初日 |
両横綱、盤石の発進!
場所前のけいこ総見はすごかった。テレビに「けいこ総見」とひらがなで出ていたので私もそう書いてみた。「稽古総見」ではだめなのか。
佐渡ケ嶽部屋の稽古を見学に行ったハンセン一行が、頭からボグっという鈍い音でぶつかる激しさに震え上がったというエピソードがある。今回の横審総見での白鵬朝青龍はそれを思い出させるような激しいものだった。あれを見ると、巡業での横綱戦が、ケガをしないよう相手に花を持たせて丸く収める初っ切りのようなものであることがよくわかる。
朝青龍の5勝2敗。その時点で朝青龍が「おつかれ」と言い、稽古を切り上げた。息が上がっていた。たいして白鵬のほうはまだまだ体力に餘裕があった。
息の上がった朝青龍に関してモンゴルに帰国していて稽古不足、のような意見があったがそうではあるまい。あれは両者の体質の差だ。瞬発力型とスタミナ型の。
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相変わらずの朝青龍の話題により、相撲に関するニュースを見られる機会が多くてうれしい。けいこ総見も、春日野部屋での稽古も、見るからに土俵が堅くて厳しそうだった。その件に関し、春日野親方(栃乃和歌)が「土俵は堅い方がいいんです。やわらかいとかえってケガをします」と初心者レポーターに説明していたのが印象的だった。
前記の首から胸板にぶつかる寒気のするようなぶつかり稽古に関しても、先場所の解説で千田川(安芸乃島)が、「みなさん怖がるんですが、首を鍛えてあるので、まっすぐに当たればケガはしません」と言っていたのを覚えている。まっすぐにあたることが大事なのだろう。へたに怖がると大怪我に繋がる。
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話題沸騰により大入り満員の国技館。朝青龍も白鵬も相手を投げ飛ばす豪快な勝ちかただった。
先場所肘を痛めた千代大海が10戦全勝している稀勢の里に初めて負けた。というかなんで朝青龍や白鵬にも勝っている稀勢の里が千代大海に一度も勝てないのか七不思議のひとつだったが。千代の肘はかなりわるい。途中休場もあるだろう。
初の角番琴欧洲は、あいかわらずの消極的な引く相撲。物言いが着き、雅山の足が流れていてかろうじて勝ったがひどい内容。迷いの森からの脱却は遠い。
魁皇が横審総見でも11番全勝と調子がいいらしい。でもよくて10勝か。まあこの人はいるだけでいい。
久々に千秋楽全勝の横綱同士の対戦が実現しそうだ。わるくても今場所の優勝は14勝1敗ラインだろう。先場所がひどかったので期待したい。
心配は朝青龍のスタミナ切れと白鵬の取りこぼしだが、今日の気魄ならだいじょうぶだろう。
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把瑠都と琴欧洲
把瑠都が覇気のない相撲で北勝海に負けた。太股を覆う大きなサポーターが目立つ。よほど悪いのか。まったく粘れない。ケガが怖くて粘らないのか。
土俵下で手を差し出す北勝海に気のよさそうな笑顔で応えていた。この人の陽気な人のよさ、琴欧洲のシャイな人柄が好きである。でも覇者になるのは朝青龍タイプ。憎まれっ子世にはばかるとはよくいったものだ。
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二日目 |
稀勢の里、朝青龍に完勝!
高卒がベスト!?
豪栄道を見ながら、「これからは高卒の力士が多くなるかもしれない」と考えていた。幕内に進むぐらいの子供は小学生の時から力士を夢見ている。むかしのように中学を出て角界にはいるのが理想だ。北の湖など中学生のときから土俵に上がっていた。いまは年齢制限で出来ないが。
しかし今の時代、親としては可能な限りその決断を遅らせ、学校に進めたいと考える。それからでも間に合うと。高校でよい成績を残せば大学側から特待生として声がかかる。授業料免除だ。
子供のことを思う親心として当然だろう。わるい言いかたをするなら「つぶしが利く」。とはいえ相撲一筋の大卒青年がどういう形でつぶしが利くのかわからない。それでも同じ二十二歳として、中学を出て力士になり、出世できないままケガで引退した青年よりも、相撲一筋で学力はまったくなくても、日大や専修大の相撲部を卒業していた方が社会には通用するのか。
だがもともと力士になりたい少年達だ。親の心配もあり、自分もまた万が一のことを思って進学はしたが、自分なりに目処が立てば中退して角界入りする。ここのところその「中退力士」が目立っている。プロになるのだと決断したなら、すこしでも早く角界入りしたいのだろう。なにも大学の相撲部にあと二年も三年もいる必要はない。その二年があまりにもったいない。それが中退して角界入りする力士が増えた理由だろう。
ということから考えると、中学から入門するのはさすがに厳しい。不安も多い。かといって大学まで進み、学生横綱、アマ横綱になったとしてもたいして役立たない。その真ん中として、高校時代に目処がついたら卒業と同時に入門する。十八歳だ。ちょうどいい。豪栄道のように数々の優勝歴を誇る少年が、あえて大学に進む理由はなにひとつなかった。これからこの「高卒力士」が増えるのではないか。
そんなことを考えつつ、私の地元茨城の出身である稀勢の里を見ていた。いまどき珍しい中学を出てすぐに入門した青年である。職業力士になるぐらいの子供は親が相撲好き、しかも自分もとっていて、力士になるために英才教育を施した例が多い。同じ茨城だと雅山も武双山もそうだった。
稀勢の里は違う。むしろ野球に夢中だった。
今の時代、中学を出てすぐに入門するのは度胸が要ったことだろう。
それが関係あるのかどうか、彼は笑顔を見せない。いつも憤懣やるかたない顔をしている。若いときの北の湖とそっくりだ。
彼の中で、「大学を出てきた連中なんかに負けてたまるか」という意識は強いだろう。初の学士力士である初代豊山が東農大卒として話題になったとき、佐田の山がそれを口にしている。
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なんといっても勝ちかたがよかった。あの朝青龍を後ろ向きにしての送り出しである。
二日目で早くも「千秋楽横綱全勝決戦」の目は消えてしまった。
それでも琴欧洲がどうしようもないし、千代大海は雅山と熱戦を繰り広げたが、内容は防戦一方だったし、魁皇は琴奨菊に力負けしたし、琴光喜はまずまず元気だが、白鵬と朝青龍が最有力候補である構図は変らない。
白鵬が取りこぼしをしないことを願う。とにかくもう12勝3敗の優勝争いはいやだ。
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把瑠都連敗、琴欧洲一敗
把瑠都がいいところなく連敗。引いてしまった。このままだとケガではなく初めての実力での負け越しになるかもしれない。それもまたケガからの恐怖心が原因だ。
琴欧洲が33センチ背の低い豊ノ島にまたもぶん投げられた。おどおどとした立ち会い。なにをしていいかわからなくなっているのだろう。
大好きなふたりの行き当たった壁に応援しているこちらまで悩むが、これが相撲道の奥深さならそれはまたそれで魅力になる。あらためてこの壁を感じず突破してゆくモンゴル人力士の適性におどろく。相撲はアジア人の相撲であり、欧州人のレスリングではないということだろう。
このことでいつも思うのだが、トルコ相撲は大相撲に向いている。なぜトルコ人力士が登場しないのだろう。
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三日目 |
把瑠都、初日
把瑠都が肩越しの上手を取り、下手を引きつけて寄る。こうされたら朝赤龍はなにもできない。いや朝青龍どころかこれに立ち向かえる力士はいない。舞の海も「まるで横綱のよう」とその強さを絶賛。
初日、二日目と引き技で自滅したことから学び、これ以降はこんな相撲を取ってくれるといいが。
とはいえ私の好きだったのは把瑠都の破天荒な相撲。それはケガを招くからともう見られない。これから大成したとしてもそれは常識的な相撲だろう。そう思えば、相撲常識からは考えられないようなはりま投げのようなトンデモ技を見られたケガ以前のことに感謝しよう。二度と見られない凄技だった。
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間垣はなにを考えているのか!?
