北京オリンピック覚え書き


2008/8/8~8/24
8/8 オリンピック開会式の拍手

 入場行進。日本に漢民族からの拍手がすくない。これはわかる。そのあとに出て来たChinese Taipeiと名乗る台湾に拍手が多いのもわかる。しかしそのあとの北朝鮮やロシアに拍手が多いのを見て、教育現場を思った。教科書で親しい国と教えているから、ああなるのだろう。
 北朝鮮は国家とも思えないし、あれは論外としても、ロシアが親しげな拍手を受けることはすくない。少数の属国を覗けば世界中で不人気だ。
 前田日明がリングス時代にロシア人と接触し、そこから移籍した『PRIDE』を経て、現在も続くヒョードル人気まで、前田は日本人にロシアを身近にすることにかなり貢献している。日本人の中のロシア嫌いは根強い。トルコや中欧、北欧諸国と、歴史的にいじめられロシアを嫌いな国はいくらでもあげられるが、好きな国を探すのはむずかしい。だからこそこのオリンピック開会式でのあの親しみを込めた漢民族の拍手は珍しいものだった。いろいろあらあな、である。

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●時差が欲しい
 北京とは時差が一時間しかない。と、あやふやなまま書いている。本来なら時差は二時間である。だが夏時間を取りいれているのかどうか、この時期、妻と話すと時差が一時間しかないのである。でもまあこれは今から書こうとするテーマにさして影響はない。
 私はオリンピックマニアではない。番組表を見て楽しみに待ったりはしない。ただ四六時中自宅仕事だから、朝の四時とか、午後一時とか、思いついたときにテレビを点ける。それで今回思った。西欧で行われる時差のあるオリンピックは、私のようなのにはおもしろかったと。
 普通の勤め人だと、平日の夜中の三時から五時に行われる競技を見るのはたいへんだ。でも時差のあるオリンピックでは、やはり生で見たいと寝不足になりつつも無理して見る、そんな人が続出した。
 私の場合は、いつも自宅だし、二十四時間好き勝手に使える。やりたいことをやっていてひと区切りつき、気分転換にテレビを点けたら、ライブ中継で競技をやっている。いま思えば、これは楽しかった。
 北京オリンピックはほとんど時差がないから、そんなことはない。早朝は北京でも早朝だし、深夜は深夜だ。そんな時間に競技はやっていない。
 これはこれで、平日のお昼に好きなだけオリンピック観戦が出来るのだから贅沢とも言えそうだが、どうもそれは感じない。午前四時ごろ生中継のオリンピックに出会うと「お得感」があった。まともな勤め人はこんなの見られないよなあ、夜のダイジェスト版を見るんだろうなあ、でもそれって結果のわかっている勝負だからな、その点いまはどっちが勝つかわからないんだから、やっぱり生中継で見ないと、とせこい優越感にひたったりした。
 今日は日曜日。盆休みに入ったようだ。これからしばらくはみな日中のオリンピックを楽しむのだろう。なんだかつまらない。
 深夜や早朝のオリンピックは、健全な年寄りの見られないものでもあった。まあそこまでオリンピック好きの年寄りがいるのかどうか知らないけど。
 私のようなまともな人生を歩んでいないものは、たとえば盆や正月、五月の連休とかの「航空券が倍の値段になる時期」を無視して、その前や後の安い時期に出かけられたりするのを、ささやかな自慢にしている。それぐらいしか「むふふ」と思えるものがない。
 時差のある国で開催されるオリンピックにはそれがあった。深夜や早朝の競技を生中継で見ていると、外れ者だけの贅沢とでもいうか、そんな歓びがあった。
 今日から一週間は日本全国まともな人達が全員楽しくオリンピック観戦を楽しめる時間だ。どうものらない。それではつまらない。
 盆休みが終り、またいつもの日常にもどったら、みんなが働いている午後二時ごろ、好き放題オリンピック観戦をして、ひそかでささやかな愉悦を感じるのだろうか。
 どうもそうではない気がする。思えばソウルオリンピックにその種の思い出がない。シドニーもそれに近い。
 どうやら私の場合、オリンピック観戦とは、時差のある国で行われるものを、まともな人は寝ているような時間に見るという、その罪悪感、優越感が楽しいのであって、時差のない国でのオリンピックにはあまり燃えないようだ。
 さらに言うと、私はもともとオリンピックなんてたいして興味がない。深夜や早朝に、「ほんとはこれを見たいけど、仕事があるから見られないって人、多いんだろうなあ」と感じるそれが楽しみらしいと、気づいた。ひねくれ者の真実である。ああ、時差のないオリンピックはつまらん。

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●グルジアとロシア開戦



8/10
 野口みずき出走回避か?

 マラソンの野口の体調が悪く回避の可能性が高い。今日は10日、本番は17 日。出否はまだ流動的。なんとか出て欲しい。
 同時に写真週刊誌に「出生の秘密」が出た。ひどい話だ。
 その前に「こどもの頃の貧乏話が出てくさっている」という話があった。こどもの頃の激貧体験を、父親が明るく楽しく話してしまい、おもしろおかしく話題になるのを、本人がいやがっているという話だった。この事自体は、むしろ微笑ましく感じていたのだが、写真週刊誌の「出生の秘密」によると、それは実の父親ではなかったのだ。取材でつきとめた実の父親の女房は、亭主からそのことを聞いていず、まったく知らず、実父に会わせて欲しいという取材者に、静かにしておいて欲しいと懇願したという。
 そのことを取材者が自分のブログに得意気に書いたものだから炎上した。現在はブログは削除されたらしいが、キャッシュで読むことが出来た。なんともひどい話だし、有名税だとしても、なによりタイミングが最悪だ。なにも本番直前のいま、こんなことをしなくても。
 野口の体調不良は写真週刊誌とは関係ないという。合宿先から帰国してMRIを撮ったりしたそうだ。
 元気な姿で走るのを見たい。土佐やその他と野口はちがう。出られなかったら女子マラソンの興味は半減だ。

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●内柴金メダル
 8/10日曜日。オリンピック二日目。男子66キロで内柴が金メダル。勝ち方がかっこいい。今もどこがどう極まったのかしらないが、のしかかっての極め技。アナが「あっと言う間にタップです!」と絶叫。『PRIDE』を見ているかのよう。大舞台でのあんな早い「まいった」は初めて見た。(『PRIDE』はもうないからこういうのも完全に死語なんだなあ。しみじみ。でも挌闘技を見ているよう、よりはこういう具体的な名で書きたい。)
 ただねえ、テレビがやたら「女房とこどもに送る金メダル」を強調しすぎていてしらけた。無理矢理そういう形に嵌めこむ必要もあるまい。
 毎度篠原の解説はいい。今回初めてフジで井上康生が解説していたが上手だ。
 女子52キロの中村美里は銅メダル。目標が金なので笑顔はなかった。ただこの準決勝での敗戦は、注意のみの1点のみの惜敗だったが、解説が「点数以上の敗戦。なにも出来ませんでしたからね」と言っていたように、谷の場合の不可解な判定とは違い、しかたなかったように思う。まだ19歳。ここで世界の頂点に立つよりは戒められた方がいいだろう。

