平成十八年夏場所覚え書き
5/7 初日

○ 把瑠都の魅力!

 今日から大相撲が始まる。楽しみである。何日も前から指折り数えるようにして待っていた。
 競馬が「5週連続GⅠ」と盛り上がっているのだが、さほど関心がない。惚れ込んだ馬がいないからか。大相撲の方がずっと楽しみだ。
 と言いつつ大相撲のコーナーを見たら、ぜんぜん整理が進んでいない。先場所も先々場所も『作業日誌』に毎日詳しく書いたのに掲載していない。早く整理しないと。ホームページ作業ってのは時間を食うのでたいへんである。

 先々場所は雲南から帰った日が中日だった。あれは唯一の海外ボケになる。帰ってきて、その日が初日だと思っていた。七日間見逃したのが悔しかった。
 でも先場所の白鵬が盤石の相撲を取るようになっての大関昇進を毎日見られたからいいか。

 さて今場所の注目はもちろん大好きな白鵬であり、白鵬の初優勝なのだが、もう安心してみていられる盤石の白鵬より、プロレス的にわくわくするのは把瑠都だ。先場所北の富士以来、42年ぶりの十両全勝優勝を成し遂げた。現在幕下から通算すると20連勝中。いつ負けるのか、どんな形で、誰に?


略歴

  • 2002年 柔道エストニアジュニア選手権で準優勝
  • 2003年 同選手権で優勝
  • 2004年 三保ヶ関部屋力士の父親の仲介で、同郷の北欧司(入間川部屋、同年9月引退)と共に来日
  • 2004年5月 初土俵
  • 2004年7月 序ノ口優勝
  • 2004年9月 同部屋の里山との優勝決定戦を制し序二段優勝
  • 2005年9月 新十両。前相撲からの所要8場所は小錦と並び歴代三位タイ。12勝3敗で優勝次点。
  • 2005年11月 最速記録の所要10場所での入幕も見える西十両四枚目に昇進したが、場所の初日に急性虫垂炎を発症し初日から休場(1不戦敗14休)。
  • 2005年12月 入門以来初めて故郷エストニアに一時帰国する。
  • 2006年1月 11月場所の休場で、西幕下3枚目に陥落するも7人による優勝決定戦を制し、幕下優勝(6勝1敗)。十両復帰を果たす。
  • 2006年3月 再十両のこの場所、東十一枚目で初日から連勝、13日目にして十両初優勝を決め、更には昭和38年九州場所の北の富士以来42年4ヶ月ぶり、史上4人目、外国人力士としては初となる十両での15戦全勝優勝を達成し『北の富士賞』を受賞。
  • 2006年5月 新入幕。前相撲からの所要12場所は11場所の琴欧州に次ぎ、板井、小錦、栃東、朝青龍、時天空、嘉風と並んで史上二位タイの速さ。

 ウイキペディアWikipediaからもらってきた。感謝。便利である。

 新入幕まで12場所は史上2位タイなのだが、盲腸にならなかったらまちがいなく10場所で琴欧州を抜いて史上1位だったろう。
 盲腸になって全敗となり幕下まで落ちた。こういうところが相撲は残酷である。まさに番付一枚違うと天国と地獄だ。月給120万と無給である。すぐに優勝して十両復帰。そして全勝優秀で新入幕してきた。

 闘ってみたい相手として琴欧州の名を挙げている。理由は「自分よりも背が高いから」だそう。
 新入幕で前頭11枚目だから、今場所の実現は無理か。でも最近の相撲協会はこういう話題に敏感だし強引にやる。もしも把瑠都が勝ち進んだら、いきなり大関挑戦があるかもしれない。思うだけでわくわくする。

 私が初めて把瑠都をテレビで見たのは2004年7月の序の口優勝時のインタヴュウだった。まだほとんど日本語が話せず、金髪のざんばら髪である。陽気な欧州のふとっちょ金髪あんちゃんという雰囲気だった(笑)。
 もうきちんと話せる。
 モンゴル人力士の日本語上達は驚異的だが、琴欧州や把瑠都も充分に早く、うまい。
 ひどいのが小錦に代表されるサモア系アメリカ人だ。あれは日本という国で半端に英語が通じてしまうからだろう。英語を話せない人の方が日本語の上達は早い。もっとも把瑠都は英語はもちろんフランス語、ドイツ語も話せる語学の達人らしい。

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 ディカプリオに似たハンサムであり、初の金髪力士である。
 ベッカム似と言われるハンサムな琴欧州(本人はベッカム似と言われることを嫌っている)の魅力はシャイな面である。はにかむ姿は、ほんとうに好ましい。じつにきれいな笑顔である。守ってあげたいと思う。自分より30センチも大きい204センチの大男を守ってあげたいもおかしいが。

 連休のあいだ、いつだったか、まったく偶然に「徹子の部屋」に出ている琴欧州を見られたのはうれしかった。ここ何年もあの番組を見ていない。チャンネルを替えていたら偶然琴欧州が映った。あれはついていた。そこでの対応もすばらしく、あらためていい青年だと思った。

 把瑠都は琴欧州と違って陽気である。琴欧州がうちにこもって悩んでしまうタイプなのに対し、部屋の仲間とも仲良く陽気にやっている。琴欧州がソップであるのに、こちらは均齊のとれたアンコだ。その違いもまた対照的でいい。

 いかな把瑠都でも、このまま壁に当たらないはずはない。なにしろまだ相撲を知らない。ひじょうに荒っぽい体力だけの勝負だ。それで居並ぶ古豪新鋭を相手にせず十両全勝優勝である。197センチ、170キロのパワーは強烈だ。
 陽気な把瑠都に悔し涙を流させるような屈辱を味わわせるのは誰なのだろう。楽しみでならない。
 麻酔山(笑)、はいはい、辞書登録ね、現役力士じゃないのでしてなかった、増位山(三保ガ関親方)も、とんでもない米びつを見つけたものである。

 エストニアからは同時にもうひとりの少年が入門したのだが、日本の水が合わずすぐに帰国してしまった。把瑠都は陽気な性格だから乗り切れたのだろう。

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 今日は競馬に飲み会と忙しいので録画予約した。夜、帰ってから楽しみに見る。

 把瑠都初日の相手は同じく新入幕の豊真将寺尾(錣山親方)のところのこれまた逸材だ。だけど把瑠都とはもう格が違っている。それは先場所見ていてわかった。先場所は十両から毎日缺かさずみたものなあ(笑)。今頃になってBSの便利さを知った。人より十年以上遅れている。いや、姉のところなんてもっと前からBSで相撲だった。二十年遅れているか……。

 豊真将は子供のときから相撲を取ってきた。日大を中退して入門する。ここまでの所用場所数は13場所。3位タイである。とんでもないスピード出世だ。マスクもいいし筋肉質の体もいい。でもつい最近相撲を始めた把瑠都に子供扱いされてしまう。把瑠都や琴欧州のような逸材がそういるわけでもないだろうが、ヨーロッパ系のナチュラルに強い大男は本当に驚異である。無制限に入門させたら相撲界を席巻してしまうだろう。私はそれでもかまわないが、やたら日本人にこだわる人は困るのか。

 この初日の取組は、新入幕同士のフレッシュな組み合わせということだったのだろう。相撲協会なりにサーヴィスのつもりなのだ。だが私としては、先場所十両優勝を争ったふたりをここで争わせるより、ふたりにそれぞれ「幕内の主みたいな古顔」をぶつけてほしかった。たとえば旭鷲山のような。
 そのほうが古顔と新人の対比が際だち、初日の取組としてはおもしろかった。どちらが勝つにせよ。これから毎日のように実現することではあるが。

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 琴欧州が稀勢の里に負けてしまった。互いにライヴァルと認め合っている。稀勢の里の琴欧州戦で見せる根性はいい。あとは順当な初日だった。
 把瑠都は明日、栃乃花か。楽しみな二週間が始まった。


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後日註・掲示板に宮嶋さんという相撲に詳しいかたが投稿して間違いを指摘してくれた。感謝。
①豊真将は日大を卒業しているので中退ではない。
 一時相撲がいやになり相撲部をやめてしまったのだが、大学は卒業している。失礼しました。
 23歳の入門で、スピード出世をして一気にここまで来た。25歳。稽古熱心は自分には時間がないと自覚しているらだろう。

②取組の組み合わせは番付で機械的に決まる。よって初日、把瑠都対豊真将は協会のサーヴィスではない。
 取組の基本的な組みかたを知らなかったのでこれは勉強になった。
 あらためて初日の取組を見てみると、ほんと、東と西が番付順に真横同士で組み合わさっている。相撲協会のサイトにその方式が説明してあるそうだ。まったく知らなかった。ありがとうございました。
 幕尻から2枚目までが同じ番付の東西同士。そこから横綱、大関、関脇、小結との対戦になるので異なって行く。これも方式があるのだろう。

 どうにもむかしの平幕優勝ではあり得なかった「幕尻の貴闘力が大関にぶつけられた」の印象が強烈で、「近頃の相撲協会はファンサーヴィスで意図的な組み合わせをする」の思いこみが強かった。たしかにそれもあるのだろうが、ああいうのは例外中の例外で、ふだんは機械的のようだ。いやそうじゃなくちゃやっていられない。毎日毎日そんなことを考えていられるか。決まり事があるとなんで思わなかったのだろう。自分のバカさ加減にうんざりする。機械的に組み合わせ、その中から、より盛り上げるために、いくつかの例外を検討するのだろう。

③把瑠都は充分に考えた相撲を取っており、体力に任せた相撲ではない。
 これは解説陣も何度か指摘している。同じ三保ガ関部屋所属で、学生相撲出身の里山(十両。小兵で研究熱心)との稽古が役立っているとはよく言われる。

 ただしそれは「一見、体力だけで取っているように思われがちだが、意外にきちんと計算して、相撲を考えている」という意味であって、ポイントは「意外に」にある。基本が「圧倒的な体力」であることにはかわりあるまい。
 プロレスで言うなら、アンドレ・ザ・ジャイアントは、アイアンクローでもネックハンギングでもなんでも出来る。それはあらたな決め手を作り出そうとしている研究熱心と言えるが、同時に手がでかくて体が大きいから出来るのも事実だ。獣神ライガーがやるのとは意味が違う。
 私も把瑠都の相撲を驚異的な勢いで伸びてきた当時の小錦のように、圧倒的体力によるぶちかましだけで勝っているとは思っていない。大男でも身が軽いから、あれこれやるのが楽しいのだろう。だが彼がそういうふうに工夫していることの基本は、「アンドレのアイアンクロー」だと解釈している。

 
5/8
二日目

●早くも波乱連続○──把瑠都、敗れる!


 解説の舞の海、向正面の北陣親方麒麟児)も、新入幕の把瑠都を優勝争いに絡んでくるのではないかと言った。ふたりのあまりの高評価にアナが戸惑う(笑)。かつてここまで高評価された新入幕力士はいない。
 中日まで全勝で行くと後半では横綱大関戦もあるのではないかと、話はそこまで行っていた。

 その把瑠都が負けた。破ったのはヴェテラン栃乃花。いい相撲だった。
 負けた把瑠都は、下がりの花道で、苦笑していた。
 琴欧州だと泣きそうな顔をして、ひとりでこもった風呂場でバカヤローと叫ぶところである。(雅山に変化されて負けたときこれをやっている。)

 もしかして、いやまちがいない、「私は初めて把瑠都が負けるところを見た」ことになる。幕下で6勝1敗とかがあるのだが、見たことがない。新十両で12勝3敗のときも負ける日を見ていない。こんなふうに負けるのか。なるほどねえ。体力に任せた大味な相撲を、下から突き上げられ、浮き上がってしまった。
 栃乃花の巧さが光った一番だった。淡々と引き上げる。「どんなもんだ」と顔に出さない。これまた日本人的美学としていい。昨日今日相撲を覚えた外国の若者に勝ったからといって、うれしさを顔には出さない。これが高見盛だったらどんなもんだがたいへんだった(笑)。まあそれもそれで楽しいが(笑)。
 高見盛とは当たるはずだ。番付的に。楽しみだなあ。

 連勝が21で途切れて把瑠都は楽になった。今場所はさすがに今日のような負けも続くだろうが、同時に強い相手にとんでもない勝ちかたもするだろう。毎日目が離せない。

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 栃東琴奨菊に完敗。栃東は格闘技界の桜庭みたいなものだ。期待感も相まってアンチ外国人力士連中から実力以上の高評価を受けている。横綱の器ではない。プロレスで言うと藤波レヴェル。先々場所14勝1敗で優勝、先場所12勝3敗なので、今場所優勝なら日本人横綱が欲しくてしかたない協会は横綱にするつもりでいる。しかし早くも序盤の1敗で黄信号。横綱になったとしても短命なのは見えている。分相応の大関でいい。

 朝青龍が負けたのでおどろいた。破ったのは若の里。完勝ではない。逆転の拾った星。あれ、決まり手はなんなのだろう、突き落としかな。
 朝青龍の相撲だったが、土俵際でかたすかしのような形になり、まだ若の里が残っているのに、朝青龍があえぎつつ、落ちてしまった。香港映画の一シーンのよう。これは意外。
 若の里は豪腕の実力者だ。白鵬戦での怪我で番付を落としたが本来の実力発揮になる。関脇時代には横綱朝青龍をぶんなげてもいる。だが今日のは勝ちはしたがたいしたものではない。

 体があるわけでもない朝青龍は完璧にチューンナップされた精密機械のような形で勝ち続けてきた。
 私はそれを2000ccの国産車とし、白鵬を5000ccのベンツと形容した。5000ccのベンツクラスのチューンナップが整いつつある。朝青龍にはキツい場面になってきた。

 白鵬万全の相撲で連勝。朝青龍、栃東の1敗で、初優勝が見えてきた。

 琴欧州、安馬を破って初日。

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今日の名勝負
 豊真将対玉春日
 玉春日が責めるのだが稽古充分の豊真将がしぶとく、落ちない。最後は責め疲れで万策尽き、豊真将が押し出した。万雷の拍手。観客もいい相撲には惜しみなく拍手を送る。私もテレビ桟敷から拍手を送った。解説陣も絶賛。豊真将がいかによく稽古をしているかがわかった。アナも「落ちない。これが稽古の力」なんて、NHKの相撲中継らしからぬ熱い実況(笑)。
 負けはしたが玉春日もよく責め続けた。

 初入幕の初白星ということでインタヴュウ。昨日は豊真将を破った把瑠都だった。
 好青年である。鍛え上げられた筋肉質の体で、よく稽古をしているのがわかる。いかにも寺尾の弟子という感じ。
 耳から出血していた。玉春日の張り手でつぶれたのか。
 豊真将はレスラーのつぶれた耳、俗に言う「カリフラワー」なのだがなぜだろう。レスリングはやってないよな。子供のときから相撲一筋だ。相撲で耳が潰れることはあるのか?

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【附記】深夜
 初日を「琴欧州が敗れた以外は平穏」と書いてしまったが魁皇も敗れたのだった。そして二日目も。
 せっかく先場所、4勝7敗から奇蹟の勝ち越しを決めて角番をしのいだのに、どうしたのだろう。

 いまネットのニュースで「若の里 8年ぶりの金星」の見出しを見た。そうか、金星は平幕でなければならない。三役時に横綱を負かしているがあれは金星にはならない。19場所連続三役だって。あれで大関になれなかったんだからなあ。もったいない。毎場所のように10勝はするのだが、決め手になる12勝、13勝が出来ない。大好きな力士なので毎回歯がみしたものだ。
 前回の金星は98年に三代目若乃花を負かしたときだとか。
5/9
三日目

●朝青龍休場!


横綱朝青龍休場、右ひじ全治2カ月

診察を終え、記者の質問に答える横綱朝青龍(共同)
診察を終え、記者の質問に答える横綱朝青龍(共同)

 横綱朝青龍(25)が右ひじ負傷のため、夏場所3日目の9日から休場することが決まった。午前中に都内の病院で診察を受け、日本相撲協会に内側側副じん帯損傷で全治2カ月との診断書を提出した。前日8日の若の里戦で敗れ、土俵下に転落した際に痛めていた。病院から出てきた際に「悔しいけれど休場します。無理をしてもしょうがない」と話した。師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「本人からは右腕が伸ばせない。伸ばすと痛いと聞いている」と話した。

 朝青龍の休場は横綱3場所目の03年名古屋場所以来、2度目。3日目の安美錦戦は不戦敗となる。
(ニッカンスポーツより)


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 昨日痛めた右肘から朝青龍が休場した。これでまた白鵬初優勝の可能性が高まったが、真の優勝は次の横綱がいてのときだ。それよりもさほどの体力もないのに氣魄でがんばってきた朝青龍だから、この怪我をきっかけに一気に凋落してしまわないかと、そのことのほうが心配だ。
 横綱がいなくなったことで一気に白鳳優勝のハードルが低くなった。

 白鵬全勝。
 昨日、モンゴルの話が語られていた。モンゴル相撲の大関は優勝しないとなれないそうだ。まあトーナメント戦であり、日本のような定場所があるわけじゃないから当然だろう。モンゴル語の「大関」が紹介され、モンゴルの人には大関だから優勝していると思われてしまうがまだしていないので、なんとか早くしたいと語っていた。今場所の白鳳優勝の可能性はこれでもう90%以上だろう。番狂わせはあるか。
(そういや、あるゆる場から「狂」の字は消されつつあるのだが、これももしかしたらいまは「番くるわせ」と書くのか。異様にこういうことに執着するATOKがなぜかすなおに「番狂わせ」と出したのでかえってこわい。辞書登録したのかな? 忘れた。)

 琴欧州、若の里に敗れて2敗目。実力者の若の里だから負けたことは自体はしょうがない。なにしろ若の里が三役張っているころ入門してきた新人である。内容も圧勝だった。
 それよりも琴欧州になんとなく覇気がない。心配だ。もともと闘志を表に出す人ではないが……。

 把瑠都北勝力を破って2勝目。ただし押し込まれたのは良くない。体力の差で投げ捨てたがいかに甘い相撲を取っているかだ。
 すぐに支度部屋からコメントが入り、本人も勝ったがよくない相撲だと言っていたとか。「負けたが昨日の相撲のほうがまだよかった」と語ったとも伝えられた。雑な相撲だから、意外に小兵にもぐりこまれたりして負けるかも知れない。ぶつかってきた北勝力を跳ね返す、でなければおかしい。

 栃東朝赤龍に完敗で2敗目。まあこれはいいや。興味なし。ただ、奇をてらったものではなく、正面からの相撲で朝赤龍が完勝したことは書いておかねばならない。

 魁皇安馬を破って初日。

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○安馬試煉
 初めての三役、小結の安馬は3連敗。誰もが壁にぶつかるたいへんな地位。序盤に連日横綱大関とばかりぶつかる。ここを突破して初めて大関への道が開ける。体のない安馬をそんな大物とは思っていないが、ほんとにこの青年はいい力士だ。舞の海も毎回絶賛。
 今日は安馬のインタヴュウがある(ヴィデオ)とのことだったので楽しみにしていたが、番組の進行で明日に延ばされた。楽しみに待とう。

