2004年4.5.6月下半期
4/8 イラクで邦人三人拘束──はじまり

 午後8時50分、「イラクで邦人3人拘束」のニュース速報。NHKに切り替えて食い入るように見る。こういう形で来たか。
 こういう事件が起きるのは必定だった。それが派遣されている自衛隊員の死で来るか、国内での爆破事件で来るか、どんな形かと思っていたら、現地に出かけているバカを捕まえるというこの形になった。テロ組織が送ってきた短い映像に、パスポートのアップとともに「週刊朝日」の身分証が写った。そういうやつらか。瞬時に納得する。
 ひとりは週刊朝日の契約カメラマンである。ひとりはイラクでボランティアとかをやっている前々から自衛隊派遣に反対だった女である。もうひとりは高校を出たばかりの反戦運動をやっていたガキである。今回イラクに行って絵本を出すつもりだった。2ちゃんねるの思想版では前から有名なバカガキだった。この思想を同じくする三人が一緒に行動していて捕まった。ほんとに捕まったのか。自作自演じゃないのか。
 急いでThinkPadに短文を書いて内輪掲示板に意見を書き込む。時刻は9時半か。こういうとき掲示板は日附が刻まれるのでありがたい。私としてはこのニュースを知ったときの自分の気持ちをリアルタイムで書いておきたかった。あとからならなんとでも書ける。後に不明を詫びるようなことになろうとも知っただけの事実で感じたことを書いておこうと思った。
 本当は「未だ戦場の国に出かけたのだから、こうなる覚悟は出来ていたろう。死んでください」と書きたかったが自重した。この自重はどっちの目に出るだろう。

「人間の盾」だったか、目立ち根性から愚かな行動をするバカな日本人がいた。バカとは、現実が理解できず、自分たちの知っているだけの世界、渋谷や六本木の延長として戦場を捉えている感覚だ。開戦前、売れない役者志望の女がそれをやるのだとイラクにわたるとき、TBSはこのバカ女を英雄扱いしてドキュメントもどきを流した。私はしっかりそれを見たが、なにも考えていないまったくのバカ女だった。面からしてバカだった。平和ボケした国のバカがファッションとして戦争をとらえている。案の定、戦争が始まったら真っ先に非難し警備陣に迷惑をかけていた。こんなバカは爆弾を落として皆殺しにしろと思ったのものだった。あのバカ女はいま何をやっているのだろう。同じくアサヒシンブンが「私の彼を戦場に送らないで」というバカ女を仕立て、投書欄に投稿させ、札幌で街頭署名運動をさせてそれをテレ朝がニューステで流すってヤラセもあった。

 今回の三人も、カメラマンは戦場に行く危険と引き替えに高額ギャラをもらうのだら拘束され殺される危険は覚悟の上だろうし、他の二人も、国から退避勧告が為され毎日戦死者が報じられている国へ、それだけの思想と覚悟を持って出かけた行動の結果はずである。家族もそれは納得しているだろう。日本もまたそれだけの覚悟を持って自衛隊を派遣した。こんなことごときで引くわけには行かない。こんなことで国家が派遣した軍隊を引き上げていたらどこへ出かけようと敵の思うままに行動させられることになる。
 さっさと殺されてくれと思う。そうしてまたあちら側も、無惨な焼けこげ死体を見せつけてもらいたい。そのことでファッションとしての反戦からやっと目覚めるバカ日本人が大勢いることだろう。断じて引いてはならない。

 イラクで邦人3人拘束、その後
 昨夜は明け方までこのニュースを見ていた。といってもべつに新しいものはないから「新情報が入り次第お伝えします」とテロップの出たNHKをつけていただけ。
 朝になると早速各局の姿勢が出て笑える。TBSやテレ朝は「人の命は地球よりも重い。すぐに自衛隊を引き上げるべき」というのを「街の意見」として連発する。こんなのは街の意見として自分たち好みのものだけを選択すればいいわけだ。同じ日テレのものの中に「なんでこんな時期にイラクに行ったんでしょうかね」という主婦の意見があって救われた。
 民主党のオカダが「こうなったのもすべて小泉首相の責任」と言っている。そうか? こういう退避勧告の出ている国に自己満足で出かけて敵に拘束される連中の存在まで首相の責任か。むしろこういうのを生み出している民主党の責任のほうが重いと思うぞ。
 三人の家族が上京し、涙ながらに国民の皆さんのお力で助けてくださいと外務省に押しかけて言う。今更国民の皆さんになんか頼るなら最初からこんな軽薄な行動を諫めていろ。息子でも娘でも「信念を持って出かけましたので、こうなる覚悟はしていました」ぐらい言えんのか。やはりバカの家族は同じような連中だと納得する。アサヒの契約カメラマンの弟は「運動神経抜群の優しい兄でした」って、スター気取りで思い出語ってんじゃねえ!


