2009年夏総選挙覚え書き
7/21

衆議院は2009年7月21日、自民党両院議員懇談会の後に解散した。選挙は8月18日公示、8月30日投票・開票。
解散、投開票の期間は過去最長
解散から投開票までの期間は過去最長の40日間。憲法の規定により、総選挙は解散日から40日以内に行わなければならない。

---------------

 解散から投開票までの期間が40日なのは知っていたが過去にも何度もあったと思っていた。過去最長ということはなかったのだ。あまり特別という感じもしない。



 日本で二大政党制は無理だと思っていた。自民党に対抗する民主党があまりに寄せ集めすぎる。社会党左派までいるのだからバラバラだ。しかしそれを超える変革の波が無理矢理二大政党制を作りだそうとしている。それどころか民主党が300議席以上を取り、初めての政権奪取の基礎固めに「任期一杯4年間は解散しない」としているから(これは戦略として当然だ)、獨裁体制になることまで懸念される。

 誰もが「いちどはやらしてみたい」と思っている。もうその流れは止められない。果たして民主党政権の4年間はどんな時代になるのだろうか。

 楽しみなのは「そのあと」の政界再編成なのだが、それはどんな形になるのだろう。

 いずれにせよ今回の総選挙が歴史的な変革になるのはまちがいない。戦後から続いていた自民党政治の終りである。後々のために思いつくことをメモしておこう。
8/15  せっかく40日もの選挙期間があったのにマスコミ報道はすくなかった。押尾学と酒井法子のドラッグ問題が起きたからだ。選挙のニュースを見たいとワイドショーをつけてもそればかり。特に押尾は死人が出て、そこから逃げたということで盛りあがり(?)、酒井の場合は最初は覚醒剤で逮捕された夫の被害者としての失踪として取りあげられ、やがて本人もジャンキーとわかったものだから、延々と出生の秘密にまで走って最初のころは我慢して見ていて、それらをたっぷりやったあとにほんのすこしやる選挙関係を待っていたが、朝から晩まで毎日毎日流される酒井法子の話にさすがにもううんざりして見る気が失せた。
 選挙総括のときに「4年前より報道がすくなかった」「芸能人のドラッグ事件があったから」とテレビ側も認めていた。そんなことに興味のないこちらにはいい迷惑である。



 民主党候補との挨拶を拒んだということで小泉進次郎がやりだまに挙げられていた。
 小泉元首相は引退し神奈川の地盤は4代目の次男・進次郎が跡を継ぐ。
 私は以前彼を初めて見たときに、長男の孝太郎はあまりに甘いマスクなので、父に似た細い眼のこの次男の方が政治家にはよいと思うと意見を書いた。

 小泉さんちの次男

 日附を見ると07年の6月10日である。関東学院大出身や留年しているとかも好ましい。

 そういう贔屓の彼が叩かれているという。よくあることとほっておいたが、先日遅ればせながら{Youtube}を見た。

 なるほど街を歩き支持者と握手を繰り返しているときに偶然民主党の横粂候補と会い、あちらが追い掛けて「進次郎さん」と声を掛けているのだが無視。握手しようとするのも、まるでいないかのように完全無視だ。これはネットで批判が起きたのは当然だろう。

 その後の公開討論会では、それによる反省もあったのだろう、かなりわざとらしく両手で握手していた(笑)。



 27歳という同い年のふたりは、対象的でおもしろい。
 片方は政治家一家の後継ぎで血筋的にエリート、しかし学業的には二流。一方は「トラック運転手の家庭に育ち、小中高と公立出身」と血筋的に庶民を強調する。学業の方は東大卒、そのとしに司法試験合格だから超一流だ。

 横粂候補の「公立出身」は立派。いまどき東大に行こうとしたら「お受検」を通り抜けての有名私立が常道だ。ここに関して私は好意的。
 一方、進次郎の関東学院大も私は好み。孝太郎は日芸だし、この辺に小泉さんの「そういうことにこだわらない感覚」がよく出ている。小泉さんがそういうひとだったら、あらゆるツテ、コネを活かした「お受検」でもって、すくなくともふたりとも小泉さんの母校の慶應ぐらいは行けたろう。力で持って幼稚舎に入れてしまえばなんとでもなる。ふたりの息子を慶應にこだわることなく、長男の日芸、次男の関東学院大と、好き勝手にさせたのは、あのひとらしいと思う。



 進次郎の握手拒否は誉められたことではないが、かといって戦いだからライヴァルを無視したのはそれほどのことでもないと思っている。
 それよりも私は気になることがあった。進次郎の態度である。
 支持者のひとたち、五十年輩、六十年輩の相手に対し、よろしくお願いしますよと背中を叩いたり、肩を叩いたりしているのだ。これはよくない。失礼である。私も年下の男にやられたことがあるが気分が悪かった(笑)。まして政治家だから映像から受けるイメージがある。よくない。
 思うに、総理大臣だった父の真似をしている(意識せずに真似てしまっている)のかも知れないが、総理大臣と新人候補はちがう。直して欲しいものだ。

============================================

 石川県の森喜朗の対立候補が「森を伐採」をスローガンにしていた。これはセンスが悪い。姫井の「姫の虎退治」的な感覚なのだろうが、「森を伐採」は自然破壊、環境破壊に繋がるからセンスのいい標語ではない。案の定、森陣営は「森を伐採したら災害が起きる」と反対していた。
8/30  午後8時から開票速報が始まる。毎度のことだが出口調査をしているからといって開票0%の状態で出る当選確実には首を傾げる。まずまちがいなくその通りなのだが。
 たまに当確のまちがいが訂正されることがあるが、それは50%程度の時のものであって、この0%状態のものは圧勝パターンなので確実に当たる。



 事前予想のように民主党が320議席をとる圧勝のようだ。4年前の小泉旋風を思い出す。
 小沢は自分の放った刺客を「小泉チルドレン」と同じ形で「小沢ガールズ」と呼ばれることを嫌い、今日もマスコミがそういう切り口をするのはいかがなものかとその件に関する問い掛けを拒んでいたが、実態は同じようなものだ。杉村太蔵とか井脇ノブ子のような使い物にならない議員が多数誕生することになる。
 国民は4年前の愚行を繰り返している。

 ちがいは4年前のものが小泉政権に対する期待でありフィーバーだったのに対し、今度の熱気は「自民党にノー」というマイナスパワーであることだ。誰もが民主党がすばらしいと思っているのではない。自民党はもういやだと思っているのだ。民主党はこれから真価を問われる。おそらく人材不足、実力不足で瓦解するだろう。期待するのは割れた民主党と自民党の精鋭で作る新党だ。



◎万歳とお辞儀

 毎度思うのだが、当選が確定したとき、万歳は周囲がやり、本人や寄りそう女房はお辞儀をするのが正しい。今回、安倍晋三、小泉進次郎、小渕優子らはきちんとそうしていた。先代の教えのよさが偲ばれる。安倍は当然として、若い進次郎がそうだったのは見直したし、ぜんぜん興味のないひとだが小渕の態度には感服した。さすが総理の息子と娘である。

