iPod-nano話


2006/9/14(木)  ひょんなことからiPod

 会社でイヤなことがあった。Nという気の合わないヤツとの毎度の確執だ。
 殴ってやろうかと思うほど腹だった。これほど不快になることも滅多にない。こんなに腹だったのは前回がいつだったか思い出せないほどだ。Nを殴って会社を辞めるのは私としては万々歳だが、ここを紹介してくれたH子さんに迷惑を掛ける。じっと耐え、席を立った。

 そのまま会社を離れ電車に乗る。私の仕事はPCへのデータ入力だから違反である。しかしとても仕事をする気分にはなれない。このまま辞めると誰にどんな迷惑を掛けるだろうかとあれこれ考える。やはり今やめることは出来ない。



 なんとか気分転換をせねばと秋葉原に行く(笑)。こういうときなにもかも忘れられる趣味の世界があるのはいい。秋葉原に行ってパソコンパーツに触ったり、お茶の水に行って楽器をいじっていればどんなイヤなことも忘れる。

 会社を出たのは昼だった。TsukumoからFaith、Two Top、T-zoneと歩き回っているとあっという間に午後3時になる。まだ帰る気にはならない。というかもう今日は仕事をしない。これはあきらかなサボタージュである。なにしろ時給で働いているのに会社にいないのだから。それでクビになったらもういいやと思った。事情を話せばH子さんも納得してくれるだろう。それぐらいNのやったことは理不尽だった。あの場で殴らずにおとなしく席を立った自分を褒めてやりたいぐらいだ。

 くさくさした気分を変るにはモノがいい。なにか新しいものを手に入れて気分を変るのだ。しかし手持ちに餘裕はない。ポイントがあるからビックカメラに行くかと思う。そういえば最大店舗である有楽町ビックにまだ行ったことがないのだった。

 つい先日初めてかの有名な秋葉原ヨドバシに行った。会社の帰りに地下鉄で秋葉原に行ったらいつもの山手線とは出口が違っていた。昭和通り口に出たのだ。ここはラオックスの音楽館に来るときぐらいしか利用しない。いつもの電気街まで歩いた。その途中にヨドバシがあった。茶飲み話のネタにと行ってみた。それだけ。このことがなければ未だに行ってない。

 だいたいが量販店で買いポイントがどうのこうのという連中を蔑視している秋葉原ディープゾーン系である。若松通商や秩父電気の常連だ。ノートはともかくデスクトップパソコンはもう10年ほど買っていない。自作派である。量販店とは長年縁がなかった。これからもずっとないはずだった。



 しかしところ変われば発想も代わり、茨城の田舎にこもっているうちにYAMADA電機のポイントを大切にし、国立市に住む今は立川のビックカメラのポイントを楽しみにするタダの人になってしまった。みっともない話である。

 田舎にいるときは秋葉原まで行くのはたいへんだし手間暇と時間を考えたら量販店で買うほうが安くあがった。なにしろ往復6時間、電車代が3千円かかる。いやそれでも月に数回は行っていたから遠いのは理由にならない。それよりも私はせっかちだから、欲しいとなったらすぐに手にしたいのである。田舎のYAMADA電機もコジマ電気も決して近くはなかった。それでもクルマで飛ばせば40分程度で行ける。行けばすぐに買える。いつしかそうなっていた。思えば先日壊れた自作パソコンは、マザーボードとCPUがPC Dypot、ケースが石丸電気、ビデオカードとテレビ用のPCカードがYAMADA電機とみな水戸近辺での調達だった。

 つまらない地域に住んでいる今は、これまた小物を買う場合、秋葉原までの往復電車賃を考えると近くのビックカメラで買ったほうが結果的に安くあがる。ビックカメラは決して安くないが、往復1500円の電車賃を考えるとさすがにそれよりは安くなる。だって5千円程度の生DVDやCPUクーラーとかその程度の買い物が主なのだから。そりゃ懐にうん十万入れて気合いの入った買い物をするのなら秋葉原まで行くけれど。



 いつしかポイントが溜まるのを楽しみにするフツーの人になってしまったのだけれど、だけどポイントってのはどう考えても自分の金である。たとえばintelのCPU、Core 2 Duo E6600はビックカメラで44800円だ。ポイントは10%。つまり44800-4480で本当の値段は40320円になる。これは秋葉原で買うCore 2 Duo E6600の平均的な値段だ。ポイントの4480円分上乗せして買っていることになる。そしてこの上乗せ分はこの店で使わねばならない。くだらん。やはりポイントをありがたがっているのはモノの値段を知らない人だ。