若ノ鵬がまた八艘跳びのようなことをやり、垣添につっこまれたがぎりぎりで勝った。うれしそうな笑顔。しかしアナは苦言。場内は失望。舞の海も「自分も八艘跳びをやっていたので立派なことは言えないんですが」と自壊しつつの箴言。せざるを得なかった小兵舞の海と195センチの若ノ鵬では意味が違う。
毎度不思議でならないのが親方の存在。間垣はなにを考えているのだろう。脳梗塞から復帰し再び理事長の座に執念を燃やし始めたのはいいが、若ノ鵬に正しい指導をしているのか。もしも変化技を親方から厳しく注意されていたなら、あの若ノ鵬のうれしそうな笑顔はあるまい。ここも高砂と同じ放任主義なのか。
白鵬も変化してみたり、つり上げてみたり、あれこれやっていたが、まだそこには決まり手をみんなやってみたい、のような気持ちが見えた。若ノ鵬の場合には、相撲というものを勘違いし、勝てばいいスポーツと割り切っているような面が見える。場内の失望のため息が聞こえないのだろうか。
というようなことを考えると、十両のころからインタヴュウでは必ず「お客さんによろこんでもらえるような相撲を取りたい」と言い、小兵ながら常に前進する相撲を取ってきた安馬がいとしくなる。
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安治川から伊勢ケ浜へ
07年11月30日つけで、安治川親方(旭富士)が伊勢ケ浜株を取得し、伊勢ケ浜部屋に変った。ということを私は今場所が始まるまで知らなかった。だから初日に安馬の所属が伊勢ケ浜になっていたのにおどろいた。
安治川株は安美錦が取得したという。これで引退したら安治川部屋をまた興すのか。それとも部屋付きの年寄りとして、伊勢ケ浜を襲名するのか。先のことだが、安美錦は伊勢ケ浜を旭富士から譲り受け、安治川株は安馬が引き継ぐような気がする。安馬は自分の部屋を興すのではないか。帰化し親方になるのが確定しているのは旭天鵬のほうが先だが、モンゴル人の名親方にになるのは安馬のような気がする。23歳のこれから大関を狙おう問うニキビ面の青年にこんな先のことを考えてもしかたないけど。
大島部屋(旭国)は弟子の四股名を「旭シリーズ」にした。先代佐渡ケ嶽が「琴シリーズ」を徹底したので、弟子の琴風は「風シリーズ」をやっている。豪風、嘉風等。
安治川こと旭富士は自分の四股名から「旭シリーズ」も「富士シリーズ」も出来ない。よって親方の名から「安シリーズ」を始めた。安美錦、安馬、下の方には安虎(あこ)なんてのもいる。
それが今度は伊勢ケ浜になってしまった。これじゃ「安シリーズ」に意味がない。今後はどうするのだろう。
伊勢ケ浜部屋と言えば横綱照国、大関清国だ。私は照国を見ていないが。
ふつうに考えて「国シリーズ」か。「伊勢」シリーズか。
私だったら名門の名を継ぐより、自分が隆盛に導いた安治川の名に拘る気がする。志ん朝が志ん朝の名をあいしたように。でもそんな世界ではないのだろう。きっと旭富士にとって名門伊勢ケ浜の名は魅力的だったのだ。
考えてみると、安治川の先代は陸奥嵐、地味なマイナー部屋である。メジャーな伊勢ケ浜にスキップ気分で乗り換えた気もする。安治川は旭富士で四代目。伊勢ケ浜は旭富士で九代目である。たしかに格が違う。でも歴代の安治川親方で旭富士がいちばん実蹟をあげたのは事実である。まあ私のこだわっているのは「安シリーズ」の四股名のことだけなのだけれど。
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小兵豊ノ島の魅力
昨日身長33センチ差のある琴欧洲をぶん投げた豊ノ島が、今日は白鵬をあわやと思わせるところまで追い込んだ。私は負けたと思った。しかし左下手が命綱となり最後は白鵬が豪快に土俵下にぶん投げていた。白鵬にねばり強さが出てきた。ひとえにそれは謹慎明けの朝青龍に優勝されたら赤っ恥との意識からだろう。横綱が土俵上で舌を出したのはご愛敬だが。
むかしなら身長で撥ねられていた豊ノ島は新規定での関取第一号である。169センチだから私より低い。それであの活躍だ。私は挌闘技は大男のものと思っているが、相撲の小兵の活躍にはわくわくする。
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連日の一面報道!
月曜のスポーツ紙はほとんどが一面で朝青龍復活を報じた。デイリーは阪神ネタだったが(笑)。
そこにまた朝青龍が敗れたものだから、火曜のスポーツ紙もみな一面朝青龍の負けを報じていた。勝った稀勢の里の名はほとんど見えない。それだけ朝青龍には悪役人気があるのだろう。
メジャスポーツがオフだったとはいえ、朝青龍人気(不人気という名の人気)をあらためて感じた。
でもいつも思うのだが、世の中にそんなに相撲好きはいるのか。野球にもサッカーにもゴルフにも興味のない私は、一面でどんなに大きな活字が踊っていても、無視して自分の興味のあるページに飛ぶ。世の中にはきっと相撲にはまったく興味がなく朝青龍の記事をパスする人もいると思うのだが。
でも事は相撲をはみ出して、社会的な悪役の話題となっている。だからきっと相撲には興味はなくても、茶飲み話の話題として朝青龍の記事をパスせず読んでいるサラリーマンも多いのかもしれない。
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千代大海、悲惨
3連敗。がんばっているが相撲が取れていない。もう休場して肘を治し、来場所に懸けた方がいい。
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四日目 |
世代交代の流れ
両横綱を追うかと期待された琴光喜が連敗した。それはいいとしても中身がひどい。琴奨菊、稀勢の里に完敗である。まだまだ巧さでなんとかなるだろうが、上り坂の体力と下り坂をしみじみ感じた。
今日は大関四人とも敗退。いくらなんでもひどすぎる。ここ二場所十勝十勝ときて、今場所大関への足がかりを作るはずだった安馬も早くも二敗である。両横綱の賜杯争いでいいのだが伏兵も欲しい。いまのところ候補は琴奨菊か。三勝一敗だが一敗の朝青龍との一番もいい相撲だった。
豊ノ島も二勝二敗だが相手はすべて横綱大関。横綱白鵬戦でもひやっとさせている。
安馬は琴奨菊に大きく負け越している。相性は悪くない、稽古場では勝ち越しているとと言っていたが、今日も負けた。しかも琴奨菊の満点の相撲である。相性はあるのだろう。
相性といえば若の里に大きく負け越している琴欧洲が今日も敗れた。若の里はかつて白鵬が唯一勝てない力士だった。こういう壁は好ましい。
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把瑠都二勝目
把瑠都が慎重な相撲で玉春日をつかまえ、寄り切った。こういう相撲を取れば強いのはまちがいないのだが、地味な把瑠都に不満も溜まる。しかし相撲の王道はそんなものか。
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一応注意してはいるらしい──間垣と若ノ鵬
変化が大好きな若ノ鵬が、昨日の今日なのでまたその取り口が話題になっていた。すると「あまり変化するとまた親方に叱られるので」とのコメントが伝えられる。間垣も一応叱ってはいるらしい。そのあと解説が「でも勝っていますからね」とフォローした。195センチで意味のない八艘跳びもどきをやったりするのだが、とりあえず勝っているからおとがめなしらしい。
この人、大成するのだろうか。若くて体力的に恵まれているのはまちがいないが。
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市原に魅力なし
新入幕の市原が三勝一敗と好調だ。幕下つけ出しからの早い出世だし「期待の新鋭」として見るべきなのだろう。だがでっぷりとした巨体、おっさんのような顔を見たら、とてもそうは思えない。
貴花田が十両から幕内にあがってきたころを思い出す。やはりああいうふうに新鋭は、筋肉質の体で、少年の輝きが望ましい。
市原の体も、十代で入門し、出世とともに今のようになったのなら好意的に見られた。学生相撲であそこまで完成されてしまっていると、どうにも応援する気になれない。
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白鵬が心配
白鵬の相撲が乱暴である。先場所千代大海をケガさせたあの一番が代表だが、今場所も攻め込まれて危ない場面から強引な投げが炸裂し、相手が土俵下に吹っ飛ぶ取り口が続いている。
文句なしにおもしろい。把瑠都の相撲が地味になり、琴欧洲がちいさくなってしまったのとは対照的だ。この人の底力はとんでもないものなのだろう。
だがこの調子だとまた小手投げで相手の肘を破壊するような事態が起きるような気がする。あのすばやく左まえみつをとって寄り切る万全の相撲を十八番にすべきと思うのだが。
把瑠都の相撲が地味だと不満を言う。白鵬の相撲が豪快でおもしろいのに、もっと地味で慎重でいいのではないかと思ったりする。ファンの不満は尽きない。
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五日目 |
豊ノ島、惜しい!!