 安馬は白鵬と同期、ひとつ年上。子供のころからの知り合いだから、先場所のインタヴュウでも「白鵬」と呼び捨てにしていた。これは当然。
 しかし今場所から差が付いた。礼儀上「大関」と呼ばねばならない。白鵬と呼び捨てにしたら問題になる。そうしているのかどうかインタヴュウが楽しみだ。

 安馬の父親もモンゴル相撲の力士。白鵬とは子供のころから相撲を取っていた。白鵬の父親はモンゴル相撲の大横綱(5年連続チャンピオン)でオリンピックの銀メダリスト。国民的英雄である。
 安馬の父はそんな大物ではない。日本で言うと関脇になる。
 とはいえそれは父親の格であり、お互いやせっぽっちの少年であったときは関係なかったろう。だが16歳の入門時、175センチ、68キロだった白鵬は今、191センチ、156キロになった。安馬は大きくなれない。背は185センチになったが体重は114キロ、幕内最軽量だ。

 もっとも入門に関しては、安馬はモンゴルにスカウトに出かけた(旭鷲山の結婚式のついでか)安治川の目の前で勝ち抜いて選ばれたエリート?であるのに対し、白鵬は力士にスカウトされるために来日していたのに帰国前日まで声がかからずギリギリの入門だった。この時点では安馬のほうがリードしていた。でもまあ弱小部屋の安治川だから、たいしたことはないか。
 こんな書きかたをすると白鵬礼賛みたいだが、白鵬は相撲史に特筆される特別な力士なのであって、言いたいことは安馬のすばらしさだ。モンゴル人力士を嫌う人がいるが、安馬ほどの相撲を見せてくれる日本人力士がどれほどいるというのか。今場所も「名勝負数え歌」の時天空との一番が楽しみだ。

 というところで安馬のホームページ発見。安治川部屋のホームページ。安治川親方って誰だっけ? 陸奥嵐か。化粧まわしと手形の写真を拝借。

 陸奥嵐も安馬という米びつを見つけられてしあわせだね。幕内力士が育つほどの部屋でもない。
 安治川の「安」とモンゴル草原の「馬」をイメージして「安馬」らしいが、競馬に関わっている私には「やすうま」に見えてしょうがない。

http://homepage2.nifty.com/ajigawa-beya/ama/ama.htm






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悲運の長谷川
 今日の解説は秀の山親方。元関脇、あの悲運の長谷川である。昭和47年、関脇で8勝7敗、10勝5敗、12勝3敗(優勝!)の成績を上げながら大関になれなかった。のちには北尾のように一度も優勝せず横綱になったのもいるというのに。
 この昇進見送りは表向きは「大関が四人いたから」だったが、実際は弱小部屋の悲運と言われた。
 それは当時印象深く覚えているのだが、今日解説の秀の山親方を見ていて、「この人、何部屋所属だっけ」と思う。今は「部屋附き親方」である。その部屋は佐渡ケ嶽部屋。なら当然現役時も佐渡ケ嶽部屋所属だ。調べてみた。まちがいない。

 今の佐渡ケ嶽部屋の大隆盛は言うまでもないが(これは四股名に琴シリーズを徹底し、熱心なスカウト活動をした琴桜の功績)、むかしから内掛けの大関琴ケ浜とかいたし、弱小部屋のイメージはない。琴桜も横綱になったし。
「弱小部屋の悲劇」という当時の思いこみが揺らいできた。

 でも角界の中心を行く出羽海一門なんかと比較すると、長谷川の大関昇進をアピール出来ないほどの弱小だったのか。よくわからん。でも出羽海部屋所属だったら大関になっていたのはまちがいない。それにしてもあの成績でなれなかったのだからまさに悲劇である。



後日註・現在の佐渡ケ嶽部屋は昭和30年に小結琴錦が二所ノ関部屋から獨立して作った。前代の佐渡ケ嶽部屋は戦前にあり、高砂系列だったとか。昭和30年設立だから新興の部屋である。しかし二所ノ関育ちの琴ケ浜は琴錦について部屋を出て、ここ所属で大関になっている。
 長谷川の大関昇進問題時の昭和47年には、現役大関の琴桜が在籍している。現役の大関を抱えているのだからそんな非力な部屋でもあるまい。
 そういう点からは、「新興の部屋が大関をふたり抱えることになる←他部屋からの嫉妬」という解釈が正解か。どんな理由であれ、大関昇進に必要にして充分の成績を上げていた長谷川が被害者であることに変わりはない。



 その秀の山親方、今日「一日の長」を「いちにちのちょう」と発言していた。言葉にうるさいNHK視聴者から抗議があったのではと心配になる(笑)。そんなヤツ、いるからね。どうでもいいよね、ことばなんて意味さえ伝わりゃ。

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今日の一番
栃乃洋対玉乃島
 栃乃洋が豪快な下手投げで大きな玉乃島をぶんなげる。この人のこの技は見るたびに惚れ惚れする。
 解説でも「この形になったら横綱大関でも投げますからね」と言っていた。
 決め手を持っている力士は魅力的だ。
(でも基本は栃乃洋が好きだから。玉乃島は嫌いなので、逆の立場の一戦だったら取り上げなかった。そんなものである。)
5/10
四日目

○北桜、把瑠都を破る!


 私の最も望んでいたパターン。とんでもない勢いで昇ってきた異国の若者把瑠都に、幕内最年長34歳、遅咲きの北桜が立ちはだかる。
 北桜の髪はもう薄くなり落ち武者みたいになっている(笑)。そしてまた豪快に塩を撒き、感情をあらわにするのでも有名。正に願ったり適ったりの一番。こういう取組が見たかった。

 把瑠都が簡単に勝ち、新旧交代の典型例と思っていたが、北桜ががんばった。彼も187センチ、172キロある。把瑠都とがっぷり四つに組む。把瑠都は肩越しに上手をとる。リーチが長いとすごいなあと思ったが、あとで解説の間垣(二代目若乃花)は、「深すぎる」と言っていた。なるほど、これなんかプロの感覚だ。素人目には長いリーチで初めて可能になる豪快な肩越し上手なのだが、深すぎるのでかえって自分の方に引き寄せすぎてしまうのか。

 腰高で寄った把瑠都を土俵際でくるりと北桜が体を入れ替える。うまい。そのまま押し出す。把瑠都もまたそこでうっちゃるからたいしたもの。一目見て北桜の勝ち。うっちゃれていない。
 得意満面の北桜。どんなもんだと顔に出す。場内に大きな声援。まさかこんな決着になると思わなかったから、大の把瑠都ファンなのに私も手を叩き、北桜を讃える。北桜、最後にまた鼻息荒く、フン! と勝利の声(笑)。これぞ相撲の醍醐味だ。

 北桜の奥さんと娘さんは毎日テレビの前で応援している。この奥さんがおもしろく、テレビの前で声を出し、取組中、一緒に動くのだ。もう喚き散らすというぐらいの派手な応援(笑)。テレビのドキュメンタリィで見たとき、思わず私は目が点になった(笑)。
 こういうのは珍しい。むしろ神棚に祈るだけで取組は見ない、なんて家族の方が多い。勝ちが確定してから見たりする。さぞかし今日はたいへんだったことだろう(笑)。

 平幕が平幕に勝っただけなのにNHKはインタヴュウを決行する。この辺も話題に敏感でよい。
 北桜うれしそう。得意の「まだ24歳ですから!」が出る。

 しかしこのあと下がった把瑠都から、「自分はうっちゃったと思った。相手の足が先に出るのがわかった」とのコメントが入る。ヴィデオを見ると、たしかに北桜の右足が先に出ている。
 となると白熱の名勝負も水が注される。行司指し違い、悪くても物言いが附いての取り直しの一番か。審判の見逃しミスとなる。


《スポーツ報知より》
 この写真が欲しくて全新聞を探したが見つからない。やっとスポーツ報知で発見。貴重品。感謝。よく撮ったなあ、決定的瞬間だ。この写真では北桜の右足が先に出ている。

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 このあとのNHKの対応が良かった。写真のシーンを何度も見せ、審判(名前失念。お恥ずかしい)のひとりが、体が崩れる前に、この時点ですばやく右手を挙げている(勝負あったの判定)ことを指摘したのだ。
 写真のように北桜の右足が、見た目明らかに先に出ているのだが、俵にかかった把瑠都の右足かかとが、その前に砂についているのである。たしかに微妙であり物言いがついてもおかしくないが、そうなったとしても、「把瑠都の右足かかとが先に出ており」となったろう。でも物言いはつくべきだったか。

 今のNHKは何台ものカメラで別方向からも撮っている。この場合も、まるでそれがわかっていたかのように把瑠都の足下に注目しているカメラがあり、スロー再生すると、あきからにかかとが砂を嘗めているのだった。把瑠都はそれに気づかないだろうし、この態勢から、北桜の足が先に出ていることを目視したから、悔しかったろう。

 相撲を見ていて毎度思うのは、プロはすごいなと言うことだ。この場合も、こういう勝負のさなか、写真の瞬間の一瞬前に、そのかかとを確認した審判は勝負あったと右手を挙げ、行司もこのようなむずかしい情況なのに、ためらうことなく北桜に軍配を揚げていた。

 さらによかったと思ったのは、記者団が把瑠都の気持ちを聞き、審判部に乗り込んだのだそうだ。そしてこのヴィデオの細かい部分、素早く右手を挙げている審判の姿等を確認し、みな納得して引き上げたと報じた。よいことである。

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 私自身は、大の把瑠都ファンだが、なにしろ相撲全体が北桜のものだったから、これは当然北桜の勝ちだと思った。把瑠都のうっちゃりも見事なうっちゃり技ではなく、流れの中での最後の踏ん張りというものだった。そういう態勢になりながらもうっちゃろうとしたがんばりは、ろくに相撲を知らない北欧の若者としては大絶賛なのだが。

 大鵬の疑惑の連勝ストップからヴィデオ審判が導入された。大鵬は負けていない。あれは明らかな誤審だった。あの誤審で記録が途絶えなければ大鵬は双葉山の連勝記録を更新したろう。まして千代の富士なんてのに連勝記録を抜かれることはなかった。ヴィデオ導入は劃期的でありよいことだ。
 だが同時に、明らかにこちら側の相撲であり、突き飛ばした相手は宙を飛んでいるのに、空間に浮かんでいるあいだにこちらの足が先に出たからあっちの勝ちとなるヴィデオ優先の判定には疑問がある。本来相撲の勝負とはそんなものではあるまい。一方的に突き飛ばしたのだからこちらの勝ちだ。空中に浮いているのと足が出るのとの0.01秒の差なんてどうでもいい。あちらは死に体なのだ。

 ここでまた白鵬のあの一番を思い出す。決め技として吊りをやってみたい白鵬は豪快に吊り出した。圧巻だった。だが相手を運んでいるうちに自分の足が出てしまったらたいへんだと、白鵬は早めに相手を下ろした。勝ったと思った。だが相手を下ろした場所で、相手はまだ土俵内だった。くるりと体を入れ替えて白鵬を押し出す。白鵬の負けだ(笑)。
 これは相手を空中に吊り上げ、吊り出した場合、相手の体が中にあり、自分の足が出ても「送り足」とい呼ばれて負けにならない。それを知らない白鵬が早めに下ろしてしまったのである。というのがなんと幕内でのことなのだから、いかに早い出世であったことか。土俵のないモンゴル相撲との差でもある。

把瑠都、悔しい負けに涙目/夏場所

<大相撲夏場所>◇4日目◇10日◇東京・両国国技館

 新入幕把瑠都(21)がきわどい負けに、悔しさを爆発させた。右四つから北桜をうっちゃったかに見えたが、右かかとが俵を踏み越しており、物言いもつかず。顔をゆがませて土俵を下りた。2日目に幕下時代からの連勝が21で止まっても笑顔さえ浮かべていたが、この日は涙目で「最後は勝ってた。両方の足残ってる。物言い欲しかった」と訴えるように言った。怪力だけではなく、粘り腰も披露したが白星を逃してがっくり肩を落とした。(ニッカンスポーツ)


 ニッカンスポーツのこの書きかたと見出しはよくない。まるで疑惑の判定のようだ。これじゃ把瑠都が理不尽な判定に負けたかのようである。もっとしっかり書け。こんなものを読んだらエストニアは反日になる。さすが国賊アサヒシンブン系スポーツ紙だ。こんなところでも反日に熱心である。



後日註・11日、2ちゃんねるの相撲スレでこの写真を知る。画像の粗さから、どうやらテレビ画面から撮ったようだ。投稿の理由は、把瑠都讚歌スレでの負けを認めない連中への指摘のためらしい。アンチ把瑠都からの一枚である。
 フレーム再生してこの瞬間を選んだのだろう。熱心だなあ(笑)。若者にここまでの相撲好きがいるのが心強い。好きになれば15日間連続でK-1GPやPrideGPがCMなしの無料で毎日2時間見られるようなものなのだから、これほど楽しいものはない。

 この態勢から把瑠都のかかとが先に土につき間近にいた審判が右手を挙げる。ただ私の記憶では、手を挙げたのは、かかとを目の前にしている審判ではなく、あちらのハゲ頭の審判だった。また屈むようにして足下を凝視している行司の姿勢も見事だ。

 ヴィデオヴィデオと騒ぐのは好きではない。しかしこれはあって良かったと思う一番だった。
 なにより重要なのは、北桜の態勢だったということである。


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○白鵬対稀勢の里
 21歳の史上4番目の若さで大関になった白鵬と、それを超える唯一の可能性を持つ19歳の稀勢の里の関取の対決。
 ここのところ稀勢の里は闘志あふれる相撲を見せている。琴欧州を破った一番は見事だった。ライヴァルと互いに認め合っていた同期の琴欧州が大関になり、次いで常に先を走っていた白鵬は期待通りに大関になり、さらには後輩の把瑠都までが伸びてきたから、日本人力士への期待を全身に浴びているのだから、燃えもするだろう。
 今日も見事な立ち会いで土俵際まで一気に白鵬を追い込んだ。俵に足が掛かると、そこで白鵬は踏みとどまり、ねじつぶすような左からの下手投げ。しかし稀勢の里はそれでも下手を離さず、ふたりは土俵下に転げ落ちた。

 ここまで闘志を表に出す若者は珍しい。稀勢の里の金剛力士像みたいな怒りの表情(怒ったときの大魔神にも似ている)は、白鵬がほんわか顔だし、琴欧州は哀愁の美男だし、把瑠都は陽気なアンチャンだから貴重だ。いま稀勢の里のような激しく険しい顔をする力士は朝青龍だけだ。稀勢の里の険しさは女性ファンを引きつけることはなく敵役になってしまうかもしれないが、全身から発する闘志は好ましい。

 取組前、アナと間垣が、「これから十年も、いやそれ以上も続く取組ですね」と言っていた。その通りだろう。
 ただ私には早くから白鵬は大横綱だが稀勢の里は大関止まりと思えてならなかった。もっと言うと「よくて大関」か。いい意味で裏切られて欲しい。

○千代大海対安馬●
 安馬が真っ正面から突っ張り会いに挑む。軽い体で五分にやりあうものだから場内は沸いた。しかし次第に体力差で千代大海が優勢になり、最後は力の差で突き出された。
 うまくちょろまかしてやればこんなの簡単に勝てるのに、真っ正面から行くんだもの、たまらないな安馬の魅力は。
 これで4連敗。全部横綱大関だ。後半の平幕戦で星を取りもどし、果たして勝ち越せるかどうか。星なんかどうでもいい。まっすぐ行け安馬!


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●間の悪い一日
 外出からもどったのが4時を過ぎており、肴を作ったりして晩酌の用意をしているうちに把瑠都の一番になってしまった。これだけは見逃せないので呼び出しがかかった時点でテレビ桟敷に座る。取組だけを見ればいいものではない。仕切りこそが、盛り上がって行くその間こそが楽しいのだ。

 つまみもないのにビールを開けることはまずないのだが、重要な一番だからと特別にグラスに注ぎ、立ち会いまでの3分を楽しんだ。それでいてこの充実の一番だったから、文句なし。
 どれほど充実の一番だったかと言うと、まずこの一戦はヴィデオで5回は流れた。さらにはアナが「今日は北桜対把瑠都の一番を始め充実した取組が続いています」のような形で、「北桜と把瑠都」が、取組のあった4時半過ぎから結びの6時までに10回は言われたろう。

 変化技のない力の入った一戦が連続したことも場内を盛り上げた。
 雅山は押して押して押しまくり、息切れしての引き技を出さなかったし、その代表である千代大海も、相手が小兵の安馬だったこともあり、全盛期を思い出させるような見事な突っ張りに徹した。
 めったにない全取組が充実した一日だったといえよう。

 私個人としては、こんな日こそ2時ぐらいからスタンバっていたかったのたが、よりによって遅くなってしまった。つまみを用意して構えたのは5時近くだったから6時までが早く物足りない思いだった。
 明日はもっと早めに動こう。
5/11
五日目


●白鵬、敗れる!

