2006
5/3
桜庭移籍!

どうにも『Hero's』はつまらない。前田が関わっていることもあって心情的には応援しているのだが、なにしろ中心選手が163センチ64キロと自分よりちいさい山本KIDだから、格闘技は大男のものとする私は燃えない。
 格闘技は大男のものという考えに凝り固まっていたのがブルーザー・ブロディだった。彼は自分の大きさを誇り、ちいさな選手を差別してはよく問題を起こしていた。プエルトリコでの死もそれを無視しては語れまい。

 さすがに何年も楽しみに録画を続けていれば価値のないものには気づく。昨年までは「K1ジャパン」や外国でのグランプリ予選を楽しみに録画予約しては、観た後に舌打ちしつつ消していた。テープの無駄だと。(HDDレコーダーみたいには消せないから、この言いかたはおかしいか。「すぐに巻きもどして違う番組の重ね録画用にした」。)

 経験から学んだので先日の「K1ラスベガス大会」も今回の『Hero's』もまったく録画する気はなかった。正解だった。しかしそれはひとつの「わくわく感」を失くしたことでもある。

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 この『Hero's』、五月連休のゴールデンタイムに2時間番組でやるだけの中身があるのか、がんばってほしいからこそ心配になる。
 8時の放送開始時には実際にはセミファイナルだった秋山をいきなりもってきたり、うまく中だるみのときにどうでもいい試合を流したり、実際の試合順を視聴率を計算して並べ替えているところに苦労が見えた。スポーツ紙にも試合結果発表は翌日昼までしないように通達したりして気も遣っている。そこまで苦労しても全戦凡戦のようなものなのだからやりきれない。
 本来ならスポーツ紙からコピーした全試合結果を貼るところだが、そんなことをする気にすらなれない。

 山本がゴングと同時に飛んで膝蹴り一発、4秒で宮田を倒したのを名試合と呼び感動する人もいるのだろう。それになにかを言う気はない。
 あれを見てむかしの沢村を思い出した。沢村忠の試合にはああいうゴングとともに飛び出し、コーナーポストに額をくっつけて祈りを捧げていたタイ人選手が、ゴングが鳴ってリングのほうに向き直ったら沢村の膝が顔面に飛んできた、なんて試合が多かった。10秒未満のノックアウト劇である。すこしもかっこいいと思えなかった。まあ沢村の場合はプロレスだから比べるのもどうかと思うが、それでも今回のも、あれが「名試合」であり、山本自身が言った「おれってかっこ良すぎる」とは思えない。
 その他、心に残ったものはなにもなかった。所から曙まで……。


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そんな中、最大の話題は8時40分過ぎに、前田の「つわものを紹介します。もののふの中のもののふ」との紹介で登場したタイガーマスクのマスクをかぶった桜庭だったろう。
 初めて知るニュースだったがまったくおどろかなかった。なぜか。高田道場を辞めたときから豫測できたからか。違う。興味がなかったからだ。
 もとより私は桜庭が初めてシウバに負けたときからシウバの方が強いと言い、二回負けてもそれでもアクシデントだと言ったりする通称「サクオタ」にうんざりしていた。あれは日本人の最もよくない点だろう。

 大きな話に喩えるなら、第二次世界大戦で勝っている時点で辞めればよかったのに、負けが込んでからでも、まだ有利に停戦できたのに、どうしようもないところまで行ってしまった日本人気質である。身びいきが強すぎて客観的な判断が出来ないのだ。
 そういう冷静な状況判断ができず、むきになってしまう日本人気質が、今の若者である「サクオタ」にあることが興味深かった。それは桜庭自身が三回負けることによって証明してくれたからもういいが。

 脱線するが、とはいえこれこそが私がこのホームページで言いたいことだからコーナー違いを恐れずに書くが、私がオオエケンザブローやオオハシキョセンを嫌いなのは、彼らの民主主義礼賛、憲法擁護こそが、戦前の最も悪しき神国崇拝と同じだからである。ああいう人たちは絶対的なものを信奉することでしかアイデンティティを保てない。敗戦という価値観の転換により、それまでのゼッタイが失われた。代わりのものを持たねばならなかった。それが民主主義だった。彼らこそが戦前の絶対天皇を民主主義に置き換えた気の毒な人たちなのである。
 それと共通する資質を、シウバの強さを認めず、ひたすらアクシデント、怪我と、次こそは、にもってゆく若者に見る。
 世の中、変っているようでいて、あまり変っていない。キョセンやキヨシローあたりを好きな青年は、その辺のことをすこし考えた方がよろしかろう。まあ病人になにを言っても無理だろうが。


言帰正伝。
 おどろきはしなかったが充分にかなしくはあった。前田と高田の確執である。田村を引き抜いたときと同じだ。なにやってんだろ、兄弟げんかほど醜いものはない。結局、前田も、田村をあれだけ絶賛し、負けてやり、スターにしようとしたが、失敗している。最後は醜い罵りあいである。田村のあの性格じゃ無理だ。そのてん桜庭は人間性が田村とはぜんぜん違うから同列には論じられないが……。

 格闘技ファンとして冷静に考えてみる。
 これで『Hero's』はおもしろくなるか? 『PRIDE』は傷手を被ったか?
 まず『PRIDE』の方だが、これはまったく問題がない。桜庭は完全に過去の人だった。今更桜庭がシウバやショーグンに勝てると思っている人はいまい。
 だからこれはいいとして、そういう自分が必要とされなくなった旧い職場に見切りをつけ新天地に乗り出したのだから、なんとしても桜庭にはあたらしい職場でがんばってもらいたい。『Hero's』はおもしろくなるのか!? 問題はこれだ。ぜひなってもらいたい。なってくれないと困る。当面のライバルは誰なのか!? 秋山との対決が頂上になるのか? う~む……。


桜庭の姿を見た私はテレビを見つつノートパソコンを手にして2ちゃんねるに繋いだ。その話題で持ちきりの「格闘技」板がおもしろかった。
 会場で生で見た連中が衝撃のニュースとして「タイガーマスクの扮装で登場した桜庭が『Hero's』移籍を発表した」とリアルタイムで書き込んでいる。8時前だ。私には一生無理だろうが、こういうのってケイタイから出来るらしい。
 それに対して行っていない連中が「釣りだ」と否定する(笑)。「ほんとだって!」と書き込むほどに、「またまた(笑)」と否定する流れが可笑しかった。当然それは「信じない奴らはアホ」になり、「釣りもヤケクソか」とエスカレートしてゆく。そして8時40分。「な、なんとほんとだったのか!」と一斉に書き込みが増える。
 今回の『Hero's』のどの試合よりもこの2ちゃんねるでのやりとりの方がおもしろかった(笑)。


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最後にどうでもいい話。でも私的にはいちばん重要か。
 イレズミと金髪は醜い。佐山聡は「イレズミと金髪をリングに挙げるな!」と言っている。もちろんナチュラル金髪じゃない(笑)。日本人の染髪ね。
 ただ、裸で戦う男が神の力を借りようと墨をいれる感覚はわからないでもない。サモア系のように。心細くなった曙が次々と墨を入れてゆく姿勢に彼のサモアの血を見た。マーク・ハントなんか、ほんとにニュージーランドの現地人らしくてイレズミが似合っている。

 山本の体中にあるかっこわるい線彫りは義兄だったエンセン井上の影響だ。エンセンはイレズミ雑誌にも登場し、自分で自分を病気だと言っていた。なにしろ手のひらにまで入れた。これはさすがに彫り師も初めてだと驚いたそうだ。痛いだろうな、思うだけでうんざりする。体中落書きだらけである。

 エンセンは切れると前後の見境がなくなる。あぶなくてしょうがない。よってストーリィを演じるプロレスは出来ず食いっぱぐれた。そのあぶないエンセンに前夫とのこどもを押しつけて遊び回り、結果として捨てた山本美憂こそ最強か。あのころのエンセンは、子供の面倒を見ず遊び回る女房のことを嘆くただの子守亭主だった。血の繋がっていない子をかわいがるところに彼のやさしさを見たが。

 美憂ももちろんエンセンの影響を受けてイレズミをしている。わからん感覚である。48キロ級で活躍したからと言って手首に48とイレズミすることになんの意味があるのだろう。人それぞれだけど。
 エンセンと同じく山本KIDも「大和魂」と線彫りで入れている。大和魂はイレズミするものではなく、心の問題だと思うがね。


