2006

2007
06/12/23
 コリーヌ初来日!




 コリーヌが2月に初来日するらしい。大阪が心斎橋クラブクアトロ、東京が恵比寿ガーデンホール。ともにオールスタンディングでドリンク附き6千円とか。恵比寿ガーデンホールは700席ほど。その人数でコリーヌのステージを楽しめるのは贅沢だ。私は昨秋アメリカのテレビ番組に出演した彼女の映像をDownloadして見ている。じつにいい雰囲気のステージだった。バッキングの構成も良い。

 彼女はグラミー賞の3部門にノミネートされているから今年は一気にビッグになり、もうこんなちいさな会場で見る贅沢は許されなくなるだろう。同じ感じで始まったノラ・ジョーンズがたちまち数万人規模の大会場でしか見られなくなったように。
 M先輩はノラの初来日の時、J-waveで間近に見ているらしい。当時無名の新人ノラの後援はM先輩の勤めるJ-waveだったとか。局に挨拶に来たとき目の前にしたらしい。今じゃノラの数メートル近くに寄ることすらたいへんである。さてコリーヌはどうなるか。

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 アメリカの有名なテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演したコリーヌ。
 コリーヌの右のフルアコから大ヒット曲「Put Your Records On」のイントロが流れてきたときは背筋がぞくぞくした。耳に馴染んでいる曲を映像で見る楽しみを久々に味わった。

 名曲である上、アレンジも抜群、そこにコリーヌの歌声が乗る。なんとも言えない趣である。日本公演でもこの編成だろう。行ける人がうらやましい。私はこの映像を見られただけで満足だ。



 コリーヌはイギリス出身。彼女の出現であらためてイギリスの音楽界は奥が深いと感じた。
 色は黒いがいわゆるアメリカ系の黒人とは雰囲気が違う。面立ちもちがう。お父さんが西インド諸島の出身なのだとか。お母さんはイギリス人の白人らしい。



 これは二曲目、といっても二曲だけのライブなのだが、「Like A Star」を弾き語りで始めたところ。ギブソンのハミングバードがよく似合っている。ジャケット写真にもあるから愛器のようだ。
 彼女はシンガーソングライター路線を歩んできたので、形だけではなくきちんとギターも弾けていた。バッキングのこのギタリストもベーシストも魅力的だった。

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「サタデー・ナイト・ライブ」の映像はボニー・レイットが出ているというのでDownloadして見たことがある。ボニー、すっかりおばあさんになっていたが(白人の五十代は日本人と比べると老けている)あいかわらずのボトルネックびんびんで感激したものだった。

 私には「オレたちひょうきん族」の手本になったというこの名物番組「サタデー・ナイト・ライブ」全般を楽しむだけのセンスも語学力もないのでコリーヌの部分だけを抜き出して保存したい。PCでのビデオ編集というのはまだしたことがないのだがいっちょチャレンジしてみるか。ソフトはなにがいいのだろう。

 上掲コリーヌの絵は、ヴィデオを一時停止させWinshotで切り抜いた。うまく出来てうれしい。どこかにMadeleineの映像はないものか。彼女はブルースギターがうまい。これはもうストリートライブをやっていた人だから腕前は本物。

 2007
07/1/21


NBCのコリーヌ

 曲は耳に馴染んだヒット曲「Put Your Records On」一曲のみ。感動したのは映像が綺麗なこと。その雰囲気を伝えたくUPすることにした。

 アメリカのNBCに出演した際の映像。けっこうアメリカには行っているようだ。ともにテレビ出演の映像だが二つのファイルの違いは「Saturday Night Live」が600MB程度のファイルに番組全部が入っていたのに対し、このファイルはその中からCorinneの出演部分のみを編集したもの。あまりの映像の美しさ、きめの細かさに感嘆した。そりゃまあ90分を600MBと3分を600MGだから違いは歴然。こんな高濃度のファイルを手にしたことはなかった。私が今まで見たPCの映像でいちばんきれいである。
 その違いはヴィデオをストップモーションにして切り取ったこの画像からもわかるだろう。とにかく肌理が細かい。



 バッキングはSaturday Night Liveの方が本格的。CDと同じ形。NBCはドラム、ベース、ギター、キイボードというベーシック編成にコーラス二人の最小形。その代わりCorinneが自らタンバリンを振っていた。タンバリンに感激するのは古くはスパイダースの井上順、近年は次長課長以来だ(笑)。