 白鵬雅山の全勝対決。白鵬が左上手をとって楽勝と思ったが、まわしが離れてしまい、逆転の突き落としとなった。物言いがついたが無理とわかっていた。雅山の足が残っているうちに横転している。
 朝青龍が休場し、当面のライヴァルである琴欧州栃東も絶不調なので、いきなり全勝優勝もあるかと思っていたので、序盤での1敗は意外だが、気を引き締めるのにちょうどいいだろう。
 なによりいろいろと問題の多い雅山が先場所あたりから見違えるようないい相撲を取るようになり、今場所もこの相撲も姑息なことをしていないいい相撲だから、負けて悔いなしだ。結果的に、詰めが甘いゆえの逆転負けなのでこれで油断しなくなるはずである。なにしろ白鵬の場合、力負けする相手はもういないのだから、敵は油断と慢心だけだ。

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 取組前の幕内対戦成績で9対2となっていた。もちろん白鵬側からである。もうそんなになるのか。初めての時から見ている。まあ白鵬ウォッチャーだから当然。
 最初から落ち目の雅山と昇って行く白鵬であり、3度目、4度目と完敗が続いたときは雅山は永遠に勝てないのではないかと思った。ところがそれから勝つようになる。今日勝ったのでこれで9対3とした。

 雅山の死は最愛の父を亡くしてからの変身である。それまで一番重い体重(当時)で、立ち会い変化はするわ、引き技はするわで、勝ちゃあいいんだろうというひどい相撲を取っていた。

 雅山は茨城交通、私たちはイバコーと呼んでいたが、その一族出身である。茨城県では大きな交通会社だ。水戸市内を走っているバスではいちばん目立つ。
 おぼっちゃまである。本家筋ではないらしい(父の母系が妾筋との地元の噂)が、子供の時から大きな屋敷に土俵を作ってもらい、豊富な専用器具を使い、父と一緒に鍛錬してきた、相撲界では有数の恵まれた環境に育った青年になる。
 お金に苦労したこともないし、大学からプロになっても出世が早かった。幕下つけ出しでデビュウし、幕下連続優勝、十両も連続優勝である。これって記録だろう。まっすぐそのまま大関になってしまった。そのころ、だいぶ下のものをいじめたのではないか。私がこの人を嫌いなのは、そういうことでは有名だった北尾と同じ暗さを顔に見るからである。そりゃまあまともな人が見れば、彼は性格が悪いとわかるはずだ(笑)。この場合、地元の噂を引き合いに出す気はないが。(いまウイキペディアWikipediaを見たら「普段は明るく朗らかな性格」と書いてあった。そうですか。)

 勢いで大関になったが8場所で陥落。あとは上がったり下がったりしている。

 そのいわば親子鷹として相撲道に励んできたお父さんを五十代という若さで亡くしてから、相撲が変ってきた。私はこの人や千代大海の、突っ張って押しておきながら、相手の足が土俵にかかり押し切れないと確認したとたん引くという技?が嫌いで嫌いでたまらない。だけどみなおもしろいようにこれに引っかかり、千代大海や雅山はこれで星を稼いできた。そういえばこれの最強の遣い手、というか全取組がこればっかりだった"もみあげ"闘牙が今場所前に引退を表明した。
 この引き技は露鵬もよくやる。体力のある露鵬がこれをやるとどうにも卑怯に見えてしょうがない。どうやらレスリング出身の癖であるらしい。よくないねえ、引き技は。これは解説席の親方でも褒める人は誰もいない。みな「これを直さないと」と口を酸っぱくして言う。

 今までなら必ず押し疲れて引いた場面でも、決して引かず押しまくる最近の雅山を見ていると、すなおに応援したくなってくる。
 ここでの白鵬の1敗は痛いが、なんてことはない。気を引き締めて行け。今場所は必ず優勝だ。

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○今日の名勝負
豊真将白露山
 熱戦だった。四つになり、体を入れ替え、投げがあり、こらえ、と相撲のエキスが一杯詰まっていた好試合。
 私は今まで白露山のこんなに魅力を出し切った相撲を見たことがない。ロシア出身の髪が薄いことが話題になるQPみたいな顔の力士(悪顔露鵬の弟)である。今場所は4戦全勝と好調だった。
 解説で師匠の二十山親方北天祐)が入院しているので、その分もがんばらねば、のようなことを言っていたが、北天祐どこがわるいのだろう。内蔵か。骨折とかそんな感じの話ではなかった。
 今日の解説は出羽海(鷲羽山)。

 白露山ががんばったからいい相撲になったのだが、それを引き出したのは豊真将である。この人、「名勝負製造器」かもしれない。

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 昨日把瑠都相手にあんなにいい相撲を取った北桜は、きょうは北勝力に一気にもって行かれて敗れる。これは解説やアナも「昨日はあんなにいい相撲を取ったのに」と言っていた(笑)。
 把瑠都は片山相手に勝つ。外国人力士はみな四股がうまくない。片山は貴乃花以来のきれいな四股を踏む。それだけで場内を沸かす。

 今場所は朝赤龍がいい相撲を取っている。4勝目。横綱の文までがんばらないと。

 稀勢の里旭鷲山に勝つ。初めて。いつも旭鷲山の姑息な相撲(笑)にごまかされてきた。突き落として勝ったが、手首をつかんでいた旭鷲山の手を、汚いものでも振り払うように払っていた。勝負が決まってからである。つまり今まで、そういう手首をつかむようないやらしい技でさんざん煮え湯を飲まされてきたのだ。今場所はそれにごまかされず、まっすぐに付いていって勝った。これはひとつの旭鷲山越えであろう。
 しかし普通なら、土俵外に出た相手に手をさしのべる場面で、まだ手首をつかんでいた旭鷲山が悪いとはいえ、顔をしかめて振り払った場面は目立っていた(笑)。稀勢の里はベビーフェースにはなれないな。

 安馬栃東を破って初日を出す。ここまですべて横綱大関戦、明日は関脇琴光喜。いやはやほんとにこの小結という地位はつらいところだ。
 これもいい相撲だった。小兵同士らしく、めまぐるしく変化し、安馬なんて俵の上を走っていた。おまえはネズミか(笑)。
 初三役で初白星なのでインタヴュウ。いろんな人から心配の電話をもらったけどやっと勝てましたと笑顔。このあとを7勝3敗で行けば勝ち越せる。残る横綱大関は白鵬だけ。自分より上位は琴光喜と雅山だけだ。下位だから勝てるとも限らないが、果たして何勝できるか。

 栃東の夢は潰えた。当然。

 今日は横綱審議委員会が来ていたとかで、たびたびウチダテマキコの気持ち悪い顔が映るので気分が悪くなった。

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高見盛ガックリ…失速は「贔屓の引き倒し」

「人気者=懸賞」が災い

懸賞禍に見舞われている高見盛。人気者はつらい…
懸賞禍に見舞われている高見盛。人気者はつらい…

 まさに「贔屓(ひいき)の引き倒し」だ。平幕の人気者、高見盛の表情がトンとさえない。去年の秋場所から負け越しが続き、番付がジリジリと下がり続けているのだ。今場所は大負けすれば4年ぶりの十両転落もある東前頭12枚目。どうして高見盛は失速してしまったのか。最大の原因は懸賞にありそうだ。

 大相撲人気の復活を裏つけるように、今年に入って幕内の取組にかかる懸賞数は増える一方。この日も協会事務所は大きな歓声に包まれた。なんと世界のマイクロソフト社から、「10日目から5日間、琴欧州、栃東、白鵬の3大関に懸賞をかけたい」と、初めて申し込みがあったのだ。

 平幕でこの懸賞(1本税込み5万5000円)が最も多くかかるのが高見盛戦。この日も魁皇、栃東戦に次いで3位タイの6本もかかった。勝った方が総取りのシステムだけに、相手は当然、目の色を変えてくる。

 「ある力士がね、これまで取った最高が2本だったのに、高見盛に勝ったら10本取れた。こりゃ、横綱に勝つよりも高見盛に勝つ方がラクでいいや、と話すのを聞いた。懸賞がつくのはありがたいけど、毎日、全力でぶつかってくるのを退けるのは大変だよ」と、師匠の東関親方(元関脇高見山)は、“懸賞逆効果症”に苦しむまな弟子に複雑な顔をした。

 この日も、高見盛は十文字の張り手を交えた猛攻に惜敗。2つ目の黒星を喫して、「もうむちゃくちゃやれる状態じゃないので、少し相撲を考えないといけないな」とすっかり落ち込んでいた。果たして高見盛は、このとんだ懸賞禍を乗り越えることができるだろうか。ZAKZAK 2006/05/11

 なるほどね、こんな切り口もありますか。賞金は協会が将来のための積立金を半分抜いて、あとは現金でその日にもらえる。芸能用語で言うトッパライだ。付き人を連れて飲みに行ったりするのには魅力的であろう。高見盛の取組と永谷園の懸賞幕はすっかり大相撲の恒例となった。

世界のマイクロソフト社から、「10日目から5日間、琴欧州、栃東、白鵬の3大関に懸賞をかけたい」と、初めて申し込みがあったのだ》も興味深い。
 これを見つけた2ちゃんねるの「ニュース速報+」では、このあとすぐに「10日目から5日間ということは千秋楽は懸けないのか」と鋭いツッコミがあり笑った。「10日目から6日間」か「11日目から5日間」のどっちかだ。でも見過ごしがち。鋭いな。


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普天王の父からネーブル7000人に 両国国技館
来場者にネーブルを渡す隆信さん(中央)と妻で普天王の母、恵子さん(右)

 ◇大相撲夏場所4日目の10日、東京・両国国技館でネーブルが7000人に配られた。米国で農園を経営する幕内力士・普天王の父、内田隆信さん(57)からのプレゼント。11日も行う。

 ◇「甘みたっぷり」という内田さんの自信作が、国技館入り口で1人3個ずつ。昨年初場所で高見盛の実家がリンゴを配って以来の贈り物にファンは大喜び。

 ◇普天王はこの日「情けない相撲は取れない」と熱戦の末に勝利。父の「バックアップ」に応え、ファン以上の笑みを浮かべていた。毎日新聞 2006年5月10日

 このニュースそのものはだいぶ前から知っていた。どこでだろう。相撲雑誌でか。
 でもそれがこの日だとは知らなかったので、映像が流れたとき、「ああ、あれか」とすぐに思い至った。
 たいへんな量である。普天王のお父さんも粋なことをする。素直に許可した相撲協会も、その様子を自然に放映したNHKも好ましい。

 普天王のブログは話題になったころ何度か行った。初日に朝青龍を破り、一日のアクセスが2万5千を超えたとか言われたころだ。今ではすっかり行かなくなった。五月人形みたいな雰囲気を感じさせる普天王だが、ブログは当然今時の若者。絵文字を多用したりしていてなじめない(笑)。

 清純派タレントが私生活でどんなに乱れていようとかまわない。スクリーンの中で清純でさえあれば。
 というのが基本である私は、その人の実像を知りたいという気持ちが薄い。
 普天王は私の中で武者人形のような面立ちの古風な力士だ。彼が現代っ子である部分の本音を知りたいとは思わないから今後もブログに近づくことはないだろう。
5/12
六日目

○把瑠都、吊る!


 白露山と対戦した把瑠都が吊りを見せた。
 序盤優勢に突き押したらもうアナが把瑠都が勝ったかのような実況。
 こういうのって問題だと思う。いや私は把瑠都の大ファンなので文句はないが、そうじゃない人から見たら、「公正に実況しろよ!」と言いたくなるだろう。アナが把瑠都の大物ぶりにわくわくしているのが見え見えなのだ。私はいいけどね、楽しくて(笑)。

 あっけなく決まるかと思えたが、白露山が踏ん張る。ほんとに今場所は元気だな。見直した。
 そこから把瑠都が吊った。いまニッカンスポーツを見たら決まり手は「吊り出し」ではなく「寄り切り」になっている。なんでだろう。まあ「空中に足が」とかなんとか決まりがあるんだろうけどね。
 ここでもアナは安全策をとったとか、把瑠都びいきが見え見えの言いかたをしていた。

 時間は22秒。これは琴光喜にしがみついてがんばった安馬の52秒についで、今日の幕内では二番目に長い。しかし長くてこの時間。
 琴欧州が相撲は世界的なスポーツになれるといい、その理由として、「短時間で勝負が決まっておもしろい」と朗らかに語っていた。ほんとに琴欧州の笑顔はいいな。
 そういえば私が年を取るほどに相撲が好きになってきたのは、3分の仕切りと数秒での決着という早さにあるのだろう。年を取るほどに人は短気になる。短気だから投げやりになる。それが達観して鷹揚に見えたりする(笑)。年を取って知った真実。

 むかしは60分フルタイム引き分けのプロレスを名勝負と思ったが、今では『PRIDE』の1ラウンド10分を息を詰めていることすら苦しい。
 競馬も3200の天皇賞が大好きだったが今ではかったるい。マイル戦がいい。よく勝負する馬券の中心はダート1200が主。
 だいぶ前の話だが宝島のムック本かなんかで、フリーの女ライターが、短いレースは前技のないセックスのようでつまらん、のようなエッセイを書いていた。その感覚はわかる。初心者で若いからだ。年を取ってくると長いレースなどチンタラチンタラしていて見ていられない。「どうせ外れるんだろ、当たりゃしないんだ、さっさと結果を出してくれ」が今の気分。やけくそか。とにかくまあ長いものを好まなくなった。
 相撲はいいなあ。なんといっても仕切りがいい。そして勝負は一瞬。息を詰めた大男同士の闘い。今日も2秒、3秒の決着が目白押し。

 すぐに引き上げる白露山の談話が入り、つかまってもちあげられたときは「この世のものとは思えない」じゃなかったなんだっけ、白露山はそんな言いかたはまだ出来ない、「人間とは思えない」とか、とにかく把瑠都の怪力がバケモノじみていることが報告されていた。だろうなあ、あのナチュラルパワーはすさまじい。まさに怪童である。

 今日の解説は伊勢ノ海(藤ノ川)。この人も把瑠都を絶賛していた。というかもう誰もが横綱間違いなしぐらいの評価をしている。そりゃそうだよな、十両全勝優勝は栃光、豊山、北の富士だけ。みんな大物だから。

 北の富士も美男力士として話題になったけど、私はこの十両全勝優勝に関しては、豊山のほうが印象的だ。東京農大出身の初の学士力士として大きな話題になった。古風な美男でもあった。今じゃそこいら中、学生相撲出身ばかりだけれど。
 学士力士の教養ってのはどの程度なのだろう。長島や輪島は名前を書くだけで立教や日大を出たが、それよりはいくらかましなのか。大卒というだけで社会的話題になった豊山の時代がなつかしい。

 豊山に対して佐田の山は、「大学を出てきたやつに負けたくない」とライヴァル心をむき出しにした。
 私の母と姉は高学歴で美男の豊山を応援した。佐田の山の顔も晋松という名前さえも貧乏くさいと嫌っていた。父は、自分が当時の田舎では珍しい師範学校卒という高学歴の教員であり、三十代で校長になっていたのに、「大卒なんぞに負けるな」と佐田の山を応援した。その後も一貫して学生相撲出身力士より、中学を出て角界に飛び込んだ力士を応援していた。私は父のその感覚に影響された。アンチ母姉だった。これは私の原点になる。父が学士力士を応援するような人だったら、私も今頃家柄だの学歴だのにこだわるゴミになっていた。ありがとう、天国のお父ちゃん。

 今日のNHKは花道の奥の様子を伝えていた。これは勉強になった。それぞれのやりかたで気合いを入れる様子がじつに興味深かった。北桜、旭鷲山、高見盛、栃東……。

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 白鵬盤石。千代大海が全勝で前にいる。レース展開としてはちょうどいい。やがてつかまえて、抜き去るだろう。解説陣もみなそんなことを言っている(笑)。誰も千代大海有利なんて言わない(笑)。

「優勝ラインが12勝3敗まで下がったら」なんて話していたが、それはやめてもらいたい。白鵬がこのまま14勝1敗が理想だが、悪くても2敗までだ。3敗の優勝はかっこわるい。
 把瑠都も琴欧州も2敗のまま勝ち進んで欲しい。魁皇も復調してきた。
 意外なのは朝青龍、琴欧州を破って完全復調なったと思われた若の里だ。負けが込んでいる。ここで負け越して下がってはならない。

 安馬はがんばったが琴光喜に敗れて1勝5敗。勝ち越しは苦しくなったか。

 今日の特集は弓取りの皇牙。十両にあがっても弓取りをやりたいと自分から志願したとか。関取になっても弓取りをやるのは「××以来」と言っていた。覚えのない名前だった。誰だろう。こういうのも調べればわかるのだろうが、そこまでマニアックになるつもりもない。知らない力士だった、で充分である。すくなくとも大物ではない。(花籠部屋の板倉以来31年ぶりとか。板倉さんは知りません。)

 むかしから「しょっきりと弓取りをやる力士は出世しない」と言われていた。皇牙は13年目で関取になった。多くの後輩達に追い抜かれていったことになる。相撲界はキツいよなあ、こんなキツいスポーツ、他にない。番付次第で、昨日までのパシリに、自分がパシリにされる。こんな下尅上の世界はどんなスポーツにもあるまい。その代わり、力さえあればなんとでもなると言えるが。

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 私にとって今日の最大のニュースは掲示板。
 深夜、というか13日の明け方に掲示板を見たら、宮嶋さんとおっしゃる好角家のかたが意見を書き込んでくれていた。本物の通である。いやはや野に賢人ありだ。感激した。ホームページをやっていればたまにいいこともある。ありがたいことだ。
 指摘して頂いたまちがいは明日訂正するとして、不思議なのは、どうして宮嶋さんがここを知ったのかということ。なにしろここはどこにも宣伝しない隠れサイトだから(笑)。まあ流れはどうでもいいや、相撲博士と知己を得たのはまちがいない。いろいろと教えて頂こう。
 
5/13
七日目



○ほんとに覚え書き


 把瑠都勝つ。十文字をはたき込み。こんな形からはたき込まれたのは初めてと十文字。みんなが驚嘆している。毎日が驚嘆話(笑)。でもこのはたき込みは感心しない。ただふつうの逃げのはたき込みと違って、「はたき潰し」とでも言うべきもの(笑)。なにやってもすごいわ。
 一昨日から把瑠都の母親来日。千秋楽まで居るとか。母親の話をすると照れくさそうな顔をするらしい。可愛いね(笑)。
(のちにお母さんはまだ44歳。それに把瑠都が母子家庭の育ちと知る。親孝行しろよ。)

 北桜豊真将はいい相撲。豊真将の勝ち。宙を飛んで負けた北桜の果敢な闘志が讃えられていたが、豊真将ってほんとに「名勝負製造器」なんじゃないか。
 豊真将のお辞儀が美しい。胸が熱くなる。いいなあ、美しいお辞儀は。

 そのあとの嘉風栃乃花も好一番だった。今場所は悪い相撲がない。当然満員御礼。ファンは正直だ。私もひさしぶりに行きたいものね。

 NHKの感覚とは肌が合わないのだが、近年の大相撲の制作姿勢に関してはケチのつけようがない。
 テレ朝の大相撲ダイジェストなんかより、今のNHKの深夜に何度もやってくれるダイジェストのほうが遙かにすばらしいし、なにより輪湖時代のフジもTBSもつまらなかった。相撲中継はNHKだ。

 アナも相撲好きが伝わってきて好ましい。好きであることがすべての基本だ。
 テレ朝でプロレスを担当し、それで名をあげて今ビッグになった古舘一郎は、「初めてのプロレス大好きプロレスアナ」だった。それまでのアナは、徳光に代表されるように、「野球が好きなのに、なんでプロレスなんかに……」である。
 現在のNHK相撲担当アナのここにいたる経緯は知らない。経緯はどうでもいい。接していると相撲好きが伝わってきて気持ちがいい。

 高見盛白露山
 昨日zakzakからの引用で「懸賞金が多いのでみんなが本気になってくる」らしいと知ったが、たしかにねえ、きょうも7本は懸かっていたか、前後の1本もないのと比すと異様である。ザっと計算して20万円ぐらいは現金として入るのだから、そりゃやっぱり燃えるかな。負けた高見盛の悲しげな顔がなんとも言えない。。
 高見盛は早くかわいい奥さんをもらえば、より真面目に精進すると思うのだが、周囲はなにをしているのか。生まれてから今まで恋人なしって、そんなことを売りにしていては気の毒だ。力士フェチの女は多いからいくらでも美人を選べるのだが、なんだろう、東関部屋継承の話でもあるのか? もうすぐ三十なんだから嫁を世話してやれ。

 そういや笹川良一が世話をした元秘書の有能な奥さんとは離婚したのか高見山。愛想尽かして家を出て行ったあたりまでは知っているが。どうにも相撲界のこういう話は切なくなるので知りたくない。
 大鵬夫人が弟子に手を出してどうのこうのと週刊誌で騒がれた。まあ前々から有名な話ではあった。脳梗塞で不能になった大鵬を尻目のスキャンダルである。なんとも悲しかった。あの奥さんは秋田の旅館の娘時代からあれこれ噂のあった人だったが。
 次女と貴闘力が結婚し、一代年寄りの大鵬部屋は大嶽部屋になった。
 最近じゃ夫唱婦随的に、いい夫婦として語られたりする大鵬夫婦だが、それはないよな。