 一方、民主党系は新人はもちろん前原誠司らも先頭切って自ら万歳していた。知らないことはないと思うので、たぶん「あれは古い、自ら万歳すべきだ」という感覚もあるのだろう。私としては何度見ても違和感がある。やはりあれは当選者はお辞儀がうつくしい。

 後に民主党でも、海江田万里はお辞儀をしていた。見直した。一方、福田康夫が万歳していたのでしらけた。このひとらしい。民主党の若い議員が万歳しているのまでは許容できても福田クラスの万歳はどっちらけである。ほんとうに魅力のないひとである。

 その福田にもう一歩まで迫った民主党の三宅雪子(比例で当選)は周囲が万歳をする中、丁寧に頭を下げていたので好感をもった。この場合、小選挙区で当選しなかったからという穿った見方も出来る。小選挙区で落ち比例で復活した小池百合子は万歳をしなかった。平沢勝栄は小選挙区で当選したが自民党存亡の危機の中、万歳どころではないとしなかった。
 三宅は万歳をしなかったが、それは決して比例での当選だからではあるまい。祖父が石橋湛山内閣で官房長官を務めた石田博英という血筋、フジテレビで政治記者をしていた見識から来ていると解釈する。



 私は自民党支持者だが、だからこそ嫌いな自民党政治家は山のようにいる。それらが次々と落選して行くのが気持ちいい。

 野田聖子山崎拓久間らが落選して気分が良いが比例で復活してくるのだろう。なんなんだ比例制度ってのは。いらない。しみじみ「比例復活」ってのは気分が悪い。

 古賀誠も苦戦だというので期待したがどうやら当選しそうだ。海部俊樹も落選で元首相として赤っ恥。これは比例に出ていないので引退確定。絆創膏で有名な茨城の赤城も落選。丹羽も落ちたか。

 福田康夫が苦戦だというので落選を期待したが当選してしまった。

 町村、武部、中川と自民党の大物が北海道で揃って落選。小選挙区は民主が獨占か。ひどいことになってきた。これらも比例で復活するらしいが。(なんとかふたつ自民党も拾ったようだ。)



 民主党政権になり、輿石東っちゅう日教組の親方がでかい顔をするのかと思うとお先真っ暗である。あんなのを重鎮としているのだから民主党も語るに落ちる。
 自民党がもうどうしようもないのだから今回落ちるとこまで落ちたのは正解。利権争いのじいさんたちには引退してもらって若い新生自民党に期待する。
 民主党は4年間解散せず必死に政権与党の座を守ろうとするだろうが、必ず内部分裂を起こす。だってひどい寄り合い所帯なのだ。割れない方がおかしい。民主党の精鋭が社会党の生き残りと合うはずがない。真の正しい政治改革が始まるのはそれからだろう。

 兵庫の尼ケ崎で田中康夫公明党の冬柴を破って当確。田中は好きではないし公明党なんてのはこの世から消えろと思っているからどうなろうと興味はないが、創価学会の組織票で冬柴が負けることはないと思っていた。快挙であろう。冬柴は比例重複ではないので落選決定である。目出度い。カルト宗教の政党が国の舵取りに絡んだのではたまったものではない。自公政権の崩潰はまことによろこばしい。

 東京1区で与謝野馨が負けて海江田万里当確。与謝野は元々選挙に弱いしこれは意外ではない。前回も小泉フィーバーがなければ負けていた。

 小沢ガールズに追い詰められていたので京都の谷垣が落ちるかと期待したが残念ながら当確が出た。
 伊吹は落ちた。目出度い。(でも比例で復活。)

 民主党入りした田中真紀子に当確。本人は大臣になるつもりらしい(笑)。民主党のブレーンはあのバカ女の正体に気づいていると思うが。

 大阪で社民党の辻本清美が自民党の松浪健太を破って当確。前回は負けて比例で復活だった。あの鮒みたいに口をバクパクさせる女が今度は民主党との連立で与党の女として国会に立つのか。「わたしの場合は国会ではなく国壊です」と言っていたクソが。吐き気がする。

 公明党の太田が落選。公明党代表が小沢ガールズの青木愛に負けた。いやはやすごい展開。テレビに釘づけ(笑)。投票率が低いと学会票で勝てるのだろうが、みんなが投票に行くともういくら住民票を移してまで学会員ががんばっても無理のようだ。よいことである。比例重複をしていないので太田は代表なのに落選である。
 小沢から選挙区を替えて刺客として送りこまれた青木は、選挙序盤浮かない表情をしていた。いくらなんでも無理と思っていたのではないか。比例で拾ってもらえる約束としても、今までの地元の千葉でなら小選挙区で勝てるのだ。刺客役を断れなかったのだろう。だが風に乗って勝った。見事である。学会嫌いとしては心から拍手を送る。
 もともとここは公明党とのいくつもの因縁絡みの場所だった。公明党の協力が不可欠な自民党は候補を立てなかったり、八代英太を断念させたりしてきた。実力で民主党の地盤になったのだからまことに目出度い。

 東京10区の小池百合子が「小沢ガールズ」の江端貴子に負けた。小池こそ「元祖小沢ガールズ」である。次々と男を替えて、前回は「小泉の刺客」として東京10区に乗りこみ、反乱した小林興起を退治した。因果は廻る。比例で復活するのがつまらない。まったくなあ、比例制度はいらない。

 因果と言えば、野田聖子の刺客として乗りこんだのが佐藤ゆかり。地元の自民党県会議員として、野田ではなく佐藤支持を明言してがんばったのが笠原多見子 。佐藤は惜敗するも比例で当選した。今回佐藤が地盤を東京に替えられ、野田が自民党公認候補となった。かといって野田の支持は出来ないと笠原や当時の佐藤の後援者はみな民主党にくら替え。笠原は民主党の比例単獨候補となった。風に乗って楽々と当選。
 佐藤は落選。比例でどうなるかまだわからないが。野田も落選。これは比例で復活だろう。
 そんなふたりをしりめに、笠原は悠々と県議から衆議院議員となる。因果は廻る。
 佐藤は比例区でも復活ならず。自民党におどらされた。12万票も取りながら気の毒である。

 片山さつきの落選は見えていたが、比例でも拾ってもらえなかった。ただのひととなったこのひと、かの地に家まで建てたのにこれからどうするのだろう。さっさと東京にもどるのか。それともそこで捲土重来を期すのか。でも元々無縁の土地だしいくらいても無理だと思うが。

 小泉チルドレンはほぼ潰滅状態だ。77人出て10人当選とか。むしろ10人も当選したのかとおどろく。ろくなのがいなかったから全滅かと思った。
 自民党公認が取れず断念した杉村太蔵は出ても落ちていたから出なくて正解。金が助かったろう。公認争いで杉村に勝った長谷川岳も落ちていた。落ちて当然だが、佐藤ゆかりと小泉秘書だった小野次郎の落選は残念だ。

