巡業でのけいこ。同じモンゴル出身の平幕鶴竜に対し、送りつり落としとやぐら投げを見舞い、左足首をねんざさせた。朝青龍は夏場所前には時津風部屋への出げいこで豊ノ島の右ひざを負傷させ、力士死亡問題でのちに相撲協会を解雇された時津風親方(元小結双津竜)を激怒させたこともあった。


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 朝青龍が全治4週間 モンゴルでまたねんざ

2007.12.6 20:03──MSNサンケイ

 日本相撲協会から科された2場所出場停止などの処分が明け、2日の冬巡業から復帰した横綱朝青龍(27)が「右足関節周囲炎」で全治約4週間であることが6日、明らかになった。モンゴルで謹慎中の11月初旬にねんざし、完治しないまま冬巡業に参加して痛みが再発した。

 朝青龍はこの日午後、東京・六本木の平石クリニックで、平石貴久医師のもとX線撮影、CTスキャンなどの診断を受けた。同医師は冬巡業の初日(大分県豊後大野市)の朝げいこが終わった後に触診した際、腫れがあるため無理しないよう指示していた。今回、2週間分の痛み止めなどの飲み薬と湿布薬を処方した。

 平石医師は、「安静が必要だが、テーピングをし、右足に強い負荷をかけるしこやぶつかりなど激しいものでなければ、けいこはできると思う」と説明した。

 一方、モンゴルで治療した左ひじは完治し、腰も相撲がとれる状態に回復しているという。

 師匠の高砂親方(元大関朝潮)によれば、朝青龍は9日から高砂部屋でけいこする予定で、平石医師は「初場所に向けてやっていくのだから、けいこは休んでいられないと思う」と語った。

 関係者の間では、所用のため年内にモンゴルへ帰国するといった声が出ており、初場所(来年1月13日初日、両国国技館)出場に対しても微妙といった見方がある。


12/11
朝青龍、出稽古を拒否される!


朝青龍に逆風 「出げいこ」門前払い
2007.12.10 19:28

 大相撲の横綱朝青龍(27)が10日、友綱部屋へ出げいこに行こうとしたところ、友綱親方(元関脇魁輝)に受け入れを拒否された。横綱が出げいこを拒否されるのは極めて異例。友綱親方は朝青龍の言動に対する不信感を拒否の理由に挙げており、トラブル続出の横綱への風当たり弱まってはいない。

 朝青龍が在籍する高砂部屋は当初、東関部屋へ出げいこに行くつもりだった。しかし、東関部屋の一行が友綱部屋へ出げいこに行くと知って、友綱部屋へ変更。関係者が友綱部屋に許可を取りにいったところ、拒否された。

 国技館で取材に応じた友綱親方は「朝青龍の一連の騒動における師匠の高砂親方(元大関朝潮)の行動に納得していない。師弟関係が崩壊している。朝青龍には下位の力士にけいこをつける姿勢がなく、自分のために下位の力士を捕まえているだけだ」と高砂部屋と朝青龍を痛烈に批判。その上で「うち(友綱部屋)はあそこ(高砂部屋)とお付き合いするつもりはない」と言い切った。

 高砂親方は「友綱親方と直接話していないが、『報道陣が来てごちゃごちゃするので勘弁してほしい』といわれたと聞いている」と説明。朝青龍は出げいこを拒否されたことには触れず、「年末はどこの部屋も忙しくて出げいこ先がない。出げいこは(故障している)右足の状態に自信が持ててからにする」と述べた。

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朝青龍きょうは拒否されず 春日野部屋へ出げいこ 
2007.12.11 12:36

 大相撲の横綱朝青龍(27)が11日、東京墨田区の春日野部屋へ出げいこした。前日、友綱部屋への出げいこを拒否されたが、この日は拒否されなかった。2場所出場停止の復帰から初となる出げいこでは栃乃洋、春日錦、栃乃花の関取衆と申し合いを行った。

 前日、友綱親方(元関脇魁輝)は朝青龍の言動や、師匠である高砂親方(元大関朝潮)の指導方針への不信感を理由に「うちは高砂部屋とは付き合わない」とはねつけた。それを聞いて「拒否はしないが来てほしくもない」と話していた春日野親方(元関脇栃乃和歌)は、「友綱親方に断られたと聞いていたので、うちあたりに来ると思っていた」と快く受け入れた。

 14番の申し合いを全勝で終えた朝青龍は「(右かかとの状態は)きのうよりはだいぶよく、少しずつよくなっている。久しぶりにいいけいこができた」と気持ちよさそうに汗をぬぐっていた。(以上、MSMサンケイより)

