平成十七年春場所-白鵬と琴欧州


初日3/13(日)  白鵬初日完敗!
 審判部は盛り上げるように取り組みを組む。だいたいは番付で決まるし素人でも予測がつくからあまりに奇を衒ったことも出来ない。それでも話題の小結あたりを初日にぶつけるか終盤のお楽しみにとっておくかは審判部の胸三寸である。

 貴闘力が幕尻で優勝したとき、下位力士とばかり当たって12連勝したら、いきなり13日目に横綱にぶつけられたのはひどかった。とはいえそれをさせず幕尻で横綱大関と当たらず全勝優勝されても困るから、それはそれでファンのことを考えたと言えなくもない。なによりも今は落ち目の貴闘力が関脇小結の常連の強豪だったという意味合いもある。その横綱戦で負けて12勝2敗となり、千秋楽で本来の番付の相手とやって勝ち、なんとか13勝2敗で優勝できたからいいが、あれでさらに番付の基本を無視して上位と当て優勝できなかったら、それはそれでまた非難がわき起こったことだろう。むかしの平幕優勝にはこんなことはなかった。それにしても幕尻の優勝は劇的だった。

 先場所初日に朝青龍白鵬戦を組み、初日としては最高の懸賞(23本だったか)でそこそこの話題になったが、結果的にあれは失敗だった。朝青龍が獨走し、白鵬が追走したから、対白鵬戦は終盤の楽しみにとっておくべきだったとなったのだ。その轍を踏まないように今場所はそういう取り組みにした。白鵬の相手は3戦3勝の垣添である。楽勝であろう。
 同じく角番の魁皇は初日若の里、二日目岩木山と相性のいい(魁皇が大きく勝ち越している)相手と組んでもらえた。この辺にも魁皇に(白鵬があがってくるまで)大関から陥落しないでくれよ、との相撲協会の意志を感じる。それでいい。そういうものである。
 相撲協会の思惑としては朝青龍と白鵬が全勝で勝ち進み12日目でぶつかるとき最高に盛り上がる、というものであったろう。どちらかが優勝だ。3戦3勝の垣添は白鵬が気持ちよくスタートするための噛ませ犬だった。
 なのにその安全牌の垣添に白鵬が完敗するのだから相撲はおもしろい。舞の海が指摘していたが白鵬には立ち会いにまだ課題がある。私も前々からそう思っていた。どんな突進でも栃東が「スライムのよう」といった柔らかい上半身で受け止められる自信があるからか、速さのない、情熱のない(?)立ち会いをする。きょうも迷うことなく情熱一途に突進してきた垣添を受け止め、よけいな右からのかちあげをやったため右脇が開いてしまい、そこに潜り込まれての完敗だった。アナも解説の北の富士も、本場所でも稽古場でも白鵬のこんな完敗は最近見たことがないとおどろくような負け方だった。といって先々場所、豪快な投げの打ち合いから琴欧州に裏返しにされたような完敗ではない。要するに「なにもできかなった」の完敗である。白鵬にはまだこんな奇妙な負けが多い。上位の横綱大関を完璧に破っておきながら、下位に油断負けとはまた違う「勘違い負け」みたいな負け方をするのだ。12勝3敗、11勝4敗なんて成績のとき、2敗はそれである。相撲は負けて学ぶ。この敗戦でふんどしを締め直してくれるといいが。

 ふんどしを締め直すと言えば、よくジャイアント馬場が気を引き締めてがんばらねばならないというときに、「タイツの紐を締め直して」と口にしていた。ふんどしの紐を締め直すを彼流にアレンジして使っていたのだろうが、耳にするたびにそのことを思い出してしまい、使わなければいいのにと思ったものだった。

 横綱に挑む初日の話題取り組みは琴欧州。でもなぜかきょうは気魄が見えなかった。案の定完敗。朝青龍のファイティング・スピリッツのみが燃え上がっていた。明日からの白鵬が楽しみだ。

二日目
 白鵬連敗!
 白鵬が黒海に敗れて初日から連敗した。
 同じく注目力士小結琴欧州も連敗だがこちらは初日が横綱戦でありきょうも負けとはいえ土佐ノ海と土俵際投げ合いの末の見応えある相撲の結果だった。こちらは気に病むことはない。白鵬の話題が先行しているが初土俵以来14場所連続勝ち越しでの三役は朝青龍、小錦と並ぶ最速記録であり、負け越しなしの三役となると曙しかいない大記録である。記録から大関横綱急であることは間違いない。なによりあんこ型にならないのがいい。私がサモアン力士にもういっぽ感情移入できなかったのはそれだった。
 対して白鵬は垣添、黒海という対戦成績も圧倒している番付的に下位の力士に完敗の連敗である。関取になってから初めての体験になる。こちらのほうが遙かに深刻だ。原因はハッキリしている。立ち会いだ。あの腰高の、横綱が稽古場で下位力士に胸を貸してやるような立ち会いを本場所でやっていたら隙をつかれる。最近の白鵬はあまりに強くなり稽古場でもそういう形の稽古をしても負けないらしい。しかし本場所は違う。みな一番一番に案を練ってくる。これはあきらかに慢心と言えるだろう。

 考えてみるがいい、なぜ稽古場で誰も寄せつけない実力最強の横綱千代の富士が本場所では下位力士に事前に負けを納得させる八百長横綱であったのかを。稽古で百戦百勝しようとも本場所では及びもつかない変化技等がある。千代の富士はそのことによって星を落とすことを畏れた。相撲界に空前絶後の金字塔を築くためにそういう負けは避けたかった。よって言って含める。渡すものも渡す。言われたほうはまともにやっては絶対勝てない最強横綱から頼むぞと言われてもらえるものがもらえるのだからなんの不満もない。寺尾のように最強横綱と真剣勝負をしてみたいと申し込みを受けつけない力士は本場所で吊り落としという屈辱的な技でたたきつけ翌場所からは申し込みを受けるようにさせた。千代の富士は最強だった。最強ではあるがそこまで気遣いをした。それはまた最強だと誰もがわかっているから受け入れられたことでもある。そうしてあの数字的記録を作った。さすがに優勝回数だけは大鵬に遠慮したが。本場所にはそれほどの魔が住んでいる。

 これで今場所後の白鵬の大関昇進はなくなった。これから残り13戦を全勝して14勝1敗で優勝の朝青龍に次ぐ準優勝という目も万分の一ほどなくはないが、いくら何でもそれは無理だ。すべてはそれ以前の問題になる。こんな負け方をしていてはその資格がない。星取とは関係ない。若さが挑戦者としての気魄が相撲にない。

 ここで憶えておくべきことは人為的な障害がなかったということである。小錦はあきらかにデブの黒んぼを横綱にさせたくない日本人の意志によって横綱になれなかった。あれは明らかな人種差別だった。同じく白鵬に対しても史上最年少大関という記録をモンゴル人に記録させたくないと阻む動きがあってもおかしくない。たとえば初日から強い相手、苦手な相手をぶつけて連敗させ昇進の可能性を早くから断ってしまうようなやりかただ。それは一切なかった。それどころかどんな形でも話題の欲しい相撲協会は初日に白鵬が過去3戦3勝の垣添を持ってきて気持ちよく白星発進をしてもらおうと意図した。朝青龍と白鵬が全勝で勝ち進んでゆく形で場所を盛り上げたかったのだろう。ファンも皆それを期待していた。その気配りを白鵬は腰高の立ち会いで自らつぶした。
 白鵬が全敗している苦手に若の里がいる。いまこうなってみると、垣添なんて安全牌を選ぶくだらん気配り(それは垣添にもわかっていたからより発憤したことだろう)をするのではなく、一度も勝ったことのない若の里を初日にぶつけ、大関になりたかったらこの試煉を超えてみろとやったほうが勝つにしろ負けるにせよ良い目に出たように思う。過保護が裏目に出た。
 でもねえ、今場所に全勝朝青龍を唯一追いかける気鋭の白鵬、というシナリオを興行主が描くのは自然だ。うまくゆかんものである。しかしここで周囲の気配りの思惑通りにうまくいってしまったら、さすがに人柄が良く素直な白鵬でも天狗になったろう。いい試煉である。願わくば来場所を真の大関取りの場所にするために10勝を確保してもらいたいと思うが果たしてどうなるか。立ち直って結果的には二桁を記録するのか。それともこの連敗はもっともっと尾を引くのか。目が離せない。

