云南移住計画



 雲南で使用するパソコンは、日本から持参する日本製オールインワンA−4ノートにするつもりでいる。これだとACアダプターもモデムも世界対応だし、バッテリー附きだから日常的によくある停電にも対応できる。これは賢い、というか常識的な選択だろう。
 いまのところ信頼性から下のようなIBMか東芝が候補。気をつけねばならないのは、最近デスクトップの代用として(省スペース)使われるA−4ノートがあるらしく、それはACアダプターを使用しない。それは購入してはならない。必要なのは停電時をフォローするバッテリーなのだから。

 中国に住むのだから中国製のデスクトップ機を使いたいという気持ちも、好奇心としてある。なんといってもデスクトップは快適だ。修理のことを考えたらそうすべきだ。
 中国製パソコンの現状はどうだろう。





 もしもデスクトップを使うなら、あれだけ頻繁に停電があるのだからUPS電源が必須になる。それはいいのだが、どうにもそれを手に入れる苦労を考えたらため息混じりになってしまう。
 市場には色とりどりの野菜や果物があふれ、その他ラジカセやウォークマンのような品物も(安かろう悪かろうではあるが)わんさとあふれている。中国は活気に満ちている。道路も建物もどんどん新築されていて、シャッターの降りている店が目立つ日本やタイとは違う。

 物品は豊富だが、田舎町では、そういうちょいと凝ったものになると一気に入手が難しくなる。そりゃ当然だ。どこでも商売とはそんなものである。売れない商品の品揃えが豊富なはずがない。
 そしてまたことばの問題がある。これは私が下手だということ以上に深刻だ。通訳そのものは妻がいる。値切ることも出来る。不自由はない。だが「専門用語」の問題がある。つまり、通訳をする妻にパソコン知識がないのである。これでは通訳として機能しない。頼みはパソコン屋の英会話能力になるが、これもまったく期待できないのは体験済みである。とはいえ製品におけるIntelだのPentiumだのは共通だし、餅は餅屋だからこれはそれほどの問題ではないかもしれない。購入に関してはだ。故障したときの説明には難儀するかも知れない。


 UPSのことは棚上げして楽しいことだけ考えてみよう。

 左は景洪にあたらしく出来たパソコンセンターで手に入れたパンフレットからのスキャン。見た目はなかなかかっこいい。買ってもいいなと思う。デザインはね。

 問題は日本的に痒いところに手が届いているかどうかだ。PS2の基盤が、誰からも見えないのに藝術的に美しく、対してアメリカ製のX-boxの内部は乱雑という話を書いた。

 PS2の基盤

 中国製はどうだろう。どう考えても見えない内部まで藝術的にきれいに出来ているとは思えない。そんな民族じゃない。食事のマナーを見ればわかる。かなり雑だろうな。腹立つから内部は見ないほうがいい。いじりたくなる。タバコもくもくの連中が扱っているから煙には強いと思うが(イヤミ)。



 問題は運搬だ。景洪から私の住む町まで10時間はかかる。

 こんな感じのバスに乗り、下の写真のような道路を10時間揺られるのである。山中をガタゴトと揺れつつ、時に時速20キロ、時に断崖絶壁を60キロで走ったりしつつ耐える。心臓に悪い。

 云南への日本人旅行者も増え、バスの転落事故での日本人死者が報じられるようになった。バス事故と死者は日常茶飯事だ。報じられないだけで。

 乗客は大荷物で乗り込んでくる。ニワトリやヘビを持ち込んだり、大きなカマスに入れた荷物を何袋も積み込んでくるのもいる。通路も荷物でびっしりとなり、車内は身動きできないほどになる。さらには屋根上にも積む。
 気をつけないと自分のバッグの上にどんどんそれらを積み上げられるから、常に膝上や身近に荷物を置き、気を張っていなければならない。

 よくわからないが、あれはやはり別料金を取るのだろう。人ひとりだけと大荷物数個を同じ値段にするほど支那人が人がいいとは思わない。ましてこういうバスは「持ち込み」の個人営業と知った。なら相手によって値段を変えるはずである。


