迷走キイボード

     
     

まず忘れないうちに急いで書いておこう。それは上の写真にある「FUJITSUキイボードの使いやすさ」である。これには今、ちょっと感激している。ここに先日撮った「キイボード大集合」の写真を挿入しようと思ったのだが見つからない。ここ何度かのハードディスク初期化で消してしまったのだろうか。まあそれはもういちど撮れることだからたいしたことではないとして。

 それはぼくが今使っている六台ほどのキイボードを並べ、「ぼくの朝は、今日はどのキイボードを使うかと悩むことから始まる」と、自分のオタク度をアピールしようとしたふざけたものだった。小物オタクのぼくはそういうものを収集し、こまめにチェンジしては気分転換に利用している。事実キイボードやマウスを新しくするだけで、飽きていた仕事にまた意欲がわいてきたりもするのである。さすがに以前のように一台が何万円もしたなら、そんな愚かなことも気楽には出来ないが、今は三千円、五千円程度で十分実用的なキイボードが売られている。假に五千円のキイボードを買ってきて一ヶ月で飽きてしまったとしても、その間いい気持ちで仕事が出来たなら、それはもう減価償却できたことになる。

 そういう、安物小物厚めの中で、20個以上集めたマウスに関してはお気に入りが決まりめでたしめでたしなのだが、キイボードは未だに納得できるものに出会えず、思いつくままに見かけたものを購入しては、帯に短したすきに長しを繰り返している。
 今回写真に撮った六台もそういうものだった。みなそれなりに気に入っているものではあるが100%満足しているものはない。写真の中には全然使ってないチェンマイで買ってきたタイ語キイボードもあった。これはまあおふざけ写真だ。早くタイ文字を入力できるようになりたいものだが、そうなっても(デスクトップで日本語キイボードとタイ文字を参照しつつ入力するだろうから)このキイボードが役立つことはないだろう。まあ、飾りとしてはなかなかのものだ。

それらの写真の中に富士通のキイボードは入っていなかった。なにしろ富士通のキイボードというのは、もう何年前になるだろう、五、六年前か、もっと前? 富士通FMVを買ったときの附属品である。使いやすいというのは以前から評判だった。とはいえそんなことは忘れている。
 当時の懐かしい写真が冒頭のもの。Magの17インチCRTと、スチール製埋め込み式ラック、富士通のキイボードである。当時はこれでも十分にサイバータッチだったのだ(笑)。

 自作機を三台ほど作り、18インチ液晶を中心とした今の環境を自作三号に渡したので、二号の行き場がない。それで久しぶりにこのCRTと埋め込み式ラックに座った。それで、そこにあった過去の遺物のような富士通のキイボードに、とりあえず調子を見るためだけに接続したのだが、あまりに使いやすいので、すこしばかり感激してしまった。浮気ばかりしていた男が女房の良さを見直したようなものだろう。まあ女房といえるほどぼくはFMVとは仲良くなかったが。それでもハードディスク増設や、Pen150にK6のゲタを履かせたり、メモリをMaxの96メガにしたりと、当時としては可能な限りの贅沢はさせてやった。と、この辺の語り口は、ほんと女に対してと同じだ。わらっちゃう。
 まあそんなわけで、悪口ばかりの富士通FMVだが、前々から評判の良かったキイボードは、ほんとにしっかりしていて、指にしっくりきて、いい製品だと見直した次第。


これが今、自作三号でも使っているもの。裏を見るとMade in Chinaとある。2980円とか、そんな値段だったか。こういう値段でこれだけの品物が使えるようになるのだからありがたい時代である。色は黒と銀があり、両方持っているのは言うまでもない。服装と同じ感覚なのだから。

これはElecomの製品。Elecomは周辺機器メイカーとして小間物をいっぱいだしているので、ずいぶんともっている。これも裏を見たら中国製だった。これも安い。5000円はしていないはず。



去年(01)の夏に買ったタイ語キイボード。チェンマイのコンピュータプラザで220バーツ。600円程度。

 もう何年前になるか、秋葉原のパーツショップで1980円というキイボードを見つけ、作りもしっかりしているし、なんて安いんだろうと感激して即行で買った。これは今も押入の中に入っている。
 そのときはとんでもない掘り出し物を見つけたという気持ちだった。当時、一番安いキイボードでもノンブランドで5000円はしていた。MSなどのブランド品は14800円ぐらいしていた。周辺機器メイカーのものでも9800円とか、それぐらいしていた。それがなんと1980円なのである。家に帰って裏を見ると「Made in Thailand」とあった。タイ製のパソコン製品を買ったのは初めてだったのでこれにも驚いた。なんとなく、信用できないような気持ちになったものだった(笑)。すまんすまん。

 今だったら1980円でも十分に儲けが出ていることが解る。なにしろタイなら600円なのだから。当時はほんとに驚愕の値段だった。さらに今だったら、VAIOの中から出てきた富士通製のハードディスクにタイ製と書いてあっても驚くことはなくなったのだが、当時はキイボードからソムタムの臭いがするのではと思ってしまったものだ。すまんすまん。