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無関係餘談──雲南イレズミ話
 雲南のタイ族の女も、手首や手の甲に藍色の線彫りをする習慣がある。
 今時の若い女でもやっているのが多い。色気づいてくると仲間同士で彫るようだ。小学校を出たらもう日々の百姓仕事に精を出すだけだから、さしてすることもないし、そういう風習を受け入れる感覚はわかる。安くできる精一杯のおしゃれなのだ。
 星や月、花や矢のような、原始的な絵柄が多い。ああいうものは「ナスカの地上絵」を始め、世界中どこでも共通の感覚のようだ。
 小学生のときから知っている妻の甥も、昨年会ったら、十八の色気盛りだからか、二の腕等にいくつかの線彫りをしていた。(これは男ね。姪のまちがいじゃありません。)

 さいわいにも私の妻にはなかった。これは母親が嫌いでさせなかったそうだ。母親もその年代でイレズミをしていないのはひじょうに珍しい存在になる。周囲を見渡すと、確率的には奇蹟的だった。
 私は妻の母に心から感謝している。手の甲や手首にイタズラ書きのような星や月の藍色の絵があるだけだが、それはそれで充分に目立つ。イレズミ習慣のない日本人からすると、すぐにそこに目が行く。
 もしも妻にそれがあったら、日本での買い物等でも目立ち悩むことになったろう。まずまちがいなく「消せないか!?」という問題が起きたはずだ。それ以前に、私がイレズミのある女に惚れたかどうかだが。よかったなあ、イレズミがなくて。

 最近イレズミ雑誌が売り上げ好調らしく、ずいぶんと見かけるようになった。世の中病んでいる。


5/5


やっぱり『PRIDE』!

 連休には、フジテレビ「K1ラスベガス大会」、TBS「亀田兄弟ボクシング」、フジテレビ「プライドグランプリ一回戦」があった。やっぱり『PRIDE』がダントツでおもしろかった。まあこれは私の好み。視聴率はどうだったのか。TBS?
 そのまえの4月の「K1-Max」、このあと5/14の「K1グランプリ」も範疇にいれるべきか。
 まあとにかく『PRIDE』がいちばんよかった。

 TBSの亀田兄弟番組の作り方が、「大家族青木家」とまったく同じなので笑った。まさか制作は「植木商店」じゃないだろうな(笑)。あれはボクシング番組というより「家族もの」なんだな。テレビ局にふりまわされてあの家族がおかしくならないよう切に祈る。こわいからね、人生狂うよ。のちのち「あんな形で持ち上げられなかったら……」なんてなったら最悪だ。まだデビュウしていない14歳の三男を、兄を凌ぐ大物なんてもちあげるのはいかがなものか。決して彼のためにはなるまい。

 いよいよ世界挑戦となったら今までのようなタイ人噛ませ犬のようには行かない。正念場だな、亀田。がんばれよ。

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 『PRIDE』はよかったなあ、ミルコと美濃輪、吉田と西島、アレクサンダーとバーネット、ノゲイラとズール、藤田とトンプソン、ハントと高坂、なにしろ翌日になってもこうしてほとんどの対戦カードが思い出せる、中身を覚えている。『Hero's』なんてなにも残らなかった。そう、『Hero's』のひどさがあったから、よけいに『PRIDE』の充実が印象的だった。

 名勝負は「ハント対高坂」「藤田対トンプソン」「アレクサンダー対バーネット」になるだろうが、私の不満は、先のふたつが日本人絡みなので最初から最後までたっぷり見せてくれたのに対し、三番目は外人同士ということからかダイジェストだったことだ。




 格闘技ファンとしての私には、「アメリカ対ロシアの大男対決」であり、それこそ国際プロレスのビル・ロビンソン対カール・ゴッチ(あるいはゴッチ対ロシモフ、ロビンソン対ゴーディエンコ)から続く最も好きなカードであるのに、ダイジェストにされてしまった。それがなんとも悔しい。やはりスカパーは必要か。
 なにしろ対戦が始まったときからタイムが出ていない。それだけでもうダイジェストだとわかって白ける。さらには終ったとき、「2ラウンド何分何秒」とか言っていた。やはりダイジェストだ。1ラウンドの10分、丸々見たかった。
 いまこれを書いている6日の昼は、まだスポーツ紙のサイトでは結果発表が控えられている。
 2ちゃんねるの「芸スポ速報」で探してみた。あった。やはり2ラウンドだった。



▼スペシャルワンマッチ 1R10分、2・3R5分
 第1試合 ×ギルバート・アイブル vs ローマン・ゼンツォフ○
        1R4分55秒、KO

▼PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦 1R10分、2・3R5分
 第2試合 ×アリスター・オーフレイム vs ファブリシオ・ヴェウドゥム○
        2R3分43秒、腕固め

 第3試合 ×高阪剛 vs マーク・ハント○
        2R4分15秒、KO

 第4試合 ○ジョシュ・バーネット vs エメリヤーエンコ・アレキサンダー×
        2R1分57秒、V1アームロック

 第5試合 ○藤田和之 vs ジェームス・トンプソン×
        1R8分25秒、KO

 第6試合 ○ミルコ・クロコップ vs 美濃輪育久×
        1R1分10秒、KO

 第7試合 ○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ vs ズール×
        1R2分17秒、腕ひしぎ逆十字固め

 第8試合 ○吉田秀彦 vs 西島洋介×
        1R2分33秒、三角絞め


 やはり1ラウンド10分でアレキサンダーが息切れしたんだな。2ラウンドに入って、ほとんど試合放棄みたいな結末だった。
 ヒョードルがセコンドについていた。これで「ヒョードル対バーネット」が遺恨絡みで見られる。楽しみだ。
 バーネットはぶくぶくの体を絞ってだいぶよくなったが、もっともっと以前のようにシェイプアップしないと。

 同じくダイジェストの第1試合も第2試合もよかった。ってことは全試合よかったのか。全部が凡戦だった『Hero's』とはえらいちがいだ。

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 ハントと高坂の試合は見ていてつらかった。高坂、根性見せたな。
 朝鮮人の挌闘家としての能力はすごい。今回も高坂、西島とふたりもいる。まあ力道山の開いたプロレス、大山倍達の開いた空手と、先人からの流れもある。それでもやはりそれ以前に、民族として格闘能力に優れているのだろう。たいしたもんである。我の強い朝鮮人挌闘家の中で、寡黙でシャイな西島は好ましい。がんばれよ。まだまだこれからだ。
 西島というとボクサー時代の西島洋介山を思い出す。あれは洋介では響きが弱いとあのトレーナーがつけたのだった。ジョン・テンタが最初琴天太だったが、やはり響きが弱いと琴天山にしたのを思い出す。
 西島は今回もネームヴァリュウのある西島洋介山で出たかったが、命名者のトレーナーがいちゃもんをつけた。まったくあの人は悪徳である。がんばれよ西島。とはいえボクサーなのに、これから『PRIDE』でどうするんだろう。今から寝技でもあるまいし。

 そのハントと前回、感動の名勝負を繰り広げた西島になにもさせないのだから吉田は強い。というかハントと西島はほとんどボクシング対決だったが。
 そういえば吉田はハントにもあっさりと勝っているのか。負けたのはヴァンダレイ・シウバだな。あれはもういちど見たい。吉田はもうヘビー級だから無理なのか。
 ハントとヒョードルの対決も楽しみだ。しかしサモア系のナチュラルタフはすごいな。

 ハントが「サモアの怪人」とガウンに入れていた。こういう場合の「怪人」は英語でなんというのだろう。気に入っているのか、あの愛称が? レイ・セフォーが「南海の黒豹」を気に入ったのならわかるが。「南海の黒豹」はペドロ・モラレスだあ。
 もうひとり誰か腕に「家族愛」って彫ってたのがいた。まあ家族愛は大事だが、挌闘家が腕に彫っているとちょっと違うようにも思う。

 ミルコは「なんでおれがミノワなんかと……」と落ち込んでいたらしい。これは『紙のプロレス』でも言っていた。
 いや『紙のプロレス』は今「Kamipro」になったのだった。発売はエンターブレインである。急速に時代は変っている。
 『週プロ』も『ゴング』もつまらなくて読めないが「Kamipro」はおもしろくてむさぼり読む。作り方次第なのか。私も格闘技雑誌を卒業したのではなく、あちらの問題だとも言える。