 イラクで邦人3人拘束、その後A
 夜のニュースショーに立て続けに三人の家族が出演。日テレとTBS(チクシ)に同時に出ていた。チクシのほうが生だったらしい。
 高校生でNGOを作っていたつっぱりガキは日教組教員の息子とわかる。やっぱり。「出来ることなら代わってやりたい」って、最初からガキをいかせんじゃねえ! おまえらが作った結果だ。母親を見ていたら反吐が出そうになった。
 ボランティアネーチャンには坊主頭の妹が出てきて勘違い暴論連発。
「きょうは一日中こういうことで行動していたのでテレビを見ていなかった。いま初めてきょうの流れを知った。事件がわかって数時間後にすでに『撤退はしない』と発言があったことを知った。信じられない。国民の命をなんだと思っているのか。国には責任をとってもらいたい」。
 それをすべき時だから「テロには屈せず撤退はしない」と明確な意志を国は表明した。まずその前にテメーらの身勝手を詫びろ。おまえも今から行って捕まれ。
 意外だったのはアサヒの契約カメラマンが元自衛隊員で家族も常識的な発言をしていたこと。ここがいちばんまともだった。

 何を勘違いしているのか北朝鮮拉致被害者家族と同じ感覚で発言している。まったく違うぞ。無垢の民が暴力によっていきなり拉致されたのと、危ないから行くのはやめなさい、行ってはならないと注意しているのに英雄気取りで渡航し拘束されたバカ共だ。それこそ雲泥の差がある。すると対応する家族もまた雲泥の差があるからこういうのはよくできたものである。

 まさにこのときとばかりチクシなんぞ全面的擁護論。敵が北朝鮮の時にはあちらの肩を持つような発言していた狂気のサヨクが水を得た魚状態。むろん表面はしわくちゃ顔をしかつめらしく装ってはいるが内心狂喜が見え見え。「チクシテツヤ妄言集」にあったが息子が金持ちお父様の金使いまくりのバカらしい。カンの息子といい子は親を映す。

 イラクで邦人3人拘束、その後
B
 解放されるということになったというのだが、どうにもその声明文がヘンだ。だいたいがアメリカにケンカを売るならともかく日本のことばかり言っている。どう考えても日本人が絡んでいる=自作自演としか思えない。

 夕方、土浦のPCパーツショップに行く。そこに置いてあったADSLデモ用パソコンでこのニュースを覗いて歩く。特別なことをしなくてもデフォルトのYahooがこれの特集だった。今回の自作自演疑惑もインターネットが普及していなかったらこんなに早くは広まらなかったろう。私はネットとは関係なくそう思ったのだが、同じ意見を言ってくれる大勢がいなかったら自分の妄想かと内に秘めたままだった。

 自作自演かどうかはともかく、拘束された三人の家族はおかしい。特に二組は。
 タカトーとかの坊主頭妹は本性丸出しで暴言を連発している。そのことで彼らの愚かさが日本に知れ渡ればと冷たい視線で見ている。
4/11
 イラクで邦人3人拘束、その後C
 朝7時半から「報道2001」。民主党が「撤退する必要はない」と言ったとかでゲストがみな民主党を褒める。オカダがあの能面のような顔をゆがませ面はゆい顔をしている(笑)。
 解放するという声明文が誤字脱字だらけであることを識者が指摘。広島長崎の綴りも間違っているとか。最初の犯行声明文はしっかりしていたので同一人物が書いたものではないだろうという。

 10時からテレ朝の「サンプロ」。
 イマイというガキの日教組おやじは、無事帰ってきてまた行きたいと言われたら、との問いに「自分とは考えが違い、行ってほしくないと思っても、彼の意思を尊重する」と気違い意見。テメーの子育てが間違って日本中に迷惑をかけている実感が全くない。こんなのに教わる子供がかわいそうだ。
 しかし考えようによっては、まともじゃないと思う奴らが、親兄弟もまともじゃなかったし、好きな人たちはこの程度のことに動ぜず、堂々としているし、その点ではストレスはたまらず平穏な時間である。

 父母もまた私と同じ意見だし、産經がこちらの思うことをすべて書いてくれている。アサヒなんぞ読んでいたらたいへんだった。

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 さすがニッカンはアサヒ系──冷たい小泉大合唱
 GTなのでサンスポと共にひさしぶりにニッカンスポーツを買った。人の予想を読むのは楽しい。参考にはしない。好きではない人が自分と同じ予想をしていると萎え、そうじゃないと燃え立つ。これはこれで大レースの前の定番である。そういえば昨日はこれまたひさしぶりに日刊ゲンダイを買った。塩崎さんの「止まり木ブルース」が読みたかったからだ。『日刊ゲンダイ』は無料のメルマガを取っている。いつも見出しを読むだけで腹立っていて読まない(笑)。精神衛生に悪いので解約しよう。

 そのニッカンスポーツが、社会面で「小泉 冷たい」と大きな活字で大合唱。拘束された三人の家族が首相官邸に押しかけたのに会わなかったからだとか。人情のない最低の首相だと鬼の首でも取ったよう。
 あんなのにいちいち会っていられるかい。会ってもなんの意味もない。ニッカンですらこうだからきょうのアサヒなんかすごかったんだろうな。おおはしゃぎで。
 関わり合いたくないので詳しくは知らないが、一部のネットニュースで、「アサヒがあの契約記者を当社とは無関係と冷たくした」って話を見かけた。つまりあそこまで愚かなことには巻き込まれたくない、ということらしい。私からするとアサヒに写真を買ってもらおうとした時点であの男は終りだ。