豊ノ島が九分九厘勝っていた相撲を落とした。立ち会いから差し身争い、四つになってからの攻め、すべて朝青龍を凌駕していたのに、最後の最後、体が流れ、寄り切った朝青龍の体がまだ宙に浮いているうちに土が付いてしまった。悔やんでも悔やみきれない一戦。大きな星を落とした。しかしこの一戦で朝青龍が手の届かない存在ではないことを確認したろう。毎日いい相撲を堪能させてくれるいいお相撲さんだ。
朝青龍は苦笑い。この拾った一勝は大きい。
琴奨菊と稀勢の里が順調。豪栄道はさすがに上位の壁に苦心している。この大阪の青年、面構えがいい。
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明日は白鵬と稀勢の里。対戦成績は白鵬の五勝三敗と拮抗している。だが内容は今日の豊ノ島と同じく、「九分九厘勝っていた白鵬が土俵際で星を落とした三敗」である。内容では一度も負けていない。みな白鵬の自滅である。
今場所はそれは許されない。じっくりと腰を落とし確勝することを願う。
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99%と九分九厘
豊ノ島がほとんど勝っていた勝利を逃したことを「99%勝っていた」と書こうとして、いや日本語にせねばと「九割九分勝っていた」と書いたあと、いやいや日本語はそうじゃなく「九分九厘だ」と気づいて直した。
99%は九割九分である。直訳(?)だとそうなる。だが日本語では「割」はずって不遇(?)をかこち、分と厘なのだった。まちがえやすいので気をつけよう。時代に合わせて九割九分でかまわないと思うけど、文章を書くものとして、九分九厘にすべきだろう。
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カイガン開眼カイゲン
大相撲の実況アナが、誰の時だったか一皮むけた力士に関して「カイガンしましたかね?」と北の富士に問い、北の富士も「カイガンしたかもしれないね」と応えていた。
「開眼=かいげん」のまちがいだろう。よくあるまちがいだがNHKアナなので気になった。
本来私はこういうことを気にしない質である。言葉は通じればいい。「開眼」をふつうに読めばカイガンだし、むしろカイゲンと読む方が不自然とすら思っている。
高島俊男さんの著書で教えて頂いたことだが、むかしは「発足」は「はっそく」だったそうだ。そのころ「ほっそく」と言ったら誤読で笑われていた。むかしっていつだっけ、江戸のころか。明治か大正のころに「ほっそく」になったとか。いまカナフリ問題で「はっそく」にしたら×だ。こういう例をいくつか教えてもらい、ますますどうでもいいことだと思うようになった。こんなことに目くじら立てたくない。
故郷の役場の人で、「出納」を知らず、いつも「しゅつのう」と言っている人がいた。職務は会計係だからちと問題か。こういうことを気にする母は、彼がしゅつのうと言うたびに気になり、かといっていい年をした役人に指摘も出来ず、毎度カリカリしていたことを思い出す(笑)。でも「しゅつのう」で話は通じているのだからそれでいいだろう。
今回の場合は発言したのがNHKアナであり、視聴者は年配層の多い相撲ファンである。抗議が殺到したのではないか。
だがNHKアナがあまりに初歩的なこんな誤用をするとは思えない。とすると、今ではアナウンサの規定では「カイガン」と読むことになっているのか。それならそれでいい。私もカイガンにする。事実が知りたい。
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六日目 |
龍二さん、六連敗!
千代大海が初日から6連敗を喫した。大関の初日からの連敗としては、1973年九州場所の清国に並ぶ不名誉な数字(不戦敗を除く)。清国は7日目から休場しており、それ以上となると47年秋場所(11日間)で全敗した名寄岩までさかのぼる。
千代大海は昨年九州場所14日目の白鵬戦で右ひじを負傷。今場所も尾を引いており、この日は過去15戦全勝の安美錦に敗れた。「手を動かそうという気持ちはあるんだけど」ともどかしそうだったが、「(あしたも)出ます」ときっぱり。
北の湖理事長(元横綱)も「力を出せない状態なら大関の責任も出てくるが、本人がまだ力を出せると思うなら取ればいい」と理解を示した。(時事ドットコムより)
龍二さん、ここまで来たらもう十五連敗の記録狙い!
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下品な横綱の張り差し──モンゴル人嫌い
毎日毎日モンゴル人横綱二人が、相手の顔を張って立ち会う。もううんざりだ。今までこんな下品な横綱を見たことがない。横綱になって始めたのではない。下位にいるときも上位の大関陣に張り差しをして、尊敬の気持ちはないのかといぶかしがられていた。
好きな白鵬にはそれをやめてほしかったが毎日である。くだらん。こんな横綱はいない。まるでチンピラである。見るたびに相撲熱が冷める。初日から感じていたことだ。なんとかならんのか、こいつらのこの根性は! ならんのだろうな、それが騎馬民族か。相手の顔を張って立ちあがることに疑問を持っていない。いやな横綱だ。たまらん。
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豊ノ島、琴光喜に完勝!