 翌日記。読売新聞の号外が出たようだ。テレビでやっていた。
 そのテレビは当然のごとく「妻とこどもに贈る金メダル」をドラマ仕立てでお涙物語風に特集。もっとも、あの一本勝ち連続の鮮やかな金メダルのあと、負けつづけていたことを知らなかった。決勝戦で負けた惜敗もあるが中には一回戦で負けたものもあった。競馬で言うと、天皇賞をぶっちぎりで勝った後、GⅡ、GⅢで大敗し続け、一年後の天皇賞でまた鮮やかに勝ったようなものだ。



 深夜、女子体操を録画でやっていたので見る。世間が盆休みに入ったからか、ふだん日曜深夜のテレビは貧相なのだが、この日はK-1ハワイ大会もあったりして盛り沢山。
 時差のない私好みではないオリンピックだが、まともな人が寝ている深夜から明け方にテレビを見ていると気分がいい(笑)。
8/11  北島、金メダル

 北島が100メートル平泳ぎで金メダル。しかも58秒台の世界新。見事だ。予選のときから「58秒台も視野に入れている」と言われていたが決勝で実現して見せた。
 前回の「チョー気持ちいい」より、今回のタオルを目に当ててことばにならない方が「チョーかっこいい」。本番に強いのは見事と言うしかない。
 解説が誰なのか知らないが、若者ことばの「ヤバイ」を「かっこいい」の意味で使い、「ヤバいっすよ、これは!」と実況の隣でうるさくてうんざりした。誰なのだろう、品のない男である。
8/12
●谷本、金メダル!

 谷本歩実が前回に継いで連続金メダル。しかも全部一本勝ちなのが凄い。準々決勝、準決勝は押さえこみ。決勝は大外刈りを切り返しての内また。後にスタジオ出演した本人が、ビデオを見て、「すごい」とはしゃぐほどの鮮やかさ。彼女の柔道人生でもベストスリーに入る快勝だったとか。相手がまた谷本が負け越しているフランスの強豪。攻め急いだところを鮮やかに投げられたので、しばらくはショックで畳の上から起き上がれなかった。谷本との対戦成績から金を確信していたのだろう。ふたりは仲好しだとか。

●野口みずき、マラソン断念
 数日前から話題になっていた野口の不出走が正式発表された。今回のオリンピックでいちばん楽しみにしていたので落胆した。これで今度は土佐がクローズアップされているが私はあの人には最初からまったく期待していない。ああいう万年関脇のような人が優勝することはあり得ない。だったら中村に期待した方がまし。

●新聞の一面

 スポーツ紙の一面は谷本の金メダルと野口の出場断念がほぼ五分。あらためて野口への期待がいかに大きかったかがわかる。私も、これといって楽しみにするものがなくなってしまった。
 北島の活躍は立派だが、どうにも水泳という競技には燃えない。やはり陸上だ。だが男子陸上に期待する楽しみはない。メダルの可能性もない。可能性のある室伏のハンマー投げはどうでもいい種目だ。

●女子バドミントン完敗

 バドミントンダブルスでベスト4に進出したスエマエが注目されたが韓国に完敗。前試合で世界ランク一位の中国を破っていただけに期待は大きかった。1セットはリードしていた。ゲームポイントまで追いこんだのに、そこから追いつかれ逆転される。ここで緊張の糸が切れたか、2セットはいいところなく負けてのストレート負け。まだ銅メダルの可能性はある。銅メダルをとれば人気でオグシオに追いつける。がんばれ。
 ところでこの相手の韓国ペアだが、典型的朝鮮顔の不美人。私は韓国美人が大好きなのだけれど、あの国ってなんであんなに美人と不美人の差が極端なのだろう。ちょっと、これほど差がある国を他に知らない。ということからは、「整形美人説」を信じたくなる。



●押しつけヒューマンドラマにうんざり

 オリンピックは四年に一度の世界的イベントだし、いまじゃ巨額の放映権も絡んだビッグビジネスである。放送局も自局が放映する競技に合わせ、あらかじめ想定できるドキュメントを制作し本番を待ち構える。それはわかるけど、一回戦で負けたような競技、どうでもいい種目で、「娘に捧げる」とか「家族のために」とかパターン通りの物語を押しつけられるとうんざりする。
 あらためて感じるのは、オリンピックには戦争と関係のある競技種目が山とある。「平和の祭典」ときれいごとにならないよう、そういう種目があったほうがいいのか。現在の生活を便利にした文化も、みな戦争によって開発され、発達したのだし。

●上野、連続金メダル

 女の柔道でまた連続金メダルが出た。一方、男子は内柴以外一回戦負けのような「史上最悪の成績」とか。このあと鈴木と石井が金メダルだとしても最低の成績は確定とか。
 連覇の女は上野雅恵29歳。憶えとらん。
 しかし「朽ち木倒し」で一本勝ちというのだが、単なる「足取り倒し」である。なんだか柔道はつまらなくなった。これからポイント制でますますつまらなくなるのだろう。
 とはいえ、この上野の同じ柔道をやっている妹との話は感動的。決勝のエルナンデスとは妹が対戦経験があり、姉はなかったとか。試合前、組み手をやり、妹があれこれアドバイスしてくれたそうだ。姉の金メダルに会場の観客席で泣きじゃくっている姿はよかった。仲のいい姉妹はうつくしい。(あとで考えると、アドバイスしたのは次女、泣きじゃくっていたのは三女だった。もちろん次女も泣いていたろうからあながち間違いではないが。)

 というところで知る。日本の代表選考会で谷本歩実を破って優勝しながら「過去の実績」で出られなかったのが次女の順恵だったとか。谷本が金を取ったからいいが、谷本も逃したらつらい立場にいたことになる。谷を破りながら出られなかった娘は何を思っていることか。

●フェンシング、史上初のメダル
 フェンシング男子で太田が銀メダル。史上初とか。準決勝で世界チャンプを破っているだけに決勝は惜しかった。フェンシングは1896年のアテネオリンピックで始まった8つの競技のひとつだ。オリンピックがいかにもあっちのものであることがよくわかる。

 1964年の東京オリンピックから始まった柔道は、本来の柔道から離れたあのポイント制で今後も種目としては大丈夫だろうが、ソウルオリンピックから種目になったテッコンドーはだいじょうぶなのか(笑)。この辺も朝鮮の日本への対抗心が見えている。日本が柔道を正式種目にしたのだから自分達も、と思ったのだろうが、テコンドーはどれぐらいの国でどれぐらいの競技人口があるんだ? 前回の日本代表の女の話もしらけたものだった。