 靖國参拝に関する強気(正当な)発言を始め小泉さん、かなり我を出してきて小気味いい。もう三年やったし、長くても次の任期で終りだからいつまでもこそこそしてられるかいって心境なのだろう。ほんとに老けたもんなあ。いかに首相が激務かよくわかる。
 その中に「自衛隊イラク派遣反対署名5000名だかを集めて首相に会いたいと上京してきた九州の高校生を相手にしなかった。さらにはああいう子供が育つ教育をするのは考えもんだと発言した」ってのがあった。あれはわたし的にはよくぞ言ったの大拍手である。

 安倍幹事長は小泉さんの評を聞かれて「とにかくブレない人」と言った。
 パフォーマンス好きだと言われる。ロック歌手に会ったりオペラを鑑賞したり、ミルコとまで会ったりする。あのときのミルコの緊張した、それでいて大役を果たした誇り高い顔は忘れられない。なにしろクロアチアなんて人工480万人の小国だ。じゃあそういう世間受けするようなことはなんでもやるかというとそうでもない。今までの常識ならそういう高校生と会い、署名を受け取り、それらしきことを言い、そっち方面の人気も取るのが常だった。「高校生」であり「署名運動」であり「わざわざ会いに来た」とアサヒや社民党の好きな要素がてんこ盛りなのである。それこそパフォーマンス好きなら自分の人気を盛り上げるのに利用してもおかしくない。首相官邸で彼らと握手し、パシャパシャと写真を撮られ、「彼ら、若い人の気持ちを真摯に受け止め、イラク平和というものを真剣に考えたいと思います」とかなんとかいってだ。ガキのほうにも悪影響が出る。スター気取りだ。「思ったよりもやさしい人でした。首相はわかってくれたと思います」なんて言い、アサヒ的プロ市民の道を歩む。これぞマイナスの最悪パフォーマンスになる。しかしそうじゃない。門前払い以前。相手にしない。さらには追い討ちで「ああいう教育をする人たちがいるのは困る」とまで言い切る。痛快である。見事にブレていない。
4/12
 朝5時に寝て11時に起床。イラク拘束問題を見ようとテレ朝を点ける。あいかわらずあの三人の家族がわけのわからんことを言っている。
 しかしきょうは明確な違いがあった。それはあの高校を出たばかりのガキの親のサヨク教師もタカトーの坊主頭妹も懸命に「日本中の、世界中のみなさんにご迷惑をかけた。心から申し訳ないと思っている」を連発するのである。自分たちを正義の味方と勘違いした高飛車発言をさんざん叩かれた末の反省か、家族を助けるために今は腰を低くすべきと方針転換したのか知らないが、あの「政府の責任を追及する」「一分一秒を争うんです!」「人の命がかかってるんですよ!」と喚いていた坊主頭妹が、しおらしく「先ほども拘束された当時の映像を見て、それは今思ったことではなく初めて見たときから思っていたことですが、本当に皆様にご迷惑をかけてたいへんなことをしてしまい、申し訳ないと思っています」と、先日とはうってかわった態度なのはなんとも奇妙だった。まあどんなに態度を変えようとすでに奴らは本性を見せてしまった後なので、こちらに訴えるものはなにもなかったが。
4/14  イラク拘束事件──邦人三人救出
 午後8時45分速報が流れる。
 マスコミに感想を聞かれたイマイというガキの兄の弁。
「この気持ちは当事者になってみないとわからない」
 いったい何様だ。選民のつもりか。
 まず姉に何を言いたいかと問われたタカトー弟の弁。
「謝れって言いたいです」
 おっ、すこしはましななことを言うかと思った。すると。
「イラクの子供たちに謝れって。おまえがいなくなったらいちばん困るのはイラクの子供たちだろうって」
 と感極まって自分のことばに酔う。おいおい。
 謝るのはイラクの子供たちですか。おかしいわ、やっぱりこの人たち。人間としてたいせつななにかが缺けてしまっている。
 こいつらこのあとも必ず問題を起こす。

 TBSの街頭インタヴュウでは、「よかったですね」と言ったメガネの女(夫婦連れ)が、
「でもこれでまた小泉さん、救われたみたいで、そこが残念です」
 これは野党のどこを支持しているのか知らないが、「小泉政権打倒のために人質は死んでくれたらよかった」と言ってるんだよな(笑)。多くのインタヴュウの中からこういうのを選ぶとTBSの本音が見える。
4/16  イラク拘束事件──報道の自由
 TBSチクシのショーでジャーナリストの集いを流していた。ヒゲのジャーナリストが大見得を切る。自分たちは報道するのが使命であるから渡航自粛とか退避勧告とか政府が口を出してくることには断固反対する、なにを言われようとこれからもイラクに行く、というものだった。
 それはその通りであり、報道のためにおおいにがんばってほしいが、問題は捕まったときである。報道の自由のためにイラクに行くのであり、もしも拘束され殺されることになっても一切日本政府には迷惑はかけない、というのなら文句を言う人はあるまい。