これで三勝三敗の相星。白鵬、朝青龍戦とも、ほぼ勝ちに等しい内容だった。いかに充実していることか。この170センチの力士はどこまで伸びるのだろう。
今場所を盛り上げているのは、琴奨菊、豊ノ島、稀勢の里。しらけさせているのが、琴欧洲、魁皇、千代大海の大関陣。
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白鵬、稀勢の里に圧勝
だが張り差しなのでしらけ。なんでそんなことをする。どこにその必要がある。気づけ。気づかないか。なんとかしろ、竹葉山。 |
七日目 |
立浪いいおとこ
向こう正面の解説に旭豊の立浪親方。いい男だ。現役時代も美男だったが、いまも役者のよう。
立浪の娘がその男ぶりに横恋慕して一門とは違う大島部屋から婿入りする。いわゆる逆玉。すぐに不仲になり離婚訴訟。親方株を巡る醜聞。裁判沙汰。なんとか落ち着いて親方として残った。
現役時の貴乃花を破った一番などが流れていた。この場所、全盛期の貴乃花は十四勝一敗で優勝、土をつけたのは旭豊だけだったとか。さすがに全盛期の貴乃花を負かした一番だけにすばらしい相撲だった。NHKにはこのお宝映像がある。毎場所いちばん楽しみなのがこれだ。
旭豊はそんなにがんばっていたのだったか。力士の旭豊にあまり記憶はない。この貴乃花を破ったヴィデオは何百回何千回見たと語っていた。彼にとっても宝物映像なのだろう。
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高見盛、若ノ鵬に勝つ
高見盛がまたも変化気味に立ったバカの鵬の懐に潜り込み、追いつめてぎりぎりで勝った。喝采である。美しい相撲精神をもつ高見盛が、相撲のなんたるかを理解していない、しようともしないロシアの青年に勝ったのである。
だが、だからこそ、両者の肉体的資質の差は一目瞭然で、見ていて悔しかった。若ノ鵬がまともな相撲を覚えたら高見盛では歯が立たない。それが見える一番だった。
脳梗塞で倒れた間垣(二代目若の花)は今も車いす生活だと知る。19日発行の『夕刊フジ』で。それでも理事選には出ると主張しているが、一部からは「理事は先頭に立って駆け回る仕事。車いすでは無理」との声が出ているとか。
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張り手を交わした安美錦
今日は琴欧洲も張り差しの立ち会い。それを読み切っていた安美錦が交わしたので、琴欧洲の張り手は空を切っていた。みっともない。懐に飛び込んで安美錦完勝。
毎日相撲を見ていて、張り差しの不快ほどいやなものはない。それだけでモンゴル人力士が嫌いになりそうだ。安馬がいるけど。
朝青龍はキャラクタとして許す。だからせめて白鵬、品のない張り差しを封印してくれ。
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今日は大相撲中継を見たあと、すぐに外出した。帰宅したのが深夜。書かずに寝る。これを書いたのは二十日朝になってしまった。毎日書くのはむずかしい。書くことは山とあり書ききれないほどなのだが。それでもまだ溜まっていないからいいか。数日溜まるとこんな文は書けない。
相撲を見ているとどうしても父を思い出しせつない気持ちになる。これは生涯消えることはないだろう。父と同じ趣味をもち楽しんできたしあわせでもあるが。
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八日目 |
白鵬、また張り差し
右手で相手の顔を張っていかないと立てないのか。あきれる。
今日の相手は先場所初日に敗れている琴奨菊。
琴奨菊の左脚が流れ、右足を痛める。靱帯か。ここまで好調だったのに。ただしこれは白鵬に責任なし。先場所の千代大海戦とはちがう。
いまのところ休場のニュースはないが……。
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千代大海休場
ここまできたらワースト記録をもっともっと更新して欲しかった。
大関の初日からの7連敗(不戦敗を除く)は、15日制が定着した49年夏場所以降では、73年九州場所の清国の6連敗を超えるワースト記録。
千代大海は出る気だったが、九重(千代の富士)の強制休場指令らしい。
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栃乃洋、惜敗
栃乃洋が朝青龍を攻め込んだが惜しい負け。朝青龍は連日冷や汗の勝利。それでもなんとか一敗堅持。
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琴欧洲、ライバル稀勢の里に勝つ
今場所は角番。今場所負け越して陥落したら、今の琴欧洲ではもどってこられない。なんとしてもここは勝ち越して来場所以降に繋げるべき。なんでこんなに相撲が小さくなったのか。気弱だからか。
稀勢の里に勝って五勝三敗。なんとか勝ち越せるか。
琴光喜は三勝五敗。いやはやひどい大関陣だ。
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九日目 |
安馬、善戦!
安馬が朝青龍相手に最高の相撲を取った。だが最後は力負け。投げられた。
しかし立ち会いからのど輪で攻め、四つになってからも土俵際で粘って盛り上げる。朝青龍の内無双は苦し紛れに打ったように見え、バランスを崩し安馬にチャンス到来と思えたが、そのあと一度切った上手(内無双をするのだから当然)を取り直して投げた。こういう相撲がいちばんおもしろい。以前から私は三代目若の花と琴錦戦のような、中型力士同士の早い相撲を理想としているが、このふたりはそう。最高におもしろかった。しかも朝青龍が今日は右を差しに行き張り差しでなかったのもいい。
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白鵬、豪快!
白鵬も張り差しではなくまともな立ち会い。やればできるじゃないか。
若の里との対戦成績はここまで六対四。若の里のほうから見て。勝ち越している。
日の出の勢いの白鵬がどうしても勝てないのが若の里だった。あのころの白鵬が大好きで毎場所見るのが楽しみだった。いま六対四ということは、六連敗のあと四連勝していることになる。超えるまでに時間がかかったがもう大丈夫だろう。
今日勝ったがそれでもまだ五対六。負け越している。
白鵬が負け越しているのは朝青龍と若の里だけだ。
白鵬の相撲が安定してきた。スロースターターなのだろう。
対して朝青龍は連日青息吐息で勝っている。でも相撲内容は最高におもしろいが(笑)。
素直に見ればスタミナ万全の白鵬有利なのだろうが、朝青龍の闘争本能は常軌を超えている。まだまだ最後までわからない。
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モンゴル人力士の偉大さ
全勝の白鵬を追うのは、一敗が朝青龍と旭天鵬。二敗に鶴龍、朝赤龍、普天王、豪風。優勝を争う七人中五人がモンゴル人力士。安馬と時天空も活躍している。なんともすごいことである。
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琴奨菊、休場
昨日のあの様子から無理と思っていたがやはりそうだった。同じ休場でも千代大海のとはぜんぜんちがう。ここまで六勝二敗と好調だっただけに、なにより相撲内容が充実していたから、残念だったろう。佐渡ケ嶽は数日休んでの復帰もあるような含みのある発言。無理をしないといいが。
ああいう明らかな土俵上の事故を思うと公傷制度はあってもいいのではと思う。
白鵬が壊し屋と呼ばれたらかわいそうだと思っていたら、早くもそんなことをいう輩がいた。相撲を見ずに語っている。
インターネット世界で知ったのは、いかに人がいいかげんなことを言うかということ。私ごときのことでも見知らぬ人間によって2ちゃんねるやヤフー掲示板に書き込まれたまったくの事実無根、事実誤認の情報が一人歩きしている。しかもそれを信じた孫引き、ひ孫引きまで登場している。おそろしい話である。
琴奨菊は自分で滑って足が流れてケガをした。白鵬のせいにされたら気の毒だ。
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把瑠都、再び黒星先行
鶴龍に敗れて四勝五敗。試煉の場所である。それが相撲の深さだ。
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十日目 |
バカ白鵬、またも張り差しで敗れる(笑)
またも張り差しの立ち会い(笑)。安馬に完敗。どうしようもない。ザマーミロだ。張り差しは相手の面を張るという奇襲戦法の価値と同時に脇ががら空きになるという大きな缺点を持つ。そのことを横綱になって気づかないバカが二人横綱になっている。悲惨。
結局モンゴル人力士というのは身体的能力は優れているが相撲のなんたるかを理解できない精神的愚者ということであろう。連日の張り差し連発に段々かわいさあまって、になってきた(笑)。
白鵬はここまで九連勝。一見豪快な投げ技が炸裂していたが、私は連日書いてきたようにまったく満足していない。納得している相撲は二番ぐらいである。そのあやうさが見事に今日出た。これはこれでよいことであろう。体力が劣ることから白鵬とは比べものにならないぐらい真摯に相撲のことを考えている安馬に負けたことはいい試煉だ。三場所連続の負けである。横綱としていかに恥ずかしいことか。反省しろよ、バカ!