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 私は一貫して朝青龍の味方をしているが、あの稽古の姿勢に関しては批判的である。いや激しく非難する。
 出稽古に来た朝青龍にあんな乱暴なことをされて所属力士に怪我をさせられたらたまらない。まるでヤクザの殴り込みだ。今までも高見盛や豊ノ島がひどい目に遭っている。単に強い横綱が来て稽古をし、力の違いからたまたま怪我をしたのならともかく、そうではないからたちが悪い。「千代の富士方式」が問題なのだ。怪我をさせられたのはみな本場所で彼に善戦した力士、あるいはこれから彼に立ち向かってきそうな力士である。「千代の富士方式」すなわち、自分に逆らいそうなヤツをあらかじめ本場所まえに潰しに行くのが彼の出稽古だ。
 だいたいが横綱ってのは出稽古に出かけるものではない。あちらからやってくるものだ。千代の富士の真似をして潰しに出かけるという方針そのものがまちがっている。

 九州巡業での二丁投げや吊り落としを見ていて気分が悪くなった。はっきりと朝青龍に嫌悪を感じた。
 花相撲である。どさ回りだ。本場所をまえにだれもが怪我をしないことを前提に相撲を取っている。それは朝青龍がいちばんわかっているだろう。白鵬との本気を出さずケガをしない紙相撲のような相撲がいい例だ。
 派手な技でお客さんに受けようというのは、四面楚歌の中で(ホソキカズコのような谷町もすこしはいたが)あたたかく迎えてくれた相撲ファンに対する彼なりのサーヴィスであったろう。あるいは忘れ去られるのではないかという不安からの自己アピールもあったろう。
 やられた力士はたまらない。鶴龍は足首をねんざした。デブで怪力の大男たちだから、細い四本脚で500キロの体を支えるサラブレッドのように、足首等にケガをしやすい。いちどしたケガは長引く。痩せて負担を軽くすれば治る。しかし現代医学を無視した巨体を作って闘うのが相撲だ。
 最も不愉快なのはそれが単純な荒稽古ではなく権威を笠に着て行われている暴力であることだ。

 この問題は「逆だったらどうなる!?」と考えるとわかりやすい。力士が相手をケガさせるのは簡単だ。デブの大男同士だから思いやりを闕けばすぐにでも相手は大けがになる。特にこの寒い時期の稽古はぶつかり稽古が主であぶない投げ技などは出ない。出さない。それを前提に稽古している。なのに朝青龍はそれをする。
 横綱という権威で、される方はされてもしかたないと耐えている。誰かが猫の首に鈴を付けると覚悟して、仕掛けてくる彼を待ち受けて返し技をしたなら、朝青龍も簡単にケガをする。そうなったらどうなるか!? 金看板の一人横綱(いまは違うけど)が出場不能のケガをしたと大騒ぎになる。させた力士は針の筵となるだろう。だから誰も出来ない。しない。だが過去の経緯から、いまそれをやったら「よくぞやった」の声も起きそうだ。

 横綱である自分には誰もそんなことは仕掛けてこないという権威の上でやっていることが気分が悪い。(この辺の私の感覚は別項に書いている警察ドラマ嫌い、刑事ドラマ嫌いにも通じる)、この種のことに関して、子供のときから相撲を取ってきてケガの惨めさを知っている日本人力士はおとなである。それが互助組合の温床とも言えるが、私は互助組合になるのはしかたないと解釈している。

 琴ノ若の庇い手など、あれをせず、琴ノ若が体を相手に預けていたなら、勝ち星はもちろん琴ノ若のものだし、無理なブリッジをした朝青龍は再起不能の大けがをしている。あそこで力士朝青龍は終っていた。それをせず教えられ覚えてきたように相手を庇い、ヴィデオ判定という無意味なものから理不尽な取り直しにされても不満を言わないのが琴ノ若の人格だ。ひどい話である。思い出すだけで腹が立つ。
 それでもそのことに何かを感じ学ぶのならいいが、朝青龍は自分のブリッジを「すごかったろ」と付き人に自慢しているのだからどうしようもない。相撲のそもそもがわかっていない。やはり悲劇の基本は「早すぎる出世」なのだろう。

 友綱親方の見解は正しい。きちんと「力士と親方の関係」に言及しているのもいい。今そういう立場の人だからこの発言は貴重だ。どこから見ても高砂部屋の方が格上なのだから勇気ある発言といえる。(友綱と一緒に時津風部屋に査問に出かけているのは中村親方こと富士桜なのだが、テレビには映っても、なぜかひとことも発言が映像にならない。なぜなのだろう。彼は寡黙なのか。)

 今後こういうことが続いても、朝青龍は「アンチによるいじめ」としか解釈できないだろう。気づくのはそれこそ五十六十になってからか。相撲の心を教えなかった高砂親方の罪である。日本とモンゴルのあいだの闇は深い。贔屓しているこちらをこれ以上失望させることはやめてくれ。ここまで来ると高砂の責任だけではなく、朝青龍に学習能力がないのかと思えてしまう。




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