酒話
2015
 6/30
●私の酒ローテーション



▼酒ローテーション──今は焼酎

 私の酒ローテーションは、「キンミヤと黒ホッピー」と「シークァーサー割焼酎」で週5、週2で「菊水ふなぐち」である。時に「菊水ふなぐち熟成」の日もある。これは自分へのご褒美。雨の中で肉体労働のバイトをしてきたような日には「がんばったね」と、ちょい高めの「熟成」を振る舞っている。

 長年、焼酎を一切飲まなかったので、いま主体となっているのが不思議な気がする。でもたしかにこれは他の酒と比べて残らない。焼酎で宿酔いしたことがない。

 二週間に一度ぐらい赤ワインの日もある。これはチーズ系のものを食いたくなったときだ。乳製品が好きなんだものヴェジタリアンになれるはずもない。

 私の場合、食い物で酒が決まる。だから毎度の意見になるが「酒さえあればなにもいらない」という本物の酒好きではない。ほんとの日本酒好きは肴をとらない。酒だけがあればいいのだ。父がそうだった。同じような酒飲みを何人か知っている。うらやましいとは思わない。うまい食い物があっての酒だと思っている。

 つまみを取らずひたすらウイスキーを飲む知りあいの何人かはもう鬼籍に入った。死んで当然という飲みかたをしていた。といって私は命惜しさに食い物を取っているのではない。むしろ私もそれをして、「酒を飲むときつまみを喰うやつは外道だ。酒に対して失礼だ。酒の魅力がわかっていない」ぐらい言いたいのだが、喰いながら飲むのがいちばん愉しいのだからしょうがない。それを優先する。いや、居直って言うと、そういう「酒しか飲まないひと」って、ほんとに酒の魅力がわかっていたのかと反論したくなる。酒しか飲まず肝臓を壊して死んでいくことこそ酒の神様に失礼ではないのか。

▼日本酒最強論──は認めるけれど

「日本酒こそ最高だ、日本酒はどんなものにも合う」とやたら日本酒を礼賛するひとがいる。これってどうなんだろう。私は日本酒を飲むときの肴は魚系だ。魚(うお)は、酒のつまみ、菜となることで魚(さかな)になった。日本酒には魚だ。ソーセージやフライドポテト等はビールがうまい。これを肴に日本酒を飲みたいとは思わない。

 同じくワイン礼賛派で、赤ワインで刺身を喰うひとがいるが、あれはぜったい味覚音痴だと思う。魚が生臭く感じてまずいし、当然赤ワインの味も殺している。ああいうひとは結局ワインをわかっていないのだろう。その辺は雁屋哲がしっかり指摘していて、大嫌いなサヨクだけど、そこは納得している。

▼ワインは肉

 ワインを飲むと肉が食いたくなる。そういうときあれはしみじみと肉用の酒なのだと思う。四つ脚動物の肉を遠ざけている身としてはこまる。でも私の場合、酒よりも肴が先だから、それは避けられる。つまり、ワインを飲まなければ肉を食いたくはならないのだ。

 問題なのは、以前一例として書いたけど、仕事の打ち合わせで昼間に会った先輩が「海鮮丼」を御馳走してくれたような場合だ。昼間だから飲むわけには行かない。なにしろランチタイムであり、昼飯を食うサラリーマンやOLで混んでいる店だ。先輩もそんな酒飲みではないから失礼に当たる。だが刺身=日本酒である私は、酒を飲むことなく海鮮丼を喰うことがたまらなく苦痛だった。それこそ「喰わないほうがまし」である。ドトールのコーヒーだけでよかった。マクドナルドでもいい。ハンバーガーは酒を飲みたくならない。
 空腹なんて耐えられる、なんてことない。長年もう躰にしみついてしまっている習慣を断ちきって、「酒を飲まずに刺身を喰う」ほうがきつかった。
 長年そうやって生きてきたから、うまい肉を食ったらワインが飲みたくなり、飲めなかったら「日本酒と刺身」と同じくつらいのだが、肉を食わないから「ワインが飲みたくてたまらなくなる」は、ないのである。