 昨日から行方不明のフリージャーナリスト(元信濃毎日新聞)は「人間の盾」でイラクに行った経験者だ。信濃毎日ってのはよく問題を起こしてくれる。
 フセイン時代の「人間の盾」で歓迎されたことが、この種の連中の渡航を煽っていると産經にあった。フセインとしては世界各国から集まってきて自分の国に味方してくれる連中だから大歓迎したしヴィザ取得も容易だった。空港では拍手で迎えられた。このときの昂揚が忘れられないのだそうな。まあたしかに自己陶酔しやすいシチュエーションではある。
 今は情況が違う。でもそれはそれでいい。好き勝手にやってくれ。問題は彼らの自覚と国の姿勢だ。ドイツやフランスは「人間の盾」に出かける自国民を保護する対象から外した。この辺が毎度あちらはおとなの国だと思う。行動するのは自由だ、でも責任はあなたがとってね、と突き放す。個人主義の熟している国である。
 一方「白線の内側までお下がりください」「雨の日でカサの忘れ物が増えております」と面倒を見、シートベルトを締めてないといけないよと取り締まる国では、「人間の盾」で出かけたのに危なくなったから助けてくれと大使館にすがってきたオロカモノを多大な税金をかけて救ったりしている。

 今回救われた三人(どうにもいまだに釈然としないが)がまたイラクに出かけようと、フリージャーナリスト、フリーカメラマンがイラクに行こうと、それは自由だし大いにやればいい。その代わり拘束されたり殺されたりしても国には迷惑をかけるなということだ。
 いま日本政府のやるべきことは、今後二度とこんな迷惑をかけられないように力づくで渡航を禁止するのではなく、自由に渡航させ、その代わり何事が起きようと関知しないというドイツ、フランス的態度をとることであろう。

 雪山で遭難し救助隊が組まれたら、後々救助されたものがその費用を負担する。それが原則だ。また電車に飛び込み自殺をしたら、遺族はそのことによって生じた多額の損害賠償をせねばならない。
 今回この三人のために計算できるだけでも数億の税金が使われている。根回しに使った裏金はそれどころではないようだ。その費用を請求しろという意見がある。正しいことである。13回にも及ぶ退避勧告を無視して出かけ、しかも国策である自衛隊派遣に反対を叫び、捕まったら助けてくれで何億もの支出ではやっていられない。選挙前の時期であり自民党も聞こえのいいことだけを言いたいだろうが、小泉首相、麻生太郎を始め、しっかりとその辺に筋を通した意見を言っていて気分がいい。今後どう動くか注目である。
4/21  イラク人質拘束事件
 現在朝の五時。今「イラクでの喉元にナイフを当てられた恐怖のシーンは人質と犯人が協力して作った演出」との報がなされた。あのシーンの前に演出を打ち合わせる部分が収録されているという。テレビ、新聞も一斉に報道している。さもありなん。
 あのヴィデオをもっと早く流すべきだったというアサヒ的な意見があった。ナイフを喉元に押しつけられて恐怖に顔を引きつらせるイマイ、泣き叫ぶタカトーの映像を流せば世間の反応もちがったものになったろうと。それを流さなかったから世間は家族を非難したのだ、あれは政府の卑怯なやりかただと。
 私はあの映像を初めて見たとき、イマイはまったく怖がっていないし、タカトーは学芸会並みの演技だし、こりゃヤラセだわとすぐに思った。(きょう発売になった『週刊新潮』では、かつて同じような体験をした高山正之さんが、首を切られる恐怖で首が引っ込んでしまった。一目見て、なんであんなに首が伸びているんだと思ったと書いている。)
 今は逆の意味で「流しておけばよかったのに」と思う。あれを見て同情したヒトはヤラセとわかって怒りを新たにするだろう。そんなヒトの目を覚ます効果があった。あれを流して、アサヒやゲンダイ等に思いっきり盛り上がらせたほうが今の結果に衝撃があった。自粛が悔やまれる。ネットのやりとりでも、自作自演を主張する連中に、いったいどこで見たのか(そりゃ蛇の道は蛇だからね)「あんたらもあの恐怖の映像を見たらそんなことはいえなくなる」との反論があった。あれを見ればよけいに言えたのに。

 消えてしまった三日間で最も残念なのは、リアルタイムで書き込んだこの事件に関する文章が消えてしまったことだ。こういうのは事件の進行とともに書き込み、ときには勘違いしたり勇み足をしたりするから意味がある。それはあとで反省し謝ればいい。今回の場合、それはまったくなかった。事件が起きた4月8日、ニュース速報が流れたのが8時45分。そのすぐあとに掲示板に自分の意見を書き込んでおいたのは自分への証拠として我ながらよくやった。
 私は事実をとんでもなくねじくれて解釈するセンスも能力(まったく能力としか言いようのないスゴい解釈をする人がいる)もない。事件の裏側を洞察するだけの知識もない。だからあんなことをしたら赤っ恥をかいて冷や汗三斗の可能性がある。よってなるべくやらないようにしている。しかしあれはどう考えてもあまりに愚か、あまりに見え見えの事件だった。

 これまた予測されたように、帰国したら身体的疲れと精神不安定を理由に引っ込んでしまった。出てこられるはずがない。イマイの解放されたときの「おれ今、(服装が)すごい汚ネーんじゃない」とのくつろいだ言いかた、コオリヤマのへらへらしながらの、「撮るのが仕事なのになあ、まだ撮ってねえよ」。タカトーの目隠しをされていても恐怖感がなく友達に語りかけるようなへたな英語。あれが人質に取られていた奴らの態度か。それがなんで帰国したとたん急に疲れて精神病になる。今頃は共産党系の人権派弁護士と記者会見の草稿を練っているころだろう。