 中川秀直元幹事長も落選。民主党のなんてことない新人に負けている。風の力は凄い。その後、比例で当選。

 石川で馳浩も負けた。森が比例では当確が出たが小選挙区ではまだ拙戦なのだから馳の負けは当然か。それにしてもすごい。なんだかものすごいものを見ている気がする。痛快を通りこして気味が悪い。その後、馳は比例で当選。

 福井で稲田朋美が勝った。よかった。落とすべき自民党議員は多いが、このひとはいてもらわないと困る。

 和歌山で二階俊博が勝った。落ちて欲しかったのに。和歌山の人間はなにを考えているのだ。いや二階は地元に利益を落としているからこういう選挙では強いのか。これは消えるべき政治家ならぬ政治屋なのだが。

---------------

 深夜、0時半、森喜朗がやっと当確。民主党の新人候補、33歳の女にやっと勝つ。「日を跨いでやっと」と言われていた。でも負けた他の閣僚と比べればとりあえず勝っただけましか。たった4000票の差。森は大物と言われているけど自派から首相を出してキングメーカーなんて言われたが、自身の政治家として中身は薄いものなあ(笑)。

 中川昭一、山崎拓が比例で復活できず。落選。山崎は当然。やっとあの北朝鮮利権派のカスの顔を見なくてすむ。
 北海道の比例重複1位2位は町村武部だった。二人しか当選枠がなかったから中川の4位は落選。これは選挙に弱い町村武部とちがって、あの世界的醜態があったとはいえ中川の地盤は強いから大丈夫という4位だったのだろう。それが裏目に出た。中川一郎からの後援者が見きったのかと思うと感慨深い。町村、武部は比例で復活。

 与謝野、伊吹らも比例で復活とか。伊吹には消えて欲しかったが。

 長崎で久間が落選。比例も無理で消えた。よかった。あんなのは消えて当然だ。破ったのは薬害エイズ問題で話題になった娘。演説はしっかりしている。いい政治家になるかもしれない。
 九州では太田誠一も落ちた。うれしい。あの辺の腐った連中がみな落選するのはまことに目出度い。

 国賊加藤紘一を落として欲しかったが山形の選挙区に民主党が候補を送りこまなかったため楽々と当選。これがいちばん悔しいか。調べてみると、社民党の候補がいたのでそれを推薦したようだ。くだらん。社民党など無視して強烈な小沢ガールズを送りこめば勝てたものを。
 これらの流れは民主党がまさかここまで票を得るとは思わず、社民党や国民新党に気を遣っていたのだろう。単獨で過半数が確実に取れると自信を持てばこんなこともなかったのに。まあ初めてだからいくらマスコミに煽られてもそこまでの自信は持てないか。
 加藤が13万、社民党候補ですら8万もとっているから、民主党が候補を立てて社民党を引っこめれば勝てた。もったいない。

 消えて欲しい自民党議員の多くが消えてうれしい。再編成への布石だ。

---------------

 午前2時、ほぼ確定。自民119、民主307。ちょうど選挙前と逆になった。このあと最後の一議席が決まって民主党が308になった。324ぐらい行くと言われていたのよりは減ったが予想通りの圧勝である。

 国民新党の綿貫が落選と知る。おどろいた。比例のみの立候補である。前回の小泉フィーバーの時でさえ自民党候補を破って強さを見せたのにどういうことだろう。「比例のみ」のいうのがわるかったのか。これではせっかく民主党と連立しても発言権がない。どうするのだ。引退か。
 国民新党はひとり復活したが、綿貫と亀井久興 が負けて一議席減。代表と幹事長が落ちるんじゃどうしようもない。亀井は顔がそっくりの娘が参議院にいる(笑)。
 亀井静香の方は当選。前回自民党を出て、ホリエモンを敵に(笑)、雨の中をずぶ濡れになりながら、べっこう牛のように首を振りつつ歩くパフォーマンスをした亀井が、今度は与党となって帰ってくる。いろいろあらーな。
 いま検索したら綿貫は引退のようだ。78で党を立ちあげたんだから政治家の体力はすさまじい。もっとも綿貫の経営する運送会社トナミ運輸(今は息子が社長)は郵政事業で食っているのだから、いくらなんでも郵政民営化には順えなかった。ポーズとしても。自民党を出ざるを得なかったのだが。

 国民新党と言えば創立メンバーでありながら離党し、その後ふらふらしていた小林興起が、前回刺客として小林を落とした小池百合子へ復讐するため小選挙区からの立候補を止めて民主党応援に廻り、その代わり民主の比例候補にしてもらった。むちゃくちゃだ(笑)。
 でも民主の風に乗って比例で当選。小選挙区で当選した民主候補の隣で万歳をしていた(笑)。いやはやもう浮かんでくることもないと思っていたのがへんなところから浮いてきた。あれがまた与党か(笑)。
 かつての小泉刺客が次々と落選し、小泉に反旗を翻した国民新党も苦戦している中、なんだかよくわからんのが復活してきた。小泉フィーバーにもずいぶんと問題はあったが、今回の民主の風も矛盾だらけだ。

---------------

 深夜の田原総一郎の番組を見ていたら、福島瑞穂がいつもの調子で自民党批判を始め、田原に「だからそれはもういいから。あんたはもう与党なんだから」と言われていた(笑)。文句を言うだけで食ってこられた連中が与党になってどこまでやれるのだろう。見物である。

 北海道の比例代表で新党大地からひとり当選と言えば鈴木宗男なのは見なくてもわかる。でも名簿を見たら2番目に八代英太がいたのでわらった。北海道の比例候補になっているとは。八代と言えば以前、公明党の太田を受からせるためにあの区域で出馬断念した(させられた)のではなかったか。あらためて太田を正面から破った青木愛はすごいな。

---------------

 最終結果。自民119、民主308、公明21、共産9、社民7、国民新3、みんなの党5、新党日本1、新党大地1、無所属6

 新党日本は有田が落ちたから田中のみか。すなおに参院の補欠を受けていればよかったのに、有田も勝てるかもと思ったのだろう。次の参院選にでも出るのか。しかしもう民主党の化けの皮が剥がれてくるからこんな風は二度と吹かないと思うが。
 連立すると決まっているのに社民党も国民新党も議席を減らしている。民主党だけの風だったことがよくわかる。自民党を嫌っても社民党に入れるわけではない。

民主党は定数480のうち308議席を獲得、現行憲法下で実施された衆院選では過去最高となる64.2%の議席占有率となった。これまでの最高は昭和35年の自民党の63.4%で、定数467に対し296議席を占めた。これに次ぐのは平成17年の前回衆院選で296議席を得た自民党の61.7%。
 また、これまでの最多獲得議席は衆参同日選が行われた61年の自民党の300議席。ただ当時の定数は512で、占有率は58.6%にとどまる。
msnサンケイより

 史上最高なのか。すごいね。いかに自民党が嫌われたことか。でも嫌うよな。おれだって入れない。かといって民主党にも入れないが。
 ああそういえば幸福実現党は教祖も落選して議席なしか。供託料だけで12億とか言っていた。宗教は金があるな。