 しかし八歳でフェンシングを始めてから4300日一日も休まず精進し、大学卒業後も就職せずこの日を迎えたというのだが、そんなにまでしてやることに何の意味があるのだろうと思ってしまう。ハンマー投げの室伏も、父親がそうだったから、こどものときからハンマー投げ以外なにもやっていないだろう。そんな人生っていいのだろうか。
 とはいえこの太田という選手は好青年だ。話しかたもしっかりしているし、知性が見える。おめでとう。

 後日記。競技人口がすくないため、彼は練習相手にも事欠き、また用具も揃わないため、たいへんな苦労をしてきたようだ。始まりはフェンシングをやっていた父親から。これもまた親子の話だ。コーチもロシア人を頼んでいて、彼との師弟愛もうつくしかった。メダルのないフェンシング界はずっと肩身の狭い思いをしていたという。まあそりゃそうだ。いきなりの銀メダルに関係者の歓びが見える。
 今日(14日)は各局で太田特集。どこでも彼の応対は好印象。筋肉バカでないのが見えて気持ちがよい。
 大学の話が出ないこと、ことばに関西弁のニュアンスがあることからネット検索する。同志社大学卒。滋賀県出身と知る。アテネにも最年少の十八で参加。9位。その後世界大会で金メダルを取っていると知る。というような智識もすべて銀メダルを取ったから。やはり結果は大事だ。

14日
●あっちもこっちも漢族ばかり
 卓球やバドミントンには、他国に帰化して代表選手になってくる漢民族が多い。それだけ中国国内での争いが苛烈なのだ。他国に移住し、帰化してその国の代表になることのほうが楽なのだから、いかに激烈かがわかる。
 それはわかるが、白人国の卓球代表選手が、みな漢民族の名前であり容止であるのにはしらける。まあ日本もソフトボールとか卓球にその傾向がある。そんなことをしてメダルを取っても意味はないと思う。まあ当の漢人にとっては魅力ある「成り上がりの道」だから迷いはあるまいが。



●北島二冠!
 昼、北島が200メートルも優勝して二冠達成。圧勝だった。たいしたものである。アテネのときの北島は、ほんとそのへんのアンチャンだったが、今回は受け答えがしっかりしていて、金メダルが人を作ることがよくわかる。女子柔道のメダリストも、最初に自分を支えてくれた人達へのお礼を口にし、メダリストの成長が見える。

●鈴木、一回戦負け!
 水泳の北島、マラソンの野口、柔道の鈴木は最も期待の高かった三人だろう。野口の辞退は衝撃的だったが、夕方知った鈴木の一回戦負けも愕いた。しかもそのあとの敗者復活戦も負け、ともに一本負けなのである。いまニュースで知ったばかり。まだ詳しい内容を知らない。ショックである。
 いま試合の完全映像を見た。相手はモンゴルの二十四歳。両手狩り。完敗である。しかしこれも近年流行のアマレス風のタックルである。欧州では「ジャケットレスリング」と呼ぶ国も増えつつあり、「JUDO」の危機と書いていたのは『夕刊フジ』。
 敗者復活戦の完全映像も見る。これも一本負けの完敗。肩車から回転する横車。これまたレスリング的な技だった。そのあと畳に伏してなかなか起き上がらない気持ちは解るがみっともない。(深夜、他局で応援席の父親を映していたら、「立て、立て、ケイジ」と叫んでいた。そうだ、あそこは痩せ我慢で立たねばならなかった。
 結局このオリンピックで鈴木はひとつも技を出さずに負けている。不本意だったろう。斉籐監督によると、体調は最高だったという。それがよけいにかなしい。
 鈴木を破ったモンゴルのナイダン選手は伏兵と言われたが、見事に金メダルに輝いている。二十四歳。

 柔道の競技人口は日本は20万人。対してフランスは60万人とか。この差は大きい。
 大相撲も、国技と行っても今のこどもは相撲などやるまい。私らがこどものときは土に土俵を描いて毎日のようにやっていた。小学生の時など星取表を作ってやったものだ。モンゴル勢の活躍は数字的確率的に脅威的だが、あちらは本当に国技。こどもからおとなまで誰もが相撲を取っている。



●内村、個人総合銀!
 男子体操で十九歳の内村が個人総合で二位になる。鞍馬で二度も落馬してだ。最後の鉄棒は三回離れ技をやる。見事に成功した。なんとも鞍馬が悔やまれる。個人としては26年ぶりのメダルだとか。そうなのか。体操王国のイメージが強烈すぎて凋落の現実感がない。次は金メダルだ。



●フジテレビのハマダ
 フジがダウンタウンのハマダをキャスターに起用した。ジャンクスポーツからの流れなのだろう。ミスキャストである。うるさくてたまらない。同じうるさくて目立ちたがり屋でも、たとえばさんまは、真底スポーツが好きなのが伝わってくる。本人も運動能力が高いことを自慢しているし。
 ハマダにはその種の愛がない。北京からの生中継もしらける場面が度々あった。
 テレビ番組「ジャンクスポーツ」はおもしろい。それはスポーツ選手の別の一面を引きだすからだ。だがだからといってオリンピックキャスタが適役かとなると話は別だ。
 今日も井上康生がいい感想を述べているのだが、その向こうにニヤついている顔が見える。すぐに「コウセイ、おまえ解説巧くなったな」とか、「うまくまとめとるやないけ。おいしいとこ全部もってくつもりか」と茶々を入れる。ヴァラエティ番組「ジャンクスポーツ」と同じ乗り。だがこれはオリンピック中継。番組も意図も違う。おそらくまじめな視聴者からかなりの抗議が寄せられたことだろう。こういうツッコミが茶の間に受けると思っているなら勘違いも甚だしい。ハマダはオリンピックだからといって生真面目になるのは好まないだろうが、オリンピックとは、四年に一度のそういう真面目を楽しむ場なのだ。芸人なら切り替えねばならない。



●女子卓球団体戦、スペインに苦戦
 楽勝予定だった格下のスペインに大苦戦。これはスペインにヤン・シェンという中国からの帰化選手がいたから。これが強い。福原愛、福岡晴菜をふたりとも負かす。なんとか勝ったが中国帰化選手の凄味だけが伝わる内容だった。
 先日テレビで福岡春菜の特集をやっていた。れいの王子サーブを使うのだが、使用ラバーが今どき珍しい粒々ラバーなのだ。ほんと珍しい。しかし粒々ラバー獨自の無回転の変化が相手にあたえる効果をスロー映像で見せてくれ、この種の特集としては唯一楽しめた。手作りのラバー工場職人の現場も興味深かった。
 その福岡も福原も破るのだから中国帰化選手おそるべし、である。

