06/3/8

亀田戦を観る


 8日、ボクシング亀田興毅の試合をTBSが午後9時から放映。世界戦でもないのにたいした扱いである。
 ボディへの有効な攻撃があり6回にKO勝ち。しかしさほどのおもしろさはない。やはりK1や『PRIDE』のほうが今の私にはおもしろい。子供のころ、ボクシング黄金時代と言われたころに、ファイティング原田や海老原、藤猛の試合を見てきているが(藤のおもしろさは別格として)、それは当時それしかなかったからであり、あまりボクシングに入れあげるタイプではない。

 9日早朝のみのもんたの番組に亀田生出演。
 デビュからの連続KOシーンを観るが、相手がみなタイから連れてきた噛ませ犬。みえみえ。
 果たして本当に世界に通用するのだろうか。
 といって意地悪な視点ではなく、こういう形のスター出現は大歓迎である。
(これからまた彼のことを書くこともあろうと、興毅という名を辞書登録した。)

 WBA世界フライ級4位の亀田興毅(19=協栄)が格闘技界の「カリスマ」になった。9日に発表された前日8日のボウチャン戦の視聴率が平均24・8%、瞬間最高も31・8%と驚異的な数字を記録。TBSで同時間帯で中継される魔裟斗のK-1 MAX、山本“KID”徳郁のHERO’Sの最高視聴率を超え、国民的人気ぶりを証明。次戦は5月5日、東京・有明コロシアムでの開催が決定。
今度は同日に重なるPRIDE無差別級GP開幕戦(大阪ドーム)も圧倒する意欲をみせた。 注目度は予想を大幅に超えていた。亀田が6回KO勝利で飾ったボウチャン戦の視聴率は平均24・8%、瞬間最高は5回終了時で31・8%まで伸びた。(ニッカンスポーツより)


 それよりも私が感じた意外な感情。
 K1にブアカーオが出てくると夢中になって応援する。日本に不法滞在しているタイの男女は、日本の繁華街の片隅で、ブアカーオの勇姿に歓声を送っているだろうと想像して胸を熱くしたりする。しかし亀田の噛ませ犬がみなタイ人ボクサーであることにまで憤慨するとは思わなかった。よほどのタイ人贔屓であるらしい(笑)。
 噛ませ犬代は彼らにとってけっこうな金額だったのだろうし、しかも長時間がんばるのではなく、数十秒で倒れればいいのだから気楽なワークである。いきり立つこともないのか……。
 K1Maxのブアカーオに期待することにしよう。

5/24
当然の如く亀田叩き!

 亀田兄弟が平均33%、瞬間最高40%に達する視聴率をとって日本的な人気者にのしあがった。五月連休ゴールデンタイムの数字だからたいしたものである。
 仕掛け人はTBSテレビ。父親と3人の息子(離婚して母親はいない)の「家族物」として作っている。他項でも書いたが、同じく高視聴率を稼いだ「大家族青木家」とまったく同じ作りなのが笑える。

 私の意見は、どういう形であれ、これによってボクシング人気があがるならいいことだ、がひとつ。
 インチキ大家族物とは違い、ボクシングであるから最後まで作り物では行けない。そこにリアリティがある。
 長男が、かませ犬になって小銭を稼ぐことを専門にしているタイ人ボクサーに勝って連勝記録を作ってきたのは事実である。
 だがこれはボクシングではよくあることだ。アメリカのヘビー級20戦20勝の新鋭なんてのも、同じようなことでそういう経歴を作り、チャンピオンマッチのとき、より大きな金が動くように作りあげたデコレーションである。こういうギミックは必要だ。しかしそれだけではチャンプにはなれない。メッキが剥がれて没落して行くチャンプ候補も山といる。
 だから亀田のあの戦歴作りは、スターを作るための戦略として認める。

 心配するのはTBSのやりかただ。実績を積んで行く長男はいいとしても、まだ海のものとも山のものともつかない次男(たいしたことないと思うよ)や、まだ中学生の三男までスター扱いである。あんなことをしたら子供は狂う。そうなったらテレビは平然とそれを見限り、しらんふりして次の得物を狙えばいいが……。

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 亀田兄弟で儲けようとするTBSがいれば、それを叩いて商売にしようとするマスコミも現れる。それがこの業界のバランスだ。
 『週刊現代』がそれを始めた。
 納得する部分もあれば笑ってしまう部分もある。
 たとえば「大阪西成では評判が悪いという話」。
 西成の声。
「あいつらは大阪から出たのに大阪を捨てて東京に行った。大嫌いだ」って(笑)、そりゃただの感情論であって「亀田親子批判」にはなっていない。

 納得する話。長男次男より能力が高いと話題の三男のこと。
「あいつは学校に行っていないので漢字が書けない。だからケイタイのメールでもひらがなばかり。でもアルファベットは書ける。それでサインの練習をしているから」
 まだなにもしていない中学生なのに、長男よりも能力が高いと言って大スターのようにもちあげる。狂うに決まっている。末はヤクザ確定だ。

 話題になった移籍の話も興味深い。父親の横暴に手を焼いた所属ジムが「3千万円以上」で移籍をセリに出したのだ。

 救いになったのは、こういう悪意の固まりのような週刊誌記事なのだが、人々の声が、どこでも「長男はいい人」で統一されていたことだった。その分、次男三男の評判は最悪だが(笑)。

 また、週刊誌としては、話を盛り上げるために、元世界チャンプクラスから亀田兄弟をボロクソに言ってもらいたいわけだが、誰も登場していないのが興味深かった。唯一元東洋チャンプクラスが手厳しいことを言っていたが、これも誰もいないので無理矢理ギャラで口説いたのが見え見えだった。ボクシング関係者は誰もが亀田人気が起爆剤になって欲しいと願っている。これからの素材を悪く言うはずがない。
 その中の証言として、やはり「噛ませ犬専門タイ人ボクサー」はいるらしく、あまりに露骨なのでコミッションが来日禁止にしたのも多いとか。假に噛ませ犬代がアゴアシ別で10万円だとしても、日本に来て1ラウンドで負ければいいのだから、彼らからするといい稼ぎである。

「大家族モノ」だと、これらの評判がすべてになってゆく。だがこれは格闘技であり、長男の世界奪りはヤラセでは出来ない。
 どういう展開になるのか。ただの「家族物」よりは遙かにおもしろい。人気は当然だろう。

 私の感想としては、TBSの大はしゃぎが気味悪く、次男三男が人生を狂わすだろうと心配している。
 人の悪口が商売の『週刊現代』は毎度くだらんとしか思わない。そういえば美輪明弘の批判も特集していた。
 ただ、「テレビが持ち上げるモノを活字メディアが叩くという構図」は、今の時代のバランス感覚なのか、とは思う。凡庸な意見だが。
 私自身は、テレビに踊らされないので、叩く活字も必要ない、になるけれど。
 テレビの力が強すぎるから、『週刊現代』のようなメディアも必要、というべきなのか。

 私の基本は、こういう人気者は叩くという週刊誌の下衆なやり口が大嫌い、なのだが、今回に関しては気にならない。それはもちあげているTBSの力が強すぎるからだろう。逆の力もないとまずいと思っている。
 いずれにせよボクサーとして大成しなかったらテレビはすぐ見放す。勝つしかない。がんばれ亀田長男。
6/6(火)
○深夜に亀田次男を見る

 朝の番組でみのもんたが言っていたので見た。深夜0時25分からの30分番組。普段ならもう9時には寝ているのだが、日曜の飲み会から、すこし生活時間が狂っている。午前3時起床、午後9時就寝にもどさないと。

 上記しているように、どんな形でもボクシングが盛り上がるのはいいことだと思うし、ヤクザとのつきあいがどうのこうのとかで亀田親子を嫌う感覚はない。基本的に亀田兄弟の応援、はしゃぎすぎのTBSにはちょっと否定的、というスタンスだ。
 弱い相手を選んで勝ち進むのも当然の戦略と了解している。

 しかしそれとボクサーとしての能力、試合内容に関する感想は別。

 GⅠを勝つような馬は、新馬のころから必ずそれらしい部分を見せてくれるものだが……。

亀田大毅戦、深夜放送も高視聴率5・0%

 プロボクシング亀田3兄弟の二男「浪速の弁慶」大毅(17=協栄)が6日、東京・新宿区の協栄ジムで記者会見した。5日、東京・後楽園ホールで元インドネシア・フライ級王者ヨッピー・ベヌー(24)を5回TKO勝ちで撃破してから一夜明け、「倒せたから良かった。会場の盛り上がりもうれしかったな」とほっとした表情をみせた。会見には派手なピンク色のシャツとカラージーンズで登場。大毅は「スターはな、ピンクを着ないとな」と上機嫌だった。

 またTBSで6日午前0時30分から30分間放送された試合視聴率が平均5・0%をマーク。同局の深夜ボクシング放送では96年のフォアマン-クリムス戦の5・3%に迫る歴代2位の数字となった。またプロ5戦目となる次戦は8月中を予定している。(ニッカンスポーツ)


 黄色い声援も大いに結構。「ダイキー」に混じって「おとうさーん」とセコンドの父親にも声援が飛ぶのも容認(笑)。
 しかし試合内容はなあ……。軽いクラス特有の身軽なフットワークもなく、頭をくっつけてのブルファイト。それはそれで好みなのだが、どうにも切れを感じない。まだ17歳だし、こんなものだろうけど。
 褒めて褒めて褒めまくるアナの絶叫が耳障り。