============================================

 総投票数は、民主党は自民党の1.2倍なのに、議席では3.5倍とか。小選挙区の魔力である。いつも勝ってきた自民党が自分達がより強くなるためにと導入した小選挙区が逆に作用した。
 こういう逆転が可能だから小選挙区制度はすばらしいのだと語っている識者もいたがそうだろうか。

 もしも中選挙区制であったなら(もちろん比例なんてくだらないものはない)、今回自民対民主の議席は200対200ぐらいの理想的な二大政党制の数になったろう。トップ当選の座を民主が獨占し国民の民主党への期待は明白になるが、自民党議員もしっかり2位で当選する。私にはこちらの方が健全な気がする。

 が、これだと消えて欲しい自民党の腐った議員もみな当選してしまう。その辺痛し痒しだ。とはいえ比例なんてのがあるからけっきょくは復活している。同じか。

 自民党派閥の領袖がみんな消えろと思ったが、比例でみな復活し完全に消えたのはヤマタクだけだった。

8/31
 藤井裕久が今後のキーパーソンとかでテレビに出まくっている。重要なポストを負かされるのは確実らしい。
 小沢と一緒に自民党を出て新生党結党、その後も新進党、自由党、民主党と行動してきたひとだが、ピークは細川・羽田政権時代の大蔵大臣だった。前回落選して勤めは終った。と思っていた。本人も2005年の落選時には高齢による引退を決意し小沢に報告している。
 あのニセメール事件で辞職、後に自殺した永田により繰りあげ当選となる。にしても単にやっと返り咲いただけだ。
 ところが今回の大勝と、経験不足の若手だらけの民主党の中で貴重な経験者ということから、急にスポットライトを浴びた。報道番組のゲストに呼ばれ、キャスターから新設される国家戦略局(あまりいい名前とは思えない)の局長とか財務大臣とか重要ポストに就くのは必然のように話を振られ、本人もそれはすでに確定の感じで受けている。いやはやどこでまた人間浮かぶのかわからない。それは国民新党の亀井や、そこをやめてふらふらしていた小林興起も同じ。

 ほぼ大勝が確定したあと、テレビに出た小沢は、各局のキャスターが「小沢チルドレン」「小沢ガールズ」の若さ、頼り無さ、「小泉チルドレン」との共通性、今後について訊くと、不快げに顔をしかめ返答せずに一蹴した。最初のテレビ局では「そういう言いかたはマスコミが決めたのものであり」とまだ不快げに応じていたが、次の局からは、「あのね、先程の局でも言ったのですが」と怒鳴り出す寸前ぐらいまで怒っていた。
 それはそういう切り口をするマスコミに対する怒りであり、「小泉チルドレン」と「小沢ガールズ」を一緒にされたくないという矜持でもあろうが、同時にいかに共通しているかという肯定でもあった。たしかに杉村太蔵のようなひどいのはいないと思うが、若いだけ、勢いだけで勝ったのも多く、不安要素は多い。なにしろ115人から308人になったのだ。193人増。復活した元議員も何人かはいようがほとんどは新人である。前職の115人の中の、さらに与党経験者である小沢を始めとする要人の肩に掛かる責任は重い。

 ということを考えれば、いまさらながらの藤井重用は当然となってくる。
 国民新党からも入閣の話があるが、それは連立相手への気遣いと言うより、亀井のような古狸は頼りない出帆には役立つ存在なのかも知れない。

---------------

 藤井と同じくここのところ渡部恒三がテレビに出まくっている。自分と小沢の昔話ばかりして、聴きたいことを応えてくれないのでキャスターが苛立っている(笑)。しゃべるのが遅く、まわりくどいため、キャスターがイライラしているのが見えて笑った。それは作戦とか人柄ではなく、単にじいさんだからだろう。
「鳩山政権を私と小沢君が支えて行く」と大見得を切っているがこのひとにそこまでの力も人望もないだろう。ともあれ最後の最後にいい夢を見たか。

 ところでこの渡部恒三は、何度も何度もあちこちのテレビ局で「鳩山党首」と発言しているが、民主党は「代表」だろう。キャスターの誰もが直さないのが不思議だ。

 小沢が仕切らなければ民主党はどうにもならない。小沢、鳩山、岡田とみな自民党出身である。これらがいなくなり、社会党出身もいなくなり、純粋な民主党育ちが政権を担うようになって初めて民主党だろう。それまで先は長い。



 健全な野党となって自民党がどう立ち直るか、それが興味深い。
 河野太郎が「もっと落ちた方がよかった」と問題発言をしたらしい。つまり「119人当選は多すぎ。もっと(派閥の領袖のような年寄りが)落選して、もっと人数が少ない方が出直すにはよかった」という意味らしい。いわゆる「おまえが言うな」のパターンだが、意見そのものには同感。じいさんたちがみんな落ちて80人ぐらいでの出直しになる方がよかった。とはいえ4年後の選挙ではみな引退するようなひとたちばかりだから、最後のお務めか。自民党若返りのじゃまにならないといいが。



 しかしここで小泉進次郎だから、注目度を考えるとこれまた強運である。自民党当選者に彼のような新鮮な素材が他にいないものだからどこもかしこもカメラを向ける。
 キャスターはみな口を揃えて「野党というどん底からの出発」と言い、彼は「どん底ですから、これからは右上がりです」と応える。その辺のジャニーズ系なんてのはふっとぶほどのいい男だ。すでにもう「新生自民党」の象徴になっている。
 自民党が再生し、将来総理大臣になったとき、「しかしその出発は決して平穏ではありませんでした」と2009年8月30日の映像が使われるのが目に見えるような船出である。

 4年前の小泉フィーバーのような時に当選すると「その他大勢のひとり」になってしまう。ところが今回のような形だと、他に同じ若さの新人議員がいず、テレビ映えする美男であることもあって、大敗自民党なのに、これでもかというぐらいメディアが取りあげてくれる。大勝した民主党には取りあげるべき素材が何人もいる。構成上民主党ばかりとはいかない。自民党も出さねば。自民党には彼しかいない。どの局も彼ばかりだった。寝ている暇もない。そして発言は、あの杉村太蔵が、「2500万円ですよ、昨日までフリーターだったぼくが年収2500万円ですよ、飛行機も電車もグリーン車がただですよ!」「早く料亭に行きたいです」「クルマはBMWがいいです」とはしゃぎまくり、世間の失笑と不興を買ったのとはちがってしっかりしている。誰でも刮目する。世襲という批判があったからそれも良い目に出た。一気に株を上げた。強運である。



 どうでもいいが、杉村太蔵ってこれからどんな人生を送るのだろう。4年前、比例の名簿に応募するという偶然からとんでもない局面を迎えた。これからどんな人生になろうとも、26歳から30歳まで、4年間の国会議員生活という非凡な体験をしたのはしあわせだったのか。それは彼の今後の生活にどんな影響を与えるのだろう。どう考えても、彼がまた北海道から政治家として甦るという想像は出来ないのだが……。

---------------

 颱風の中、押尾学が保釈されてくるのを撮るとかで200人以上の報道陣が待ち構えている。その後はそのニュースと映像の嵐。
 選挙期間中は酒井法子報道の多さに呆れ、その合間を縫って選挙ニュースを見るのに疲れたが、タイミング良く今度は押尾が保釈されてきてまたもその話。