15日
●女子卓球ベスト4ならず
 昨夜韓国に負けてベスト4ならずと知る。はっきり言って日本の女子卓球を強いとかさすがとか思ったことはないので気落ちはない。愛ちゃん人気先行だろう。私も彼女が好きだが、それは選手としての心構えが好きなのであって、日本がメダルを取れるほど強いとは思っていなかった。とはいえ勝負は水物だから充分に可能性もあったろうし、今からでも三連勝で銅メダルの可能性はまだある。でもスペイン戦での苦戦に見るように、たいして実力がないのは確かだろう。讃えるのはまだ先でいい。
 しかし愛ちゃんが負けたのは世界ランクで格下の相手にストレート負け。男子は格上の香港にストレート勝ち。勝負は水物だ。
 その後、韓国に負けてベスト4ならず。敗者復活戦で銅メダルを目ざす。

●勝者と敗者
 金メダルを取ると全局で四六時中これでもかというぐらい勝つシーンが流され、親兄弟親戚縁者地元の人間まで総出でお祭り騒ぎ。一方負けると、期待の高くなかったものはさほどでもないが、柔道の鈴木のように金メダル当然と思われていた人は、もうこれでもかというぐらい負けるシーンが流される。特に負けた後、四つん這いで畳に突っ伏し、頭を抱えて起き上がらない姿を何度も見せられるとこちらまで惨めになる。
 あれは昨日も思ったが、鈴木は絶対にやってはならないことだった。負けて泣くことですらかっこわるいのに、四年前に100キロ超級(無差別級がない今、それは最強の男である)ですでに金メダルを獲得している猛者が、負けたからといってあれはないだろう。今まで築いてきたイメージをぶち壊してしまった。しかし真の姿はあれなのだろう。ひとは惨めなときに本性が出る。



●石井金メダル、塚田銀メダル
 女子柔道の塚田が宿敵のトウブン残り11秒で負けた。指導でポイントを取っていたが最後は一本背負いで一本負け。
 しかしこれは積極的に攻めていったし、なにもせず負けつづけの男子よりは遥かにいい勝負。アテネの金メダリストだが世界選手権ではトウブンに二度負けていたから力もあちらのほうが上。その相手に善戦していたからこそ惜しいのだが、これは美しい敗戦なんじゃないかな。残り11秒を逃げまわって勝つよりもいい。メダル至上主義だからそれじゃいかんのだろうが、私は塚田を支持する。

 石井も一本勝ちしてきたが決勝は、相手の指導による10ポイントを守りきっての勝ち。だが内容は積極的に攻めていたし文句はない。それは石井の柔道にめちゃくちゃ辛口評価の篠原が珍しく誉めていたことでも解る。が、調子に乗ってインタヴュウでしゃべりすぎたか、篠原は「石井はしゃべらないほうがいいですね」とまた辛口評価(笑)。
 毎度思うが石井のカリフラワー耳はすごい。レスラーでもなかなかあそこまで脹れている人はいない。耳の体質にもよるのだろうが、かなり醜いから目立つ。
 そういえばその種の小説に、公安のスパイは柔道耳でバレるから、耳の潰れていないのは貴重だとか、そんな話があった。逆に言うとあの耳は威嚇になるのか。

●フクダの態度
 石原都知事の定例会見。「自国の選手が入場してきたとき、立ち上がって手を振らなかったのは自国の総理(フクダ)と、北朝鮮の代表だけだった」と批判。また選手に向けての「せいぜいがんばって欲しい」も批判。当然だ。「せいぜい」ってなんなんだよ(怒)。
 フクダには、人としての情がない。熱さがない。あれは育ちから来るのだろうか。靖國不参拝に関しても「友人のいやがることをやる必要はない」と言っている。中国人という友人を気づかう心はあっても、国のために散華した英霊への気づかいはない。早く止めてくれ。この人のせいで全部小泉以前の自民党にもどってしまった。

●北島に国民栄誉賞?
 そのフクダが北島に国民栄誉賞をやるつもりらしい。そんなものいらん。元々オヤジの福田赳夫が人気取りで始めた"企劃"だった。

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8/16
16日

●吉田、勝てるか!?
 今日から女子レスリングが始まる。吉田の連勝をストップしたアメリカのバンデュセンもまたタックル返しに自信を見せる。これって日本人の八田コーチの功績なのだ。こういうのって一種の「国賊」になるが、しかしそれを言ったら日本人を指導してくれている諸外国から見た国賊も一杯いることになる。フェンシングのコーチもロシア人だし、女子フィギュアスケートもそうだ。天敵のロスケの力を借りなかったら取れなかったメダルは数多い。
 というところでシンクロナイズドスイミングでは、日本人女が中国のコーチになり、水準を上げているとか。なるほど。ま、シンクロはどうでもいいんで。



 というところで昼。外出から汗びっしょりになってもどり、テレビを点けると伊調の試合。押されていたが逆転勝ち。吉田も勝って準決勝に進む。

 スポーツ紙の記事に「白鵬と朝青龍が仲直り。モンゴル初の金メダルで痛飲」とあった。そうか、柔道100キロ級一回戦で鈴木を破ったモンゴル人青年は、あのまま一気に金メダルまで駆けあがった。それは覚えていたが、モンゴル初の金メダルは失念していた。メキシコオリンピックのレスリングで銀メダルを取ったのが白鵬の父親。それがいまだに最高の成績なので彼は国民的英雄なのだ。それをしのぐ金メダルが初めて成ったのだ。そりゃあうれしいだろう。朝青龍の談話では「電話して、おれも泣いた、あいつも泣いていた」とか。



●吉田金、伊調姉銀
 吉田は順当に金メダル。初戦から苦戦していた伊調姉は決勝で負けて銀メダル。決勝戦はリアルタイムでは見られなかった。夜の番組で知る。NHKのスタジオにふたりが出演していた。アテネでは銀メダルでも悔し泣きだった伊調姉が、全力を出しきっての今回の銀には大満足で終始笑顔なのが印象的だった。表彰台の模様が映されたが、満面笑みで両手を挙げメダルを誇らしげにかざしている伊調姉が金メダルの中国女よりも目立っていた(笑)。

●カメラのアップは何なのだろう?
 ところで先日の体操の時にも感じたのだが、今日のこの女子レスリング優勝戦でも思った。「無意味なアップ映像」である。体操のときは鉄棒で大回転しているとき、上半身のアップを撮っていた。何の意味もない。それどころか全体の大技が見えなくなり不愉快である。女子レスリングでも、吉田がフォールに行けるかどうかという攻防の時に、顔と肩のあたりのアップ映像になり全体が見えなくなった。くだらんことをするものだ。

 競馬中継で、残り2ハロンのあたり、日本のカメラは必ず先頭の馬のアップ映像になる。それが最強の逃げ馬なら当然だが、そうではない、単なる習慣としてそれをやる。だからこちらが見たいのは、その先頭の馬ではなく、好位から仕掛けようとしている馬や、最後方から差しの態勢に入る馬なのに、これによって「目かくし状態」にさせられる。まったくくだらない。何故こんなことが根づいたのだろう。

