2007
2/20
 鬼平>剣客、梅安、ゴルゴ

 劇画版『鬼平犯科帳』のことを書こうと、さいとうプロのサイトに行った。絵を拝借したかった。単行本をスキャンしてもいいが、もっといい絵が用意されているだろうと。
 さいとうプロのサイトに行くのは初めてである。ずらりと名作が並ぶ迫力あるサイトだった。
 見慣れたのマークを見てあらためて苦笑する。さいとう先生は自分の顔をマークにしたのだからすごい(笑)。
 私はたった一度だけだがさいとうたかを先生と電話で話したことがある。27年前だ。赤坂の企劃会社で働いていた。H子さんとはここで知り合ったのだった。劇画マンガ家の人生を描くドラマの企画書を書き、ご意見を伺おうとさいとうプロに電話したのだった。いきなり先生ご本人が出て、気さくに話してくださった。子供のころからの大ファンだからあがってしまいしどろもどろになった。


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さいとうプロホームページより拝借
http://www.saito-pro.co.jp/top.htm


 『ゴルゴ13』はもちろん「無用ノ介」「影狩り」「サバイバル」「雲盗り暫平」と、さいとうプロの作品は三十数年前からほぼ全部を読んでいるので話し出したらきりがない。しかしここで言いたいことは極めてシンプルだ。「いまどの作品よりも『鬼平犯科帳』がいちばん好きだ」である。これでもう終り。それだけ。あとはつけ足しでほんのすこしその理由を考えてみる。

 さいとうプロの池波正太郎原作作品は『鬼平犯科帳』『剣客商売』『藤枝梅安』である。鬼平と梅安は今も継続中。最近剣客を目にしないなと思ったら打ち切っているようだ。どうしてだろう。まだ原作はいっぱいある。もしも池波原作の中からこの作品だけを劇画化していたなら、池波先生方面と揉めたと考えられるが、その他の二つの作品が順調なのだからそういうわけでもないのだろう。わからん。再開が待たれる。

 三作とも大好きなのだけれど、私が今、剣客よりも梅安よりも鬼平が気に入っている理由は、鬼平が実在の人物だったことから来るリアリズムであるように思う。
 剣客の秋山親子は無敵の剣の達人である。もう小兵衛の強いの何のって。梅安も剣の達人相手に楊枝で心臓や延髄を突いて暗殺を実行して行くスーパーマンだ。勧善懲悪の世界になる。その点、鬼平は剣は免許皆伝であるものの、秋山、梅安よりも人間くさく、思うように盗賊がとらえられず悩み苦しんだりする。いや悩み苦しむというのなら秋山親子だって梅安だって悩んでいる。なんなのだろう、とにかく鬼平の世界がいちばん本物っぽい。現実的で違和を感じない。それは鬼平ひとりの物語ではなく火盗改め全体の物語だからでもあろう。

 もとより時代劇とはSFと同じ線上にある。現実世界とは無関係だ。未来が解らないように過去だって解ってはいない。未来も過去も、今の視点で解った風なことを書いているだけである。悪く言えば荒唐無稽、となる。
 私は学生のころからSFを愛読し、いわゆる私小説を毛嫌いしてきた。なのになぜかこのごろ眉目秀麗な剣の達人が大活躍する作品(山本周五郎、山手樹一郎等)を受けつけなくなってしまった。架空の物語なのだからリアリズムにこだわるのは無意味である。山本作品のような物語性、山手作品のような娯楽性を楽しめばいいのだ。ところがそれらよりも藤沢周平の描く下級武士の質素な世界に惹かれるようになった。なんだろうな、これは。

 テレビの『水戸黄門』『暴れん坊将軍』『遠山の金さん』を楽しめない自分をつまらないと思う。しかし劇画の梅安や剣客にすら違和感を持ってしまうのだからしかたがない。

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 先日の引っ越しで『ゴルゴ13』をぜんぶ処分してしまった。もちろん今悔いている(笑)。処分しなくてもいま壁一面に積み上げてある段ボール箱がふたつ多いだけだった。充分にスペースはある。なんであんなことをしたのか。