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●『週刊文春』のタイレポート

 先週発売の『週刊文春』がタイまで出かけて亀田兄弟に負けたタイ人ボクサーにインタヴュウしていた。おもしろいから立ち読みしたのだけど、立ち読みした立場からえらそーなことは言えないが、「ようやるなあ」と思った。これも「亀田人気」にあやかった商売である。当然読む人の主はアンチの人なのだろう。そういう内容の記事でもあるし。
 こんな楽な仕事でタイに行けていいなあとは思ったけど(笑)。

 上記、私は噛ませ犬役のタイ人ボクサーに対して、「たとえファイトマネーが手取り10万円でも1ラウンドで倒れればいいのだからいい稼ぎになる」と書いたが、実態はあれこれ引かれて1万バーツ(3万円)だという。
 そしてまあ当然の展開ながら、「彼は週に六日、バイクタクシーで働いている。1万バーツは彼のその月収に当たる」となる。
 唯一、元チャンプで引退し、最近カムバックした36歳に関しては20万バーツ(60万円)とあり、それは彼の相場の倍だったという。まあ落ち目のロートルが「箔つけ」に利用されたわけだ。
 私はべつにそのことに対しても批判的な考えはない。

 6日の深夜、昨日の次男の試合のサイドレポートをやっていた。テレビ局は日テレ。TBSが獨占状態なのに、それでも他局も関わってきている。そういう意味では数字の取れる大スターである。
 番組中、インタヴュウしようとするアナに、次男が「日テレ? あ、日テレはダメ。勉強不足だから。もっと勉強してから来てくれ」と拒むシーンがあった。おそらくひたすら持ち上げてくれるTBSと違って、日テレは過去に「弱いタイ人とばかりやっているという噂がありますが」のような質問をしたことがあるのだろう。



6/28(水)


 具志堅の亀田批判

◆最初に具志堅の亀田批判を読みたかった。だが残念ながらよくある形で、最初に知ったのは、それに対して協栄ジムが反発したという話からだった。
 以下、サンスポからの引用。

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【BOX】興毅批判で場外戦…協栄・金平会長Vs具志堅氏

世界初挑戦を控える亀田興毅(19)=協栄=を巡って27日、場外バトルが勃発(ぼっぱつ)した。26日付の全国紙朝刊で、亀田が狙うWBA世界Lフライ級王座を13度も防衛した往年の名王者、具志堅用高氏(51)=白井・具志堅ジム会長=が行った“亀田批判”に対し、協栄・金平桂一郎会長(40)が「事実誤認が甚だしい」と激怒。「白井・具志堅ジムとの交流停止」にまでこじれた。協栄OBの具志堅氏との“骨肉の争い”は、どう決着が着くのか。

亀田のスパーリング第1クール打ち上げのこの日、公開スパーの前にきな臭い話が待っていた。集まった報道陣に記事のコピーが配られ、金平会長と亀田の父・史郎トレーナー(41)が並んでの会見が始まった。

記事は亀田3兄弟ブームについて、賛否両論を並べて取り上げたインタビュー企画。「否」の立場で具志堅氏が登場し、「弱い外国人とばかり対戦しているのに、日本や東洋太平洋のランキングに押し込んだ」「金をかければ、そんなに簡単に世界挑戦できるのか」などと、技術面やプロモート方法なども含め批判している。

それに対し、金平会長は「事実誤認も甚だしい。まして、具志堅氏は東日本ボクシング協会副会長という要職にある人。こういう発言はいかがかと思う」と、怒りを抑えきれない様子で反論。さらには「具志堅氏から謝罪や説明などがない限り、対戦相手やプロモートなどでの白井・具志堅ジムとの交流を停止する」と“絶縁”まで口にした。

同会長はこれまで週刊誌などのバッシングにもあえて沈黙してきたが、「きちっと反論しておかないと、世界戦を安心して迎えられない。ウチのオヤジ(故正紀氏)が育てた人だけに、餘計悔しい」。
協栄ジムには歴代9人の世界王者のパネルがかかっていて、具志堅氏のも当然あるが、「おろします!」と怒り心頭の様子。対照的に亀田本人は「言いたいならナンボでも言えばええ。オレはそんなレベルじゃないから」と“大人の対応”だったのが救いだった。

◆具志堅用高氏

「一般の人が思っていることを話しただけ。東日本協会副会長ということは関係ない。技術的な批判も、亀田くんの将来を思ってのことだ」

◆亀田の父・史郎トレーナー

「一般の人が言うのは構へんけど、協栄で世界王者になった人が後輩の足を引っ張るなんて、器が小さい。別に相手にするつもりもない」
(サンスポより)

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◆これで興味を持つのは、騒動の火種がどこかということ。他のスポーツ紙の記事を読むと「全国紙」「一般紙」とある。大きな新聞なのだろう。
 さてどこからチェックするか。私はかなりの確率で「マイニチだろう」と当たりをつけ、マイニチのサイトに行ってみた。なぜなら亀田景気に浮かれているTBSはマイニチ系だからである。見事一発的中。馬券もこれぐらい当たるとなあ……。

 ますば原因となった26日の記事。

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闘論:亀田3兄弟ブーム 原功氏/具志堅用高氏

 世界ボクシング協会(WBA)ライトフライ級2位の亀田興毅(19)と大毅(17)、和毅(14)の「亀田3兄弟」が人気だ。長男は8月、世界タイトルに初挑戦する。将来への期待が高まる一方、過度なパフォーマンスなどへの批判もある。亀田ブームについて、彼らの実力について聞いた。

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 ◇ファン層拡大に貢献 賢さを備えた努力型--「ボクシング・マガジン」元編集長・原功氏

 亀田人気にはマスコミの力が大きい。普通、ボクサーが注目されるのはある程度実績を上げてからだけど、亀田興毅選手は中学時代からテレビなどで取り上げられていた。5年くらいかけてメディアが育ててきたベースがあるから、今の人気があると思う。

 加えて父親(史郎トレーナー)を含めた4人が非常に個性的。父親が絶対的な存在で3兄弟とも尊敬し、「昔の親子関係」に懐かしさを感じる。私も亀田一家の本(「亀田興毅 天下無双」=徳間書店)を書いたけど、執筆の動機は「こいつら面白いぞ」という単純な興味からだ。

 興毅選手は相当強いと思う。天才ではなく、努力型で、前に出る力がある上にカウンターがうまい。強じんな下半身と腕力があり、賢さも備える。昨年11月に前世界王者のノエル・アランブレット(ベネズエラ)にTKO勝ちしたが、9戦目の19歳が老かいな相手と駆け引きしながら主導権を握り、すごいと思った。ただ、打たれ強さなど試されていない部分は多い。

 「弱い相手とばかり対戦している」という批判は、誤解がある。6戦目までのタイ人選手は確かに弱いが、こういった「温室栽培」はマイク・タイソン(米国)らもやっていた方法で珍しくないし、否定されるものではない。7戦目以降の相手は元世界王者や世界ランカーで、ほとんどが格上だ。その時々でテーマを掲げ、それに合った相手と対戦して課題を一つずつ克服し、それから世界挑戦する。むしろ見習ってほしい手堅いマッチメークだ。

 彼の不遜(ふそん)な言動やパフォーマンスを嫌う人もいるが、それを楽しみにするファンも多い。確かにやり過ぎの部分もある。計量の時に対戦相手と握手し、強く握りしめる行為は、こぶしは商売道具なのだからやめるべきだ。試合前はともかく、試合後に相手をけなすのも必要のないこと。だが、まだ10代じゃないか。今後人生経験を積めば、どういう態度や発言をすればいいか分かってくると思う。

 亀田ブームを入り口にして、一般の人がボクシングに興味を持ってくれればしめたもの。業界はファンを引っ張る努力をしなくてはならない。怖いのは3兄弟が世界王座に届かず、挫折した時。世間の目は冷ややかなものに変るだろう。

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 ◇安易な世界戦に懸念 経験不足でもろさも--東日本ボクシング協会副会長・具志堅用高氏

 亀田興毅君のここ何試合かは、内容は悪い。パンチできっちり倒したのではなく、相手が棄権したり、ローブローだったり、レフェリーが止めたり。ボクシングを普段見ない人は、KO(TKO)で勝ったら「強いのね」と思ってしまうけど、我々元ボクサーや現役選手で、彼を本当に強いと思っている人がどれだけいるだろうか。

 弱い外国人とばかり対戦しているのに、日本や東洋太平洋のランキングに押し込んだ日本ボクシングコミッション(JBC)にも問題がある。日本選手と戦わず、本来のフライ級はWBA、WBC(世界ボクシング評議会)とも王者が強いこともあり、1階級下げて空位の王座決定戦に出る。金をかければ、そんなに簡単に世界挑戦できるのか。ボクシングの歴史から見たら、この現状は何だ。今度挑戦するWBAライトフライ級王座はかつて僕が持っていたタイトルだけど、彼と一緒にされたら困る。