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朝青龍、ニヤリ(笑)
一敗で白鵬に並んだ、もうおれのものだと思ったろうな。笑みを隠している(笑)。ほんとうに嬉しいとき、人は笑わずに懸命に隠す。速攻で若の里を相手にしなかった。
やる気が違う。根性が違う。今場所優勝するためなら、朝青龍はあぶなくなったとき、あのタイソンのように、相手の耳を食いちぎるだろう。それだけの気魄がこの人にはある。だから強い。
朝青龍最強。朝青龍を負かせるのはウチダテマキコしかいない。最終兵器。千秋楽での対戦希望。
午後のワイドショーで朝青龍とウチダテマキコ特集をやっていた(笑)。暇だな。それを見ているおれはもっと暇。
それによるとウチダテは4歳のときからの相撲ファンと豪語しているのに、横審委員になったとき、新入幕の朝青龍を「あさせいりゅう」と言ったとか。本当に相撲ファンなのか。隙間に潜り込んで成り上がるのが上手な女であるのは認めるが。
横審委員でなけりゃ、いま誰がウチダテを取り上げる?
他項に書いたが、今度は将棋を覚えて、将棋エッセイを書き始めた。かんにんしてほしい。
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把瑠都、4勝6敗
万全の体勢で寄り切る形になりながら、土俵際栃乃洋に下手ひねりをくって宙を舞っていた。大柄な怪力力士がぶっとぶのは無惨である。
初の実力負け越しが現実的になってきた。
いま幕内力士で、把瑠都を怪物、とても勝てないと惧れているのはいないだろう。このままただの人になるのか。
琴欧洲、快勝!
今日はいい相撲。朝赤龍を一気に押し出した。とにかく今場所は勝ち越して、心を立ち直せ。
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十一日目 |
安馬の談話──張り差しが敗因
安馬が、3場所連続で白鵬を倒した。白鵬の右からの張りを利用するように、体を右へ移した。瞬間、土俵際に立ったが落ち着いていた。追って前に出てくる白鵬を見透かすようにいなしを入れて形勢逆転。休まず右上手をつかみ土俵の外へと投げ捨てた。
「うまく取れました。突っ張って起こして中に入ろうしたけど、相手が右から張り手をしてきたから、自分も右にずれた。あとは流れですね」。かすかに笑みを浮かべ、一つ一つかみしめるように言葉を並べた。(ニッカンスポーツより)
反省しろよ、白鵬! 安易なバカのひとつ覚えの下品な張り差しが敗因なのだ。
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白鵬、今日は左で張り差し
なのに今日も張り差し(笑)。でもまあ今日はそこから突っ張り、のど輪にいって押し出したからいいとするか。安美錦に完勝。しかしもうここまで来るとこの人の張り差しは癖だな。品のない横綱だ。
朝青龍に並ばれ焦っていることだろう。これで復帰した朝青龍優勝じゃその間の連続優勝が鬼の居ぬ間の洗濯になってしまう。精神的に朝青龍優勢だ。
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把瑠都4勝7敗
露鵬とがっぷり四つになり力を発揮するかと思った刹那、上手投げで宙を舞っていた。膝が悪いとかのレヴェルではない。出口のない闇に突入したようだ。
豊ノ島も雅山に敗れて4勝7敗。明日はこのふたりの対戦。どちらかが負け越す。
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そりゃないぞ、安馬
一横綱三大関を破っている安馬が今日も負けて6勝5敗。大関取りのためのになんとしても二桁勝っておきたいのに早くもピンチだ。これだけ上に強く下に弱い人も珍しい。
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モンゴルばっかし
一敗、白鵬、朝青龍。二敗、旭天鵬、鶴龍。上位四人。モンゴルばっかし。
私は平気だけど、やたら日本人に拘る人にはこれが国技かとなさけないことだろう。
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十二日目 |
白鵬の整体師!?
慢性的な腰痛は限界に近い。この日は香川から、かかりつけの整体師が緊急上京した。約1時間、マッサージを受けて場所入り。(ニッカンスポーツより)
これ不思議だな。どうして香川なのだろう。たとえば新日は福岡にかかりつけの整体師がいたので、福岡巡業があるとレスラーの何人もが背中に吸引のどす黒い痣を着けて登場した。プロレスファンにとってはある種の風物詩だったとすら言える。あの六文銭のような背中を見ると、「ああ、九州巡業か」と思ったものだ。
なぜ香川なのだろう。四国場所はないし。
推測するに、朝青龍が高知の明徳義塾高校出身。その後援会長も四国の人。その娘が白鵬の奥さん、ということからの四国繋がりか。この後援会長も娘さんも徳島の人だ。香川ではない。でもまあ四国は狭いからね。徳島でも有名な香川の整体師だったのだろう。
朝青龍の後援者で、あの引きこもりのときに登場し、本職は包茎治療と話題になり、王監督の娘との婚約解消でもワイドショーに登場した本田医師は福岡の人。これは九州場所があるから親しくなった経緯がわかりやすい。
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栃乃花と栃栄引退
春日野部屋の二人が引退表明。栃乃花は十両で負け越し、幕下陥落決定での引退。栃栄は幕下でがんばったがやはり負け越しで引退。ふたりとも年寄株をもっているそうだ。春日野部屋で部屋付き親方になるのか。濱ノ嶋が把瑠都を抱えて獨立したようにそんな流れもあるのだろうか。
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把瑠都対豊ノ島
大きいのとちいさいの、両方とも好きな力士。それがともに4勝7敗での対戦。負けた方が負け越し。見るのが辛い。ここまでの星は同じでも豊ノ島は三大関を破り、両横綱にもあわやの場面を作っている。対して把瑠都は無気力なだらしない相撲でこの成績。豊ノ島に分があるかと思われた。
がっぶり四つになり、豊ノ島が潜り込む体勢。把瑠都が慎重に寄り切った。豊ノ島の勝機は序盤からの動きを止めずに動き回ることだったろう。解説の玉ノ井(栃東)もそう言っていた。土俵中央であのような形で落ち着かれると体力の差が出る。
把瑠都は叮嚀にお辞儀をして下がった。根性の悪い露鵬あたりとは心が違う。果たして最終的にどんな星になるのか。
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栃乃洋対出島
石川県で子供のころから切磋琢磨してきた二人。対戦成績は大きく出島が勝ち越している。今日は栃乃洋の勝ち。この名物対戦もあと何番見られることか。
今場所は「出る出る出島」が出来れずに引く場面が何度かあった。それだけ体力が落ちているのだろう。
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琴奨菊と豊ノ島
栃乃洋対出島と同じようにこれから番数を重ねて行くのがこの二人。小学生のときからのライバルだ。将棋の羽生と森内が小学生名人戦で対決しているように、こういう世界は狭いから、こうなるのだろう。
豊ノ島は前記のように今日は把瑠都と対戦して負け。
今日から再出場でなんとしても勝ち越して小結の地位を守りたい琴奨菊は変化して時天空に勝つ。
負けた時天空が憤然としていた。ここまでの対戦成績は9対2で時天空が圧倒。その勝ちかたが常にまっすぐ出てくる琴奨菊をうまくいなしての時天空の勝利。今日は逆をやられた。
変化は嫌いだが、ことこの対戦に限り、いいかもと思う。土壇場の琴奨菊がやられてきたことを返しただけだ。この7勝目は大きい。もしかしたら勝ち越せるか。8勝で小結の座を護れば来場所に繋がる。
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露鵬の変化
露鵬がまたもおおきく変化して雅山は背中を見せてしまった。途中でもう相撲を取る気がなくなっている。ひどい内容。
力士を見ていると親方批判が浮かぶ。朝青龍から高砂のように。