 2月に日本で見られる人がうらやましい。私はライヴに行けなくても映像だけでいいのだが今のところ二曲だけなのが物足りない。早くDVDが出ないものか。
07/1/22




 Madeleineのデビュアルバム

 とCorinneのヴィデオクリップのことを書いている今のBGMは、つい先日購入した1996年Madeleine Peyroux(マデリン・ペルー)幻の(?)デビュウアルバム「Dreamland」。ほんとこの人「Billie Holidayの再来」である。

 ただし、そういうのってまったく別路線の人、つまり表面的には似ていない人が奥深く流れる感覚の共通点でそう評されることが理想であると私は思う。
 その点彼女はビリーを意識しまくっていてあまりに真似たような歌い方をする。一種のフォロワーである。アレンジもあざといと言えるぐらい1940年代、50年代にこだわっている。だからビリー好きの古いファンには大御所を真似た際物に見えてしまう人もいるかもしれない。悪い言いかたをするなら「友近の中森明菜」である。それはどんなに似ていても物まねでしかない。本家を超えることはない。
 だからこそ最新のアルバムでは自分なりのヒット曲路線に進んでいるのが好ましい。

 だが、だけども、なにがどうであれ、かつてここまでやってくれる人はいなかった。それがうれしくてたまらない。ビリー・ホリデー好きには涙なくして聴けないほどの衝撃なのだ。と思う。私は。どうにも世間の評判が聞こえてこない。若者が獨自の感覚で彼女を好んでいるのなら、それはそれですなおにうれしいけれど。

 私は個人的に、ノラとマデレインの関係、共通する曲提供者、のことを書きたいのだが、それは次のテーマにしよう。

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 マデリンが否定している!?

 上記をUPしたあと、Wikipediaでビリー・ホリデーの項を読んだ。すると「影響」という部分に以下の文があった。おどろいたのは下線の部分。

1970年代になると、ダイアナ・ロス、エスター・フィリプス、ニーナ・シモンらが何のわだかまりもなくレディ・デイの直系を任じた。
 1972年には、ダイアナ・ロスが、ビリーの自伝に基づいた映画『Lady Sings the Blues/レディ・シングス・ザ・ブルース(邦題『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』でビリー役を演じた。
 驚くことに、この作品は商業的にも大成功し、ダイアナ・ロスはアカデミー賞女優賞にノミネートされることとなる。
 全く異なる音域でのビリーの影響を感じさせたのは、ジャニス・ジョプリンだろう。
メイシー・グレイも、ビリーの影響を認めている。
 
ノラ・ジョーンズ、エリカ・バドゥ、マデリン・ペルーにいたっては、その類似性は明らかにも関らず、その影響を認めようとはしない。

 本当なの? 本当なら若さ故のつっぱりか。私はマデリンはすなおにビリー・ホリデーにあこがれ、常に口にしていると思っていた。

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 バンコクのBoggieeさま

 もしもここを読んでいたら、そして以前メールでお知らせした「現代のビリー=Madeleine Peyroux」の音楽をお聴きになっていたら、Madeleineに関する[感想]のメイルをください。よろしくお願いします。



Rick Braun

06/9/23

 名曲名演Winelight──Paul Brownの魅力

 その曲がインターネットラジオ「Smooth Jazz」から流れてきたとき、しばし私は聞き惚れた。メロディを取っているのはギターである。アレンジもいい。ブレークもいい。すべてが完璧に思えた。演奏者はPa oul Brown。
 早速調べてみた。

Paul Brown

http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/paul_brown/index.html



 なんともおもしろい経歴である。錚々たるアルバムをプロデュースしてきた音楽プロデューサなのだ。その人が今になって自分でギターアルバムを出してしまった。「元気が出るテレビ」のプロデューサだったテリー伊藤が裏方から突如タレントになったようなものか(笑)。
 とにかくすばらしいアルバムである。ライナーノーツを書かれた熊谷さんも書かれているように、2004年のフュージョン部門ではベストであると思う。