●「三年貯蔵」がなかった

 西友の酒売り場で焼酎を探していた。いかな「キンミヤと黒ホッピー」好きとはいえ、たまにはちがう味も欲しくなる。「キンミヤと黒ホッピー」にしてから一度も宿酔いがない。酒を量で飲むようなバカな時期は卒業しているから当然なのだが、焼酎好きがよく言っていた「のこらない」を実感する。25度のキンミヤをホッピーグラスの目盛りどおりに割るから8度ぐらいか、それを何杯か飲むだけだから残るはずもない。そういう弱い度数の酒を健康的な飲みかたをしていると、たまに強いのが欲しくなる。とはいえ仕事にさしつかえるから以前のようにバーボンとは行かない。体質的に強いので量を飲んでしまう。バーボンをストレートでやると翌日に響く。これは自粛。となると自然に25度の焼酎になる。以前から気に入っているのが「博多の華 三年貯蔵」で値段は千円ちょいと懐具合にいい。

 ところが西友の焼酎コーナーにこれがない。同じようなものはある。だが「じっくり熟成しました」のようにことばが逃げている。ウソかマコトか知らないけど、私はこの「三年」を全面に出しているのがお気に入りなのだ。さてこまった。どうしよう。



●久米仙五年古酒購入

 というところで「久米島の久米仙──五年古酒」が目に留まった。箱もシンプルで雰囲気があっていい。なおこの時は写真のようにボトルは見ていない。箱だけだった。
「五年古酒」か、魅力的だ。これにしようかなと思う。値段は2300円だから「三年貯蔵」の倍になる。ちょい予算オーバーだがたまにはいいか。
 度数は40度。すこししか飲めないなと思う。これをストレートで一本空けてしまうことは出来る。しかし昨今そういうことはしないようにしている。翌日ひっくりかえっていられる身分でもない。となるとロックにして2,3杯ってところか。チェイサー代わりに、いつもの「シークァーサー割炭酸水」を飲みながらでもいい。よし、決めた、買おう。
 肴には、いつものようかつをとイカの刺身を買った。せっかくの久米島の焼酎だからあっちのほうの空気を感じさせるモノを買いたいが、肴は魚であり、ここはワンパターン。久米島のひとは何を喰いながらこれを飲むのだろう。早く帰って喰いたい、飲みたい。
 とまあこの時点では「五年古酒」を飲む自分を想像してむふふ状態だった。



●こ、これはあの、大嫌いな雲南の臭い酒では!









 
 9/20
●古酒「春の雪」を飲む

 金沢の友人Kが送ってくれた石川県の名酒、古酒『手取川』を飲んだときの感動はいまも忘れない。「日本酒の古酒」である。なんともいえない不思議な酒だった。そのときのことは「酒──手取川」に書いた。

 なにを書いたのだろうといま読み返して見たら酒を女に例えている。わらってしまった。この酒を飲んだときの感動はいまも覚えているのだが、ここの喩えの部分のことはすっかり忘れていた。2002年5月の文章。
 2004年12月に大往生する父もこのころはまだ元気で(亡くなる一ヶ月前まで元気だったのだから当然だが)一緒にこれを飲んでいたんだな。なつかしい。

 まあでもまちがったことは書いてない。不思議な感動を与えてくれた独自の酒だが、通販で取りよせて飲むことまではしなかった。値段は充分高いが、私でもたまに馬券が当たったりするから、そんなときに買えないことはない。自粛していたのは今の自分がこの酒を飲む立場にはないとの反省からだった。それでもたまに思い出したように手取川のサイトに行き、通販の値段を確認したりするからいまだに未練たっぷりではある。無念ではあるがいまの私は「古古酒大吟醸手取川」を飲む状況にない。好きなだけこれを飲んでも許される日が来ることを夢見てがんばろう。














































 
 9/28  










11/5  ●福島産を謳ったキリン氷結


「キリン氷結」全国発売 県産ナシが原料

 キリンビールは4日、県産ナシを原料にした期間限定商品「キリン氷結 福島産梨」を全国一斉に発売した。キリンビールマーケティング福島支社の椎屋直孝支社長が発売初日、福島市のいちい福島西店で、買い物客らにPRした。
 ほんのり甘くすっきりとした味わい。350ミリリットル缶と500ミリリットル缶がある。
 キリンビールは県産農産物の消費拡大支援などを目的に2年前から県産ナシを使った「キリン氷結 和梨」を販売。今年は「福島産梨」と福島を強調した。3月には県産モモの「キリン氷結 福島産桃」を売り出した。
 椎屋支社長は「県内をはじめ、全国の人に福島の果物のおいしさを知ってもらいたい」と語っている。