 今回のオリンピックの映像もそれに通じる。新味、オリジナリティを出したいという精神はわかるが、結果として競馬中継と同じ「目かくし」でしかない。やめるべきだ。

●石井のハッスルポーズ
 東スポが一面で「石井のあのハッスルポーズは俺との約束なんだよ」という小川のコメントを載せていた。
 たしかに石井が何度もへんなことをして、「あれってハッスルポーズだよな?」と私も思った。
 しかしこれってどうなんだろ(笑)。
 内藤大助がリング上の勝利インタヴュウの最後に、「あ、そうだ、これ約束だから、サンデージャポン!」と言ったのは、中継局が同じTBSだからいいとしても、オリンピックでハッスルポーズはどうなんだろう。ま、怒っているわけじゃないけど、感心もしないな。

●ボルト世界新、9秒69!
 無風状態で人類初のコンマ6秒台。勝利が確定すると両手を広げて横向き、走っていない。あれ、最後まで全力疾走ならどんな記録が出たろう。底知れない。
 197センチの史上最ノッポのキングスプリンター。ジャマイカってのがいいなあ。USAのアフリカ系黒人ではない。緑と黄のユニフォームと国旗が黒い逞しい躰によく映える。カリブの風だ。
 K-1のホーストやボンヤスキーも南米系だ。ボルトが踊る勝利のダンスもホーストとそっくりだった。
 金持ち国が最新鋭の設備と科学的トレーニングで獨占していた時代はつまらなかった。同じようなトレーニング、用具が使用出来るようになったら、一気にジャマイカやトリニダートトバコのカリブ勢が伸びてきた。いい傾向だ。この流れはもう止まるまい。オリンピックは弱小国が活躍するからこそおもしろい。むかしのオリンピックなんてアメリカとソ連の形を変えた戦争だった。アメリカやロシアが国威を懸け、どんなにがんばっても敵わない競技がなきゃつまらない。

【後日記】
 100メートル走の金メダルはジャマイカ初。しかし今までにもアメリカにスカウトされ、国籍を変えてオリンピック100メートル走に出ていたジャマイカ人が三人いるとスポーツ紙に載っていた。アメリカの大学にスカウトされたら貧しいジャマイカの暮らしを捨てて行くのが自然だ。ジャマイカ国籍で勝ったことがすばらしい。
 200メートル走で二冠に挑むが、それが「84年のカール・ルイス以来」とある。カール・ルイスはもう24年も前になるのか。信じがたい。



●ツバルからのひとりだけの出場者
 人口1万人の国ツバルから女子100メートルに参加した16歳の娘。ツバルと言えば地球温暖化で水没寸前で有名だ。自己ベストを更新する14秒06で走るももちろんビリ。
 いかにも、の物語はあまり好まないが、オリンピックのたびに毎度見られるこの手の話は好きだ。ウルウルする(笑)。最強国の最強選手もオリンピックだけど、こんな話もないと。



●競輪の永井が銅メダル
 日本初の競技なのにいまだにメダルがなかった。初のメダルは、あまり期待されていなかった永井。よくやった。
 メダル獲得後、NHKに出演した際にも、「参加するだけかと思っていた」と淡々と語っていた。人柄もいい。「まだ25歳なので四年後のロンドンも目ざしたい」と語っていた。おめでとう。
 でも先行して2位確定寸前で差されたのは残念。

●野球、韓国に負ける
 韓国は湧いたろうなあ、あの国にとって日本は特別だ。韓国じゃうまい酒を飲んでいる連中が多いことだろう。弱いな星野ジャパン。キューバはともかく韓国に負けるとは。

●明日は女子マラソン
 ああ、野口がいたらなあ。
8/17 女子マラソン、スタート

 徹夜になってしまった。午前6時、朝8時半の女子マラソンスタートは無理かと、午前9時に目覚ましを掛ける。でも8時10分に目覚めてしまった。ちょうどいい。スタートから見られる。82人がスタート。野口がいたらなあと、そればかり思っている。
 5キロ手前でアテネの銀メダリスト、アメリカのディーナ・カスターが脱落。事故のようだ。かなり痛がっている。超スローペースの展開。

 早々に土佐が脱落。中村は2位集団につけていたが30キロあたりから遅れ始める。20キロ前からルーマニアの選手が飛びだし獨走態勢。
 30キロでイギリスのラドクリフが遅れ始める。
 そんな中、後方から中団に着き、いつしか中団集団が縦に長くなって行く中で、そこでも好位にあがってくるのはヌデレバ。いい選手だなあ。さすが歴戦の雄。いつしかヌデレバを応援している。
 2位集団、というかもう7人になったが、そこにリディア・シモンもいる。がんばっているのに日本のアナはまったく触れない。どういうことだろう。もう終った過去の選手と言うことなのか。だけど2位集団から後れたラドクリフや中村よりも前にいるのに。毎度思うがラドクリフの走り方ってのはヘンテコだ。あれで世界最高タイムをもっているのだから不思議だ。
 女子マラソンは白黒黄色、欧米アジアアフリカ、バランスが取れていて、だからおもしろい。
 ルーマニアのトメスクの獨走態勢。38歳。これでこのまま優勝したら、これはこれですごいことになる。ルーマニアで見ている国民は、快哉を叫び、同時にこのまま逃げきれと手に汗を握っていることだろう。うれしいもんなあ、自国選手のトップは。
 土佐や中村の現状を見ると、オリンピックで軽々と勝った高橋や野口の偉大さをあらためて思う。

 ところで、ほんと、漢民族ってのはブスばかりだ。このマラソンに出ているのもひどい。いや日本もひどいが(笑)。
 13億もいるのに、今まで何十回も中共に行ったが、町中で美人を見た記憶がない。今回のオリンピックでも見ていない。ブス民族と言える。その点、タイ族でもペー族、ワ族、どこでも少数民族はかわいい娘が多い。漢族は特殊だ。

 二位争いがおもしろい。ケニア二人とと地元中国二人の争い。残念ながらシモンは後れてしまった。でもたいしたもんだ。いやあこのケニアと中共の二位争いはおもしろい。いま39キロ。トメスク、このまま楽勝か。ヌデレバのスパートはいつか。

 残り2キロ、トメスクの優勝は確定。二位争いは混戦。これはトラックでの争いになるだろう。おもしれえ! 私はもちろんケニア勢を応援する。がんばれコム、ヌデレバ、中共に負けるな!
 コムは歯を食いしばり必死、ヌデレバはここに到っても餘裕? 不思議な選手だ。中共もどちらかのメダルが取れそうだ。
 二位争いはヌデレバと中共のブスに絞られた。