 美濃輪はずいぶん前(5年前?)からミルコと戦いたいと熱望していた。今回夢が叶ったことになる。あまりに一方的な試合だったが、それはそれでミルコの強さが際だって良かった。ここのところ美濃輪はがんばっていたから、このカードは主催者からのプレゼントというところか。

 『PRIDE』にこれだけのものを見せつけられると、『Hero's』も桜庭を引き抜いたなんてはしゃいでいるどころじゃないとあらためて思う。。前途多難である。

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【附記】
 私はこれらの大会を同列に論じていたが、キャパや観客を見ると、他が1万程度なのに対し、この『PRIDE』は大阪ドームで4万人興業だった。規模が違う。いちばんおもしろいのは当然か。それだけ金をかけた豪華なものだった。
 会場や入場シーンに凝っていることと試合内容には関係ない。そういう意味では他の大会もみょうにがんばっていた。選手次第、中身次第ってことだ。いくら泣かせる話を作って盛り上げても、肝腎の試合がつまらないんじゃしょうがない。そしてそのつまらなさは、私の場合、やっぱりちいさい男ではつまらないということになる。

【附記・2】
 バーネットとアレキサンダーの写真を『PRIDE』オフィシャルサイトからもらってこようとしたら、コピーできないようになっていた。それを突破する方法もあるのだろうが私には智識も技術もない。それでも画面全体を切り抜くことで、なんとか欲しい絵は手に入った。
 これからこういうコピープロテクトはますます普及してゆくのだろう。それは当然のことだし、肖像権確保のためにもやるべきことだと思う。まあ個人のやるこの程度のことは見逃してもらいたい。

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○亀田兄弟視聴率圧勝!

 ボクシングの「亀田兄弟」は平均で33%、瞬間最高は40%の大ヒットだったとTBSが自慢気に(笑)報じていた。
 『PRIDE』が最高だった私は、「でももしかしたら視聴率は亀田兄弟か?」と思ったのだが、もしかしたらどころかとんでもない圧勝だったことになる。すごい数字だ。

 考えてみると、あの『PRIDE』は私がはしゃぐぐらいだから、かなりマニアックだった。一般的にはうけないか(笑)。そうだよなあ、バーネットとアレクサンダーの対決に昂奮するのはごくごく一部の人だ。亀田弟の歌のほうがいいのか(笑)。

 どんな形でも格闘技がもりあがるのは好ましいから、亀田兄弟も応援している。とにかくマスコミの渦でつぶされないで欲しい。なにしろ悪行で評判のあのTBSの一押しなので心配だ。(5/9)
5/23

○藤岡弘、を見直す!

 最初に、彼の正しい芸名であるらしい「藤岡弘、」の読点「、」は文章上わずらわしくなるので略させてもらう。

「格闘技通信」を読んでいたら、彼と骨法の堀部師範、編集長の鼎談があった。
 そこで藤岡氏(以下敬称略)の言っていることに納得したので記録しておこうと思った。

 氏は、武道とスポーツの違いについて語り、スポーツ化することによる精神の廃退を嘆いている。
 たとえば『PRIDE』のような総合格闘技において、倒した相手が泡を吹いて昏倒し、命が危ないのではという情況なのに、リング上からガッツポーズをする感覚はおかしいのではないかと指摘する。命を懸けて闘った相手への礼が闕けていると。
 私も前々からそれを思っていた。(倒した吉田よりも目立とうとする倒された小川は、もっとおかしいと思うが。)
 ここで編集長が「それはショーアップするために必要だから」とくだらん意見を言うので、藤岡の意見はヒートアップして行く。すべてまことに正論である。堀部も同調するのだが、私には藤岡のほうがずっと説得力があった。

 私の嫌いなものに、柔道の試合でのガッツポーズがある。今の柔道はこまかなポイント取りごっこになっているから、ほんのすこしの差でも時間切れで勝ちになることが本人にもわかっている。だからブザーが鳴るやいなや、礼もしないうちに飛び跳ねてはしゃぐ。ガッツポーズ連発で喜びを満面に表す。負けた方もどこも痛くないのに、すぐに起きあがらず、「ああ、負けたあ」としばらくは大の字になっている。両者共にまことに醜い。
 これを藤岡は「柔道から道が抜けている。柔スポーツとでもしたらいい」と批判する。
 編集長は「柔スポーツですか、ギャハハ」と笑いにする。

 井上康生がオリンピックの表彰台で大きな母の遺影をかざしたことに私は批判的だった。柔道着の内側に、母の写真をそっと入れておく、それぐらいでいいのではないかと。そして引退後にそのことが話題になったりする。それでこそ日本人の美学なのではないかと。

 まあ柔道家が髪を金髪にする時代だからなあ……。

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 ここからまた武道とスポーツの違いの話になり、藤岡は「某国など、倒した敵の墓を掘り返し、骨を砕いたりする。死ねばみな神様になる日本とは違う。そこを理解することなく靖國問題など解決するはずがない」と発言する。

 この場合の某国とは漢民族の共産帝国のことだが、これは朝鮮にも通じる。
 新日本とUWFインターがもめたとき、長州力は敵対した安生宮戸らに対し、「あいつらが死んだら、墓に行って糞ぶっかけてやる」と発言した。これはたいそう衝撃的、かつ新鮮な発言だったので、当時ターザン山本もコラムで取り上げていた。そういう激しい汚らしい言葉が問題なのではない。日本人は「ぶっ殺してやる」までであり、死んだあとも「墓に行って糞ぶっかけてやる」という発想はないからである。日本で育ち、日本語を話し、朝鮮語が話せず、母国の連中からは朝鮮人ではないと蔑まれる半端な日本人「パンチョッパリ」長州が、精神性は見事なまでに朝鮮人郭光男だと知らしめた発言だった。血の重さであろう。
 餘談ながら、私は今まで長州力ファンと親しくなったことがない。これはこれで私の一貫性だ。絶対に相通じないものがある。まったく好みとはよくできている。

 武道に精通する藤岡がそういう考えの人だろうとはたやすく想像できるが、現実に彼が仕事としてやっているのはあの「インチキ川口浩探検隊」の焼き直しのようなことでしかない。認められるはずもなかった。こういう形でメディアに出て発言することには価値がある。すくなくとも私は藤岡を信じられる人だと、この雑誌を読んで思った。

 話は国の根幹である教育問題、政治家のありかたにも触れる。堀部が「私も藤岡さんも政治家ではないから政治で国を変えることは出来ないが、私は骨法の指導者として、藤岡さんはテレビで発言することによって、力となることが出来る」のようなまとまりのいいことを言った。
 でもなあ、藤岡のやっているあの「探検隊」は、青少年の正しい育成には効果はないと思うが(笑)。
 自民党はタレント候補を立てるなら藤岡にしなさい。オーニタではなく。

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 おもしろかったのは、司会進行役として無難に進めようとしつつ、藤岡の意見に茶々を入れる編集長である。単にそれは場を盛り上げるために対抗しているようだが違うだろう。この編集長、心情サヨクと見た。まちがいなく靖國参拝反対のヒトなのである。だったら金髪アンチャンとの対談でもやっていればいいのに。こんなことでも見えてくることがあるからおもしろい。

【附記】ただのバカか?
 雑誌の写真をもらおうと検索したら、この編集長がブログをやっているという。出かけてすこし読んでみた。今時「なになのなのでR」と語尾にアルファベットを連発する珍しい人だった(笑)。心情サヨクうんぬんより「ただのバカ」の印象。(5/29)
6/5
●フジテレビ、『PRIDE』から撤退!