 旭鷲山5勝2敗。
 舞の海の解説。旭鷲山は立ち会いのぶつかりをさけているので体の消耗がない。長続きする。なるほどね(笑)。長持ちと言えば、腰が悪くて粘ることが出来なかった高見山は、それでころころ負け、だからこそ長続きしたと言われた。人間なにが幸いするかわかったものではない。旭鷲山は計算つくか?
 だって上がったり下がったりするだけでこれだけの給料を貰える仕事はない。ましてモンゴルの大統領が月給30万円なのだから(これは旭鷲山がモンゴル人として世界一月給の高い男と話題になったときの話なのでだいぶ古いが)、一日も長くとどまりたいと思うだろう。そしてまた相撲界は、月給なんてのは収入の一部でしかない世界だ。

 他所に書いたが、北の湖時代、12チャンネルのニュース班が北の湖の稽古姿を取材した。ほんの数分。取材費はいかほど? と横綱に問う。テレビクルーとしては局のノベルティグッズでもあげれば十分と思い、形式的に聞いたのだろう。

 何年か前、関西のテレビ局からサラブレッド・インフォメーション(毎週競馬競走の予告として全国の新聞に載る広告)のコピーライターとして、テレビに出て欲しいと言われた。仁鶴の司会の番組だった。私の家まで取材に来るというので、いやいや久しぶりに関西競馬もしたいし、私が関西まで行きましょうと言った。中央競馬会の関西本部で取材は行われた。テレビに流れた映像は10分ほどだった。ギャラは、そのテレビ局のテレカ2枚。新幹線代もなし。テレビ局はこういうことをする。7,8年前の話。もっともこういう場合、車代は出るんだろうな、と確認してから行くのが基本。私も仕事がありすぎるほどだったのでいいかげんだった。

 この時北の湖は「うん? あ、50万ももらったら」と言ったそうだ。彼なりに気遣い、テレビ局に負担を掛けない金額を言ったつもりである。30年ぐらい前の話か。貧乏局の東京12チャンネル(現テレビ東京)のスタッフが、目を点にしたのは言うまでもない(笑)。知り合いのディレクターが後々まで何度も語っていた。
 これが相撲界の金銭感覚である。今の時代、語源通りのタニマチもそうはいないだろうが、祝勝会に参加するときの祝い金は半端ではない。

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 琴光喜若の里が真っ正面からぶつかる。その音に場内がどよめいた。すごい音だった。これぞ大相撲である。
 相撲部屋を見学に行ったスタン・ハンセンたちがびびったという、このぶつかりのすごさが相撲の基本だ。気分のいい一戦。琴光喜勝ち。

 栃東休場。時天空不戦勝。

 白鵬、よくない相撲。引き技。がっかりした。
 解説は、本人はあぶないとは思わなかったろうし、餘裕の勝利だというのだが、私はこの勝ちかたには納得しない。珍しい突っ張りだったので、そのまま押し出して欲しかった。たしかに腰が安定しているから、あれはあれで心配のない勝ちかたなのかも知れないが、満足できない。

 琴欧州に化粧まわしを送ったEUの偉い人が来場したとか。その化粧まわしを着けた琴欧州とのツーショット。
 あちらからきてたいへんだったよな。それを拒む人の気がしれん。頑張れ琴欧州。
 琴欧州が垣添に負けた。これはショック。白鵬との優勝争いに一番絡んで欲しかった人だ。
 でも舞の海がビデオを見ながら褒めていたが、垣添もいい相撲なのだ。しかしこの時点で4勝3敗はショックだ。

 魁皇が調子を上げてきた。楽しみ。

 千代大海稀勢の里に勝つ。しかし押し切れず、稀勢の里は堂々と突っ張りを受けて立つ。とうとう千代大海、奥の手の引きを出す。負けはしたが稀勢の里の相撲。恥じることはない。超えるのはすぐ。
 千代大海、7連勝だがあとがなくなってきた(笑)。もうすぐ崩れる。

 千代大海を追う白鵬という展開か。しみじみ残念だ、琴欧州。

「明日の中入り」(という名の特集ね)は「素顔の把瑠都」だって。ぜったい見ないと。

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 今日は、あとで思い出しつつ書くのがきつくなってきたので、ヴィデオを見ながらノートパソコンに書いた。それを修正して文にする。ほんとに「覚え書き」である。しばらくはこのスタイルにしよう。

5/14
中日


○『ファイタ』ーの想い出

 今日は日曜なので競馬場へ。新設の古牝馬GⅠヴィクトリアマイルの日。GⅠのない日に売り上げを増やそうとしたわざとらしいGⅠでもある。
 相撲は録画しておく。
 裏番組の『笑点──円楽引退記念90分特番』も録画。さらに7時からは「K1オランダ大会」も録画。夜、帰宅して見る予定。

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 4時の中入りでいきなり把瑠都特番開始。BGMはT-Rexの「Get it on」。NHKにしてはなかなかのセンス。いやBSを見ていると、NHKはこのへんの古いロックに強いのか(笑)。Classic Rockというらしい。ロックももうクラシックがある時代か。

 中学までやっていたというバスケットをやって遊ぶ映像。大男なのに軽やかな動き。運動神経抜群なのがよくわかる。

 向正面解説に竹葉山(ちくばやま)の熊ケ谷(くまがたに)親方。
 把瑠都はかつて宮城野部屋にも稽古に来ていて、まわしをとると白鵬とも五分だったとか。稽古とはいえ対戦していたのだ。白鵬もライヴァルとして強く意識していることだろう。本場所での対戦が楽しみである。成績次第では今場所実現するか。

 かつて友人から紹介され、「大相撲ファイター」という相撲トトカルチョをやっていた。
 関脇以下の力士から10人、横綱大関からひとりを選び、毎日の勝ち負けで合計得点を競うものである。限られた力士を選ぶのだから似たようなものになる。決め手は上位にランクする力士が下位力士であるほどポイントが高くなることだ。つまり1位の10点枠に記入する力士が関脇と幕下下位力士では、おなじそれが10勝5敗の成績を上げても、順位は激しく違う。日本全国をブロックに分けてやっているらしく(私はもちろん関東ブロック)、どこでも1万人前後の参加者なのだが、同じ力士を選んでも、その順位設定のわずかな違いで成績順位は一気に何千番も異なってくる。

 参加費は1場所3千円。上位やゾロ目、ブービー等に海外旅行や商品が当たる。父と一緒に楽しむのだ主だから父の死とともに(正確には父の具合が悪くなり相撲を楽しめなくなったころ)やめてしまった。今後もすることはない。あくまでも父と一緒に楽しむのが目的だった。
 こたつに陣取り、私の文も含めてふたり分を記入し、点数計算をしていた父を思うと胸が熱くなる。なぜか点数計算が、父の計算だと私も父も39点なのだが、私がやり直してみると、私は41点、父は37点だったりして、母に自分の点数を高く、息子のを低く計算するとからかわれて苦笑していた父を思い出す。

 白鵬が入幕する前にやめてしまったが、やっていたなら新入幕のときから毎場所1位指名していただろう。
 そのころ毎場所私が1位指名していたのは若の里だった。横綱大関欄には大関のころから毎場所朝青龍だった。
 この遊びをやって知ったのは「自分にも力士の好き嫌いがある」ということだった。それまでそんなことを考えたことがなかったので意外だった。自分は力士は全員大好きだと思っていた。北の湖から朝青龍まで、顔つきが憎たらしいとかいって嫌われる力士もみな実力で評価していたし。プロレスもそうだったが、私にとっての敵は「アンチ相撲」の人たちであり、力士は全員好きだと思っていた。
 ところが誘ってくれた友人達はみな、嫌いな力士でも優勝(高得点)のためには迷わず選ぶのに対し、私はそれが出来ない。馬券ではそれが出来るからやはり馬と人は違うようだ。もっとも賭ける金額が違う。競馬も3千円程度の遊びなら嫌いなだけで断然人気馬を消せるか。

 玉乃島は二桁勝ちすることも多かったが何年ものあいだ一度も選ばなかった。嫌いらしい(笑)。魁皇が今場所優勝すれば横綱に、という場所でも朝青龍を選んでいたから、魁皇は好きなのだけど、朝青龍のほうがもっと好きだと確認した。この遊びで知ったのはそのことがいちばん大きい。

 二ヶ月に一度の十五日間を、父と一緒に楽しむのが目的だったから、父がいなくなったこれからすることはもうない。それと同時に、私の指名方法では得点が伸びないとわかったからでもある。
「初めて参加しました。相撲のことぜんぜんわからないんですけど優勝しちゃいましたあ」なんて若夫婦がヨーロッパ七拍八日の旅をゲットしていた。決して悔し紛れではなく、この遊び、相撲に詳しく力士にこだわりをもっていたら勝てないのである。無欲の初心者がいい。

 何年やったろう。2回ほどゾロ目賞(12000人の内7777番とか)で三泊四日の海外旅行に当たっている。今も悔しいのは1回目のとき、時間的に行けなかったので期限切れで権利を放棄してしまったことだ。カタログから選ぶ商品10万円分と交換できると知ったのは2回目に当たったときだった。このとき交換した全自動洗濯機が今も活躍しているのでよけいにもったいないと思ったりする。
 このごろになってそんなセコいことを考えて困る(笑)。たとえば30万円の原稿料を提示されたのに対し、「いや、これは俺の気持ちですので、原稿料はなしで書かせてください」なんて粋がりを何度もやってきた。今になって素直にもらっておくべきだったかと思ったりする(笑)。書いてて恥ずかしい。もらったとしても一日の馬券代で消えたろうから、やはりもらわなくてよかったか。

 金銭的にはそれはもう大損だったけれど、父と一緒に楽しんだ時間を思うと胸が熱くなる。
 もしも今場所やっていたなら、1位の欄には把瑠都を、大関横綱の欄には白鵬を記入していた。

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 把瑠都が嘉風をすさまじい勢いで突き飛ばして勝つ。小兵で技能派の嘉風には今まで3敗している。過去の負けた映像を見て、解説の北の富士が「まだ相撲を知らない時代だからねえ」と語っていた。今日の相撲を見る限り、もう嘉風に負けることはないのではと思えた。嘉風も、かつては翻弄していた異国の若者に、自分が追い抜かれたことを自覚したろう。

 高見盛がいい相撲。場内を大いに沸かせて栃乃花に勝つ。番付的に今場所は勝ち越さないとまずい。昨秋五十肩をやって左肩が動かないとき、高見盛と一緒に気合いを入れられないのが辛かった(笑)。まだ完治はしていないがとりあえず高見盛の真似は出来る。

 普天王春日王を破って勝つ。
 前述の「ファイター」で、まだ大銀杏が結えない新入幕の普天王を父が上位に指名したら、大負けしたことを思い出す。一度十両に落ちて、もどってきたら本物になっていた。あのときの父は先物買い過ぎたが目は確かだった。
 相撲のことを書くと父のことを思い出してつらい。もうすこし経つとそれが楽しみになるのだろうが、今はまだ思い出すことが痛い。

 露鵬出島相手に大きな体で変化。出島がそれに落ちず、逆に土俵際ではたき込まれる。だらしない相撲だ。嫌いな力士なのでざまーみろと思う自分がいる。いかんいかん、品がないぞ。
 問題は相撲内容だ。あの恵まれた体に見合った相撲を取るなら心から応援する。

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 向正面が熊ケ谷親方でもあり、今日は白鵬の話が満載。
 というところで気づいたが、ここには竹葉山じゃなくて宮城野親方である金親が来てもおかしくないわけだ(笑)。所属部屋の宮城野親方は金親なんだものね。そうじゃなくきちんと竹葉山を呼ぶところにNHKの良心を見る。

 初土俵、新十両、現在の身長体重を写真と一緒に比べる。
 初土俵のときは180センチ、80キロ。入門のときは68キロだったからずいぶんと太らせてからデビュウ(新弟子検査)させたことになる。最初は丸二ヶ月間、食って寝ろばかりで稽古をさせず、とにかく太らせたと熊ケ谷親方。現在は192センチ、153キロ。北の富士が「体重はともかく、よく背が伸びたよねえ」と感嘆。毎日牛乳を大量に飲ませたとの話に、北の富士が「牛乳は大きくなるのにいいんです」は、最近不人気だという牛乳に北海道出身としてのエールか。
 まあこの辺は大の白鵬ファンだから私は知っているけど、こういう形でエピソードを繰り返してゆくことによって浸透してゆくのだろう。
 ここしばらく熱心に相撲中継を観ていると(それは長年漫然と見ていたということなのだが)、それが「繰り返しの美学」なのだと気づく。

 しかし大きくなったもんだ。そのうえ血統はモンゴル大横綱の息子というサラブレッドである。骨太、やわらかな筋肉、非の打ち所がない。入門が恵まれなかったこともいい。これで来日時から体が大きく、大きな部屋に好条件でスカウトされていたらまた違っていた。
 実際、タイトルホルダー学生のスカウトには実弾(現金)が飛び交う。最大のそれは久島か。大成しなかった久島と白鵬の差が皮肉である。
 久島っていま田子ノ浦親方なんだよなあ。田子ノ浦親方って言えば出羽錦だけど。とこれは別の日に書こう。

 安馬旭天鵬に負けて1勝7敗。攻め込んだのに振り回された軽量の悲劇のような負けだった。でも旭天鵬は懐が深くて強い人だからな。
 ここまでの相手は横綱、大関、関脇と全員上の番付、今日の旭天鵬が同じ小結。明日が白鵬だとか。初の三役、小結での負け越し引導は幼なじみの白鵬に渡されるのか。
 アナと北の富士が、安馬の体調が本物ではないのではと訝っていたが、星には繋がらないものの連日いい相撲を見せてくれている。後半の番付下位力士との取り組みでいくつ星を稼ぐか。

 この難関の初小結で白鵬は11勝4敗なのだからものが違う。大関魁皇千代大海を負かし、関脇の栃東(大関陥落中)、雅山、同じ小結の琴光喜に勝っている。自分より上位から5勝している。朝青龍と苦手としていた関脇若の里からの2敗はしかたないとして、下位の旭天鵬岩木山に敗れたことが悔やまれるほどだ。
 このまま一気に行くと思ったが、あの関脇での左足首の怪我により一頓挫する。今も白足袋を履いている。早くあれが取れて欲しい。
 へたに貴乃花の最年少記録などを破っていたら慢心したかも知れないから、このペースでちょうどいいのか。それでも大関昇進年齢は、貴花田、北の湖、大鵬だから、大横綱は確定したも同然だ。

 稀勢の里雅山に敗れるも気迫のこもった取り組み。前頭筆頭で4勝4敗の相星だが内容がいい。勝ち越せるか!? 年少幕内昇進では貴花田に次いで史上2位なんだから、世が世ならもっともっと騒がれる人なのに。かくいう私があまり騒いでないな(笑)。でも毎日闘志あふれる相撲を取っている。


 朝赤龍がいい相撲で千代大海を負かす。完勝。
 座布団が一枚だけ飛んだ。飛ぶだけましか? どんな感覚の人が飛ばしたんだろう? わからん感覚だ。
 千代大海、あとは落日か。十八番の引き技も出始めている。

5/15
九日目


○もしかして播磨投げ!?


きょうの把瑠都春日王戦。エストニア対韓国。
 三重の海玉の海の横綱をはじめ、朝鮮人力士は数多いが、みなそれを隠していた。出自を隠すため、一度後援者のところに養子に入って苗字を変えてから入門したりした。堂々と自分の国籍を名乗り、それが受ける時代。いいことである。


把瑠都勝つ。アナも解説も「播磨投げ」かと大昂奮(笑)。だけど発表は引き落とし。
把瑠都は右手で強引に引き落として春日王を下す(撮影・中村誠慈)
把瑠都は右手で強引に引き落として春日王を下す(撮影・中村誠慈)ニッカンスポーツ
 なんでこんな引き技を使うのかわからん。勝てばいいってもんじゃない。左足一本で残り、曲芸的な勝ちかたは話題性充分なのだが、よくわからん(笑)。これも把瑠都の懐の深さ(体型的な懐の深さではなく)なのだと好意的に解釈すべきか。
 すくわれたのは、談話として「よくない相撲だった」と本人が反省していると聞かれたこと。

 でもまあこの時期の外国人力士は、黒海白鵬琴欧州と、相撲を覚えて間もないから、本場所でいろいろやりたがる。と思うと、あのころから朝青龍はあまり外連がなかった。たいしたものだ。白鵬ももうこれからはろくでもはないことはしないと思うが。

 把瑠都にまだ懸賞がかかっていない。私が永谷園のような会社経営者なら毎日懸けちゃうが(笑)。
 昨日の特集インタヴュウで、街でも時々声を掛けられるようになったと言い、たまに琴欧州と言われると笑っていた。世間的にそんなものか。きちんと「琴欧州関」と関をつけていた。えらい。

普天王 豊真将
 最高の相撲。いやあほんと豊真将は名勝負製造機だ。こういう形で普天王の強さを引き出せる人はいない。もしも私が今、会員制後援会に入るとしたら断然豊真将だ。
 武双山後援会に入っていた父なら稀勢の里だろう。私には父のような茨城に対するこだわりがまったくない。正直に言うなら好きではない。あ、稀勢の里ではなく茨城がね。でも私の家は父方母方十数代続く純茨城、ピュアカッペ(笑)。
 大好きな白鵬も把瑠都も私ごときが応援しなくたって頂点に上り詰める。一喜一憂して応援するなら豊真将だ。どこまで行けるだろう。今の勢いなら三役はまちがいないが、その上はどうだ!?

