バンクーバーオリンピック
女子フィギュアスケート

(ブログ【芸スポ萬金譚】より転載)
2010年2月24日(水)
冬季オリンピック──唯一の関心事──女子フィギュア








 冬季オリンピックに関心がなく、連日その報道一色の世界に背を向けてきた。NHKのニュースですら冒頭からそれだし、街の話題もそればかり。オリンピックに興味がないと言ったら非国民にされそう。「戦前の日本は」とか「大政翼賛会が」とか日本人批判が大好きな連中が、オリンピック一色に走っているのは気味悪い。


 本来中継があるはずの国会もすべてオリンピック。よって、ここのところ一切テレビは見ないようにしていた。その分、好きな音楽を聴きつつ読書が進んで、それはそれでわるくはなかった。





 さて、やっと唯一興味のある女子フィギュアスケート。これは1972年からずっと興味を持っている。それなりにしゃべるだけの智識もある。写真は札幌オリンピックのジャネット・リン。知らない人もいるだろう。って、ほとんど知らないか。もう38年前だ。


 むかしから女子フィギュアスケートが好きだった。男子にはまったく興味がないから、スケートが好きなのではない。女の美しさが好きなのだ。それだけか。「もしも女子フィギュアスケートが、ダボダボのジャージを着て行われるとしたら」。私は見ない。そのことで「なぜ女子フィギュアスケートが好きか」の答が出ている。


 むかしは「参加するだけ」だったが、ここのところ有力選手が揃っていてたのしい。今回は最強の布陣だ。





 私は登場時から「浅田真央ディープインパクト説」を唱えていた。すべてに別格だった。安藤美姫はG1クラスだけれどモノがちがうと思っていた。その安藤の予想外の復活もうれしいが、韓国にもディープインパクトがいた。あちらのほうが浅田よりも表現力が上。これはおおきい。回転の問題じゃない。ひとびとのこころにうったえる表現力だ。荒川静香も、表現力で金メダルを取った。それには大柄な躰と、ああいう容姿が審査員に受けるという流れもあった。これは割合戦前から言われていたことだ。荒川は日本的には美人じゃないが白人には受ける顔なのだ。こういう要素も大きい。キムヨナの007をモチーフとしたかわいらしさ、セクシーさは、白人受けもする。そういう意味でも彼女は満点なのだ。


 007の金妍児(キムヨナ)の優勝と思うが、浅田と安藤がどこまで迫るか。鈴木はどうなんだろう。私は中野友加里に行かせたかった。中野にメダルは無理だろうけど。でも女子フィギュアスケートのメダルを日本と韓国で争うなんて、むかしを知っている身には夢のよう。


 やっとオリンピックに興味が持てて日本国民になった気分。
2010年2月24日(水)
浅田、完璧な演技も、金妍児との差






 浅田がノーミスで完璧な演技を決めた。本人も満足、コーチも満足、すべては満点だった。それまでの最高点は長州力のリキラリアットで63点。それを一気に10点も超える73点で場内が沸く。愛国者のおじさん(=私)はもうそれだけでうるうるしてくる。


 それを受けて出て来たのが金妍児。プレッシャーをものともせず、これまたノーミスで演じきり、にっこりと頬笑む。アナは「70点は超えるでしょう」と日本贔屓の間抜けな予想。78点が出た。とんでもない数字。やはり表現力の差。スケーティングでは負けていない。しかしそっちの点でかなわない。


 浅田のよさは硬質な少女の美だ。だから色気はない。まあキムヨナに色気があるとも思わないけど、彼女の方が表情が豊かなのはたしか。これは致命的なものだろう。浅田にあの007は出来ない。回転で凌いでも点差はわずか。そっちでつけられる点差は微小。表現力で大きな差をつけられてはかなわない。


 私は前々からキムヨナが大好きなので心から拍手を送った。もしも欧米にそれ以上の選手がいたら同じように応援する。もともと日本人力士より把瑠都や白鵬、琴欧洲を応援している。身贔屓的日本人応援の感覚はない。真の強者が好きだ。さて、この5点の差はフリーでどうなるか。いやはやワンダホーだキムヨナ!



