Windows10 体験記

 Windows10の、7や8ユーザーに対する無料配賦日は2015年7月29日である。この種のことが大好きだから,その日の来るのを楽しみに待っていた。それはブログに書いた。そこで「あたらしいもの好きの人柱好きは、7月29日にWindows10にUpgradeし、早速7月30日から10の愚痴を連載するのではないか。乞う御期待」と書いている。まずはそのへんからの話から。



 MSから「Windows10への無料Upgradeを予約するか」と問うてきた。メールではなくいきなりディスプレイ右下にその連絡が浮かんできた。あたりまえのことではあるが、WindowsはMSに完全管理されているのだなとイヤ~な感じがした。あちらはこちらのすべてを掴んでいる。実生活に例えるなら、メールはドアをノックするようなものである。「もしもし、トントン、わたし、MSと申します。いらっしゃいますか?」と、MSと使用者のあいだにはドア一枚がある。拒むことも知らんふりも出来る。一方これは、帰宅したら「あ、おかえんなさい、待ってました。MSです」と部屋の中にあがりこんで待っていたようなものだ。どうして入ったんだ。鍵はどうしたんだ。自由自在。なんとも不快である。
 しかしあたらしいもの好きであるから、すぐにそれに応える。予約した。もう忘れていたがブログの文を読んで、それが2015年6月4日のことと知る。予約したらメールが来た。下のようなものである。



 それ以来この画像のようにタスクバーに「田んぼマーク」が点くようになった。あまり気分のいいものではない。2ちゃんねるのWindows板でこれを消すテクニックが披露されたのも当然だった。私はUpgradeしたら消えるだろうとほっておいたが。いや実は消す手順がけっこう面倒なので「ま、いいか」とサボった。

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 月日はあっと言う間に過ぎる。すぐに7月になり、月末が近づいてきた。XPで満足していて、そのまま使い続け、Vistaにも7にも手を出さず、XPがフォロー打ちきりになったのでしかたなく8にした、なんてひとには判りづらい感覚だろうが、新OSが大好きで発売のたびに即購入する私のようなものは、いやいや発売前の実験版から手を出しているアホは(ほんとにアホだと自覚している。でもそういうことが好きなんだからしょうがない)、「10のUpgradeもうすぐだなあ、どんなOSなんだろう、ガッカリするのかなあ、いやいや新機能におどろくかもしれない、復活したスタートメニューってどうなんだろう。たのしみだなあ」と7月29日を待ちかねていた。Vistaにも7にも8にも人柱として実験版から関わったが、今回は手を出さなかった。8でのうんざりするほどの苦労と失望感は大きかった。いまだに思い出す。思い出したくない。今回は人柱体験をしていない分、Windowsの最終型になるという10にはより興味をだいていた。とはいえ新OSでさんざんイヤな経験をしてきているから慎重でもある。たいせつな現OSをいきなり新OSにして動かなくなった、泣くに泣けない、というほど初心者ではない。

 私の自作機は、Intel240GB-SSDとAData256GB-SSDにWindows8.1を入れている。8.1のデュアルブート状態。そのIntel-Win8.1のほうだけをWindows10にUpgradeするつもりだった。予約もこちらだけいれた。しかしなにもしなくてもAData256GB-SSDの8.1にもUpgradeのお知らせは届き、望んでもいないのにタスクバーに田んぼマークが点いていた。そちらには「Upgradeを予約します」の返事はしなかった。返事をしなくてもタスクバーに田んぼマークはついたままだ。イヤ~な気分。

 無料Upgradeの期間は一年間。その後、サポートを切って行くから、7や8、8.1のユーザーはこの一年以内にUpgradeしないとまずい状況に陥るらしい。その辺の姿勢も不快ではあるが隷属しているのだからしかたない。アメリカと日本の関係に似ている。7月29日にIntel-Win8.1を10にして、たぶん当面不具合が続くであろうが、それはそれであたらしいOSにしたときは毎度のことだ。なるべくイライラせず、他人事風にそれらの解決度合を横目で見つつ、安定しているAData-Win8.1をメインに、時たま「Windows10なるもの」を体験する予定だった。