【メモ】
 午後からパソコンに向かい、あれこれ書いたりCDをMP3で入れたりやっていて、ふと気づいたら午後六時を過ぎていた。部屋にいながら相撲を見過ごしたのである。二ヶ月ぶりなのでまだいつも図書館や本屋に出かけていたこの時間に大相撲中継があるという実感がなかった。初日は日曜でもありきっちり観たのだが。
 午後九時のニュースで白鵬が連敗したことを知る。関脇が平幕に負けた程度のことだから取り組みは見せてもらえなかった。深夜零時十五分からのダイジェストで観る。あらためてダイジェストはつまらないと思った。次第に盛り上がる三分間の仕切りが大事なのだ。
 平日の午後四時から六時までテレビ桟敷で大相撲を観られるのは会社勤めをしていない者の数少ない特権である。甘んじて享受させてもらおう。外出する用事があるときは録画だ。とにかくダイジェストでは観た気がしない。
「おれが応援していれば白鵬に連敗はさせなかった」と本気で思った。
三日目
 白鵬、琴欧州三連敗!
 琴欧州は対大関栃東戦。史上初の二度目の大関復帰を成し遂げた栃東も今場所は二連敗のスタート。いい相撲になったがなかなかまわしを取れず自分の形にもって行けない琴欧州が我慢しきれず引いてしまい栃東の勝ち。初日が出た。
 琴欧州三連敗だがこれは連日上位と当てられるこの位置、小結の宿命。いい試煉だろう。先場所白鵬はこの位置で横綱大関を破って大旋風を巻き起こし、それでいてたいしたことのない力士に負けて11勝4敗とかそんな成績になった。まず出来ないことである。みなここで一度は挫折する。なのに軽々と突破した。そうしてだからこそと期待された今場所、下位力士に負けて続けての三連敗である。同じ三連敗でも問題点がまったく異なっている。
 白鵬は対栃乃洋戦。連敗を反省したのか前日までとは違っていい立ち会い。しかし腰の重い栃乃洋ががっちりと受け止める。この人も大好きな力士なのだがけっきょくは三役止まりになってしまった。現役力士で期待したのに残念といえば真っ先に土佐ノ海と栃乃洋を思う。じっくり構えればいまの力関係から白鵬確勝だったろうがそこから強引な投げを打ち、腰砕けになったようなところに体を浴びせられての負け。こんなみっともない白鵬の敗戦も観たことがない。なにしろ誰もが讃えるのが驚異的な足腰の強さであり、腰砕けになるような場面でもねばり強くそうならないことなのだ。それが自分から仕掛けて腰砕けのすわり込むような形になったのだから無惨である。勝ちを焦ったこの強引な投げが連敗から来ているのはまちがいない。出口のない闇のトンネルにはまったか。どんな時でも表情を変えず(だからこそ先場所の負け続けていた千代大海を突き飛ばして初めて勝ったときの闘志を前面に出した顔はよかった)肝の太さばかりを讃えられていた青年(まだ少年か)も、ふつうの人なのだとわかった。ほっとする。怪物じゃない方が良い。
 それこそ全勝で終盤まで行き朝青龍と雌雄を決して欲しかったのだがまったく逆の成績に、これはこれで今場所どうなるのかといっそう深く興味が湧いてきた。もしかしたら初の負け越しをして一から出直しとそんなことまでありうるのか。それはないと思うのだがいつどう復調するのか目が離せない。

「史上初、二度目の大関復帰を成し遂げた栃東」だが、私はこの人を観ているとプロレスラの藤波を思う。恵まれない体力を努力で補う技巧派である。判官贔屓の日本人には受ける。恵まれた体力の天才肌が好きな私にはともに興味のない人になる。たぶん栃東ファンと藤波ファンはかぶるだろう。相撲ファンとプロレスファンがどれぐらい重複するものかわからないが。

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●上級者への道
 琴欧州が我慢しきれず引いて負けた相撲を私は引いてしまった琴欧州の弱点と解釈したのだが、解説の伊勢ノ海が「相手の技を封じて引かずにはいられないところまで精神的に追い込む栃東の巧さ」と言ったので感嘆した。
 先日chikurinさんが「なかなか落語初心者を抜け出せない」と嘆いていた。私も物心つくころから相撲を観てきて自分なりに詳しいつもりでいるのだが、毎日解説を聞くたびに、いや解説以前にアナウンサのなにげないひとことにハッとさせられ、自分は通ではないのだと思い知らされる。解説でその瞠目するような意見を言うのが現役時代コバカにしていたような平幕止まりの力士だったりするのだから餅は餅屋と脱帽せざるを得ない。
 アナも奇妙な決まり手が出たとき、迷うことなくその技の名を言ってさすがだと思わされる。現実の決まり手はアナの言った珍しい技の名ではなく平凡なものになることが多い。アナとしては手首をとったり首を取ったりして体を泳がせたあと寄り切ったとき、その決め手となったマニアックな技の名を言うのだが、場内は簡明に寄り切りをとるのである。プロレスで言うなら「垂直落下式ブレインバスタから体固め」に、アナは垂直落下を言うのだが記録は体固めであるようなものだ。毎回アナの咄嗟の判断にさすがと思わされている。プロレスの場合、とくに詳しかった若いころは、実況アナの言う技の名に不満を感じたり間違いを指摘したことはあっても一目置いたことはなかった。解説もポツリと言う馬場のひとことに味わいを感じたことはあってもアナにも解説にも感じ入ったものはない。さすがに相撲は奥が深いなと思う。

 とはいえ誰も彼もというわけではない。NHKも評判のいい解説者を発掘しようと努力しているようであれやこれやと連れ出してくる。でもたとえば水戸泉などはこちらが感服するようなことを言ったことはない。優勝経験もあるし塩を派手に撒くことで人気のあった人だが、基本は大柄な体の力相撲だったからだろう。案の定うならせてくれるのは現役時小兵で苦しんだ技巧派力士である。舞の海がうれっこなのは偶然やコネではない。真に解説がすぐれていて素人にもわかりやすいからだ。だって168センチだものね。それでいて270キロの小錦と闘っていたのだ。
 たまに出演する貴乃花もあの陰鬱そうな話しかたとサーヴィス精神不足からあまり人気はないようだが、ことば数のすくない中に獨自の視点と発言があり、小兵で苦労した舞の海とはまた違った意味の地位を極めた人の凄味を感じる。

 餘談ながらその水戸泉や貴闘力は人柄の良さからNHK関係者に好かれているのかよく登場する。最近、長州力が大好きでそこから四股名をとった貴闘力(現・大嶽親方)がおどろくほど顔が長州に似てきたのでおどろく。遠目で見たら勘違いするほどだ。これまた「朝鮮人は老けると……」の典型になる。血とはあのように濃いものなのであろうか。大陸や朝鮮やらが入り交じっている日本人にあのような顕著な傾向は出ない。朝鮮民族の方がずっと純粋な血脈をもっているのだなとその血の濃さに感服する。それをかっこいいとはおもわないのだけれど。

 昨年のもう夏ぐらいになるが、2ちゃんねるの「相撲」を覗いたことがある。オタク的な知識があふれているのであきれかえった。みな「自分が生まれる前の相撲」について語っているのである。三十か四十ぐらいの人(2ちゃんねるでは長老だ)が知ったかぶりであやふやな知識を披露するとその間違いを指摘するのがそのときにはまだ生まれていなかったという二十歳前後の連中なのだ。いったいどうなっているのかとその知識のすさまじさに感服しつつも首をひねった。
 こういう場合、だけどオレはおまえらが生まれていないその前から本物を観ているものなと居直って自分を鼓舞する発想もあろうが私にそれはない。私は素直に「おれの体験にこの知識があったら完璧なのだが」と高望みをしてしまうのである。しかしそのためには生活と趣味をもっともっと相撲に集中させねばならないだろう。私のように漫然と相撲を何十年楽しもうと(徹夜で国技館に並んだりもしたのだからそれほど漫然でもないと思うのだが)相撲博士にはなれないということである。

 かといって私はその驚異的な博識を誇る若者にびびっているわけではない。彼らが私と話したなら、自分たちの観たことのない力士を生で観てきた私の話に目を輝かせて聞き入るだろう。そういうものである。私の勝ちだ(笑)。私は学生時代、雨の日の飯場でシンザンを実際に観てきた人の話に熱心に聞き入った。土方に競馬博識はいない。雑な競馬知識の人で私の方がすでに遙かに知識は持っていた。だがそのことと生で観てきた人への憧憬は別物だった。そんなものである。結論は出ている。
 私は相撲博士になろうと志してもいないし今から相撲を仕事の一分野にしたいとも願っていない。本場所開催中にテレビ桟敷で観戦し日々を楽しめばいいのである。そう割り切ってはいても毎日一回は「そうだったのか。さすがだなあ」と思わされると、道を究めることの難しさを感じさせられる。人より秀でるためには狂人かと思われるぐらいの熱中の日々が必要なのであろう。私が唯一それをやったのは競馬場通いになる。掛け値なしに土日は中央、平日は南関東と千日間競馬場に通い詰めた。とすると私はやはりここから居直らねばならないのか。そうか?

 chikurinさんが落語通になるには「また落語の話かよ」と落語に興味のない日記愛読者にうんざりされるぐらいの熱中、いや偏向と偏執が必要だろう。そうして叶う。だけどそれは望ましい展開なのだろうか。日記をつまらなくさせないか。
 もうひとつは年期だ。これは齢を重ねればついてくる。その二つが揃って完成する。かねあいが難しい。思うのは持論である【得ることは失うことだ】である。
四日目
 白鵬対琴欧州──名勝負数え歌へ
 きょうの取り組みはともに三連敗の白鵬対琴欧州戦。本来なら好成績同士の終盤の目玉となるはずだったカードが前半の白星なし同士のつぶし合いとして実現した。皮肉なものである。審判部の作った意地悪なカードだ。これでどちらかは片目が開く。あ、これも差別的表現か。むかしはよく片目が開いた、これで両目が開いたと使ったものだが、近年聴いたことがないと気づく。対戦は今場所で三回目、三場所連続。これから十年、優勝を決める大一番として数々の名勝負を繰り広げてゆくだろう黄金カードである。
 張り手を交えた激しい攻防のあと四つに組む。白鵬が右下手をとる。あとはまわしは取れない。両者動かないまま1分経過。いつもならすぐに攻める白鵬が動かない。琴欧州の懐の深さに、と考えるところだが、きのうの焦って動いて自滅した栃乃洋戦からの反省だろう。こういうのも毎日見ていないと思いを馳せることは出来ない。
 琴欧州が上手をとったところから攻勢に出るが土俵際で白鵬の豪快な下手投げが決まる。初日が出てほっとした顔の白鵬。ライヴァル対決に敗れて4連敗となった険しい顔の琴欧州が印象的だった。その後解説席に琴欧州がなにを話しかけてもひとことも返事をせず、まわしを着けたまま風呂場に入ってしまったとレポートがあった。よほど悔しかったのだろう。
 白鵬はここから復調し、まあ勝ち越しは大丈夫だろう。貴乃花の記録を破る最年少大関取りはかなり微妙になった。今場所はとりあえず勝ち越す程度だろうから来場所優勝に匹敵する星が必要となる。
 琴欧州は4連敗から勝ち越しに結びつけられるだろうか。対戦相手的にはもう強い上位はほぼこなした。あとは魁皇、千代大海ぐらいだがどちらかには勝てるだろうから下位に順調に勝てば10勝5敗となるがそこまで単純にもゆくまい。15場所連続勝ち越しの記録を作るにはあと3敗しか出来ない。どうなるだろう。目が離せない。