「格闘技界を衝撃のニュースが駆けめぐった」のように報じられていたが、私もこれは寝耳に水でおどろいた。DSE側が戸惑ったのも本当のようだから、なにか裏情報をつかんだフジテレビの電撃決断と採ってよさそうである。



フジテレビ:人気格闘技「PRIDE」放送中止
 フジテレビは5日、人気格闘技「PRIDE(プライド)」を主催するイベント会社との契約を解除し、番組の放送をすべて取りやめると発表した。10日に放送予定だった収録済み番組の放送も中止する。フジテレビ広報部は「放送を継続することが不適切な事象が、イベント会社内であったため。契約違反に該当するものだが、具体的な内容はコメントできない」としている。 フジテレビは00年からプライドの放送を開始。05年の大みそかには、「PRIDE男祭り2005」が視聴率17%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をあげるなど、人気番組となっていた。
(ニッカンスポーツより)

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 写真は浅草鳥越祭に参加した高田。これだけ見るとまともだが、周りは全身イレズミのヤクザばかり。かなり特殊な写真だ。http://www.ne.jp/asahi/lucky/angel-wing/torigoe.htm

 でもこの程度のスキャンダルで長年育て上げてきた『PRIDE』を放棄するはずがない。
 数多く流れている噂の中から私が最も信憑性があると思うのは「株主総会対策」である。DSEがヤクザと絡んでいるらしく、それをつっこまれるのを避けるための処置だ。

 今日6日はひさしぶりに『東スポ』を買った。いやこれは嘘。何ヶ月も買わないときもあるが、今は春のGⅠ週間なので毎週金曜か土曜のどちらかに買っていた。『東スポ』の本誌予想渡辺さんはキワモノとなってしまった『東スポ』の中で数少ない信じられる存在だ。
 でも平日に買ったのはほんとにひさしぶり。まして格闘技ネタで買うなんていつ以来だろう。『PRIDE』等、大きな試合のあった翌日はスポーツ紙を買うが、今では昼に出る『東スポ』を待つ必要はない。朝刊のニッカンやサンスポで充分の時代になった。いやニッカンの格闘技記事は充実していて『東スポ』より上である。
 夕方買い物に出たとき、最初に目についたのはナイガイだった。一面大見出しだ。『東スポ』も一面なので、やはりここは長年慣れ親しんだ感覚から『東スポ』にした。結果的にネットで知った以上の情報はなく、あまり意味はなかったが。

「ハッスル」もDSEである。これも放送予定だったのに白紙にもどったそうだ。トップ選手はもちろん、関わっている高田や小川も盤石の体制と思ったが、一転して明日が見えなくなってきた。
 スカイパーフェクトがPPVをやめるという噂も流れている。フジがこんなに素早く撤退するぐらいのヤバい情報なら、当然スカパーだって引くだろう。
 となると『PRIDE』そのものが存続不可能となり、秀でた選手だけ『Hero's』に移籍とかそんな流れになるのか。

 『PRIDE』好きの個人史としても最大の衝撃だった。どんな形で決着するのだろう。

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PRIDE出場選手、フジが起用禁止…各所に通達

 人気格闘技「PRIDE」の運営会社ドリームステージエンターテインメント(DSE)に
契約違反があったとして放送打ち切りを決めたフジテレビが、
PRIDE出場選手らを番組に出演させないよう、制作会社などに通達していたことが
6日、分かった。マスコミ各社に契約解除のファクスを送った5日に通達したもので、
関係者は「関連する人物、選手は一切、番組に出演させないようにという話が回ってきた」
と明かした。

 さらに衛星放送のスカイパーフェクTV!が緊急役員会を招集し、
今後の扱いを検討したことが判明。DSEの榊原信行社長も同社に事情説明に訪れたが、
関係者は「フジの番組制作を単獨で行うのは難しい。
局内でも打ち切りの声が大きい」と明かし、
広報部は「数日間のうちに結論を出し、何らかの形で発表したい」と話した。

ソース:スポーツ報知 2006/06/07 06:00 ※一部抜粋


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エースHGが「ハッスル」離脱の可能性も

 ハッスル軍のエースHGが、ハッスルを去る可能性が出てきた。所属する吉本興業がPRIDE、ハッスルから撤退する方向であることが7日、分かった。吉本興業関係者が明かしたもので、HG本人は継続参戦に意欲的だが、会社側が説得していくという。フジテレビが5日に、両興行を主催するドリームステージエンターテインメント(DSE)との契約を解除しており、吉本側が今後のタレント活動への支障を懸念した。

 PRIDE、ハッスルの地上波テレビ放送中止に、真っ先に反応したのは芸能事務所の吉本興業だった。両興行に関与した人物を、フジテレビが今後すべての番組に出演させないと、一部で報道されたことが引き金になった。吉本興業関係者はこの日「個人の趣味でやっているプロレスと、フジテレビに出演できなくなることは、どちらが痛手か比較するまでもない。会社側が説得していくことになると思う」と明かした。

 ハッスル担当広報は6日に「全出場選手から『リングで頑張る』という声をもらっています」と話し、HGが継続参戦を希望していることも明かしていた。だが、吉本興業は関係する所属タレントを撤退させる方向で、協議に入っているという。

 吉本興業ではHGだけでなく、ハッスルでGMを務める相方のRG、PRIDEでリングアナを務める村上ショージらが主催するDSEと密接に関係している。プロレスラーになることが夢だったHGの意思は今後も尊重する方針。吉本興業と友好関係にある正道会館、所属の元ボクシング世界王者井岡弘樹氏らを通じ、次のリングを探すという。

 フジテレビは7日付の一部報道について「タレントはタレントなので、DSEと関連があるからという理由で、出演できないということはありません」と否定した。それでも今回のフジテレビによる契約解除を、ただ事ではないと判断した吉本興業の方向性は、簡単には覆らない状況だ。

 ビッグマッチとなる17日のハッスル・エイドで、HGは看板選手として期待されている。昨年11月のプロレスデビュー以来、ハッスルはHG人気に支えられていた面が大きい。今回の一連のテレビ放送中止の余波で、最初の人材流出が現実味を帯びてきた。

[2006年6月8日16時41分 紙面から]ニッカンスポーツ


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DSEはフジ放送中止でも男祭り続ける

記者会見で発言するDSE榊原社長。手前左から藤田、1人おいて高田、吉田
記者会見で発言するDSE榊原社長。手前左から藤田、1人おいて高田、吉田

 PRIDE、ハッスルを主催するDSEが、フジテレビとの契約解除で取りざたされる暴力団との関連、事業規模の縮小を完全否定した。榊原信行社長(42)が8日、都内のホテルで会見。集まった選手54人、ファン約600人、報道陣約250人の前で、初めて事情説明をした。興行は予定通り開催し、大みそか恒例の男祭りは継続。初の米国進出まで正式に発表した。地上波テレビ放送がなくなったことへの、影響がないことをアピールした。(ニッカンスポーツ)

 このあとの文に「フジテレビからの放映料は全収入に10%から15%」とある。その程度だったのか。なら金銭的にはたいしたことはない。
 ただ「SRS」も今後一切『PRIDE』には触れないという。この辺のダメージは大きいだろう。収入の90%がチケットだとしても、そのチケットに関して「SRS」を始め、フジが常に前宣伝をしてくれた。フジの後押しがあったからチケットが売れた。それがなくなっても今までの売り上げを維持できるのだろうか。(6/9)
8/7

 不可解な試合──桜庭が死ぬ!

 試合開始早々いきなり桜庭が失神状態に追い込まれた。「止めろ!」と叫ぶ。意識がもう飛んでいる。ノックアウト状態だ。なのに止めない。ひどい話だ。もしもこれが逆の立場、桜庭が攻め込んでいたならすぐに止めて「桜庭、秒殺!」と浮かれていたろう。大金を使って引き抜いたドル箱にここで秒殺負けされたら困るのか止めない。
 その後、意識のない桜庭は両腕を振り回し勝つには勝ったが、あきらかに相手が引いていた。目がいっちゃった状態で両手を振り回す桜庭を気の毒げに見ている。試合後も「なんで試合を止めなかったのか」と彼は語っている。ひどいことをする。なのにテレビは浮かれていた。極めて不愉快である。

 こんなに不愉快になったのは、3年前のあの「魔裂斗とブアカーオ」の試合以来だ。明らかにブアカーオが勝っているのにわけのわからんドローで延長戦に持ち込む。その辺から見つけてきた噛ませ犬候補のブアカーオに優勝されては困ると延長戦での魔裂斗の逆転ノックアウトを期待した。ひどい試合だった。力が違うのだからあり得ない。後に魔裂斗自身がブアカーオに失礼だったと発言しているし、ブアカーオは今年も優勝して史上初の2回優勝を成し遂げて力を示したから溜飮は下がったが。
 八百長の定義にはいろいろあるが、K-1がよくやるこの手法が最も醜いと思う。
 それでも魔裂斗とブアカーオの試合は、ルールの中で行われていたし、魔裂斗はブアカーオに翻弄されてはいたが、まだまともに闘っていたからいい。今回のは最悪だ。命に関わる話である。