露鵬の土俵態度の悪さが一向に改まらない。そのことから大嶽(貴闘力)に失望するし、最初の親方であった大鵬への見方も変ってくる。貴闘力がどんなに立派なことを言っても信じない。信じられない。露鵬のあの態度がある限り。
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宮城の部屋の今後
親方株の利権を手放したくなく、先代宮城野親方未亡人が、無理矢理娘に手頃な力士をあてがって結婚させ、部屋運営に乗り出した。逆玉に載ったのは北の湖の弟子で十両どまり(その十両も一場所だけではなかったか?)の不細工な金親である。
そのことによって白鵬を育て宮城野親方を名乗っていた竹葉山は流転の目に遭う。白鵬もノイローゼになるほど悩んだという。
その金親と先代の娘が離婚間近と『週刊現代』に載っていた。金親は結婚後もかねてからの仲であるホステスと切れず、それどころか寝物語に白鵬を横綱にするために朝青龍側に金を渡したことを語り、テープに録られ、暴露されている。
『週刊現代』によると、先代未亡人が「いまはまだなにも話せません」と繰り返したそうで、もう離婚は確定的なのだろう。もともと無理な結婚なのだから望ましいことだ。
白鵬の昇進のときに金親が夫人と並んでいたが、そこそこきれいな娘さんで、いくら政略結婚とはいえ相手が無理矢理の金親では気の毒に思ったものだった。
白鵬が横綱になったことで後援会も充実した。現熊ケ谷の竹葉山がそこから金を出してもらい、また宮城野親方になるのか。協会としてもそれが理想だろう。金親はごねるらしく(笑)金を渡さねば去らないようだ。
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十三日目 |
把瑠都、負け越し
ケガとは関係なく負け越したのは初めてか。このまま図体のでかいただの人になるのか。おっかなびっくり相撲を取っている。来場所はどうなるだろう。尾上部屋まで様子を見に行きたいぐらいだ。尾上部屋はどこにあるんだ。ほんとに行ってみたい。
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琴奨菊、勝ち越し!
昨日とは一転して前に出る相撲で豪栄道を圧倒。勝ち越し。小結の地位を守った。まだ膝は痛いようなので明日からまた休場してもいいが、そうはいかないか。
インタヴュウでうれしそう。この人もいわゆる「笑うと目がなくなる」顔。
いつも思うのだが、琴奨菊の左耳は「カリフラワー」である。柔道とレスリングには多いが、相撲も子供のころから取るとああなってしまうのだろうか。体質であることは知っている。だからレスラーでもなる人とならない人が分かれる。日本人では桜庭のつぶれた耳が目立つ。
プロレスラーはその潰れた耳を誇りとするので「カリフラワー」という専門用語は小学生のころから知っていた。プロレスラーの親睦会で「カリフラワー・クラブ」というのがある。日本語でなんと言うのかは知らなかった。「耳がわく」「餃子耳」と言うらしい。痛がゆくてつらいようだ。
いい人が勝ち越した。心から賞賛する。
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安馬、勝ち越し、安美錦、負け越し
新生伊勢ケ浜部屋の二枚看板の明暗。
安美錦は朝青龍への二連勝とかあったが、安馬とは逆に、前半の下位陣に勝って星を積み上げるものの、後半の上位陣との闘いで負けることが多かった。その下位に負けることが多かった今場所は負け越して当然。せっかく三役に定着し、琴光喜の最高齢大関昇進に刺激を受け、大関取りを宣言していたのに、また出直しとなった。まあふつうに考えて大関になるのは安馬の方だろう。
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琴光喜、惜しい!
取り組み前、付き人を相手に両差しの稽古をしていた朝青龍だが、結局は毎度の右張り手の張り差し。わからん。右張り差しは右脇ががら空きになる。両差しを狙うとはフェイクだったのか。それとも本気だったが思わず癖の張り差しが出てしまったのか。
それをかいくぐって琴光喜が両差し。一気に土俵際までもってゆく。完勝のパターン。だがそこからひっくり返され、下手投げで投げられる。
いい相撲だったが負けは負け。ここで勝っていたら敗因として張り差しが取り上げられ、さすがの朝青龍も反省して封印した可能性もある。なんとしても勝って欲しかった。悔やまれる。しかし毎場所この二人の相撲はおもしろい。
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魁皇、がんばるが
琴光喜に次いで魁皇も白鵬相手にがっぶり四つで善戦。1分を超える相撲になり、徐々に体勢有利にもっていった白鵬に、最後はスタミナ切れするような形で寄り切られた。これはこれで白鵬の強い相撲。
右上手を取れず腕をぶらぶらさせていたが、舞の海によると、無理に取りに行かず、あのまま我慢していたのがよかったのだとか。相撲は奥が深い。私なんぞにはわからない世界。
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琴欧洲、ピンチ!
琴欧洲が絶好の勝ち越しの相手・豪風に負けて7勝6敗。角番だ。まだ勝ち越せない。心配になってきた。
半端な立ち会いで負け、批判があることから、今日はちいさくても正統派の豪風ということから、思いっきり突っ込んでいった。ところがあまりに一直線すぎたのか、豪風は、突っ込んできたダンプカーを交わす風情でよけ、琴欧洲は観客席まで転げ落ちていった。これを豪風の「変化」としたら気の毒。豪風は下を向いたまま突っ込んでくるイノシシを交わしたようなものだ。琴欧洲の自滅だ。どうにもチグハグな琴欧洲である。
負け越して陥落しても来場所10勝以上で復帰できる特例があるが、今の琴欧洲に10勝はきつい。となると今場所負け越したら、陥落した大関として幕内と三役のエレヴェイター力士になってしまう可能性が高い。むかしの貴ノ浪、いまの出島、雅山のように。
なんしても今場所は勝ち越しても、とりあえず角番をクリアしておきたい。残り二日、目が離せない。
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十四日目 |
若ノ鵬、普天王を投げる
若ノ鵬が上手ひねりで普天王を投げていた。
普天王は子供のころから相撲を取ってきた相撲エリートである。学生相撲でも実績を残し鳴り物入りで入門してきた。出世も早く、新入幕のときはまだ大銀杏が間に合わなかった。武者人形のような見た目もいいし、力士のブログとしても先駆けとして話題になった。
それが昨日今日相撲を始めたまだ大銀杏十代のロシアの若者に子供扱いされている。変化技ばかりしている若ノ鵬の相撲態度を認めたくないのだが、相撲歴から見たら、アスリートとして身体能力として、図抜けた存在なのか。どうにもうれしい気分にはなれない。
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把瑠都と高見盛
懸命に空気を入れてパンパンの高見盛に、初の負け越しでしょんぼり気味の把瑠都。
がっぷり左四つになってしまい、高見盛が寄ったが軽々と体を入れ替えて把瑠都の勝ち。いつものよう負けた高見盛はうつむいて花道を下がり、観客から笑いが沸いていたが、勝った把瑠都もしょんぼりしている。
しょんぼりしている把瑠都の顔を見るのが辛い。この闇を抜け出すにはどうしたらいいのか。
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市原勝ち越し
新入幕の市原が勝ち越した。変化技。北勝力憤然。まあ北勝力には怒る資格もないと思うが(笑)。
このでかい体で変化するのが器用な市原の持ち味とか。
やっぱりこの人を好きにはなれない。
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土佐の海と玉春日
その市原の変化のあとに、昭和47年生まれのヴェテランふたりがいい相撲。心が洗われる。やっぱり相撲ってのは勝てばいいってもんじゃない。
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朝赤龍の足取り!