 ネットニュースで見かけ、「キリンも、なかなかやるな」と好評価していたら、早速いつものスーパーで見かけたので4カンほど買ってきた。なかなかうまい。
 この期間限定発売は三年目だが、を前面に出した全国発売は今年が初とのこと。もちろん私は見たのも飲むのも初めてである。

「福島産」を謳い文句にするかどうか、会議の様子が目に浮かぶようだ。
「福島にはまだ放射能汚染のマイナスイメージがある。それを前面に出すのはいかがなものか」
「そういう風評被害があるからこそ企業として真正面から挑みましょう」
「しかし、あえてそれをやる必要はあるのか。他社のように栃木産とか、それでいいのではないか」
「マイナスイメージのある福島だからこそ、キリンの姿勢を見せるんです。攻めです」
「やるか」
「やりましょう!」
 よく決断した。



 今年はなぜか「梨味」がブームだった。梨味チューハイは夏にアサヒも出している。私はそれで「梨味」を知った。初体験である。この種のカンチューハイはいやな甘味が口に残るので基本的に飲まないようにしているのだが、この梨味は気に入り、かなり飲んだ。左の写真はネットで探してきたので「秋限定」と入っているが、私が好んで飲んでいたのは夏である。その時期の実験的商品には「秋」は謳われていなかった。

 隣町の西友で見かけて、というか他の店にはなかったので、出かけるたびに買っていたのだが、あまり評判は良くなかったのか、すぐにチューハイコーナーから消えてしまった。私は未練たらしく他の店でもこれを探したりした。「梨味の酒」はそれほど新鮮だった。

 カンチューハイの前にこの「カルピス洋ナシ」を知り、毎日愛飲していた。しかしこれもなぜか隣町に生き残った<ローソンストア100>にしかなく、さらにはすぐに品切れとなり、再入荷することはなかった。不思議である。売れていたのに。

 <ローソンストア100>はお気に入りだった。西東京には「ショップ99」という99円チェーンがあり、それをローソンが吸収合併して<ローソンストア100>にしたものだから、一時はそこいら中にあったのだが、数年前に経営見直しとかで今度は一気に閉店ラッシュとなり、いまやその隣町の一軒しかしらない。

 カルピス洋ナシで「梨味」を知り、上のアサヒの「和梨チューハイ」に凝ったのだが、すぐに入手出来なくなる。そのあとサントリーのこれを見つけた。これは「栃木県産幸水使用」を謳っている。これを見つけたのはco-opだった。

 co-opなんて学生時代の生協以来行ったこともないのだが、なかなかうまい惣菜が揃っていると知人に教えられ行ってみた。すると前記「西友で見かけなくなってしまって餓えていた梨味のチューハイ」があったのである。これはサントリー。

 という経緯があって真打ち「福島産」を謳ったキリン氷結の登場となる。昨夜は菊水ふなぐちを右手に、氷結福島産梨を左手にして飲んだ。これ比喩でなく、ほんとに私はふたつのグラスをそろえ、両手で飲んでいる。酒飲みを左党というが、私は甘い物も好きなので左右両党であり、酒を両手で飲むから左党二刀流である。菊水ふなぐちは19度あるので、この4%の梨味をチェイサーにする感覚だ。

 写真の「いいちこ全麹」をロックで飲むときにもそれをする。上記の「梨味」は各社製品ともすぐに入手出来なくなってしまったので、シークァーサー割をそれに当てていた。これからは氷結で不自由しないだろう。



 梨味カンチューハイはなかなかに美味で、いいアイディアだとは思うが、「市販のカンチューハイは、いやな甘味が残って翌朝不快になる」という基本的な解釈に変りはない。
 私がいちばん気に入った梨味はアサヒだった。でもこれからはキリンにする。福島産を謳った侠気にこちらも応えねばならない。ま、そういうのがどれぐらいいるかわからないが、そういうひともいると、信じている。


inserted by FC2 system