 7月29日になった。いよいよである。
 私は大きな勘違いをしていた。それは「7月29日になったら自然にWindows10のUpgradeが始まる」と思っていた。強制的ではなく、「すぐに10にしますか?」ぐらいは訊かれるだろうが、「自動で10のファイルはDownloadされてしまう」と思い込んでいた。そうではなかった。その日になっても田んぼマークは消えない。どうしたのだろうとクリックしたら下のような画像に繋がる。





「準備が出来たら通知する」であり、その通知待ちなのである。MSのサイトに行き、Windows10のファイルをDownloadし、ISOをDVDに焼いたりUSBに挿れたりして10にUpgradeすることは出来る。しかし上の画像にあるように「わしらがええよと言うまで待ったほうがほうがいいと思うよ、フフフ」と言われれば,待つ。早まったら何が起きるかわかったものではない。

 30日、31日、ずっとそのままである。通知は来ない。8月になった。3日、4日と過ぎて行く。来ない。どうしたのだろう。遅い。なにかトラブルが起きたのか。ネットで調べる。Upgradeした人たちの「不具合報告」があふれていた。中でも多かったのが「IMEがおかしくなる。使えなくなる」というもので、特に今回IEに代ってMSが用意したあたらしいブラウザでは、ATOKもGoogle日本語入力も使えず、MS-IMEだとなんとかなるというトラブルが多数報告されていた。それと「音が出ない」トラブルも数多い。私のPC使用のほとんどは「音楽を聴きつつ文章を書く」である。その両方にトラブル発生だ。これらのトラブル報告を読み、私のWindows10への好奇心は急速に萎んで行った。



 8.1をデュアルで使っているが、メインはいまAData256GB-SSDのほうである。理由はこちらのほうがあたらしいからで、女房と畳はじゃないが、あたらしいほうが同じOSであり、ほぼ同じソフトで構成しているのだが、微妙に新鮮味がある。二日にいっぺんぐらいIntel240GB-SSDにもどる。田んぼマークが消え「準備が出来ました」になっているのではと。なっていない。相変わらず連絡待ちだ。
 8月の何日だったか、田んぼマークをクリックすると、一瞬下のような白い画像が出たことがあった。準備が出来たらしい。



 が、しばらくするとまた前掲のブルーの「準備が出来たらお知らせします」にもどってしまった。
 一度でもこれが出たのだからまあ大丈夫だろうとやってみることにした。
 もう8月8日である。待ちきれない。MSのサイトに行き「Windows10 Upgradeファイル」をDownloadする。DVDに焼く。そこからIntel240GB-SSDの8.1にUpgradeを適用した。こういうことをしてひどい目に遭ったことが何度もあるから、わくわく感と恐怖が半々である。デュアルブートにしてあるから、これがトラブルで壊れてももうひとつまともなOSがある、とは言える。だが8の時のように「起動しなくなった」ら、いかに健全なもうひとつのOSがあろうと終りである。ほんと、ひどい目に遭ったな、8では。最低最悪のOSだった。

 ということで私は、2015年8月8日に、8.1デュアルブートににしている片方の8.1をWindows10にUpgradeした。

 これは多くのひとが例外なく褒めていることだが、このUpgradeはじつにすんなり行った。満点である。
 しかしそれが褒められるとしたら、「すんなり行ってまったくあたらしいOSになった場合」であろう。すんなり行ったことはうれしいが、DVD1枚、3GB以上のファイルをインストールし、8.1から10になったのだから、劇的な変化を期待する。だが現れたのは8.1となんら変らない見た目だった。10とは、どう考えても8.2でしかない。これから「おお、さすがは10だ!」と思うようなことが起きるのかも知れないが、今の時点では、「どこがあたらしいのだろう???」である。99%同じだ。



 私の場合のトラブルはふたつだった。
 ひとつは「左CtrlとCapsLockのキィ配置交換が消えてしまっていたこと」である。これは困る。これをしてないと私は文章が書けない。ソフトウェアKeyTweakを再インストールすることで解決した。

 もうひとつは多くのひとが報告しているように「音が出ない」だった。これがなかなか解決せず、面倒になってAData-Win8.1に逃げた。私はUpgradeしたWindows10から30分ほどで逃げだしたことになる。