一部をアップにしたのがこれ。ね、タイ語キイボードでしょ。かなり安くて軽いヘナヘナの作りだが、実用には問題ないと思う。使ってないので知らん。

 夕方、Tさんと一所に出かけてこれを買い、その後食事をして、開店したばかりのスポットライト(ゴーゴーバー)に出かけたら、隣にすわったオランダ人が、ぼくの手にしたこれをいくらだと聞いてきて、値段を聞いて驚き、明日自分もすぐに買いに行くと言っていた。つまらんことを覚えているものだ。

 せっかく買ったのだから使えばいいのだが、これは英語キイボード配置なので、ひらがな入力をする身には、「ろ」とか音引きの「ー」とかの配置が異なっていて使いにくい。
「ないない、どこにも"ろ"がない」と、バンコクで初めて使ったとき、かな入力のぼくは愕いたものだった。で、どうしたかというと、ぼくは「ろの文字のない文章」を書いたのである。これはいま思えばけっこうおもしろかったが、そのときは必死だった。

 タイから文章を送信することを考えたら、これで慣れるのがいいとも言えるが、益々便利な時代になってきて、自分の書いた文章を添付ファイルで送るという方法を採れば、これと関わらずにいられる。それでもそのうち、自分の掲示板に書き込もうとして、また戸惑うことがあるかもしれない。
 それよりも、早くもっともっと気楽に、日本語とタイ文字を混在して書けるようになって欲しいものだ。だいたいのその方法は解ってきたが、まだまだ面倒でやる気になれない。




これはぼくの原点になるNECのキイボード。思えばPC88から98時代というのは、波風も立たず平和でいい時代だった。
 いや、ほんとはNEC帝国の獨裁でひどい時代だったのかもしれない。でもこちらがその他の世界を知らなければ、それがいい世だと思ってしまう。

 そうだなあ、とんでもなくひどい時代だったとも思う。今だったらフリーソフト以下のソフトウェアでも五万円も六万円もして、しかたないからその値段で買っていた。フロッピー一枚のソフトでも何万円だった。そうだそうだ、いい時代どころかとんでもなくひどい時代だったのだ。と今更腹を立ててもしょうがないので冷静になろう。しかたないやね、時代だから。

 このNECのキイボードはがっしりとした丈夫な造りで、とてもよくできていた。
 獨裁時代でほんとはパソコン黎明期のひどい時代だったとしても、今のように煩雑な問題は生じてなく、消費者の一人として、たいした不満は持っていなかったということだけは確かなようである。当時で30万もしたパソコンにOSすら附いてこなかったという状況は、冷静に考慮すれば腹立ってくるのだが。



 これはアスキーキイボード。懐かしいなあ。NECキイボードに不満がなくても、よりよいものはないかと探し回るのがオタク系の特質だ。ぼくも今とは比べものにならないぐらい物のない時代だったけど、やはり探し回って手に入れたのがコレ。使いやすくていいキイボードだった。しかしまあ今手にすると、何が入っているんだか、ずっしりと、とんでもなく重い。

 当時も今もこういう小物集めが好きなことには代わりはないが、当時はモノ自体がなく、しかもとんでもなく値段が高かったから、今のように遊べなかった。逆に、それが尾を引いて、いまこんなことをしているとも言える。



これはWindows時代になってからのモノ。Justyの製品だ。
 Dos/vマシンになってから、Ctrlキーの位置が変ってしまい、NEC出身者はほとほと困った。NECキイボードはMacと同じくCtrlキーが左真横にあった。ここがいちばん使いやすい位置であることは間違いない。今だったらオンラインでユーティリティソフトを探せばいい。当時はそんな状況ではない。それが出来たのは一部のパソ通マニアだけだった。パソコンに電話線を繋ぐことを頑なに拒んでいたぼくは、CDロムに納められたユーティリティソフト集を買ってきて、そこからキー配置を換えるフリーウェアを使って対処していた。



 これはそういう当時に出たキイボード。AT/PC用のキイボードだが、Ctrlの位置が、NECやMacと同じように左真横についている。MacからAT/PCに乗り換えた人はいないだろうから、これはぼくのようなNECからの転入組のための商品なのだろう。
 最下段にWindowsKeyがない。あれがつくのはWin95からだったか。それ以前の製品というとこになる。(後日註・これは小型にするための単にデザインの問題のようだ。)

 2006年11月、Win-Vistaを入れたらキイチェンジソフトが動かず苦労した。そのときこのキイボードを思い出し助けてもらった。
 そのことをVista物語として書いたのだが、そのときこのキイボードを珍品扱いしてしまった。ネットで調べ、熱心なファンが多く、高い評価を得ているキイボードと知る。Justy-JKB89Sである。
 Justyで検索するとこのキイボードを愛用している多くのかたの個人サイトが見つかる。私も発売時から愛用していながら製品番号を書かなかったため、せっかくこうして写真まで載せているのに網羅されていなかった。是否ともこれは愛用者仲間に入れてもらいたいので遅まきながらここで品番を書いてみた。02年に書いたファイルに06年に【附記】である(笑)。
 やがてGoogleがこれを拾ってくれれば、私のここもJusty-JKB89S愛用者のひとりとして誰かの訪問を受けることになるだろう。その日が楽しみである。(06/11/27追記)