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 が真に書きたいのはそのことではない。私はPaul Brownの演奏する「Winelight」という曲に惚れ込んだ。それを見知らぬ曲と思っていた。しかしそれは勘違いだった。念のために音楽専用HDDを検索すると本家本物の演奏をすでに数Version持っていたのである。
 本家とはこの曲を作曲し演奏しているGrover Washington Jrだ。彼がサックスで演奏する「Winelight」を私はすでに持っていたのだった。しかもいくつかのパターンで。(バンコクで購入したmp3寄せ集めCDの「ジャズ」をすべてもっていたから、その中に複数入っていたと思われる。)

 だが心に残ってはいなかった。持っているその数パターンをあらためて聴いたが、さして惹かれはしなかった。これはどういうことなのだろう。

 おどろいたのは、Paul Brownはほとんど原曲を崩さず、Grover Washington Jrのアレンジそのままに演奏していたことである。「持っていた曲なのに今まで心に残っていなかった」ということから、私は「Powl Brownが斬新なアレンジをした→眠っていた曲を蘇らせた」と解釈した。しかし原曲を聴いてみたら、まったく崩していない。それどころかブレイクの部分も、忠実すぎるほど原曲のアレンジに忠実だった。つまりたいしたことのない曲を獨自のアレンジで生き返らせたわけではない。なのに原曲は私の心に響いてこないのに、どうしてPaul Brownのギターはしみこんでくるのだろう。不思議でならない。
 Powl Brownの表現力が特別に秀でている、私の感性に合っていたと言えばそれまでのことなのだが、それじゃ偉大なGrover Washington Jrに失礼である。
 ここで私が「ギターの音色が格別に好き」ならまた話は簡単なのだが、私はギター弾きではあるがサックスも大好きで、その点甲乙つけがたいと言うか、むしろサックスやトランペットの方が好きだったりするからよけいにこんがらがる。なんでこの曲がこんなに心に響くのか。

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 よくあることのようで私にはほとんど経験のない出来事だった。
(記憶06/9/23、文07/1)



 Brian Hughes

07/1/24
 速いファイルもある!?──マライア魅力全開!

 今日の昼、NHK教育テレビで英会話の番組を見た。もちろん意識的にではなく偶然出会ってほんの10分ほど見たに過ぎない。私が大嫌いな英会話番組など見るはずもない。あのヘビメタ系ロックギタリスト、マーティが出ていたので目をとめた。親日家のマーティには好意的。以前はテレ東の「ヘビメタくん」も毎週見ていた。通勤するようになる前の話。模様替えした同種の番組があるようだからまた見よう。

 その英会話番組は英語の歌詞から英会話を学ぼうという趣旨らしく、そこにマライア・キャリーの映像が流れた。ほんのすこし。歌唱部分。「Without You」。彼女のアルバムはほとんど持っているが好んで聴いてもいない。でもひさしぶりに映像で見た彼女の姿は魅力的で、私は猛烈に彼女のコンサート映像が見たくなった。

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 というわけでマライアの映像にひたる。この写真の舞台はマジソンスクエアガーデン。反射的にブルーノ・サンマルチノを思い出す(笑)。
 マライアはきれいで歌がうまくてセクシーで文句なし。もっと早く見るのだった。歌がうまいからと聴いてばかりいたが、この人は見る価値のある人だ。すばらしい。
 
 セクシーとは露出度と無関係と痛感する。この黒のパンツルックのマライアがたまらなくセクシーなのである。「エロかわいい」なんて言われる半裸の日本のネーチャンにはなにも感じないのに。なんとも奥深い世界だ。

 近年のアルバムはラップ色が強くてあまり好きではない。コンサートではしみじみとした名曲を熱唱していて救われた。しばらくはマライア漬けになりそうだ。
07/2/11

 タイの音楽を聴く

 友人が「ここでタイのテレビを見たりラジオを聴けます」と教えてくれた。

 タイランド・オーソリティというサイトである。きっとタイ好きなら誰もが知っている有名サイトなのだろう。

http://thai.cside.tv/live/


 そのサイトから写真を一枚拝借した。バンコクのワット・アルンである。
 三島由紀夫が「暁の寺」を書くとき、バンコクとこのお寺を取材した。その取材記にはあぷおぷぬあど屋というのが登場して三島と編輯者はそこで遊んでいる。タイのソープランドの歴史も古い。まさか「暁の寺」とアップオップヌアッドが結びつくとは思わなかった。
 ワット・アルンは何度も行っていて写真もあるはずなのだがデジカメ以前なのでどこにあるのかわからない。ホームページの歴史はデジカメの歴史であると知る。