 しかしまた視点を変えれば、すぐ近くのビックカメラで秋葉原とほぼ同じ40320円で買えるとも解釈できる。4480円も多く先払いしなければならないが、後に同じ店で買い物をするのだと割り切れば時間的な節約は大きい。私はそう割り切って利用することにした。

 ある人の文章を読んでいたら、20万円のメイカー製パソコンを買い、でもポイントがついているから実質18万円だとうれしそうに書いていた。それを16万円で売っているところを知っている私としては複雑だった。何事も知らなければしあわせである。

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 何か新しいアイテム?を手に入れて気を紛らわせようとした。値段的なことから選ばれた候補は団塊の世代にも大受けのDS-lightかPSPである。使えるお金は2万円しかない。それでは何も買えない。でもビックカメラのポイントが1万円分貯まっている。だからビックに行けば3万円の買い物が出来る。私が「ポイントっていいなあ」と思ったのはこのときが初めてだった。まあ元々は自分の金なんだけど。

 有楽町ビックに行き、さんざんDSとPSPを見て回る。当然ソフトも買わねばならないし、PSPはメモリカードも必要だから2万円は超してしまう。2万5千円ぐらいの買い物になるがポイントを使って1万5千円か。

 ここで私は冷静になってきた。これは長所だと本人は思っているのだが、さんざん見て回ると、いつしか「なにも急いで今買う必要はないな」と思えてくるのである。これは東京にいるお蔭だ。田舎でたとえば一台しかないPSPだったなら、いま買わないといつ買えるかわからないと焦って買ってしまうのである。だが大都会で品物があふれている中にいると、「なにもいま買わなくても」と餘裕が生まれてくるのだ。秋葉原の価値もそこにある。ソ連の人々が行列があったら確かめるまえにまずは並んだという感覚がわかる。人はそういうものだ。

 むしゃくしゃしていられない。腹立だってならない。しかしそれも時とともに治まってきた。無理してゲーム機を今買う必要もないし、家に帰って酒でも飲むかという気分になってきた。

 そうしてあらためてパソコン売り場を見て回り、金が入ったらこれを買おう、そろそろアレもコレに買い換えないと、と自作改造の夢を見つつ一階に下りた。するとそこに新発売のiPodが並んでいたのである。私の欲しいiPodは3万5千円するので今回の買い物の対象外だった。だがそこには今までよりぐんと値下げされた17800円のiPod-nanoが並んでいたのだった。その値段からDS-Light、PSPと並んでいきなり買い物候補に入ってきたのだった。

 これにしようと決めた。momoさんからiTunesをもらい、愛用の音楽ソフトにしてどれぐらい経つだろう。「iTunes話」を開いて調べたら、もらったのが去年の2月1日である。iPod用ソフトであるiTunesを1年8ヶ月も使いつつ未だにiPodがないのもそろそろ恥ずかしい。本来のHDD型ではないがとりあえずこれを買っちまおうと決める。いい加減決断しないといつまで経っても買わない。



 ということで買うことにしたがここからまたひと悶着合った。買うのは懐との相談から17800円の2GBに決めた。そりゃ出来るなら4GBにしたいが今はちょっとキツい。1GBでは足りない。2GBあれば400曲は入るはずだから当面は満足できるだろう。
 ところが「新iPod発売」で大盛況の上、「お一人様一代限り」なんてことをやっているものだから、店員に話をし、店員から許可証?のようなものをもらわないと買えないのである。いちいち買うときには店員がレジまでついてくる。なんだか「売ってもらう」形であり、こういうのが大嫌いな私は激しくここで購入モチベーションが落ちた。
 しかもそこそこきれいなネーチャンが「わたし初心者なんですう」と甘え声で言うものだから、店員が懇切丁寧に説明し絶対的な店員不足に陥っている。5人ほどの店員に30人が客が順番待ちするような状態。「売ってください」とそれを待つのは私の誇りが許さない。それが大セールの一階。

 そういえば4階のパソコン売り場の一角にもiPod売り場があったなと思い出す。たしか有楽町ビックは三カ所でiPodを売っていた。それだけドル箱商品なのだろう。そこに行ってみる。ここには群がる客は誰もいなかった。それはいいのだが今度は店員もいない。店員がいないと買えない品なのだ。もしも私がふつうにiPodを買いたいと思ってきたならもうここで帰っていた。私には商品を買うために徹夜で並ぶ人は理解できない。お客様は常に商人から丁重に扱われるべきなのだ。