 桜庭が大逆転勝利と浮かれてるいる中で、翌日「桜庭を殺す気か」とスーパーバイザーの前田が激怒していたと知ってやはりと思った。それにしてもひどい。あのままだと大事件が起きてもおかしくなかった。
 ああいう試合とか、ドン・フライと高山の殴り合いを讃えるような人とは話す気になれない。

 山本KIDのイレズミ問題

 山本KIDのイレズミは長姉・美憂の元亭主エンセン井上の影響である。最初「大和魂」と線彫りしていたエンセンのイレズミ狂いは次第にエスカレートし、しまいには体中イレズミだらけになっていった。

 2004年の春頃、果たして「イレズミ雑誌ブーム」というのがあったのかどうか知らない。田舎の本屋でやたらイレズミ雑誌が目立った。あれは不思議な光景だった。イレズミにはまったく興味はなく、むしろ毛嫌いしている方なのだが、何冊も派手に並んでいるのに目を引かれ手にしてみた。

 その中にエンセンのインタヴュウがあった。彼のイレズミは趣味人のあいだでも有名人らしい。とはいえそういう本のメインは龍や虎や、女だと牡丹等のカラフルなイレズミであり、体中に文字を中心とした落書きみたいなイレズミをしているエンセンが、その雑誌を購入する人たちに支持されているとは思えなかった。

 そこでエンセンはなんと「手のひらにイレズミ」を彫ったのだと告白していた。これには彫り師も初めての経験だとおどろいたという。
 この記事を読んだのはたまたまのようでそうではない。イレズミ雑誌を手にしても私はそれには興味はない。目次からエンセンの名を見つけ、挌闘技ファンとして彼の部分に目をつけて読んだことになる。いやそれ以前に「イレズミ雑誌だからエンセンが載っているかも」と思って手にした。そういう意味ではこの出会いは偶然だが必然になる。読んで良かったと思っている。
 そこでエンセンは「イレズミ中毒」と自嘲気味に語っていた。その気持ちはわかる。あそこまで行くともう病気なのだろう。それは書き上げた文章をそのままにすれば完成なのだが、一度手を入れ始めると、二度三度、十度、二十度と際限なく手直ししてゆくのと似ている。彼は体というキャンバスに描いた作品に手を入れねばいられないのだろう。それはもう入れるところがなくなまるまで続く。手のひらにまで入れているのだからもう実質的にないのだろうが。

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 これは最も初期の写真。彼のホームページに載っていた。載せられる範疇なのだろう。これぐらいならまだよかったのだろうが(よくないか)、このあと体中に隙間のない「卒業の寄せ書き」のような体になって行く。今はもう隙間はない。
 まったく彼の美意識とはどこにあるのだろう。私には理解できない。自分の体を一生消えない線彫り寄せ書き状態にしてなにが楽しいのだろう。

 彼のサイトやその他を探しても、現在のイレズミだらけの写真はUPされていないようだ。今の彼はイレズミを誇る心境ではないと思われる。

 エンセンと美憂の離婚がいつだったのか知らない。この時期(手のひらにいれた頃)はもうしていたのか。まだだったか。美憂がこどもをほっぽり出して夜遊びばかりしていて、こどもがかわいそうだと嘆いていたのはこのころだったか。こどもは美憂と前夫の子である。エンセンは美憂の二度目の夫だ。実の母が我が子をほっぽり出して遊びほうけ、義父のエンセンが幼い子の面倒を見ていた。ひどい話である。エンセンの心優しが解ってほのぼのともしたが。

 その後、美憂と離婚する。というか逃げられた。美憂は今度は年下の男と三度目の結婚をする。また子供が出来た。なんだかよくわからん娘さんである。というかあの一家がよくわからん。
 エンセンの影響で美憂もイレズミをしていた。手首に48と入れていた。自分の戦ったレスリングの階級の記念だとか。

 しかし最もエンセンの影響を受けたのは義弟になる山本KIDだった。それはもう「イレズミのセンス」がまったく同じ事からもよくわかる。褒めことばではない。非常にセンスが悪い。あちこちに落書きイレズミである。さらには略奪愛の形まで似ている。KIDの結婚ウンヌンにまで触れる気はないが。
 と、エンセンと山本家の関係やゴタゴタに関して語ろうとしているのではないのでこの話はここまでとして。


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KIDがテーピングで不利に

 山本“KID”徳郁(29=KILLER BEE)が、北京五輪への第1歩となるレスリング全日本選手権(26~28日、東京・駒沢体育館)で思わぬ逆風を受ける。日本レスリング協会は、同選手権フリー60キロ級に出場する山本の両腕のタトゥー(イレズミ)をテーピングで隠して「自主規制」することを決定。テーピングが滑り止めとなり、相手に腕をつかまれやすくなるため、勝負を左右する組み手争いで不利となる可能性が出てきた。

 アマ復帰戦となる全日本を前に、「神の子」にさらなる逆風が吹いた。当初から不安視されるブランクからくる調整不足ではない。今回は山本の象徴ともいえるタトゥーに対する物言いだった。日本協会関係者は「腕の部分だけタトゥーをテーピングで隠してもらう」と明かした。

 問題はタトゥーを隠すテーピングにある。レスリングは両者の組み手争いが勝敗を左右する。本来なら試合が進むと汗をかいて肌が滑りやすくなり、お互いが腕を取りにくくなる。だが、山本の場合、テーピングが「滑り止め」の役割を果たしてしまい、腕をつかまれやすくなる可能性があるからだ。

 国際連盟の競技規則にはタトゥーに対する取り決めはなく、国際大会では体の目立つ部分にタトゥーを入れている選手も多い。日本でも若者のファッションとして定着しつつあるが、一方で悪いイメージが根強く残っていることも事実。02年日韓W杯でイングランド代表MFベッカムが真夏にもかかわらず長袖でプレーしたのも、日本での反響を考慮し腕のタトゥーを隠すためだった。全日本は日本テレビの放送もあるだけに、日本協会は事前に雑音を封じるため、苦肉の策を取ったわけだ。

 早くも日本協会には山本がタトゥーを公にして試合に出場することに対する賛否両論がメールで送られてきているという。(以上、写真も文もニッカンスポーツより)


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 山本がオリンピックを目指すと聞いたとき、真っ先に浮かんだのが「イレズミはどうするのだろう」だった。それが気になっていた。すると今回この記事を目にした。やっぱり、と思った。まあそれだけの話である。

 そのこと自体は応援したい。三十間近のプロ挌闘家からかつて目指したアマチュアの晴れの場に転身できたなら、それはそれで拍手を送りたい。だがセンスの悪い落書きのようなイレズミを体中に入れているのが日本代表としてオリンピックに出るのはいかがなものか、とも思う。あの体でオリンピックに出たら恥ずかしい。日本の恥だ。写真じゃ腕だけしか見えないけど実際はもっと「寄せ書き」があるのだ。
 その後、とてもオリンピックに出られるレヴェルではなく、学生連中と練習してもフォールを奪られているとの報道もあり、安心したというか落胆したというか奇妙な気持ちに陥った。

 たしかなことは、姉と妹はレスリングの優等生であり実蹟もあったが彼はそうではなかったという事実である。(まあ男と女では層の違いもあるだろう。)
 いわば一度コースアウトした人がプロ挌闘家として脚光を浴びたことからもういちど「諦めた夢」にチャレンジしようと思ったわけで、これは安倍首相の言う《人生二毛作》(笑)の好例になる。そこのところはすなおに応援したいと思う。

 あの父親の発言も謎である。世界選手権で実蹟のある姉や妹と比して、「KIDがいちばんすごい。(姉や妹とは)ものが違う」と発言したらしい。(テレビのアナがそう語ったのでありインタヴュウのように彼自身の発言として確認したわけではない。)だけどそんなにすごいならなんでアマチュア実蹟がないのだろう。リップサービスなのか。