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速報

バンクーバー冬季五輪第12日の23日(日本時間24日)、フィギュアスケート女子のショートプログラム(SP)が行われ、昨年の世界選手権を制した金妍児(キム・ヨナ)(19)=韓国=が安定した演技で78.50点をマークし、五輪初出場で08年世界選手権覇者の浅田真央(19)=中京大=が出した73.78点を上回った。(毎日新聞)
2010年2月25日(木)
丸々二日、浅田・金妍児一色!──ブアカーオを思う
 

最高視聴率32.6%=女子フィギュアSP〔五輪〕


 フジテレビは25日、24日(日本時間)行われたバンクーバー冬季五輪の女子フィギュアスケート・ショートプログラムの生中継の最高視聴率は32.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったと発表した。最高を記録したのは、1位になった韓国の金妍児選手のスコアが出た午後1時6分。平均は18.3%だった。(2010/02/25-10:58)時事ドットコム



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 フジテレビは昼前から午後にかけて「笑っていいとも」「ごきげんよう」を休んでの中継。充分に見返りはあったろう。夕方のニュースは各局それ一色。深夜のニュースもそればかり。

 私はキムヨナが大好きだから得点にも順位にも不満はないが、韓国のフィーバーは当然としても、テレビレポーターが新大久保の焼き肉屋あたりに突撃し、在日韓国人がどんなもんだどんなもんだと気炎を上げ、「もうすこし浅田に手加減してやれ、ワッハッハ」とやっているのを見たりすると、さすがにすこしばかり悔しくなってくる(笑)。



 今日の朝、そして昼も、それ一色。各局特色を出さねばならないから、過去、現役のプロスケーターや審査員経験者等を読んで、採点の方法と点数の分析。いやはやすごいのなんのって。それを熱心に見て採点方法の基本をマスターしてしまうと私もそこそこなのだが、そういう執着心はない。さっさと消した。でも昨夜からもう何度も見たふたりの演技は、見るたびに感動する。宿命のライバルであるふたりが70点台を出して抜けているのだから、そりゃ盛りあがる。

 浅田の演技は完璧で、あんなに点差がつくのはおかしいとの論調が強いが、しょせん人間が感情で審査するものだから、浅田の硬質な演技より艶のあるキムヨナが支持されたのは自然に思える。もともとショートは下手だった。これが60点台だと心配だが、5点差は射程圏内だ。

 韓国が燃えているのはライバルが日本人だからだ(笑)。これが白人だったらこんなにも盛りあがらない。



 新大久保の盛りあがりを見ていると、どうしてもブアカーオを思い出す。

 南北朝鮮人は日本にしっかり根を下ろし、あらゆる分野で大活躍している。野球やサッカーの有名選手は誰でも知っているだろうが、すこし毛色の違うところでは、国技大相撲の武蔵川理事長も朝鮮人だ。競馬でもサクラやダイワ等、ダービーを始めあらゆるG1を朝鮮人馬主が勝ちまくっている。

 だから朝鮮人は今さらこのことでむきにならなくてもいいと思うのだが(いや、それが楽しいだけれど)、タイ人の場合はそういう活躍がなにもなかった。軽量級のボクシングチャンピオンぐらいか。そこにK1Maxのブアカーオである。あれは在日タイ人にとってうれしかったろうなあ。「もしも自分が在日タイ人だったら」と考えると、ブアカーオの活躍に血沸き肉踊る姿が浮かんでくる。ブアカーオがムエタイのチャンプでなかったのもよかった。あれは多士済々という彩りのためにとりあえず呼ばれた、いわば「かませ犬」だった。ところがそれがダイヤモンドだった。魔裂斗に勝たせたいとの興行的な思惑からの、あの不可解な判定は醜悪だった。魔裂斗の責任ではないけれど。



 ブアカーオが優勝したころ、栃木県の山奥の結婚式に出た。日本人の青年医師とラオス人の美女の組合せ。ただしくは豪華な結婚式を都内であげていて、それは花嫁の地元での披露パーティだった。ラオス式、タイ式のオープン披露宴だったので、誰でも参加自由の飲み放題食い放題。よって、知りあいの知りあいが、栃木県はもちろん群馬県、埼玉県、神奈川県からもクルマで乗りつけてきた。みな日本で働くラオス人とタイ人だった。彼らにとってはお祭なのだろう。パーティ前夜、ぞくぞくと集まってくる彼らと、焚き火をしている庭で徹夜で飲んだ。十二月だったので寒かった。ブアカーオの話で盛りあがった。彼がいかに彼らに勇気を与えたかがよくわかった。