 解説の秀ノ山(元関脇の長谷川。昇進に充分な成績を収めつつも弱小部屋の悲劇で大関にしてもらえなかった悲劇の人)が「琴欧州の相撲がちいさくなっている」との指摘。私もそう感じていた。初日から善戦しているのだがなんか覇気がないような相撲だ。もっと荒っぽくてもいい。さらに「三役になると守りの意識から誰もがそうなる」とのこと。なるほど。アナもうなっていた。たしかに三役は、というかこの場合、三役とは大関、関脇、小結のことだから関脇、小結という地位のことになるが、平幕とは違って給料も上乗せされるし、大関への足がかりの地位だから、守りたい意識が出るのだろう。金星をあげたときのインタヴュウはもちろん普段の放送でも、「三役に返り咲きたいところです」「三役への定着を狙って」「充分に三役の力はある人なんですが」と三役は頻繁に口にされる。新世代の琴欧州にもその意識があるとしたらおもしろいものである。

 今場所は白人力士としては先輩の黒海がここ二場所連続7勝8敗という悔しい負け越しで微妙に番付を下げ、琴欧州に追い抜かれた悔しさからか意地を見せている。琴欧州も永遠に勝ち越すわけにも行かない。今場所の決着はどうなるのだろう。
 しかしまあこういう話題の若者がこんな成績で苦しんでいるのを尻目に朝青龍の強いのなんのって。今場所から黄金のまわしをつけたが誰もまだそれに触れていない。まわしに触れるまえに敗れている。果たしてこのまわしに最初に土をつけるのは誰になるのだろう。そしてまた大事なことは朝青龍もまだ二十四歳の若者だってことだ。外国人横綱というと曙、武蔵丸だが、朝青龍は大関を三場所で通過した彼らよりも遙かに大物であることを忘れてはならない。

【附記】3/18 ニッカンスポーツより

琴欧州絶叫、雅山驚いた/春場所

<大相撲春場所>◇4日目◇16日◇大阪府立体育会館

 熱戦の末、白鵬の右下手投げに敗れた琴欧州(21=佐渡ケ嶽)が風呂場で絶叫した。報道陣に対しては連日の無言だったが、初日から4連敗のふがいなさからか「バカヤロー!」と日本語で絶叫した。

 これに驚いたのが、先に入っていた雅山。「怖かった。自分に言ってきたと思ったよ。迫力あったわ。あまり感情を出すタイプじゃないのにね」と苦笑。初白星を挙げた喜びもそっちのけで、「あした(琴欧州と)対戦するんですけど。しかしこんな時に当たるかな」と話していた。

五日目
 白鵬、琴欧州、ともによくない勝ちかた
 白鵬が重い岩木山をむりやり振り回すような出し投げでくだす。あまりに強引で褒められた相撲ではない。きのう勝って楽になったと言い、解説も相撲がよくなったと言っていたがまだまだである。力士というのは負けが込むと相撲がバラバラになってしまうのだなと確認。

 琴欧州が立ち会い変化で雅山がバッタリ。初日が出た。こういう相撲は琴欧州にとってもらいたくないところだがこれは先場所の続き。先場所、変るはずがないと思われた幕内最重量の雅山が変化。まさか変化するとは読んでいなかった琴欧州は両手をついてしまい憤懣やるかたない(今の時代なら十人中九人が"憮然とした"と誤用で書きそうだ)表情だった。あの悔しそうな顔は今も憶えている。「そんなことをするのかよ」「これが相撲なのかよ」とでも言うように口をとがらせた。変化した雅山にも罪悪感はあったらしく「もう年だからね、いろいろやらないと」との弁明が報じられた。
 まるでその先場所の逆。それを知っていたから琴欧州の怒りが今も続いていたかと納得できたが、それを知らないと、でかい体で狭小な相撲をとると非難されるところだろう。しかしこういうのって、先場所それをしたから今場所はやり返されるとは思わないのであろうか。ひどいことをした、仕返しをされるかも知れないとすこしでも思っていたならああも簡単に雅山も落ちないと思うのだが。

 激しい突っ張りあいや四つに組んでの熱戦には大きな拍手が湧く。対して変化技(注文相撲と言うのが通)での決着には失望のため息が漏れる。ひどいときなんか五戦ぐらい続いたりする。
 二場所前、白鵬も変化技をした。これはそういう相撲のあらゆる決まり手を全部やってみたいという好奇心のようだった。きょうの琴欧州はやられたことの仕返しである。ともに大物なのだからそんなことは今後して欲しくない。来場所の琴欧州対雅山がいまから楽しみだ(笑)。互いに変化を警戒した立ち会いになるだろう。


 左は朝青龍の入幕後の成績。東前頭6枚目で9勝から小結になることはまずめったにない。最強の貴乃花が膝の怪我で長期休場し武蔵丸がひとりでがんばっていたころか。層が薄かったとはいえ上が揃って負け越さないとあがれないから強運も感じる。

 2ちゃんねるの「相撲」に異様に詳しい若者の相撲オタクが多いと書いたが、彼らはこういう話題のとき、「××年××場所のとき、××は前頭×枚目から8勝7敗でいきなり関脇になった」なんて知識を持っているのである。いったいどこから手に入れてくるのか。いや手に入れる方法はわかるがそれを身につけている若者とはどんな日常を送っているのか。理解に苦しむ。

 横綱になってからの途中休場を覗けば入幕後の朝青龍の負け越しはただ一度。それが小結時代である。いかにここが難しい地位であることか。初日から横綱大関と連日取り組みがある。白鵬はここを突破した。琴欧州はどうなるか。

 朝青龍の不幸はライヴァルがいないことにある。力の拮抗した相手がいない。昨年名古屋場所のふがいない成績もモンゴルへ里帰りしていての稽古不足による慢心から来たものだった。その隙をついて魁皇が優勝し九州場所は綱取りかとなったが反省した朝青龍が復調すればもう魁皇に優勝の目はなかった。力が二枚も三枚も違う(これ、番付から来た相撲用語だ)のだから仕方がない。

 ライヴァル不在からどうしても朝青龍の評価は歴代横綱と比して低くなってしまう。そうなりがちだ。大鵬なんてライヴァル柏戸はもちろん佐田の山に北の富士、玉乃島と後輩の横綱相手にあれだけの記録を作った。逆に言えば彼らだって大鵬さえいなければもっともっと記録は伸びた。それは千代の富士時代の北勝海、大乃国等にも言えるが。
 しかし今の朝青龍の強さは歴代の名横綱と比してもいささかの遜色もあるまい。ただし私の譬喩で言うと彼は完璧にチューンナップされた2000CCのスポーツカーだからダンプカーと力勝負になったらどうなるだろうとの思いがある。ダンプカー、すなわち小錦や曙である。あの速さで翻弄したと思うがこれはかなわぬ夢である。
 さいわいにも朝青龍はまだ若く古傷がない。大きくない人だからどこか傷が出来たら一気にガタっといってしまう可能性は高い。今場所も全勝だろうか。負かせるとしたら二月のトーナメントでも朝青龍を破って優勝した白鵬しかいないのだが。
六日目  白鵬安心、琴欧州心配
 白鵬は対旭天鵬戦。先々場所変化で負けたことがあるので慎重。よく見て立つ。四つになると旭天鵬も懐が深く強いのだが、左上手からの出し投げを打つと旭天鵬は土俵を飛び出して砂かぶりまで吹っ飛んでゆく。白鵬は土俵上でそれを見送る格好。今場所初の底知れない白鵬の強さが出た。これで3勝3敗の五分。あとはもう安心してみていられる。が明日は難敵の若の里戦。今までの対戦成績は3戦3敗。3戦していちども勝っていないのは若の里だけである。あとは横綱、大関にも勝っている。今場所の若の里は三年ぶりに平幕に落ちて不調。ここを突破できないようでは白鵬のお先は暗くなる。見逃せない一戦だ。

 琴欧州は初の魁皇戦。先場所魁皇が途中休場したので実現しなかった。四つになるかと思われたが魁皇が琴欧州の左をたぐっての送り出し。これで魁皇も今場所の勝ち越し、大関の座は安泰。解説の玉ノ井親方(先代栃東)は四つ相撲を期待したがこれはこれで勝負。琴欧州も魁皇にはたぐりがあると学んだろうとの意見。一場所毎に学び強くなって行くのだと。
 一方魁皇からは不満足なコメントが寄せられる。やはり大関としては四つに組んでぶん投げたかったのだろう。たぐりはいわばすかし技だから初対戦の新鋭にそんな手段で勝ったことを魁皇は潔しよしとしなかったようだ。
 これで琴欧州は1勝5敗。あと残す上位は大関千代大海だけになった。これは先場所勝っている。横綱大関関脇、自分より上の地位の取り組みはこれで全部済む。さてここから勝ち越せるのか。これまた目が離せない。