 それでも我慢したのはそれだけその日あったことが不快であり、なにか切実に気分転換の小道具に迫られていたからだった。
 通りかかった店員にこのiPodが欲しいのだがと声を掛ける。すると彼は他の客に調べ物を頼まれて駆け回っている最中であり、もうしわけないが他の店員に頼むと足早に去った。惨め。もう限界である。お客様としての矜持を最優先する私としてはこんな扱いまでされて買い物はしたくない。しかしポイントを使って買うためビックカメラから出るということは買わないことになるのだった。

 ならぬ堪忍するが堪忍でもう一度だけ通りかかった店員に声を掛ける。無愛想で聲の悪いあまり好きなタイプの店員ではなかったがとりあえずそいつから買うことになった。
 ついでに充電器を買う。iPodのドックはUSB接続充電でPCが起動中でないと充電できないからとふつうにコンセントで出来る物を店員に勧められた。私は常時起動をしないからこれはあってもいいだろう。合計19300円。ポイントが8千円強あるから1万1千円。毎度の馬券の負けでこの程度の出費でもキツい状況だったがこれで気分転換できるなら安いものだ。店員の後に続き、レジに並びながら、私は電車の中でお気に入りの音楽を聴く自分を想像していた。
9/14(木)  ビックカメラで大当たり!──めでたさも中ぐらいなり
 

 やっと私の番が来た。ポイントについて尋かれる前にこちらから「ポイントを使います」と言う。ポイントの8千円を引き、1万1300円ですと言われる。2万円を出す。厳しい金欠の時だったのでこの期に及んでもまだまた惨めったらしく「こんなもの買っていいのか、おれ」と思った。
「2万円からお預かりします」と赤ら顔の、すこし太めの店員がいいレジを開いた瞬間、カランカランと鐘が鳴り、あちこちのレジから拍手が沸いた。
「ああ、100人にひとり無料というキャンペーンに当たったのか」と思う。私はいつものように無表情だった。遠くの方のレジ係がわざとらしく「おめでとうございまーす」と言っているのに、不思議なことに肝腎の私の目の前の店員は何も言わず、それどころかなんだかちょっと照れくさそうに、まるで申し訳ないことでもしたかのように、「あの、そういうわけで、当たりましたのでこれはオカエシします」と2万円を返してよこしたのだった。



 よろこばねばならない。当たったのだ。1万1300円がただになったのだ。私は馬券以外は宝くじを買ったことすらないからこんなもので当たったことはない。クイズにも応募したことはない。生涯初の当たりと言っても過言ではない。いやなことだらけの毎日で、いよいよおれにも運が向いてきたかとよろこぶべきなのだ。

 だが無表情の私はそのときもっとセコいことを考えていた。正直「なんてついてないんだ」と思っていたのである。これは恥ずかしいけれど正直に書いておこう。真っ先に思ったのは「このあいだのディスプレイとグラフィックカードを買った6万円の時になんで当たらないんだ」ということだった。次に浮かんだのが「なんでポイントを使ったんだ、もったいない」だった。6万円の時に当たったらすなおに喜んでいた。ポイントを使わず1万9300円が無料になっていてたら万歳だった。おれって、なんてついてないんだ……と、当たってよろこぶべきなのに私はより慾を掻いていた。

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 しかし考えてみるとこういう慾深さと悔い、半端づきは毎度のことだと気づく。なけなしの金をもって競馬場に行き、負ける。もうだめだと俯き、それでも未練たらしく最終レースを最後の小銭で買う。するとそれが当たる。もどってきた金は元金にも満たない。それでも当たったからまたやらねばならない。性懲りもなく今度こそと思ってしまう。底意地の悪い神様にふりまわされているような勝負運。それが私だった。

 10万馬券が当たる。それは当たらない人よりは幸運だし勝負勘があると言える。だが30万円をもって行き、万単位千円単位で買って負けた人間に、最後の100円が当たって10万円もどってきても慰めにはならないのだ。千円買ったときに当たれば100万になりすべては解決していた。なのに当たらない。もうだめだ、もう馬券なんてやめようと、それでも未練たらしく買った100円で当たらせてくれる。その10万をもってまた出かける。今度こそ千円当てればいいのだといつしか希望的になっている。そうして負ける。だったらひと思いに殺してくれればいいのにと思う。そんなことを繰り返してきた。

 それはバクチだ。今度のは違う。純粋に幸運が舞い降りてきたのだ。あれだけ欲しかったiPodが無料で手に入ったのだ。よろこべよろこべ、それでこそ人のあり方だ。なのに私は「おれってついてない」と思っている。こまったもんである。

