心から感謝を込めて
(愛用フリーソフトへの御礼)

AltIME-キー配置変更ソフト



 お世話になっているフリーソフトへ心からの感謝を述べるコーナーを作らねばとホームページ開設当初から思っていた。やっと実現へ一歩踏み出す。そのときから真っ先にお礼を言うべきなのはこのソフトだと決めていた。とにかく世話になって長い。もしもこのソフトウェアがなかったら私はただそれだけの理由でマックに転向していた可能性もある。それぐらい私には重要なものだった。



 二十数年前、パソコンはNECで覚えた。PC-88から98の時代である。当時NECは獨自のキー配置によるキイボードを使っていた。日本のパソコンのほとんどがNECだった時代である。すぐに使い慣れ、一大決心をしてブラインドタッチが出来るようになる。


 今思えばのようなキーもあって、果たして本格的に使い勝手がよかったのかどうかわからない。
 昨年の夏、金沢のKのところへ行ったらまだこのキイボードが使われていて、上記のキーの使いかたを忘れていてしばし考え込んだ。マイコンピュータでのハードディスクがAだったり、当時は常識だったことも忘れていて使用にとまどった。でもこれなんかは「なんでAT/PCはCなんだ」と考えるほうがまともだと思う。
 ともあれAT/PCの時代になり、NECからの転身派は、この「コントロールキーの位置」で苦労することになる。


 NECのキイボードは(マックもそうだが)このようにCTRLキーがAの横に附いていた。これは「CTRLキー、プラス××キー」という使いかたをするブラインドタッチ派には最高に使いやすい配置だった。CTRLキーは左手の小指で押さえる。使い勝手からいって、絶対にこの位置が正しい。

 ところがAT/PCのキイボードは、いったいどういう発想なのかAキーの真横にあるのは、写真のようにCapsLockキーであり、CTRLは下段左端にあるのだった。
 これなんかはまだいいほうで、Fn(ファンクション)キーのあるノートなどでは、左端はFnキーで、CTRLはその内側の二番目だったりする。とてもじゃないがこれを多用してのブラインドタッチは不可能である。指が引きつる。無理すれば出来るがだいぶ作業効率が落ちる。私は「一文字削除をCTRL+G」で、「後方一文字削除をCTRL+H」でやる。これが早撃ちの基本である。その他、CTRLキー+A(全面選択)、S(保存)、O(オープン)、N(新規)と、いくつもある。それらの流れるような作業がいちいちぎこちなくなる。

 いまもって不思議でならない。この位置にあるCTRLを左手小指で多用してブラインドタッチをやっている人はいるのであろうか。いるんだよなあ、世界中に何千万人といるのか。わからん。だって小指を折って左こぶしを傾けるようにしなければならないんだよ、真横にあればなんの苦労もないのに。わからん。なんなんだ、このデザインは。マックとNECが正しい。

 考えればわかるというか考えるまでもないことだが、キイボード上に置いた10本の指の内、左手小指を真横に出して使うのと、それを左端に下げるのとではまったく感覚が違う。と、いまさら解決された不満を書いていてもしょうがない。先を急ぐ。



 最初のAT/PC機であるFMVを買った。CTRLキーの位置が使いづらくて使えない。こういうものは最初からこの配置で覚えた人は問題ないのだろう。こちらとしては今まであったところにない。違うものがある。本来ならすらすら書けるものが一向に進まない。いらつく。頭を抱えた。

 このキー配置を換えられないかとそういうソフトウェアを探しに出る。当時でもパソコン通信というものをやっている人はオンラインソフトでこの種のものを利用していたのだろう。私は絶対に自分のパソコンに電話線は繋がないと思っていた時期である。
 ラオックスの一階でその種のソフトを集めたCD附き本を探す。目的はひたすらキー配置、それもたったひとつでいい、CTRLとCapsLockの入れ替えだけだった。

 そうしてこれを見つけた。CD3枚附きで辞書のように厚い5000円の本を買った。利用したのはこのソフトウェアだけである。せっかくのフリーソフトだが5000円かかったことになる。高いなんて思わない。どれほど助かったことか。多くのNECからの転向者が同じ悩みを抱えていたらしい。正確には「NECキイボードでブラインドタッチが出来る人」だったろう。二本指打法の人ならたいした問題ではない。

 以下のような形で使用する。この「右AltキーでIMEをON」というのも便利だ。以来手放せないナンバーワンソフトになった。この項を書くとき、なんとしてもこれを真っ先に書かねばと思った。あらゆるフリーソフトの中でいちばん感謝している。





 このソフトウェアを使用するようになってからも、私は下写真のようなキイボードを買ったりした。NECからのそういう転向者向けにデザインされたCTRLキーが真横にあるものだ。これは8000円程度だったか、メカニカル・キーでカチャカチャ音がするのが、それなりに快感でもあった。



 一時はこれに落ち着くかと思われた。ソフトウェアで配置を換え、CapsLockと書いてあるものをCTRLとして使うより、CTRLはCTRLであるほうが気分がいい。

 ところがそのあたりから私には「小物マニア」の性癖が出るのだった。いや違うな。それはきっと以前からあったのだ。マウスやマウスパッド、リストレストなんてよく買い集め、交換して使用していた。でもキイボードは、NECパソコンではNECキイボードしか使えなかった。マニアになれなかった。それが百花繚乱のAT/PC時代になり、キーポードも自由に変換できるようになったのである。物流が増えれば値段も下がる。「いいぷん日記-迷走キイボード」に書いたが、凝ったデザインのものや、黒、白、緑と、色合いのちがったものが数千円で買えるようになった。気ままに購入しては、気分次第でキイボードを使い分けた。

 そんなことが出来たのも、すべてこのソフトウェアのお蔭である。もしもこれがなかったら、上記のキイボード一台しか使えなかった。
 その後、いくつもキー配置を換えるフリーソフトが発表された。私のお気に入りは断然これになる。中にはすべてのキーを全面的に自由自在に替えられるなんてのも出ているが、これで十分だ。今も愛用している。感謝感激である。

 といって悩みがないわけではない。これによって配置を換えているから、もともと愛機にこだわる性質が益々増大し、自分のパソコンじゃないと何も出来なくなっている。
 私は未だにフツーの配置のAT/PCキイボードが使えない。使えるけどとんでもなく遅くなる。だから外国のインターネットカフェや、日本のマンガ喫茶のパソコンなどでは文章が打てない。打てるけど打つ気になれない。
 今後、外国に行って、そういう場所から他者のパソコンを使うという機会はほとんどないと思うのだが、「自分のパソコン以外では文章を打てない」というのは、それなりの悩みである。(03/4/15)





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