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 最強旭鷲山の内無双
 旭鷲山は幕内を上がったり下がったりして自在に生きている。負け越すと十両陥落という地位になるとしっかり大きく勝ち越して安心の地位まで上がり、そこでまた適当な相撲(星の売り)をとって定着している。たぶん彼にとっての相撲人生とは一日でも長く給料百二十万の幕内にとどまり、英雄である故国の旭鷲山基金を発展させることなのだろう。関脇小結にあがっての活躍には興味がない。かといって給料が下がる十両は屈辱なのだ。この長年の定着ぶりはあそろしいほどである。
 ちなみに故国モンゴルでは最初の英雄でありそういうことに熱心なため、今でも最高の相撲英雄は旭鷲山である。朝青龍はそういうことが好きではなく社交もへたなため最高位にいながら旭鷲山ほどの賛辞は集めていない。
 勝つべきときにはしっかり勝つ旭鷲山は私にとってかつての「前座の藤原」と同じく飄々と負け役をやっているがじつは最強なのではないかと思う怖い人である。

 その旭鷲山がウランバートル市の市長が観戦に見え、また愛娘も初めて会場に観戦に来ているとかで本気になり、左手で相手の右手首をつかみ、右手で内無双という凄い技で勝った。この人が悠々自適の相撲人生を送っていられるのも、こういうその気になったら相手を怪我させることの出来るモンゴル相撲の技をもっているからだ。それは核兵器のように抑止力になる。
 日本の相撲は死に体になったら怪我をしないように体を守るのが基本である。土俵のないモンゴル相撲では倒れる寸前に相手の足首をつかんだりする技がある。琴ノ若が朝青龍を負かしたのに朝青龍は死に体でもブリッジのような形で粘り、自分が怪我をしないことはもちろんだが相手のためにも庇い手をした琴ノ若の右手が同時という判断になったことがあった。撮り直しになれば横綱のものである。あれは審判部の判断ミスである。不平不満を言わない琴ノ若はあれでまた男を上げた。
 高見盛とにらみあいをやったり、旭鷲山の相撲人生は悠々である。
七日目  きょうの大相撲はクルマのラジオで聴いた。白鵬が若の里に負けた。これで4戦4敗。いつ勝てるだろう。唯一の苦手になる。3勝4敗でまた黒星先行になった。
 琴欧州は千代大海に負けて1勝6敗。初の負け越しが目の前に迫ってきた。

 7時のK-1ソウル大会に間に合うように帰宅する。熊と闘う紀州犬みたいなガオグライの闘志以外にはなにも心に残らなかった。HDDに録画したがDVDで保存するのかどうか悩む。そういえば昨年もソウル大会はくだらなかった。それでも時間を見つけてもうすこし丁寧に書いておこう。

 午前二時、NHKの大相撲ダイジェストを見る。白鵬は負けはしたがそれなりの相撲を取っていた。琴欧州は顔に覇気がない。負けが込むことですっかり自信をなくしているのだろう。攻めていれば勝てたのに引いてしまい敗れていた。好漢の再起を心から願う。時代を担う二人の外国人若者が初めて苦闘した場所として今場所は記憶に残りそうだ。
八日目
中日
 魁皇、連日のたぐり
 白鵬対魁皇戦。魁皇が前日の琴欧州戦に続きたぐりを出して白鵬を煙に巻く。完勝。これっておもしろい。相撲の奥深さだ。十五で入門し三十二の今まで相撲を取ってきた魁皇にはそれだけの懐の深さがある。十七年の重みだ。琴欧州も白鵬もそんな技は知らなかった。稽古でも経験したことがなかった。簡単にはまりあっけなく負けた。
 今まで魁皇と三回闘って二回勝っている(しかしこれはすごい話である)白鵬は今回も正攻法で真っ正面からぶつかり勝てると思っていたろう。ところが見たこともない技であれよあれよという間に負けてしまった。相撲の深さを学んだことだろう。左腕をたぐられて土俵からいやいやをしながら追い出されるようにして負けた白鵬の戸惑った顔がおかしかった。
 相撲を学ぶことが楽しくてしょうがない人だからこのたぐりも早速練習して来場所あたり使ってくるかも知れない。いつの日か必ず白鵬はきょう学んだたぐりを自分の技として使う。その日のためにもきょうのことは憶えておこう。

 昨年の夏場所だったか、白鵬が吊りからの送り出しをやったことがあった。ところが高々と吊り上げて送り出したはいいが、足が出てしまったら負けると思い、相手を下ろした。しかしそこはまだ土俵内だった。勝ったと思って気を抜いた瞬間、体を変えられて負けてしまった。苦笑するような負けだった。戸惑った顔に場内も沸いていた。相撲の場合「送り足」と言って相手を空中に吊り上げて土俵外に運べば、足が先に出ても負けにならない。そのルールを知らなかった白鵬は足が出たら負けてしまうと土俵内で相手を下ろしてしまったのだ。それでいてこのときの成績が12勝だったか。呆れるほどの逸材である。まだ相撲を知らないのだ。

 前日琴欧州をたぐりで負かした魁皇はそれを潔しとしなかったが今回はもう言わないだろう。勝つことが大事だ。そうしてそのことで白鵬や琴欧州に相撲を教えている。同じ負けでも立ち会い変化の注文相撲と中身が違う。意義のある技である。

 琴欧州は勝って2勝6敗。白鵬負けて3勝5敗。琴欧州が上位と対戦が済んでいるのに対し白鵬はこれから。勝ち越しに予断を許さない。ともに負け越したら、私のような両力士のファンからすると記録的な場所になる。
九日目
振替休日

 白鵬バラバラ!──舞の海相撲教室と安馬
 たいへんなことになってきた。白鵬の相撲がバラバラである。どうしようもない。きょうは土佐ノ海戦。立ち会いが無意味な張り手からの半端なもの。足が全く出ていない。腰が高い。今場所好調の土佐ノ海に一気にもってゆかれてしまった。先場所までの強さが嘘のよう。このあと朝青龍を始め上位との取り組みを残している。きょうの土佐ノ海との対戦成績は4戦全勝だった。それが完敗。このあとの大関栃東戦も3戦3勝だが(まったくすごい成績である)今場所は負けるだろう。現在3勝6敗。負け越しが濃厚となってきた。そうなると大関取りは白紙にもどる。貴乃花の最年少記録を破るのは絶望だ。私は彼の大ファンだがそんな記録はどうでもよかったのでそれは気にしないけれど、ただ茫洋とした大陸的な物怖じしない青年だとばかり思っていたので、体調不良による3連敗、そのことによって相撲のなにもかもがバラバラになってしまうというこの絶不調は想像できなかっただけにまことに意外である。挫折知らずよりもここで一度これを知った方が将来に役立つだろう。

 琴欧州は岩木山の強引な投げを切り返しての下手投げ。こちらも3勝6敗だが相撲内容は白鵬よりもずっといい。もう上位との対戦もない。私はここからの勝ち越しに期待している。

 岩木山は小結で1勝8敗の負け越し。前頭四五枚目あたりでしっかり勝ち越し小結まであがってくるのだがここの壁が破れない。それほどここの壁は厚いのであろう。たしかに初日から横綱大関にぶつけられる厳しい地位であるが。文字通り岩みたいな人で大好きな力士だけに彼が通用しない小結という地位の難しさにあらためて感じ入る。

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 きょうは「舞の海の相撲教室」があり特集力士は安馬だった。私には幕内最軽量の安馬はここまで来たことがほんとに立派で、このあとは幕内定着すら難しいのではないか、あの体では重量級の連中との勝負で怪我をしてしまうだろうし、と思っていたのだが、あにはからんや舞の海は彼の正面から行く相撲を大絶賛、順調に体重が増えれば大関候補と言い切った。そうか、安馬ってモンゴル人力士の中でもそんなに舞の海が評価している人だったのか。しらんかった。なにしろ舞の海の言うことであるから全面的に信頼する。
 便利な時代になったものでスロー再生の画像にマーカーで描き入れての説明である。アナと舞の海はしゃべるだけ。スタジオで技術が画像に描き込む。舞の海が「ここです、下手投げを打ちながら安馬は自分の体を回転させているんですね」と言うとストップモーションの力士の上に黄色のマーカーが丸い矢印で安馬が体をひねっている方向を矢印で描き込む。「もうちょっともどしてください」でスローが投げる瞬間までもどすと、「ここです、安馬はあごで相手の肘を押さえるようにしていますね」すかさずアナが「ああなるほど、これで肘が伸びてしまっていますね」
 すばらしい。ほんとにすばらしい。こんなにわかりやすく攻防のポイントを教えてくれる人はいない。でぶのぶつかり合いのような相撲がいかに緻密な技術に裏打ちされたものか手に取るように解る。