こういう小物集めが好きで、さらには新しい物好きなら、ぜひともここになければおかしいのが、あの「エルゴフォルム」だか「エルゴノミック」だかのキイボードである。いちばん指や手首が疲れない形とかで、真ん中で盛り上がり、両手が左右に広がるような、獨特の、宇宙的なというか、ヘンなかっこうをしたキイボードだ。ああいう物が好きで好きでたまらない性格なのだが持っていない。ぜひともここに話がわかりやすいように、写真だけでも入れたかったが、ないものはない。

 もちろんもう初めて雑誌で見たときから欲しくて欲しくてたまらなくなり、発売と同時に売り場に駆け込んだ。早速キイボードに両手を広げ、あの獨特のフォルムに向かって、まるで宇宙船の操縦でもしている気分で、疑似打ち込みをやってみる。そういう場合ぼくは、自分の気持ちを打ち込む。それでそのときは「このキイボードに興味津々なので早速やってきました。もしも使いよかったすぐに買いたいと思います」なんてことをひらがな入力のブラインドタッチで打ち込んでみるわけである。が、どうにも使いづらい。それどころか右手の小指などヘンな方向に引っ張られてつりそうである。

 それで、どうやらこれは「ローマ字入力用」らしいと気づく。いや、どうやら、じゃなくてゼッタイにそうなのだ。キイボードの定位置に十本指をおいたまますべての文章を打てる人のためのものなのである。アルファペットで打ち込む白人のために白人が開発したモノなのだろう。ご存じのように、ローマ字入力は26文字、かな入力は50文字を使う。26アルファペット用に作られたキイボードで、50文字ひらがなを駆使しようとするとどうなるかというと、シフトキーを押しながら、最上段のキーを押すという、4段中、下3段しか使わないローマ字入力式しか知らない人にはわからない苦労があるのである。左小指でシフトキーを押しつつ、右手小指で最上段のキーを押す場合、右手は外側に開き気味になる。ところがこのキイボードは−−写真のないのがまことに残念だが−−、普通のものとちがって、手首が最適の状態におかれるようにと、配置からして開き気味なのである。それなのにさらに開いて打つというのは、手首を拷問のように捻ることになる。

 このヘンなかっこうのキーポード(=その代わり知らない人が見たら、なんかすごいなあと必ず興味をもつだけの魅力を兼ね備えたもの)を欲しくて欲しくてたまらないぼくも、売り場で実験しつつ、さすがにこれはひらがな入力の自分には向いてないと判断し、泣く泣くあきらめた。とにかくかっこいいし、買うだけ買ってみるかとも思うのだが、買っても実用は無理と思うキイボードは、さすがに買えなかった。そのころはとんでもなく高いMSの製品だったが、その後どういういきさつがあったのか、最近は廉価のサードパーティの製品も目立つ。デザインは同じだ。すると、安いから買ってしまおうかな、机の上にあるだけでもかっこいいしと、未練がましく思ったりする。しかしいくらなんでも、実用にならないキイボードはなあ……。



というわけで、だいぶ薄汚れているが、冒頭と下にあるのが何年も前に買った富士通FMVに附いてきたキイボード。富士通は親指シフトが優れているのはもちろんだけど、純粋なキーポードの出来具合に関しても以前から評判はよい。あれこれ使って忘れていたが、久しぶりに繋いでみたら、手にしっくりと来て使いやすいので見直した。
(以上、02/4/30)






02年6月2日。安田記念で馬券が的中。
 その帰りに的中記念として(笑)秋葉原でIBMの新発売キイボード「Space SaverU」を買う。写真でわかるように真ん中にIBMのノート類と同じように赤いトラックポイントが附いている。これ一台でマウス要らずになるわけだ。買う前は一本のコードで二つを兼ねるのかと思っていたが、コードは二股になっていて、キーポードとマウスのコネクター両方に差し込むようになっていた。ま、冷静に考えてみればそうに決まっている。7800円。



 使い心地は、普段マウスを使い、ノートでもタッチパッドを使っている人(そんな人、いるのかなあ、いるんだろうなあ、あれだけ普及しているのだから。でもどう考えてもぼくにはあれはつかいにくいんだけど)には不満足かも知れないが、東芝のDynabook、ソニーのVAIO PCG-C1、IBMのThinkPadと、トラックポイント大好きの私には快適至極。いやあ買って大正解です。

 もうひとつ見直したのは、キータッチの気持ちよさ。もともとIBMのキイボードは評価が高いのだが(なんてったって伝統がある)、あらためて見直した。今も早速これを使って書いている。実に使いやすく気分がいい。もしかしたらぼくの「究極のキイボード」になるのかも。

 ところでこのかっこいい名前、ぼくはSpaceから宇宙をイメイジしてしまったが、そういう読みもあるにせよ、マウスがいらないから「場所が節約できる」って意味なんだろうな。
(02/6/4)


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