 僕は亀田君のために厳しいことを言っている。彼は強くなる要素を持っている。体格はいいし、スタミナとパワーがある。スター性もある。だが、技術面はまだまだ。パンチを打つ順番が間違っていて、もろいところがいっぱいある。判定でも内容のいい試合はあるし、強い選手とやって負けたっていいじゃないか。経験を積んで強くなる。でも、テレビ視聴率のためには、そうはいかないのだろう。

 みんなに愛される選手になってほしい。今はチヤホヤされても、引退後はどうなるのか。会見や計量で相手をにらみつけたり、挑発するような言動は慎むべきだ。ボクシングは選手が命がけで戦う素晴らしいスポーツ。ボクサーはリングの外では紳士であるべきで、やっていいことと悪いことがある。協栄ジムは教育すべきだ。二男は試合後にリング上で歌うけど、僕がJBCにやめさせるよう求めたら「テレビ局の意向だから」。特別扱いせず、やめさせないといけない。

 3兄弟とも父親を尊敬している。今の若者にしては珍しいし、素晴らしいこと。彼らの人気はボクシング界にとってプラスだ。だが、このまま相手を選びながら内容の悪い試合を続けていたら、いつか人気は冷める。人間性を磨き、試合内容が良くなれば、亀田3兄弟ブームは続くと思う。


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◆この記事が「騒動」として盛り上がった「原因」である。自分のところの記事で世間が盛り上がるとうれしいのだろう、マイニチはかなりはしゃいで、その後もフォローしている。

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ボクシング:興毅批判許さん 協栄ジム、具志堅ジムと絶縁

 人気者の亀田を巡って、とんだ騒動がぼっ発した。協栄ジムの金平桂一郎会長(40)が27日、東京・大久保の同ジムで会見し、元WBA世界ライトフライ級王者で東日本ボクシング協会副会長の具志堅用高氏(51=白井・具志堅ジム会長)に対する怒りを爆発させた。これまで同氏は亀田興毅(19=協栄)の実力を疑問視する発言を繰り返しており、金平会長は同氏のジムとの対戦を拒否する絶縁宣言まで口にした。

 会見には金平会長と亀田のトレーナーの父・史郎さん(41)が出席。冒頭に26日付の毎日新聞に掲載された「亀田3兄弟ブーム・安易な世界戦に懸念」と見出しのついた記事のコピーが配布された。金平会長は「(具志堅会長が)お金の力で世界戦ができたようなことを言っている。事実関係が違うし、8月2日に世界戦が決まっている中で配慮がなさ過ぎる」と怒りをあらわにした。

 具志堅会長は協栄ジムの看板選手として国内最多の13回の連続防衛記録を打ち立てた偉大な世界王者。くしくも興毅が挑戦しようとしているタイトルの保持者でもあった。具志堅会長が94年にジムを開いてからはお互いのジム同士でマッチメークもしていたが、金平会長は「(亀田批判について)説明がない限り、交流を停止させていただく」と絶縁を宣言。史郎さんも「何にも分からん外野の人ならまだしも、ボクシング界の関係者が言うのは話にならん。今は興毅の世界戦に向けてみんなが盛り上げていかないかん時とちゃうか」と憤りを隠さなかった。

 これに対し、具志堅会長は東京・後楽園ホールで行われた興行に姿を見せ「金平会長からなんら言われる筋合いはない。オレは一般的な考えを言っただけ」と反論。同会長の発言に不快感をにじませた。両者の対立は深まる様相を見せているが、当の亀田は「何も言いたいことない。オレ、ボクシングしてんねん」とさらりと受け流した。思わぬところで火を噴いた場外戦にも無関心を装っていた。

 ≪両者亀裂の経緯≫具志堅氏はこれまで新聞や専門誌、テレビなどを通じて亀田の実力を疑問視する発言を繰り返してきた。26日付の毎日新聞では「元ボクサーや現役選手で本当に強いと思っている人がどれだけいるか」「金をかければ簡単に世界挑戦できるのか。WBAライトフライ級王座はかつて僕が持っていたタイトルだけど、彼と一緒にされたら困る」と持論を展開。会見でのメンチ切りや大毅の歌のパフォーマンスについても「やっていいことと悪いことがある」と苦言を呈していた。(毎日新聞)


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ボクシング:協栄ジム会長が具志堅氏に反論 亀田3兄弟で

 世界ボクシング協会(WBA)ライトフライ級2位、亀田興毅(19)が所属する協栄ジムの金平桂一郎会長は27日、記者会見。具志堅用高・東日本ボクシング協会副会長(白井・具志堅ジム会長)が毎日新聞紙上で亀田や協栄ジムに批判的見解を述べたことについて反論し、「具志堅氏から謝罪がない限り、今後は試合を組むなどジム同士の交流を停止する」と発表した。

 具志堅氏は26日朝刊の「闘論・亀田3兄弟ブーム」で「金をかければ、そんなに簡単に世界挑戦できるのか」「(亀田は)もろいところがいっぱいある」と指摘。これらの部分について金平会長は「事実誤認があるうえ、協会の要職にある人間が言うべき内容ではない」と非難した。会見に同席した亀田の父史郎トレーナーも「協栄ジムのOB(具志堅氏)が足を引っ張るようなことをしてどうするのだ」と抗議の意を表した。

 これに対し、具志堅氏は「協栄ジムから言われることではない。一般のファンが思っていることを言っただけ。ボクシング界のことを考えて発言した」と反論している。
(28日、毎日新聞)


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具志堅氏徹底抗戦「ボクシング界のため」

 絶縁を突きつけられた具志堅副会長は「金平会長から何ら言われることはない。一般の人たちの考えを言っただけ」と全面的に争う姿勢を打ち出した。

 同副会長は「亀田の今後を思って言っている」と繰り返したが、ボクサーの育成、マッチメークは所属ジムの方針で第三者が公の場で中傷、非難することは著しいマナー違反。それでも具志堅副会長は「協会の副会長は関係ない。ボクシング界のためを思って言っている」と話した。

 協栄ジムは今回の問題を名誉棄損などで裁判所に訴える意向はないが「何らかの説明を具志堅氏自身からして欲しい」と金平会長。これに対し具志堅副会長は「金平会長自身が電話して来い」と一歩も引かない姿勢で今後、両者の全面対決は避けられない情勢となってきた。(28日、スポーツ報知)


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◆「人気者の亀田を巡って、とんだ騒動がぼっ発した」とマイニチは嬉しそう(笑)。なにが「とんだ騒動」だよ。こういうのって記者冥利に尽きるってヤツなのだろう。マイニチは亀田でおおはしゃぎしているTBS系だ。どんな形でも盛り上がればいい。かなりマッチポンプ臭い。

◆今まで一切無視してきた亀田陣営が、この記事にだけ反応したのは何故か。
 今までの記事は『週刊現代』を中心にしたものであり、レヴェルは低かった。前記したが、世界王者クラスのコメントはなかった。亀田を否定するのは元東洋チャンプクラスであり、よほどのマニアでなければ知らない選手だった。
 『週刊文春』がタイまで行って亀田の負かした相手の素性を洗ったのはおもしろかったが、まああれはサイドレポートである。
 私は真のチャンピオンクラスはボクシング人気復興のため、たとえ苦々しく思っていても、口を出さないのだと解釈していた。

 今回の具志堅は、チャンピオン中のチャンピオンである。その具志堅が発言したこと、媒体が落ち目とはいえ全国紙のマイニチだったから、亀田側の反論は始まったのか? それとも?

 残念なのは火つけ役が視聴率40%に浮かれるTBS系のマイニチであることだ。これが読売ならなんの問題もなかった。もっとスッキリと本来のボクシングの問題だけに絞って語れた。アサヒは朝鮮日報だから金平に都合の悪いことは書かない(笑)。マイニチだけに「お約束」の疑念がぬぐえない。

◆いずれにせよ毎度の結論だが、同じ作りの「大家族青木家」と「ボクシング亀田家」ではあるが、「ボクシング亀田家」は勝ち続けなければならない。負けたらテレビは一気に去る。だからまあがんばりんしゃい。

◆TBSの解説席にすわってひたすら亀田をもちあげる役をやっている元チャンプよりも、具志堅は遙かにかっこよかった。これだけはまちがいない。

8/17

 時空を越えたタイソン!?──ニッカンスポーツ


 具志堅の弟子が世界戦に挑むらしい。スポーツ紙に載っていた。亀田のような上げ底ではなく本物だと鼻息が荒い。一番売れているスポーツ紙ニッカンの裏一面である。

 亀田の戦歴が問題になったとき、私は「『週刊現代』や『週刊文春』が亀田批判をしているが、そこに出てくるコメンテイタは聞いたことのない元東洋チャンプクラス。文句なしの元世界チャンプは口を出さない。どんな形であれボクシング人気復興に役立てばと口を噤んでいるのだろう」と書いた。
 それは誰でも感じていたことだ。となると意地でも真のチャンプを担ぎ出したいと仕掛ける人もいる。そうして文句なしの最高級元チャンプの具志堅が登場して亀田批判をした。これは話題になった。日本人チャンピオン中のチャンピオンである。新聞社の仕掛けだとしてもよく具志堅は動いたものだ。おそらく乗せられたのだろう。自発的な発言ではない。新聞記者の「神聖なるボクシングがこういう形で汚されてはならないと思うんです。今こそ具志堅さんが発言すべきではないですか」と口説かれた様子が目に浮かぶようだ。言うまでもなくこの記者にとってボクシングなどどうでもいい。『週刊現代』や『週刊文春』のやった亀田批判よりインパクトの強い記事を書くのには具志堅クラスが必要だから口説いたに過ぎない。