 それを思うと、新大久保の盛りあがりもわかる。浅田が完璧な演技で、それまでの最高点を一気に10点を上まわる73点を出した。しかしそのあとのキムヨナは、さらにそれを5点上まわる史上最高点を出した。私が在日韓国人だったら吠えまくって泣いたな(笑)。



 NHKは今夜、フリーの練習風景を中継するという。昨日の盛りあがりで急いで決めたらしい。今夜の1時50分から4時半まで。そのあと朝の8時半から午後2時まで本番の中継だ。さて、どんな結果になるのやら。



 下の記事は朝鮮日報から。こんな記事にもほんのりと「恨の思想」が見え隠れする(笑)。いまだに豊臣秀吉が憎まれているんだもの統治時代のことはつい昨日なのだろう。



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 完ぺきと言っていい、非常に質の高い演技だった。

 バンクーバー冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルは24日(韓国時間)、パシフィック・コロシアムでショートプログラム(SP)が行われ、キム・ヨナは安定した演技で技術点(TES)44.70点、構成点(PCS)33.80点の計78.50点をマークし、首位に立った。



 キム・ヨナの78.50という得点は、フィギュア女子のSPの世界歴代最高点。この日のキム・ヨナは全くのノーミスで、安定した技術と高い芸術性で高得点をマークした。

 バンクーバー五輪の審判団には、キム・ヨナにとって「相性の悪い」審判がいる。テクニカル・スペシャリストのロリオル・オーバーウィラー・マリアム氏(スイス)だ。世界最高の演技と技術を見せるキム・ヨナに対し、厳しいジャッジを下してきた。



 2008年11月のグランプリ(GP)シリーズ第3戦のSPでは、キム・ヨナはトリプルフリップ-トリプルトーループの連続ジャンプをきれいに決めたが、「ロングエッジ(エッジの使い方の誤り)」の判定で減点。また、フリーの演技でもエッジに関して問題ありとの判定を受けた。

 当時、キム・ヨナに減点やアテンションマーク(要注意)をつけた審判が、このマリアム氏だ。昨年末のGPファイナルでもダウングレードの判定を下した。当時の審判団9人のうち、8人がキム・ヨナのルッツに加点し「完ぺき」と評価したのに対し、マリアム氏だけは違っていた。


 だが、今回の五輪でキム・ヨナは、より優れた演技で完ぺきな滑りを見せた。結局キム・ヨナは、実力で審判との対決にも「勝利」。SPを完ぺきに決めたキム・ヨナは26日(韓国時間)、金メダルへ向けてフリーの演技に臨む。

ウ・チュンウォン記者──朝鮮日報より


2010年2月26日(金)
キムヨナ、史上最高得点!


 キムヨナが完璧な演技を見せた。演技を終えたときのうれし涙が満足を物語っていた。わたしゃひとりでスタンディングオベーション。ブラボーである。

 得点は150点。合計228点は史上最高得点! すごいのなんのって。

  次の出番の浅田はウォークマン(もうこういう場合ウォークマンという言いかたは不適切か。なんて言えばいいんだろう)で音楽を聴いていて、場内の歓声やキムヨナの点数とは無縁でいようと努めている。

 キムヨナに勝つためのフリー155点は事実上不可能だから気楽に見られた。転ぶなよと心配するだけで。

 ラフマニノフの「鐘」に乗っての演技は表情豊かで新生面を出していた。いくつかミスがあって131点だったがノーミスでも140点は行かなかったろう。どうやっても勝てない勝負だった。キムヨナが凄すぎる。いやはやすばらしい。

 荒川静香が金メダルを取ったときの点数が191点。もしも今回荒川が出ていてベストの滑りを見せたとしてもその程度の点だろう。キムヨナと浅田は凄すぎる。過去の名選手と比べてもダントツだ。浅田もキムヨナさえいなければ楽々と金メダルだったのだが、それはジュニアのころ負けつづけたキムヨナだってそのとき思ったろう。



 以前はずっとリードしてきた浅田はここに来てキムヨナに勝てなくなった。5勝3敗から3連敗で5勝6敗となっていた。今回の負けで5勝7敗。だがこういう通算成績より大事なのは近年だ。ここのところまったく勝てなくなっている。思い出すのはテイエムオペラオーとナリタトップロードの関係。果たして今後浅田が逆転することはあるのだろうか。

 今夜の韓国はお祭り騒ぎ。世界中のコリアンタウンも大騒ぎだ。ひとりのスーパースターが国全体を盛りあげる。

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 号外が出たようだ。もちろん出ると思っていた。新聞社も「金」と書きたかったろう。金は金でも金妍児の金だった。
 唯一興味のある女子フィギュアスケートが終って私のオリンピックも終了。
 おめでとう金妍児。よかったね。
2010年2月27日(土)
すなおにキムヨナを讃えよ!