 先場所の教材力士は白鵬だったそうだ。見逃した。まあ毎場所9日目の午後四時からやるんだものわからない。そこまで日々熱心に見ているわけでもない。でも来場所は記憶しておいてぜひとも見たいと思った。すばらしい企画だ、ほんと。
 サーヴィスとして舞の海が小錦を振り回して負かす懐かしい一番が流れていた。あれにも感激。舞の海が十両に陥落し、いよいよ十両もあぶなくなり幕下に落ちて引退かというとき、立川談志が熱烈なラヴコールを送ったことを思い出す。名前もいい顔もいい牛若に弁慶で舞の海こそ相撲の美そのものぜったい引退するな、舞の海にはもう欲しいものはぜんぶやっちまえ、と。昨年秋、父の介護の途中で県立図書館で談志の単行本を借りてきたらそれを収録したものがあった。当時を思って胸が熱くなったものだ。人が感情をむき出しにしたとき、通じるものがあるとうれしいものだ。落語と相撲は江戸の薫りをもつ遺さねばならない庶民文化だ。

 この相撲教室の「安馬特集」を控えのテレビで安馬が白鵬と一緒に見ていたと後半でレポートが入る。白鵬に冷やかされ安馬が照れていたそうだ。ほほえましい。白鵬のほうがひとつ年下、安馬は二十歳である。初土俵は安馬が一場所早い。白鵬のように初めて見たときから上背があり懐が深そうで大物感のあった期待の力士はもちろんだが、こういうニキビ面の小兵の活躍もなんとも心弾むものである。
 安馬は幕内にあがりインタヴュウされる可能性が出てきたとき、自分の気持ちをどう伝えたいか日本語のうまい周囲の人に尋ね教えてもらったのだろう、初めてテレビインタヴュウに登場したときから(私が初めてそれを見たのは十両時代になるが)「一番一番、お客さんに喜んでもらえるいい相撲を取りたいです」と語っていた。いつも彼のことばには「お客さんに喜んでもらえるいい相撲を」とのひとことがあった。その意気やよしである。

 今場所は6勝3敗と勝ち越し濃厚の好成績。きょうの相撲教室を見ていて投げに柔道的なものを感じたのだが、深夜この文章を書くのに調べたら子供の時からずっと柔道をやっていたと知る。私の目も満更ではないと悦にいる。
 私は彼を小兵なのに正攻法の相撲を取るからそのうち大型力士との対戦で怪我をして幕内十両のエレヴェイタが精一杯と思っていた。でもそうではないのだと相撲博士舞の海はこの二十歳のモンゴル人青年の大いなる可能性を語る。期待しよう。だが私の危惧もそれほど見当違いでもあるまい。ひたすら体重を増やす大型力士の多い中、40キロ、50キロ重い相手にあんな柔道技のような投げを連発していたらそのうち大けがをするのではないかと心配でならない。頼みは二十歳という若さである。すっかりもさもさしたオッサンになってしまった私も二十歳のころは軽業師のようだった。鳶職のバイトも出来た。稽古熱心で体の柔らかい安馬なら怪我とは無縁のままおおきな体に成長できるのではないかと期待している。

 舞の海と実況アナの掛け合いによるレポートにはもうひとつの大きな意義がある。朝青龍だ。現場に密着している彼らは自分たちの目で見たもの、感じたものを報告する。するとそこにあるのは後輩たちに惜しみなく自分の身につけたものを伝える朝青龍の姿である。
 舞の海は素直に感嘆する。
「この横綱というかたはほんとに自分の学んだものを後輩に惜しみなく与えるんですよね。わたしなんか、もうすこし隠してもいいんじゃないかって思うぐらい親切に教えてます」
 画面は朝青龍が安馬に不必要な筋肉はつけるな、必要な筋肉をつけるには、とちいさなバーベルの使いかたを懇切丁寧に教えている姿を写している。
 アナの突っ込み。「モンゴル人力士は本当に稽古熱心で、全体の練習が終ったあとも彼らだけで残ってまた稽古してますからね」
 舞の海のフォロー。「モンゴル人力士だけではなく横綱は誰にでも親切に教えてあげるんですよね。ですから日本人力士はもっと横綱に教えを請うべきだと思います」

 アンチ朝青龍の筆頭はナベツネとウチダテマキコである。こいつらがなぜ朝青龍を気に入らないかというと自分たちの思うように行かないからだ。それだけである。問題の解決は簡単なのだ。彼らの気に入るように朝青龍が振る舞えばいいのである。それは懸賞金を右手で受け取るとか(今場所二日目から朝青龍はそれを実行している)そんなことはじつはどうでもいいのだ。あいつらが朝青龍を気に入らない理由は、「自分たちに敬意を払わない」というそれだけなのである。権威主義者、成り上がりものがこだわるのはいつの時代でもこれである。朝青龍があいつらに愛想笑いのひとつもすればいいのだ。ただそれだけである。だが朝青龍はそんなことはしない。いい根性だ。彼には土俵で闘っているのは自分たちであり、かつての偉大な横綱であった大鵬や千代の富士に敬意を払うならともかく、なんでそんな横審なんて新聞社や作家のジジイやババアにへこへこしなければならないんだ、となるだろう。
 朝青龍は彼らには媚びないが、それどころか横綱審議委員会の総見だとでかい面して雁首並べるとき、平然と風邪を引いたといって休んだりして奴らを逆上させるが、一方でこのように強くなりたい力士には自分のもっているノウハウを惜しみなく与えているのである。真の相撲ファンの同調すべきなのが朝青龍なのかナベツネウチダテなのかは言うまでもない。
 舞の海レポートはこのことにも踏み込んだ秀抜なものであった。
十日目

 白鵬4勝目
 白鵬が大関栃東に勝って4勝目を上げた。今場所の中では白鵬らしいいい相撲に入るが前場所までに感じたおそろしいほどの可能性から見ると栃東に勝つのに苦労していることが物足りなく思える。
 解説の音羽山(貴ノ浪)が張るのはよくないと意見していた。倒すための張りではなくまやかしの横に回るための張りだから意味がないとのこと。ごもっとも。なんでこんなことになったのか。中腰の立ち会いで張ってばかりいる。立ち会いの迷いが今場所の白鵬のすべてだ。
 あす11日目で横綱朝青龍戦。本来なら全勝の横綱に1敗ぐらいで追いかけてきて好角家注目の対戦となるはずだった。それが相撲協会の目論見だったのになんと4勝6敗の成績である。

 琴欧州は若の里戦。番付は琴欧州が関脇で三年ぶりに関脇から陥落した若の里は平幕なのだからなんとも残酷な世界である。これほど苛烈な世界は他競技でもあるまい。「番付一枚違えば天国と地獄」ってやつだ。それを思うと、大関から陥落して相撲を取るのってつらいと思う。
 四つになり琴欧州が上手を取ったが、うまく若の里がそれを切って寄り切った。琴欧州はまわしを取ればなんとかなると思っていて、それよりも前にまずは押してゆかねばと音羽山。それはたしかにそうで琴欧州は常にまわしまわしと意識した相撲を取っている。懐が深いからまわしさえとれば誰とでも充分と思っているのだろう。こだわりすぎるのは缺点かも知れないが外国人の大型力士といえば小錦、曙、武蔵丸と体力を生かした突き押し相撲だったから、四つを好む琴欧州には好意を抱く。
 これで3勝7敗。初の負け越しが目前に迫ってきた。
 今場所ここまで8勝2敗と好調の露鵬が先場所関取になって初めて負け越したと今日言っていた。そうだったか。興味がないので知らなかった。勝ち越しのきょうも引き技の相撲。ひどいもんだ。さすがに勝ち越しインタヴュウでも笑顔は見せなかった。大鵬から引き継いで今の親方は貴闘力だ。あんな相撲では勝ち越そうとも褒められはしまい。
 私の中で琴欧州と露鵬では格が違う。でも露鵬も恵まれた体でそこそこ行くだろうけど(大関?)琴欧州はそんなのとはモノが違うのだ。

十一日目  琴欧州初の負け越し
 きょうの琴欧州は28センチ身長の低い垣添戦。激しいいい相撲を取ったがもっとがんばったのが垣添。土俵際まで攻め込まれたが逆に突き返して逆転勝ちした。琴欧州3勝8敗。相撲界に入門して序の口からここまですべて勝ち越してきた。14場所目で初めて味わう負け越しである。落胆した顔をしていた。初めての屈辱である。これを糧にしてもっと強くなれ。

 白鵬は朝青龍に完敗で4勝7敗。こちらも負け越しが迫っている。あすの千代大海戦は見物だ。朝青龍が速く低く当たる完璧な相撲だから負けは仕方ないとしても白鵬らしさが出ていない。バラバラになってしまった相撲を今後どう立ち直らせのか興味深い。
 貴乃花の成績を見ていたら前頭二枚目で史上最年少優勝(14勝1敗)を成し遂げた翌場所、関脇で5勝10敗を記録している。誰にもこんな試練の時はある。問題はこのあとである。
十二日目
 白鵬、徳俵で残る
 べつにほんとに徳俵で残ったわけじゃなく千代大海がひとりでこけたので5勝7敗となり負け越さなかったということ。 今場所白鵬は、自身より上位番付では、栃東、千代大海に勝ち、朝青龍、魁皇に負けた。あと三日、どうなる。勝ち越せば関脇残留で来場所へ夢はつながる。負け越したら平幕に落ちてすべては出直しになる。おそらく今場所後の二ヶ月で白鵬と熊ケ谷親方は徹底した出直しを図るはずだから来場所はまちがいなく期待できる。果たして勝ち越しできるか。あと三日、一敗も出来ない。