「ガチンコファイトクラブ」(笑)をやっていた竹原はTBS御用達だから亀田の提灯解説をやっている。あのクラスでチャンプになった日本人はいないから竹原の実蹟はたいしたものなのだがアノ番組はいただけなかった。いかにもTBSらしいが(笑)。
 しかしまた食うに困った彼らがああいうバラエティをやることを批判できる人もいない。むしろ「元世界チャンプがあんないいかげんなヤラセを」と妙にボクサーを神聖化する方が問題だろう。霞を食っては生きられない。
 それにしてもTBSも演劇志望の大学生を高校中退のヤンキーにしてボクシング物語を演出していたのだから怖ろしい。猿岩石のお遊びよりよほど罪が深い。
 具志堅の弟子が世界戦に挑むことがスポーツ紙の裏一面になるのもまた「亀田効果」。これは具志堅も認めねばなるまい。亀田問題がなければこういう扱いはなかった。

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 その記事の横に具志堅のプロフィールが書いてあった。テーマはそこ。
 当時具志堅が挑んだチャンプは軽いクラスであるから小柄だがとてもパンチ力が強くて「小型タイソン」と呼ばれていたんだと(笑)。その強いチャンプを倒した具志堅は偉大だという話なのだが……。
 比喩が時空を越えているぞニッカンスポーツ(笑)。
 これじゃ長島を「当時の長島は打ってよし守ってよしで昭和のイチローと呼ばれていた」とするようなものだ。大鵬を「昭和の朝青龍」でもいいし、まあいくらでも例は挙げられる。あほらし。いったいどこの誰が「小型タイソン」と読んでいたのだろう。まだ影も形もないタイソンと。

 これが個人のホームページでもあるならともかく一番売れているスポーツ紙の裏一面なのだから嗤うに嗤えない。書いた記者の粗忽ぶりとつい筆が滑ってしまういい加減さはまだわかる。プロとして失格だがたまにはこんなこともあろう。だがそれを検閲するためにデスクがいる。このお粗末さに気づかないところにいかにも雑な「今という時代」を感じる。単なるミスとは思えない。いかにも今風のプロ根性のない記者がヘラヘラと書き流した記事なのだ。そしてそれに気づかないデスク……。もろに「だらしない若者とそれを叱れない上司」の世界である。
 蛇足ながらニッカンスポーツはアサヒ系である(笑)。

 TBSが「インチキ大家族青木家」と同じのりで売り出す「上げ底亀田家物語」。そのいいかげんさ。それにまとわりつくマスコミの同じようなデタラメ。これは決して偶然ではあるまい。
 こんなことで「今という時代」などと書く我が身もかなしいが。

10/15
 亀田父の盗作手紙



亀田史郎が興毅に書いた手紙

興毅 ほんとうに おめでとう
お前は もう 親父だけのではない
今や世界の亀田興毅になったんじゃ
それも山あり谷ありの厳しい勝負の道を
ひたすら歩み続けたからこそ今日の栄光が会った
しかしボクシングの道は終った分けではない
これから厳しいボクシング道が待ってる
興毅よ万文の山はいくつはばまおうとも
戦陣の谷に何度も落ちようとも前 進め
最後に 本当におめでとう 親父


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 亀田長男がチャンピオンになったとき、父親がこの手紙を送った。
 私はこの手紙を初めて見たとき、とんでもなく下手な字で、やたら誤字が多いけど、だからこそ無学な父親の一途さが見え、いい手紙だと思った。
 しかしそれは盗作だった。これは「侍ジャイアンツ」のアニメに出てきた文だったのだ。おれの感動を返してくれ(笑)。
 バレてしまうと、あの黒いビー玉みたいな目をした知性のかけらもない父親が、「万丈」「阻む」「千尋の谷」を知らず、真似をしてまちがえた無惨のみが浮いてくる。まあだからこそ感動的だと言えないこともないが(笑)、息子の一世一代の晴れ舞台に送る文章ぐらい自分で考えなさい。

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アニメ「侍ジャイアンツ」最終回より

番場よ、本当におめでとう。
おまえはもうジャイアンツだけのサムライではない。
今や世界のサムライになったんじゃ。
それも山あり谷ありの厳しい勝負の道を
ひたすら歩み続けたからこそ、今日の栄光があった!
しかし、野球の道はこれで終ったわけではない。
これから厳しい野球道が待っている。
サムライよ、万丈の山がいくつ阻もうと、
千尋の谷に何度落ちようと、前へ進め!
その前途を祝って、もう一度言わせて貰おう。
番場蛮、本当に、おめでとう!


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 亀田三兄弟の名前は、父親が琴風豪毅(現尾車親方)を好きだったことから来ている。これじゃ琴風もいい迷惑である。

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ボクシング界の名物一家、亀田家の父、史郎氏(42)がかつて長男、興毅選手(20)にあてた手紙に“丸写し疑惑”が浮上している。昭和48年10月から1年間放送されたアニメ「侍ジャイアンツ」のセリフに酷似しており、ネット上で話題となっている。

手紙は、昨年8月にTBS系スポーツ番組「Jスポーツ」(現在「Jスポ」)で紹介。史郎氏が世界王者となった興毅に送った直筆とみられる手紙で、司会者によって読み上げられた。感動の内容だが、実は侍ジャイアンツ最終回で「川上哲治監督」が主人公の「番場蛮」に送ったメッセージとそっくりなのだ。

書き出しの
「興毅ほんとうにおめでとう。お前はもう親父だけの者ではない」は、セリフの「番場よ、本当におめでとう。お前はもうジャイアンツだけの侍ではない」とウリ二つ。
手紙の「戦陣の谷に何度落ちようと前え進め」はセリフの「千尋の谷に何度落ちようと前へ進め」に相応。誤字はご愛嬌とはいえ、中身はセリフをなぞらえたような内容だ。

動画投稿サイト「ニコニコ動画」には、音声なしの番組の映像にアニメの音声をつけた「作品」が投稿され、2万回以上も閲覧された。

TBSの広報部は「放送時にアニメのセリフと似ているという認識はなかった。史郎氏が素直な気持ちを綴った手紙ですし、視聴者からの問い合わせもない」。
アニメ侍ジャイアンツの著作権者の一人である制作会社トムス・エンタテインメントの関係者は「私信なので問題視する予定は今のところありません」としている。
アニメは梶原一騎氏原作のスポ根モノで放映当時大人気だっただけに、史郎氏のオマージュなのだろうか?(sankei newsより)


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 私はアニメは見ていないが、週刊誌連載のマンガはリアルタイムで読んでいた。主人公番場蛮は、マウンドでピッチングフォームのまま死ぬんだった。
 しかしこの話題は、盗作だと怒るのでもなく、盗作かよと笑うのでもなく、盗まなければ手紙ひとつ書けないという(しかも盗む元はテレビアニメだ)、なんとももの悲しい話である。

10/30  亀田問題抄

 世間を揺るがした亀田問題もやっと一息ついたようである。29日も金平会長が朝昼のワイドショーに出まくっていたが、「そろそろテレビ出演も終りにしたい」と本人もいい、司会者もそれに同調していた。
 この問題はリアルタイムで『作業日誌』には連載?していたのだが表には出さなかった。
 終りのようなのでまとめておくことにする。

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10/11


 亀田世界戦

 きょうは内藤と亀田次男の世界戦。ひどい内容だった。「挌闘技-ボクシング」の欄に書こうと思ったが、書く気にならず、どうでもいいやと思う。
 私はあの一家の擁護派でも非難派でもないが、とにかく本物を間近に見たとき、その貧相さにはおどろいた。いや感激したといってもいい。貧相とは見た目だけではなく、精神的なものも含む。あまりの貧相さに、むしろいとしさまで感じ、とても批判などする気にはなれなくなった。その辺のことは競馬の欄に書いた。

 ダービーの日の亀田一家

 先日ひさしぶりにK-1のことを書いた。2003年以来である。それはブアカーオを負かしたいという魔裂斗の心意気がよかったからだ。もちろん試合もよかった。だから書いた。ブアカーオファンとしては多少不満が残るが。
 今回のこれは肝腎の試合がつまらなかった。すると視点は亀田次男の暴言や反則、それをさらりと交わした内藤の洒脱な人柄になる。それじゃつまらん。サイドレポートである。書く項目はボクシングではなく「世相」になってしまう。どんな暴言や反則があってもかまわない。試合内容が感動的であることが一義だ。

 挌闘技は大好きだがボクシングの軽いクラスには興味がないので内藤の戦績も知らなかった。今回知って感動した。36戦32勝2敗2分け。負けているのは2回だけ。つまりタイのあのチャンプ、ポンサクレックに世界戦で二度負けているだけなのだ。あとは全勝である。ポンサクレックに三度も挑戦できたのは彼以外には負けていない成績だったからだろう。それでもテレビ中継がないので開催が危ぶまれ、ぎりぎりで東京MXテレビが中継することになったあの試合でのファイトマネーはたった百万円だったそうだ。こんな安いファイトマネーの世界戦は聞いたことがない。それこそポンサクレック側にとってはこれからも築いて行く防衛記録の中のひとつでしかなく、内藤側にとっては挑戦させてもらえるだけでありがたい、ぐらいの試合だったのだろう。それに勝って内藤は男になる。