安馬相手に朝赤龍の足取り。場内がどよめいた。アナも解説も「おどろいた」「びっくりした」の連発。
いきなり体を低くして安馬の右足にすがりつくような形。同じ奇襲でも若ノ鵬や露鵬の安易な変化技とは違う。アナが繰り返すのは「安馬がやるならともかく朝赤龍が」である。安馬はお株を取られたか。でも朝赤龍もいかにもモンゴル相撲らしい珍しいことをやる人だけど。
6敗目を喫し悔しい安馬は「来場所、仕返しをしてやる」とのこと。来場所の対戦が待ち遠しい。安馬は何を仕掛けるか。
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琴欧洲、勝ち越したが……
ここまで2敗の鶴龍との一戦。不細工な張り差し。鶴龍に一気に潜り込まれ、攻め込まれるが土俵際で回り込み、かろうじて勝つ。贔屓の力士が角番脱出なのにちっともうれしくない。だめだ、こんな相撲じゃ。
鶴龍が3敗となり優勝は両横綱に絞られた。
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千秋楽横綱決戦
今日の白鵬は強かった。うん? 強かったか? 琴光喜に一瞬攻め込まれたが、豪快に上手投げで投げ捨てた。
今場所、白鵬の強引な、切れ味鋭い投げが目立った。「切れ味鋭い」は褒め言葉。「強引」は貶しだ。相撲としてはおもしろい。だけどどこをどうしても勝ちようがないというぐらい隙のない完璧な白鵬を求めるこちらには、強引であぶなっかしい相撲が多かった。その分、おもしろいけれど。
今日も身体能力の高さを見せつけたとんでもなく強い相撲ではあるのだが、琴光喜に充分攻められてもいる。まだまだ安心してい見ていられる大横綱までは遠い。
しかしまああのあぶない前半戦から、なんのかんのいおうとここまでこの成績で来た朝青龍の根性はすごい。
明日はどっちが勝つのだろう。
理想的には、二場所ひとり横綱で連覇してきた白鵬が、謹慎明けの朝青龍に勝つことだろう。そうでないと面目丸つぶれだ。だがまだまだ厳しさの足りない白鵬は、ここで赤っ恥を掻いた方がいいかも、とも思う。それが真の大横綱白鵬への道を開く気もする。
だがだが、そんなことになったら朝青龍の鼻がまた高くなる。ここは日本全国からザマーミロの罵声を浴びて、稽古嫌い返上がより相撲をおもしろくするか。
どっちだどっちだ。やっぱり白鵬が優勝して、朝青龍が屈辱を味わう方が後々のためにはいいか。
とはいえ二場所謹慎のあと、この成績だから決して屈辱ではない。13勝2敗で千秋楽まで優勝を争ったのだから合格点だろう。
優勝したら天狗になりそうだものなあ。やっぱり白鵬がんばれ、かな。
理想としては全勝対決だったが、1敗したことも両者の気を引き締める意味でほどよかったのかもしれない。
しかし両横綱の千秋楽決戦という以外は──先場所と比べたら最高におもしろかったけど──好きな力士の負け越しが多く、不満足なことの多い場所だった。でもおもしろかったな、先場所のつまらなさを思うと最高だった。文句なし。それはやっぱり朝青龍の存在か。
と千秋楽は明日だがもう総括が終ってしまった。
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というところに大ニュース!
・伊勢ケ浜部屋、12力士が改名へ――安馬ら関取はそのまま (NIKKEI NET)
伊勢ケ浜部屋の力士12人が、今場所後に改名することが26日、分かった。
日本相撲協会広報部によると、同一部屋で一度にこれほどの人数が改名するのは「極めて珍しい」という。
安美錦と安馬の両関脇、十両の安壮富士の関取はそのまま。
伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)によると、同親方が昨年11月30日付で年寄「安治川」から名跡を変更し、横綱照国や大関清国らを輩出した伝統ある部屋が復活したことを機に、これまで入っていた「安」の字を使わないしこ名に変えるという。
伊勢ケ浜親方は「関取衆も今後、昇進などきっかけがあれば改名を考えていく」と話した。〔共同〕
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う〜む、そういうことをするかね。過日例に挙げた「安虎(あこ)」なんかも当然改名だ。安馬も大関になったら改名か。まあそれはそれでいいとして。べつに安馬という名がすばらしいとも思っていないので。
いいことのようなわるいことのような。どうもすっきりしない。
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千秋楽 |
若ノ鵬、10勝!
今日は強い勝ちかた。10勝目。「来場所は飛ばない。親方に約束した」とインタヴュウで言ったとか。アナが「今場所前にもそう言ってましたね」と茶々を入れる。まあ飛ぶだろう。
この人とのアンビバレントな関係が続きそうだ。
若ノ鵬を見ていて思うのは、若い頃の大鵬に「顔が」似ているなあ、ということ。大鵬は水の滴るようないい男だったが、あれは「ロシアと日本の混血の美」だったんだな。当時はそれはタブーというか悪意の噂のようにで誰も口にしなかったが。
史上最強横綱の秘密はロシアの血だったのだから、今のロシア系の活躍もうなづける。
それで不思議なのは、朝鮮人力士が少ないことだ。いま正規で活躍しているのは春日王だけである。チェ・ホンマンみたいな韓国人力士が増えてもいいのに、どういうことだろう。
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豪風、十二勝で敢闘賞!
豪風が大デブの新入幕市原を軽くあしらって十二勝。終ってみれば優勝に絡んでいた旭天鵬、鶴龍より勝ち星が多かった。白鵬、朝青龍に次いで三番目である。
琴欧洲、把瑠都、市原、露鵬とデカいやつらを手玉に取っていた。見事。
三賞受賞は尾車部屋初。琴風もうれしいことだろう。
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高見盛、露鵬に勝って勝ち越し!
また変化した露鵬にうしろに回られる展開。絶体絶命。そこからクルリと一回転が早かった。高見盛、千秋楽で勝ち越し。露鵬、千秋楽で負け越し。勧善懲悪の世界。よかったよかった。
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把瑠都、うち内無双!