 もうひとつ彼が世に出てきたとき真っ先に思ったのは、身長のことだった。オリンピック代表にまでなったレスリング選手である父は、自分の果たせなかった夢を叶えてもらおうと娘や息子にレスリングの英才教育を施した。当然骨太になるように栄養にも気を遣ったはずである。それであんなにちびっ子なのだ。田舎で質素なものを食って育った私なんかよりもちいさいのだから世の中むずかしい。

 イレズミで思い出すのは大相撲の琴天太である。本名のジョン・テンタから佐渡ケ嶽部屋特有のこの名になった。すぐに「響きが弱い」ということから琴天山に改名している。序の口から19連勝し無敗のままトラブルを起こして引退した。無給の幕下なのに年上の日本人女性と同棲したり問題児だった。佐渡ケ嶽部屋はあれでもう外人はこりごりとなったのかもしれない。後のプロレスラー、アースクエイク・ジョン・テンタである。もう故人だ。時の流れるのは早い。
 彼は腕に虎のイレズミがあった。それを包帯で隠して土俵に上がっていた。その後イレズミ力士は見ていない。大相撲では厳禁のようだ。たぶんハワイなどサモアン系の青年で相撲の天分に恵まれているので是否ともスカウトしたいが、イレズミを入れているので断念した、というような話はいくつかあるはずである。

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 この話の落ちはどうなるのだろう。イレズミを隠したテーピングが不利になり山本は負けるのか。それが話題になるのか。それともその不利を克服して勝って注目を集めるのか。ただ前記したように事実として山本の現在の実力は決して抜きんでてはいない。「テーピングをしていたから負けた」のような話は聞きたくないと思う。
 それに、もしもイレズミを本格的に隠すとなったら山本ザ・マミー(=ミイラ男)になってしまう。

 どのような結果になるにせよ、このことが話題となり、青少年が安易にイレズミを入れることに対する警鐘になればいいと願っている。


入れ墨考


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 あっけない敗退(笑)

KID脱臼、北京は絶望的/レスリング

井上謙(下)の巻投げに右腕の関節が外れてしまった山本”KID”徳郁(撮影・鈴木豊)
井上謙(下)の巻投げに右腕の関節が外れてしまった山本”KID”徳郁(撮影・鈴木豊)

<レスリング:全日本選手権>◇最終日◇28日◇東京・駒沢体育館◇男子フリー60キロ級

 05年HERO’Sミドル級世界王座でアマチュア復帰した山本“KID”徳郁(29=KILLER BEE)が、屈辱的な惨敗を喫した。初戦こそ判定勝ちしたが、2回戦でアテネ五輪銅メダルの井上謙二(自衛隊)にわずか16秒でフォール負け。巻投げを浴びた際に右ひじを脱臼した。すぐに救急車で都内の病院へ急行。診断の結果、全治3~4カ月と診断された。本人は6月の全日本選抜出場へ意欲を見せていたというが、北京五輪への道は極めて厳しくなった。

 山本が右手をマットについた瞬間、右ひじがあらぬ方向にグニャリと曲がった。開始直後、井上謙に右腕をつかまれ、強引な巻投げを受けたときだ。プロのリングで圧倒的強さを誇る王者が、顔をゆがめ、左手で異常を訴えた。わずか16秒で屈辱的なフォール負け。秒殺された。

(ニッカンスポーツより)


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 入場は有料となり中継する日テレは前日など特番もどきでたいへんなはしゃぎようだった。TBSの亀田兄弟に倣ってドル箱にしたかったらしい。
 この結果はアクシデントでもなんでもなくごく当然の結果だろう。写真の赤のユニホームが山本である。この投げが決まったのは手首にイレズミ隠しのテープを捲いていたからとも言われるが、私は実力であると思う。

 彼の上半身裸の正面写真がスポーツ紙にあった。その写真を見ると、彼の腹部、へその近くには鎌首をもたげたヘビのイレズミがある。ヘビはどこにいるか? もちろんパンツの中である。パンツの中にいる極彩色のヘビが鎌首をもたげ、頭だけパンツの上に出している絵柄だ。なんとも下品でたまらない。この入れ墨になんの意味があるのか。須藤元気が背中に彫ったナスカの地上絵の鳥なら、入れ墨は嫌いだけれど、まだなんとかその気持ちがわかる。山本の入れ墨は醜悪なだけである。

 もしも勝ち上がったとしたら、今後は写真のようなレスリングユニホームを着、両手首にテープを捲いて入れ墨は隠して出場したと思われる。私としてはこんなイレズミのある人に日本代表になってもらいたくないとあらためて思った。
 本人は今、あの醜い落書きをどう思っているのだろう。悔やんでいるのか。それとも今も誇りに思い、元義兄のエンセンのように、これからも増やしてゆくつもりなのか。聞いてみたいものである。


 秋山ぬるぬる問題

 大晦日の桜庭対秋山問題が尾を引いていた。桜庭がすべると抗議しているのに聞き入れられず秋山の一方的な攻撃で終ってしまった。それに対して2ちゃんねるでは異様な盛り上がりを見せていた。延々とスレが立てられ秋山批判が続いた。

 私の気持ちは、一に「秋山は怪しい。柔道時代からの問題児であり同じようなことをしたことがある。だからまず塗っている」の黒判定であり、二に「でも塗っていなかったとしても桜庭は勝てたのか!?」だった。これは桜庭ファンではないからであり、熱心なファンだったならこの感覚は生まれなかったろう。

 私は桜庭が挌闘技界に残した実蹟をすなおに評価するけれど、かといって熱狂するほど彼が強いと思ったことはないので、むしろ過大に評価され日本人エースとして持ち上げられる彼をいたましいと思っていた。からへの移籍もシウバやショーグンクラスにはもう歯が立たないことが見えていたからサプライズ移籍とはまったく思わなかった。むしろ都落ちの感覚だった。またこの業界では毎度のことであり、どちらに味方するというわけでもないが、UWFを通じて生涯の師弟関係、親友だと思っていた高田との絶縁にも鼻白んだ。

 秋山にはもともと興味がない。ずいぶんと貧相なのヒーローだと思っていた。軽量級のちびっこ山本KIDにも興味がない。私は好き、にあまり興味なし、なのだった。とはいえの五味にも興味はない。「挌闘技はヘビー級」が私の好みになる。と書くと「じゃあ曙が好きか!?」と問われそうだ。大きな期待を寄せて、曙に関する文章を書いているから、これもきっちり結論を書いておかねばならない。

 両者にさほど興味がないので今回の問題は私にとって熱くなるほどのことではなかった。
 2ちゃんねるでの盛り上がりも、秋山の在日問題に触れたりして(触れるというよりそれがメインか)、純粋に桜庭ファンが怒るというより「祭りのための祭り」のようだった。
 しかし今回明確な結論が出た。それは記録しておくに値すると思う。

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秋山失格…“オイル疑惑”にクロ裁定──デイリースポーツ


謝罪する(右から)秋山成勲、谷川貞治プロデューサー、磯野元ルールディレクター、平直行審判長、梅木良則レフェリー=都内のホテル

 マット界に“オイルショック”!!大みそかに京セラドーム大阪で開催され、TBS系の全国中継で民放首位の高視聴率を稼いだK-1系格闘技イベント「Dynamite!!」のメーン、秋山成勲(31)=フリー=-桜庭和志(37)=フリー=戦について、大会を主催したFEGが11日、都内で会見。禁止されているクリームを全身に塗っていた秋山を「失格」とし、ファイトマネーを全額没収する厳罰を下した。秋山の勝利は取り消され、ノーコンテスト(無効試合)となった。

 渦中の秋山が会見に出席し「弁明の余地もありません。しっかり桜庭選手の目を見て謝罪したい」と頭を下げた。紅白の裏番組では史上2位の高視聴率をマークした「Dynamite!!」。中でも瞬間最高25%を記録した国民注視の大一番が前代未聞のアクシデントで失墜してしまった。

 疑惑は別表の2点。審判団の検証でグローブの疑いは晴れたが、一方で“クロ”と認定されたのは桜庭が「すべるよ!」と再三抗議していた“オイル疑惑”だった。

 バックステージの映像で、秋山が全身にクリームを塗っていることを確認。事情聴取では乾燥肌用の米国製クリームを使ったことが判明した。成分中のワセリンやグリセリンに、水分を含ませるとかなりヌルヌルするという。