 群馬の八ツ場ダム建設中止のように民主党政権になっての変化が注目されている問題がいくつもある。それらを見たいのに、それと同時に、それと同じ重要さで押尾学が語られる。そのたびにチャンネルを替える。わずらわしい。もっとも世の中には私とは逆に政治には興味がなく押尾ニュースを見たくてチャンネルを替えている人もいよう。ひとそれぞれだ。

---------------

 投票率は69.28%。現在の小選挙区比例代表並立制になってからは最高とのこと。でも三木内閣、大平内閣、中曽根内閣、海部内閣の時に73%行っているんだからそんなに高いとも感じない。まあ制度によってどうちがうのか知らないけれど。熱気がすごかったから75%ぐらい行くのかと思っていた。

9/2  自民党新人議員は5人

 テレ朝のニュースで「先程今回の選挙で自民党新人の当選は小泉進次郎氏ひとりとなっていましたが正しくは5人の間違いでした。お詫びして訂正します」と言っていた。

 今回自民党新人議員と言えば進次郎獨壇場である。しかしその他にも4人いたのだ。テレビが間違えるぐらいだからいかに影が薄いことか。

---------------

 いよいよ来年はヒサモト出馬か!



 ご自慢の組織票も、民主党の追い風の前には、歯が立たなかったのだろうか、それとも―。スペシャルゲストによる応援も虚しく、無念の敗北。小沢一郎が送り込んだ刺客で、秘蔵っ子の青木愛(44)に、あえなく撃沈された太田昭宏・公明党代表(63)だ。

 写真は投票2日前、赤羽駅前で行われた、街頭演説の模様。拳を突き上げて、気炎を吐く久本雅美と、あたかも自身の演説に酔ってとろけたような柴田理恵。
だが、肝心な太田代表ときたら、二人の学会タレントとは対照的に、浮かない顔を見せているではないか。

 まるで、結果を暗示するかのようでさえあるが、案の定、蓋を開ければ、約1万票の差で落選。さらに、比例に重複立候補しなかったため、復活もなければ、代表にして、なんと議員バッジを外すことになってしまったのである。(中略)

 そこで浮上するのは、学会が見放したという陰謀説である。
「必要な人材なら、比例という保険を掛けます。それをしないのは、学会内の一部に、公明党の執行部を取り替えてもいいという勢力が存在するからではないでしょうか」(学会ウォッチャー)
 太田代表が演説の場で見つめていたのは、遠のく永田町の風景だったのかもしれない。
(週刊新潮2009年9月10日選挙特大号より)


---------------

 自分の大切なホームページにこんなバケモノの写真は載せたくないが、まあこれはこれでめったに見られないバケモノ写真と割り切って我慢しよう。
 しかしうれしいなあ、宗教政党の衰頽は。いや、誤解のないように書いておこう、私はたとえ宗教政党でも政策がまともなら否定はしない。公明党にはなにもない。自民党と組んでいたことが不思議だ。政策のあっていない公明党の数を借りたくて、「小選挙区は自民党、比例は公明党」と言ったあたりでもう自民党は死に体だった。

 公明党の政策はむしろ民主党のヒダリに近い。今度は民主党と組むのかな。その方が自然だ。それに対する批判を気にする必要はない。そういう形で今後の政界再編成に繋がって欲しい。自民党が公明党と離れることはありがたい。

============================================

 予想通り、「公明党が民主党に接近」というニュース(笑)

公明党の山口那津男代表は9日、国会内で民主党の鳩山由紀夫代表と会談し、政策の内容次第では民主党中心の連立政権に協力する考えを伝えた。
会談は山口氏の党代表就任に伴うあいさつ回りの一環。公明党は8日の新執行部発足を機に自民党との協力関係の見直しを検討しており、当面は民主党の出方をみながら協力のあり方を探ることになりそうだ。

両者は民主、公明両党の多くの議員が新進党時代に行動をともにしていた経緯を踏まえ「基本的に政策は似ている」との認識で一致。

鳩山氏側が「環境も子育ても年金も言っていることは一緒。一致できるところはやっていきましょう」と水を向けると山口氏は「必要なことだ。党の方向性と合って国民の理解があれば、協力はやぶさかではない」などと応じた。(日本経済新聞)


 9月10日の記事。予測できたことだから笑える。ぜひとも連立し与党になって欲しい(笑)。
9/7
 河野太郎の正論に失笑

 小選挙区で負け、比例で復活した派閥の領袖に河野太郎が正論を吐いていた。
「小選挙区で負けたのだから潔く責任を取り、後輩に道を譲るようであってほしい」と。
 これは当選した議席を若手に譲って欲しいという意味だ。

 正論であるがこのひとが言うと虚しい。父コウノヨウヘイがいるからだ。いやいたからだ。あの父親がまだ引退していなかったら、いくらなんでもこんなことは言えまい。



 肝臓を病んだ父は息子から生体移植をした。「親が子へならともかく、子のものを親が、とは、まるで鬼畜の所業」と厳しく批判したひともいた〝事件〟だ。

 私見を書いておかねばならない。私はこのこと自体を批判する気はない。というのは、私自身、肝臓を病んだ父に自分の臓器を贈る気持ちがあったからだ。六十で肝臓を病んだ父は本人の強い意志による節制もあり、さいわいにして小康状態を保ち九十餘の天命をまっとうした。でも六十の父が緊急を要するとなったら私は躊躇わず自分の臓器を差しだしていた。だから世に評判のわるいこの河野親子のことに関しては批判する気はなく、むしろなにひとつ好きな点のないこの親子に唯一シンパシィを感じた出来事ですらあった。



 事は政治についてだ。コウノヨウヘイは派閥の領袖として、小選挙区で落ち、比例で復活したら、嬉々として当選権を手にするだろう。小選挙区での落選を恥じて後進に道を譲るひとではない。

 コウノヨウヘイが現役で、それをしたとき、息子が声高に他の領袖にもそれを叫んだらまだ様になった。さんざんしがみつき、愚行を連発し、売国奴と非難された父親が引退した後、息子がかっこいいことを言ってもせいぜい失笑だ。

 それにしてもこの息子、「根性の悪いシャケみたいな顔」をしている。
 こんなのが次のニューリーダーと期待される程度にしか自民党には人材がいないのか。
 当面民主党の時代か。

10/8  追悼──中川昭一

2009年10月5日(月)
中川財務大臣泥酔事件私見──クスリの酔い
 2009年2月14日、イタリアのローマで開かれたG7会議。中川昭一財務大臣が「泥酔した状態」で記者会見し、その様子が世界中に配信された。この国辱的映像はどのような理由があったとしても許容されることではない。何度も何度も流されたあの映像。あれを見て彼を支持する人はいまい。今夏の落選も当然だった。そのことを前提としての以下の私見である。