 さいわい私の場合、最も重要なATOK問題は起きなかった。ふつうに使えた。



 二日後、Windows10にもどって音が出るようにする。サウンドカードXsonarのドライバーを再インストールすることでなんとかなった。ネット情報にもあるが、多くのトラブルは、それらを再インストールすることでほぼ解決するようである。新OSだ。以前のように「新OSだから全部やり直し」と比較するなら、すべてのソフトをそのまま設定状態で受け継いでくれるのだから、これぐらいのトラブルはないにひとしいと解釈すべきだろう。それぐらい8.1を引き継いでくれる件に関しては満点だった。



 今回私が最も腹立ったことに「デフォルトフォントが汚い」がある。特にエクスプローラー等の表示は、フォントそのものがが見にくい(醜い)うえにポイントがちいさくて見辛い。検索すると、やはりみな同じ感想らしく、同じ愚痴をこぼしていた。デフォルトフォントを変更するフリーソフトがあると知る。それを利用して直した。一概にMSがわるいとは言えない。たぶんアルファベット表記では問題ないのだろう。PCは英文字基準である。しかし日本語の表示は今回のデフォルトフォントでは見にくかった。このフリーソフトは「Windows10 フォント変更」で検索するとすぐに見つかります。私はこちらのサイトでお世話になりました。



 こんなのが表示された。送信はしていない。




 いまのところ、ひとつだけ気に入った改良点。
 タスクバーにピン留めしているソフトで、現在起動中のものにはアイコンの下に白線が点くようになった。



 ちょっとわかりづらいが、左からChrome、Firefox、<MediaMonkey>のみっつの下部に白線がある。これがいま起動しているソフトであり、起動していないKinza、V2c、<MusicBee>と区別がつく。実際のPCではもっと明瞭で、ごくちいさな改良ではあるが、とても気に入っている。

 ごみ箱アイコンも変った。95や98のときはこの四角いアイコンだったとか。忘れた。ここのところごみ箱は、公園にあるような網目のもので、これはひとつでも溜ると目立つ。几帳面?な私はそのたびに「ごみ箱を空にする」を実行していた。かなり面倒ではあるが癖になっている。このアイコンになってそれが目立たなくなった。ありがたい。Wikipediaによればこのごみ箱アイコンひとつにしても「社内で1000を超えるアイコンデザインを行った」とあるから、そのへんのがんばりは評価せねばならないのだろう。



 今日は8月16日。日々一日の大半をPCに向かっているが、ほとんどAData-Win8.1を使っているので、8日にIntel240GB-SSDの8.1をWindows10にUpgradeしてから、まだ合計使用時間は10時間程度。いま数日ぶりにWindows10を使ってこのファイルを書いている。先程もスタートアップが見つからず、常用ソフトを登録するのに苦労した。あれなんかも「便利を不便にしている」としか思えない。しかしそれが標準となるのなら「窓使い」としては慣れねばならない。

 復活したスタートメニューは使いづらい。慣れればまたちがってくるのだろうが、フリーソフトを使ってWindows7のようにしてあるWindows8.1のほうが、ずっと便利だ。

 それにしても、そもそものUpgradeの意義がわからない。95や98が2000(XP)になるのには大きな意味があった。あれは大改革だった。2000が出なければ私はWindowsを離れていたように思う。2000とXPで安定していたが、5年ぶりに新OSのVistaにするのにも意義はあった。グラフィックから何から何まで大変換した。MSとしてはMacに追いついた気分だったらしい。未熟で缺陥だらけのVistaを改良して7にしたのは当然。7で安定して新OSの必要はなかったが、あのひどいOSの8もタッチパネルの導入を考慮すれば必然だったとなる。この缺陥だらけの8を補修する8.1も当然。さて、その8.1のどこかを直したらしい10とはなんなのだろう。大変革を期待したが、それはない。新OSではない。どう考えても8.2だ。しかし裏側にはいろいろとあるようでも、ある。X-boxのゲームソフトが遊べるようになるとか、今後オープンソースにするとか。内部Version番号も、今までの6からではなく、いきなり10になったという。そうなると画期的な全面新OSとなるのだが、だけど見た目は8のままだし……。