 オリンピック女子マラソン7人目の女王にルーマニアのトメスク。
 ヌデレバと中共ブスの二位争いは、トラックで中共ブスが二位に上がる。それをヌデレバが抜き返す。そこにまた中共ブスが迫る。まるで100メートル競走。ヌデレバに中共ブスが並びかけて抜かれそう。このとき私はこのオリンピック初めて「ヌデレバ!」と声を出してしまった。日本選手の金メダルにも無言だったのに。いかに自分が中共(漢民族)が嫌いかを実感した(笑)。私の声援に応えて、中共ブスに並びかけられ抜かれそうになったヌデレバは、逆に突きはなしてゴール。よかった。その瞬間を実況アナが「ヌデレバだ、エンジンが違う!」と絶叫した。ヌデレバを応援した私には気分が良かったが、あれは中共ファンには気分がわるかったことだろう(笑)。43キロを走ってのゴール前での最後50メートルでの攻防であり、中共選手も立派だった。要は最後の精神力であり、エンジンはまったく互角だ。

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 ことば──「おおぶたい」と「だいぶたい」

 いくつもの競技、各局を通して、アナウンサはみな教えられたマニュアルに従い「おおぶたい」と言うが、解説の元アスリートたちはみな、これまた口を揃えて「だいぶたい」と言う。それは日本語として放送局レベルでは「おおぶたい」としているが、一般世間では「だいぶたい」という証拠だろう。テレビを見ていて興味深かった。
 同じく放送局規定では「おおじしん」としているが、一般世間では「だいじしん」だろうし。

 私としては、アナが「おおぶたい」と言っているのに気づき、そこから学んで「おおぶたい」になる元アスリートがいたらおもしろいなと思って注目していた。

 こういうのって現実世界でもある。学生のとき、大阪の「枚方」を「まいかた」と間違えて言ったら直された。いやこれは単なる読み間違いだから違うか。もっといい例はないか。え~と、むかし三人で話をしているとき、友人A記者が「なになに居士」という戒名を「なになにイシ」と誤読というか、覚え違いをしていた。死んだ人の話だったので会話の中に何度もそれが出て来る。友人のB記者は「なになにこじ」と言う。B記者としてはそこでA記者に「あ、あれってイシじゃなくコジってよむのか」と気づいて欲しいのだろうが、「武士」「名士」などと同じく「居士」を「イシ」と覚えているA記者はそのことに気づかない。「イシ」と覚えていれば、それが「コジ」の誤読だとは思いもしない。亡くなった「イシ」について熱く語っていた。
 気の置けない友人同士ならもっとストレートになるのだろうが、A記者とB記者は同じ業界誌の記者同士でありA記者が先輩だった。私はフリーランスのライターであり、三人とも多少の遠慮があった(笑)。同じ事を言っているのに「なになにイシ」と「なになにコジ」が飛びかう会話はおもしろかった。「おまえはどうしたんだ?」ですか。私は「イシ」に恥を掻かせないよう、「なになに」にして後を省いて話しました。

 A記者が気づかなかったぐらいだから、元アスリート達も、アナが「おおぶたい」と言っていることに気づいたかどうか。おそらく気づかなかったろうし、気づいた人がいたとしても、「テレビ関係者はダイブタイをオオブタイと言うのだろう」ぐらいの感覚か。
 しかしふたりのしゃべりの中で、何度も「おおぶたい」と「だいぶたい」が交錯するのは奇妙でおかしかった。勘のいいこどもなら「おおぶたいとだいぶたいって違うの?」と質問したことだろう。

 競馬レースの「中山大障害」は、本来「おおしょうがい」だった。しかし何年か前、正式に「だいしょうがい」と改名された。改名前、一部のアナが日本語として「おおしょうがい」にこだわっていたが、なにしろファンがみな「だいしょうがい」と呼ぶのだから時の流れである。私も「正しくはおおしょうがい」と知ったのはこの業界に関わった三十過ぎからであり、素人時代はずっと「だいしょうがい」と言っていた。

 基本的に和語には「おお」、漢語には「だい」だから、「大風」「大雨」は「おお」である。地震は漢語だが、すでに江戸のころには和語扱いになっており、「おおじしん」が普通だった。

 以前このことを書いていたら、そちらのことが専門だという塾の先生に「江戸以前の文献にダイジシンとある。あんたは文献を調べたのか」と絡まれて往生した。私がこだわっているのは「なにがかっこいいか、自分はどっちを使おう」という程度のもので、文献の話などどうでもいい。ことばは時代で変るものだ。おおじしんでもだいじしんでも、おおぶたいでもだいぶたいでもどうでもいい。
 言いたいのは、上記したように、「テレビのアナはみなおおぶたいと言い、解説の元アスリートはだいぶたいと言う」という現象についてである。
 個人的にはこれからもしばらくは「おおぶたい」と言おうと思っている。

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 シモンは8位だった。立派。中村は13位。
 38歳のトメスクがぶっちぎりで勝ったことで、また女子マラソンはあたらしい可能性を見せた。あまり年齢を考える必要はないようだ。

【後日記】
 夜のニュースで、土佐の同僚の渋井陽子が、土佐は「外反母趾がひどく、一ヵ月も練習していない。外反母趾は骨が飛びだすほどのひどい状態だった。野口さんがあんなことになったから言えなかった」と発言していた。だったら早めの辞退もあった。責任感の強さとか言っているが、開始早々後れて、泣きそうな顔で喘ぐ姿を見せられたほうがよほど辛い。一ヵ月も練習できない状態でオリンピックが勝てるはずがない。
 後にスポーツ紙で関係者が、「ケガをしていて走れないのは知っていた。それでも根性のある人なので、もしかしたらと期待した」と語っていた。まあ、土佐好みの天気環境になり、奇蹟の好走の可能性もあったろうが、どう考えても走る前に辞退すべきだったように思う。
 それに渋井の言う「野口さんが辞退したから」だが、一ヵ月も練習すら出来ないほどひどい状態だっのだから、野口の辞退よりも前から悪かったのである。野口が辞退したので辞退出来なくなってしまった、は事実としても、野口にふってほしくはなかった。
 とはいえ同僚の後輩渋井が、先輩土佐の肩を持って語るのは、それはそれで友情と思えてよかったけれど。

●開会式やらせ疑惑(笑)
 歌を唄った少女が口パクだったとか、花火がCGだったとか(笑)、突っこみどころ満載の中共過剰演出の開会式が話題になっている。私はバカらしいので最初か見ていない。ニュースで見たのでポイントは知っているつもり。あんなもの何時間もリアルタイムで見たひとはいるのだろうか。いやいるんだろうけど(笑)。(【後日記】最高視聴率はあの開会式の40%だとか。)