 千代大海の相撲はほんとにもうかなしくなる。何度も書いているがケビン山崎に走ったのが致命的だ。何人もの解説の親方がこれではだめだと指摘しヴィデオでもアップで映すのだが、この人は突進するときにつま先立ちなのである。それは徒競走やアメフトではいいのかもしれないが相撲ではタブーである。私がこの件でわからないのは千代の富士だ。彼は親方として愛弟子のそういう見当違いの凝りかたにストップをかけられなかったのだろうか。
 相撲ファンとして幸運だったのはこのことを特集した「情熱大陸」のような番組(これだったか違う番組だったか定かでないが)を偶然見ていたことだ。画面の中ではケビン山崎がこんな身体能力の高いアスリートには初めてあったと絶賛し、千代大海はもっと早くこの人と出会いたかった、自分の相撲人生で最大の収穫だと熱く語っていた。画面には清原や魔裂斗、とんねるずのイシバシあたりもやっていた、後ろ向きでのランニングやゴムチューブを引っ張っての全力疾走、複雑な反復横跳び等が映される。そのときからこれは違うぞと思っていた。なにか千代大海は勘違いしていると。
 それでも山崎との出会いに酔った精神的高揚が役立ったのだろう、このあとしばらくは千代大海は良い成績を上げる。そうしてどうしようもない出口のない闇につっこんでゆく。あの番組を偶然見た価値は大きかった。あれがなかったら千代大海の相撲に首を傾げるだけだった。
 大相撲の記録で見ると彼の二十二歳八ヶ月での初優勝は年少記録の史上五位になる。上位四人は貴花田、北の湖、朝青龍、若花田という全員横綱になった力士であるから、この時点で彼への期待がいかにおおきかったかがわかる。記録的には横綱当確だったのだ。それが今じゃ押しても押しきれず、引いて勝つか、引くのを待っていた相手に押し出されて負けるかのみっともない相撲になってしまった。ひじょうに無惨な相撲なのでぜったいにあるだろうなと思って2ちゃんねるの「相撲」を見てみたら、やはり千代大海を笑いものにするスレッドがあった。星の問題ではない。笑いものにしたくなるような相撲内容なのだ。

 琴欧州(ブルガリア出身)はヨーロッパ勢の先輩黒海(グルジア出身)戦。黒海には珍しい四つ相撲となりこうなれば琴欧州のものと思ったらそこから黒海に投げられた。四つになっての黒海の投げ技なんて初めて見た。なんだか稀少なものを見せてもらった気分である。スランプ知らずで来た黒海は先場所、先々場所と7勝8敗の負け越しをした。番付でも琴欧州に追い抜かれた。それ以来だいぶ考える相撲を取るようになった。琴欧州も初の挫折、これで3勝9敗。来場所どう出直してくるか楽しみである。
十三日目
 朝青龍、敗れる!
 相撲は朝青龍の勝ちだった。アナも勝負がついてすぐ「朝青龍、11回目の優勝です」と言い切った。そこに物言いがつく。そうしてヴィデオで観るとたしかに栃東が土俵際でひねっており、朝青龍の肘が栃東と同時に落ちているのだった。相撲自体は朝青龍の完勝だったが……。
 そうして取り直し。勝っていた相撲を同体とされ取り直しとなったことに焦ったのか朝青龍が雑な相撲を取り、頭をつけてまで必死に食い下がった栃東に敗れる。こうなってしまうのは気の短い朝青龍の缺点である。たまらん気持ちで夜は荒れたことだろう。この差は大きい。本来なら13連勝で優勝決定だった。そのまま15戦全勝したのは確実だ。ところがここで連勝は27で止まるし、後続がいないから優勝は間違いないとしても、これで誰かが1敗で追っていたら優勝も危なくなるような敗戦だった。取り直しで勝った栃東がえらいし、気を乱して雑な相撲で負けた朝青龍がわるい。でもまともなら勝っていた相撲だっただけになんとなく後味が悪い。もしも朝青龍が親方衆も好む日本人力士だったならあの物言いはつかなかったのではないかと邪推してしまう。でもすべては取り直しで乱れた朝青龍が未熟、に尽きるのだが。

 琴ノ若と高見盛が勝ち越した。前日、幕内最年長の琴ノ若は最年少の稀勢の里と闘って勝った。息子が応援していたことだろう。息が長いことはしあわせである。そのうえこの人は引退したらすぐに琴一門を統括する佐渡が嶽親方と今後も万全だ。
 きょうはその稀勢の里と高見盛が対戦して高見盛勝ち越し。一段と誇らしげだった(笑)。
 妻もすぐに高見盛のファンになった。だってすなおにおもしろい。NHKの娯楽が誰も傷つけないようにと気を遣った計算に計算を重ねたまったくおもしろくないものだとすると、高見盛は自然に振る舞っているだけなのにみょうにおかしいという天然である。気弱な男が自分を鼓舞しようとやっていたらいつしか人気につながっていたあの藝も一代限りのもので誰にも真似できない。もしも誰かがやってもわざとらしくて人気にはつながらないだろう。

 異国人の嫁というのは亭主の好みで覚える日本語にもだいぶ差が出る。私の妻はよく「のこった、のこった」の口まねをしていた。亭主が相撲に興味がなかったら何年日本に住んでいようとこんなことはしまい。昨年の中国公演のときには云南の親に連絡し、相撲中継を観ろと勧めていた。無事云南の山奥でも放送され観られたようだからあれは中国全土に放映されたようである。北京と上海のニ公演。白鵬が朝青龍を破って優勝している。

 
 琴欧州は栃乃洋といい相撲を取ったが惜敗。これで3勝10敗となった。なんか顔に元気がない。朝青龍の気の強さをすこしわけてあげたい。いい青年だ。
 白鵬は出島に勝って6勝7敗。四つに組み止めたから白鵬のものなのだが、ここから動かない。解説は先場所までの白鵬ならここからすぐに動いて早い相撲で仕留めていた(=今場所は調子が悪い)と言っていたが、私はそうではなく、焦って動いて負けた序盤の反省から慎重になっているのだと解釈した。勝ったけど強引な相撲だった。安定もしていない。今場所は先場所の千代大海を突き出したようなベストの一番がない。
 あと二日、勝てるか!? ここでの8勝7敗と7勝8敗は雲泥の差になる。
十四日目  シラク大統領観戦
 午後四時前、フランスのシラク大統領が観戦ということで入場のシーンがあった。諸外国のトップの中でこの人ほどの親日家も珍しい。今までの来日回数が40回を超え、日本人愛人とのあいだに子供もいる。数年前、それが公になったがなんてことなくフランス国民もマスコミモそれを許した。フランスの国民気質は、そういうことに関しておとなである。なんでも政治家の下半身スキャンダルは触れないことが不文律なのだとか。かつての日本もそうだった。政治家は妾がいようがいまいが能力は政治手腕のみで問われた。いまの日本は西洋の悪いところだけ輸入している。
 いやそれに限らずNATOに背いてのイラクへの派兵拒否とか武器輸出とか、その辺の国益を最優先した身勝手な狡さもフランスは外交上手でありおとなの国だと思う。それは私の感覚だと非難ではなく羨望になる。中国や韓国に振り回され、国連でも常任理事国になりたくて金を吸い取られているだけの日本が下手すぎるのだ。

 シラク大統領が毎場所ヴィデオを取り寄せて観戦するほどの熱烈な相撲ファンであり、毎場所好きでもないのにそれを見せられる官僚が迷惑しているとの話は知っていたが(笑)、きょう初めて初の相撲観戦が1969年だと知って感心した。国技館で生観戦したのが私より先だとは思っていなかった。これは一目置かねばならない。外国官僚の相撲観戦はたまにあるが歌舞伎であれ相撲であれ東洋の奇態なものを観る白人の好奇心でしかない。その点シラクは力士名も決まり手もよく知っている真の相撲通である。こちらまでうれしくなった。白鵬や琴欧州に関して意見を聞いてみたい。
 残念なのは警備の都合もあり二階席のかなり奥だったことだ。北の湖理事長が隣に座って解説する天覧相撲と同じ最高待遇をしていたが。出来るならこの相撲大好きの異国の大統領に砂かぶりで見せてやりたいと思った。あんなに遠くては雰囲気だけだ。

 高島俊男さんが相撲界にはいい日本語が遺っていると錣山などの名や字を讃えていたことがあるが、この「砂かぶり」なんてのも日本語らしい日本語でうつくしい。

 談志一門の立川志らくの名がシラク大統領から来ていると知ったときは笑ったが、でも大統領になる前の命名(首相時代?)だからこの談志は先見の明(?)があったといえる。シラクはパリ市長もやっているが、たしか首相時代だと思う。
 よけいなお世話だが同席したシラクの女房はどうなんだろう。日本という国、愛人、子供、相撲……。本音はあまり好きではないと推測したが。

【附記】さすがは通
 琴欧州が出島に投げられる(?)という恥ずかしい相撲で負けた。まわしを取ったときはもう琴欧州のものと思ったが。研究されまわしをとらせてもらえず負けるならわかるが、出島のような突き押し相撲で四つになったらなにもできない人に投げられるのでは話にならない。絶不調。3勝11敗。
 その瞬間、観客席のシラクが映った。するとお付きの連中が能天気な笑顔で拍手しているのに対し、シラクは苦虫をかみつぶしたような顔でパンフレットになにか書き込んだのである。星取り表と思われる。おそらく琴欧州を応援していたのであろう。どっちが勝とうが関係ない珍獣を観る程度の気持ちであるお付きの連中と違い、シラクの真の相撲好きが伝わってきて好意を持った。

【附記・2】大阪のファン気質
 朝青龍優勝で結びの一番が終りシラク大統領退席。すると大阪のファン「シラクコール」(笑)。大統領、うれしそうに手を振る。陽気でいいですな。