 ともあれそうやって私は初めてiPodを手にしたのだった。これから何台も買い換えることになろう。でもこの一台目を手に入れたきっかけはいつまでもわすれない。せっかく当たったのに「ついてない」と思った自分の慾深さとともに。

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 時が過ぎて私はやっとすなおになれた。
 それはこのiPod-nanoの接続口のシリコン部品を買っているときに思った。この接続口はいつも開いたままである。いかにもゴミが入りそうで心配になる。すると見事にそれようの品を売っている。シリコン製でそこを塞ぐカヴァーだ。3個入って630円。これはねえ、どう考えても原価10円もしまい。儲かる商売である。といってそれほど数も出ないか。シリコン製の本体カヴァーが980円であった。これはすぐに買った。

9/15(金)
 日記より抜粋──iPod初体験

 自転車で図書館に行く。宮本輝の「月光の東」を返す。最初は盛り上がりつつ途中でしらけた作品だった。
 宮本輝一作(上下巻)、浅田次郎一冊(上下巻)、林真理子一冊を借りてくる。とにかく電車の中では文庫本でないとだめと知った。立っているときに読めない。あと落語CDを2枚借りる。

 ビックカメラでiPod-Nanoのシリコンケースを買う。正しくはストラップでぶら下げるためにラバーケースを買った。ケースが980円、ケイタイ用のストラップ(=クリップ付き。欲しいのはこれ)を550円で買う。
 レジの女が気のいい人で私のもっていた本とCDを袋に入れてくれるというので思わず昨日の当選話をしてしまう。すかさず彼女が「いくらでした」と聞くので、1万円ポッチの悔しい話をする。初めてしてしまった(笑)。

 いやはやそれにしてもiPodの関連商品は多い。気に入ったものに4980円というケースがあった。しかし周辺小物にここまで使う気にはなれなかった。

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 iPod-Nano初体験

 ビックカメラで買ったラバーケースとストラップを取りつけ、自転車に乗りながらiPod-Nanoを聞く。昨夜部屋で使ってみたが実質的にはこれこそが初体験になる。
 音がいいので驚く。ノラの歌。しかしこれ、やはり危ないな。つんぼになるのと同じだ。交通事故に遭う。やめよう。とめた。イヤフォンを外す。

 電車の中で聞くのが楽しみである。今までさんざんカセットテープやCD、MDウォークマンで聞いてきたが、音曲の切り替えの便利さとモニター情報の鮮やかさではこれが一番である。
 ノラだけでは、いかに大好きでもつまらない、もっと彩りを増やしてゆこう。しかしそう思うほど30GBが欲しくなってくる。我慢我慢。nanoが手にあるだけでも最高なのだから。

・下記の「やっとまともな状態に」にあるように、自分のミスにより2GBのiPod-Nanoに300MG程度しか容量を確保できず、ノラ・ジョーンズを20曲前後、落語数席のみで満杯になってしまっている。失敗に気づいていないのでiPod-Nanoとはこの程度のものと思い、HDD型の大容量にあこがれている。我ながらお粗末である。はずかしい。)
9/16(土)  Apple、Zenと和解
 パソコン雑誌を読んでいたら「Apple、Zenと和解」とあった。和解金1億ドルを払うという。
 初めてiPodを見たとき、画面の操作法が先発のzenの商品にそっくりだなと思った。しかしそのことはそのときだけで、まさか今に至るまでこんな大きなもめ事になっているとは知らなかった。1億ドルを払ったということはAppleが非を認めたのだろう。そしてまた売れて売れて笑いが止まらないAppleにすれば1億ドルの和解金もなんてことはないのだ。




9/17(日)
 やっとまともな状態に!

 お恥ずかしい話だが失敗談として書いておこう。
 容量2GBのiPod-Nanoなのだが、なぜかヘンなものが1GB以上入っていて音楽ファイルを挿れられる場所が500MBもない。ノラ・ジョーンズを15曲、落語を数席入れたらもう満杯である。まあそれだけでも今日の競馬場の行き帰りなどずいぶんと楽しませてくれた。でもなにかが違うような気がする。

 システム用のiTunesが入って残り1.75GBなのだと思う。そう表示されている。そのはずだ。なのにさらにそこから1GB以上もなにかが占拠している。
 私は最初それを落語かと思った。しかし違うようだ。落語はmp3なのだから音楽扱いだ。ということはやはりiTunesなのか。もしもシステムソフトがこんなに大きいのでは使い物にならない。1GBの人はどうなるのだ、と思った。