 公式カメラの前で堂々と塗っていることや、素直に認めたことで悪意のない「過失」と認定されたが、ルールではあらゆる塗布物が禁止されている。審判団にふき取られて試合が成立した場合はファイトマネーの10%の罰金となるが、今回は審判団が確認できず試合が終ったため無効試合とされ、秋山は反則負けより重い失格となった。

 それでも怒りが収まらない桜庭は「処分内容には納得していない」とのコメントを発表。秋山に対して「関係者、(セコンドの)清原選手、一緒に入場した子供たち、ファンの方に対して、謝れば済む問題ではないけど、謝って欲しい」と、猛省を促した。

 谷川貞治プロデューサーは再戦での決着に否定的で、秋山の復権は“イバラの道”。桜庭から秋山へ時代が移った-かと思われた“世紀の一戦”は一転、後味の悪さで歴史に残ることになった。



 この件に関してもうひとつの興味は、異様な秋山贔屓をする「みのもんたの動向」だった。亀田や秋山を応援するみののモーニングショー(朝ズバ!)には試合翌日の彼らが出演する。みのは会場に駆けつけて彼らと抱き合ったりする。
 当然今回の場合みののコメントがあると思っていた。かといってそれ目的で見る気もない。すぐに2ちゃんねるが拾っていた。たすかる。

40 名前:名無しさん@恐縮です[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:48:12 ID:480CHSfg0
みのもんた 概略

5時台
「秋山くん ハッキリ言うぞ、これは汚名だ!汚名を返上するためにはどうしなければいけないかはわかるだろう。
 入場で先導してくれた子供たちのためにも一から出直せ」

「乾燥するとか、クリームとかね!男ならそんな物は塗らない!自分で分かる筈!」 

6時台
「・・・潔く(このフレーズ連発) 謝ったね。みーーーんな応援してんだから、今後は頑張ってもらいたいねぇ!秋山クン」

女子アナにファイトマネー没収を振られ、   「当然です!」

「再戦して決着つけたらいいね!(何回も発言)   試合後は、わたしの番組に(両人に)来てもらいたいねww ウエーーハッハ!!」

「桜庭選手の言っていることは正しい。正しくて当然ですよ。でもね、当然のことはね、これ以上はね・・・  いわないほうがいい
    
            これ以上押し通そうとするとね・・・・反動が来ますよww  

「主催者が厳しい処分を下した。それを(桜庭がw)真摯に受け止めないと」 

「この素晴らしい大会(K-1ダイナマイッ!)はね・・・」


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 みのもんたは異様に「日本人も朝鮮人も元は同一の民族なのだから」を主張する。というか拉致問題等を語るときもそれで始まりそれで終る。それしかない。大の秋山贔屓にそれが関係しているのかどうかは知らないが。
 これは錦の御旗であってこれさえ言っていれば逆らえる人はいない。私は比較的みの支持者であり、クメやチクシの切り口を変えた彼を評価しているのだが、北朝鮮問題をこれでしか語れない彼には物足りなさを感じた。だが彼のいちばんの強さ(=うまさ)は、そういうときにも「私はジャーナリストじゃありません。ただの芸能人です」と言い切ってしまうところだった。この辺が根っからの芸能人なのに高尚なジャーナリストぶろうとするクメとの違いになる。とはいえみのの戦法はアンチクメから出たものだろうが。

 秋山は柔道時代にも「胴衣ぬるぬる問題」を起こしている。日本柔道界の汚点である。しかしこれも本人が「ハミングをつけて洗い、それを落とさないままにしておくと、試合中汗でぬるぬるしてきて掴みにくくなる」と得意げに(見たわけじゃないけど)ハミングアウト、いやカミングアウトしているのだからなにをかいわんやである。これを悪気が無いというのなら、間抜けなバカということになる。

 今回もテレビカメラの前でクリームを塗っていたことから、《公式カメラの前で堂々と塗っていることや、素直に認めたことで悪意のない「過失」と認定された》らしいが、問題はそういうことを自然にやってしまう精神にある。それを在日や帰化と結びつけて論じる気はないが、長州力もそうだったように、朝鮮と日本のあいだで揺れ動きどっちでもなくなってしまった人の悩みが勝利至上主義に走る傾向は無視できないだろう。

 リングにも登場する秋山のお母さんは銀花さんという。この美しい名は朝鮮人には一般的で、日本人がきれいな名前だねと褒めると、ありすぎていてイヤと若い娘は応えたりする。このお母さんもハミングを残しておくことが息子の勝利に有利に働くとなんの迷いもなく協力していたわけで、やはりこの問題、どうでもいいようなことだが、掘り下げる気なら底は深い。
3/24(土)
 『PRIDE』身売り

PRIDE身売り…UFCが十数億円で買収

 総合格闘技イベントの「PRIDE」が、米最大の総合格闘技団体「UFC」に十数億円で買収されていたことが23日、複数の関係者の話で明らかに なった。27日午後5時から東京・六本木ヒルズアリーナで公開記者会見を行い、UFCのダナ・ホワイト社長はじめ選手らが出席して大々的に公表する。

  1997年に誕生したPRIDEは、高田延彦VSヒクソン・グレイシーなどの一戦で人気を集める一大イベントに成長。だが、00年から放送してきたフジテ レビに昨年6月契約解除され、番組打ち切りとイベントから完全撤退された。年間十数億円とも言われる興行権料、放映権料などの収入源とともに大きな母体を 失った後もイベントを存続させていたが、かねてからの選手の高額ファイトマネーなどがかさみ、ついに力尽きた。

 関係者によれば、会見では UFCとPRIDEの「提携」が発表されるようだが、実質的にはUFCに完全に吸収されるという。主催会社DSE(ドリームステージエンターテインメン ト)の榊原信行社長は退任。DSEは事実上清算され、UFC直系の新会社が設立される見込みという。「PRIDE」の看板が消滅するかどうかは不明だが、 4月8日の「PRIDE34」(さいたまスーパーアリーナ)がDSE主催の最後の興行になりそうだ。

 DSEはこの日、公式サイトで「重大発表公開記者会見」の開催を発表。「ファンの方々、マスコミ・関係者の皆様方に向けてPRIDE史上最大の発表を行います」と予告しているが、内容については触れていなかった。

(2007年3月24日06時04分  スポーツ報知)

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 根強く流れていた噂なので驚くというよりは「やっぱり」である。
 フジテレビの撤退はそれほど関係ないだろう。「金になる」と判断して金のあるアメリカ人が本気で商売しようと思ったら、一気に飲み込まれたということである。ファイトマネーも高騰していたしもうどうしようもない状態だった。
 まあしょうがない。最初の『PRIDE』から今まで楽しませてもらったことに感謝しよう。これからどうなるのか知らないが、今まで楽しんできたのは日本初のフジテレビとタッグを組んだ日本製の『PRIDE』だった。UFCも日本市場を意識してそういう部分を遺すのか、それとも完全にアメリカの『PRIDE』にして、日本はそれを見せてもらう形式になるのか。
 いずれにせよひとつの時代が終った。金の力で振り回されるのは悔しい。サッポロビールの例と同じだ。

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『PRIDE』オフィシャルサイの告示

来る3月27日(火)にPRIDE公開記者会見を開催します。
この記者会見にてファンの方々、マスコミ・関係者の皆様方に向けてPRIDE史上最大の発表を行います。

本記者会見は報道関係の方だけでなく、一般のファンのみなさんも参加可能な「公開記者会見」とさせて頂きます。参加費は無料です。
参加希望の方は27日(火)17:00に、六本木ヒルズアリーナにお集まりください。



【重大発表公開記者会見】
受付時間:3月27日(火) 17:00受付
※記者会見は、18:00開始予定です
受付場所:六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木 6-10-1)
参加費:無料
ご注意:ご着席いただくイスには限りがあります。満席の際はご起立されたままの
ご観覧となります(ご観覧いただく人数の制限はありません)


 なんだろうね、これ。「史上最大の発表」が身売りじゃ笑えない。中身があるといいけど。


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UFC、PRIDEで格闘技Wシリーズも

 PRIDEを主催するDSEの榊原信行社長(43)が27日、東京・六本木ヒルズアリーナで会見し、PRIDE34(4月8日、さいたまスーパーアリーナ)を最後に、退任すると発表した。新オーナーには世界最大の総合格闘技団体UFCを主催する、ズッファ・エンターテインメントのオーナーでもある、ロレンゾ・フェティータ氏(38)が就任する。金額は明かされなかったが、PRIDEに関する全権利はフェティータ氏に譲渡され、大会名のPRIDEの看板は残る。