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富士桜伝説
 きょうは解説の高砂親方(大関朝潮)と向正面の立田川親方(湊富士)の話から、富士桜中村親方)の話になった。「一度は富士桜の稽古を見ておけ」と言われるぐらいの猛稽古である。審判席に富士桜もいて話の途中でアップになる。あいかわらずの子豚のようなかわいい顔をしていた(笑)。
 富士桜は、いついかなるときでも「正しい千代大海」のような突っ張りをした。だが決して千代大海のように、苦しくなったから引く、ということをしなかった。富士桜のギアにバックはなかった。それは戦法がひとつしかないのだから、与し易い与しやすい相手とも言える。いつも引かれて負けていた。バッタリと前に倒れるのは毎度のことだった。だがどんなに負けが込んでも常にまっすぐ前に出て行った。戦法を変えなかった。なんともいとしい力士である。
「ドブの中でも前向きに死にたい by 富士桜」とは、当時よく言った冗談だ(笑)。
 富士桜のような「いい人」が、今もこういう形で評価され、テレビで語られると我が事のようにうれしくなる。

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出島安美錦はビデオでみてもきれいに同体。これは取り直しが当然。
 その前の玉春日黒海は、黒海に軍配は上がったが物言い。ビデオでみると黒海の手が早い。私はこれを庇い手と思うので、黒海の勝ちでいい。ただビデオ的には玉春日が残っていることになる。ひっくり返ったらいやだなあと思っていたら、そのまま黒海の勝ちになった。アナと朝潮は、ヴィデオで見ると明らかに黒海の手が早く着いているので口を濁していたが、こういうことはハッキリいってもらいたい。黒海が玉春日を突きだしているのだ。宙に浮いている玉春日より黒海が我が身を庇った右手が先に土に着いていることなどどうでもいい。

 きょうはやたら「もう一丁」だとか審判の九重に「千代の富士」と叫んだり、出島に「出る出る出島!」と叫んだりする酔っぱらい(たぶん)が目立っていた。あれはあれで相撲なんてのはそれでいいのだが、今の時代だから、「お静かにお願いします」と係員がいくのではないかと心配した。けっきょく最後まで叫んでいた(笑)。

今日は北の湖理事長の懇談会があったとかで、北の湖もそのあとの解説の朝潮も白鵬の相撲を先場所、先々場所と比べて良くないと言っていたそうだ。我が意を得たりと納得した。ぜったいによくない。これからよくなると信じるが。負けなけりゃいいってもんじゃない。あの低い左からの上手取りが出ないと、内容的に不満である。


琴奨菊 稀勢の里
 負けたけど稀勢の里は今日もいい相撲だった。内容がよい限り失望はない。
 いま毎日充実したいい勝負をしているのは豊真将と稀勢の里だろう。

朝赤龍 旭天鵬●──決まり手──内無双
 子供のころ、みんなで相撲を取ると、やたら内無双のうまいヤツがいた。ぜったいに引っかかるまいと思っても、その絶妙のタイミングに誰もが転がされる。めったに出ない技であるこれを見せて、当時を思い出させてくれるのだから、業師揃いのモンゴル人力士は貴重である。
 と想いを馳せると、小錦的サモアン颱風にはさして燃えなかったが、モンゴル勢を素直に応援した自分に納得する。

雅山 時天空
 雅山、一歩も引かず、押して押しまくる、充実した内容。完勝。満点。
 こんな相撲を取るなら絶対的に応援だ。優勝最有力候補の白鵬を倒している。その意味では優勝最有力候補か。
 幕内勝ち越し第一号としてインタヴュウ。「他の大関に離されないようについてゆきたい」
 「他の大関という言いかたに、元大関のプライドが出ましたね」とアナ。私もそう感じた。

旭鷲山 琴光喜
 最強旭鷲山、簡単に関脇琴光喜を料理。ホントにこの人は藤原嘉明である。これはこれでひとつの生きかたか。平幕在位最多記録を、今場所は大きく勝ち越して来場所の小結で途切れさせ? またもエスカレーターを繰り返すのだろう。

千代大海 若の里
 私の考える今現在の相撲界七不思議、いやもっと絞って三不思議のひとつに、この若の里が千代大海に勝てないこと、がある。どうしてもだめである。昨日書いた相撲トトカルチョ「ファイター」で一番目に指名している頃から、千代大海には勝てない。まったく理解できない。その若の里が白鵬には6連勝したからますますわからなくなった。白鵬はそのころからもうどっちが大関かわからない相撲で千代大海をぶんなげていた。相性といえばそれで済んでしまうが……。ともあれ千代大海も1敗堅持。

琴欧州 露鵬
 大好きな力士が大嫌いな力士に完勝したので大満足なのだが(笑)、逆だったらたいへんだ。琴欧州、復調してくれ。おまえががんばらないと白鵬初優勝ももりあがらん。

白鵬 安馬
 緊張感の漂うすばらしい立ち会い。
 安馬の負けて悔しそうな顔。白鵬がちょっとつらそうな顔に見えたのは考え過ぎか。私には幼なじみであり親友に負け越しと小結陥落を決めねばならない力士のつらさに見えたが……。

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 時代を知らない若い人たちが輪湖時代を礼賛するようなスレを2ちゃんねるに立てたりしている。気持ちはわかる。私も自分の知らない名馬に憧れたものだった。
 たいしたことはなかった、あのころは。今の相撲の方がずっとすばらしい。時代を生きてきたから断言できる。
 特にひどかったのが三重の海琴桜の時代。無気力相撲と言われ、最低だった。大関互助組合なんて皮肉られた。今のようないい相撲はめったになかった。

 ところがそいつらが名伯楽になるのだから解らない。これは巷間よく言われる「名選手必ずしも名監督ならず」に通じる。「決して天才ではない力士。しかし政治力を使ったりして横綱大関を経験している」が、自分が天才ではないからこそ才能のある少年青年を発掘して育て上げることに能力を発揮したのだろう。
 逆説的に千代の富士貴乃花は名伯楽になれないと確定している。千代の富士の弟子が大関になっただけで驚異である。
 ふたりとも我が強く将来の理事長のつもりでいる。しかし人望はない。

 私が子供のころから、出羽一門の後継者として「次の理事長は佐田の山」と言われていた。あいだの春日野二子山は中継ぎである。「その次は北の湖」と言われていた。そうなっている。ふたりとも周囲が納得する人望を持っていた。いわば帝王教育を受けてきた。
 千代の富士と貴乃花にはまったく人望がない。それで政治力やら、あれこれと駆け引きを使って成れるものなのだろうか。非常に興味深く思っている。貴乃花はまだ先だが、千代の富士はもう成りたがっている。あんな根性の悪い政治横綱が理事長に成れるのか!?

 2ちゃんねるの相撲板で、「街で見かけた千代の富士の悪印象」を書き込むスレがあった。力士としてもセコかったが親方となってもセコい。もっともそういう性格だから政治力を使ってあれだけの成績を残せたのだろうが。九重理事長だけは見たくないと思う。


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Boggieさんの相撲話──「忍」のこと

setstats1 バンコク在住の友人、野田さんが相撲のことを書いていた。衛星放送で見るらしい。タイ製の日本酒、「忍」を飲みながら。
http://plaza.rakuten.co.jp/boggie/diary/200605150000/#comment


 この「忍」、一部でひどく評判が悪い(笑)。あんなの日本酒じゃないと怒っている人もいる。まあ安いし、あんな暑い国で本物の日本酒は無理。米焼酎か。それじゃ「メコン」だ(笑)。「メコン」も日本のタイ料理屋でボトルで入れると6千円する。よく飲んでいた。いまはもういい。卒業。
 野田さん、これ6本も空けたって。強いなあ、あたま割れそうにならなかった?

 沖縄の泡盛はタイ米を輸入して造られていた。とすると、やはり気候的にも米焼酎だろうなあ。

 上の「忍」の写真はチェンマイの『サクラ』にあったポスターを撮っておいたもの。新発売のときである。何年前だろう。10年ぐらいは経つのか? 私の最初のデジカメで撮ったもの。メーカーはフジ写真フィルムだけど、まだ現在のFinepixというブランドの前である。スマートカードの容量は2メガだった。でも8千円ぐらいした。

 こんなふうに役立つからデジカメでは思いついたとき記録しておくべきだ。ネットの知識がある人なら、タイの「忍」のメーカーに行ってこのポスターを入手できるのだろうがわたしにゃぜったい無理。撮っておいて良かった。

 ということでちょっとネットでこの酒を検索してみた。タイフリークがホームページに載せている写真がけっこう見つかった。みな購入した「忍」を自分で撮った写真である。だからこそ私のポスターの写真が貴重になる。あるかたのサイトから失敬したが、こんな手撮りのクビの闕けた写真より私のポスター写真のほうがずっとおしゃれでしょ。

 時差が2時間あるから、土俵入りから結びの一番までの日本時間午後4時から6時が、タイでは2時から4時になる。
 チェンマイに入り浸っているころ、大相撲が始まると、いつも昼から『サクラ』に来るイサオちゃんが午後4時になるまで来なくなる。短波放送で大相撲を聞いてから来るのだ。まだ衛星放送なんてなかった時代。懐かしいな。

 野田さんがここを読んでくれて、把瑠都のディカプリオ似に触れていた。「若い頃のプレスリーに似ている」と。
 ディカプリオ似は私の発案ではなくテレビで言ってました。たしかにプレスリーの笑顔にも通じる。ま、どっちにしろいい男ってこと。これから人気出るだろうな。

【附記】「忍」の味
 多くの人が「今の忍はうまい。初期の頃とは違う」と書いている。訪タイして自分の舌で確かめる日を楽しみにしよう。(5/17)
5/16
十日目



○把瑠都、凄すぎ!


 午後3時。十両から見る。琴欧州把瑠都が駆け抜けてしまったあと、それに匹敵する大物はいない。幕下のアマ横綱の下田とか、やがて幕内にあがってくるだろうが、琴欧州、把瑠都のような衝撃はしばらくはないだろう。若ノ鵬なんてロシア人もたいしたことはない。

 十両解説の白玉親方(琴椿)は、禿げた頭の短髪。『PRIDE』の藤田和之に似ている(笑)。そうだったかな、現役時が思い浮かばない。

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相撲ヴィジョンのこと
 国技館に大型ヴィジョンを取りつける話はだいぶまえにあったそうだ。
 だが国技にはふさわしくないとか、そんな意見があってやめたという。
 これは今すぐ再検討すべきだろう。二階席から見下ろしていても土俵が遠くてまったつまらない。もしも大型モニターが設置され、四方から力士の喜びの表情、悔しさ、きわどい勝負の土俵際等が見られるようになったら、客の入りはよくなるはずだ。人気力士が揃い相撲人気が上がったとしても、実際に相撲を見るのは「雰囲気を楽しむ」以外は遙かにテレビ桟敷のほうが贅沢である。たしかに土俵の真上に大型ヴィジョンを設置するのは、音楽や格闘技のショーのようで抵抗があるかも知れないが、それをしないと観客減はとめられない。
 これは長年二階席で見てきたものの偽らざる気持ちである。輪湖時代のころ、二階椅子席を5千円、6千円で買い(父のために徹夜で並んだ)、しばしば観戦したが、親孝行という点を除けば、「金がもったいない」としか思えなかった。

 毎場所、小学生等が見学に来ていると紹介されるが、彼らも「獨特の雰囲気」以外は、テレビのほうがずっといいと言うだろう。相撲協会は真剣に検討すべきである。

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把瑠都、尾上部屋へ移籍!
 さて15日に流れた相撲界最大の話題はこれだろう。

把瑠都が秋場所から尾上部屋へ移籍も

 今場所で衝撃の幕内デビューを飾った西前頭11枚目把瑠都(21=三保ケ関)が、尾上親方(36=元小結浜ノ嶋)の獨立に伴い、早ければ秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)から尾上部屋の所属力士になることが14日、分かった。
この日も嘉風(24)を強烈な右はずで押し倒し、6勝2敗と優勝も狙える好成績だ。

 新入幕で中日で2敗と優勝争いに食い込む存在に期待はどこまでも膨らむが、水面下では電撃的な動きが進行していた。
 この日、師匠の三保ケ関親方(元大関増位山)は部屋付きの尾上親方の獨立について「隠すことではないよ。ただ、7月場所後だから、まだ準備などかかる。いわゆる分家ということだよ」と言った。
 一方の尾上親方は「今は場所中ですし、私の方からは何も言えません」と落ち着いた様子で話した。

 エストニア出身の把瑠都は04年夏場所に、尾上親方の内弟子として初土俵を踏んでいる。
 角界では部屋付きの親方が、東京、大阪、名古屋、福岡での宿舎や、内弟子などの諸条件を整えれば獨立が許される。その際、師匠としっかり話し合うことが大切だが、今回は三保ケ関親方も快く認めており、何ら支障はない。

 名古屋場所後には本格的な準備が始まり、把瑠都、里山ら力士6人が尾上親方と行動をともにすることになる。既に同親方が不動産も用意するなど、順調に進んでいる。
「三保ケ関部屋の把瑠都」は今場所を含めて残り2場所。その間にどこまで番付を上げるのか。
 北の湖理事長(元横綱)も「(優勝争いで)一番怖いのは把瑠都」と高く評価。
まだ大銀杏(おおいちょう)も結えない「金髪関取」から、ますます目が離せなくなってきた。
nikkansports.com 2006/05/15


 私がこのニュースを読んでしみじみなさけないと思ったのは、前々からこのことを知っていたのに、まったく意識していなかったことだった。
三保ガ関親方(増位山)は放任主義で把瑠都になにも言わない。把瑠都は里山たちと一緒に相撲を研究している」という一般的な情報に対し、私は「把瑠都は浜ノ嶋の弟子でもうすぐ獨立されるんだから当然だろ」と思わねばならない。だってそうであり、近い将来そうなることを知っているのだから。
 なのに私は「増位山もすごい米びつを抱えたものである」と書いたりしている。自分のいいかげんさに腹が立った。

 ただ、里山もそうだとは知らなかった。そこまでマニアックに相撲を追求していない。となると、浜の嶋が獨立したら三保ガ関部屋の協会からの手当は一気に減る。半減どころではあるまい。部屋は協会からの力士手当で食っている。もうすぐ出ていって自分の所とは関係なくなる連中なんだから、そりゃ増位山だって放任主義に決まっている。
 一方、浜ノ嶋はいきなり「末は」じゃなくて「もうすぐ」横綱大関かという把瑠都と、今場所の成績次第では幕内昇進も可能な十両の里山を抱えての獨立だから、これほど恵まれた新米親方はいないというぐらいの最高の門出になる。
 こんな形の獨立は、琴ケ浜を連れて獨立した佐渡ケ嶽とか、北の富士を連れて獨立した九重(千代の山)とか、あとは誰がいるだろう、その誰よりも恵まれているように思う。千代の山は獨立を許さない出羽海部屋から、どうしても自分の部屋が持ちたくて獨立したため、出羽一門から破門されたのだった。北の富士が横綱になり、その北の富士が千代の富士北勝海とふたりの横綱を育てて、九重は価値のある名跡になったが。
 力士の夢は、現役時は自分が横綱大関になることだが、引退後は親方になって自分の部屋をもち、横綱大関を育てることである。多くの力士がその夢に挑むが叶うのはほんの数人である。

 息子ふたりが横綱になったという貴ノ花は特別として、朝潮は、高砂部屋から獨立して若松部屋で朝青龍を育てた。さらに高砂一門の総帥になるという栄誉にも恵まれた。水戸泉のドタバタ劇のお蔭で。
 白鵬の場合は育てたのは竹葉山の宮城野親方だが、宮城野の名称を前親方の未亡人の流れから金親に横取りされてしまった。今は部屋附きの熊ケ谷親方である。朝潮が夢を叶え、さらにステップアップしたのに対し、竹葉山はステップダウンである。悔しいだろうな。あの問題のときは白鵬が落ち込むのではないかと心配した。

 そういう数少ない夢を叶える力士に、浜ノ嶋がなると誰が予想したろう。秋以降は、把瑠都の所属する尾上親方としてNHK解説にも登場しよう。大きなダイヤモンドを見つけたものだ。

■浜ノ嶋の恵まれた門出を思うと貴乃花部屋の惨状が目に附く。力士生活と親方レースはまったく別のものであることが解る。それにしても貴乃花部屋はひどい。力士が集まらない。全員幕下以下か。ひとり幕下がいたっけ? 先日貴乃花部屋のホームページに行ってみた。なかなかに凝った、かっこいい、内容のないサイトだった(笑)。「今場所の目標は、全員幕下入り」だとか。
 同じ人気力士でも、父のところには弟子が殺到し、いきなり豊の海、安芸の島、貴闘力、と俊英が連続した。しかし性格に難のある息子のところには誰も来ない。あれだけのスキャンダルに見舞われれば当然だ。横綱大関を育てることが協会内での発言力を強め、理事長への道に繋がる。理事長の椅子を狙う貴乃花、前途多難である。

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錣山豊真将
 豊真将の一番のとき、解説席の錣山(寺尾)の緊張とアクションはたいへんだったそう。豊真将、うまく連敗を止めて勝った。いい親方だな。アナが「錣山親方の様子をお見せしたかった」と揶揄(笑)。弟子も最高。いいコンビだ。
 増位山と把瑠都が心の繋がっていない形だけの親方と弟子なら、ここはもう一心同体の親方と弟子。向正面の浜風(三杉里)も、親方(錣山)がまだ引退したばかりだったから、豊真将に胸を貸して育てたのが大きいと絶賛。

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把瑠都、凄いのなんのって!
 普天王、元三役の意地を見せるか、とアナ。
 把瑠都、立ち会いに失敗して普天王にもろ差しの体勢になられる。普天王、絶対の形。なのにそこから振り回す形で突き落とし。普天王、ふっとんだ。これは凄い。こんな勝ちかた初めて見た。すげえよ把瑠都。回しもなにもとってないのに、なんでもろ差しの普天王を振り回せるんだ!?

 勝ち越してかわいい笑顔。
 インタヴュウ。初々しい笑顔ととんでもない力。日本語うまくなったなあ。解説の錣山も「ちょっと解説できないですね。こんな力士見たことないんで」
 いやあ、こんなすごい力士と出会えて嬉しい。父にも見せたかったなあ。父は小錦の強さを認めつつ、やっぱり嫌いなことがかいま見えていたが、把瑠都にはなんと言ったろう。

 と書いている内に大好きな栃乃洋と出島の一番があったのだが記憶にない。把瑠都ショック! いやあすごい、ほんとにすごい。すごいを連発する若い芸能人を軽蔑しているのだがそれしか出てこない。 

 錣山が「普天王のこの取り口は把瑠都攻略法としてヒントになるでしょう」
 速くて巧い朝青龍なら、まだまだ相撲が下手な把瑠都に対し、簡単にあの体勢になる。そして勝つか? 突き落として、どんなもんだの顔をするか。
 常識外の力でそこから把瑠都が勝つ。ありえない結果にあっけにとられる朝青龍。そんなことまで想像してしまった。これは怪物。真の怪物。こんな勝ちかたはありえない。

 前記、宮嶋さんの意見に「でも基本は図抜けた体力でしょう」と書いた。把瑠都が研究熱心なのはすばらしい。そういう面でも努力している。だがそれはうまく結実していない。みな失敗に終っている。なのにそれを並はずれた身体能力でぜんぶひっくり返している。いやはやこんなのありか。見たことない。
 この衝撃は「黒船の来襲」と言われた小錦以来である。だがあれは圧倒的堅太りデブによる体力差だった。いわば10トントラック。白鵬は5000ccベンツだが、把瑠都は6000ccキャデラックか。エストニアたから違うたとえをしたいのだが(笑)。Boggieさんがプレスリーに似ていると言ったことと、陽気な性格がアメリカンを思わせるところがあって、思わずキャデラックにしてしまった。


 Boggieさんが2年以内に大関かと書いていたがそんなものじゃない。1年以内に大関。2年後には横綱だろう。
 把瑠都に対抗できる唯一ならぬ唯三の力、朝青龍、琴欧州、白鵬はどう対応するだろう。見てみたい見てみたい見てみたい。もうすぐ実現か。
 今場所、対白鵬、対琴欧州は実現するか? するだろうな、この勢いだと。
 来場所、朝青龍のヒジの怪我は深刻なようだが、無事復帰したら、対朝青龍戦も実現する。把瑠都ひとりがいるだけで果てしなく夢が広がってゆく。

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露鵬が稽古場では強いと錣山が褒める。その強さが出れば三役定着出来ると。稽古場は体力勝負。引き技は関係ない。あれだけ理想的な体をもっているのだからそれが当然。露鵬の問題は精神か。しっかり指導しろ、大嶽

きょうの幕内解説は錣山と向正面が浜風(三杉里)。ふたりとも解説上手。錣山が「このことは浜風親方はどう思いますか」のように上手に振る。ふたりの解説の絡みがいい。

安馬、垣添に勝つ! 2勝目。よおし、いいぞ!
「安馬、立ち会いよかったですね。負けが混んでる力士のようではないですね」と錣山。安馬はいつだって全力全開。


雅山 若の里
 雅山、引いた。それで落ちる若の里もだらしないが、押し切れずついに雅山が引いた。アナも解説陣も、「いい相撲だ」と言っていたが、そうかなあ。押して、相手を棒立ちにさせて、そこで引くって相撲は好きじゃない。

魁皇 時天空
 魁皇、はたき込み。勝ち越し。つまらん相撲。低い姿勢の相手をよく見た、ということらしいが、こんな相撲は見たくない。

千代大海 安美錦
千代大海、いい相撲で勝つ。終盤ボロボロになると思ったが、よくがんばっている。これからが正念場。でもここ数場所ではいちばんいい相撲を取っている。それはすなおに認めないと。
 魁皇と千代大海じゃ魁皇の方が何倍も好きだが、相撲内容はここのところずっと千代大海の方がいい。

 明日は「千代大海対雅山」だとか。ひとり、1敗が消える。ともに「押して、引く」が十八番だ(笑)。それを出した方が勝つのか、負けるのか。どっちが勝つにせよ、明日の決まり手は注目だ。
 通算17対14だが、ここ3場所雅山勝ち。千代大海のお株を奪う「突いて引く」(笑)。さあてあしたはどうなるか。

旭鷲山 琴欧州
 琴欧州が投げられたとき、思わず「あっ!」と声を出してしまった。憎ったらしいな、旭鷲山。うまいわ。
 カロヤン、がんばってくれよ!4敗は負けすぎだ。

白鵬 琴光喜
 白鵬は熱が出たらしく、歯痛のように右頬が腫れている。昨日は点滴まで受けたと報じられていた。なんとしても今場所の優勝は譲れない。
 最初、ねらった左上手がとれなかったが、とってからは引き寄せて、琴光喜になにもさせない。そのまま琴光喜、なにもせず土俵を割る。いわばギブアップ勝ちのようなもの。あの琴光喜相手にだ。
 地味だが完璧な相撲。こういうのが好きだ。文句なし。優勝しろよ!