 エクスプローラーで開いて謎が解けた。なにがどうなったのか1GB以上もBitcometファイルが入っていた。iPodをUSB接続すると、それもひとつの外部接続として常に表示されている。今回はパソコンのiTunesを整理するあいだ、ずっと繋いでいた。その間のファイル操作で誤ってiPodにコピーしてしまったのだろう。何ともお粗末な失敗である。
 それを削除する。見事に、というか当たり前なのだけど、1.75GBが音楽用ファイルとして開かれた。もしもシステムソフトだけで1GBもあったら1GBの人はどうなるのだ。iPodシャッフルの512MBの人はどうなるのだ。アホとしかいいようがない。

 いや、そう考えるとiPodにもまだ改良の余地はあるのか。今のところ私のiPod-Nanoは2GBの内、250MBをシステムファイルがとっている。しかしこれが512MBのiPodシャッフルだったら半分をシステムソフトに取られてしまうはずで残りは250MB、これだと1曲3MBとして80曲、3MBの曲はかなりちいさいから平均5MBとすると50曲になってしまう。どうなのだろう。そうなのか? iPodシャッフル愛用者のtakaさんに質問してみよう。と思っているうちに気づいた。シャッフルは液晶表示がないからシステムソフトがもっとちいさいに違いない。システムソフトの250MBに不満を感じるのはiPod-Nano使用者の、それも1GB、2GB使用者に限られるのか。

 もっとも、そんなことに不満を持つのはパソコンで好き放題をしている立場のものぐさだけであって、毎日(とまでは行かなくても毎週でも)こまめに曲を入れ替える気持ちがあれば、あんなちいさなものに50曲も入るのだから御の字となるだろう。
 初めてCDチェンジャーをクルマに積んだときは夢の機械だった。10枚ものCDを次々と連続演奏してくれるのだ。
 しかし今思えば、それはたかが100曲の世界でしかない。しかもCDの切り替えには時間がかかったし、シャッフルして聞くことは出来なかった。それを思うといかにiPodが夢の道具かがわかる。

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 まともに1GB以上入れられる状態になったので、聞きたくなるであろうと思われる曲を大雑把に入れた。

 Jazzからは、トランペットでマイルス。これは大好きなBapのころにした。あとはクリフォード・ブラウン。サックスはチャーリー・パーカーレスター・ヤング。あとはコルトレーンのバラードを入れた。「ジャイアント・ステップ」を電車の中で聞きたくなるとは思えない(笑)。通から笑われようと「バラード」にした。本当はベン・ウェブスターにしようかと思った。なんだか帰りの電車、疲れたサラリーマンを見ながらはそれがいいと思えた。あまりに嵌りすぎるのでやめた。
 トロンボーンはJJ・ジョンソン
 ピアノはなんといってもオスカー・ピーターソン。それとバド・パウエルビル・エヴァンスをすこし。
 ギターはマーチン・テイラーのソロギターを入れた。クラシックから村治でもよかったが。
 オルガンはジャック・マクダフ
 ヴォーカルはなし。入れるとしたらビリー・ホリデイダイナ・ワシントンだが、どうも電車の中で聞く曲としてジャズ・ヴォーカルが適切なものとは思えなかった。

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 ウォークマンが流行ったころ、シイナマコトさんが書いた電車の中の音楽があった。まあシイナさんが書くのだから「ウォークマンが流行ったころ」ではないか。誰も彼もがウォークマンを使い、日常的に成りすぎたあとであろう。
 その中でシイナさんは夜更けの中央線で青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」を聞き、なかなかよく似合っていると書いていた。今も覚えている部分である。あれは「国分寺書店のおばば」がヒットした次の次ぐらいのエッセイか? まさか「国分寺」ではないよな。とにかくその部分をだけを鮮烈に覚えている。

 風景とマッチする音楽をいつも追究してきた。むかしは旅行鞄にカセットテープを30本ほど入れてどこへ行くときでも持参していた。もちろん30本は時と場所によって変る。やがて洋楽は外国でも買えるので現地で購入するようにした。
 今も覚えているのはタイのゴールデントライアングル(タイ、ミャンマー、ラオスが見える三角地帯)に初めていったとき、イーグルスがピタっとはまったことだ。チェンマイで借りたレンタジープだった。まったくイーグルスは万能である。

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 ブルースはBB・キングバディ・ガイドクター・ジョンスティービ・レイ・ボーンを入れる。SRVはブルースというよりPipelineのようなインストが欲しかった。ブルースギターの哀切は疲れたサラリーマンの帰宅姿と合うはずである。