 ポンサクレックに二度挑んで負け、三度目の挑戦で勝った。本来はそのポンサクレックと防衛戦を行わねばならなかった。そこに金の力で亀田(=協栄ジム)が絡んできた。亀田側としてはポンサクレックより内藤を与しやすしと判断したのだろう。その気持ちはわかる。ポンサクレックは2001年から今年の7月まで17度防衛の最強王者である。金平が三億で仕切り、内藤側に一億渡したという。内藤側(=宮田ジム)は、それでポンサクレック側に違約金を払わねばならない。ほとんどを奪られてしまい今回の内藤のファイトマネーは一千万円だった。それもひどい。亀田次男は一億円と言われている。

 次回内藤はポンサクレックと防衛戦をする。せねばならない。最大の山場だ。ここで防衛すれば長期政権も可能となる。負ければまた以前に逆もどりだ。亀田次男ごときに勝って喜んでいる場合じゃないのがよくわかる。


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10/14


 東京新聞のコラム──ビョーキとしかおもえん

筆洗

2007年10月13日

 英語の「ヒール」は「かかと」だが、プロレス業界では悪玉レスラーを指す。戦後、“卑劣なジャップ”役を演じて、全米にその悪名をとどろかせたグレート東郷の謎多き人生は、森達也著『悪役レスラーは笑う』(岩波新書)に詳しい▼たかだか十八歳の“悪ガキ”が、三十三歳の“苦労人”世界チャンピオンを“ゴキブリ”呼ばわりし、「負けたら切腹や」と大言壮語して、大差で判定負けした。十一日夜のボクシングWBC世界フライ級タイトル戦中継に、溜飲(りゅういん)を下げたファンは多かろう▼挑戦者は悪名高い亀田三兄弟の二男、大毅選手。最後は悔し紛れからか、内藤大助チャンピオンにプロレス技のボディースラムをかけて投げ飛ばした。文字通り「ヒール」を演じてみせたのだからできすぎだ。興行的には大成功で、瞬間視聴率で40%以上(関西地区)を稼いだTBSは、ほくそ笑んだことだろう▼だが、ちょっと気掛かりなのは、正義役を振られた内藤王者が「“国民”の期待に応えられました」と、コメントしてみせたこと。ヒールを立てて熱狂しやすいこの国で、小泉煽動(せんどう)政治の怖さを体験したばかりだから、なおのことだ▼自分が倒したタイの前チャンピオンとの実力比較より、12回保った少年の潜在能力と将来性をもっと称(たた)えてやれば、さらにかっこよかった。斜陽のボクシング業界のためにもなる▼亀田兄弟も、ヒール役のすごみは実力に裏打ちされてこそと思い知るべきだ。やたらに悪がはびこる時代だが、国民の目も肥えてきていることを忘れないよう。

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 あれだけ侮辱され、それでもおとなの態度で対応した内藤が、ほんのすこしだけ感情を出して言った「国民の期待に応えられました」も、こういう新聞にかかると政治批判の道具に引用され、「煽動」なんて文字と一緒に並べられる。どうしようもない。

 そもそも「国民の期待」とは以下の問答から出たものである。東京新聞のこのコラムニストはその流れすら知らずに書いている。

惨敗の前日行われた記者会見

興毅「内藤クン、国民の期待に応えろよ。期待してるよ」
内藤「俺がしゃべってるんだよ。何言ってんの?」
興毅「国民の期待に応えろよ。(応えるって)言ってみろ!」

畳みかけるような興毅の連射砲に、内藤は二の句が出ない。こうなれば亀田家の一方的なペースで、興毅の援護射撃を受けた二男・大毅は一気にヒートアップした。
大毅「俺は負けたら切腹するわ」
内藤「えっ、切腹するの。どうやって切腹するの?」
大毅「オマエが刀を持ってこいや。オマエは負けたら切腹するんか?」
内藤「俺はそんな約束は出来ないよ」
父・史郎氏「そんなんで成立するか!そんな話あるかいな、クッ」
大毅「思いが違うねん。俺はベルトを死ぬ気で奪いにいくわ。根性ゼロやな」
興毅「ほんま、根性ゼロやんけ」


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 この会見後、「刀を持って行きますか?」と記者に問われた内藤は、「もってこうかと思ったんですが、銃刀法違反になるのでやめることにしました」と言って、記者から笑いをとっていた。この時点でもうおとなである。勝負あったと言える。

 内藤が亀田をボロクソに言っていたならともかく、彼は充分に相手の立場も考慮し、謙虚に発言している。翌日には亀田の実力を褒め、将来性があるとまで言っている。サミングまでされているガキに対してだ。辰吉は薬師寺に負けたあと、相手の強さを認め、今までの失礼な言動を詫びた。亀田側にはそれすらない。反則は故意にしたのではないという父親からのコメントはあったが、チャンプに対する失礼な言辞の謝罪は一切なかった。

 試合を終えたばかりの内藤が、昂奮さめやらぬリング上で発言した、「前チャンピオンと比べたらぜんぜん弱かったです」と、亀田側の挑発のことばを受けての、「国民の期待に応えられました」を取り上げて、得意げにこんなコラムを書く新聞記者がいる。気分が悪くなる話である。


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 亀田親子謝罪会見

 夕方五時から亀田親子が謝罪記者会見するというのでテレビはもう午後から大盛り上がり、それ一色(笑)。なんだかね。
 五時過ぎから民放は全局生中継。金髪にサングラスだった次男は坊主頭で俯いている。そういや「坊主丸儲け」のように「坊主」もめでたくその種の使用では放送禁止用語になったらしく、「坊主頭」「坊主刈り」ではなく「丸刈り」に統一されていた。
 父親がふてくされてしゃべる。どう考えてもあれは謝罪ではない。
 悪人面の金平も、「勝ち負けがすべて」と居直ったことを言う。

 思えば、対戦相手に下剤の入ったオレンジを送って喰わせようとした前代未聞の「毒入りオレンジ事件」を起こしたのが在日朝鮮人の金平父だった。この人は「無期限ライセンス停止」になりながら実質四年で復帰している。いまのはその息子だ。ボクシング界の体質浄化、というなら、そんなスポーツマンにあるまじきとんでもない事件を起こした金平ジムが存在していることが問題だ。ボクシング界はむかしもいまもヤクザとは近い。プロレスや藝能のほうがずっときれいになった。そしてやくざと在日は密接だ。
 力ひとつでのし上がれる挌闘技と、やくざ、在日は切っても切れない縁なのだろう。極真空手、柳川会、力道山、みな同根である。

 金平の「勝ち負けがすべて」を聞いていて思った。もしもあの頭突き(あれは蓋然のバッティングではない、故意の頭突きだ)がもっと深く入っていて、レフェリーストップになったなら、亀田次男のTKOになっていた。現にそう言ってはしゃいでいたのがTBSの実況アナだ。
 もしもそうなっていたらと思うとうすらさむい。亀田次男は得意げにまたへたくそな歌を披露し、内藤に「ゴキブリ、切腹しろ」と迫ったろう。闇と光は紙一重。

 亀田父は次男が一晩中泣いていたとか、台所で包丁をじっと見つめていて、おれが死のうかとつぶやいたとか、お涙ちょうだい路線に入っている。
 と、これはテレビ中継ではなくスポーツ報知の獨占記事。なんでこんなことわりを入れるかというと、チェンマイでらいぶさんがここを読んでくれているから。いれないと、まるで亀田父がテレビでそんなことを言ったかと思われてしまう。
 亀田父が言ったのは、「いろいろとご迷惑をかけて、申し訳ありませんでした。これから一歩一歩やっていきますので、今後ともよろしくお願いします」のみ。内藤への謝罪はない。それどころか、この発言もふてくされたような言いかたで、どう考えても反省とはほど遠い。その隣でしょぼくれていた次男はひとことも発せず、すぐに退席するが、そのときもふらつき、両脇を抱えられてまるで衰弱した病人のよう。

 今後この親子がどうなるか知らないが、この映像は致命傷だろう。反省してしょんぼりするにしても毅然としていればいいし、あるいは丸刈りにはしたがふてくされていて反省はしていない、と反感を持たれるでもいい。うつむき、ひとことも発せず、立ちあがるのにふらつく、では、同情を買うのには成功したかもしれないが、来年復帰しても、もうあの憎々しいパフォーマンスは出来ない。そもそもこのパフォーマンスという言いかた自体おかしい。彼らは演じていたのではない。あれしかできないのだ。復帰時、優等生路線に切り替えようとしても敬語の使い方なんて知らない。使ったことがない。だったら復帰のことまで計画し、ふてくされたままのほうがよかったろう。反省の言葉を口にしないなら、出てくる必要もなかった。何もかもが半端である。それはこの人たちにブレインがいないことでもある。まあ人の意見を聞く人ならあんなことにもなるまいが。
 いつの日か復活し、この映像を見て、「それはやめてくださいよ」と明るく笑う日が来るのだろうか。