この写真はバスが故障して、こういう山中で2時間ほど待たされたときのもの。この人たちは私と同じ乗客。みな毎度のことと文句も言わず待つ。




 どう考えてもパソコンショップが10時間の道をお届けしてくれるとは考えられない。となると上掲のデスクトップパソコンを自力で家まで運ぶことになる。バスを利用して。

 ひとりでは無理だ。パソコンショップから段ボール箱ふたつのこれを買ったら、タクシーでバス停まで運び、ひとりでやるべきなのか。せねばならないのか。妻についてきてもらっても、小柄で非力な妻が果たしてどれほどの戦力になるのか。ああ、また頭が痛くなってくる。



 あ、クルマを買えばいいのだ。これは私自身の経済的餘力の問題になるが、クルマを買って自分で運転すればいいのか。なんだ、そういうことになる。
 しかしなあ、あの雲南の羊腸したとんでもない山道である。あそこを運転するのはぞっとしない。落ちたらまず確実に死に、死体さえ発見されないんじゃないかっていうあの断崖絶壁を思うだけで寒気がする。
 運転というのは、あまりに当たり前のことだけど、こちらが安全運転をしても安全ではない。相手あってのものである。なにしろ連中はその羊腸した断崖絶壁の山道でも追い越しにかかる。バスに乗っていて正面衝突だあと肝を冷やしたことなど数え切れない。そんなのと出会うのだからあまり運転したくない道である。



 そうだなあ、パソコンを語る本筋とは外れてしまうけど、まずはパソコンは日本から持っていったA−4ノートを使うとして、どこに行くにも必要だから、それがどんなものになるかわからないけど(日本人の誇りとして日本車が欲しいけど税金の問題で貧弱な中国車になりそうだ)、デスクトップパソコンを備えるより先に、クルマなのかもしれない。日常の移動にまずバイクは必須と思っていたが、うっかりクルマのことは失念していた。



 中国製パソコンの実力だが。
 下のスペックを見ると、右端の最高級品(=上の写真)「天麒9120」が、Pen4の2Ghzでメモリ512M、16倍速DVD附き、グラフィックボードは64MのGeforce2、OSはWinXP(HomeかProかが書いてない。Proでなきゃ困る)。その他ソフトがあれこれ附いてくる。

 OSやソフトはすぐにハードディスクを初期化して日本語OSのWin2kを入れ全部日本のものにするから関係ない。え〜とハードディスクの容量は? 80Gか。まあこれぐらいで十分だろう。17インチ液晶がついて値段は2万元。日本円で32万円か。このパンフレットには8万円から15万円ぐらいのものがあり、これは最高級品。買うならやはりこれぐらいのものが欲しい。いやいや、8万円ぐらいのものをちょいちょい買い換えるようにしたほうがいいのか。

 中国語用のワード等は削除してしまうつもりでいる。今後も中国語は勉強してうまくなりたいと思うが、今のところパソコンで中国語を打てるようになりたいとは思っていない。でもマスターすべきテーマなのか。

 そのうち「『お言葉ですが…』論考」に書くテーマだが、高島俊男さんの持論のように、私も「翻訳物を読むのは無意味」と前々から思っていた。碩学の高島さんからそれを聞いたときはうれしかった。
 今後果たしてどこまで中国語の読み書きに習熟して原語であちらの本を読めるようになるのか定かでない。ただそれを必要とする状況になるのは目に見えている。だったらパソコンでの中国語打ち込み習得も自然の成り行きなのだが、どうにもまだ「ローマ字で漢字を表す」という感覚が生まれないのである。タイ語もそうだった。なにしろかな入力にこだわり、日本語ですらローマ字で表現するのがいやなのだ。漢字を音声による表現法をマスターしてローマ字でキイボードから打ちこめるようになるのは(ピンイン入力)かなり先のことになろう。