 フュージョンからリー・リトナーラリー・カールトン。共にクロスオーバー黎明期から活躍している今では大御所だがアルバムはあたらしいもの。カールトンの生ギターはなかなかよい。
 イージー・リスニングとしてアール・クルーとゴンチチ。ゴンチチは唯一の日本代表(笑)。

 クラシックはモーツァルトのストリングスカルテットを入れた。今回はクラシックはこれのみ。(後日註・これはモーツァルトではなくドボルザークだった。ストリングスカルテットだけを見てコピーしたことによる間違いらしい。ドボルザークの管絃楽はパソコンに入れていても

 歌ものはマデリン・ペルーコリーヌ・ベイリー・ラエノラ・ジョーンズは最初に入れてある。この3人の女性歌手が今の好みってことか。

 あとは落語。これは別の意味で音楽よりも楽しみにしていた。本来は云南の山のなかで聞くためだったが一足早く日本で実現した。
 志ん朝、円生枝雀立川藤志楼(高田文夫)を一席ずつ。落語もせめて二十人ぐらいそろえておきたいがここで一杯になってしまった。

 これらで1.75GB。260曲。ぴったし。あまりなし。
 う~む、こういうふうに苦労しているとやはり悩むことなく好き放題に入れられる30GBや60Gbが欲しくなる。
 とはいえ逆に餘裕がないから、何を入れるかで悩む。すると自分が何を好きかがわかってくる。だからよしとするか。
 今回ここに入れたこれらは紛うことなく「私がいま電車の中で聞きたいと思った音楽と落語」なのである。

 これってどれぐらい保つものなんだろう。一部ずつ交換するのか、それともある日全取っ替えするのか。
 とりあえずしばらくはこれでいい。歩きながら聞いたりはしない。電車の中で立ちながら聞くようなみっともないこともしない。でもじつのところ、座っているときは読書だからいいが立っているときというのはなにもすることがなく、このときに音楽を聴けたらいいなと思う。通勤の中で最もつまらない時間だ。しかし人混みの中で耳にイヤフォンを入れている姿は私の美学に反するのでやはりやめよう。
 残業をした帰りの電車の中、空いている状況で聞いてみるつもりでいる。
 シイナさんのように、疲れて眠りこけるサラリーマンに円生の落語が似合うなんてシーンと出会えるか。
9/18

敬老の日

 iPodと奥多摩へ

 
 今日は敬老の日。これの由来を調べる。

敬老の日は、兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町)の門脇政夫村長が1947年に提唱した「としよりの日」が始まりである。「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」と、農閑期に当り気候も良い9月中旬の15日を「としよりの日」と定め、敬老会を開いた。これが1950年からは兵庫県全体で行われるようになり、後に全国に広がった。その後「としより」という表現は良くないということで1964年に「老人の日」と改称され、1966年に国民の祝日「敬老の日」となったわけである。このため、「母の日」のように外国から輸入されたような記念日と違い、「敬老の日」は諸外国にはない。

 おお、なるほどそうだったか。9月15日は2002年までで2003年から「9月の第三月曜」になったとか。自由に生きているから縁がないものなあ(笑)ハッピーマンデーには。
 今のように通勤していると連休がありがたい。
 今回は土日を中山に通い、しかもいいとこなしにノックアウトされたのでせっかくの三連休のありがたさがよくわからないのだが、もしも今日の祝日がなかったらボロボロのまま今日が出勤だったのだと思うと特別な週だと感じる。

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 iPodを買ったのでどこかへ行きたいと思っていた。電車路線図を見て奥多摩にする。立川から奥多摩との往復である。前々から行きたいと思っていた。
 行きたい気持ちは強いがすこし迷いもした。外は小雨模様。雨は上がったか。なにより時間がもう午後になっていた。たいしたことはしていないのに時の過ぎるのは早い。パソコンに向かったのは十時だったのに……。

 昨日からtakaさんに送ってもらったPRIDEを見始めている。それもある。
 それにもうすぐ相撲の始まる時間だ。BSではもう始まっている。せっかくの休日なのだから外出せずのんびりしたほうがいいのではないか。と迷っていた。でも出掛けてみることにする。それもみなiPodがあったから。なにかが変るかもしれないと期待した。つまり、こういうあたらしい行動に駆り立ててくれる小物がありがたい。そう思うと、ゲーム機だとより内にこもったからiPodで正解だったか。

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 サンスポと味覚糖の飴、お茶を買って電車に乗る。
 電車は青梅行き。一気に奥多摩までは行けないのかとがっかりする。しかしこれがじつはついていたのだった。