 ひとつだけ「またウソやってら!」と強く不快を感じつつ思ったことがある。それぞれの民族衣装に身を包んだ少数民族代表のこどもの行進だ。あそこに少数民族はいない。みな漢民族である。漢民族がふだんは迫害している少数民族の衣装を身に着けて変装しているだけだ。それがやつらのやりかただ。弾圧し差別しているのに、あんなところだけあんな演出をする。それは直感で解った。やがて上記の口パクがバレるのと同じくこれも明らかになった。
 こういうのも中共嫌いでのみ言っていると感情論めくが、私の妻は彼らに虐げられている中国在住の少数民族のタイ族だから、いくらか発言の資格はあるだろう。現実もよく知っているし。
 オリンピックではしゃいでいるのも漢民族のみだ。というか13億のほとんどが漢民族ではあるが。妻のところでも盛りあがっていない。妻も家族もテレビなど見ていない。漢民族の金メダルにはしゃいではいない。より苛酷なチベットやウイグルがどうであるかは言うまでもない。

 旅行作家・下川祐治の名言「漢民族の悪口ならいくらでも言える」を思い出す。私もいくらでも言える。考えたり思い出したりではなく、日常のそれが次から次へと浮かんでくる。絶対に日本人とはあわない民族である。それを「日本人が四千年にわたって憧れ続けた英知」と大絶賛し持ちあげるのが浅田次郎の小説だから、彼の作品を読まなくなったのも当然だった。現実を何も知らない明き盲である。でもそれもまた小説家のありかただから、そのことには問題はない。こちらが読まなくなったというだけの話。

●北京以外での競技開催
 開催前、妻と電話で話していたら、「オリンピックは北京だけではなく、天津や上海でもやる」と言う。なにをバカなことを言っているんだと失笑した。北京オリンピックは北京でやるから北京オリンピックだ。しかし妻も「テレビでそう言っていた」と譲らない。日本で東京オリンピックが行われるとして、一部の競技の開催を大阪や名古屋でやるということはあり得ない。対立したまま電話を切った。私が正しいとずっと思っていた。
 ところが昨日の女子サッカー「なでしこジャパン」だったか、私も行ったことのある秦皇島でやっていた。秦皇島は天津だろう。すくなくとも北京市内ではない。競技場の問題か? こんなこともあるんだな。妻に謝らないと。

●女子卓球、韓国にストレート負け
 リアルタイムで見たが完敗。韓国はうれしいだろうなあ。で深夜あらためて見たら、応援席のいかにも朝鮮顔のおじさんが大喜びしていた。顔ってのはおもしろい。愛ちゃんが「アウェーじゃなくてホームのよう」と言うほど中共で人気があるのは、こどもの時から中国で卓球の勉強をし、北京語も話せるという親中的なこと以上に、彼女の顔が漢民族のかわいい顔だからだ。
 日本の平野というのは目つきが鋭く格闘家のよう(笑)。誰かに似ていると思ったらK-1MAXのブアカーオ。タイの田舎顔だ。色も黒いのでそっくり(笑)。福岡の顔とは対称的でいいペアだ。
 真上からのカメラワークもよかった。さすが卓球世界一の国だけあり、卓球の中継は満点である。

 民族の血の濃さは興味深い。他項でも書いたけど、芸能人の美男がじいさんになると典型的な朝鮮顔になってくる。まるで厚化粧が剥げるように。若い頃の前田日明なんてほれぼれするハンサムだったけど、今の顔はどっかみても朝鮮人のおっさん顔である。
 この卓球で韓国の勝利に大喜びしていた観客席のおじさんも、どこからどうてみても、日本人なら誰でも見抜く朝鮮顔だった。
 日本が出ないので見る気もないが、この韓国と日本を負かしたのだから決勝の二国は強いんだろうなあ。

 世界ランクとして韓国は格下というのだが、ここを見ている限りあちらのほうがずっと格上。ランキングって何なのだろう。韓国娘の卓球はカットマンペアが魅力的で、私はすなおに韓国の勝利に拍手を送った。韓国もまた美醜の差が激しく、アスリートに美人はすくないが、この卓球娘達はなかなか魅力的だった。ダブルスのときは白熱の長いラリーもあり、いい試合だった。韓国の銅メダルは立派。おめでとう。

●伊調妹金メダル、浜口銅メダル
 伊調は安定していた。これで吉田と並んで金メダル連覇。
 浜口は今までの口惜しさと違って銅メダルにスッキリしていた。これで引退か。女子プロレス入りを噂されていたころは世界一であり、女子プロレスもまた人気があった。テレビ放映もあった。オリンピックのメダルにこだわり女子プロレス入りを見送っている内に、プロレスそのものが一気に失速し消滅してしまった。当時私も、「もう世界一なんだから、いまさらオリンピックのメダルになどこだわらず、さっさとプロ入りすればいいのに」と思っていた。あのころはまだ浜口のクラスは女子アマレスになく、唯一まだ取っていないメダルがそれなのだった。ないのだから取れない。実力は断然世界一なのでオリンピックにその種目が設定されれば世界一は間違いないと思われていた。それが不可解な判定で負けたりして引退を先送りにし、北京の今日までがんばった。いい人生だった。父親をメジャにする役割も果たした。女子プロレス入りをしなかったのは結果的に大正解である。これからどうするんだろう。
8/20 オリンピックも山を越え……

 え~と、前回書いたのが17日の日曜日、女子マラソンの日か。その後、興味のない種目ばかりであること、18日に大相撲の若ノ鵬が大麻所持で逮捕されるという相撲ファンとしては大事件があったりしてオリンピックはなおざり。

 野球とソフトボールをやっているが興味なし。次回のロンドンからこのふたつはなくなる。なくなって当然。オリンピックの魅力は弱小国から出現した天才の活躍だ。野球やソフトボールにそれはありえない。限られた国の争いをみてもつまらない。キューバはちいさい国だがむかしからの強豪。アジアやアフリカから突如としてキューバクラスが登場するとおもしろいのだがそれはない。ヨーロッパも野球には興味がない。野球は世界的ではないのだ。しみじみサッカーとの差を感じる。

 といって野球が嫌いなのではない。WBCは本当におもしろかった。韓国との絡みも(笑)。
 ま、野球はオリンピックになくてもいいよ。

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 メダリスト、続々帰国

 伊調姉妹は、姉が引退したいといい、妹も姉がやめるなら私も、という流れになっていたが、正式にふたりとも引退を発表した。姉は48キロ級で闘うのに減量に苦しんでいた。妹は本来59キロ級なのに62キロ級で闘っていた。というかクラスがそれしかないのだが。栄監督は姉はともかく妹はまだ若いし、と未練があるようだ。が、妹の方がむしろこの四年間がかなり苦しかったらしく、引退に積極的だ。
 まあそれもそれでいい。何年か経ったらまた復帰するような気もする。そういうレスラーは多い。山本美優もそうだった。
 その点、続航を明言している吉田沙保里はいい。私はなぜか吉田のファンだが伊調姉妹にはアテネの頃から興味がなかった。これで吉田が引退を口にしたら、もったいないと嘆いていた。