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 手作りの肴で晩酌をやりつつ見たが、とにかくきょうはもう把瑠都が全て。
 ダイジェストで見ると、いい相撲が続いている。客も入っている。いい場所だ。
 買ってきた「茄子の漬け物」がうまかった。和芥子をつけて食べた。
 肴を作っているとき、早く女房に再々再来日して、作ってもらいたいと切実に思った。

5/17
十一日目

○予想通りの敗戦

 きょうの注目の一番は千代大海雅山。1敗同士の決戦。どちらかが先頭から落ちる。
 5場所連続の対戦ヴィデオが流される。
 共に、「ぶつかって、はたき」の勝ちかた(笑)。まったく同じ相撲。どっちもどっち。どっちがどっちか?
 先々場所だけ、唯一雅山がはたくことなく押し出した相撲が目だった。でも先場所はやっぱりはたきだった(笑)。
 いなし、はたき、そればっかし。
 5番を振り返って北の富士「まあ内容的には見るモノはないね」
「先にはたいた方が勝ちとか、そんな相撲になってほしくないね」
 なるんじゃないの、そういうふたりだから(笑)。

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黒海 豊真将
 豊真将が稽古十分だからはたかれても前に落ちない。これはいいなあ。はたかれての前にバッタリの相撲は見ていてつまらない。はたきをする力士もつまらないが、それで簡単に落ちるのもみっともない。豊真将は落ちない。
 体を見れば稽古をしているのがわかる、と今日の解説は千田川親方安芸の島。今後の課題をアナに問われ、安芸の島が「もっと速い相撲を」とアドバイス。そのあと「自分も遅かったので人に言える立場ではないですけど」
 安芸の島は二度、優勝決定戦の可能性があったとか。覚えていない。先日、大相撲記録を見ていて感心したのは、安芸の島に「幕内最年少時代」があったこと。それだけ彼も出世の早い力士だったのだ。

 安芸の島と貴乃花の争いも醜かった。もちろん非は気に入らない安芸の島から藤島株を取り上げた貴乃花にある。(と私は思っている。)話がもつれ、安芸の島が「自分が幕内力士のとき、彼はまだ新弟子だった」と長幼の序を発言すれば、貴乃花は、「そんなことを言うなら、私が横綱のとき、彼は平幕だったのですから」と週刊誌上で反論した。若貴を部屋ぐるみ、親兄弟全部応援してきた人には、なんともたまらない醜い争いだった。
 亡くなった前貴ノ花が信頼している三重の海に預けたとかで、藤島株はその弟子の武双山が持つというへんな展開。

 取り直しの一番は黒海の勝ち。豊真将6勝5敗。勝ち越せるか。

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○把瑠都 玉乃島●
 把瑠都は立ち会いは突っ張ったが、すぐに引く悪い相撲。
 もういちど引いたので、思わずアナが「あまり引かない方がいい」って、実況中に自分の意見(笑)。ひいきしてるやんけ(笑)。
 まわしを取ってからは危なげなく寄り切る。
 相手は三役経験者の玉乃島である。北の富士も呆れる強さだった。
「引くのは癖になるからやめたほうがいい」と北の富士。
 引いたらダメだ。把瑠都は白人力士には珍しくそれをしないのが魅力なのだから。
 今日も強かった。

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■張り差し嫌い
 露鵬栃乃洋に張り差し。いやな技だ。白鵬の唯一嫌いなのがこれ。やめたほうがいい。先日もこれをやり、そのことで左上手をとるのが遅れた。自分で自分の型に成りつつあると言っている低い姿勢からの左上手取りがいいのだ。

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○若の里 安馬
 安馬、双手突きからのど輪で若の里を攻めるが突き落とされる。
 勝ったとはいえ、若の里の相撲を北の富士もアナも褒めない。
 まあ単純に突いてきて安馬を、土俵際で交わして突き落としただけ。

○白鵬 時天空●
 まき落とし。落ち着いたうまい取り口。時天空に潜られたが、上から、右で首を決め、左で小手投げ。場内発表は捲き落とし。
「こんな決め手があるんだね」と北の富士。白鵬、奥が深い。これもモンゴル相撲系の技か。昨日、今日と、うなるような強さ。万全。

○雅山 千代大海
 予想通り、押し合いから我慢できなくなった千代大海が引いてオシマイ(笑)。思った通り。
 千代、よくここまでがんばったわ。もっと早くつぶれると思っていた。ごくろうさま。
 雅山はいい相撲。完勝。
 これで3場所が8勝7敗、10勝5敗、10勝となった。これと同じ星取り28勝で大関になったのが北の富士。8勝7敗、10勝5敗、12勝3敗(優勝)で成れなかったのが長谷川。
 今場所、このままなら12勝は出来るだろう。
 もしも大関がひとりもいなかったら、すんなり大関になれる成績である。
「四人もいるからねえ」と北の富士。
 来場所、10勝以上なら文句なしになれる。せざるを得まい。
 もしもそれが実現したなら、落ちて二度あがった栃東よりもえらいと思う。それは「陥落した翌場所10勝以上」という特約をクリアしての復帰だ。落ちて何年も低迷して、また大関にもどった力士はいない。
 来場所の注目は、今場所初優勝の白鵬と大躍進した把瑠都だが、雅山の大関取りも大きな話題になる。

 雅山はすでに上位との対戦が終り、白鵬に勝っている。
 雅山の対戦相手はあとは平幕なので、把瑠都戦があるとアナの読み。
 楽しみだ。正攻法で行ったら把瑠都が勝つだろう。
 白鵬、千代大海は相手がもう大関と決まっているので、今場所の把瑠都戦はないとの結論。残念だ。

○朝赤龍 琴欧州●
 朝赤龍完勝。四大関を破る。負けたのは白鵬だけ。相撲内容がいい。休場した横綱の分までがんばっている。
 琴欧州は完敗。これで6勝5敗。膝の調子が悪いとはいえ、もっとひどかった先場所あそこまでがんばったので、今場所の負けは気になる。今日の朝赤龍に投げられている相撲を見ると、みなそれぞれ長身の琴欧州に対する攻略法を覚えてきたような気がする。ここにきて壁にぶつかったか。
5/18
十二日目


○把瑠都、はりま投げ!


把瑠都 岩木山
 きょうの把瑠都は岩木山戦。
 岩木山も体重なら負けていない。いつも真っ向勝負の大好きな力士だ。腰が重くて、体がある。だがこういうタイプには把瑠都は強いように思う。負けるとしたら小兵にかき回されたときだろう。思えば栃乃花は満点の相撲を取ったものだった。

 4時半に登場。私はデスクトップパソコンで文を書きつつ、テレビをつけていた。思ったよりも早い。番付的にはこんなものか。来場所からは5時過ぎだろう。急いでテレビの部屋に駆けつける。
 立ち会い、なかなか立てない。岩木山が、把瑠都が手を下ろしたら自分も下ろして、の態勢で待っている。そのタイミングを把瑠都が計る。長い長い睨み合い。
 それでも待ったにならず、立った。突っ込んでくる岩木山を腹の下に抱え、背中越しに右上手を取る。
 上手ひねり。
 一見簡単に勝ったが、私としては、不満な相撲。内容は変化技に近いように感じる。正面からぶつかっていない。すんなりと岩木山に懐に入られすぎている。あの大柄な岩木山を懐の中に入れるようにして、背中越しの上手で投げ捨ててしまうのだから怪物ではあるが。
 決まり手は「はりま投げ」と出る。先日、春日王を投げたとき「はりま投げか!」とアナが叫んだが、ここで実現したことになる。
 解説者が、「周りから見るといい勝ちかたではないが、把瑠都としては気持ちがいいのではないか」と語っていた。正面の尾車千賀ノ浦か忘れたが。

 はりま投げは、去年の夏場所、琴奨菊が決めて以来だとか。
 だがあのときは、本人もそんな珍しい決まり手になってしまったことに驚いていた。翌日のスポーツ紙で談話を読んだ記憶がある。いわば偶然だ。
 今回は違う。先日も同じ形になっている。把瑠都はこういう相撲が好きなようだから、今後も続出するだろう。「把瑠都のはりま投げ」と売りになるかも知れない。こういう強烈な技で思い出すのは初代若の花の「呼びもどし」だ。
 向正面の千賀ノ浦が、「レスリングと相撲が混ざった獨特の技と解釈すべき」と言っていた。それが正しい解釈のような気がする。

 しかしなあ、いくら強くても荒っぽすぎる。あれで誰もに通じてしまうのだろうか。通じるとしたら、すべての相撲常識を覆すことになる。雷電と同じ体格だと言うが……。
 でも玉乃島や岩木山への完勝ぶりを見ると、魁皇のような豪腕タイプは、よりすごい豪腕で勝ってしまうように思う。
 ということから想像するに、やはりいちばん楽しみなのは横綱である。あの速さは把瑠都を翻弄するだろう。だが動きを封じられたらいきなり金星になる。
 今場所11枚目。きょうで10勝。まちがいなく12勝はいくだろうから、来場所は一気に前頭筆頭ぐらいまで行くか。来場所、横綱戦が実現する。いま願うのは、朝青龍が右肘の怪我を治して来場所元気に登場することだ。
 把瑠都がやってみたいと言っていた琴欧州戦は来場所まちがいなく実現するだろう。今場所の取り口を見ていたら把瑠都が圧勝する。琴欧州の復活が待たれる。

 すこしあと、「把瑠都を囲んで二重三重の報道陣の輪」とレポートが入る。

後日註・反省。リアルタイムで書くこの種の文章で、私は把瑠都にいちゃもんばかりつけているが、「もしも」と考えてみた。「もしもかつての小錦のようにぶちかましで相手をふっとばしてしまうだけの相撲だったら」
 それは強いなあとか正攻法だとか文句なしだとか言っても、まったくつまらないだろう。あの把瑠都が、毎日冷や冷やさせるような、それでいて圧勝という相撲を取ってくれるからこうして楽しんでいるのではないか。把瑠都が曙のように、長い手足を利用しての突き押しだけだったなら、こんなに燃えるはずがない。もういちど私は、「なぜ小錦や曙より把瑠都が好きなのか」を考えるべきと思った。
 ということで明日からは、把瑠都流の奇妙な相撲を取ってもケチはつけず、楽しむことにしよう。(5/20)

後日註2・
 あたらしい相撲雑誌が出た。あらためてカラー写真でこの一番を見ると、やはりこれはとんでもない相撲であり、不満どころではないとも判った。
 まず当時も今回の雑誌でも解説されているが、把瑠都が岩木山の突っ込みの速さに対応できず後手に回ったことは事実。私はそれを物足りないと書いた。苦し紛れの相撲と。
 だが写真を見ると、岩木山の首を左手で抱え込み極めている。プロレスのフロントネックロックのような状態。それで背中越しに右上手を取り、そこから捻っている。寒気がするような豪快さだ。
 なにしろ相手は172キロの岩木山である。これは「把瑠都スペシャル」とでも呼ぶべきとんでもない決まり手だと知る。
 「物足りない」「不満」を訂正する。でもだからこそあらゆる意味で満点の13日目を「今場所一番!」とすることには変わりない。(5/26)



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○栃乃洋 高見盛
 高見盛攻めるが栃乃洋に敗れる。左の入った栃乃洋は強い。
高見盛、泣きそうな顔。6勝6敗。毎場所終盤に負けが込んで負け越している。今場所負け越すとあとがない。せっぱ詰まってきた。

○出島 豊真将
 豊真将、いいところなく出島に敗れる。こんな負けかたもするのか。
 右膝の大きなテーピングが気になる。解説も、豊真将がこんな負けかたをするのはおかしいと指摘。
 土俵を下がるときも、美しいお辞儀だった。感動する。6勝6敗。五分の星。がんばれよ。

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 十両の成績一覧。
 混戦。活躍者はみな元幕内。こういうものである。
 しばらくは、白鵬、琴欧州、把瑠都のような超大物の出現はない。

 弓取りの皇牙が7勝。勝ち越せそうだ。あとひとつ。せっかく「十両の関取なのに弓取り」と話題になって一場所で陥落ではつらい。

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○露鵬 普天王
 露鵬が張り差し。ほんと不愉快な技だ。いわば「横っ面にビンタ一発」である。琴欧州、白鵬という好きな力士から露鵬のような嫌いな力士まで、外国人力士はみなこれを使う。
 数場所前、栃東や魁皇にそれをするのを見て、「大関に対する尊敬がないのか」と解説者が憤っていた。同感である。
 とにかく、たいして意味のない奇襲でしかない。たまにやるならともかく、外国人力士は使いすぎだ。親方衆はしっかり説教して貰いたい。熊ケ谷親方も、白鵬に「おまえはもうそういう技を使う次元の力士ではない」と言って欲しい。

 解説は琴風。尾車親方。琴風の解説は可もなく不可もなし。
 向正面は千賀ノ浦(升田山)、ハゲ頭で人相が悪いので悪役商会のよう(笑)。

○朝赤龍 白露山
 朝赤龍 白露山に勝つ。9勝目。
 白露山が力があるので手こずるが、内容的に完勝。
 今場所はすべていい相撲である。
 朝赤龍は稽古場で強いので有名だ。稽古場で強い人は地力がある。
 本場所では10勝以上の大勝ちをすることも何度かあったが、次の場所が続かない。この辺は「ファイター」でよく覚えている。前場所大勝ちしたからと上位にランキングして痛い目にあった。
 今場所は四大関を破ってこの成績だから三賞をとるのは間違いない。問題は来場所だろう。来場所大負けしたら、やっぱりその程度か、となる。

○旭天鵬 安美錦
 旭天鵬、変化で安美錦に勝つ。場内ためいき。アナも「三役の座を守るためにひとつでも勝ち星が欲しいのでしょうが……」
 勝ちゃいいってもんじゃないよな。
 そういえば栃東もこういうことをする。私があの人を横綱の器じゃないと言うのはそれもある。

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○安馬 時天空
 毎場所の楽しみ、名勝負数え歌の時天空対安馬戦。
 両者星が伸びていないので心配したが、またも名勝負。土俵上を休み無く動き回り、二転三転する激しい相撲に場内に喚声と拍手が湧く。私も思わず拍手していた。
 前の取り組みの旭天鵬がため息をつかせたあとだけに、よけいに場内は沸いた。相撲人気を高めるのはこういういい相撲しかない。
(私の中ではいつでも相撲ブームだから世間の人気なんかどうでもいいのだけど。)

○雅山 琴欧州
 琴欧州に雅山。琴欧州、意地を見せろ!
 雅山の内容のある相撲を評価しつつ、ふたりが対戦すると琴欧州を応援するのだから、私はそれだけ琴欧州が好きなのだろう。
 琴欧州、はたく、バカ! なんつう情けない相撲を取る。一気に押されてお終い。
 琴桜、怒ってくれ。こんな引き技を使っちゃダメだ。もしもはたきが決まって勝ったとしても私はボロクソだった。
 雅山、11勝1敗。優勝戦線のトップを走る。

○白鵬 旭鷲山●
 だいじょうぶだろうと思うが、怖い。なにやるかわからいな旭鷲山。まさかバッタリなんてのはあるまいと……。
 白鵬、旭鷲山の立ち会いの変化に惑わされず四つになる。白鵬、休まず攻める。旭鷲山、土俵際で残す。白鵬休まず、もういちど寄る。なんとそこでもねばった旭鷲山は、そこから土俵中央まで押しもどしたのである。この人の底知れない強さがよく出ていた。
 しかし白鵬、三度目は大きくつり上げる。
 いやあ、強い。もう安心。優勝間違いなし。もしも雅山が1敗で来たら決定戦をやって勝てばいい。
 先日の琴光喜戦に続くほれぼれする相撲。思い出すだけでも、あの琴光喜戦は凄かった。
 今場所、15日間が終ってから、白鵬のベストを挙げろといわれたら、私は迷わずあの「琴光喜戦」にする。それはきっと少数派だろうが、同じ事を思った人とは気が合いそうだ。あれはすごい一番だった。


○稀勢の里 魁皇
 魁皇連敗。豪風戦のとき、頭から当たって胸を痛めたらしく、あれから元気がない。
 稀勢の里、5勝7敗。いい力士に育ちつつある。こんな憎たらしい表情の若者は北の湖以来(笑)。

 思い出した。書いておこう。頭から激しいぶつかりに、アナが怖いとか怪我とかを解説の千田川(安芸の島)に問うた。安芸の島の答は、「首を鍛えてぶつかると、むしろ胸からぶつかるよりも安全で楽」だった。大事なのは「首を鍛える」だろう。安芸の島の太い首を思った。

○琴光喜 千代大海
ま、当然ね。3敗目。落日。よくここまでがんばった。

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 予想通りに、旭鷲山、魁皇、千代大海が消えて行き、これで優勝は、1敗の白鵬と雅山。2敗の把瑠都の三人に絞られた。
 力通り白鵬の優勝だろうが、雅山のがんばりはすばらしい。今場所どんなにがんばっても大関が四人いるから、大関昇進は話題にはならないのか。来場所が勝負となるのか。単に白星を重ねているのではなく内容がいいから、応援したい。14勝1敗同士の優勝決定戦? あ、雅山は把瑠都とぶつかるから2敗になる。白鵬14勝1敗で優勝。準優勝は13勝2敗の雅山と把瑠都か。しかしすごいな把瑠都。毎日の全取組から一番だけしか見られないとしたら、迷わず把瑠都を選ぶ。いよいよあと三日となった。
5/19
十三日目

○把瑠都、今場所一番!