 消えてしまった部分に書いてあったことを以下の部分のみ再録。
>父隆志さん(54)は、今井さんが平和を訴える絵本づくりのためにイラクに向かったことを説明し、「親ばかだが、考えていることは18歳とは思っていない。
 さすがあの「目がイッチャッテル」イマイの親父である。これに対して「たしかに18歳ではない。小学生レヴェルだ」との皮肉な意見があった。同意。高校を出たばかりのイマイの旅費はこの親が出している。親がかりで作った迷惑である。

>イラクに入国したことへの自己責任を問う声があることについて、睦雄さんは「危険な国には人を行かせない措置の徹底が必要ではないか。私も妻も退避勧告が出ていると知らなかった。もし知っていたら相当強く止めた」と述べ、政府の渡航規制に関する対応に不満ものぞかせた。
 タカトーの親父、71歳の居直り意見。これまたさすがあの娘の親父だけあって狂っている。あれだけ退避勧告のでているイラク、危険地帯に出かけるバカ娘に対する自分たちの無知と非常識を棚に上げ、政府への抗議にすり替えている。といってさすがにここまで狂った意見をまともなマスコミは載せない。もちろんアサヒである。私としては、もっともっと大々的にこの親父らの意見を紹介したほうがいいと思う。誰がまともかは世間が判じることだ。
 これはいわゆる「白線の内側にお下がりください」をうるさい、よけいなお世話だと言いつつ、放送がなくなり落ちて死んだら、あの放送さえあれば死ぬことはなかった、なぜ注意してくれなかったのか鉄道会社にかみつく感覚と同じである。だからあの放送もなくならない。甘やかし日本人の典型である。こういう親がいるからああいう子が育つ。
 台湾の国旗 
 《千妻一遇──云南妻話》を書いていて、にぎやかしに中国や日本の項目に国旗を入れた。日本、中国、タイの国旗は以前に使ったのですでにファイルとしてハードディスクに入っていた。ついでに台湾の項目に国旗を入れようとして素材を探す。「世界の国旗」が入っているCD附き素材本は記憶していた。
 ところが、である。地域別に分けてあるその本の中の「アジア各国」に台湾がないのだ。この種のものはいくつも持っているので調べてみたがその他の素材集にもない。不自然である。
 中国が台湾を認めていないとか、国連でどうのこうのなんてことが関係あるのか。でもそれとはべつに身近な国として交友があり、国として確実に存在している。国旗もある。アフリカの聞いたこともない小国の国旗まで掲載しているのにあえて台湾を仲間外れにしているのだ。呆れた。腹が立った。探している国旗がないからではない。そういうことをする出版社の紋切り型の姿勢にである。だいたいが世界の国旗をデザインして素材集に入れるとき、台湾のことに思い至らなかったのであろうか。義憤に駆られるというのはこういうときに使うのだろう。意地でも探してきて入れてやると、現在パソコン接続がうまくいってなく不自由しているネットになんとかしてつなぐ。さいわいにもネット世界ではすぐに見つかった。ありがたい。
 こんな形の意地悪があるとは知らなかった。いや意地悪じゃなくて不手際とか無配慮というべきか。以前アスキーの出版物が自社の歴史を振り返る記事で、「昭和天皇死去」と書いていたことが引っかかった。自分たちの好きな人物には「逝去」と使ったりするのにだ。素材「世界の国旗」に台湾がなかったのは無智なスタッフによる単なる不手際と思いたい。まさか中国様が認めていないから載せるわけにはゆかないとかそこまでアカいとは思いたくないのだが。
 台湾の国旗はこれ
4/22  思想と文学──直感は正しい
 タカハシゲンイチローという作家が嫌いだった。と言って読んでもいない。読む気にもならない。読んでもきっとおもしろくない。直感である。
 小泉政権になってから作家がしゃべるようになった。私にとってこのことも小泉さんの価値になる。たとえば決してそんなことはしゃべらないように思われていた小説作りの頑固職人のようなタカムラカオルが見事にサヨクの意見を言うようになった。このタカハシもそう。アサヒシンパがはっきりした。先日のアサヒにタカハシは「あの三人のかたがた(人質ね)がイラクに果たした功績は自衛隊の何倍もある」と擁護論を書きまくっていた。思想丸出しである。あの三人がイラクに果たした功績が自衛隊の何倍もあるって……。絶句。