映像を見て即座に「クスリだ」と思った。酒ではない。典型的なクスリによる酩酊である。中川さん自身も風邪薬の影響を口にしていた。

私の体験。学生時代、音楽をやっていた。あるコンサートの日、ゲストとして呼んだジャズ系のパーカッショニストが、開演前にバンドのみんなに錠剤を配った。ごくふつうの白い錠剤。元気が出ると言われ気楽に飲んだ。今もってそれが何だったのか知らない。しばらくして泥酔状態に陥った。酒は一滴も入っていない。コンサートは大失敗に終った。中でもあの中川さんのようになってしまい、まともな演奏が出来なかった私がいちばんひどかった。

父からもらった体質で酒が強かった。大学のサークルの歓迎コンパで初めて飲んだ時から酒豪を自称する先輩よりも強かった。若くてバカだからそれを粋がり量で飲む。失敗談もいくつかあるが量と回数の割には極端にすくない。強いからだ。友人と飲む。日本酒をひとり一升飲んだとする。みんなべろんべろんになる。吐いたり怒鳴ったりたいへんだ。私はならない。自然に介抱役に廻る。そういう流れである。

その私がちいさな白い錠剤一錠であの中川さん状態になった。一晩中ウイスキーやウオトカを飲んでいても乱れない私が一錠とほんの10分で呂律の回らないあの状態になったのだ。怖ろしかった。



その後の数え切れないほどの海外旅行で様々な状況に接したが私はドラッグは一切口にしなかった。もしも誘惑に乗っていたら、意識混濁し、気づいたら身ぐるみ剥がされていた、というようなこともあったろう。そういう例を数多く知っている。そう思えば、あの屈辱的泥酔状態は価値があった。

中川さんは酒豪だ。閣議の日の朝、昨夜の酒がまだ残っていて酒臭いと非難されたこともある。だがどこまで飲めばどうなるか酒好きは知っている。酒で中川さんがああなるにはウイスキーやワインを何時間も掛けて大量に飲まねばなるまい。あのG7会議の前日、そんな時間も場もなかった。本人の言っているように酒はごく少量だったろう。そこに時差や風邪薬の相乗効果であんなことが起きた。

大事な場を控えた政治家として脇が甘い。弁明の餘地はない。だがあれは断じて酒の酔いではない。

2009年10月6日(火)
追悼──中川昭一1──国壊マスゴミ
 今夏の総選挙で自民党が敗れたのは当然だった。流れることなく溜まりすぎて腐った水だ。医学会や農民など長年の熱心な支持者が投げたことが象徴している。河野太郎が言ったように「もっと負けてもよかった」とすら思う。比例で復活した派閥の領袖はみな消えて欲しかった。80人ぐらいまで落ちこめばよかった。もっとも河野に関しては「おまえが言うな」だが。

かといって自民党には復活してもらわないと困る。民主党の獨裁は怖い。自民党獨裁よりよほど怖い。輿石東なんてのが要職にいるのだ。千葉景子なんてのが法務大臣なのだ。寒気がする。なんとも奇矯な寄り合い所帯である。ただし小沢一郎が悲願達成のために手段として選んだのは解る。これからの自浄能力に期待するしかない。あのひとが旧社会党と仲よくやれるはずがない。

能力ある若手が育ち新生自民党が誕生するまでは時間が掛かる。中川昭一は期待できる有能な政治家だった。あの事件により彼の総理の目は消えたとしても、引率者として活躍して欲しいひとだった。なのに父とほぼ同じ齢でこのような最後になると誰が予測したろう。家族のいる自宅で亡くなっただけ今も他殺説が根強い父よりはまだ救われるとしても。



あの「泥酔事件」が起きたとき、ひとりの有力な総理大臣候補が消えた。それでもまだ私は希望を持っていた。一過性の傷として消えるのではないかと。だがこういう時代だ。私があの映像を見せられた回数だけでも数え切れない。ひどいときは一日に10回以上見せられた。いったい何度流されたのだろう。

抗えない。映像の時代にあれだけ繰りかえし流されたら死命を制される。心の襞に擦りこまれる。もしも彼の能力が勝ち政治家として復活しても、したらしただけあの映像を流される。

性的極秘映像が流出したらアイドルのタレント生命は終る。その場合裏で流通するだけだがこの映像は昼日中から堂々と流せる。流す方に国務大臣の醜態批判という大義がある。その大義のなんと醜かったことか。水に落ちた犬を狂ったように叩くがごとく、これでもかこれでもかと繰りかえし流す。お笑い映像として。

もしもそこに「自国の恥」という愛国心のかけらでもあったらあのようなことは出来なかったろう。辻元清美が「わたしは国会議員ではなく国議員です」と言ったように「国マスゴミ」だから出来たことだ。

日本人は死者にやさしい。それは「国壊マスゴミ」でも同じようだ。中川昭一は死ぬことによってやっとあの映像を封じることが出来た。(続く)

2009年10月7日(水)
追悼──中川昭一2──がんばれニッポンイチ!
 次の総理として期待していた中川昭一が世界が注目する場で致命的な醜態を晒した。取り返しのつかない事態を目撃しつつも、それをクスリによる事故と判断した私は彼に対する期待を捨ててはいなかった。

未だ陰謀説もある。それほどの奇態だった。陰謀とまでは行かなくても、周囲のスタッフが「そうなることは解っていたがしらんふりをした無意識の悪意」のようなものは充分考えられる。なら、それも、そういうブレーンしか持ちえなかった彼の責任になる。いずれにせよあのような場に向かう国務大臣として中川の姿勢が甘かったことは否定できない。だが私はまだ政治家中川昭一の能力を買っていた。

しかしそのあと私にとって、あの記者会見よりも衝撃的な事態が出現する。「がんばれぇ、日本一!」だ。

泥酔記者会見の映像が繰りかえし流され、政治のことに興味のない人間までが笑い話にする中、中川は帰国した。針の筵であったろう。

朝のワイドショー。自宅前に群がる報道陣。玄関のドアが開き、国会へ向かおうとする彼が出て来る。クルマに乗りこむまでの僅かな距離。矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

その背後から聞こえてきた女の声。「がんばれえ、がんばれえニッポンイチ、だいじょうぶだよお、がんばれえ!」

何事が起きたのか!? 早朝から駆けつけた熱烈な中川支持者のおばさんなのかと思った。テレビも戸惑っている。

やがてリポーターが「奥さんのようです」と伝える。女房らしい。垣根のあたりにチラリと姿も見える。記者に囲まれている夫が心配でならないらしく、垣根を左右に移動しつつ励ましの声を送っている。それは何度も繰り返された。中川が乗車しクルマが発車すると、やっと安心したように家の中に入った。

ワイドショーのカメラはそこまで捉えていた。当然だ。政治的なことなどどうでもいい単におもしろおかしくあの「ヘロヘロ中川」を追い掛けていたワイドショーだ。口を利かない亭主よりこっちのほうがよほど絵になる。

まるで学校に行きたがらない小学生を励ます過保護母親だった。これが世界2位のGDPを誇る国の55歳の財務大臣と49歳の妻が自宅前で繰り広げる光景か。「あなた、しっかり!」ぐらいでも世間の耳目を集めるだろうに、「だいじょうだよお」と「ニッポンイチ!」には参った。