 だがそこそこ理由はある。私はここ一年ほどビッグコミックを読まなくなっていた。1968年の第一回から闕かさず読み続け、単行本を買いそろえてきたゴルゴなのに、ここのところなぜか興味をなくしていたのである。コンビニでビッグを手にしても、「C級サラリーマン講座」を読むぐらいでゴルゴを読まなかった。だから処分するとき、時間を掛けて集めてきた大切なアイテムをただ同然で処分してしまう哀しさはあったが、それらは段ボール箱に入れたままもう何年も読んでいない荷物でしかないのも事実だった。かといってあのように無理して処分する必要もなかったのだが……。

 今年の正月は寝正月だった。本を読んだりマンガを読んだりしつつ日がな一日ぐうたらしていた。押し入れに入れたままの段ボール箱をもち出して何年かぶりで読んだ漫画も多かった。たとえば弘兼憲史の初期の代表作「ハロー張りネズミ」は全巻読み返した。おもしろかった。一方当時はだいすきだった「人間交差点」は原作者・矢島正雄のサヨク的な部分が鼻について楽しめなかった。時が過ぎると感想も変る。
 そんなときもなぜかゴルゴは読む気になれず手をつけなかった。そのうちまた興味を持ち、処分した本を買い直すようになればいいのだが……。
 何で急に興味をなくしたのだろう。こちらの精神状態の問題か。夢中だったころ、ゴルゴがコロンビアやペルーで活躍すればそこに行きたいと思った。今はそんな気がまったく起きない。その辺が関係しているのだろうか。

 ゴルゴや『美味しんぼ』は処分してしまったけれど、しっかりともってきた漫画本も数多い。そんな中でも時代劇コミックは座右の書のようにしておいてある。この辺の嗜好の変化はどうして起きるのだろう。これでテレビの『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』も好きになったのならリクツは簡単だ。でもそうではない。

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 池波正太郎作品の特長として賞賛されることに作品世界に食の楽しみを持ち込んだ点がある。まったくあれが出てくると喉が鳴る。じつに巧いと思う。志ん朝との対談でも志ん朝は早速その点を指摘していた。ご本人はさほど意識していないようだ。恬淡と語っていた。

 鬼平を読みつつ熱燗をやる。冬の夜の楽しみである。
 そのとき私は出来るだけ肴を当時のようにする。今しかないような肴はつままない。質素で野趣に富んだものを選ぶ。器もプラスチックなどは厳禁である。土焼きのような質素な皿に塩からを盛ったりする。部屋を部分を証明にし、熱燗を茶碗酒でやっていると江戸の居酒屋で飲んでいるような気分になれる。これが楽しい。とはいえ燗は電子レンジでしているのだが。
 と書いていたら、そんなことをまたしたくなってきた。


3/1
 中崎タツヤの魅力

1992

日本文芸社

少年画報社 辞書登録 


10/26
 「少年ジャンプ」思い出の作品

その人気、今も衰え知らず――一時代を築いた傑作漫画がズラリ

最盛期の1990年代には650万部を超える驚異的な売り上げを記録した人気漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』。1959年に史上初の週刊漫画雑誌として登場した『週刊少年サンデー』と『週刊少年マガジン』から遅れる事9年という後発の創刊(1968年)ながら、 永井豪や本宮ひろ志など、当時の新人作家を中心とした戦略が功を奏し、1973年には週刊漫画雑誌で売り上げナンバーワンに輝きました。
約40年という長い歴史の中で、これまでに掲載された思い出の作品を選ぶ「思い出に残る『週刊少年ジャンプ』の漫画ランキング」。
第1位になったのは、 鳥山明の《Dr.スランプ》(1980~1984年)でした。ペンギン村に住む天才科学者・ 則巻千兵衛とメガネがトレードマークのロボット・ 則巻アラレを中心にストーリーが展開するギャグ漫画で、1981年にはフジテレビ系列でアニメ化されて人気が爆発。アラレのセリフである「んちゃ」「ほよよ」は、当時の子どもたちの間で流行語にもなりました。