 その他の機器を考える。中国製デスクトップ購入はともかく、日本製A−4ノートを使うとして。

 日常的に必要なのはプリンターとスキャナーだ。両方ともに愛用のCANONにしたいのだが、これって高望みなのだろうか。もって行くのが大変だし、変電機も必要になる。チェンマイですら大型変電機500Wを買うのに苦労した。云南ではどうなるだろう。輸入品を買ったら高いだろうし、なにより今の機種を気に入っている。これを送ることは出来るのか。関税はかかるのか? それよりなにより着くまでに壊れている気がしてならない。信頼できない。いや、壊れて当然の輸送経路になる。日本からやっと届いた機器が壊れていたら落ち込むだろうなあ……。

 これは中国製のプリンター。3200円はあまりに安い。どんな能力なのか。でもプリンターはCANONの小型を持って行けるか。小さくて軽いし、A−4ノートと一緒にもっていってしまえばいい。
 最新型にかっこいいのがあった。やはり、せめてパソコン周辺機器ぐらい日本製にこだわりたい。














 そう思ったらいてもたってもいられず(笑)ネットで探してきました。
 これね。CANONの最新小型プリンター。かっこいいいんだわ。これを買ってもって行こう。消耗品が貴重だから普段の印刷は上揚の中国製を使うようにして。
 そう、問題は消耗品なんだ。日本からたっぷりインクを買ってゆくにせよ。なるべくあちらの製品にとけ込まねばならない。


 こちらはスキャナー。値段は日本円に換算すると8000円ぐらいか。日本でも1万円ちょいのが出ている時代だから妥当な値段だろう。しかしスキャナーが1万円で買えるなんてかつてのことをも考えたら夢のような話だ。

 これでどれぐらいの精度なのだろう。といってもスキャナーを使うのはホームページに使う、その辺のおもしろいチラシの読み込みのような用でしかない。ネガやポジからおこすなんてやらないから(かつては物珍しくてけっこうやっていた)、これでじゅうぶんと思うが。



 こうして見ていると、デザインには、微妙ではあるが国民性が出ているように思える。中国製のデザインもかっこよく、そのことには不満はないが、だからこそ日本的なデザインにこだわりたくもなってくる。電圧の問題があるからあちら製を使うのがいいに決まっている。でもなあ……。
 妻がウォークマンで使う乾電池に関していった。「中国製は一日でなくなる。輸入品のアメリカ製は三日でなくなる。でも日本製は一週間もつ」と。輸入品のアメリカ製は日の当たるショーケースで埃まみれになっているからだいぶ消耗しているのだろう。ちょっと同情する。それでも日本製への讃歌が我が事のように誇らしかったものだ。

 なにもかも中国製の中で生きるからこそ、そしてその他のものには日本製にこだわらないからこそ、パソコンや周辺機器、デジカメ等、自分の大好きな電子機器に関する日本製へのこだわりは、かの地で増すように思えてならない。
(03/5/5〜10=合間にOS再インストールがあったりしてスキャナーが使えなくなり仕上げまで手間取った)






 中国製小物を信じないようなことを書いてしまった反省記。
 日々使うもので、IBMのACアダプターが中国製なのは知っていた。大きくそう書いてあるし、日々触るものだから自然に気づく。台湾ではない。中国本土製なのだ。まあそういうものなら本土でも出来るのかぐらいに思っていた。
 きょう、お気に入りのSONY USBマウスが中国製と知った。SONYのロゴ入り、VAIOカラーの純正品である。まあこれも構造が簡単なものだから、日本人がきちんと指導して安くあがるあちらで作っているのだろう。そう思いつつも、衣料品ばかりでなくパソコン周辺機器も中国本土でだいぶ作っているのだと「世界の工場 中国」の認識を新たにする。
 ついでとばかりお気に入りのLogitechの3ボタンマウスの下部を見たら、これもMade in Chinaだった。マウスはみんな中国製なのか。たしかに利の薄いこんなものは安く作れる国に任せたほうがいいのだろう。性能にもできあがり具合にもまったく不満はない。

 といってこれも衣料品と同じで、だからといってあちらで買うこれら小物が、すぐれた品質とは言い切れない。日本のブランドを日本人が指導して作っているからよい品質なのだ。無印品には安かろう悪かろうも多いだろう。それでもこの件で、すこしだけ中国製品を見直した。(03/5/17)



                  
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