05/7/6
 ミドル級世界最強王座決定トーナメント開幕戦



[感想]
 総体的に止めるのが早いように思えた。一発パンチが決まり腰砕けになるとマウントになる以前でもう試合中止だった。すこし物足りない。マウントになられてボコ殴りになってからでもいいではないか。マウントになられてディフェンスしているうちに意識がしっかりし、そこからの逆転もあることをさんざん見てきた。またヒョードル対ノゲイラの試合だったなら決して止めなかったろう。だがいまこの種の興行の主催者すべてが最も怖れているのは死者や障害の残る選手が出て、興行中止、テレビ放映なし、になることであろう。まして『PRIDE』の最高級選手のように戦い慣れていない選手も多いから、この処置はやむを得なかったように思う。スーパーバイザーの前田はもともとリングス時代から倒れた選手への蹴り技は禁止すべきとの考えだったから彼の意向も働いていたろう。

 肝腎のミドル級は山本以外スターがいないので、視聴率を稼ぐための目玉はK-1から参戦したセフォーやアーツ、サップであった。私の楽しみもそれだった。みなそろって勝ったけれど、ストライカーよりもグラップラー好きの私としては、『PRIDE』の一流どころならセフォーやアーツを掴まえてしまうだろうと思える。セフォーもアーツも初登場のころから応援してきた大好きな選手である。ところがこういう舞台になるとグラップーラーの方が、と思ってしまうのだから長年のプロレス好きはおおきい。

 とにかく過剰なほどTBSは「山本KID 世界チャンピオンへの道」を前面に出していた。そういう路線と決めたのだろう。風邪で体調が良くなかったという山本はとりあえず勝った。すなおにそれを詫びて大言壮語しなかったのは好ましい。

 この日の私のベストバウトは所。れいによって「六畳一間のアパート、風呂なし、コンビニ弁当。いつかのしあがってやる」のプロフィールが流れ、試合が始まった。相手はあのシュートのノゲイラである。この選手は強い。所はよくある噛ませ犬だろうと寝転がって気楽に見ていたが、5分2ラウンドを五分に戦い延長にもつれこむころには「おい、所、勝てるぞ!」とベッドに正座状態である。勝ったときには一緒にガッツポーズをやっていた。所が勝ちが決まるやいなやリングから転げ落ちるようにして降り、前田のところに駆け寄ってペコペコと頭を下げ、手を握ってもらっていたのが感動的だった。あれはなんだろう、そこまで裏事情を知らないが、前田に直訴して出場させてもらったとか、そんないきさつがあるのだろうか。挌闘技雑誌を読むのが楽しみだ。
 所の試合を残しておこうと、早速HDDからDVDに焼いた。

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