 というわけで唯一観戦した女子フィギュアスケートとともに私のバンクーバーオリンピックは無事終った。次の開催地は「ソチ」と知り、「ソチってどこだ?」とGoogleMapで調べるモードに入っていた。





 ここである。黒海沿岸。赤の十時じゃなくて青いポイントの方。ここもまだロシアなのだ。西南の外れである。


 
赤点のところ。この地図で見るといかに端っこであるかよくわかる。


 ロシアはでかい。心底から「返せ、北方領土!」と思う。


 ここまでロシアにだましとられている。根室岬から国後島を望むとしみじみ怒りが湧いてくる。

 日本人的感覚だと、ロシアはあれだけでかいのだから北方領土ぐらい返してもたいしたことないと思いがちだ。だが国土の広い国ほどそれにこだわるらしい。金持ちほどケチと同じ感覚か。


 こういうことを言うと問題かもしれんが、私は竹島はどうでもいい。もうあんなちっぽけな岩の固まり、韓国が駐留して死に物狂いで主張しているのだからくれてやれ、と思う。支配海域のことを考えると「ちっぽけ」ではないのだが、もうあんな国といつまでももめていてもしかたないと思えてしまう。しかし北方領土はちがう。あれは明らかな不法占拠だ。とまあ冬季オリンピックはもう過ぎたこととして、そんなことを考えていた。



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 午後から夕方のテレビは女子フィギュアスケート一色だった。浅田もテレビに出ずっ張り。私はリアルタイムで見たのでもう満腹である。

 浅田の「悔しいです」のすなおな発言もよかったし、家電量販店のテレビの前に集った人びと、号外を読んで感想を語る人、みなそれぞれ日本的でおもしろかった。浅田が「悔しいです」と言うとき、ザブングルの顔をしたらよかったのにと思ったが、そんなことを考えたら非国民になるかと自重する。



 不満として、「銀メダル、おめでとう」「勇気をもらった」「お疲れ様と言いたいです」等一連のコメントは、いかにも日本人らしい心遣いであり、ほのぼのとするのだが、もうすこし、「惜しかったねえ、キムヨナが凄かったから」「浅田はがんばったけどキムヨナが強かった」があってもよかったように感じた。


 もっともそれらはテレビ局の差配である。どんなコメントを選ぶかは彼らの自由だ。だがTBSやテレ朝のような日本を貶めることが大好きな局は、浅田へのお疲れ様よりキムヨナ讃歌の方が多すぎて、私のようなのが「もっと浅田を讃えろ!」と言いたくなるような編集をするのではと思っていた。ということから考えると、圧倒的に浅田への感謝のコメントばかりだったのか。






 そうそう、印象的なこととしてこれを書いておこう。ワイドショーの解説に村主章枝が出ていた。連日出ていた。そこで彼女が今回の女子フィギュアスケート中継を振り返り、感想として言ったのは、「日本中の人、テレビ局の人に、こんなに自分達が注目されているとは知らなかった」だった。アナが「そうなんですよ、みんなが注目して期待しているんですからがんばってくださいね」とまとめていた。選手として銀盤の上にいたので、初めて外から触れて、その熱気におどろいた、感動した、ということのようだ。心に残った。






 もう冬季オリンピックのことを書くことはないと思っていたら、すこし事情が変ってきた。キムヨナを讃えない人たちがいる。いや誹謗中傷している。これはおかしい。「金で審判員を買収した」とか、汚らしいことを言って否定している。それはない。そんなことを言ったら言った自分が惨めになることが、浅田に対して失礼なことが、わからないのだろうか。







 私もショートでの5点近い差は大きすぎると思う。でも一昨日書いたように、審査員はプロだが、同時に人間である。硬質な浅田の演技より艶のあるキムヨナに高い点をつけたのは自然と解釈する。


 フリーに関しての批判は、浅田がトリプルアクセスを成功させたのに点数が低いことへの不満のようだ。すなわち、難易度の高いそれをやった浅田が、やっていないキムヨナよりなぜ評価が低いのかと。