2位は 北条司の《キャッツ・アイ》(1981~1984年)。美術品を専門にする美しい3姉妹の泥棒を題材にした作品で、彼女たちを追い続ける刑事とのラブコメ要素も盛り込まれていました。
こちらも《Dr.スランプ》同様にアニメ化され、 杏里が歌った主題歌『CAT'S EYE』が大ヒットしました。ちなみに、1988年には早見優、MIE(現:未唯)、立花理佐主演のテレビ版が1997年には、藤原紀香、稲森いずみ、内田有紀主演の映画版が制作されています。

3位につけた《北斗の拳》は1988年に連載が終了していますが、パチスロやパソコン向けタイピングソフトなど、現在も作品を冠した商品が大ヒットしており、その人気は衰え知らずです。一世を風びした主人公 ケンシロウの「あたたたた」や「お前はもう死んでいる」などの名セリフは、一度聞いたら忘れられないほどのインパクトがありますね。現在でも『週刊コミックバンチ』では『蒼天の拳』や『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』などのスピンオフ作品が掲載されているので、ファンの方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

 このほかにも、掲載当時はマイナーなスポーツだったサッカーを子どもたちの人気スポーツにまで押し上げただけでなく、 アレッサンドロ・デルピエロをはじめとする世界の有名サッカー選手がサッカーを始めるきっかけにもなった《キャプテン翼》、バスケットブームを生み出した《SLAMDUNK》など、時代に大きな影響を与えた名作がずらりと顔をそろえた今回のランキング週刊少年漫画誌のトップを走り続ける同誌の歴史と底力を感じずにはいられませんね。

1  Dr.スランプ  鳥山明
2  キャッツ・アイ  北条司
3  北斗の拳  原作:武論尊、作画:原哲夫
4  DRAGON BALL  鳥山明
5  シティーハンター  北条司
6  キン肉マン  ゆでたまご
7  キャプテン翼  高橋陽一
8  ハイスクール!奇面組  新沢基栄
9  ど根性ガエル  吉沢やすみ
10  幽☆遊☆白書  冨樫義博
11  SLAM DUNK  井上雄彦
12  るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-  和月伸宏
13  きまぐれオレンジ☆ロード  まつもと泉
14  聖闘士星矢  車田正美
15  ハレンチ学園  永井豪
16  ジョジョの奇妙な冒険  荒木飛呂彦
17  魁!!男塾  宮下あきら
18  サーキットの狼  池沢さとし
19  ヒカルの碁  原作:ほったゆみ、漫画:小畑健
20  地獄先生ぬ~べ~ 原作:真倉翔、作画:岡野剛
21  はだしのゲン 中沢啓治
22  ストップ!!ひばりくん! 江口寿史
23  侍ジャイアンツ 原作:梶原一騎、作画:井上コオ
24  まじかる☆タルるートくん 江川達也
25  電影少女 桂正和
26  ドーベルマン刑事 原作:武論尊、作画:平松伸二
27  ドラゴンクエスト ダイの大冒険 原作:三条陸、作画:稲田浩司
28  ジャングルの王者ターちゃん 徳弘正也
29  銀牙 -流れ星 銀- 高橋よしひろ
30  ウイングマン 桂正和


http://ranking.goo.ne.jp/ranking/026/jump_comics/   gooランキングより
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 私はサンデー、マガジン派だったのでジャンプには思い入れがない。ジャンプは私が高校生の時に創刊された。当時異常な人気を呼びジャンプ発展のきっかけになったのは「男一匹ガキ大将」だった。それが入ってないのは、アンケートの対象が若い人なのだろう。
 私は「巨人の星」「あしたのジョー」が好きだったから、そのころはマガジン派だったことになる。気分的に小学生の時から読んできたサンデー、マガジンへの思い入れがある。逆にジャンプ創刊が小学生だった人は熱烈なジャンプ派であろう。この世代差はある。

 大学にはいるとビッグコミック派になる。すぐにオリジナルも創刊された。今度はビッグ派と漫画アクション派に分かれたものだった。

「ジャンプ文化」というものがあるとしたら私に語る資格はない。喫茶店やラーメン屋で読んできたから上記の作品もそれ以外の作品もそれなりに知っている。そこそこの思い出は語れる。だが好きな作品とは連載時に缺かさず読み、そのご単行本も買いそろえるぐらい熱い思いがあって「語る資格」だろう。サンデーマガジンにはそう言える作品がいくつもあるがジャンプ掲載作品にはない。


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