 すこし色合いは違うのだが、こんな感じの青梅発奥多摩行きの電車がスタンバイしていたのだ。これは乗り慣れている橙色の中央線で奥多摩まで行くよりずっと風情があった。
 しかもこの電車、作りが特別だった。行楽列車を意識している。車内の片方が四人掛け座席になっていて、しかもかなり手広い卓が用意されている。うまいものを並べて一杯やりたくなるような。
 これはぜひこの次、ウイスキーをもってきて一杯やりたいと思った。以前ダイナースクラブから気に入ったスキットルをもらったのだが使ったことがない。なかなかスキットルにウイスキーを入れてグイっとやるってパターンもない。それほどの酒飲みではないし、なによりウイスキーは酔うので(酔うまで飲むのだからあたりまえ)あまり飲まないようにしている。
 ただし、と考えた。途中の駅からリュックを背負った四人組のおばさんが乗ってきてうるさくなったときだ。たぶんこの電車は行楽電車だから天気のいい土日等はたいへんな混雑になるのだろう。今日は祝日だがたまたま日本全国颱風模様雨模様なので、こんなにのんびりできているのだ。その偶然を勘違いしてはならない。時空間を誤って「のんびりと」とかってに夢想したら痛い目に遭う。
 いいのは天気の悪い平日だ(笑)。しかし今の私にはそれは無理。土日しかない。なんとか秋の行楽日和ではないひどい日を選んでまた来よう。

 緑が濃くなった。電車は家々の軒ぎりぎりのところを走って行く。ここが東京だとは信じられない。まるで云南にいるようだ。でもあちらはインフラがひどい。日本はいいなあと思う。

 このあたりは何を聞いていたのだったか。シャッフルでいろいろと流れてきていた。聞いた覚えがあるのはノラ、マイルス、JJ。音量のちいさいピアノが流れてきたので何事かとディスプレイを見るとバド・パウエルだった。録音レベルが低いようだ。iTunesでさんざん時間をかけて同じレベルにしたつもりだったが、パソコン環境が変り、iTunes7を入れて作り直したから初期状態にもどってしまったか。

 奥多摩に着いた。向かいに新宿行き特別特急がいる。中央線の赤い電車。青梅発の立川経由通勤快速があるのは知っていたが奥多摩発まであるようだ。でも特別快速といってもほんとに駅をとばすのかと確認する。すると奥多摩を出て次が御嶽、青梅、福生、拝島、西立川、立川と一気に立川まで行くなかなかの特急だった。
 立川の次の停車駅は国分寺、三鷹、中野、新宿だ。ざっと計算すると新宿まで1時間半ぐらいで行ける。しかも停車駅はたった10駅だ。奥多摩に住んでも通勤できるのか? まあこんな電車は日に何本もないだろうけど。

 帰りは意図的に、マデレイン・ペローとコリーヌ・ベイリー・ラエの歌声を聞いた。ともによかった。これから電車の中で彼女らの歌声が聞けると思うとうれしい。ノラはさすがに聞きすぎて背筋がゾクっとする感覚は消えてしまったが、このふたりにはまだそれを感じる。

 現金なもので、来るときはあんなにわくわくし身を乗り出すようにして見た景色も二回目はどうでもいい。まあこんなものだ。そういえば旅好きの憧れの地である云南も通い慣れたのでこのごろ景色を見ない。最初のころはバスの中からデジカメで撮りまくったものだが……。

 ほんの思いつきで出掛けた電車旅だったが充分に価値はあった。ただそれは祝日なのに全国的に颱風襲来で天気が悪かったからであろう。まともな観光日和なら四人掛けの席をひとりで獨占し、しかも周囲にほとんど乗客がいないという旅感覚は無理にちがいない。
 帰路、途中からうるさいおばさん三人連れが乗ってきたので車両を換わった。こんなことも出来るからまだいいのであって、満員の電車だったなら感想もまったく変って来たろう。
 とすると「小雨模様だけど(しかたがない)行くか」ではなく、「雨模様だからこそ(ぜったい)行く」になる。みょうに行楽日和だったら「二度と行くものか」になっていたかもしれない。禍福はあざなえる縄のごとしである。
9/19  白いイヤフォンはiPod
 『週刊アスキー』にiPodの話が載っていた。正しくはヨーロッパでのPS3の発売延期の話。
 なんでも日本での発売から一ヶ月後らしく、それが不満で好事家はゲームキャラを使って抗議の書き込みをしているとか。
 そこから「ヨーロッパはiPodのときも発売や供給がおざなりにされた」となり、供給が間に合わないiPodは窃盗対象になり、iPodの特徴である白いイヤフォンを使わないように、との達しが出たとか。
 私はこの白いイヤフォンが嫌いなのでどこか他メーカーの黒い物を買おうかと思っていた。骨伝導イヤフォンがいい。高いけど。
 この種のことに興味がないので、今までiPodをさんざん触りまくりスペックについては持ってもいないのに異常に詳しかったが、まったく知らなかった。