 しかし私は見ていて、浅田の「トリプルアクセスと2回転」より、キムヨナの「3回転、3回転」の方を、美しく華麗に感じた。それはキムヨナのコーチが選手時代、トリプルアクセスにこだわりすぎて金メダルを取れなかったことの反省から、キムヨナの演技に設定したものである。考えぬかれた戦略だった。それが見事に結実した。


 私がキムヨナの方が美しい、華麗だと感じたと言えば、キムヨナ否定者は「おまえは素人だろう。審査員はプロだ。そのプロの採点に問題があるのだ」と言うかも知れない。だがプロも、会場にいる素人の歓声と昂奮度は無視できない。その影響を受ける。毎度言うが、「浅田の硬質な少女(アスリート)としての演技」より、「キムヨナの艶のある女(表現者)としての演技」が高い評価を受けたのは、私にはごく当然のことに思える。


 一部激昂したひとは、「こんな採点ではもうトリプルアクセスのような難しい技にに挑む選手がいなくなる」と怒っていた。いなくなるかどうかはともかく、浅田よりもキムヨナの方が断然高い点数を獲得した事実は、「金メダル戦略」として今後考慮されるだろう。それはよいことである。







 東京オリンピックの女子体操金メダルにチェコのチャフラフスカがいた。「体操界の華」と謳われた。いま見たら演技は苦笑するほどレヴェルが低い。たいしたことはやっていない。それはしかたない。だってふくよかな、ほんとに女の体形だから。それがそのころの女子体操だった。女性らしい体形の選手が女性らしい演技をしていた。やがてコマネチの時代を迎え、いつしか女子体操は胸もお尻もない十代の小柄な選手による上海雑技団の世界になる。







 38年間女子フィギュアスケートを見てきて、最も印象的なのは、初めて見たあのビールマン・スピンだった。なんちゅうことをするのだと思った。この世のものとは思えなかった。しかし今やそれは演目の中の誰でも出来るひとつの技に過ぎない。



 その流れで、むかしの女子フィギュアスケートと比べたら、浅田もキムヨナも上海雑技団の世界である。とんでもなく凄いことをやっている。過日の文章に札幌オリンピックのジャネット・リンの写真を添えたが、彼女や、美人選手として日本のホープだった渡部絵美らと比べたら、もう確実にコマネチだ。


 テレビのバカコメンテーター(誰だっけ、あの将棋の真鍋と同棲していた埼玉の元市会議員)が、「キムヨナは女の私から見てもぞくぞくするほど色気がある。その色気の勝利だ」ともっともらしいバカ発言をしていた。アホかいなである。浅田よりは色っぽいにせよ、キムヨナだってその意味では硬質少女だ。ほんとうに男をぞくぞくさせる色っぽい選手は他にいくらでもいる。







 切りがないのでもう止める。やたらテクニック路線に走る中、表現力に重きを置いたキムヨナの金メダルは、その意味でもいいことだと思った。その意味もなにもあらゆる面で満点であり、史上最高得点にふさわしい完璧な演技だった。


 私は愛国者だ。日本贔屓だ。「日本列島は日本国民だけのモノではない」と気違いじみたことを言う総理を否定する。帰化を拒んでいる外国人永住者に選挙権を与える必要はないと思っている。夫婦別姓なんてのは確実に家族の繋がりを壊す。反対だ。


 だけど日本人だからというだけで過剰に期待され持ちあげられる力士より、がんばっている外国人力士の方が好きだ。


 同様に、キムヨナの金メダルを心から祝福している。浅田が転んだりしたことに乗じての成績ではない。ディープインパクトのレースで私がいちばん好きな天皇賞(春)のように、彼女はショートでもフリーでも、かつてない地平を自らの手で切り開き、自分から仕掛け、己の力で獨走した。レコードタイムで走りながら2着だったリンカーンの無念に浅田がかぶさる。この美しさを賞讃できないひとは心が曇っている。
2010年2月27日(土)
号外の中の浅田真央の表情




