酒話05 

05/11/26 朝青龍の涙 

 ジャパンカップダートの日。GⅠでもあり知人に多くあった。飲み会に誘われたが帰って相撲が見たかった。
 今日は朝青龍の優勝がかかっている。千代大海が負けた場合だが、これは琴欧州が簡単に勝つだろう。相撲のスケールが違いすぎる。ぶん投げてくれ。
 琴欧州が千代大海を負かして3敗にする。そのあと朝青龍が魁皇を破って優勝を決める。
 それによって三つの大記録が誕生する。北の湖の記録を破る年間最多勝。史上初の年間六場所完全制覇、そしてこれまた史上初の七連覇である。

 一応飲み会に参加したときのために録画予約をして出かけたが、悔いの残る馬券結果となったこともあり、明日のジャパンカップのことを話しつつみんなで飲むより、私はひとりで朝青龍の偉業達成の瞬間を見たかった。

 駅前のスーパーでイカ刺しとタコの酢の物を買う。酒は白龍酒造の純米「魚沼」にした。馬券で負けたときは罰として飯すら抜くことがあるが、今日は朝青龍の特別な日だ。すこしだけ贅沢。
 そこにまた電話。飲み会から。もう家にもどってきてしまったと謝る。せっかくの誘いだからすこし申し訳ない気もした。このときは。

 酒と肴を用意してスタンバイ。
 ひさしぶりに飲む純米酒魚沼は、「ふなぐち 菊水」のキツさに慣れてしまっているので、ずいぶんと弱い酒に思えた。アルコール度数も違うのだが、これは「ふなぐち」の個性が強烈すぎるからだろう。

 琴欧州が千代大海をぶん投げる。当然の勝利。大関昇進と新佐渡ケ嶽親方の門出に花を添えた。そういえば今日のサンスポは一面に琴欧州。いい構成だった。
 朝青龍も魁皇に勝つ。偉業達成!

 その瞬間、土俵上での勝ち名乗りのとき、朝青龍の目に涙があふれた。見ているこちらも「魚沼」でのほろ酔いも手伝ってもらい泣き。花道を、ごしごしと拳で涙をぬぐいつつ引き上げてくる。モンゴルから来た気の強い青年のきれいな涙だった。いいものを見た。おめでとう、横綱!
 飲み会に出なくて正解だったとこのとき思った。

inserted by FC2 system