 フェンシング銀メダリストの太田雄貴も帰国。ワイドショーで見る。メダルを取ったときのインタヴュウや、その後の北京でのスタジオ出演を見たときから、爽やかさと頭脳明晰な反応のよさですっかりファンになっていたが、今日のテレ朝のワイドショーでも、人柄のよさと頭のよさが出ていた。人気者になるだろう。すばらしい。
 フェンシングは現在競技人口5千人とか。そこから世界の銀メダルだからたいしたものだ。
 彼の活躍でフェンシングに興味を持つ人が増えていると言うが、彼が言っていたように「用具の入手で苦労する」そうだから前途は険しい。練習相手もいないだろうし。
 でも彼は類い希なスターだ。あの反応のよさはタレントとして最適だから、いまは無職だし、これからひっは引っぱりだこだろう。たとえば「踊るさんま御殿」に出ても、充分に対応できるし、「ジャンクスポーツ」でも人気を得るだろう。



 さて、これから何があるんだ? 最終が男子マラソンであり、本来は「華」なのだが興味ないなあ。

●知識の有無


 と考えていて、自分の発想に気づく。
 私は挌闘技において、強くもない日本人選手よりも真に強い個性豊かな外人選手の方が好きだ。これは力道山よりルー・テーズの方が好きだったこども時代から一貫している。桜庭よりシウバの方が強いと初期から支持してきた。相撲も然り。外国人力士が好きだ。だから関係者が「日本人スターが欲しい」という気持ちがわからない。だが世間は日本人中心に見るのだそうな。K-1など躰がデカくスター性のある日本人ならいくらでも金を出すと前々から言っている。相撲関係者など口を開けば「日本人力士が……」となる。

 オリンピックを見ていてそこに気づいた。私はオリンピックオタクではないから外人選手に詳しくない。よって日本人がメダルを取れそうな競技しか興味がない。しかもその競技もだいぶ限られている。三宅娘の出た重量挙げは見なかったし、室伏のハンマー投げも見ていない。本来オリンピックの最後を飾る男子マラソンに興味がないのもそれだ。もしも金メダル確実という日本人選手がいたら見るにちがいない。これってお茶の間のファンが格闘技や大相撲を見るときの心理と同じだろう。『PRIDE』のような格闘技大会において、私はメインを務める日本人選手より、そのまえの一般的にはまだ無名だが自分の惚れこんでいる選手の戦いに興味を持つ。わくわくして待つ。それこそが私にとってのメインイベントだ。大相撲も同じ。私にとっての「今日の一番」は、平幕同士の注目の二人の取組だったりする。
 オリンピックは知識が薄いので日本人選手を中心に見る。もちろん体操のように興味があり知識もあるものは、ルーマニアの一流選手の秘技に酔ったり出来る。マラソンでヌデレバを応援したり、シモンの健闘に拍手を送ったりしたもの、初歩的知識ではあるが、それになる。男子マラソンにはその程度の初歩的知識すらない。じゃあ楽しみでないのも当然だ。
 オリンピックオタクには、日本人選手など関係なく、「あの選手のあのプレーが見られるだけで最高」と盛りあがっているひとも多々いるのだろう。



 
● ボルト、200も世界新!

 これは凄い。リアルタイムでは見られず夜中に録画で見たが、寒気がした。カール・ルイス以来の24年ぶりの二冠なんてのはどうでもいい。タイムだタイム。マイケル・ジョンソンの19秒32は不滅の大記録であり更新は不可能と言われていた。私もそう思っていた。それを更新したのだ。19秒30。さすがのボルトも今回は最後までしっかり走っていた。前回の勝てばいいという流しではなく、本気だった。それだけ本人もジョンソンの記録は本気でないと抜けないと解っていたのだろう。ちぎっての勝利。さんざん言われていることだが、100も200も、ボルトがいなかったら、2着が優勝でタイム的にまったくおかしくない。2着の選手は巡りあわせが悪かったとしか言いようがない。競馬の世界でも、たまたま最強馬と同期だったための不運というのがある。

 ジョンソンが観客席にいたようだ。こういうときの気持ちってどうなのだろう。永遠に世界一でいられるはずの記録を破られてしまったときの気持ちは。もちろん笑顔で祝福していたが。

■男子100m決勝

1.ウサイン・ボルト (ジャマイカ)
9.69(世界新記録)
2.リチャード・トンプソン (トリニダード・トバゴ) 9.89
3.ウォルター・ディックス (米国) 9.91
4.チュランディ・マルティナ (オランダ領アンティル) 9.93
5.アサファ・パウエル (ジャマイカ) 9.95
6.マイケル・フラーター (ジャマイカ) 9.97
7.マーク・バーンズ (トリニダード・トバゴ) 10.01
8.ダービス・パットン (米国) 10.03

■男子200m決勝
1.ウサイン・ボルト (ジャマイカ)
19.30(世界新記録)
2.チュランディ・マルティナ (オランダ領アンティル) 19.82
3.ショーン・クロフォード (米国) 19.96
4.ウォルター・ディックス (米国) 19.98
5.ブライアン・ジンガイ (ジンバブエ) 20.22
6.クリスティアン・マルコム (英国) 20.40
7.キム・コリンズ (セントクリストファー・ネビス) 20.59


【後日記】
 翌日のスポーツ紙によると、ジョンソンは「更新は不可能」と言い、それはまだボルトの走りが完成されていないからと説明していたそうだ。100年は更新不可能と言われた大記録を塗りかえられたのは内心複雑だろう。とはいえ200と400というあり得ないふたつの距離で記録を持っていた(400は今も記録保持者)ジョンソンの偉大さに変りはない。

 ジョンソンと言えばベン・ジョンソンもジャマイカ出身だった。カナダ国籍になったが。あのころからもうジャマイカ人の世界一は見えていたことになる。でもジャマイカ人のジャマイカ国籍での金メダル気分のいいことだ。どんなに偉大な世界記録でも、これがアメリカに移住した青年の記録だったら私はこんなに昂奮して書いたりしない。

8/22  ソフトボール、金メダル!

 前回完敗したアメリカに勝っての金メダルは立派。ニュースで知ったのみ。見ていない。
 しかし野球やソフトボールの、「負けても終らないリーグ戦方式」っておかしいと思う。オリンピックは一回限りのトーナメントで、一度でも負けたら終り、がおもしろい。柔道の不可解な判定による指導ひとつでの負けなんてのも、リーグ戦でやったら負けるはずがない。いまの柔道のありかたは不満だらけだが、金メダル候補が伏兵に僅差で負けてしまうというのも、本来の柔道を忘れてのポイント競技として見れば、それはそれで楽しめる。
 野球とソフトボールがオリンピックから消えるのは極めて妥当である。

 今日は金曜日。オリンピックも残すところあと二日か。
 いま、オリンピック期間中にチベットで140人の虐殺が行われたとダライラマ法王が発言し話題になっている。まあ中共はそんなこと平然とやるけど。




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