 ということで電車の中で周囲を見ると今度はそればかり気になる(笑)。なるほど、白いイヤフォンを耳につけている人は近寄ってみるとiPod派なのだった。
 しかし白いイヤフォンは美しい娘には似合ってもおじさんには似合わない。
 近いうちに黒に替えるつもりでいる。骨伝導イヤフォンはしみじみと楽しみである。あ、まだ試聴したことがない。今度やってみよう。
9/22
地下鉄の中でSRV
 ケイタイ画面を見つめたり耳にイヤフォンを入れている姿を美しいと思わないので極力しないようにしている。それでもたまにはひっそりとしたい(笑)。

 今日は午後7時過ぎの地下鉄車内でそれをやってみた。
 地下鉄は地上の電車より騒音があるのでヴォリュームをあげねばならない。スティービー・レイ・ヴォーンをマックスにして流したら地下鉄内の風景が違って見えた。こんな劇的な効果はめったにないのでこれはうれしい。前記した「シイナマコトの中央線での青江三奈」に匹敵する効果である。地下鉄という閉鎖空間なのがよかった。これでへんに高層ビルの夜景が見えたりしたら合わない。真っ暗なトンネルの中を突き進む閉鎖空間の地下鉄の中でSRVを聞いていたら未来都市?の映画?の中にいるような感覚に陥った。

 地下鉄が地上に出たので(これも考えようによっては奇妙な表現だが)イヤフォンを外す。なにしろ白いイヤフォンは恥ずかしい(笑)。
 なかなかおもしろい体験だった。かつてこれをやろうと思ったら最初にまず考えてSRVを用意して来なければならなかった。それがこういうふうにまとめて曲を入れられる小物があるとその場の思いつきで出来る。便利な時代である。ますます大容量のが欲しくなってきた。

07/4/6
iTunesでoggVorbisファイルを聞く!

 oggVorbisファイルとはmp3の代役らしい。mp3を発明開発した人がそれを有料にしたので、それに代わるものとして、より高性能で無料な形式として登場した。ようだ。
 ここのところその形式のファイルがやたらと増えてきた。ところが重宝していて今や片時も手放せないiTunesはこのファイル形式に対応していないのである。
 Appleとしては自分たちの標準とするAac(=mp4)があるのだから関わる気はないのかも知れない。元々mp3よりもあたらしく高性能なAacを前面に出して旧型のmp3を軽視していた。今更それの改良型であるoggなど相手にしていないのだろう。なんだか意図的な気がする。こまめにiTunesをVersion Upしているのにいまだに対応していないのは不自然だ。
 さいわいもうひとつの愛用している音楽再生ソフトKbMedia Playerがoggに対応しているので聞くことは出来る。それでも不便であることに変わりない。なにしろ音楽ファイルとして認識しないのだから。
(音質としてはFlacファイルがいちばん好きだが容量を取りすぎる。)

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 oggVorbisファイルは増える一方だ。なんかとかならんかとダメモトで「iTunes oggVorbis 変換」と入れて検索してみた。するとすぐにヒットしたのである。それが下記のアドレス。

http://wayohoo.com/ipod/itunesogg_vorbi.html

 ここに「iTunesでoggVorbisファイルを聴けるようにする裏技」が紹介されていた。誰でも出来る簡単な方法だった。やってみるものである。なにもしない消極的な自分を反省した。毎度のことだが。

 早速やってみたところ、iTunesはすぐに飯能市(笑)反応し、oggVorbisファイルの音楽も聴けるようになった。ありがたい。
 もしも同じ悩みを持っている人がいたらすぐにやってみてください。簡単に出来ます。

 教えてくださった上記URLのかたにはこの場を借りて御礼申し上げます。どうやらこのかたにもどなたかが情報として教えてくれたようである。知識があるとどんな難問も軽々とクリアしてしまうのだなと感嘆した。
07/5/30 iPodが助けてくれた

 HDDがおかしくなり大量のファイルを失くした。仕事的なデータだけはこまめにDVDやCDに落としていたので助かったが……。
 やっておかねばと思いつつ、どうにも音楽ファイルの保存は雑になりがちだ。今回もCDから入れたものは




http://buin2gou.nyaa.co.uk/ipod/manual/index.html

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