南日本新聞のPDF号外。こんなネット上の電子号外も増えてきた。







西日本新聞の電子号外写真。美しい写真がいくらでもあるのに、あえてこんなひどいブスの写真を選んで載せる意図はなんなのだろう。悪意か。わからない。





 これも電子号外。紙にはなってない。これはポーズも表情もいい写真。





 中日新聞の号外。これもひどい顔。なんでこれなのだ。ほかには写真がないのか。





毎日新聞



同じく毎日新聞。とにかくこんな表情が多い。











 あれこれ見てくると、下にも載せたアサヒシンブンのこれはかなりいい写真なのだと気づく。やはり険しい表情だが。





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 日刊スポーツ今日の一面。傷心の一枚。



 ラフマニノフの「鐘」をテーマに、浅田が新生面を出した。表情が豊かで、今までの浅田とはちがっていた。彼女なりの新たなステップへのチャレンジだったのだろう。いつまでも「真央ちゃん」じゃなく、おとなの女を演じようと。



 テーマは重く、表情は豊かではあったけれど、鬼のような激しい顔も多かった。号外の写真にそれらが多いのはしかたない。そういう顔で演じていたのだから。

 その果敢な挑戦は評価するとしても、その傾向はどうなのだろう。そういうのが必要なのか? ショートのキムヨナ007の高得点は、セクシーでかわいい女をテーマにしたからだろう。私には彼女が「鐘」を選んで取り組んだ、いわゆる「コンセプト」が見えなかった。

 こういう言いかたが女子フィギュアスケートというスポーツに対して適切かどうかは判らないが、私は、コミカルなステップで笑いが起きたり、ちょっとセクシーに腰を振って会場が沸いたりして、最後に笑顔で決める、あの種のテーマが好きだ。どういう流れから彼女はこんなテーマを選んだのだろう。
2010年3月3日(水)
オリンピック閉会式のニール・ヤング


 igoogleをホームページにしている。「Google 急上昇ワード」という欄がある。藤田まことさんや玉置宏さんの訃報もここで知った。
 でも訃報はまだいいのである。という言いかたはへんだが、記事があり、ショックではあれ覚悟も出来るから。
 問題は意味不明の場合だ。先日ここに「村田一誠」という騎手の名があった。平日だったけれど、調教で落馬でもしたのかと心配した。話題になるような騎手ではないのだ。ブログで汚いことばの問題発言をして騒がれていたのだった。その後ブログは閉鎖された。

 ニール・ヤングの名があった。これもこわい。なにがあったのだろうとおそるおそる調べる。「バンクーバーオリンピックの閉会式に登場して、Long may you Runを弾き語りで歌った」と知る。
 これは観たかった。見逃したことに歯噛みした。
 私は冬季オリンピックは女子フィギュアスケートしか興味がなかった。閉会式なんて何日の何時にやったかすら知らない。ニール・ヤングが歌うと大々的に喧伝されていたのならともかく、内緒(いわゆるサプライズゲスト)だったようだから知るはずもない。もっともニール・ヤングはすばらしいミュージシャンだけど知らないひとも多かったろう。この名曲も果たしてどこまで伝わったか。だからこそそれを知っている私のような世代が感涙もので観なければならなかった。いやはや、こんな悔しい思いもひさしぶりだ。でもなあ、夏季ならともかく冬季オリンピックの閉会式なんてなんの興味もないのだからしかたない。

 万が一を期待して{Youtube}を探したが、ない。Long may you Runはあるので、それを聴いた。何事もそうだけど、意外なサプライズほどよろこびは大きい。もしも閉会式に興味のない私が暇潰し的に観ていたら、ニール・ヤングの登場に背筋を寒くし感動したろう。ここのところ偶然にも歴史的名盤「Harvest」を聞きなおしているところでもあった。つくづく惜しいことをした。
 私には好きでもないものをとりあえず観るという感覚はない。興味がないものには近寄らない。閉会式の時間もニール・ヤング登場時間も知らないけど、多分そのとき部屋で読書をしていたはずだ。目の前のテレビを点ければニール・ヤングが歌っていた。惜しいことをした。しかし悔いはない。でも観たかった。

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 ●韓国のサイバーテロ、2ちゃんねるをダウンさせる

 3月1日、いきなり2ちゃんねるが読めなくなった。私はそれを私のパソコンの故障なのだと思い込み、修理しようとして苦労した。まったくの無駄な努力だった。直るはずもない。


 実態は、2ちゃんねるでのキムヨナ批判に対する韓国からのサイバーテロによる報復で、サーバーがダウンしてしまったのだとか。そのことはホームページに書いた。
 キムヨナが審判を買収したなどと書きこむ日本人も愚かだが、何万人もが一斉にF5キーを押してサイバーテロをやったという韓国人もまたくだらない。どっちもどっち。

 韓国サイバーテロで2ちゃんねるダウン



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