 これからまた気づいた点を追記して行こうと思う。
 ちっともいいと思わない。いったいどこが新しくなったのだろう、8.1を10にした理由はなんなのだろうと疑問だらけだが、ただ「Upgradeがすんなり行くこと」だけは褒められる。そしてまた8.1ユーザーとして、ほぼ今まで通り使えているのだから、これは不満を言ったら罰が当たるレベルなのか。

 2台のノートがWindows7なのだが、これも10にせねばならないのだろうか。一年間の猶予がある。当面は7のままで行きたい。(2015/08/17記)


【追記】──ThinkPadでかってに進行中


 海外に出るとき持参する10.5インチのThinkPadに、田んぼマークが現れ、なにもしていないのに「バックグラウンドでWindows10をDownload中」と出ている。かってにWindows10をDownloadしているらしい。

 自作デスクトップ機のふたつの8.1ではそれがなかった。上記のように、「準備が出来たらお知らせします」のままだ。そのうちのIntel240GB-SSDをまだ「準備中」なのにMSサイトからDownloadしてWindows10にしたわけだが、もうひとつのAData256GB-SSDは、いま田んぼマークをクリックしてもまだ「準備中」である。なのにThinkPadのWindows7は、あっと言う間に「Windows10をDownload中」まで行ってしまった。これはこれでこわい。

 でもそのThinkPadは、SiliconPowerの120GB-SSDで、残りの容量が16GBしかない。たしかWindows10の64bit版は、20GBを要求する。自動で判断して「容量がすくないのでインストールできません」と出るのだろうか。どんな判断をするのか、それはそれで楽しみだ。このThinkPadのWindows7はとても気に入っているので、このまま使い続けたいのだが、それは許されないのか。

2015年8月25日--

 数日ぶりにAData-Win8.1からIntel-Win10にもどって書いている。やはり使い慣れたWindows8.1のほうがWindows10よりも使いやすい。

 Upgrade Download開始の7月29日から一ヵ月ちかく経つが、AData-Win8.1の田んぼマークをクリックすると未だに「準備中」と出ている。AData-Win8.1のほうはUpgradeするつもりはないのでそれでいいのだが、上記の「ThinkPadのWindows7」が早々に「インストール準備完了」になったのに対し未だ「準備中」なのはちょっと不可解。

 Windows10でトランプの「Solitaire Collection」が復活しているのを知る。空港での待ち時間等でけっこう世話になった。Spider Solitaireの4組はかなりむずかしい。すこしなつかしく、Windows10を見直した気分になったが、すぐに、よりたのしむためには金を払わねばならないと知って白けた。

重宝しているSnipping toolに「遅延」機能がついた。これは便利。
詳しくはこちらで。

2015年8月26日

 数日ぶりに電源を入れたら、ThinkPadのWindows7がかってにWindows10 UpgradeファイルのDownloadを始めた。いま85%完了と出ている。しかしSSDの残量が16GBしかないから容量不足と出るだろう。

 というところで、AData256GB-SSDのWindows8.1に待望の?準備完了連絡が来た。いきなりデスクトップに


 と浮かんできた。

 Intel240GB-SSDのWindows8.1は、いつまで経ってもこれが来ないので、MSのサイトまで行ってファイルをDownloadしてインストールしたものだ。ThinkPadのそれは起動したらかってにDownloadが始まっていた。つまり正規のこの連絡を受けたのは初めてになる。

 確実にWindows8.1のほうがまだ使いやすく、Windows10にはしたくないので、こちらはこれからも無視するつもり。一年間の猶予がある。来年の7月にはおそらく「もうすぐ無料Upgradeの期間が終るよ。いましないとあとは有料だよ」と脅迫されるのだろう。それでもせずにWindows8.1のままでいると、すぐにサポート期間が終了して脆弱なOSになる。へたれなので、そう脅されたらUpgradeすると思うが、それまではしばらくいまのWindows8.1のままでいよう。

 まああれだけ大嫌いな見るのもいやだったWindows8がWindows8.1になって納得出来るものになった。そのころまでにはWindows10もあれこれ改良されて使いやすくなっていると期待する。ともあれこれで私の「Windows10無料Upgrade話」は完了だ。
 
   
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