【附記・3】
 深夜のネットのニュースによると、解説に付き添った北の湖理事長に「私はあなたの名前も現役時代も知っている」と言ったそうだ。いいぞ、シラク!
 北の湖と輪島が横綱の時代は「輪湖時代」と呼ばれた。そのとき大関として時代の脇役だったのが貴ノ花である。この時代は三人で語るべきであろう。優勝回数も星取も二人とは比較にならないが人気では負けていなかった。
 いま北の湖は理事長になった。妹の作った「ちゃんこ料理チェーン店 輪島」の借金の形(かた)に花籠親方株を質に入れたことがばれて角界を追われ(親方の娘とも離婚)た輪島。息子二人を横綱にするという空前絶後の記録を作り、死の床にいる貴ノ花。三者三様である。

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 白鵬残った
 今場所9勝4敗と好調の琴光喜戦。琴光喜に上手下手を取られ白鵬は一枚上手のみ。充分の体勢になられるが持ち前の二枚腰で粘り、土俵際逆転で勝つ。逆転とはいえ何度も積極的に巻き返しに行った。今場所一番の好相撲。雑な巻き返しで普通の力士ならその瞬間にもってゆかれる。なのに耐える。力がないと出来ない芸当だ。なにしろ相手は子供のときから相撲を取り、高校チャンプ、大学生チャンプはもちろん学生時代にアマ横綱に二度もなった優勝回数27回の最強学生力士の琴光喜なのだから。7勝7敗。あすは同じ関脇雅山戦か。油断さえしなければ勝てる相手だ。堅くならないといいが。いやいくら白鵬でもなる。きょうの気魄で立ち向かえば勝ち越しせる。

 朝青龍優勝。今場所から締め始めた黄金のまわしを昨日の負けで封印。黒の締め込みで勝つ。今場所最高の34本の懸賞賞金も元にもどって左手で手刀を切って受け取った。彼もまた人の子でそんな験を担ぐのかと思った。いやもしかしたら昨日は物言いがつかず自分の勝った相撲のはずで、そんなことをしておれを虐めるならおれもおまえらの気に入るようなことはしない、という意思表示だったか。優勝インタヴュウでも終始不機嫌で笑顔を見せなかった。

 対してきのうの勝利で自信をつけたのか、栃東は全盛時を思わせるいい相撲で千代大海に完勝。決して気のせいではなく相撲ぶりに男の自信がみなぎっていた。大きな一勝だったのだろう。
 千代大海は負け越し。来場所角番。この人、親方株はもっているんだったか。もう引退した方がいい。相撲を取っていても楽しくないだろう。

千秋楽
白鵬、勝ち越す!
 西関脇の白鵬が東関脇雅山に勝ち8勝7敗とした。いやあ長い15日間だった。当人の白鵬もそうだろうが応援していたこっちもだ。
 勝ちはしたが解説の北の富士も「あの振り回すような上手投げはよくない」と言っていたように、あまり褒められた相撲ではない。強引すぎる。これまで4戦4勝の雅山だからなんとかなったが。
 なりふりかまわない雅山なので立ち会いの変化まで考えられた。それは白鵬も計算していたようで慎重な立ち会いだった。あれだけじっくり見られたら雅山も注文相撲は出来ない。つかまえたら白鵬のものだった。

 東関脇雅山が負け越したので来場所は白鵬が東関脇になる。小結の岩木山、琴欧州も負け越した。来場所は、東関脇白鵬、西関脇若の里、小結に琴光喜と土佐ノ海の番付か。
 大関になるには関脇小結で三場所合計33勝が基本である。前二場所で23勝をあげていた白鵬は今場所10勝以上をあげたなら、先々場所が前頭一枚目だから本当は該当成績にならないのだが、朝青龍獨走にすこしでも早くライヴァルとスター力士の欲しい相撲協会は白鵬を大関にしたことだろう。見事に期待を裏切った。でもまあそれも人間らしくていい。
 とりあえずきょう勝ち越して、小結で11勝、関脇で8勝の実蹟を作った。合計19勝だから来場所大関当確ラインの33勝になるには来場所14勝以上となる。これはきつい。優勝水準である。来場所は12勝はすると思うがそれでは届かない。来来場所は今場所の8勝と来場所の12勝(推測)の合計20勝に足しての33勝だからこれまた13勝以上が要求される。常識的に考えて来場所で、あるいは来来場所での大関昇進はかなり難しくなった。残された可能性は14勝以上での優勝なのだが隙のない朝青龍と比してあまりに穴が多すぎる。今場所のこの8勝が大きな手枷足枷となるが、これもまた超えてゆかねばならない壁だ。苦い味も知った方がいい。
 今場所は今まで負けていなかった垣添や土佐ノ海、勝ち越していた黒海、栃乃洋らにも負けた。底知れない大器と誰もが一目置いていたが、今場所の結果でそれほどのものでもない、いくらでも攻略法はあると意を強くした力士も多いだろう。来場所は真の試金石になる。

 今場所の不調の原因は受けて立つような立ち会いだった。私はあれは稽古場と本場所の切り替えが出来なかったからだと思う。同一視していたのだ。いくつもの部屋に出稽古に行き、日々20番以上の稽古をこなし、どこでも大きく勝ち越していた白鵬は、稽古場での受けて立つ立ち会い、それで勝つ横綱相撲のまま本場所を迎えた。しかし相手はいつもの真っ当な稽古場での相撲ではなく気魄をみなぎられた乾坤一擲の勝負を仕掛けてきた。稽古場と同じ相撲を取ろうとした白鵬は連敗し、戸惑ったまま相撲が見えなくなった。今場所の不振を私はそう解釈している。
 欲しいのは朝青龍の気の強さである。きょうも白鵬は雅山に張り手からの立ち会いをした。北の富士は先輩を張ってゆくのだから気は強いと思いますよと言っていたが、気の強さはあんな半端な張り手ではなく全身から発散させるべきものだ。千代大海をたたきつけ仁王立ちしたときのように。むしろあの立ち会いの張り手は封印すべきだろう。中途半端の象徴である。

 琴欧州は旭鷲山を投げ捨て4勝11敗で場所を終えた。今場所の反省をふまえ、来場所どれだけ成長してくるか楽しみである。
 来場所も白鵬と琴欧州からは目が離せない。
 三場所連続7勝8敗と悔しい負け越しが続いていた黒海は立ち会い変化で9勝目をあげた。場内には失望のため息が流れたが黒海の「よし!」という表情が印象的だった。勝つためにはなんでもやると割り切ったのだろう。
 露鵬も大きく勝ち越した。来場所は追い抜いた黒海と露鵬のしたにまた琴欧州は位置することになる。黒海「好き」、露鵬「嫌い」、琴欧州「大好き」の私としては琴欧州の奮闘に期待する。

 朝青龍が優勝インタヴュウで、昨年の大阪場所で「大阪大好きです。大阪、ありがとう!」と言ったことをアナに問われると、今場所は「大阪、おおきに!」と言って大喝采を浴びていた。
 放送席のアナはその明るさを褒め、普段は極端な日本人贔屓で、なにしろ「このままでは朝青龍に優勝されてしまいますよ」と言ったりしている北の富士も(「しまいますよ」ってメチャクチャである)、「こんなに明るくてよくしゃべってくれる横綱は珍しい」と讃えていた。あのひとこともしゃべらない陰気な貴乃花等と比べたら朝青龍の明るさとヴァラエティ番組で見せる陽気さがどれほど貴重なことか。
 もっとも貴乃花に関しては、あれだけやられたらああなってしまうよなと私は同情的である。宮沢りえ問題でさんざんマスコミに叩かれ無口になってしまった貴乃花が、八歳年上のフジテレビアナウンサ河野景子と結婚し、しばらく経ってからのインタヴュウで、「みなさん(マスコミ人)の前でこうしてしゃべれるようになったのも彼女のお蔭ですから」と語っていたのを見たときは感心した。
 競馬のほうでは最初のころは陽気なキャラでしゃべりすぎるほどだったのに、いつしかマスコミ不信になり何を尋かれても最短のことばしか発しなくなった横山典弘がいる。武豊も多くのマスコミとぎくしゃくしてきた。スターアスリートのマスコミ不信はいつの時代でも深刻である。

 だからこそ朝青龍の明るいキャラは貴重なのだ。「行列の出来る法律相談所」に出演したとき、次のゲストはと紹介されてカーテンが開くと、しかつめらしい顔で闘牙に説教していて、闘牙が頭をたれてそれを聞いている、というコント仕立てには笑った。あの図太い神経と明るさがあると貴乃花ももっと違う人生を送れたろう。朝青龍は日本でひとりぼっちなのに(今は美人の奥さんと娘がいるが)ふてぶてしく構え、明るい相撲人生を送っている。貴乃花は両親兄弟と理事長を務めた横綱の叔父にまで恵まれながらあんな性格になってしまった。
 自分も日本人だからあまり「日本人てイヤだな」という発想は持たないようにしているのだが、朝青龍の悪口を言っている連中を見ると、島国根性のセコさを思う。
05/7/18
 旭天鵬の帰化