これも全国中継されている。それをやる女房、やらせる(やってもらっている)亭主。醜態どころの騒ぎではない。泥酔事件の時にもしっかり握り締めていた匙を私は思いきり抛り投げた。だめだこりゃ。(続く)

2009年10月8日(木)
追悼──中川昭一3──「加治隆介の議」のモデル
中川昭一の父中川一郎は北海道出身の初の総理大臣の期待を寄せられていた。タカ派のその主張と豪快な行動発言は"北海のヒグマ"と呼ばれた。
息子中川昭一は東大を出て銀行に勤めるエリートだった。ごつい容姿の父に似ずハンサムだった。不可解な死を遂げた父の地盤を秘書の鈴木宗男が継ぐという。後援会はふたつに割れた。鈴木を嫌う一派に担がれて立候補する。その流れからしてドラマチックだった。日本中の注目を浴びた選挙戦だった。

政治漫画の傑作として名高い「加治隆介の議」の設定に、作者弘兼憲史は中川父子を選んだ。これは当人も認めている。

《与党要職にあった大物政治家の不可解な死。跡を継ごうとする人品骨柄卑しい秘書。ふたつに割れる後援会。一方から後継者として担ぎだされる、それまで政治にはまったく無関心だった東大卒エリート銀行員の息子。悩んだ末の出馬。死んだ政治家の息子と秘書の骨肉の争いとなる選挙戦。》

まさに中川父子そのものである。さすがに舞台は北海道から鹿児島に移してある。加治隆介には父の跡を継ぐ予定の兄がいて父の秘書をしていた。その兄も父と一緒に殺されてしまう。そうして立ち上がった次男だった。
中川の場合は長男だし父の後継は意識して育ったろう。とはいえ首相を狙う地位の父が57歳で急逝し急遽出馬することになるのは想定外だったはずだ。

「島耕作」でサラリーマン漫画に金字塔を打ちたてた弘兼憲史が、それをしばらく休み、次のジャンルとして選んだのが政治だった。綿密な検討の上に選ばれたモデル。中川昭一の政治家人生は弘兼憲史の描きたい世界と一致していた。当面の敵役となる秘書出身の俗物議員のキャラも申し分ない。主人公を支えるブレーンキャラのためにも東大卒が望ましい。すべてにおいて満点である。もっとも加治隆介の妻はヤクザと浮気する悪妻だったから「がんばれぇ、ニッポンイチ!」と声援してくれた中川の方が恵まれていたか。(続く)

2009年10月9日(金)
追悼──中川昭一4──繊細と小心
"北海のヒグマ"と呼ばれたごつい容姿の中川一郎が実は繊細(あるいは小心)な人物であり、悩んだ末の自殺(未だ他殺を噂されている)という結末は、私にとって不思議ではなかった。私は中川一郎のようなごつい顔で、豪放磊落のように言われているが、じつは臆病な目の小心な人物をけっこう知っている。彼もまた臆病そうなちっこい目の持ち主であり豪傑とは感じなかった。
もしも中川が細面のなよなよとした容貌だったなら、同じ発言行動をしても決してそうは呼ばれなかったろう。あれは外見と出身地から来ただけの安易なレッテル貼りである。

中川昭一は父とちがいハンサムだった。"北海のヒグマ"の息子であり、ヒグマの猛々しさをもっていて(願望)、より知的、美男、期待は高まって当然だ。父の盟友・石原慎太郎のような擁護者もいた。父の秘書をしていた平沼赳夫のような兄貴分もいた。人脈的にも万全だった。

天敵の父の元秘書・鈴木宗男は竹下派に属し、政治家としては中川より出世が早かった。だが躓く。離党となる。風は中川の方に吹いてきた。
小泉政権で重用され安倍晋三とともに自民党のニューリーダーとして注目される。
北朝鮮による拉致被害の解決にも熱心だった。
小泉ののち、安倍政権、麻生政権でも中枢を担う。
そのころから「酒がアキレス腱」とは言われていた……。

父は容姿から"北海のヒグマ"と呼ばれたが、じつは繊細な人だった。中川もその血を引いていたのだろう。父は苦労人だった。中川はおぼっちゃんだった。父よりももっと弱かったのか。落選後の落ちこみはたいへんなものだったという。酒に逃げたか。
そして今回の、なんとも残念な結末となった。たまらない気分である。

あの「がんばれえ、ニッポンイチ!」は、妻に叱咤激励される、妻の尻に敷かれている、典型的弱い亭主の姿だった。(続く)

2009年10月9日(金)
追悼──中川昭一5──人材涸渇

私は欧米風の夫婦外交が大嫌いである。日本で最初にそれをやったのは佐藤栄作だった。女房は海外に夫婦で行き、ミニスカートをはいてファーストレディ気どりだった。この女房の名が寛子。数年前、佐藤寛子というグラビアタレントがデビュウした。私が真っ先に思ったのは佐藤栄作夫人だった。ま、今時そんなのもいないのだろうが。

外国訪問時、女房と手を繋いで飛行機のタラップを降りてくる安倍晋三、鳩山由起夫、あの姿はたまらない。女房は一歩引いて夫のあとをついてくるのが日本的美ではないか。まあそれ以前に、なんで外交の場に女房を連れて行かねばならないのかが不可解だ。いやな時代である。

中川昭一は総理大臣になっても女房と手を繋がないと思っていた。そういう男だと思い込んでいた。それがあの「がんばれえ、ニッポンイチ!」である。どれほど落胆したことか。

死を悼む拉致被害者家族のかたが、「涙を流す政治家を初めて見ました」と語っていた。父の位牌の前で涙を流しつつ拉致問題解決を誓ってくれたのだという。いい話だ。だが弱い。政治家は泣いてはならない。

演説しつつ涙を流したら、日本では情に篤い政治家として支持される。だが白人国家では、こういうやつに政治は任せられないと否定的に解釈される。オバマ大統領が核爆弾のボタンを押したら地球はなくなる。人類は消滅する。あのひとはそれだけの力を持っているのだ。そういう権力者にやたら涙を流すようなのになられたらたまったものではないという発想は正しい。私は日本人だからけっこう好きだけど。

中川昭一は心の弱い人だった。それは父譲りだった。それが死を早めた。そう思って諦めるしかない。
言いたい放題書いたが大好きで期待していた人がいなくなった悔しさゆえである。なんとも残念だ。

思えば、「がんばれえ、ニッポンイチ!」で妻に叱咤されるなさけない面を見たのは、諦める意味ではよかったかもしれない。一番期待していた政治家だった。未練が断ちきれた。そうとでも思わないとやっていられない。
自民党の人材不足は深刻である。(完)

10/27 またヒトラー──いつまで続くバカのひとつ覚え

 自民党の谷垣禎一総裁は26日、鳩山首相の所信表明演説の際、衆院本会議場の民主党新人議員らが演説の節目節目で、一斉に拍手とともに「そうだ!」などと歓声をあげたことについて、「ヒトラー・ユーゲント(ナチス党の青少年組織)がヒトラーの演説に賛成しているような印象を受けた」と皮肉った。国会内で記者団に語った。