 とにかく私のこの人たちへの感想は、前記した競馬場で見た感覚に尽きる。
 貧相だった。品がなかった。光もなかった。その分、負けるもんかという一所懸命さが伝わってきて、ほろりとする気分になった。

 自分たちで望んでそうなったことだから彼らの肩を持つ気はないが、マスコミに踊らされて捨てられた、一面に於ける被害者であるとは言える。もちろん成功者になる可能性はあった。しかしそうなるには彼らはあまりに「泥の船」だった。月収3000バーツのバンコクのモーターサイタクシーの青年を連れてきて、ファイトマネー3万円で闘わせて白星を重ねても、所詮泥船に泥を上塗りしているだけだった。沈むのは目に見えていた。
 亀田父はスポーツ紙の記者を呼びつけ、整列させ、気に入らない記事を書いた記者を罵倒していたという。勝っていればそれも出来た。負けたときどうなるかだ。スポーツ紙の手のひらを返したようなバッシングに眉をひそめる人もいるが、これもまた自分で蒔いた種だ。「泥の船」であることは見えていた。沈むべきものが沈んだだけなのにみょうにかなしい。思うたび、生で見た彼らの、小柄な、肩を寄せ合っている野良犬のような風情が目に浮かぶ。
 この事件の救いは内藤の人柄だけだ。

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 以下は2ちゃんねるのニュース板にあったテリー伊東の発言集。こういうのには捏造やこじつけがあるから安易にひいてはいけないのだが、私は実際に彼の発言がこのように変化するのを見ているので、自信を持って引用する。どっちにでも転がるマスコミというものの体質をよく表している。


* 内藤VS亀田大戦(2007/10/11) テリー伊藤発言集

・試合前

「亀田のマナーが悪い?ボクシングという特殊な世界を一般の常識で計るな!ピカソやアインシュタインを挨拶の仕方で否定できるのか! 叩いている人はボクシングを知らない素人ですよ」

・試合翌日

「いいじゃないですか。彼も若いんだからこれから。ああいうのがいてもいい。まあボクシングなんて”プロレスみたいなもん(やらせ)”ですからね!」

・亀田JBC処分決定後

「亀田はまるでフランス料理を手づかみで食べるようでボクシングを汚している。持ち上げたTBSは反省しろ!若さが出た?そんな問題じゃない!!
何ですかあれは!昔の武士道の世なら死刑ですよ!もう永久追放しかないですね!!
特にオヤジさん!あれはヤクザじゃないですか!見ている視聴者は不愉快ですよ!!」


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10/25

 亀田父は出ず

 26日午前九時から金平と亀田長男が会見するとか。金曜日の午前九時。リアルタイムで見られる暇人なのがうれしい。
 そこで長男が亀田家を代表して謝罪するという。どんな言葉遣いをするのか興味深い。もともと一家の中でもこの長男には長男意識が強く、まともな話しかたも出来、大阪時代も周囲の人に気配りしていたと言われている。

 父親は肝腎なときに逃げてしまった。同席しない。最初の謝罪会見の時も、「反則は自分が指示した。すべての責任は自分にある」と言えばかっこよかった。なのに「指示していない」では次男に責任を押しつけている。「タマをうったれ」という音声が残っている。なのに逃げている。次男の反則連発に、音声証拠などないのに「自分が指示した。すべて自分の責任だ」と庇ったら理想的な家長だったろう。証拠があるのにその責任から逃れた時点でこの父は自分がかわいいだけの卑怯者に成り下がった。今回の「もういちどの謝罪」にも顔を出さない。長男が、なら自分が代表して謝罪すると金平に名乗り出た。

 絶対的家長強権で名を売った一家だが、これはすでに長男が父を超えていることを示している。父に従って生きてきた長男は、成長するに従い、父の幼稚な面も理解するようになり、護ってもらうばかりではなく、「おれがおやじを護ってやらないと」のような意識も芽生えてきたのだろう。少年がおとなの子供っぽさに気づき、こんなふうに成長する瞬間というのはある。

 あの父親は四十二年間生きてきて、あの性格が出来てしまっている。ちっとも謝っていないあの謝罪会見も彼にとっては最高の低姿勢だったのだろうし、もういっかい会見して丁重な口調で神妙な態度をとれといわれても「わしゃできん」なのだ。だったら自分がやると長男が名乗り出た。親父は出来なくても自分なら出来ると。彼にはいままでも次男や三男が悪さをしたとき代理で謝ってきたような経歴があるに違いない。それは西成の人々の証言からもたしかだ。

 長男のその「父越え」があると、今後どんな展開になろうと父がいままでのような強権を発動することは出来ない。亀田家の親離れ、子離れ、である。それをされた父親は一気に老け込んでゆくだろう。子育てこそ彼の青春だった。
 次男は部屋に引きこもったままで自宅を訪ねた金平の前にも姿を現さなかったという。これまたいい加減な次男らしくわかりやすい。三男はほとんど人間以前なのでどうでもいい。
 わずかな年の差なのだがこういう「長男意識」というものの発露、成長はおもしろい。母親のいない家だからよけいに顕著なのだろう。観察物体としてまことに興味深い。記者会見が楽しみだ。


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10/26

 さて一夜明けて。
 九時からの会見なのにワイドショーは八時前からそれ一色。サラリーマンだとそのニュースを知りつつ出勤せねばならない。わたしゃたっぷり見られる(笑)。
 八時四十五分に亀田が渋滞で十五分遅刻と告げられる。だらしない。一世一代の大勝負の日なのだ。渋滞も考慮して早めに出るべきだろう。のちに、いつも一時間以内で来られるから、と弁明していたが。
 金平は九時三分前に椅子に着き、亀田が遅れることを報告したあと、九時きっかりにしゃべり始める。この辺も遅刻するような亀田とは一線を引いていることを強調しているかのようだ。

 今回の一連の会見で私は金平息子を見直した。昨年、亀田父と一緒に亀田家批判をした具志堅をボロクソに言っているときは、目つきの悪い兇悪なデブとしか思わなかったが。かといって「見直した」は、いい人だと思ったわけではない。頭の悪いヤクザというような印象しか持っていなかったが、意外に頭が切れ、しゃべれるヤクザだと「見直した」のである。

 見直したといえば大橋秀行だ。今回の騒動に東日本ボクシング協会会長としてたびたび出演していた。ボクシングの元チャンピオンというと、どうしてもガッツや輪島の印象が強い。亀田問題では正論を吐いたが具志堅もギャグにされるようなキャラだった。井岡も軽い。だが大橋という人は穏当で言葉遣いもしっかりしていて、ボクサー出身でもこんなにきちんとした人もいるんだと認識を新たにした。これは金平などよりずっと前である。このことはぜひともメモしておきたかった。

 九時の会見前に竹原が出ていた。今回の亀田騒動でテレビに出るのは初めてとか。ガッツと一緒で、あえて重い腰を上げたのはガッツ先輩に頼まれたからとコメントしていた。
 竹原と畑山はTBSの解説で亀田をもちあげる役目だった。御用解説だった。竹原は悪名高いあのやらせ「ガチンコクラブ」の前歴もある。ひたすら亀田一家のちょうちんもち解説をやっていた。その二人ですら長男が世界チャンピオンになったあの試合には納得できず、「負けてましたね」と言ったものだから、父親の「竹原と畑山をおろせ」で降板させられた。竹原は「亀田問題には関わり合いたくないんですが」と言っていたが本音だろう。
 亀田父はかように暴君だった。スポンサーとの契約、ファイトマネー、ジムの取り分、すべてに口をつっこんでやりたい放題をしていた。暴君が落ち目になったとき、誰も助けない。だっていい目にあった人などいないのだから。逆に竹原のようにひどい目に遭いましたという人はぞくぞくと顔を出す。惨めなものである。それにしても長男のデビュウ戦のファイトマネーが一千万、先日の次男のファイトマネーが一億というのは異様だ。内藤は挑戦したときで百万円、先日の防衛戦でも一千万である。ゆがんでいる。

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 九時六分。亀田長男到着。
 亀田長男は、記者からの鋭いつっこみにも、軽薄にしゃべってしまうことはせず、じっくりと言葉を選んでごまかしていた。これはえらい。売り言葉に買い言葉で思わず言い返しそうになるところでも、じっと耐えて、どっちともとれるような最小限の言葉でごまかしていた。

 日テレのスタジオでは、金平に対して「漁夫の利」というような辛辣な意見があった。つまり亀田長男次男はこれからも十分に金のなる木であり、障害はすべてを仕切ろうとする父親だった。その父親を排除出来、ふたりを自分のジムの所属のままでおけるなら、一連の騒動でいちばん利を得るのは金平だというのだ。解雇をにおわせたり、二度目の謝罪を要求したり、金平はジムの会長として責任ある行動をとっていたが、すべては自分においしい結果になるための策略という解釈だった。こういう見方もあるだろう。

 ただこれからも話題を呼び視聴率を稼げるかもしれないけど、私はあの兄弟にボクシングセンスを感じたことはない。長男はアウトボクシングも出来るからまだしも、あの次男はどう見ても張り子の虎だ。

 毎度の感想だが、この一家の知性のない顔はひどい。不登校児でまともに字が書けないという三男などガラス玉みたいな目をしている。ほとんどあれは畜生の目である。学問は大事だと思う。しかし、たとえば山岳民族の無学文盲な人でも目に知性のある人はいる。なんなのだろう、あの一家のバカ面は。犬の目なのだ。わからん。


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 また談志が!