今日の把瑠都は普天王に頭をつける。奇妙な形。そこから内無双。いろいろ勉強してるんだな。アナは的確に内無双と瞬時に言ったが私はビデオを見るまでわからなかった。別方向からのカメラが映し出してくれる。内無双と言うよりは、目の前に相手の膝があったので手で払ってみました、という程度のものだったが(笑)、ファンとしてはうれしい。
実力で初めて負け越した場所。これからの奮起を期待する。
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若の里、強いのに……
若の里が岩木山をぶん投げていた。今場所は若の里の力強い投げ技をずいぶんと見た気がする。なのに星は7勝で負け越し。関脇に定着して毎場所10勝をあげていたころを思い出す。
若の里凋落も白鵬との一番で怪我をしたのが原因だった。180度に股を割ってしまい、でも力士は体が柔らかいから大丈夫と思ったのだが、あそこから十両まで陥ちてしまったのだった。白鵬に責任はないが結果的には壊し屋になってしまっている。いいお相撲さんだ。がんばってくれ。
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白鵬優勝
ここのところ昼酒を飲んだりはしていない。今日は千秋楽なので特別。午後四時からテレビ桟敷にすわり、ちびちびやりつつ(酒の弱い人から見たらガッパガッパだろうが)枡席気分で観戦した。
横綱同士の対戦になるころにはほどよくできあがっている。最後のしきり、時間いっぱいのときは、思わず「どっちだ!」と口にしていた。どっちでもいいのだが、白鵬が勝ったとき、「よし!」と声を出して拍手をひとつ打っていたから、これでよかったのだろう。
バカ白鵬がまた張り差しで立ち、朝青龍のいい形にされる。そのあとの力が入った四つは見事だった。正に「力士」であり「力人」だった。
ここで朝青龍に名をなさしめていたら今までの連続優勝はなんだったのだとなる。
目出度く大団円か。
引き上げてくる白鵬に花道で待っていた旭鷲山がお祝いのキス。ほんとに好きなんだな、白鵬が。モンゴルでの政治家への道はどうなっているだろう。ヤクザとのスキャンダルさえなければまだまだ幕内でがんばれたのに。白鵬や朝青龍の強さはもちろんだが、旭天鵬や旭鷲山の息の長い強さにこそモンゴル人力士の凄みを見る。
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十両優勝は栃ノ心
新十両でいきなり優勝した栃ノ心はグルジア出身。黒海と容貌が似ている。
初土俵が2006年の初場所だから丸二年で月給120万の力士になったわけである。貴乃花部屋の芽が出ない力士等と比較すると、なんとも驚異的な出世だ。
現在外国人力士は一部屋一人と制限されている。なのにこの活躍度合いだ。むかしのようにアマ横綱、学生横綱を何千万円もの契約金で釣るより、モンゴルやロシアから無名の若者を連れてきた方がずっと確率がいい。栃ノ心は192センチの21歳。将来性は高い。
(いま確認したら、身長や体重が私の引いたスポーツ紙とWikipediaではちがっている。どっちが正しいのか。まあたいしたことではないが。)
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総論 |
目出度く大団円なのであえて総論として書くこともない。朝青龍が帰ってきてよかったってことか。彼が千両役者であることがよくわかった場所だった。
鶴田は誰にもその秀でた能力を認められていながら演技としてのプロレスが下手で出口のない闇の中をうろついていた。そこから引っ張り出し、光らせてやったのは敵役としての天龍だった。
白鵬も相撲史に残るほどの逸材だが、自分からキャラクタを光らせる才覚はない。いや自ら輝くキャラではないのだろう。このままだと「強いけどおもしろくない」で終りだった。朝青龍の存在は大きい。
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今場所ひどかったのは、というか毎場所ひどいが、大関陣である。しかしもっとひどいのは、大関陣がふがいなくても、たいして気にならない現状だろう。
両横綱との対戦で、琴光喜は敗れはしたが見事な相撲だった。でも実態は千秋楽でやっと勝ち越しなのである。なさけない。それでも来場所の対朝青龍戦は今から楽しみだ。
来場所、角番の千代大海は肘が治ってくるのだろうか。琴欧洲がかつてのような生き生きした相撲を取ることは可能なのか。まあ魁皇はいるだけでいいが。
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来場所は若ノ鵬が把瑠都よりも上位で相撲を取る。把瑠都も尻に火がついた。
初めて上位と当たる若ノ鵬がどんな相撲をとるか楽しみだ。
二場所連続で大きく負け越した豊真将は、来場所は幕尻ぐらいまで陥ちる。元気がない。心配だ。奮起を願う。
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こんな記事が
出場停止処分が明けて3場所ぶりに復帰となった横綱朝青龍。27日の横綱白鵬との千秋楽の直接対決では、賜杯に届かなかったが、チケットや関連商品の売れ行きは、“朝青龍人気”で好調だったという。時津風部屋のリンチ事件発覚を機に“国技崩潰”と指摘される相撲界を支えているのは、皮肉にも「ヒール(憎まれ役)」だった。
初場所千秋楽の両国国技館。初日同様、チケットは午前9時10分で完売した。白鵬との相星決戦。制限時間いっぱい。引きつけ合いの後、白鵬の上手投げが決まると、座布団が乱れ飛んだ。
昨年、夏巡業の休場を決めながらモンゴルでサッカーをするなどの行動が問題視された朝青龍。
国技館には朝青龍の負けるところが見たかった人も多くいたようだ。
会社員の神作貴之さん(45)は「負けてすっとした。朝青龍は、日本人的なハート、礼儀、義理人情が足りなかった。相撲にヒールはいらない」。フリーターの水野尾祥子さん(35)も「朝青龍はよく相撲を取っていられるなと思う。今場所の快進撃で、モンゴルにもどったのは假病だと思った」。
一方で、取り組みを評価し、両横綱に惜しみない拍手を送った人も。会社員の数寄真人さん(48)は「力と力のぶつかり合い。いい相撲だった。朝青龍は、スキャンダルを乗り越えた」と昂奮しきり。
自宅でテレビ観戦した元騎手で大相撲ファンの小島太さんは「すごい相撲だった。だが、(今回の盛り上がりは)スキャンダル的な興味もあるだろう。これでお客さんが本当にもどり、相撲人気が復活すれば」と話した。
朝青龍の“参戦”は、国技館の“経済効果”にも現れた。売店を運営する「国技館サービス」によると、売れ行きは昨年の初場所に比べ1割アップ、昨年の9月場所に比べると1・5倍に。同社の伊藤善隆さん(39)は「『朝青龍弁当』は癖のある羊肉が敬遠されていたが、今回は5割増し」とホクホク顔だ。
スポーツライターの永谷脩さんは「みんなが負けて大喜びする中でここまで耐えたのは、朝青龍の強さだ」と、朝青龍の今場所の取り組みをたたえた。
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2ちゃんねるの「ニュース速報+」で、一読してすぐにこれは「サンスポだな」とわかる。理由は下線の部分。小島太騎手(現調教師)は大相撲中継のゲストにも登場する相撲好きだ。その他タレントではデーモン閣下や野口五郎が有名。
その小島調教師にコメントをもらうという発想、人間関係はサンスポしかあるまい、と思う。わくわくしながら最下段にあるニュースソースの項を見たらやっぱりそうだった(笑)。
騎手になりたくて、身長が伸びるのがいやで押入の中に閉じこもっていたという逸話のある小島師が大男のぶつかり合いである相撲を好きなのは、北海道という土地柄なのだろう。だがその相撲王国の北海道はいま大不振である。幕内力士がいない。青森ががんばっているのにどういうことなのだろう。アマ相撲の事情は知らないけれど。
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今場所はどんな場所
1月28日月曜は、朝からこの優勝戦のニュースでたいへんだった。大阪府知事選の結果とならんで大騒ぎである。
ワイドショーがコメンテータに「○○な場所」というフリップを渡し、空欄にことばを挿れて感想を聞く遊びをやっていた。
「真の青白時代が始まった場所」なんて無難なものが多かったが、やくみつるの「異様な場所」に納得した。私自身も「奇妙な場所」だと思っていたから。やくは、その理由を「相撲にヒールはいらない。なのにヒール人気で盛り上がった。だから異様な場所」としていた。ごもっともである。
元々相撲はだれもが好むものではない。「これで大相撲人気復活」と言う人の方がおかしい。スキャンダラスなものにだけ群がってきた人はすぐにいなくなる。でもそれで正常だ。
まあこちとらは世の流れとはまったく関係ないのでなにが起きようと関係ない。とにかく言えるのは、今場所は先場所よりもおもしろかった、ということである。
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