○幕下、日大出身の下田7戦全勝優勝。追手風部屋。
 学生相撲出身の幕下つけ出しデビュウで全勝優勝は初なのだとか。へえ、そうなの? 何人もしてると思っていた。
 目標は栃東とか。ちいさいから同じだ。相撲巧者であり幕内まで来るだろう。でもそれだけだろう。豪風とか、先輩と同じあんな感じ。とにかく白鵬、琴欧州、把瑠都ショックの前にはなにもかもが小粒に思えてしまう。

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十両の惨状
 先場所把瑠都が全勝優勝し、豊真将が活躍した十両は、大物ふたりが抜けて無惨。4敗の栃栄が先頭。10勝5敗が優勝ラインになりそうなひどい状態。十両を二場所で通過するぐらいの大物がいないと、ほんと十両はつまらない。

 十両を見ていると将棋の順位戦「B1」を思う。俗に「鬼の住みか」と言われる。C2、C1、B2とあがってきた俊英は、ここで鬼と出会う。長年A級で活躍し、今は陥落した鬼の住みか。酸いも甘いもかみしめたヴェテラン強豪が日の出の勢いで駆け上がろうとする若手の前に立ちはだかる。
 なんなくここも突破し、名人になるもの。名人候補と言われて故郷を旅立ったのに、ここで木っ端微塵に打ち砕かれ、ただの元俊英になるもの、まさに剣が峰である。

 十両も似ている。幕内から落ちてきたかつての横綱大関候補が割拠している。
 そこを軽々と突破して行く、白鵬、琴欧州、把瑠都のような超大物。
 ここで壁にぶつかり、「幕にあがる」という悲願を達成できないもの。
 まことに十両と順位戦B1は似ている。

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○嘉風 土佐ノ海
 嘉風土佐ノ海を一気に破るいい相撲。
 ちいさい人だからこれ以上の期待も出来まいが、ここまでの出世では、1位の琴欧州、2位の把瑠都達に次ぐ3位タイの力士である。
 ちいさな豪風が、すべてに恵まれた白鵬を、獨特の表現でものがちがう、うらやましいと言ったことがある。なんだったろう、「あちらは高級車だから」とか、そんなたとえだった。
 そういうふうに未来が予測されてしまうことはしかたない。大関間違いなしと言われ、十両で低迷している降の若もいる。若の里とふたり、大関ふたりを抱えて鳴門部屋は我が世の春のはずだった。
 琴光喜なんてアマ時代の実績からとっくのむかしに横綱になっているはずだった。もちろんそれ以上の実績の久島も。
 考えれば考えるほど己の力でのし上がった朝青龍はえらい。競馬でたとえるなら、「一度も1番人気になることなく勝ち上がった三冠馬」みたいな人である。

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 きょうの解説は舞の海。わかりやすくて詳しくて、いつも最高である。向正面は境川(両国)。
 境川というと鷲羽山であり、なぜかそれが角界最高の名・横綱佐田の山が継いでいた出羽海と交換になり、佐田の山が境川となった。鷲羽山ほど現役時たいしたことなかったのに出世した人を知らない。よほど人柄と人徳がすぐれているのだろう。
 理事長となった佐田の山は大胆な改革を志し、猛烈な守旧勢力の反対にあって挫折して境川になった。そしていま境川は両国である。
 相撲はこの辺の親方の名跡変更に着いて行くのがたいへんだ(笑)。とくに私のような日々の研究をしないいいかげんなファンは時折こんがらがる。

○武雄山 豊真将●
 豊真将が引いて負ける。最悪な相撲。武雄山に押され、対抗できないと判断すると引いてしまった。6勝7敗。
 右膝の調子が悪いことは明白で、舞の海がこんなときは師匠も悩むでしょうねと境川に話しかける。境川は「時には師匠が無理して休ませる判断も必要」と私見。あと二日、しかし目に見えて相撲が悪くなった。どんな好きな力士でも悪いものは悪い。今日の相撲は最悪だ。

○北桜 白露山●
 北桜白露山に振り回されるのも、よく着いていって勝つ。白露山に引かれたとき、落ちると思ったから、これはよくがんばった。

 勝った瞬間にもうガッツポーズをやっている(笑)。
 土俵上で初めてこれをやった高見山は厳しく叱られたものだった。

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○把瑠都 朝赤龍●
 把瑠都によると、巡業で一、二度稽古したことがあるとか。
 相撲に適性のあるモンゴル人力士、そしてまた稽古熱心で有名な好漢と、ついこのあいだ相撲を覚えたばかりのエストニアの天才青年の対決である。把瑠都が圧勝してもよし、朝赤龍が獨自の技で把瑠都に相撲の苦さを教えるも良し。どういう結果になろうとわくわくする一番だった。
 把瑠都が険しい表情。今場所こんな顔をしたことはない。初日の取組前には、花道であくびしている顔が話題になった。
 それだけ自分の成績を意識してきたのだろう。ここが剣が峰と。

 いい立ち会い。把瑠都、左上手から右も差し、両まわしを取る。朝赤龍は左上手がとれない。もうどうしようもない。そこから豪快な吊り。
 寒気がした。把瑠都満点。完璧! 今場所でいちばんいい相撲だ。こんな把瑠都が見たかった。
 表情も厳しい。舞の海「鬼に金棒」と絶賛。いやあすごい。いまこうしてテレビを見つつ書いていても寒気が治まらない。凄いよ、把瑠都、最高だよ!

 底知れない強さを見つつも、納得できない相撲が続いていた。やっと今日見せてくれた。胸のつかえが下りた。なんともはや。

 控えでも、勝った後も把瑠都にしては「険しい」表情だった。それぐらいきょうは気合いが入っていた。
 インタヴュウ、11勝目。もういつもの陽気でかわいい笑顔。

 こうなってくると序盤の2敗がもったいないが、序盤で2敗したからこそ、把瑠都も気を引き締めたと解釈すべきなのだろう。

 明日の把瑠都は雅山戦。結びから三番目の相撲。新入幕力士がしまい三番で取るのは、平成12年、栃乃洋貴ノ浪と取ったとき以来とか。NHKは明日の取り組みが決まってからすぐに調べてくれたんだな。ありがとう。これこそプロの仕事。


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○稀勢の里 安馬●
 稀勢の里が勝つ。でも稀勢の里って、勝った後、負かした相手を「どんなもんだ、コノヤロー!」のようなイヤラシイ目つきで睨む。それはそれで闘志があふれていていいのだが、今の時代、嫌われるのではないか。やはりこれで思い出すのは北の湖だ。ヒール路線だなあ。「いい人」には飽きているので望ましいが。

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○雅山 旭鷲山
 雅山と旭鷲山。ここのところ雅山の4連勝とか。
 旭鷲山の変態相撲通じず。しっかり雅山勝つ。雅山の勝ち名乗りの時、大きく右手を「どんなもんだ」と上げる所作は好きである。北桜のそれはすこし大げさすぎる。
 高見盛のそれはどうであろうとまったく文句がない。なぜなら彼の場合は「天然」だからである。誰もがそれを解っているから好いている。あれが「計算」だったら、今の時代、あんな人気者には成れない。

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白鵬 琴欧州
 立ち会いは白鵬の方が堅くなっていた。琴欧州は負けが込んでいるからか、さほど緊張しているようには見えない。白鵬に黄信号かと思った。
 しかし立ち会うともう白鵬の相撲。左の上手まえみつをとっての出し投げ。

 舞の海も心配したというように、白鵬が珍しく緊張していたのはまちがいない。目の前で雅山の勝ちを確認したからだろう。今の白鵬には、なんとしても優勝せねばの気持ちが強い。精神的には琴欧州のほうが楽だった。
 だがすでに自分の相撲を確立しつつある白鵬と、まだ迷いのある琴欧州では相撲にならなかった。あらためて白鵬の力士としての完成度(琴欧州のそれはアスリートとしての高能力だ)を見せつけられた一番だった。
 琴欧州は膝の調子が悪く、来場所の万全な体調を心から願うが、それとはまた別に、「琴欧州の相撲」と言えるものを確立していないことを思い知ったろう。まだまだこれからである。

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○魁皇 千代大海●
 懸賞が30本近くかかった。「30本近く」とはアナが言ったのであり、詳しくはわからない。どうでもいい(笑)。興味もない。でもこのふたりの闘いを平成の名勝負と思い懸賞を懸けるスポンサーがいることはわかる。
 と勝負前に書いていたのに、○千代大海 魁皇●になってしまった。千代大海に悪いことをした。すまんすまん(笑)。魁皇、胸を痛めたのか絶不調である。


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 明日は雅山と把瑠都である。見逃せない。朝からそればかり楽しみにする一日になりそうだ(笑)。
 把瑠都が雅山を破って2敗で並ぶだろう。
 だが白鵬が千代大海、魁皇に負けるとは思えない。このまま14勝1敗で優勝すると思う。

 しかしアナがしつこく「千秋楽に白鵬と把瑠都を見てみたい」と言っている。もしかして実現するのか。
 把瑠都が雅山を破り2敗で並んだなら、白鵬は千秋楽で魁皇を破り、1敗のまま逃げ切ってしまう。
 そうなったら、盛り上げるためにも、千秋楽に「白鵬対魁皇」ではなく、「1敗白鵬対2敗把瑠都」の取り組みをする。もしも把瑠都が勝ったら、今度は優勝決定戦になる。雅山も2敗でいたなら巴戦になる。これは盛り上がるだろう。
 だが現実には、大関同士の対決という決まり事を破って、平幕との対決を千秋楽にもってくることはありえまい。白鵬、14勝1敗で優勝、把瑠都2敗ながら直接対決が無くて悔しい準優勝。これが道理だろう。 
 私の気持ちは、白鵬対把瑠都を見たいけれど、この場合は千秋楽に番付が上である大関同士の対決という、それこそ場所前から決まっていた決まり事を優先すべきと思う。
 把瑠都の中に、直接対決すれば勝っていた、優勝できた、対戦できないのはおかしいという不満が生まれたとしても、対戦できるだけの地位にいなければ対戦は出来ないのだ、という決まり事を知ることは、番付社会におけるいい意味での「矛盾」を知ることである。やがて把瑠都が逆の立場になることもあろう。
 協会はどんな結論を出すだろう。
 大関対決を飛ばして平幕との取組を作るなんて、と一笑に付す親方衆もいれば、ファン獲得のために断固やるべしという改革派もいよう。さて結論はどうなるか。
5/20
十四日目

●把瑠都、最悪の敗戦……


 きょうの大一番は把瑠都雅山
 昨日、友人の飲み、夜更かししたため、朝型(というかとんでもない早朝型)の生活が夜型になった。午前2時に寝て、それでも今朝6時に起きたから、午後2時過ぎから猛烈に眠くなってきた。
 寝ころんで観つつ4時を過ぎる。そろそろ膝にラップトップを載せて観戦記を書き始めねばならない。だが眠い。今日は観戦記はいいかと思う。
 ふたりの初日からの相撲を連続で再生している。眠い。見たいと思いつつ、それでも眠くていられない。
 そのとき!

 千秋楽での白鵬把瑠都戦が決定したとのニュース。
 飛び起きてしまった(笑)。ほんと滑稽なほどピョコン! と。眠気も消えた。こんなことってあるんだな。

 審判部は満場一致だったとか。そうか、もうそんな時代なんだ。私の感覚が古かった。
 平成16年にすでにあったとか。朝赤龍が13連勝したときだ。
 結びの一番から大関を外すのは蔵前最後の年にあったとか。平幕多賀竜が大関琴風を破って優勝したと聞きなるほどと思う。多賀竜や水戸泉の一回きりの平幕優勝は郷土力士だから覚えている。そうじゃないと忘れていた。

後日註・と、この日は確かに言っていたと思うのだが、千秋楽には「小錦旋風のとき」と言っていた。多賀竜の名前など出てこない。どういうことなのだろう。よくわからん。あとで記録を調べて書き直すことにしよう。

 明日千秋楽の「これより三役」だから、把瑠都は三役そろい踏みでも土俵に上がることになる。
 すごいことになった。
 これは昭和48年の大錦が清国と取った一番以来とか。ああ、三賞獨占の大錦か。すごい勢いで伸びてきたものだった。父と蔵前でよく見ていた時代だ。親方になってからも会っている。まだ太っていたが背は私と変らなかったから上背はない人だった。

 これで把瑠都には、きょうの雅山戦に勝ち、明日白鵬を破り、もういちど優勝決定戦で白鵬に勝つと優勝の可能性まで出てきた。
 とんでもない話である。いやはや審判部もやるものだ。
 もっともこれがなくて白鵬が優勝してもいろいろ言われるからやるべきである。
 来場所と思っていた把瑠都白鵬戦が今場所見られることになった。

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 十両は5敗が6人ぐらい並んで千秋楽を迎える。「おもしろくなりました」とアナは言っていたが、つまらん話である。先場所の把瑠都の全勝優勝のほうがはるかにおもしろい。いずれにせよ今場所の十両優勝力士は10勝5敗である。つまらん。
 その中に皇牙がいると知る。がんばって勝ち越せよと書いたのは7勝だった一昨日。連勝して9勝5敗になった。優勝候補のひとりにいる。
 優勝のチャンスは生涯一度だろう。それがこの低レベルの争いで舞い込んできた。だったら皇牙を応援したい。十両優勝力士が弓取りという前代未聞のことが起きる。
 6人のなかで明日の直接対決は一組だけとか。消えるのはひとりだけ。5人の5敗力士が4人負けることはあるまいから、まずまちがいなく決定戦になる。たしかに「おもしろい」とはいえるが、でも低レヴェルだ。

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 豊真将負け越し。しかたない。膝を治せ。

 北勝力9勝目。初日から3連敗したときは今場所も2勝13敗とかの大負けの場所かと思ったが。この人はわからん。

 解説は武蔵川(三重ノ海)と向こう正面は楯山大嶽部屋とか。誰だ? 巨砲だって。あ、そう。巨砲は武蔵川部屋の部屋付き親方になっていたのか。知らんかった。オオヅツが現役のころ、川崎にオオヅツって馬がいて、大勝負して大損したことを思い出した。
 武蔵川は武蔵丸、出島、武双山を育てた名伯楽だが解説は平凡。それでも白露山が引いて勝ったときは厳しい意見を言っていた。当然。
 なんで今日解説なのかと思ったら、ああ雅山も武蔵川だった。


 露鵬岩木山
 露鵬いきなり変化。きらいだな、やっぱりこの人。岩木山、よく着いていって四つになり、優勢になるが、そこから下手投げでぶんなげられる。勝った方が勝ち越し。岩木山が勝てば拍手の一番だったのだが……。

 ここで優勝候補に昨日したインタヴュウ映像。髷を尚しながら、白鵬、雅山、把瑠都。
 新入幕でインタヴュウを受けているのだから把瑠都はすごい。

 一昨年、私が次の横綱として夢中なのは白鵬だった。次いで琴欧州、把瑠都である。
 白鵬に左足首怪我の一頓挫が有り、大関昇進を琴欧州に追い抜かれたのは誤算だったが、それはそれでよい。いま白鵬は追いついた。そして把瑠都がやってきた。すべて読み通りなので楽しい。
 今場所残念なのは琴欧州の不調である。朝青龍休場の場所、琴欧州が元気で、対把瑠都戦が実現していたらと思う。

 旭鷲山、平幕連続在位55場所(笑)。記録更新中だ。すごい人だ。60場所で丸10年である。今場所もうひとつふたつ勝ったら小結になって記録が途切れてしまうところだったが、だいじょうぶ(笑)、来場所またも記録更新だ。エスカレーター人生。
 朝赤龍、旭鷲山を破って10勝目。先場所に続いてだ。いよいよ本格化してきたか。三賞と来場所の三役は確定したか。

 白鵬のおとうさん、モンゴルの英雄、千秋楽の予定だったが一日早い来日。
 その情報がなかったから、一杯機嫌で映像を見ているとき、あれ、あのおっさん誰だっけと思った、小粒の阿藤快とか、そんな芸能人がいるなと一瞬思った(笑)。失礼、大関。
 白鵬はたしか末っ子だ。40過ぎてからの男児。かわいいだろうな、こういう息子は。
 モンゴルからは直行便がないから来日もたいへんだろう。
 把瑠都のおかあさんもエストニアから来日している。
 ぜんぜんテレビに映らない。観てみたいのに。

「すごい力士が出てきましたね」と把瑠都について三重ノ海。
 新入幕力士が結び三番で取るのは平成12年の栃乃花以来。

○安馬 豪風
 幕内土俵入りのときも、取り組みで土俵にあがったときも、安馬への声援が大きい。今場所のようにどんなに成績が悪くても、好角家は一所懸命の力士を知っている。

○雅山 把瑠都
 懸賞が12本懸かった。
 幕下つけ出しから2年で大関に上り詰めた雅山。
 初土俵から2年でここまで来た把瑠都。
 把瑠都、引き技を出して自滅。バカ! いい勉強になったろう。
 引いてはならないのだ。最悪の負けかた。負けはいい。しかしこんな負けかただけは見たくなかった。

 これで明日の白鵬戦の興味が半減した。もう把瑠都優勝の目はない。
 万が一明日把瑠都が白鵬を破り、明日も勝った雅山優勝となっても、大の白鵬ファンとして悔いはない。なぜなら雅山は現に白鵬に勝っているからだ。
 しかしそれでも大関昇進はないらしい。それは気の毒だ。

○琴欧州 魁皇
 琴欧州変って勝つ。だめだよ、変化なんかしちゃ!