 東京MXテレビで、タテカワダンシが内藤を偽善者呼ばわりしていた。なんともたまらん気持ちになる。
 ああいう形になり、世間が亀田バッシングで沸き、その御輿に担がれてしまった内藤は迷惑だったろう。あれだけイヤな反則のオンパレードでも、それでも亀田次男の素質を褒め、もっともっと亀田一家を悪く言わせようとするマスコミに載せられることなく、「もう終ったことですから」と言葉を控えていた内藤に、あの談志がまた狂ったことを言った。
 拉致被害者の時といい、この男はたまらんなあと思う。

 マスコミが亀田一家の批判をさせようと内藤にけしかける。内藤は賢明に言葉を選び、ノーサイドにしようとする。そのとき思った。2ちゃんねる的悪意が、今度は内藤批判を始めるのではないかと。
 2ちゃんねる的悪意ですらしないことをこのタテカワダンシという狂乱じーさんは始めた。しみじみ最低である。

 というのは、ダンシはすべてを見て発言しているのではないからだ。雰囲気だけで発言している。試合も見ていない。内藤のコメントもまともには見ていない。彼は、亀田一家が悪者になっていること、逆風で内藤が「いい人」になっていること、という現象を雰囲気で悟り、「世間とは反対のことを言うひねくれ老人」の自分をアピールしているに過ぎない。
 拉致被害者のときもそう。世間がみな気の毒だというから、「人のいない海岸を若い女が夜中に歩き回ったりして、どんな育て方をしたんだ。親の顔が見たい」とやった。獨自の意見で注目を浴びようとした。99%に嫌われても1%からは熱狂的な支持が集まると読んだパフォーマンスだ。だが意見以前に事実誤認だから抗議が殺到し、すぐに削除する結果になった。

 今回も発想は同じである。世間が内藤を「いい人」にするから、自分は嫌われ役として「偽善者」と呼び、そのことへの非難から注目を浴びようとしている。
 ダンシのようなひねくれ発想があってもいい。だけどどう考えても、今回の内藤の対応は偉かった。朝昼夕のワイドショー各局に出まくって(出されまくって)、激しい亀田批判を言わされそうになりながら、言葉を押さえ、言わないように制御した彼の人柄を偽善者呼ばわりはあるまい。

 まあタテカワダンシがかつての亀田一家だと思えば腹も立たない。
 ダンシは亀田一家のようなことをしてきたが、落語家としての実力があったからつぶれなかった。亀田一家もボクシングの実力を発揮して、亀田流でも立ち上げてくれ。そうなれば亀田父は「家元」だ(笑)。


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10/28


●いろんな人がいるもんだ

 以下は、とても人気のある「さるさる日記」というものからの抜粋である。

■2007/10/15 (月)亀田父のライセンス無期限停止
●亀田父のライセンス無期限停止
 今頃、何をいってるんでしょうか。JBCは、金平のライセンス三ヶ月停止、亀田父は無期限停止、大毅はライセンス一年間停止、興毅は厳重戒告処分。
 世界戦を冒涜したというのだが、亀田一家はボクシング自体を冒涜しているんだから、最初の時に厳重処分やっとけばよかったのだ。しかも過去に二度も警告されていたんだから、このヤクザナ一家には通用するわけないわな。「崇高なる世界戦」というのには笑った。


 それに内藤は空気読めない馬鹿。今日、各局に出まくっていたがが、フジの安藤アナが内藤に「(亀田側に)伝えることは」と聞かれて「一切ない」という馬鹿ぶり。そうじゃないだろうが。
 フジが言わせようとしたのは、何かガツンといってやることを期待していたのだ。それを「一切ない」というか、見ている方もがっかりくる。まあ内藤は取り引きしたという噂もあって、それでやたらと亀田をヨイショしているのかと勘ぐってしまう。
 「今日の処分で亀田のことはこれで終り」(TBS)といういい子ぶって、何考えてんのか、空気が読めないのか、裏金もらってるのかw


■2007/10/17 (水)亀田父、大毅、金平の三人が謝罪会見
●亀田父、大毅、金平の三人が謝罪会見
 亀田父、大毅、金平の三人が謝罪会見した。「これから一歩一歩やっていきますので、今後ともよろしくお願いします」と父がしゃべったら、一言もしゃべらず大毅が退場。何じゃこりゃ。大毅は未成年だからという理由だが、これは通らない。そいじゃ、未成年に試合をさせるな。目線いれて、観客なんか入れないで試合しろよ。
 それに坊主にしていたが、殊勝に反省なんかこの親子がするかっちゅうのw
 都合の悪いことはほっかむりかよ。それに「過激なパフォーマンスはどうなるのか」という質問に「これまでと変わらない」とのこと。反則については「指示していない」と嘘をいっているし、会見もたったの10分で終了。


 またKY内藤も相変わらずの返答。テレビでアナが必死に内藤から亀田批判を引き出そうとしていたのに、相変わらずの「何といっていいいのか、伝わりましたよ」という馬鹿さ加減。「落ち込んでいただけじゃ困りますよね」と安藤アナが聞いても、「ああ、そうですね」というYKぶり。
  あきれて「内藤さんいい人ですね」と安藤がいう始末。いい人なんかではなくて、裏で金もらってんでしょう。その金も表ではなくて裏金でしょう。それでいい人ぶってるんでしょう。それしか考えられないね。
 反則を聞かれても「もうすんだことですから」と馬鹿反応。ボクシングはきっと馬鹿がやるアンフェアな拳闘なんでしょう。


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 テレビ局が内藤に「視聴者の望むような亀田一家の悪口」を言わせようと仕掛けていた。各局が何度も何度も仕掛けていた。当初、あれだけ反則を仕掛けられた内藤も、レフェリーの見えないところでのサミング等、亀田次男を非難していた。しかしすぐにそれが、亀田一家を糾弾したいテレビ局が、自分を踊らそうとしているワナなのだと見抜き、以後、いくら煽られても内藤はそれに乗らず、亀田批判をしなかった。

 根負けしたように、心底感服したように、あるいは内藤にそういうことを言わせようとする自分たちテレビ人のあざとさを反省したかのように、亀田の悪口を言わない内藤に、心底感動した安藤が「内藤さんはいい人ですね」と言った。なんとも印象的なシーンだった。夕方のニュースショーである。私もリアルタイムで見ていた。

 これは書いたのは佐藤立志という人だ。この人の日記には毎日8000アクセスもあるという。どうにも底の浅いくだらん文章なのだが、世間はいま、こんなものが好きなのか。
 彼からするとテレビ局の期待に応えなかった内藤はky空気を読めない人、となるらしい。私からすると、内藤は見事にテレビ局の空気を読み切り、人として、それを拒んだ見事な男である。ここでテレビ局の期待に応え、踊らされていたら亀田と同じになる。そうしたらそうしたで、こういう人はまた批判するのだろう。こんなくだらないものが日々8千ものアクセスで支持されているのがわからない。世の中そんなにレヴェルが低いのか。挙げ句の果てに「金もらってんでしょw」だと。呆れる。やはりこういうものには近寄らない方がいいようだ。こちらの精神が汚れる。

09/5/26 内藤、中国選手に苦戦


26日に行われたWBC世界フライ級タイトルマッチで、王者・内藤大助(34)=宮田=が挑戦者・熊朝忠(26)=中国=にダウンを奪われる大苦戦の末、3-0判定勝ちした。TBSが放映したこの防衛戦は、平均視聴率20.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高視聴率をマークした。

 5度目の防衛に成功した内藤は、これで自身の持つ世界王座の国内最年長防衛記録を34歳8カ月に伸ばした。内藤の防衛戦は、昨年12月の4度目の時も平均視聴率25.6%を記録するなど、関心の高さがうかがえる。


 これはサンスポの記事から。写真も借用。写真は両目蓋を切った血塗れのものがあり、記録的にはそちらの方が重みがあるが、あまりに凄惨なので載せる気をなくした。それほどの苦戦だった。

 サンスポは防衛回数や視聴率のことにしか触れていないが、ニッカンスポーツの記事は観客数にも触れている。この辺がサンスポ支持者の私ですらニッカンはおもしろいと認めざるを得ないところだ。

 WBC世界フライ級王者内藤大助(34=宮田)が、リング内外のアクシデントを乗り越えて5度目の防衛に成功した。

 急きょ開催地が東京・ディファ有明に変更になった内藤の5度目の防衛戦は、「赤字興行」となった。

 前座試合のない異例の1試合だけの興行となり、チケットは当日券のみの販売。用意された約800枚の当日券のうち、5000円の席が完売するなど、約700枚が売れたという。主催者発表によると観衆は917人で、会場の9割近くは埋まった。過去の世界戦の観衆に比べると大幅減だが、興行を主催した宮田ジムの宮田会長は「本当に感謝、感謝です」と笑顔だった。しかし、「中国で開催すればトントンだったが、中国選手の移動費用などがかかった」と話し、興行全体では2000万円前後の赤字が出るとみられる。

