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R1ぐらんぷり優勝2010 あべこうじ優勝
ピン芸人日本一戦「R-1ぐらんぷり2010」の決勝戦が23日、東京・台場のフジテレビで行われ、06年準Vで昨年5位のあべこうじ(34)が初の栄冠に輝き、賞金500万円を獲得した。
1回目の得点上位3人によって争われるファイナルステージには、07、08年の覇者・なだぎ武=1回目661点=、昨年5位のあべこうじ(34)=同658点=、昨年準優勝のエハラマサヒロ(27)=同655点=が進出し、あべが見事に優勝を飾った。
今回のR-1は大会史上最多の3539人が出場。バカリズム(34)、いとうあさこ(39)、G(グラップラー)たかし(31)、麒麟の川島明(31)、我人祥太(26)、ザ・プラン9のなだぎ武、エハラマサヒロ、あべこうじの8名に、21日の敗者復活戦で勝ち上がったCOWCOW山田與志(35)を加えた9名によって争われた。
「R-1」決勝戦は23日午後7時からフジテレビ系で完全生中継され、司会はお笑いコンビ、雨上がり決死隊とタレント、優香(29)で、審査員は高田純次(63)、板尾創路(46)、伊東四朗(72)ら7人が務めた。(sanspoより)
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去年の優勝は断然バカリズムだった。あれは決勝のシステムがおかしい。その点ことしは改良された。
ということから本命にしていたバカリズムがいきなりのおおスベリ。いわば3連単の1着固定にしていた馬が大出遅れのようなもの。まずこれで的中はない。あとはなんとか3着までに届いて(ぎりぎりの決勝進出)押さえの3連複でせめて元取りを、と願うが、あのネタでは無理。早々と消える。ということで序盤から楽しみのない番組となった。
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Cowcowの山田はよくネタを練ってきて、流れも良く、もう素材を作るだけでたいへんだったろうなと感心するぐらいの出来だった。藝人はこんなことで感心されてもしょうがないし、敗者復活で見たネタだった。自信のこれで確実に決勝戦進出を狙ったのだろう。
チイタケオもアトウカイもおもしろかったけど、爆発的な笑いには繋がらない。これっておおきいことだ。たとえば、「もう中学生」が、色を塗り忘れた段ボール素材だったり、それが本番中にひっくり返ったりする失敗を繰り返し、そもそもネタ自体がちっともおもしろくないのに、「でもなんだかみょうにおかしい」というのは大事なことだろう。私は「もー中」に興味はないけれど、そのことはいつも感じる。
山田は「もうアニメーションのように」とスピードアップ=笑いのアップを図っていたが、むしろ以前の「ゴルゴネタ」のまったり感の方が笑いに繋がっていたのは皮肉。テンポを早めて画を一杯見せれば笑いも増える、のではないのがお笑いの奥深さ。
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グラップラーたかしはプロレス挌闘技好きにはおもしろかった。なにをやっても登場人物がボビー・オロゴンと猪木というくどさも楽しかった。でもあのネタではファンが限られる。挌闘技好きではない清水ミチコが「くどい」と批判したのは当然。まったく笑えない人もいたことだろう。ミニ劇場向けの藝人。「自分がおもしろいと思っているものは誰にもおもしろい」という勘違いがある。あれしかできないのだからそんなことを言ってもしょうがない。ああいう偏った藝人(笑)が決勝戦まで来たことはわたし的には大歓迎だけれど。
麒麟川島はTake5をBGMにシャレたネタ。決勝戦に行かせたかったが、フリップ藝が全盛の今、あれではすこしネタが細いのか。本藝の漫才がゆきどまっていたので新味。
我人祥太の暗いネタは個人的には大好きでおもしろかったけど、あれもまた裏の世界。あんなのが優勝して朝のワイドショーに「R1ぐらんぷり優勝の我人さんでーす」と拍手で迎えられるシーンは想像しがたい(笑)。「グランプリ」なんてのとは縁のない路線。よくぞ決勝戦まで来たものだ。これ誉めコトバ。
いとうあさこのワンパターン自虐ネタは評するほどのものではない。決勝戦まで来たのは今まで頑張ってきた御褒美だろう。これを思い出に、寿引退をして欲しい。
彼女が雙葉出身なのにはおどろいた。芸能人の「ほんとは御嬢様(お坊ちゃま)」的話はふくらませたウソが多いが彼女の場合は本物だ。雙葉出身であんなことをやっているのは創立以来だろう。
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もう見あきてる三人が決勝に出て、「R1の笑い飯」が涙の優勝。「むかしの天皇賞は勝ち抜け制だったが」と、これはM1のときに笑い飯優勝を予想して書いた。あちらはハズレたが、こちらはもろにそんな感じの結果となった。
涙のあべこうじが「これでやっと卒業できる」と言ったらしい。こちらも「やっと卒業してくれた」の感。常連あべこうじはR1のポテンシャルを保つのに貢献していたが、同時にマンネリの因ともなっていた。ステイゴールドみたいなもの。無事優勝で卒業はめでたい。来年も来そうだけど。あべちゃん、うざいから(笑)。
なだぎのネタは見飽きていてつまらなかった。「レッドカーペット」や「エンタの神様」で見たことのあるネタでR1決勝戦というのはいかがなものか。それがどんなに磨きあげられたネタだったとしても、わたしとしてはつまらなかった。
M1のときのサンドウィッチマンがまさにそれで、メジャーな番組は唯一「エンタ」しか出ていない全国的にはまだ無名だったからうまくハマったが、ネタはもう何度も見飽きたものだった。もっとも彼らはそれをポリシーとしていて、使いまくったネタを封印していく藝人もいる中、これからも好きなネタは何百回でも何千回でもやる、やればやるほどおもしろいものにしたい、と宣言している。それはそれでいいことだ。言いたいのは、見事にワンチャンスをものにした、ということ。
なだぎはもう出なくていいだろうし、出るならツータイムスチャンピオンなのだから、他では披露しないR1専用のネタを用意して欲しい。それぐらいはすべきだろう。それがチャンピオンのプライドだ。
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日曜の夕方に「サバイバルステージ」=敗者復活戦が生中継された。おもしろかった。結果は図の通り。
たいした中身ではなかったが、本番への期待という意味でおもしろかった。何事もこういう盛りあがりの課程がいちばん楽しいようだ。期待が大きかった分、期待外れの本番だった。
ここで落ちた昨年優勝の中山はおもしろくない。このひどい点数からも内容がうかがえる。「優勝したのにちっとも売れへん」と嘆いているそうだが、優勝そのものが「サイレンススズカが故障して優勝した天皇賞馬」みたいなものなのだから当然だ。
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「旬」というのは大切だ。あらためて思う。もしも昨年が今年のシステムだったなら、バカリズムは、一回戦を「贈るほどでもないことば」で突破し、決勝戦を「地理バカ先生」でぶっちぎりの楽勝だったろう。いまごろ大ブレイクしていた。これからまたこれらに匹敵する新ネタを磨きあげて優勝するのはたいへんだ。タイミングは重要である。
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