 好きだった人を嫌いになるのはつらいものである。ただこのつらさとは、その人と別れることよりも、自分の眼力のなさに対する怒りなのだと思う。私の場合はシーナマコトを体育会系の人と信じていたから彼が「週刊 金曜日」なのだと知ったときは悔しかった。それぐらいか。あとはまずない。だいたいタカハシのようにどうにも好きになれないやつがやっぱり嫌いで正解、というパターンだ。
 この作家の思想と作品というのは読者にとってその違いを容認できることなのだろうか。私はオオエケンザブローをかなりの量読んだが(読んでいないと嗤われる時代だった)どうにも好きになれなかった。今は好きになれなかった若造の自分を褒めてやりたい気分である。
 高島俊男さんはオオエについてどう思うかという読者の質問に、「どう思うもなにも一冊も読んでいないので」と答えていた。あれほどの読書家が読まないのだから高島さんも自分とは通じないと感じるものは読まないのだろう。以前こういう話を競馬評論家の連中と話したことがあって、そのときは彼らが強硬に「思想と作品は違う」とオオエを褒め称えたので黙ったのだが。
 ともあれこれでだいぶすっきりした。
4/23  イラク人質解放問題──日本人は変ったのか? 
 アサヒが、「ペルー人質解放の時には諸手をあげてその解放を喜んだ日本人が、同じ解放なのにイラクの場合は解放された三人を祝福するどころか誹謗中傷を浴びせた。こんなにも日本人は冷たい国民に変ってしまった。それもこれは政治が……」という論調を取っていた。

 日本人は変っていない。ペルーの時はいきなりのテロリストの襲撃だった。テロに屈しないペルー政府は強行突破をはかった。全員死亡の危険もあった。無事の解放をすなおに喜んだ。その中でも、タバコぷかぷかで非礼な会見をしたアオキ大使には非難が殺到した。
 今回の場合はまったく違う。そもそもアサヒやゲンダイは「最初に国民からの非難ありき」で押し通そうとしているが、いくら何でもそれは無理だ。最初に「度重なる退避勧告を無視して無理矢理渡航した三人ありき」であり、「政府の責任を追及してなじる勘違い家族」がいたのだ。その映像が朝から晩まで流れたのだ。それに対して国民は反応した。あの映像を見てそれでもあの三人を庇ったら、それこそ日本人は節度のない国民に落ちぶれたと言えるだろう。どこにも政府の作為などはない。むしろ家族よりで、国民の同情を引こうとより多くの家族の発言、映像を流したTBSやテレ朝が、ますます国民のあの三人と家族への反感を煽ったと言える。もしも「テレビで居丈高に発言する家族の映像」が一切なかったら、もともと義理人情に厚く、情に流されやすい日本国民の姿勢は、まったく変ったものになっていたろう。アサヒ系の愚かさは、あの家族の「人の命がかかってるんですよ!」「すぐに撤退してください!」とヒステリックに叫ぶタカトーの坊主頭妹の映像を流せば国民が同調すると思ったことだ。そこまで日本人は愚かではなかった。ひとりよがりがよくわかったことだろう。

 どんなにがんばって論陣を張ろうとも、イマイのあのイッチャッテル目線や、あめ玉なめてる間抜けなタカトー、ひげ面でヘラヘラしているコオリヤマの映像の感想にはあらがえないのである。それがあんた、人の心ってもんだ。人心を誘導しようとしているのは政府じゃなくてアサヒ系なのだけれど、それがうまくいかないからあんなにいらだっているのだろう。
 今回の事件は本当に意義があった。「自作自演」で言うなら、愚かなサヨクの世迷い事から目を覚まさせるために、政府があの三人と家族という無名の役者を雇って芝居をさせたのではないかと、そう思いたくなるほどあまりに愚かで薄っぺらなサヨク幻想の崩潰だった。
4/26  総理大臣フル回転──国会中継に思う
(──この文章は父を待つ医者の駐車場でThinkPadで書いた──)
 国会中継を長年見てきた。佐藤首相の引退の頃、田中角栄のロッキード疑獄の頃からだ。といってもそれは大事件の時だけだった。これといった問題が無くてもNHKが放映していると必ずと言っていいほど見るようになったのは小泉政権になってからだ。データがないので断言は出来ないが中継の度合いも以前よりだいぶ増えたように思う。それもまた小泉効果であろう。
(これはNHKから国会中継の回数は年に何度と決まっていますと回答があったら私の思いこみ違いになる。問い合わせてみよう。私はこの種の機関への問い合わせをやったことがないし引っ込み思案のものぐさだから不得手なのだが、唯一NHKの視聴者質問コーナに「きょう国会中継が中止になったのはなぜですか」と問うたことがある。すぐに丁寧な返事をもらった。よってこれだけは問い合わせ先も知っているしなんとか出来そうだ。)

 小泉政権にになってから旧に倍してこまめに見るようになった。きょうは父を医者に連れてきたので、待ち時間のあいだ、いま医院の駐車場でラジオを聴いている。
 そうして感じるのは「国会の質疑応答って九割方総理大臣ひとりの舞台なんだな」ってことである。
 野球に喩えると質問する与党野党がバッターであり、総理はピッチャーになる。
 与党の質問はなかよしこよしであるから、総理の棒球に大げさに空振りしたりして笑いを誘う。親しさをアピールする。最後は空振り三振かピッチャーフライだ。ここでも主役はピッチャー。与党側質問者はいかに自分と総理がツーカーであるかを視聴者に印象づけることが目的だ。同じアウトになるのでも外野への大飛球なんてのはやらない。それじゃ意味がない。飛距離なんてどうでもいい。とにかく総理との親密感を訴える。
 野党も同じ。いちばんの狙いは総理の決め球を場外大ホームランだがなかなかそうも行かない。だったら三塁線を抜く二塁打でも狙うかというとみなそうではなくピッチャー返しを狙う。三塁線を抜く二塁打を放ったら、責任の応答が三塁手とのやりとりになってしまう。悪送球した左翼手も登場したりする。総理がいなくなってしまう。それは意味がない。自分が目立つためには総理との対決がいちばんだ。三塁線を抜く二塁打より総理をのけぞらせるピッチャー返しが意味を持つ。ここでも狙いは総理のみである。