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 私はあまりタイポップスは好きではないのでルーク・トゥン専門の局を選んで聴いてみた。このサイトでは「田舎音楽専用」と書いてあるがこれはちょっと言い過ぎだろう(笑)。まあ日本の演歌に匹敵する分野だからたしかにそうではあるのだが。



 ルークトゥンを聞いていたらタイのカラオケ屋を思い出した。といってもバンコクの日本人向け連れだしの店ではない。と訳知り顔で言っているがそんなところには行ったことがない。といって清潔ぶるつもりはない。充分によごれている。ただ私の場合、外国に行くということはその国の言葉を覚えて地元民の生活を覗くことだったから、日本人向けの店、日本語が通じる世界、とは縁遠かった。それはそれで快適であり、日本人オーナーが日本人の好む容姿の娘を揃えているのだから、きっと楽しいと思うけれど。

 昨年の12月、ラオス人の女と日本人男の結婚式に参加した。場所は栃木の山奥。神奈川や群馬のタイ人もみな駆けつけた。タダ酒が飲めるお祭り感覚である。そこで彼らが私に話しかけてきたのはタニヤ、パッポンが大好きだろうというからかいだった。タイ語が話せる日本人オヤジに対する感覚はそうなるのだろう。私がそれをまったく知らず、タイはバンノーク(田舎)が好きだ、よくレンタカーでドライブしたと言うと彼らは戸惑っていたが、それはいいことだと頷き、それから一気になついてきたので(笑)今度はこちらが戸惑った。イサーンの連中だった。そのあと話が弾んだ。

 私の言うカラオケ屋とはチェンマイなどの街外れにあるバナナの葉で葺いた、日本で言うなら「海の家」みたいな作りの地元民のための飲み屋である。カラオケはジュークボックスだ。みなここで1曲5バーツで歌っていた。ルークトゥンを聞いているとそういう店でソムタムをつまみながらメコンのソーダ割りを飲んでいた時間を思い出す。

 もうひとつ時と場が飛んだのはタクシーの中。タクシー運転手も田舎出身が多いのだろう、みなラジオはルークトゥンだった。ジャスミンの匂いとルークトゥンはバンコクのタクシーへと繋がる。

 このタイのラジオ局の音楽は、iTunesやWinampで聞く洋楽(古い言いかただな)がアーティストや曲名を表示してくれるような、そういうサーヴィスは可能なのだろうか。今も耳にしている曲が、たしかこの歌い手は……と思うので確認したいのだがそのすべがない。どなたか表示する方法を知っていたら教えてください。

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 タイはいつでもいとしい。ゆったりとしたルークトゥンを聴いているだけでなんともたまらない気持ちになる。あの暑い風の中をまたドライブしたくなった。バンコクからイサーンへと。
 カセットテープを何十本も持参し、さらにタイでも買い足して、風景に似合う音楽を探していた。いつも音楽の数が物足りなかった。今の時代なら、iPodと連動するプレーヤがあれば自分の用意した1万曲以上を聞きながら走れる。それを思い、しばしうっとりする。ゴールデントライアングルの景色にイーグルスが嵌ったときの感激はいまも覚えている。

 だけど私の中でタイは確実に遠くなりつつある。最後に行ったのはいつだろう、2002年の暮れか。もう丸4年以上行っていない。果たしてまたタイに行くことがあるのか。一年のうちの4ヶ月をもチェンマイで暮らす生活を十余年続けていたのが他人事のようだ。このあと私とタイはどんな展開になるのか。これまた他人事風に興味津々である。

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 というところで音楽をいつものJazzにもどす。タイの音楽もいいが、たまに、で充分だ。

07/2/17
 EW&FはSmooth Jazzなのか!?