○白鵬 千代大海
 33本の懸賞とか。
 はたき込みで勝つ。まあ弱い相手だからこれでいいけど、褒められないな。
 巨砲が白鵬を「足の裏が見えない。根っこが生えているよう」と賞賛。はたき込みは気に入らないが餘裕の一番だったようだ。
 ヴィデオで見ると、ドタバタしている相手をすかして勝っているか。格が違いすぎる。よく見ると稽古相撲のようだった。弱い相手にはこんな手抜き相撲もありか。

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 今日負けて気楽になった把瑠都が明日白鵬にどんな形で挑むか。理想は、白鵬と雅山が14勝1敗で決定戦を行い、本割りで負けている白鵬が勝って優勝だ。
 しかし把瑠都が白鵬を破り雅山がそのまま優勝という可能性も出てきた。どうもこの可能性が気になる。

 もしも今場所前、優勝候補を豫測したら、雅山は単勝万馬券だったろう。
 誰もが朝青龍、白鵬の名を挙げる。次いで横綱取りの栃東。琴欧州の初優勝、根強い魁皇ファン、千代大海を支持する人もいたことだろう。いきなり把瑠都優勝の豫測だって突飛ではない。だが雅山は、10勝ぐらいはするとしても、優勝とは思えない。
 まだ優勝体験はない。ないまま大関になり、8場所勤めて陥落。そして4年。これはこれでドラマである。
5/21
千秋楽

○白鵬初優勝に涙


 十両優勝は巴戦になり豊桜が優勝。北桜の弟。
 皇牙は巴戦に出場するも敗れる。新十両で10勝は立派。十両優勝力士の弓取りは叶わず。

 昭和31年に十両で弓取りをしていた力士が優勝したことがあるとか。さすがに知りません。解説の北の富士は力士の名は知っていた。もちろん彼だってまだ入門していない。

 三賞確定。雅山が殊勲、技能のふたつを受賞。技能賞は初。なんかヘン(笑)。
 敢闘賞は朝赤龍把瑠都

 北勝力勝って10勝目。初日から3連敗で十両陥落かと思った。先場所は1勝14敗。先々場所は12勝3敗。わからん(笑)。

○嘉風 豊真将
 熱戦。いい相撲だった。同学年のライヴァル。
 新入幕まで嘉風が12場所の史上2位タイ。把瑠都と同じ。豊真将が13場所で史上3位タイ。ふたりとも稀に見る俊英ということになる。嘉風はちいさなからだでどこまで行けるだろう。今場所は9勝をあげた。
 豊真将は6勝9敗。なんとか十両陥落は免れたらしい。将来性は豊真将にあるように思えるが。

○稀勢の里 黒海
 稀勢の里勝ち越す。前頭筆頭で8勝。来場所の小結は確定か。
 二十歳になった来場所は真の試金石。初日から横綱大関戦が続く。今場所安馬は砕け散った。来場所の稀勢の里はどうか。

○安馬 玉乃島
 ぎりぎり最後まで粘った安馬が勝つ。ところが物言い。
「なんで!」と思うが、ヴィデオを見るとたしかに安馬も左を庇い手のように着いている。取り直しになる。安馬をもう一番見られからいいや。
 安馬が突っ張って攻める。勇み足のように足が出てしまう。気づかず攻める。そこを止められる。負け。
 場内からはあたたかい拍手。安馬の知名度なんて全国的に低いだろう。なにしろ昨夜チラっと見たクイズ番組で東大生が日本の外相を知らなかった。麻垣康三なんてかなりマニアックなことばなのか? とすると、安馬なんて誰も知らないだろう。だけど相撲ファンで安馬を知らない人はいない。

 しかし今場所はいい相撲が多い。ひとり横綱の朝青龍と横綱を狙う栃東が休場してこんなに盛り上がるとは思わなかった。

○雅山 朝赤龍●
 雅山、見事な突っ張り。一直線。朝赤龍も引かない。正面から行く。姑息な相撲は取らない。次第次第に押されて、雅山完勝。文句なし。こんないい相撲を取る力士を嫌う人はいない。
 雅山は来場所は大関再挑戦になる。

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 さてこれで、把瑠都が白鵬を破ったら雅山初優勝だ。
 がんばれよ白鵬! 把瑠都の挑戦を退けて決定戦で雅山を破れ!
 これからも把瑠都とは横綱として戦い続ける。あちらもあっという間にあがってくるだろう。最初の闘いとなるここで負けるわけには行かない。
 14勝で優勝すれば新大関の優勝の星としては最多である。

 把瑠都は雅山戦を控えた一昨日は眠れなかったが、敗れることによって気楽になった昨夜はぐっすりと眠ったとか。気楽である。だからこわい。

○白鵬 把瑠都
 白鵬、勝てと手を合わせた。ここで把瑠都に負けるわけには行かない。誰と当たろうと、それこそ横綱と当たろうと手を合わせたりはしないが、この怪物把瑠都だけは別物である。一気にもって行かれる可能性もある。かってくれ、白鵬。
 客席の白鵬のおとうさんが手を合わせる瞬間が映る。

 ぶつかってすぐに、白鵬が投げ捨てていた。
 この相撲はどうなのだろう。一瞬だった。
 左に回るようにして左上手を取り、廻るようにして投げていた。
 把瑠都は突っ張った方がよかったのではないか。
 把瑠都をまわしを取ることに懸けたのか。
 把瑠都、初めての幕内での成績は11勝。来場所はもっとのばすだろう。

 さあ優勝決定戦。白鵬、本割りでの借りを返せ。
 今場所優勝、来場所も連続優勝、来来場所は横綱昇進だ。

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○琴欧州 千代大海●
 琴欧州、引いて勝つ。7勝7敗からの勝ち越しは、来場所角番となることを考えたら極上の一勝だが、内容は良くない。まるで千代大海のよう(笑)。でも勝ち越して良かった。

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 髷を直す白鵬に声を掛ける旭鷲山。昨日も花道で一緒にいた。
 旭鷲山の朝青龍嫌い、不仲は有名だが、白鵬はかわいがっているようだ。
 と、しばらくして場面が変ったが、またも旭鷲山が映る。白鵬に話しかけ、尻を叩き、発破を掛けている。いい光景だった。スカウトには自分も絡んでいたから、モンゴル人力士二人目の優勝が気が気でないのだろう。

 本割りでの負けは白鵬の油断負けだった。雑な相撲だった。まともなら負けない。だが雅山もここまで白星を重ねることにより充実一途だ。

 元大関の優勝は30年ぶり、魁傑以来。
 人柄のいい魁傑は人気があった。間をおいて大関に復活したのは魁傑だけ。雅山は来場所それに挑む。

 力の入ったいい相撲だった。四つになり、白鵬ゼッタイに負けのない態勢。でも焦らず、ゆっくり料理する。雅山、必死に粘るも、土俵を割った。
 白鵬が勝ったら涙が出た。我慢しようと思ったのに、アナが「自ら白鳳時代の扉を開けました」なんて言うものだから止まらなくなった。一杯入っていて情動失禁気味であったにせよ、まさか泣くとは思わなかった。相撲を観て泣いたなんていつ以来だろう。というか、過去にそんな記憶はない。今後ももうないだろう。白鵬の優勝もこれからは毎場所のように続くだろうし。

 支度部屋、髷を直す白鵬にインタヴュウ。息が上がっている。激しい相撲だった。182キロの雅山は重かったろう。

 引き上げるとき、旭鷲山と握手。把瑠都とハグ(笑)。いいシーンだった。把瑠都の明るさはいいなあ。

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 十両、幕内と決定戦が続いたので、放送が伸びた。それは計算尽くで早めに進行したはずなのだが。
 NHKは6時5分まで流した。それでもまだ不十分。優勝インタヴュウのいいところで切れてしまった。あれは3チャンネルに切り替えて、もうすこし流して欲しかった。
 で、6時5分から5分遅れで始まったNHKニュースの最初の話題が、「大関白鵬初優勝」である。だったらあと5分あのまま流してもよかったんじゃないの。

 のちに他局で乾杯の映像のとき、おとうさんがモンゴルの民族衣装に着替えていたのはよかった。客席ではスーツにネクタイで、いつも勲章をつけている(笑)。まあ客席では民族衣装を着ないのも心遣いなのだろう。

 その優勝祝賀の映像で、当然のことではあるが、白鵬の育ての親であり宮城野親方であった竹葉山は、脇の方にいて、今の宮城野親方である元十両金親が、真ん中で親方然としていた。それは先場所の大関昇進時の伝達式でわかっていたことであるが。
 先代宮城野親方未亡人に、娘婿の金親にやるから宮城野名義を返せと言われたとき、竹葉山は白鵬以下を連れて、「熊ケ谷部屋」を作れば良かったのにな。地味な力士だったからそれだけのタニマチもいず、資金的にとても出来なかったのだろうが、今後大横綱の所属する部屋として宮城野部屋が繁栄し、あの金親が左うちわになることはあまり気分が良くない。

 午後6時半からテレ朝で「グレートマザー物語」とかをやっていた。放映を今日の優勝に併せたのだろう、白鵬の母だった。テレ朝は相撲には関係ないが、白鳳優勝にほっとしたスタッフもいたことになる。
 62キロの白鵬の写真や、来日して世話になっていた大阪の摂津倉庫とかの映像が楽しかった。

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 いま計算してみたら15日間で原稿用紙換算220枚だって(笑)。ようやる。
 でも追いかけてきた白鵬の初優勝の場所を、自分なりにレポートできて良かった。

リアルタイムで書く

 ここのところ相撲は膝にノートパソコンを載せて(これぞラップトップだ)リアルタイムで書いている。毎日思い出して書くのがけっこうきついので(そりゃ毎日相撲の観戦記を5千字も書いていればつらくもなる)窮余の策として始めたのだが、これはいい方法だ。というのは、これって物書きとして勉強になるのである。
 2ちゃんねるに「実況板」というのがある。スポーツ等を観戦中の連中がケイタイで書き込むところらしい。時間遅れで見る『PRIDE』等もここを見ていれば、リアルタイムの書き込みで知ることが出来るようだ。私は一週間遅れで放送される『PRIDE』を、結果を知らずに見たいとスポーツ紙もネットも遮断するぐらいだから、「実況板」とは無縁である。
 しかし今回相撲に関して、そういう感覚でやってみたら、リアルタイムで自分の感情を書いて行くというのは勉強になると知った。

 K-1や『PRIDE』の観戦記をすっかり書かなくなってしまったが、その理由は、感動がすぐに冷めてしまうからである。その日の夜中に書こうと思っても、「まあ、いいか」になってしまう。より書きたいものがすぐに出てきて追いやられてしまう。あれもこの方法でなら書けるかも知れない。今度やってみよう。

 昨日の把瑠都はすごかった。私が見たいと願っていた完璧の相撲だった。
 それに手を入れて仕上げる。(5月20日の日記より)

相撲雑誌を読んできた(5/22)

 夏場所前に発売された相撲雑誌を読んできた。一冊だけ売れ残っていた。
 以前は父のプレゼントにしばしば買っていたが、父が亡くなってからは縁が切れていた。手にとってもいない。なるべく父を思い出すものとは関わらないようにしてきた。
 父にあげるものだったから、私自身は真剣に読んだことはない。そこまでの相撲マニアでもないことになる。新鮮だった。これを毎月読んでいたら私の相撲知識も格段にあがるだろう。今のところそのつもりはないが。
 夏場所直前特集号を夏場所後に読んだ。これはこれで味わいがあった。



①白鵬と旭鷲山
 白鵬と旭鷲山の対談があった。旭鷲山は15,6歳の時に、まだみっつの白鵬に会っているとか。その後の入門までの経緯、普段のつきあいも書かれていて、14日目、千秋楽に、部屋が違うのに兄貴分として白鵬に関わっていた心情がよくわかった。
 また「白鵬が一番強い」や「モンゴルでも一番人気がある」のような言葉から、旭鷲山の朝青龍嫌いもよく伝わってきた(笑)。白鵬自身は朝青龍にもかわいがってもらっているので問題はないだろうが、このふたりの不仲は困ったものである。原因は朝青龍の無礼にあるにせよ。
 白鵬が自分のことを「本当はすごく緊張しているのに、ヴィデオでみると顔に出ていない」と言っていたのが印象的だった。


②北桜の家族
 北桜夫人がインタヴュウコーナーに登場していた。
 以前テレビで見た北桜を応援する家族(夫人と娘)を見たとき、素朴に浮かんだ疑問があった。
 娘さんが大きすぎるのである。中学生ぐらいだ。いくら幕内最年長とはいえ北桜はまだ34歳。二十歳で三役になっていたような早熟の天才ならともかく(それでも早すぎるが)、出世の遅い苦労力士なのだからそんな早い結婚はあり得まい。こんな大きな娘がいるのは不自然だと思った。

 奥さんは38歳の年上の人と知る。娘は14歳。長いつきあいを経て6年前の幕内昇進時に入籍したとある。
 博多で店を経営していたとかの奥さんのプロフィールから、九州場所で知り合ったバツイチ子持ちの年上女性に北桜が惚れて、6年前に結婚したと解釈するのが普通だろう。

 だがそのことに触れられていない。そして、娘さんが北桜に似ている気がする?
 となると、二十歳の北桜が二十四歳の奥さんに産ませて長年日陰の身にしていたのか?
 その可能性も1%ぐらいはあるのか? ないと思うけど。

 まあそんなことはどうでもいい。
 奥さんが北桜に惚れ込んでいる様子が伝わってきていいインタヴュウだった。


③充実の附録
 小冊子の附録は「決定的瞬間」。私の知らない双葉山から、懐かしい初代若乃花、そしてあの連勝がストップした大鵬の一戦、貴ノ花と北の富士、ついこのあいだの貴乃花と雅山、朝青龍と琴ノ若まで、疑惑の判定となった相撲を決定的瞬間の写真とともにまとめてある。これは貴重だ。この附録だけで買う価値がある。
 さらに小気味よかったのが解説。疑惑の判定に対して相撲協会に手厳しい。これは秀逸。いわゆる「同体取り直しになったのはしかたない」のような視点はなく、それどころか「こんな疑惑の判定をするのはよくない。あきらかに××の勝ちである」のように、スパっと言い切っている姿勢は見事。
 もちろん朝青龍対琴ノ若は、琴ノ若の右手は庇い手で、琴ノ若の勝ちとしている。当然だ。朝青龍のブリッジを使ってまでの勝負への執念はそれなりに見事だが、琴ノ若の相手を怪我させないための庇い手のほうが美しい。大鵬の連勝ストップがヴィデオが導入されていなかった最悪の出来事だとするなら、これはヴィデオを重視しすぎた最悪の一番だろう。

④詳細な記録──オタクへの道
 巻末に十両以上力士の詳細なプロフィールがある。
 年齢、出身地、身長体重は当たり前だし、既婚(妻の名と子供の有無)獨身の記述もふつうだ。
 でも家族との続柄まで書いてあるのには驚いた。たとえば「建設業の父の次男」のようにである。把瑠都や琴欧州はなんて書いてあったろう。見なかった。

 「最終学歴」まである。おもしろいと思ったのは、力士の場合、中卒と大学卒(中退)の極端に分かれ、高卒がいないことだった。朝青龍のような「明徳義塾高校中退」は珍しい。
 学歴に興味がないので知らないことばかりだった。まず御大の朝青龍でさえ私は卒業していると思っていた。でも元々プロの力士を目指しての来日である。高校相撲で頭角を現しやっていける目処がついたら中退して当然か。

 琴欧州は大学二年中退になっていたが、把瑠都は高卒になっていた。彼も大学中退のはずなのだが、この辺の線引きはどうなっているのだろう。
 その大学相撲出身力士に、近年は中退が目立つのが興味深かった。むかしは一応卒業していたのである。輪島のような試験のとき名前しか書けない人も。

 しかし彼らにとって大学はプロになるかアマになるかのモラトリアム期間でしかない。プロでやって行けると目星がついた時点で、だったら早いほうがいいと中退するのが今の世の流れなのだろう。たしかにやれそうだと二十歳で目処が付いたのに、大学を三年、四年とやってアマ横綱になっても意味がない。さっさと中退して、すこしでも早い出世を志した方がいい。

 私が力士の出身大学で覚えているのは、豊山の東京農大、輪島の日大、朝潮の近大などである。
 出島が好きなので中央大学は覚えていた。あと、旭鷲山がいま早稲田で学んでいること。時天空の東京農大。岩木山は青森大学だったか。
 学生相撲にまったく興味がないので、そういう好きな一部の力士以外知識がなかった。出島で覚えなかったら中央大の相撲部が強いなんて永遠に知らなかった。中央大と言ったら、法学部と八王子しか知識がない。

 雅山が明治中退と知ってへえと思う。そうだっけ? 日大か専修と思っていた。日の出の勢いで大関になるころ、郷土力士として茨城新聞で大々的に扱われていたのに、興味がないので記憶しなかった。好き嫌いってのはおおきい。
 まあ基本は、学卒力士が嫌いだからである。

⑤大鵬絶賛
 大鵬が把瑠都を絶賛していると知る。いやそりゃ誰もが絶賛なのだが。あの大鵬が、
「相撲に関わって五十年以上経つが、あんな力士は見たことがない」だって。
 う~む、横綱間違いなしだ。浜ノ嶋、金の卵を見つけたな。

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 朝青龍と白鵬で「龍鵬時代」の呼称が定着しそうである。いちばん響きがいいしこれで文句なしだろう。
 白鵬が横綱になったら「柏鵬」に解明するという案もあった。「最初から柏鵬にしたかったが大横綱ふたりに失礼と、白鵬にした」とも伝えられた。どうなるだろう。

 把瑠都があがってきたら「龍鵬時代」はどんな名称になるのか。う~む、あんまりいいのは思いつかない。
 朝青龍もまだ25歳。衰える年ではない。
 もうすぐ魁皇と千代大海は引退だ。1年後の勢力地図はどうなっているだろう。

※ 読売新聞社発行「大相撲」5月号。

今日の白鵬(5/22)

 朝7時半にみのもんたの『朝ズバ!』に出演。部屋からの中継。眠そう。
 それを見るために『朝ズバ!』をつけておいた。7時半頃と思ったが6時から(笑)。出るとしたらここだと思っていた。みのもんたの人脈である。
 みのは朝青龍と親しい。よく飲んでいる。そのとき白鵬も同行したらしい。「また3人で飲みましょうよ」と言っていた。
 みののいいところは、『Hero's』の秋山ともそうだし亀田兄弟ともそうだが、「わたしはニュースキャスターじゃありません。一芸能人です」と言って、こういうつきあいをすることだ。これはクメヒロシやチクシには出来なかった切り口である。
 でも、秋山も亀田もTBSが売り出しているからみののTBSの番組に出るのは当然とも言える。朝青龍や白鵬のほうが価値があるか。

 初優勝ということから「今場所が一番調子が良かったんじゃない」とみのが質問。
 これがみのの悪いところ(笑)。雰囲気だけでしゃべるいいかげんさ(笑)。
 まだ眠くて頭が回転していない白鵬だったが、これにはしっかり「大関にあがったばかりなのでお祝いとかが多く、やっと間に合ったような状態だった」と、すこしも状態はよくなかったことをしっかり言う。それは当然で、だから新大関、新横綱の場所はむずかしい。それを14勝という新大関としては最多勝の優勝で成し遂げたのだから白鵬はすごい。朝青龍や栃東がいてもこの星は動かなかったろう。
 

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 テレ朝の朝のワイドショーも、把瑠都と白鵬を特集。中途半端だったし、勢揃いしたサヨクコメンテイタがみな相撲に詳しくなく、なにもしゃべれない。失敗企劃か(笑)。
 トリガイが、把瑠都に白鵬で、あとは朝青龍と琴欧州……外人ばかりだとなぜかここでは国粋的なことを言っていた(笑)。それにすら誰も意見を挟まず。安易な企劃。まあ相撲ファンとしてはないよりはまし。

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 深夜、午後11時過ぎのフジテレビスポーツニュース出演。
 スタジオの客席にはおとうさんも。


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