 一塁や三塁へのボテボテのゴロを打つ。当然の役割として一塁手や三塁手が取ろうとする。すると彼は累に走りながら「ソーリ、ソーリ、ソーリが取りなさい。わたしはソーリに取ってもらいたいんだ。一塁手三塁手、引っ込みなさい」と叫んだりする。一塁手がキャッチし、ベースに駆け込み、アウトが確定した後でも、わたしは総理に取ってもらいたかったんだ、なんであんたが出しゃばるんだとまだ騒いでいたりする。

 自分のそれがヒットにはならないとわかっている。だからせめてそれを総理にキャッチしてもらい、ピッチャーである総理が駆け回ってゴロを処理するところを世間に見せ、あのゴロを打ったのはわたしです、総理を走り回らせ一瞬ヒットかと思われた当たりを打ったのはわたしです、とアピールしたいのだ。いじましい。この場合の一塁手、三塁手は外務大臣、防衛庁長官になる。
 これほど総理大臣が野党のつまらん質問にいつも矢面に立った政権がかつてあったろうか。私は記憶にない。総理はピッチャーというより監督の印象が強かった。ここという時には大弁舌をふるうが普段の試合は配下の選手任せ、のイメージだ。

 小泉政権とはピッチャー小泉のワンマンチームなのだろうか。私はそう思わない。外務大臣が頼りないがけっこうバランスのとれた布陣だと思っている。でも国会での質疑応答を見ているとそうではないのかと思えてくる。今やかつてないほど日本全国子供やバカ若者にまで「総理大臣小泉純一郎」の名は浸透しているらしい。やはりワンマンチームなのか。

 いやこの喩えは野党がピッチャーで首相がバッターか。ピッチャーが次々に変るが出てくるバッターは9人の内8人までが総理。ピッチャーとしては三振に取れなくても空振りをひとつとるだけで国民にアピールできる、とこっちの喩えの方が合っているか。ま、どっちにしろ毎度見ていると国会の主役は総理大臣であることに気づく。

 それにしても総理の椅子は激務である。小泉さんの疲労度は見ていて気の毒になる。確実に寿命を十年は縮めたろう。むろんそれは些末なことだ。日本という国のトップに三年間君臨したのだ。祖父も父も叶わなかった栄光の座だ。男子の本懐である。
 心労度に関する限り日本の総理大臣が最激務なのではないか。これほど足を引っ張ろうとするサヨクマスコミがおおっぴらに活動している国はない。よほど神経が太くないとやっていられない。いい人である小渕さんが亡くなったのがよくわかる。森さんは神経だけは太かったけど(笑)。
 小泉さんの次は誰なのだろう。安倍晋三への引き継ぎ役だ。平沼、麻生、高村が手をあげている。カメイもまだ諦めていないようだ(笑)。そりゃ悔しくて諦めきれないだろう。谷垣はどうなのか。
 昨日の補欠戦で自民党が三戦全勝した。当分小泉政権が続く。
 と、忘れていたが、きょうで小泉政権丸々三年だとか。
4/28  北朝鮮の爆発事故
 痛ましい事故である。もうイラクと同じようにアメリカが力づくで金正日を排除したほうがいいのではないか。北朝鮮人民が気の毒でならない。テロ説や金正日が通過するためにすべての車輌を止めていたから起こった事故だとかいろいろ言われているが彼が関係あるのは間違いあるまい。
 かの国のテレビを見ていて奇妙に思った。中国からの物資が届いたと淡々と報じている。あのブルーバックの愛想のないニュース映像だ。どう考えてもそこに感謝の気持ちが感じられない。どういうことなのだろう。
 今朝の『産經抄』を読んだら、なんと各国の援助を「評価する」と語っているのだとか。感謝のかの字もないらしい。なにを考えているのやら。韓国は医療援助を断られ、物資も陸路はダメで海路で運べと言われている。援助を受けるあっちが強気なのだ。なんちゅう国だろう。いや国ではないのか。『産經抄』はこのような大事故であり他国がこれだけ案じているのに国家主席の金正日がまったく表に出てこないしなんのコメントも出していない。いったいこの国は国なのだろうか、と書いている。

 ムラヤマトミイチはこの国の高邁な理想を学んで実現したいと言った。カナマルシンやノナカヒロムは偉大な金日成主席と称えひざまづいた。日本での誕生を祝う会にも欠かさず出席した。まさに国賊である。
 神戸の人たちはムラヤマによって殺された面にもっと怒るべきなのだ。まともな為政者ならあの地震の死者は半減していた。
4/29
 国会議員年金未払い問題──なんとも間抜けな
 麻生、中川、石波を「未納三兄弟」と街頭演説で非難していたカンが未納であることがわかった。ところがこの人、行政上のミスだと言って譲らない。なんとも困ったものだ。
 いったい誰の影響なのか、もともとそういう人なのか、この人ここのところ「おれおれ詐欺というのがあるが、あんたはやるやる詐欺だ」と得意げに首相を攻撃したり、だんご三兄弟をもじったつもりなのかこれまた嬉々として「未納三兄弟」と言ってみたり、かっこわるいことはなはだしい。こういうのはオヤジのダジャレと同じで受けない。誰か側近に注意してやるのはいないのか。