 私は一時のビージーズに代表される男のファルセットによるあの種の歌(と言えば誰でもだいたいわかってくれると思う)が嫌いである。
 嫌いなものは聞かなければいいしほとんど耳にすることもないのだが、最近そうではないので困っている。PCに向かっているとき流しっぱなしにしているインターネットラジオSmooth Jazzからやたらに流れてくるのである、アース・ウインド・アンド・ファイアーの「チェンジ・ザ・ワールド」が。典型的な私の大嫌いなファルセットの歌声だ。

 我慢して聞いていたが私の意に反して流すほうではよほど気に入っているのか日に何度も何度も流してくる。最近では流れてくるとSmooth Jazzを止めるようになった。ヴォリュームを絞ってこの曲が終るのを待つ。こうなるともう心から楽しんでいるとは言えなくなってくる。

 今iTunesでPeter Whiteを聴きつつ書いている。Smooth Jazzとはこんな音楽を言うはずだ。まあ彼のこともSmooth Jazzで知ったのだから文句は言えないが。
 なんでEW&Fのあの歌がまるでテーマ曲のように頻繁に流れるのだろう。勘ぐるなら「Change The World」をその内容から自分たちのテーマ曲にしているつもりなのかもしれない。たまに歌モノを流す必要性はもちろんわかるのだけれど……。

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「Change The World」を知ったのはもちろんクラプトン。映画「フェノミナン」の挿入曲として使われ、そのあと日本のCMでも流れた。なんだっけ、あれ。クルマのCM? 
 さらにはこういう曲がタイ人は好きだからバンドの入っている店に行くとどこでもこれを演奏していた。好きだねえ、タイ人はクラプトンのバラードが。なんて書いているとパタヤのバンドが入っているオープンバーに行きたくなる。

 私はもうこの歌のクラプトンVersionですら好きではなかった。彼のバラードは嫌いではないがあの歌は軟弱すぎる。ああいう歌詞も好きではない。
 古くからのクラプトンファンは最近のファンがみなこういう歌をクラプトンと思っていることに反感を持ち、どうか初期の××も聴いて欲しいと言ったりする。私はそこまで言わないけど、というか他人の嗜好に興味がないのでどうでもいいのだが、さすがにこの辺のクラプトンはちょっと軟弱すぎて好きになれない。

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 本歌がカントリー系の女性シンガー、Wynonan Juddの歌だと知識ではもっていた。が聴いたことはない。ふと思いつきで検索に掛けると試聴できるようだ。聴いてみた。いい歌である。バッキングはアコギのスリーフィンガーピッキングだった。
 これをアレンジしてクラプトンVersionになり、さらにそれをソフィストケイトしてEW&Fのあれになる。素朴な田舎娘がケバい都会のネーチャンに変身したようだ。
 EW&Fのファルセットの歌声に反感を持ったことから結果としてウィノナの本歌を聴けたことは勉強になった。

 しかしそれはそれとして、これからもまた繰り返しEW&Fのあれは流れてくるのか!? ならしばらくSmooth Jazzから遠ざかろう。ほんとに聴きたくない。流れてきて不愉快になるのではもうBGMではない。
 入手はしたが聴いていないアルバムもiTunesの中にだいぶ溜まったし。そうだな、そうしよう。他人任せの選曲のSmooth Jazzばかりってのもよくない。これだけまた新たに曲を集め再構成したのだから自分なりのベスト盤を作ってみるとか、そっちで遊ぶようにしよう。

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 インターネットラジオを聴くようになったのは東京にもどってADSLが開通してからだからちょうど一年半の経験になる。ダイヤルアップでは聴けなかった。すぐにSmooth Jazzに魅せられそればかり聴いてきた。
 Jazz専門の局は多く(いまiTunesのラジオを開いたら49ストリームと出ている。49局あるわけだ)、私の好きなBapやCool専門の局もある。だが、どうも最近BGMとしてこの辺はきつくなってきた。くつろいでいるときはともかく、文章を書きつつ聴くのにはこれらはハードなのである。これじゃクラプトンのバラードを軟弱とは言えない。

 これは私に元気がないからだ。しょぼくれているときはハードな音楽はきつい。顔面をてからせ脂ぎった顔で鉈を振り回しつつジャングルをかき分けて進むぐらいのときはバド・パウエルと一緒にウガアと唸りつつ文章が書ける。かつて私はそうだった。しかしサイフの小銭を数えて溜息をつき、屠殺場に向かう牛のようにうなだれているとSmooth Jazzしか聴けないのである。マイルスのBapですら重荷になる。