 大島理森幹事長も同日の記者会見で、「平成17年の郵政選挙後、小泉純一郎首相(当時)に若い自民党議員が拍手していたが、それ以上だった」と語った。

 自民党は昨年8月、麻生太郎幹事長(当時)が勢力を増す民主党をナチス台頭になぞらえ、その後、釈明した経緯がある。

http://sankei.jp.msn.com/



------------------------------

 こういうバカのひとつ覚えはいつまで続くのだろう。相手を否定し同意を勝ちとろうとしたらなんでもかんでもヒトラーだ。しみじみうんざりする。救いは谷垣なんぞという何も期待していなかったひとの発言であることだ。これが新生自民党のリーダーと期待していた政治家の発言だったらもっと落ちこんだ。もっともそんなひとはいないが。それがいちばんかなしいか。



「バカの壁」の養老孟司が喫煙者である自分を擁護するために「ヒトラーとムッソリーニは禁煙主義。ルーズベルトとチャーチルは愛煙家」と得意気に語ったことがある。これまた自分のヤニ中毒をヒトラーとムッソリーニへの嫌悪感(=勝利国英米への好感)でごまかそうとしたものだ。みっともない。「バカの壁」なんてえリッパなことを書くひとが自分のバカの壁を見せている。そういう事実(ヒトラーはタバコ嫌いであり菜食好きだったと言われている)を知っていても、それを言っちゃあ自分の「バカの壁」になると我慢するのがおとこだ。



 ヒトラーのナチスにはドイツ国民に対する数数の善政もあった。あたりまえだ。だからこそ国民に熱狂的に支持された。それがまたあの時代、他国にとっての悪政、侵略になるのも自明だ。政治が八方美人になれるはずがない。それら全体を無視して「どうしようもない悪=ヒトラー」をバカのひとつ覚えで連発する政治家はなんとかならんのか。ユダヤの金が世界を支配している時代だから、そういう視点からの阿りならまだわかるのだが、これらはそれですらなく、ごく単純にバカのひとつ覚え、条件反射、それ以外にことばを知らない、だろう。

 ヒトラーを擁護しているのではない。政治家の言語センスとしてあまりに貧相だと言っているのだ。自民党獨裁時代、さんざん野党に言われてきた。だからこそ下野しようとも、あのバカのひとつ覚えだけは言わない、という意地はないのだろうか。

 ないのだろうね、それどころか民主党の熱狂をヒトラーに喩え「よおし、ワンポイントゲット!」と得意気なようだ。それが自民党総裁。なさけない。

 逆に言うと、「見事な弱小野党根性」と言える。



 ホームページを始めたころ、私の意見に反撥した見知らぬ左翼教師が「まるで大政翼賛会だ」と書きこんできたことがあった。これまたバカのひとつ覚えである。「大政翼賛会=言論統制の暗黒時代」と言いたかったのだろう。さすが日教組だ。友人知人ほんの30人ほどでひっそりやっている個人ホームページにかってにやって来てそういうことを書きこんでくることも異常だが、それ以前にそれは「旅先での飯の食いかた」に関するどうでもいい話だった。私の書いた旅先での飯の食いかたに関する意見が気に入らないとイチャモンをつけてきて、それに読者の誰もが賛同しないのでヒステリーを起こし、まるでここは大政翼賛会だ、おれはもうここには来ないと、かってに来てかってに去っていった(笑)。他者を否定し、味方を得るのに、そういう言辞が効果的だと思っている。バカとしか言いようがない。なんとも貧しい言語感覚だ。大政翼賛会がどのようなものであるか日教組のように詳しくはないが、もしもそれが彼の言うような力による言論弾圧であるとするなら、見知らぬ他人の旅先での飯の食いかたに関する意見が気に入らないと潰しに来る彼こそ、まさにそれだろう。バカは自分のその矛盾にすら気づかない。



 サヨクは敗戦までの昭和をすべて暗黒の時代だと否定する。そんなことがあるはずもない。すべてが善で明の時代などないように、すべてが悪で真っ暗な時代もないのである。

 いや「真っ暗な時代」はあるかもしれない。たとえばウガンダのアミン大統領の時代。あのときに光はあったのか。カンボジアのポルポトの時代、中共の毛沢東の文化大革命、あの虐殺の時代に光はあったのか。

 私はあったと思う。たとえばアミンは左派政権に対する西側からの刺客でありまともな政治家ではなかった。ただの権力亡者であり虐殺者だ。だが彼ですら軍事クーデターに成功したときは、一部のひとにとって、これで赤い国にならずにすむという一条の光だったろう。ほんの一瞬だったにせよ。政治とはそういうものだ。毛沢東の文化大革命など、勉強すればするほど積みかさねられた貴重な文化の破壊であり文人への虐待であると、怒りと共に憎しみすら沸いてくるが、あれにでも光の部分はあったのだ。人類の歴史とはそういうものであり、そういうものでしかない。



 日本の戦前はそれらとは比較にならない。敗戦までの昭和には文化があった。昭和19年まではネオンも灯っていた。サヨクはなぜその20年を無理矢理真っ暗にしてしまうのだろう。体力的に勝てるはずのない戦争に猪突してしまったのはあまりに愚かだが、あちらがそうせざるを得ないように仕向けてきていたのも事実だ。敗戦という結果だけからそこに到る昭和を全否定することは、これまた彼らの言葉を使えば、歴史認識に対する「大政翼賛会」であり「ヒトラー」である。



と、すこし話が拡がりすぎてしまったが、ともあれ与党野党を問わず「他者を否定するのにヒトラーを連発する政治家は信用できない」と言える。信用できないとかではなく、もっと明確に「言語センスのないアホ」と規定しておこう。

============================================

またヒトラー──【附記】禁煙話 10/29

 もう何度も書いてきているテーマなので、しばらく前にも同じようなことがあったなあと調べたら、2年前の禁煙ネタにこんなことを書いていた。2007年5月5日の私のホームページの文章である。禁煙の強制はヒットラーだという意見。笑える。バカは右も左もヤニ中毒もみな同じ発想をするらしい。


 気に入らないものはヒットラー


 ヒトラー以上に殺戮している毛沢東やスターリンもたとえとして出すべきと思うのだが、それだと現存している中共やロシアに気を遣う。その点、どこからも文句の来ないヒトラーは安心だ。という発想もなさけない。腰抜けだ。

「自分の考えと違うヤツは殺す」という点で、毛沢東やスターリンはヒトラーの何倍もひとを殺している。あ、もちろん戦争でじゃないよ。粛清という名の同胞殺しの話。

 薬物中毒であることを居直るのだからヒトラーの名など関係あるまい。好きな物は好きでいい。私は、こちらに迷惑さえ掛けなければタバコ、ヘロイン、コカイン、かってにやってくれ、と思っている。好きだから喫う。それでいいのだ。てめーのヤニ中毒をヒトラーの名を騙って正当化しようとするこの種の発想は醜い。


inserted by FC2 system