 旭天鵬がモンゴル人力士として初めて日本に帰化した。大相撲中継で知った。スポーツ紙のバックナンバで調べてみる。
 すると、昨年1月に帰化申請を出して、今年6月23日に法務省から許可が出たと知る。帰化には該当する期間日本で暮らしたことに加え、日本語をよどみなく話すこと、文字の読み書き能力が必要だ。旭天鵬の日本語は十両時代に初めて聞いたときから驚異的にうまかった。なぜモンゴル人の日本語があんなにうまいのだろう。感動的ですらある。在日二十年の白人よりも三年のモンゴル人の方がはるかに自然な日本語を話す。前相撲時代の相撲学校では読み書きと歴史をしっかり教えるからこっちも問題はないだろう。どちらも小錦なんぞよりは格上である。
 問題は引受人だ。小錦は女房の姓にした。そのご離婚したから帰化のための結婚ととられてもしかたない。その他、高見山を始め力士の帰化は「結婚して女房の姓を名乗る」が基本だった。旭天鵬は獨身である。どうするのだろう。

 スポーツ紙で「太田勝」となったことを知る。7月10日から始まった名古屋場所では初日から3連敗。4日目に初白星。「日本人として初の1勝」と笑顔で語っていた。会場では「太田、がんばれ!」とのかけ声もとぶという。照れくさいがうれしいとのこと。
 はて「太田」とはなんだろう。そこでひらめく。師匠の大島親方、元大関旭国は、普段は、というか通例として業務上は「大島武雄」を名乗っているが、たしか本名は太田ではなかったか。調べる。やはりそうだった。とすると旭天鵬は親方の姓をもらったことになる。なかなかいい話だ。
 スポーツ紙によると「帰化は相撲界に残り後進の指導をするため」となっている。一部では「部屋を継承するため」とも言われている。それは大島親方の株を引き継いで親方になるってことか。そうなると旭国のこどもが気になる。こういう場合、旭天鵬と娘を結婚させて跡を継がせるのが相撲界の常道である。息子が生まれても親方株を引き継ぐ名力士になれるとは限らない。自分の娘と部屋の最強力士と結婚させるのが最良の継承方法である。だから親方クラスは娘が出来ると喜ぶ。
 どうやら旭天鵬が大島部屋を継ぐのは事実らしいのだが、どうもこの辺がわからない。

 それはまあそのうち追々判るからいいとして、旭天鵬の「日本人に帰化したことでモンゴル人から『金で国籍を売った』と責められた」は興味深かった。在日モンゴル人のサイトで旭天鵬の日本人帰化が否定的に論じられたのは事実らしい。横綱朝青龍はモンゴル人の妻をもらい、帰化しないことを明言している。もっともこれも最近では「日本に残って力士を育てるのもいいな」と発言したりしているらしいから先は判らない。
 まだ若くて突っ張っていたころの朝青龍には、「相撲なんかいつでもやめてやる。おれは『PRIDE』だろうがなんだろうが、他でもやれるんだ」の反骨感が漂っていた。それがウチダテマキコ的な人々には不快だったようだが、私にはそれすらも魅力だった。
 ここに来て、金銭的な意味でも「相撲が一番」と悟ったようだ。優等生の朝青龍は私にはすこしばかり魅力減である。

 ともあれ旭天鵬は人柄もいいしみなに好かれている好人物だ。だからこそ旭国も後継者に選んだのだろう。私も好きな力士であるし彼の帰化を心から喜びたい。今後もモンゴル人力士は一大勢力として相撲界で活躍するだろうから通訳も出来る旭天鵬は貴重な存在になる。自身の成れなかった(と結論を出すのは失礼だが)大関横綱を育てて欲しい。


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旭天鵬の結婚(06/6/27)
   ↑金星のつもり
 今日読んだ相撲雑誌「NHK大相撲中継」に旭天鵬こと太田勝さんの結婚が報じられていた。相手は日本人。同じ32歳。
(とたしかに相撲雑誌には書いてあるのだが、下のスポーツ報知では旭天鵬は31歳になっている。こういう場合よくあるのは、スポーツ紙掲載から雑誌掲載までのあいだに旭天鵬が誕生日を迎えた場合だ。調べてみる。誕生日は9月。よって相撲雑誌がまちがいとなる。)

 4年ほど前から交際し、現在日本にいる旭天鵬の父親(知らなかった)の入院時も看護してくれたという。
 関取のお父さんが日本にいるのは病気療養のためなのだろうか。そんな気がする。孝行息子がいると最新の医療も受けられる。
 結婚式は来年だとか。
 帰化の決意の時に当然そんな相手がいるのだろうと思っていた。めでたしめでたし。

 今頃月刊誌で知ったのだから、スポーツ紙で報じられたのはだいぶ前になる。
 調べたら5月24日だった。丸一ヶ月も前だ。ダービー直前で毎日スポーツ紙を読んでいたのになんで見逃したのだろう。

 なにしろ毎日スポーツ紙を買っても私の読む箇所はごく限られている。格闘技の欄は数少ない必読の箇所だ。必ず載っていたはずなのになんで見逃したのか……。

 モンゴル人親方第一号となって両国を結びつけて行く人である。おめでとう。がんばって。

旭天鵬が結婚!

旭天鵬は婚約者の斉藤恵子さんをお姫様抱っこし、満面の笑み

旭天鵬は婚約者の斉藤恵子さんをお姫様抱っこし、満面の笑み

 大相撲のモンゴル出身で日本に帰化した東小結・旭天鵬(31)=大島=が23日、福島在住の会社経営者・斉藤秀一さん(55)の長女・恵子さん(32)との婚約を発表した。

 顔を赤らめながら「笑顔の絶えない家庭をつくりたい」と話した旭天鵬と恵子さん。一方で、恵子さんへの質問に、ほとんど旭天鵬が答えてしまう亭主関白ぶりを見せるなど、早くも“新婚”ムードを漂わせた。

 4年前に知人の紹介で出会い、「明るいし自然に接してくれるから」と旭天鵬がアタックをかけ、半年後に交際開始。その後、肝硬変の治療のため日本で入院している父・ニャムジャブさん(56)を熱心に看護してくれる恵子さんの姿に心打たれ、結婚を決意したという。

 モンゴル出身第1号として角界入り、昨年6月には日本国籍を取得。将来は大島部屋を継承することが濃厚となっている。「栄養面などに気を使いながら支えたい」と話す最高の“おかみさん”を得た旭天鵬。夏場所では5勝10敗と負け越したため「三役定着を第一目標に頑張りたい」と気を引き締めた。式は来年中に行う予定となっている。(スポーツ報知 06/5/24)




 
05/7/18
 朝青龍敗れる──琴欧州金星!

 立川でKさんと会い、ラーメンをおごってもらう。あれこれ話す。この話は別項として。
 帰宅したら午後6時半。大相撲と『笑点』を見逃した。録画予約してゆけばよかったと悔いたが後の祭り。
 メイルチェックの際に繋いだ(普段は切っておき用があるときだけ毎回律儀に繋ぐ)ネットで朝青龍が負けたことを知る。金星は琴欧州。やってくれる。まわしをとっての大きな投げのようだ。ついに横綱から初勝利だ。朝青龍は今年になって2敗目である。栃東の1敗だけだ。え~と、今日で53日目か? 51勝2敗である。このまま行けば北の湖の年間最多勝記録82勝8敗の更新はかなり堅い。
 露鵬が千代大海をぶん投げたらしい。これも見たい。栃東も負けた。普天王に負けた白鵬が怪我をしたらしい。心配だ。まさに「荒れる名古屋場所」である。

 朝型なので午後10時過ぎにはもう眠くなってきた。目覚ましを午前1時に掛ける。NHKの大相撲ダイジェストを見るのだ。目覚ましが鳴った。起きる。テレビをつける。始まる。よかった、目覚ましを掛けておいて。
 ふと気づくと寝ていた。ダイジェストは終っている。肝腎の一番の前にまた寝てしまったらしい。なんてこった。こんなことはめったにないのだが。
 目覚ましをかけ直す。次は午前4時からある。繰り返してくれるのがありがたい。テレ朝のくだらん大相撲ダイジェストが終ってほんとうによかった。あれが終ったからNHKのこれが始まった。
 午前4時、目覚ましが鳴る。起き出す。今度こそ。ダイジェストが始まる。
 だが、なんてこった、また寝てしまったのである。ふと気づくと番組は終っていた。
 というわけで私は今場所最大の波乱の一日であった取り組みを見逃したのだった。

 勝負後の朝青龍談話はさわやかだったという。栃東に負けたときは荒れ狂って大変だった。それが今回はサバサバしていて、自分をぶん投げるほどの年下の好敵手の登場に、むしろ浮き浮きしているように見えたという。日本人贔屓の解説者は最大のライヴァルとして栃東の名を挙げる。事実対戦成績も全力士中唯一五分の星だ。だが朝青龍からすると栃東はライヴァルと呼べるほどのものではないのではないか。連勝を止められ負けて怒ったのは負ける相手ではなかったからのように思う。
 白鵬が勝ち星は伸ばしているもののとても褒められた相撲内容ではないだけに琴欧州のこの勝利は価値が大きい。もっとも琴欧州もあの大きな体で変化してみたりまだまだ迷っている。まあこれはやられたから自分もやってみようとかそのたぐいだろう。解説者からは右まわしにこだわりすぎると指摘されているが、こだわるだけあって、右さえとれば無敵に近い。相手はそのこだわりの際に生じる隙に乗じるのだろうが。

 白鵬、千代大海が休場となってしまった。白鵬は初土俵以来初めてである。再出場の可能性もあるという。不戦敗を入れても6勝3敗だから、なんとか終盤に再出場して勝ち越しをして来場所に繋げて欲しい。
 琴欧州がこのまま星を延ばし二桁勝利することを期待したい。まあ優勝は朝青龍だろうけれど。
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