 榊原社長を除くDSEの全社員は、PRIDE34後に1度退職の形を取り、今後はズッファ社の資本のもとで設立される新会社「PRIDE FC ワールドワイド」に再就職する。榊原社長は「DSEは資本金2億円程度の手こぎボート。ボードッグなどの資金力豊富な新興団体などに対抗するため、いかに高速船に乗せて動き出せるかと考え、たくさんのオファーをいただいた中で、戦友でもあるロレンゾに決めた」と経緯を説明した。

 会見には榊原社長に紹介される形でフェティータ氏や、UFCのダナ・ホワイト社長も同席した。フェティータ氏は「6年前、UFCを買収した時は、UFCを大きくしていこうと思っていた。でも今回は違う。PRIDEはすでに大きな存在だから。このブランドのすばらしい価値を維持していきたい」と話した。

 ホワイト社長は「ロレンゾがUFCとPRIDEの2つのオーナーになろうが関係ない。私はただ、PRIDEをたたきのめすだけだ」と笑顔で話し、良いライバル関係を築いて、切磋琢磨(せっさたくま)していきたい考えを示した。また、今後はUFCとPRIDE間で「格闘技ワールドシリーズ」と題した、積極的な交流戦を計画していることも発表した。

[2007年3月27日23時51分]ニッカンスポーツ

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 ということだそうな。
 『PRIDE』とは、UWFからパンクラス、リングス(あるいはシューティング)という、「そういうこと」にこだわる日本人挌闘家とファンが作り上げた夢の象徴だった。アキレス腱固めに沸いたUWFからヒョードルの強さまで一本の線で繋がっている。
 対して乗っ取りに来たこのイタリア人投資家の思惑は「金になるから」である。それだけでしかない。そのことにウェットな感情を抱くことは禁物であろうが……。

 『PRIDE』の基礎を作ったのは主要選手の名を挙げるまでもなく前田のリングスである。経営が行き詰まったとき、その貯金を吸い上げて成功したのが『PRIDE』だった。これまた「一連の流れ」と言えるかもしれない。
 自分の蓄えをさらって成功されたことに対し前田は今でも不快であろうが、それでも『PRIDE』はリングスよりおもしろい世界を見せてくれた。私はここでリングスを礼賛する気はない。『PRIDE』の方がおもしろかった。

 だから大きな金の流れに吸い込まれてしまった『PRIDE』が今まで以上の世界を見せてくれれば、これはこれでよかったのだと思うだろう。だけどどうなのか。私の感覚では『PRIDE』とUFCは異なるものである。
 どうやら今のところ、今までの『PRIDE』の価値も考慮して、以前のようにやってくれそうな気配もある。
 また関わるフジや今までのスタッフの意見が尊重されるといいが……。

11/1

「PRIDE」が消滅!

運営事務所が突然閉鎖、スタッフ全員解雇

2007.10.5 03:00
 「PRIDE」が事実上、消滅した。DSE(ドリームステージエンターテインメント)から運営を引き継いだ「PRIDE FCワールドワイド」の都内事務所が4日、突然閉鎖され、約20人のスタッフ全員が解雇された。

 同社の元スタッフによると、米国在住のジェイミー・ポラックFC社長が3日にスタッフに招集をかけ、この日朝、電話による会議の席上、「20分以内に事務所から出ていってください」と、一方的に解雇を通告したという。

 97年10月に産声をあげたPRIDEは、4月8日の同34をDSE主催の最終興行とし、米UFCも所有するロレンゾ・フェディータ氏(米国)が発足させた「FCワールドワイド」が、5月のライト級GPから、新生PRIDEを再スタートさせる予定だった。だが、準備不足を理由に同GPは延期され、開催されないまま突然幕が下ろされた。(MSN Sankeiより)

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知らなかった。もう一ヶ月前になるから旧聞に属するが、記録しておこう。97年からちょうど10年、わくわくさせてくれた『PRIDE』が完全に消滅したわけだ。「ぷらいど」と打つと『PRIDE』と変換されるよう辞書登録したこの文字ももう使うこともない。削除するか。

 『PRIDE』は高田とヒクソンで始まった。
 きょうテレ東でハッスル中継があった。偶然チャンネルがあい、見ることが出来た。よかったのかわるかったのか……。
 坂田亘とHGが組んでヘッドハンターズと闘っていた。HGは大学時代プロレス同好会にいて体も出来ているしプロレスもわかっているから、ああいうお笑いプロレスをやることに文句はないのだが、坂田は女房の小池栄子が職業をあえて必ず「挌闘家」と言い、プロレスラーとは一線を引いているのだから、やっていることがちょっと気になった。あれでいいのか。前田の意見を聞いてみたい。先日K君が「すごく画質のいいリンチ事件を見た」と言っていた。前田がリングス時代に坂田にしたあれである。ひどいものだった。私も見ているけど、この場合の「画質のいい」ってなんだろう(笑)。誰かあらたにデジタル処理でもしたのか。「画質がいい」ものがあるなら「前田アンドレ」を見たい。私の見たのはひどい画質だった。

 『PRIDE』はリングス抜きでは語れない。ヒョードルもノゲイラも前田が発掘してきた選手だった。『PRIDE』に金で引き抜かれた。その『PRIDE』が金の力で潰れたのだからこれもまた因果応報か。すくなくとも前田はそれを口にする資格がある。かといって非難はしない。弱肉強食は世のならいだ。前田は悔しいだろうけど世の中そんなものである。

 弟分の高田がヒクソンに敗れたとき、オレがやらなきゃ誰がやる、と前田は敢然と仇討ちを買って出た。資金を借り集め、リングスで実現間近だった。それを横からまた金の力でさらったのが、もうやらないと言っていたはずの高田であり『PRIDE』だった。ヒクソンがより金の良いほうに寝返るのは自然である。前田には借金だけが残った。このことから二人は完全に絶縁する。
 またも敗れた高田だったが『PRIDE』の本部長となり安定したポジションを得る。ほんの数日前、高田がUインター時代に背負った三億の借金を数ヶ月まえに返し終ったと話していた。『PRIDE』とハッスルのお蔭である。

 ハッスルに高田総統が出ていた。隣に川田とボブ・サップが立っている。その横っちょには奇天烈なサングラスを掛けたアン・ジョー司令官もいた。

「あんなヤツ、高田さんが出るまでもありませんよ。オレで十分です」
 Uの大会。そう言って安生がヒクソン道場に殴り込んだ日を思ったら涙が出そうになった。そういや「泣き虫」って本があったな。かわるかわる。なにもかもが。
 『PRIDE』での高田の「でてこいやあ!」をくりぃむしちゅうの有田が真似てネタにした。これは秀逸だった。高田が物まねのネタになるとは思わなかった。長州小力の「きれてないっすよ」も有田のネタだ。小力は知っていても本家の長州を知らない人が多い時代。長州力の子供達が小力の真似をするので本人がうんざりする時代。だけど、と居直って小力と「夢の競演」をする時代。
 いまその高田の真似をする有田の真似を高田が真似、「でてこいやあ!」と大げさにやって笑いをとっている。なにがなんだかもう。でももちろんぜんぶ認める。体外受精で授かった双子の男の子を育てるためだ。ピエロになりきれるお父さんはえらい。

 K-1からやってきたミルコ。小泉首相と握手し、ひげそりのCMに出ていたのも遠い時代のように思える。
 どうしてもシウバに勝てない桜庭。一緒に経営していたジンギスカン屋をやめて高田と縁を切ったのは正解だったのか。桜庭は沈む船から逃げたのか。

 残ったのは何枚かのDVD。20枚ぐらいある。これはゴミか宝物か。

 プロレスを殺して『PRIDE』は去った。
 残ったのは居直ったプロレス。割り切って楽しむ観衆。
 憂鬱な党派は宙ぶらりん。

 深夜、『NOAH』を見た。RODに挑む丸藤と杉浦。どう見ても外人側のほうが強い。でも逆転勝利。ハンセンやブロディと闘う猪木、藤波を見ているようでみょうに懐かしかった。


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