 年金未払い問題は選良であるべき国会議員の醜態だが、たいした問題ではあるまい。最長21年間未払いだった中川昭一がそうであるように、彼もサラリーマンの時は払っていた。国会議員になったときの平民(?)からの切り替え事務手続きが整備されていなかったのだ。今回民主党の提案で調査され不払いが発覚した連中のほとんどが、閣僚就任時にエアポケットのように未払いになっていることでわかるように、閣僚になるとまた新たな切り替え手続きが発生し、みなそれをやっていなかったのだ。それはなにより自民党にあんたらの「次の内閣」のメンバも調べろと言われ、不承不承調べたら唯一厚生大臣経験者だったカンがその間、不払いだったことでもわかる。全国会議員に調査対象を広げたら(ここまで来たらそうするしかあるまい)、かつての閣僚経験者から続々と未払い議員が出てくるはずである。なにしろ年金問題が大きな国会議題となる前にはどうでもいいことだった。六十をすぎて国民年金をもらえなければきゅうきゅうするほどの貧乏人は国会議員になっていないし(なれないし)、なによりあっという間に(10年だったか)よりよい率の議員年金がつく。小泉首相がこれを廃止しろと言っているのはえらい。

 みっともないのは自分たちで作っている決まり事であるのにそれに則っていなかったことと、これが私の最も言いたいことになるが、自分の大事な親分のその辺をフォローできなかった秘書のだらしなさである。私が秘書だったら総理大臣にしたいと願う自分の親分のそういうミスはぜったいにないように気を配る。その点でも小泉さんの姉や飯島秘書官は隙がなかった。たいしたものである。もしもこれで首相が初めて閣僚になったころに何ヶ月か未払い期間があり、カンが払っていたらどれほど大きな騒ぎになったことか。カンが首相を極悪人と罵りどれほどはしゃぎまくったことだろう。なにしろあの野党の党首は自分が未払いでもあそこまで騒ぐ人なのだから。

 それにしてもカンというのは間抜けである。下にいる者はたまらない。
 三閣僚の未払いを知り、「こんなことばはこういうときにあるのだと思います。"顔を洗って出直してこい、このすっとこどっこい!"」と粋がった民主党のノダは、同じ事を自分の党の代表であるカンに言わねばならない。そんなことも知らずに粋がった自分自身にも返ってくる。ノダの好きらしいそういう表現で言うなら"みそ汁で顔を洗いたい"とはこんなときか。粋がった分かっこわるく気の毒になる。実際自民党閣僚未払いでこの連休は意気揚々と地元に帰って自民党批判演説をする予定だった民主党議員が、カンの未払い発覚で連続して帰郷を中止している。たまらんだろうなあ、こういうズッコケは。

 まだまだ続くであろう今回の騒動で最も醜かったのは非を認めない福田官房長官とカンである。ともに同じ感覚なのだ。行政の手続き上のミスであり悪いことをしたとは思っていない。意図的な脱税とはまったく違うと主張する福田の詫びを言わない態度は国民に不快感を押しつけた。野党は絶好の攻撃のチャンスだった。なのに最大野党の党首が同じミスを犯していた。しかも非を認めない。カンとはなんとお粗末な男であろう。福田とカンの性質は同じだが、自分のことを棚に上げ「未納三兄弟」とはしゃぎまくったカンによりお粗末感が漂うのは当然だ。
 日本人の好む潔さのない似た性癖の二人は、要するにともにトップには立てない人物である。
 別項で書いている「小泉首相の強運」だが、「ライヴァルがカンだということ」も特筆されるだろう。こんな脇の甘い(議員の世襲制を否定しておきながら自分の息子を立候補させるような)のが野党代表なのだから強運だ。
 自民党閣僚の未払いを掘り出し意気の上がっていた民主党議員の腰砕け状態がよくわかる。同情したくなるほどだ。だからカンが代表じゃだめなんだ。じゃあ誰なら良いんだとなると誰もいない。元々いるぐらいならカンがなるはずもない。寄せ集め政党、お先真っ暗である。

 全国会議員を対象にやったらいったい何人出てくるだろう。大仁田が払っているとは思えない(笑)。共産党議員はみなキチンと払っているのだろうか。これも興味深い。社民党のフクシマが払っていなかったら笑える。まああれは払っていると思うが。ヨコミツって役者出身なんか払ってきたのだろうか。芸能人は年金は払わないものなあ。
 何十人、もしかしたら百人以上出てくるのではないか。それはそれで楽しみである。またひとつ膿が出たのは確かなのだから。今回のことで国会議員の年金未払いは一切なくなるだろう。それはそれで進展であり、これも小泉政権の手柄(?)になる。
 れいによってテレビでは「日本人であることが悲しくなりました。死にたくなります」なんてファクスを紹介していたが、そんな大げさなもんじゃない。その意味じゃ不快げに居直る福田の気持ちもわかる。だからこそはしゃいだカンのみっともなさが、ってもういいか(笑)。ピエロだよ、あれじゃ。
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