 巨大市場の中国進出をもくろむWBC(世界ボクシング評議会)の後押しを受けて、ランキング上位選手との指名試合を先送りしてまで上海で組んだ世界戦。現地のプロモーターの不手際によって開催地が変更となって、中国開催はこりごりかと思いきや、宮田会長は「小さな興行をやっていって、いずれ世界戦ができればと思っている」。将来の世界戦の開催はあきらめていないようだった。

(ニッカンスポーツより)

 いきなり試合三日前に上海から東京に換わったのだからたいへんだ。私はこのニュースを知ったとき、すんなり「試合中止」になるものだと思った。そうではなく急いでディファ有明を押え、一試合のみでの開催強行となった。ボクシングの開催は全試合の合計ラウンドがいくつかないとダメと決まっているそうだが、今回は特別に許可が出たとか。しかしまあ中国という國はまだまだいいかげんである。防衛戦も5回目を迎え、本来なら億のプラスになるはずなのに2千万円のマイナスでは泣くに泣けない。 

 内藤-熊戦のチケットは当日券のみ。リングサイドの3万円から、2万円、1万円、5千円の4種類ですべて指定席。販売開始は午後4時で、開場は同5時となる。チケットの総数は700-800枚。宮田会長によると、上海での試合チケット購入者が20-30人ほどおり、これらすべての人を無料招待するという。デイリースポーツより

 リングサイドは10万円の予定だったから、キャパといい、これだけでもいかにマイナスかがわかる。ところで試合強行にはTBSの中継も関係あったのだろうか。TBSはこの日、総合格闘技Dreamとの二元中継だったから、試合中止になったら困った。その辺はどうなのだろう。



 内藤苦戦のおもしろい試合だった。一時は判定負けも覚悟した。しかし内藤が危なくなると逃げて逃げて、稼いだポイントを上手に守りきった。判定3-0は公開されつつの進行でもあり、まったく不正はなく問題はないのだが、挑戦者贔屓から見たら、「チャンピオンは逃げてばかりではないか」となるだろう。

 すべてはまったく無名のおチビちゃんだった「熊さん」が強かったことによる。世界は広い。云南省の少数民族メオ族のこのおチビちゃんがこんなに強いとは誰も思っていなかった。
「熊さん」とカッコつきで書いたのは、彼がもともと155センチと身長リーチとも小柄とされ、内藤絶対的有利とされていたのに加え、来日して計測したらさらに身長が6センチも低く149センチしかなかったことから、スポーツ紙が「熊さん、背が低かった」と熊(ユウ)選手を揶揄したからである。

 この試合は巨大市場の可能性がある中国への進出がテーマだった。当初から内藤の防衛はまちがいないとされていた。中国で開催するために格下無名の中国人選手を選んだのである。

 ところがあちら側の失敗で会場が取れなくなり、急遽日本での開催となった。ディファ有明が用意され、試合は内藤のワンマッチのみである。
 TBSはれいによって午後8時からの放映開始だが、いかにもすぐ試合が始まるふりをして、過去の映像で引っぱる引っぱる。そのとき会場が映ったが、狭いキャパなのにまばらな観客に寒くなった。
 だが試合は熱くなった。それもこれも熊選手がすばらしい〝未知の強豪〟だったからである。



 23日、WBC世界フライ級チャンピオン・内藤大助選手の5度目の防衛戦の対戦相手が発表された。発表されたのは熊朝忠という同級14位にランクされた全く無名の中国人選手だった。男子プロボクシング史上初となる日中間の世界王座戦で内藤選手が戦う熊朝忠とは、いったいどんな選手なのだろうか?

 この熊朝忠選手、実は母国の中国でもほとんど無名の選手だ。今年27歳になるという熊選手は、身長155センチ(一部では157センチとも報道されている)と小柄だが、そのマッチョな体つきから「小タイソン」と呼ばれている。また、雲南省文山チワン族ミャオ族自治州の出身でミャオ族(苗族)であることから、「苗拳王」とも呼ばれている。

 熊選手がボクシングを始めたのは2006年7月で、開始時期も遅く、まだ2年半ほどのキャリアしかない。2007年12月のインタビューで、所属する昆明衆威拳倶楽部の劉剛トレーナー(元バルセロナオリンピック中国代表)は、彼について「まだ、左右のストレートを覚えたばかり」と答えている。

 戦績に関しては、所属ジムのHPに12勝(8KO)1敗1引分とあるが、経験の少ない選手との試合がほとんどで実力は全くの未知数といえる。実績のあるといえる選手との試合といえば、タイのNumchai Taksin Esan選手(10勝22敗)とフィリピンのジュリアス・アルコス(13勝6敗)ぐらいで、しかもジュリアス・アルコス選手には昨年11月6日に四川省で行われた試合で大差の判定で敗れている。

 しかし、その才能は入門当初から大変注目されていた選手の一人という。

 劉剛トレーナーは、熊選手が昨年3月21日に行われたABCO(アジアボクシング評議会)ライトフライ級タイトルマッチでNumchai選手を1ラウンドKOで破った際のインタビューで、「ボクシングの天賦の才と非凡な身体能力を持っている」と語っている。しかも、その才能はアメリカのトレーナーに「どこでこんな天才を見つけてきたんだ」と言わしめたほどであるという。

 しかしながら、経験も浅くライトフライ級を主戦場に闘ってきた選手だけに、ジュリアス・アルコス戦からの大幅な積み上げがない限り、体格も経験も大幅に上回る内藤選手と互角の戦いをするのさえ苦しいだろう。

 余談ではあるが、熊選手が2007年に受け取った7000元(約11万円)余りのファイトマネーは、彼の一家の総収入に匹敵する額だったという。
Yahooニュースより(編集担当:古川則仁)

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 この記事は対戦前のものであり、他スポーツ紙が前述のように「初の中国開催、相手は無名の内藤のかませ犬」的に揶揄気味に書いていたのに対し、正面からきちんと情報を伝えた珍しい記事になる。結果的にこれが正しかった。私はYahooの記事など引用したことはないが、すばらしいものはすばらしいので今回はためらわず引用させてもらう。署名記事だ。古川さんという担当者が偏見のないかたなのだろう。

 だがこれも、もしも「熊さん」がハズレだったら、「なにが小タイソンだよ(笑)」と、プロフィール通りに好意的に書いたことが嗤われるところだった。他紙はみなその論調だった。熊さんの予想以上の強さに古川さんは「よっしゃ!」と思ったことだろう。

 この時点では身長は155センチ(一説には157センチ)となっていたが、「身長は当初伝えられた155センチより低い150・5センチ。リーチも身長163センチの内藤より14・5センチ短い160センチだった(スポニチ)」だったことから、ますます内藤楽勝のムードが高まった。



 両選手は12ラウンド、休むことなく動き続け軽量級試合のおもしろさを満喫させてくれた。熊選手は小柄ながらハードパンチャーで(まだボクシングを始めて2年半なのである)、さらにはスタミナも充分で文句のない選手だった。私はこの階級で内藤より強い選手はポンサクレックしかいないと思っていたが、世界にはまだまだ未知の素材が眠っているのだと驚嘆した。

 6回に内藤はダウンを奪われている。内藤からダウンを奪ったのはポンサクレックだけだ。

 試合後、内藤はコーナーで、「チクショー」と「スイマセン」を口にした。そのあとのリング上でのインタヴュウでも、真っ先に「しょっぱい試合をしてすいません」と口にした。この辺に内藤の人柄が表れている。ボクシングを超えて支持されている人間的魅力だ。何度も「こんなこと(会場の変更)になったのに、おれの試合だけのために来てくれたみなさんに感謝します」と繰り返した。駆けつけたファンもこれはうれしかったことだろう。いわゆる「同じ空気を吸っている者同士だけの連帯感」だ。むかしプロレス会場でよく感じたものだった。

 両目蓋がパックリと切れている。口の中もどこをどう切ったのか、何度うがいしても水は真っ赤だった。(どうやら唇の裏らしい。)



 翌日のサンスポにはこんな記事もあった。

 12回の闘いの末に敗れた熊は「自分の持てる力を発揮できなかった。初めての世界戦で緊張もあった」と、さばさばした表情で話した。
 ヘビー級の元世界王者タイソンにあこがれる。低い身長から相手にパンチを振り回しながら突進する姿は勇敢。内藤の顔面に右フックをヒットさせダウンを奪う場面もあり「残念のひと言」と悔しさをにじませた。
 判定への感想を聞かれると、言葉を探し沈黙。すかさず同席したジムの劉剛会長が耳打ちした通りに「もう一度内藤選手とやりたい」と答えた。


 私は日本人びいきではないので、外国人選手が勝ちならすなおにそう思うし、そう書く。この日行われたDreamの目玉商品山本キッドがそうで、0-3で負けのはずなのに1票入ったときは「ええっ!」と声を出してしまった。

 内藤のそれもそうだったらすなおに書く。これは熊さんが果敢に攻めてダウンを奪い、ポイントを取っている回もあるが、全体としては内藤がうまく逃げきったと言えるだろう。判定は3-0で当然だ。だがこれは決して快勝ではない。
 だから私は内藤から「もういちどやりたい」と聞きたかったが、残念ながらそれはなかった。

 このあとポンサクレックや強豪との対戦が義務づけられているようだから熊さんとの再戦は無理か。いずれにせよ熊さんは男を上げた。それだけはまちがいない。メオ族の英雄だ。
 しかし中共、おそるべし。いろんな強豪がいる。


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