 振り返ってみる。田舎時代、頻繁に外国に出かけていたころ、私はたしかにパドと一緒に唸りつつ文章を書いていた。やはりすべては今のしょぼくれている精神状態に因がある。
 Smooth Jazzが究極のイージーリスニングでありBGMであることは確かだ。音楽的に高度なのでBGMは本屋で流れている管弦楽しか受けつけない人や、低能のアンチャンネーチャンには理解できないだろうけど。(昨年江東区の文教堂が店内に日本語のラップを流していて参った。何を考えているのやら。まあ私のような立ち読み客を追い出すのには効果がある。)
 そうか、この一年半Smooth Jazzばかり聴いてきた、とは、それしか聴けないぐらい私に元気がなかったという意味でもある。
 早くまた50年代のマイルスを聴きつつ仕事が出来るぐらいに恢復したいものである。
 そうしてこのしょぼくれた文章を書いていた自分を笑い飛ばしたい。
07/3/10
 Without You三昧

 iTunesから流れてきたマライア・キャリーの「Without You」を聞いていたらオリジナルであるBadfingerの歌が聞きたくなった。この時点でそれがたいしたことはないとわかっている。オリジナル至上主義ではない。マライアがいちばんいいのだ。

 「Without You」と言えばイコール、ニルソンである。たいしたことのなかったバッドフィンガーの本歌をニルソンがあたらしい形で生き返らせた。
 この歌には、「音域の広い人がそれを自慢するために歌う歌」という評価がつきまとう(笑)。まああのサビのメロを最初低く歌い、次に一気に一オクターブ高く歌うのは音域の広い人にしか出来ない。まだ聞いたことはないが街中のカラオケでもきっとこれを十八番にして周囲を唸らせている人がいるのだろう。聞いてみたいような絶対に聞きたくないような。
 あの歌い方はニルソンが始めたものである。バッドフィンガーはやっていない。あの一オクターブ低い部分がない。高音のサビも「I can't live」のliveはプチンと切れる(笑)。ぶつ切り。これをリ~~~ブとこれでもかと伸ばして歌唱力をアピールしたのはニルソンであり後継者のマライア。バッドフィンガーの歌い方なら私なんかでも歌える難しい歌ではない。この歌はバッドフィンガーが作りヒットさせたが、エヴァーグリーンの名曲にしたのはニルソンである。マライアはニルソンを忠実になぞった女版だ。

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 バッドフィンガーのオリジナルを懐かしく聞いていたら四国のtakaさんからのメールを思い出した。Youtubeに懐メロのお宝映像が山とあるそうだ。最近takaさんは中毒気味に蒐集しているらしい。
 今じゃそこいら中に溢れているがむかしはミュージック・クリップは貴重だった。「ベストヒットUSA」なんてそれだけで成り立っていた番組だった。
 さらにそのむかしになるとオーハシキョセンの「ビートポップス」は視聴者によるハガキベストテンだったが、ベストテンの内、音楽映像(今で言うミュージック・クリップ)があるのは3曲ぐらい。あとはレコードを掛けてスタジオでミラーボールのようなものを回してネーチャンが踊っているだけだった。質素だこと(笑)。後に彼女らの中のかわいいのを集めて「ゴールデンハーフ」が結成される。「黄色いサクランボ」をリバイバルヒットさせた。小山ルミもここで踊っていたひとり。

 そんなお粗末な時代だったが土曜の午後3時からビートルズの「オブラディオブラダ」やクリームの「ホワイトルーム」の映像が見られるのは何よりの楽しみだった。高校生の私はこの番組に間に合うようにと息せき切って帰宅したものだ。貧乏で粗末な時代にもだからこその楽しみはあった。

 あるはずがないと思いつつ「Badfinger Without You」と入れて検索する。するとあったのである。なんということだろう。あっけにとられた。あちこち滲んでゴーストだらけでものすごくきたない映像だったけれど。Youtube恐るべし! である。

 本家本元Badfingerの「Without You」である。ニルソンやマライアと比べると素朴であり完成度は格段に落ちるのだが本家本元の懐かしさは何物にも代え難い。いやはやYoutubeというのは凄いところだ。
 同じすごさでも2ちゃんねるというのは足の引っ張り合いというマイナスのすごみだが(笑)、ここはみんなが貴重なものをUpして共有するというプラスのすごみである。ぜんぜんちがう。


 これはアダルトコンテンポラリー(笑)のマイケル・ボルトン。彼の「Without You」もヒットしたのだとか。寡聞にして知らない。中には彼の「Without You」でこの曲を知ったという人もいるらしい。様々だ。

 餘談ながらボルトンが「ドック・オブ・ザ・ベイ」を歌っていると知ったので、これまた本家のオーティス・レディングが聞きたくなって聞いた。じんわりと感激する。
 上記、ビールトズやクリームが全盛の時、突如としてナンバーワンになったこのソウルの名曲は田舎の音楽好き高校生(=私)にとって、たとえようのない衝撃だった。
 思えば後の大好きな映画「ブルース・ブラザース」なんかもこの延長線上にある。

 エア・サプライは有名。いかにもこの曲を歌いこなせる歌唱力だ。自分が歌が下手なのでこういうタイプの音楽は好まない(笑)。オーストラリアのロックってのはあまり好きじゃない。なんでだろう。妙にキレイだからか。


 ま、とにかくニルソンである。「Without You」と言えばニルソンなのだ。1972年からだからもう30年以上前から聞いていることになる。本歌がBadfingerってのを知らない人もいたりする。それぐらいニルソンのものだ。モリシンイチの「おふくろさん」以上(笑)。


 そして、絶対にニルソン以上のものは出ないと思っていたら出た。華やかに登場した。それが歌姫マライア。アレンジもすべてニルソンに準じている。イントロのピアノも同じ。
 私がニルソンよりもマライアが好きになったのは彼女が女だからだろう。「君なしでは生きて行けない」と男が歌うより、「あなたなしでは生きて行けない」と女が歌った方がいい。ただそれだけ。そして彼女が最高級の美人であること。笑われるかもしれないけどそんなものです。むくつけき男や、歌がうまいだけのブスが歌ってもこんなに好きにはならない。

 Youtubeにはドイツでのライブもあった。みんなマライアと一緒に英語で歌っている。すごいなと思った。日本でもマライアがマイクを客席に向け、みんなで歌うのだろう。行ったことないけど想像はつく(笑)。なんだかね、わたしゃそういうあまりにできすぎた定番は好きではない。しかしどっからどう考えてもマライアのこれは貶しようがない。

 それにしてもマライアの黒のパンツルックってのはいつみてもセクシーだなあ。一部で「(結婚時年上の亭主に露出の多い衣装を禁じられていたので)離婚後は露出狂的に」と揶揄されるほど派手な衣装の多い彼女だけどそれにはなにも感じない。でも「Without You」を歌うときのシンプルな黒のパンツルックはもうなんともたまりません。いがらしみきおの「しこたまだった」的に舞台にかけあがりしがみつきたくなる(笑)。

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 この曲を作ったBadfingerのふたりはニルソンやマライア、ボルトン、エアサプライらがヒットさせたこの曲の印税だけで何億も儲かったろう。なのにそれを手にすることなく自殺してしまった。皮肉な話である。

「Without You」とはありふれたタイトルだ。私のハードディスクの中には同名の曲(あるいはタイトルにそれを含む曲)が20曲以上入っていた。いまWes Montgomeryのギターで聞いている。もちろんBadfingerのそれとは無関係。
 続いてSRVの「Life Without You」になった。楽しいね。次はサックスのインストだけどアーティストがわからない。いい曲だ。誰だろう。気になるなあ。

 毎度毎度の結論だけれど、むかしはこんな遊びをしようと思ったら、レコード、CD、カセットと手持ちの資料から手作業で集めなくてはならなかった。もしも「いろいろなWithout You」を1本のテープ、CD、MDに編集しようとしたら一日仕事だったろう。友人が作ってくれたら一生の宝物だった。
 私がM先輩とFM局でやっていた番組がそんな感じだった。様々なテイクの名曲を聞き比べるような企劃だ。プロが放送局にある厖大なレコード、CDを利用して作らなければ素人では出来ないことだった。

 それが今、自分の部屋で何ら苦労せずに出来てしまう。iTunesで「Without You」と検索するだけでたちどころにハードディスク内のそれを整列させてくれる。あまりの便利さにまだ戸惑っている。未だに慣れずにいる。
 ラジオの未来はたいへんだと思う。かくいう私自身、インターネットラジオばかりで日本のFM放送なんて聞いたことがない。
 いまもFM局の「あなたが選ぶビートルズ(サザン、ユーミン)ベスト100」のような企劃は人気があるらしい。それは「参加している」というコミュニケーション感覚から来ているのだろう。私のような他人との連対や参加感覚に興味のない者はそんなのは聞かない。

 インターネット社会の便利さに感激感謝するほどに、また別の思いが浮かんでくる。


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